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プロフィール
コメント数 3872
性別 男性
年齢 53歳

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1.  緋牡丹博徒 高倉健が男のヤセ我慢なら、藤純子は女のヤセ我慢。自分の人生を犠牲にしても父の仇を追う女と、それを知りつつ弟分をかばわねばならぬ男とが繰り広げる葛藤が、もうたまらんのです。二人の演技もその葛藤へとひたすら収斂していく。 だからこそ盛り上がる、クライマックスの殴り込み。ダイナマイトでも何でも持ってこい。 というワケで。 いや、素晴らしいです、ハイ。 何が? 清川虹子の溢れんばかりの貫録が。[CS・衛星(邦画)] 10点(2019-02-23 07:57:08)《改行有》

2.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 つい、本人の将来のためとばかり、勉強しろ勉強しろと子供に言ってしまう日頃の自分に気づかされてドキリとし、本当にこんなことで良いんだろうか、なんて思ってしまうのですが、もちろん本作がそういう現代の風潮を寓話的に描いただけの作品ということはないでしょう。ただこれも一種の普遍性、と言えるのではないか、と。 なにせ、赤ちゃんから少女に成長する「かぐや姫」の、一挙手一投足までが、すべて愛おしい。 高貴の女性はめったなことで立ち上がったりはしない、などと言われるけれど、そして捨丸と再会した姫は籠の中の鳥のように身動きがとれないのだけど、二度目の再会では、振り返りながらスックと立ち上がって見せる、その姿の美しさ。 そしてラストで、記憶がない筈の姫が振り返る、まさに何を想うか、というその姿の美しさ。[DVD(邦画)] 10点(2018-05-16 22:53:02)(良:1票) 《改行有》

3.  じゃりン子チエ 見事なマンガを、見事にアニメーション化。何度見ても最高です。笑えます、感動します。 とにかくキャラクターが活き活きしている点、アニメに限定せずともこれを超えるものはなかなかないんじゃないですかね。キャラの設定が秀逸なら、細かい動き、表情や仕草の描き方も見事。複数のキャラクターのセリフと表情の変化が同時並行的に描かれるうまさ、いや、単にうまいんじゃなくって、そこにひとヒネリもふたヒネリも加えてきて、絶妙の可笑しさを醸し出します。 声優陣は映画版とテレビ版で一部(いや大半か)違っていて、芸人さんが大量動員されてます。テレビ版の方がしっくりくる半面、この映画版での芸人さんの起用の仕方が、すべて「なるほど」と思わせる配役で、これもちょっとした楽しさ。いやホント、このメンツでそのまんま舞台化できたんじゃないかと思わせるくらい。 『ゴジラの息子』が実写のまま挿入されるシーンなど、テレビ版との違いは声優以外にもありますが、背景画も映画版の方が凝っているようですね。チエちゃんのホルモン屋に、バクチ屋時代の「お好み焼き屋のオッチャン」が子分を連れてやってくる直前の場面で、テツの噂話をする客の一言にチエちゃんがズッコケると、そこで映し出されるカウンター下の背景画、テレビ版では特にこれと言ったものは描かれていなかったように思うのですが、映画版では遠近感をもった深みのある背景になっていて、こういう部分にもしっかり手をかけているんだな、と。 母と会う場面、天王寺の風景は今では変わった部分もありますが、やはりこれはまぎれもなく天王寺公園。 もう一度言いますが、最高です。[CS・衛星(邦画)] 10点(2016-10-28 15:20:37)(良:1票) 《改行有》

4.  日本のいちばん長い日(1967) よくこれだけのキャストを集めたなあ、という大作ですが、影の主人公は「時計」でもあります。玉音放送までの24時間、作中では何度も時計が映し出され、時刻が言及されます。着々と進めれらる、「敗戦」への準備。前半だけでも十分にスリリングで面白いのですが、後半は一部の軍人の暴走が描かれ物語はますます加速の一途、これほど手に汗握る緊張が漲った作品も、なかなかありません。もう、誰が正しいとか間違ってるとか、そんな事言ってられる事態を通り越して(もはや取返しがつかないにも程がある、という事態なのだから)、登場人物たちの必死さや焦りに、息を飲み圧倒されます。今の目からみたら狂気としかいいようのない暴走軍人たちも必死なら、NHKの加山雄三だって必死だし、加東大介ですらも(あの顔で一応)必死。鈴木貫太郎首相だって、笠智衆が演じるからノホホンといい味だしてるけど、やっぱり命がけには違いない。そんな中で、最も貫録を誇っている阿南陸軍大臣、演じるは三船敏郎、さんざん貫録を見せつけ、最後も壮絶な切腹を遂げるのだけど、この緊急事態を収めうる唯一の人物と思われた彼が、およそ何もせず、自殺というトンチンカンな行為に逃避してしまうその様は、何とも皮肉です。それにしても、何と多くの人たち、想像するのも困難な数の人たちが、死に追いやられたことか。これだけの犠牲を払った末に、かろうじて成し遂げられた終戦は、まさに一歩間違えば実現されなかったかも知れなかった、というのもまた、大きな皮肉。[CS・衛星(邦画)] 10点(2015-10-06 22:35:43)

5.  沓掛時次郎 遊侠一匹 《ネタバレ》 前半は時次郎と朝吉の物語、男の滑稽な意地が悲劇へと繋がるその一方で、遊女たちの「どこ吹く風」とばかりのバイタリティが印象的。そしてこの前半の物語は、「やるのかやらねえのか」と挑発に対する時次郎の「やりたかねえよ」との言葉と、これを覆し突如爆発する怒りとともに終わります。そして後半は、時次郎とおきぬとの物語ですが、これまた、男の意地が招いた悲劇から幕を開けます。おきぬの夫を斬ってしまった時次郎、夫を斬られたおきぬ。揺れ動く二人の微妙な関係を象徴する「櫛」。ラストは、病魔と闘うおきぬと、彼女のために死地に赴く時次郎、二人の戦いが並行して描かれますが、待ち受けるであろう悲劇を予想させるに充分なここまでの展開があってこそ、このクライマックスは真に息を飲むものとなっています。悲壮感あふれる錦之助アクションを、ご堪能あれ。[CS・衛星(邦画)] 10点(2014-12-04 20:53:31)

6.  網走番外地(1965) これぞまさしく男泣き。破れかぶれになりそうな健さんを、丹波が、そしてアラカンが、何とか食い止める。しかしその歯止めをついに突破してしまった時、男はどこまでも破れかぶれになる。そうならざるを、得ない。その破れかぶれ具合が、暴走するトロッコとして、あるいは迫りくる機関車として、執拗に描かれる。そしてその先のどうしようもなくなった最後の最後に、自暴自棄になりかけた男を食い止める、究極の一言。いやあ、みんな、孤独なんだ。寂しいんだあ。[CS・衛星(邦画)] 10点(2014-06-04 22:43:52)

7.  昭和残侠伝 死んで貰います あわや一触即発となった場を収めるため、心ならずも高倉健をタコ殴りにしてしまう池部良。この展開がすでに「勧進帳」を想起させ、やるせないものがあるのだけど、後で池部良が頭を下げれば高倉健はさらに深く頭を下げる、まさに礼儀人情思いやりの倍返し。ラストの殴り込みは、ヤクザもカタギもない、二人だけの世界。そして彼ら取り巻く人々、フジ純子はともかくとしても(笑)、(あと、真田広之少年の初々しさはともかくとしても)、一宿一飯の義理から鉄砲玉を買って出ようとする弟分の松、義理の息子の帰宅を、知らないふりでそっと見守っていた義母など、「無私」と「瘦せガマン」の美学に満ち溢れた、哀しきユートピアがここにあります。無情にもすべてを断ちきるような終わり方にも、絶大な余韻あり。[CS・衛星(邦画)] 10点(2013-11-04 10:58:04)

8.  東京物語 この映画がもてはやされるのに、どこか引っ掛かってました。終盤の「母の死」という事件が、映画の中であまりに大きな転機になっていて、これは通俗性の表れだろう、と思ってました。だから世界中で受け入れられたんだろうと。しかし本当にこの作品が小津作品の真骨頂みたいな扱いで、良いのか、と。……しかし、自分にも子供が出来て、子供の事を「何か頼りないなあ」とか「でもまあ頑張ってるよなあ」とか言う立場になってから、改めて観た時、本作はどうにもタマラン映画なのでした。背中を丸めた年老いた親、その親を邪険にする子供たち。いや別に邪険にしている訳ではなくて、いわば空気のようなアタリマエの存在だからこそ、なのかも知れないけれど、血の繋がらない人たち(原節子とか中村伸郎とか。それこそ東野英治郎とか)の方が余程フレンドリーな描かれ方をすることで、子供たちのよそよそしさが目立つことに。しかし、親としては、子供たちが順調に育ってくれて(当時は「戦死」で息子に先立たれるなどという理不尽もあった訳で)、家庭を持ち「自分たちの世界」を持ってくれれば、それで良いのだな、と。孫より子供の方が可愛い、という、無限の愛情、それが一方的なものとなってしまうのは、やはり必然なのか。医者になった息子に最期を看取ってもらえる、というのが、幸せであり、また幸せの限界でもあるのか。妻の死を目前に静かな表情で「そうか、いけんのか」「そうか、おしまいかのう」とつぶやく笠智衆。感情を露わにしてくれた方が観てるこちらにも救いがあるのに、「どうしてそういう言い方するのよ」と悲しくて仕方がない。まあ、脚本に書いてたとか監督に指示されたとかいうのがその理由なんでしょうが(そう思わなきゃ、やってられませんわ。笑)。この静かな表情からは、「自分たちは役割を終えた」という諦念がにじみ出て、映画を通じて登場する背中を丸めた座り姿とともに、忘れられないものとなりました。しかし彼にはまだ、最後の「役割」が残っている、それは、自分の子供たちだけではなく、すべての子供たちにかける言葉。未来があり、自由があり、しかしそれを行使し切れずにいる、原節子への言葉。やがては子供たちの世代もいずれは孫を持つ世代となり、すべてが繰り返されていく訳で、永遠のテーマですなあ。そしてこれも変わらぬ、尾道・浄土寺。[CS・衛星(邦画)] 10点(2013-02-22 04:12:38)(良:1票)

9.  仇討(1964) 仇討の果し合いが行われようとしている冒頭。その順位が着々と準備が進められるシーンから、時間を巻き戻し、そもそもの事件の発端が描かれる。そして、時間軸を自由に行き交いながら、事件がさらに次の対決を生み、そして冒頭で示されていた果し合いの全貌がいよいよ明らかになったとき、退っ引きならぬ立場に追い込まれた主人公の焦燥感が、痛いほど我々の心を突き刺す。震えが来るほどのクライマックス。凄まじい、とは、まさにこの事。[CS・衛星(邦画)] 10点(2011-11-08 23:34:16)

10.  晩春 またも出ました、原節子の「私、結婚しないワ」攻撃。って、時系列で言うと、コレが初めてなんですかね。じゃあしょうがないですね。本作、登場人物たちそれぞれの人生を多層的に描くというよりは、「娘の結婚を心配する父」と「父を心配して(ほんとに?)結婚しない娘」との姿に、比較的絞って描いた作品で、その代わり、冒頭の茶道のシーンから始まって、“ちょっと寄り道”的な、物語に直接関係の無い光景に、時間を割いているのが目につきます⇒とは言っても、“意外に時間を割いてる”というだけで、実は物語に関係ないどころか、大いに関係あったりするんですね。父の再婚相手(?)と初めて遭遇する、この茶道のシーン。電車で東京に向かうシーンも妙に長く妙に楽しげだけど、これは父との外出。父との仲の良さ。はたまたサイクリングのシーンの、これまた妙に楽しげな印象(やはり年頃の娘さんなのであって、男性とお付き合いすること自体が嫌いな訳じゃない)。白眉は、能のシーン。これでもかと長い。長いけど、そのシーンにはドラマがある。サスペンス。原節子の表情がコワい。⇒⇒⇒ってか、そもそも、この映画の原節子の視線と表情、全体的にとってもコワいです。ちょっと苦手です、ハイ。で、そんな彼女が、最後に見せる花嫁姿。去りゆく娘は、ひたすら美しく描かれる。黒の着物を見事に着こなしたその姿、まさに印象的な、名シーンだと思います。ところで、娘の結婚相手の“熊五郎”とはどんな男だったのか。まあ“寅次郎”じゃなくてよかったよね、御前様。[CS・衛星(邦画)] 10点(2011-08-06 10:02:44)(笑:1票)

11.  戦国自衛隊 《ネタバレ》 ハイすみません、残念ながら10点です、理由は訊かないで下さい。というより、なんでよりによってこんな映画でこんなに充実感が感じられちゃうのか、誰か教えてください。もー子供の頃から大好きな作品で、年末年始のテレビのお楽しみと言えば、「また今回も『戦国自衛隊』と『北京原人の逆襲』が放送されるのか」、でしたからねえ。いや実際、『北京~』はともかくこの作品、やるせなさ、寂しさ、何とも知れぬ余韻が、年の瀬にピッタリ、なんですね。まさにコレ、“ゆく年・こない年”ですわ(最近またテレビでお目にかかる機会が多い気がしますが、ゼヒ年末に放送して下さい)。映画中盤は、夏・真っ盛りってな感じで、ギラギラ脂ぎった戦いが繰り広げられるのですが、戦い済んで雨に打たれ、ラストの廃寺では、虫の声が聞こえてきて、ああ秋だなあ、寂しいなあ、と。信玄が斃れた後にも、伊庭が斃れた後にも、鳥の鳴き声が挿入されて、これまた余韻たっぷり。いやまあ、色々とケチをつけたくなる映画ではあるんですけどね。ツネちゃんを倒した千葉チャンが天下を取る決心をした瞬間、部下たちがギョッとする演技してるのにカメラはきちんと捉えず早々に切り替わっちゃうし。去るムッシュと千葉チャンが送るシーン、交わしている“握手”をちゃんと撮って欲しかったな。ましてその後登場する、「忙しい」と呟く謎の農民など意味不明もいいところ(せめてもう少し草刈正雄だと判るように撮って欲しい)。と色々ケチはつけるものの、素晴らしいのが、夏(八)木が城からヘリに乗るシーン。ヘリから下ろされた縄梯子に掴まるのだけど、そんな撮影危ないよね。実は、ヘリからの縄梯子が画面から一瞬消え、カメラの前を人影が横切った瞬間(カットもここで切れてる?)、別の(と思しき)縄梯子が忽然と現われて、彼はこちらにぶら下がるのでした。手品見てるみたいです、ははは。『ジュラシック・パーク』でCGのラプトルがハリボテと入れ替わったのと同じくらい絶妙ですね。まあそんなヨタ話はともかく、この作品、永遠の怪作、永遠の“熱き映画”です。完成度は度外視してでもわたしゃ支持し続けます。どうかよろしく。 (ところで、何でもパクるのが好きな中国さん、ゼヒ本作をパクッて一本作って欲しい。『三国志的人民解放軍』とか。これは観たい。)[CS・衛星(邦画)] 10点(2011-06-23 23:52:29)(良:1票)

12.  人情紙風船 人情紙風船、いや、人生紙風船。無常。作品自体は時代劇で長屋モノなんだけど・・・中身は何と、これはまさしく“現在”ではないか! 永遠にうち続く無常。永遠の現在。[CS・衛星(邦画)] 10点(2011-05-28 17:09:22)

13.  単騎、千里を走る。 《ネタバレ》 映画の最初の方、寺島しのぶに呼び止められた健さんが振り返るシーンで、健さんはカットの切り替わりの直前に振り返っているのに、切り替わり後にまた振り返っている。いくらチョンボったって、これは編集してて気づかん訳ないでしょ、それともこれは恣意的な演出なのか(だとしたらその効果全く不明)。という訳で、開始早々、この映画、大丈夫かよ、と思ってたのですが・・・いや~~~結局、泣いてしまいました、はい。素人役者の中にベテラン俳優が混じっている構図、ってのは、例えば『萌の朱雀』なんかを思い出して、でもアレとは全然違うよなあ、と。『萌の朱雀』では、例えば村の会議の場面なんかが典型的だけど、演技をする気もない素人と、深刻な顔で演技しまくってる國村隼との間に、明確な“断絶”があって、でもその両者が同居しているということがミョーにオモシロかったのだけど、一方、本作にはそういう畸形性は無くって、ひたすら健さんが素人の中に溶け込んでいる。いや、その溶け込む過程の物語、とでも言いますか。そりゃま、どうせワタシは、「チャン・イーモウ×高倉健」というネームバリューに乗せられてる部分が多々あると思いますよ。でも、実際、これはそういう映画なんじゃないか、と。「あの」高倉健、しかも役柄は日本の「海」の男、その彼が、中国の深き「山」の中、4千年とも5千年とも言う歴史に培われた、超「いい味」を出しまくってる中国素人役者の中に入っていく、そして本当に溶け込んでいく。物語の発端は、父と息子の軋轢であり、また物語の途中にも何かかやと「すれ違い」が発生するのだけれど、そして最後に待っているのも、「息子の死」という大きなすれ違いなんだけれども、でも、そういったものすべてが、国籍、距離、生死までをも飛び越えて、ひとつに溶け込んでいく。健さんが、まさに単騎にて千里を駆け抜けることにより、それが成し遂げられていく。うーん。自分も子供を持つ身になって「親子」が関わるテーマに敏感になってきているのもあるのかもしれないけれど、やっぱりこの映画、泣けたなあ。[DVD(字幕)] 10点(2010-03-09 00:00:01)

14.  男はつらいよ 寅次郎相合い傘 《ネタバレ》 まだ全シリーズ観てないけれど、今の所一番好きなのが本作。色々な形で過去と現在がクロスする切なさと、未来は決して現在にクロスすることはない、生きることの不安。リリー松岡の再登板によって、これらがうまく描かれていると思います。さて、まず冒頭の寅さんの夢、チープ過ぎる海賊ぶりに苦笑。目が覚めると寅さんは映画館の中。出る時に、モギリのおばちゃんに(眠ってて映画観てないくせに)「面白かったよ、有難う」と声をかける。コレですよコレ! モギリのおばちゃんが映画作った訳じゃなし、それでもこの一言。笑いと感動と反省を呼び起こす場面であります。で本編。離婚したリリー松岡がとらやを訪れる、この場面からすでに、過去と現在が交わり始めます。一方寅さんは旅先にて家出オヤジ(ポリデント船越)との珍道中の真っ最中。しかしものすごーい偶然により、ラーメン屋にてリリーと寅さんは再会できちゃう。これぞ過去と現在を結びつける“運命”の力なり。舞台は二人の思い出の地、北海道。海辺で戯れる場面の3人の童心。初恋の人に会おうと決心する船越。これらすべて、過去と現在との交錯。で彼はこれで目が覚め、無事更生。寅さんとリリーはとらやに戻り今度こそいい感じ。ここで、例のメロン騒動が勃発する訳ですが。寅さんの分を切り分けるのを忘れるという失態から大ゲンカ。この場面もまた、寅さんという子供vs周りの理不尽な大人、という構図で、私にとっての過去である「子供の頃の気持ち」をチクリと刺激します。寅さんにとっては「気持ち」の問題であり、自分のことを構ってくれなかった事へ抗議しているのに、周りのオトナどもはこれを理解せず、あくまでメロンという物質的なレベルでしか捉えない。とらやの面々にわたしゃ怒りを感じたよ(とムキになってしまう自分の子供心に、苦笑もする)。ここでリリーだけが、「気持ち」の面から寅さんを咎めているんですね。で、寅さん出て行っちゃうけど、“相合傘”によって仲直り。大のオトナが相合傘でドギマギする、やっぱり中身は子供。この後、二人はもう一歩で結婚か、という事になるも、見事なまでのすれ違いで、あえなく撃沈。我々の過去も、こういうどうしようもない忸怩たる思いと湿った後悔で、死屍累々、ですわな。観ててタマラン気持ちになります。あの時ああしていれば…。シリーズのどれか一本は満点としたかったので、本作を10点とさせていただきます。[CS・衛星(邦画)] 10点(2009-08-16 15:54:38)(良:2票)

15.  七人の侍 高校の頃、教師へのアンケートをとったりなんかすると、「好きな映画」の欄にやたらこの作品の名前が挙がってて、「ああ、ウチの高校、年寄りの先生ばかりだから、こういう古い映画しかきっと知らないんだろう」くらいにしか思ってなかったのですが。大学入ってから実際にこの映画を観て、アイタタタ、“本当にオモシロい”からこそ、この映画を教師達があげていたんだな、と気づいたのでした(しかし年寄りばかりだったのは事実)。アクションの凄さ、キャラの魅力、心地良いヒューマニズム。究極の娯楽作と呼べる一本だと思います。これだけの長尺なのに、長さを感じさせず、しかしやっぱりこの長さならではの満足感がしっかりと味わえます。もっとも、ストーリー的には、昔話の「桃太郎」とあまり変わらない気もしますが(笑)。しかしこの映画が無ければ、アノ映画もコノ映画も存在しなかったのではないか、と思うとやっぱり凄い(『荒野の七人』はともかく、『プライベート・ライアン』も本作との関係が本当に深いと思う。最近観た際には、ジョン・ウェインの『アラモ』すらも思い出してしまった。これは実際に関係あるのかどうか知らんけどね、えへへ)。つまり、映画の原点は、桃太郎だったのですな。それはともかく、本作、七人の誰が好きか、というので話が盛り上がったりもするのですが、今の私からすれば、加東大介が一番、サラリーマンらしくて好きです、ハイ。[CS・衛星(邦画)] 10点(2009-08-07 00:16:40)

16.  トゥモロー・ワールド これほどの充実感も久しぶりのもの。感動というより感激です。とにかく長廻しの緊迫感、臨場感が、絶大な効果をあげてます。あるいは、「部屋の中」と「窓の外」のふたつが画面に展開するおもしろさ。そして何と言ってもクライマックスの、戦場での兵士の中のアカンボ、というシーンは、まさに、現代における(または未来における)、一種の“宗教画”とでも言いたくなるもの。観てよかった。[DVD(字幕)] 10点(2007-12-03 00:40:36)

17.  雨月物語 海外で賞を取ったからと言って、その映画がとりわけ優れているとは限らない。海外で受け入れられたということは、単なる普遍性の表れに過ぎないのかもしれないのだから。作品の作り手が、ほんとうに自己の内なる声に忠実に、自分が信じ目指したその究極の到達点と、国際的な評価とが、一致するとは限らないから・・・・・・。例えばこの映画。あまりにも日本人にお馴染みの怪談世界(なんつーかその、子供時代に本やらテレビ番組の怪談モノでビビリまくってきた、一種のトラウマですね)、我々にとってはツーカーの世界であるがゆえに、「例えばその、説明ゼリフみたいなのは、もうちっと切り詰められるんでねいのかい」とか思える場面もあったりするわけで(このヘンが、怪談に触れても一人でトイレに行ける、大人の貫禄ですな。笑)。しかしこういうコトを気にしだすともうキリがない。“普遍性”なのか“冗長”なのか?いやそもそも、「曖昧さ」に対する、単なる個人的な嗜好の問題なのか?日本的なものが西洋で受け入れられることの無気味さ、一種の西洋コンプレックスに過ぎないのか?こんな昔に、こんな映画が西洋で賞賛されたことをどう受け止めていいのか判らず、私は右往左往するしかない。ただ、少なくとも、ある種の普遍性が確かにこの映画にはある(文化を超えると共に時代も超えている。幻惑される主人公を現代の「IT長者」置き換えても良い。なんちゃって)。その最小公倍数的?最大公約数的?な要素が、心地よさでもあり、同時にその反動としての後ろめたさでもあったりする・・・・・・。ひとまずよそう。とにかくこの映像だ。濃密であると同時に、何か、天からの解剖学的な視点ともいうべきものが感じられ、人間のあさましさを浮き彫りにする。実に実に充実した鑑賞時間を(イヤでも)過ごさせてもらえる映画だ。[CS・衛星(邦画)] 10点(2007-08-17 17:47:01)

18.  千と千尋の神隠し 出だしがいいですね。普通なら描かれるハズの背景、主人公の置かれた日常的立場みたいなものはサッパリ描かれず、いきなり非日常へ放り込まれる主人公、そして僕達。これがもしかしたら、実は本作のキズになっているのかもしれないけど、いいじゃないの。どうせ日常にはウンザリしてるんだし、せっかく映画観てるんだから、日常描写なんかすっ飛ばしてとっとと異次元に放り込んでもらうのもまた結構。で、この冒頭。子供の頃って、親の事、無条件に信じて頼りきってる・・・と言いたいところだけど、時々、親の行動が不安になる事が。さすがにそんな事やっちゃマズイんじゃないの、誰かに叱られるんじゃないの・・・まあ大抵は杞憂なんですが、どうにも不安でたまらなくなる瞬間。この映画も、そんな瞬間から始まる。しかも杞憂どころか、エライ展開に。あとはもう、めくるめく、コワ楽しい摩訶不思議な世界をこれでもかと展開してくれて、やめられない、とまらない。面白かった~。どうもでもいいけど、主人公がハクの龍に乗って飛ぶシーン、つい「ぼうや~よいこだねんねしな~」と口ずさんじゃったね(←ほんとにどうでもいいなあ)。 ところで、こういうアニメ作品は、まずは絵の動きの緻密さに目を奪われ、圧倒されちゃうわけですが、その一方でフト、「最近の実写映画が見失いがちなものが、アニメ映画には残っているんじゃないか?」なんて事を思ったりもします。アニメの方が世程、映画の「場」を大事にしているのでは? まあ、カメラを自由に動かせないという、アニメの制約に起因する、単なる結果的なものかも知れませんが、映画の「舞台」をよく捉えており、またアングルの中と外の関係(画面に捉えられていないものを観る側に想像させる)にも神経がよく使われているように感じられます。とりあえず、映画を観た後で、映画の中の舞台・情景を「懐かしい」と感じさせることができれば、それは映画の一つの成功でしょう、その意味で、この映画にも満足を感じることができました。 【2011年10月4日 8点→10点に変更。最近、この作品がいとおしくてたまらない】[地上波(邦画)] 10点(2005-01-08 00:00:05)(良:1票)

19.  誰も知らない(2004) 実際の事件に基づいた映画です。でもあくまで、事件の「外面」をキッカケとし、「内面」を創作によって構築していく「フィクション」であります。特にここでは、実際の事件(としてマスコミが報道したもの)に対し重要な変更が為されています、それは「冷酷な人間が一人も登場しない事」。ここに本作の問いかけがあります。「実際の事件と異なり、冷酷な人間さえいなければ、彼らは救われたのですか?」答えは本作を観ての通り。事実通りの映画なら、観客は「義憤」を安心してぶちまけられる。「世の中ヒドイ奴がいるもんだね、信じられないね、許せないね(まあ我々には直接関係ないけどね)。」これじゃまるで「お昼のワイドショー」。本作は当事者を糾弾するのではなく、社会、そして社会に属する我々一人ひとりを問い詰める。「あなたは彼らを救うために具体的に何ができますか?何もしない傍観者ですか?ではあなた(=社会)も事件に『間接的に』荷担した当事者と言えませんか?」。ここに事件の奥に潜む本質を見抜いた本作の凄みがあると言えるのではないでしょうか。・・・などと言いつつ、実は私は全く別の意味で、観てて本当にたまらない気持ちになりました。むしろ彼らの立場、つまり彼らと同じ「現代を漂流する孤独な存在として」観てしまったのでした。確かに僕は定職につき、少ないながら一応給料をもらってる。でも? 金なんか幾ら貯めたってタカが知れてる。そもそも収入自体、明日にでも体壊したら、どうなる? 僕らもまた何の拠り所もないまま現代を彷徨する、名も無き漂流者だ。僕の事なんて、身近な人間を除けば結局「誰も知らない」んじゃないか。この映画の子供達に感じたのは「共感」、いや、そう呼ぶにはあまりに切実なものでした。リアルに描きこまれた、ひとつの小宇宙。やがては上映時間が終わり、彼らと別れねばならぬ、その事が辛くて、観ながら息苦しい思いにさいなまれました。それは「一期一会」という言葉がぴったりの貴重な時間でもありました。そして帰途、当時神経症気味だった私は、激しい吐き気に襲われたのでした。 <附記>しかし、本作のように、モデルとなった事件と我々の距離が、時間的にも感覚的にも近いケースでは、そこにある種の不快感を感ずる人がいるのも尤もな事なのでしょう。事件当事者も恐らくは存命であり、この映画が彼らを傷つけるのではないか。常に考えていかねばならぬ問題でしょう。10点(2004-11-07 01:00:11)(良:5票)

20.  ゴジラ-1.0 ゴジラ映画というジャンルと、個人的な人間ドラマとの、噛み合わなさ、ってのが元々あって、正直我々もその辺りは「言わない約束でしょ」ということで諦めてたフシがあるのですが。 ついに、そのどちらからも逃げずに、しっかりと噛み合わせてきた山崎貴監督。まずは、ありがとうと言いたいです。シン・ゴジラが完全にゴジラ映画を再構築してしまった後で、あるいはレジェンダリーピクチャーズがいかにも「CG大作」風のイメージを作り上げてしまった後で、それらのハードルをしっかりとクリアしつつ、この分野ではまだ誰も到達したことのないところまで、人間ドラマの領域に踏み込んでみせてくれました。『永遠の0』『アルキメデスの大戦』とも微妙な距離を保ちつつ。 そりゃ、正直言えば、見ながら「もっとセリフを絞ってくれたら!」とは思っちゃうんですけどね。 だけど、ゴジラと神木隆之介、絶対に成立しないと思われたダブル主演が、ここではどちらが折れることなく、その共演をちゃんと成立させている。国を護る、ということのヒロイズムと残酷さをも、両立させながら。 国を護ると言っても、それはもちろん、時の政府を護る、という意味では無くって(そういう意味での「国」に対しては佐々木蔵之介の口を通じ呪詛が並べ立てられる。ちょっとしゃべり過ぎか・・・)。神木隆之介演じる主人公には家庭があり、「妻」と「娘」がいるけれど、この3人には血縁も姻戚関係もない、いわば赤の他人の集まり。そういう仲間の集合体としての国を護りたい、護らねばならない、のだけど、実際に主人公を動かしているのは、かつて仲間を救えなかった罪の意識。自分は生きてていいのか、という後ろめたさ。ヒーローがヒーローとして死地に赴くのではない残酷さが、そこにはあります。マイナス1.0というタイトルのごとく、大戦を通じて負のエネルギーに支配されてしまったこの国、その呪縛から抜け出せるのかどうかが、呪縛を象徴するゴジラとの戦いを通じて描かれます。 戦後まもなくの、警察予備隊すらまだ無い頃。早くも始まった米ソ冷戦の兆しも物語に織り込み、戦後残されたわずかな軍艦(高雄、雪風…)や本土決戦用に温存された戦車でゴジラに立ち向かわざるを得ない、という設定が、作品のリアリティに繋がる以上に、悲壮感を感じさせます。さらに登場する、「あの」秘密兵器(隣の席で見ていた息子は、話の流れから「もしや登場か?」と予感してたらしく、覆いが外されるか外されないかのタイミングで早くもノケ反ってましたが)。 かつて仲間を救えず、ゴジラを見上げるしかなかった主人公は、ここではゴジラと肩を並べ、真っ向から立ち向かっていく。この場面、どこかの山間部みたいなところで、申し訳程度に散在するわずかな民家をゴジラが破壊してて、いかにも着ぐるみ撮影時代の「ゴジラあるある」なシーンになってますが、それも含め、味わいのある場面です。 佐藤直紀の音楽も魅力的ですが、ここぞという場面では定番の伊福部メロディが登場、特に例の「ゴジラ登場のモチーフ」はこれでもかとテンポが落とされて、ゴジラの威容とともに、見る者を圧倒します。 劇中、いくつか違和感を感じたような気もするけれど(銀座のシーンで突風の向きが逆になったような気がしたが、気のせい?あるいは理由あり? すみませんよくわからんかった)、忘れました。ははは。まあ、些細なことです。[映画館(邦画)] 9点(2023-11-04 07:02:36)(良:1票) 《改行有》

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