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1. 悲情城市
台湾版「小津」です。しかし小津作品と決定的に違うのは、やはり歴史という視点が明確なこと。つまり歴史という超越に翻弄される家族の「業」を描いているのであり、日本人がやりそこねた課題をこの作品はひとつのかたちとしてやり遂げた観があります。お見事です。この作品に触れて、今村昌平の『黒い雨』を思い出しました。8点(2004-03-01 20:57:42)
2. さらば、わが愛/覇王別姫
おすぎがこの作品を褒めながら、「日本人はもっと歴史というものを大切にしなきゃだめよっ!」って言っていた。たしかに歴史の波に乗ると厚みが出る。日本の歴史大河ものは英雄史観で、歴史に翻弄される被抑圧者が示す「火事場のばか力」を描ききれていない気がする。この点、中国物はうまいなあ、って感心させられるが、これも中華思想の強みだろうか。8点(2004-03-01 20:48:29)(良:1票)
3. ブレードランナー
衝撃を受けた作品でした。それまでどちらかといえばソ連―哲学系のSFを好んでいましたが(基本的にいまでもそうですが)、それとはまったく異次元に思えて。ともかく夜のシーンばかりが記憶にあります。昼間の場面ってあったのかなあ。しかしなんといっても「夢」ですからね。夜で当然なのかもしれません。人類はもっと「夜型」に一度はなりきるべきだと思っています。某大統領のおかげで、またまた能天気な昼型人間になってしまったようです。夜への志向。この作品はその確信を新たなものにしてくれます。8点(2004-01-17 15:02:58)
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