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【製作国 : 香港 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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2. プラットホーム 「私たちはいつも何かを期待し、何かを探し求め、そしてどこかに落ち着き先を見つけるのです(ジャ・ジャンクー)」この映画をずっと共有できたら、と思った。しかし160分という短い時間の共有はスクリーンの向こうでは10年以上の時間だった。別に彼らは「映画のような」生き方をしたわけではない。中国の広大な国土と大自然は悠久の時の流れを思わせるが、人間の世の中はむしろ加速を続けていて、時代の大きな転換点のなかをタンポポの綿毛のように浮遊している彼らはそれでも確かにそこにいて・・・観た後に感じる茫漠とした圧倒的な感動でしばらく動けなかった。意識的に非生産的でいられる時期なんて若い時ぐらいしかなく、その間にも加速していく時間の中である者はそれにしがみつき、ある者は腰を落ち着ける。こういうことはどの時代でも起きていたのかもしれないが、この監督はその舞台を中国がどんどんと自由な国に向かおうとしている時代を選んだ。それが一番印象として現れてくるのは時が進むと共に変わっていく音楽だろう。題名の「プラットホーム」とは80年代を通して中国で大ヒットしたロック音楽で、こういった新しい音楽が古い音楽では伝えきれなくなった彼らの感情を、代弁者になり爆発させる。この映画は結構クサい場面が多い。かなり露骨に狙っている。でもそれがいい。さらに言えばこれが中国大陸をまたいだ青春映画でありそのスケールが素晴らしい。[映画館(字幕)] 10点(2005-05-18 00:53:15) 3. 春の惑い 二大巨頭のチェン・カイコーとチャン・イーモウが中心となって作り上げた「『黄色い大地』な映画」は最近では影を潜め、二人は現在エンタメ路線に転向(?)し、映画が業界として向かうべき欲求(=金儲け)に正直であろうとしている中、同じ第5世代の監督が珠玉の作品を現代中国の映画作家に向けて作った。とにかく静かな映画だ。音だけでない。人が、自然が、暗闇が、戦後の傷跡が全て静かなのだ。そしてこの静かさは今にも消えてしまいそうな危うさでもある。例えばチャイナドレス。主人公である女性はまさにチャイナドレスを着るために生まれたんではないかというぐらい、よく似合う。ところが、チャイナドレスというのはあの形から考えてもエロスの欲動が潜んでいると自分で勝手に思ってるのだが(だって・・・エロいよね?)、この人が着ると、それはタナトスへの指向となってしまう。そうさせているのはこの女性の演技はもちろんのこと、この映画の最も重要な要素である光の力だろう。指す光、漏れる光、揺らめく光・・・光ってこんなに沢山の種類があったのかと思わせる。その張本人は夜だ。この映画では夜に物語が動く。相当に広い屋敷の中でわずかな光がこぼれている。この光の強弱が感情の振幅になって観る者を惑わせる。物語は非常に単純だ。しかし古城の春の訪れをこんな形で伝えてくれた監督の力量は凄い。また中盤、大河に浮く小船の上で登場人物たちが「美しき青きドナウ」の中国版を合唱するシーンが個人的には大好き。リーピンビンの映像に酔うしかない。[映画館(字幕)] 9点(2005-02-14 13:28:09) 4. ブレードランナー 「フランケンシュタイン」から始まる人造人間対人間というテーゼに対する一つの解答を試みようとした意欲的な作品としてだけでなく、うどん屋のエピソードから始まる魅力的な近未来世界を創り出した作品としても、つまりメッセージ性とエンターテインメントを両立させた稀有の映画といっていい。でも、ハリソン・フォードがどうも好きになれないのが残念。最後に白髪の人造人間が残すセリフが印象的だった。<追記>実にこのレビューから一年以上経ったつい先日、ディックの原作を読んでみました。はっきり言って原作の出来は別格です。この映画は何一つ勝ってないようにすら思いました。しかもディックは1968年の時点ですでにこの作品が映画になりえるということを考えていたそうです。リドリー・スコットの意匠は見事なんですが、ディックの前ではヒキガエルです。[映画館(字幕)] 5点(2004-06-19 23:58:16)(良:1票)
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