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1. 瞳の奥の秘密
《ネタバレ》 見どころはサッカー場のワンシーンワンカット。あれどう撮ったのか。空撮していたカメラが次第に競技場の上空から観覧席に舞い降りてきて、そのまま犯人逮捕のドラマに受け継がれていく。ラジコンヘリからカメラマンの手にあんなにスムーズに渡せるとも思えず、途中CGでのごまかしがあるんだろうが、シロートの私はただ唖然とするのみ。そこからだってすごいよ。犯人は建て物のなかを逃げ回りトイレから飛び出したり塀を飛び降りたり、カメラもちゃんと塀を下りてくる。そして競技中のグラウンドに至るまでのワンシーンワンカット。溝口やアンゲロプロスのじゃなくて、相米の力業で見せるやつ。カットの頭でプールで泳いでいた奴がカット尻では着替えて帰っていく、っていうようなあの相米タッチが、地球の裏側で生きていた喜び。堪能しました。もひとつドキッとしたのは、ゴメスがイレーネに性器をペロンと出すとこ(やがてゴメスはイサベル・ペロンらしき人物のボディガードになっていくのだが)。あれで彼が強姦犯と分かるってだけでなく、イレーネが被害者の女性に・主人公が被害者の夫にと、登場人物が重なり、ラストの発見へ向けて全員のドラマ的配置が定まる仕掛け。またあの行為は主人公の深層心理を突いてもいる。でも堪能するという画像ではなかったな。暗い時代と、被害者の夫の暗い復讐とは見事に釣り合っているのだが、そこからさらに「忘れ得ぬ愛」ってことで主人公のほのぼのとしたロマンスと照らし合わせているのは、ちょっと煩雑な気がした。ロマンスを織り込まねば観てもらえぬほど、もう悪い時代はアルゼンチンの中で過去の歴史になってしまっているのか。[DVD(字幕)] 6点(2011-07-30 10:11:15)
2. ビリディアナ
《ネタバレ》 単純にヒロインを非難するだけなら出来ないことはない。伯父を孤独のまま死なせ、浮わついた慈善で乞食を犯罪者にしてしまい、自らも堕落していく、って。でもこの人の映画がそんな単純にまとめられるはずがない。あの伯父だってクセもので、自殺前に浮かべる何とも生臭い笑みを見ると、自殺自体がビリディアナを閉じ込める罠だったのかとも思われる。あの女中だって怪しい(黒い牛って何なのよ)。「罪を犯せばそれだけ悔い改めることができる」がキーワードか。ブニュエル自身が自伝で「私は神のおかげで無神論者でいられる」って言ってたけど、何か宗教的な回路を経て、最後には人間関係の問題につながっているような気がした。乞食パーティのシーンがやはり凄く、短いカットをハレルヤコーラスでつなぎ、女装男が鳩の羽根をまき散らしてのドンチャン騒ぎ。[映画館(字幕)] 8点(2008-03-29 12:18:29)
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