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1. 汚れなき悪戯
あまりにベタな宗教映画なのですが、迷いなく徹底しているので一種の爽快感さえあります。修道院に孤児が引き取られるような話は日常茶飯事だったのですが、どこかでこういった伝説が生まれるような雰囲気が修道院というところにはあります。キリスト教にとって小さな男の子つまり「幼な子」はイエスを想起させる存在であり、主と従が一気に逆転する転機でもあります。モノクロで質素な画面は、こうしたシンプルな物語を描くのにふさわしいと思います。わたしにとっては良質のキリスト教入門でした。近年リメイク版も作られたようですが。。。7点(2004-02-12 22:45:23)
2. エル・スール
寡作で知られるヴィクトル・エリセ監督の作品のなかで、もっともすきなのが本作品。記憶が熟すると人を死に至らしめる。しかしその死を安直に不幸なものと弾じることができるのか。この映画を観たのはたしか20年近く前、有楽町の映画館でしたが、この頃から記憶や郷愁の美しさと恐ろしさを考えるようになりました。そうしたきっかけを作ってくれた映画として感謝の念を覚えます。故天本君が言っていましたね。「スペインは死の国だあ!」。その通りです。9点(2004-01-17 21:02:55)
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