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【製作国 : ポーランド 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 殺人に関する短いフィルム 《ネタバレ》 主人公と、主人公が見ているもののみを明るくし、周りを暗く押さえる映像法で徹底して「見える世界」を限定しつつ、それでいて淡々と殺人を描き出していく手法はなかなかのもの。 ■「なぜ殺したのか」は一切描かない(というより、ない)。殺人はあまりに淡々と、突き放して描き出される。その代わり弁護士の心中はくっきりと描かれる。同じカフェにいたのに、もう少しうまく弁護できたかもしれないのに、依頼人は自らの目の前で絞首刑になる。 ■タクシー運転手についても殺されるまでを描いていたが、そこはあまり利いてない気がした。これほど短い作品ながら、前半は冗長さを感じてしまった。代わりに、彼女に「この車どうしたの?」と詰め寄られるシーンの後を、個人的にはもっと見てみたかった。[DVD(字幕)] 5点(2010-12-31 19:40:02)《改行有》 2. 偶然 《ネタバレ》 駅で「電車に乗れる/追いつけない/駅員に止められる」という3つの場合、それぞれ主人公がどうなってしまったかを3回にわたって見ていくという、運命のいたずらを見せつけてくる作品。 ■とりあえず3つの運命は「体制派/反体制派/中立(政治にかかわらない)」と色分けできるだろう。それぞれ決してうまくいくわけではなく、それぞれなりの悲劇的結末を迎える。 ■カギなのは「あのときこうしてたら・・・」型のパターンではないということではないだろうか。主人公の意図が介入する余地はゼロで、電車に乗れるかどうか、駅員が止めるかどうかは完全に運命の手に委ねられている。運命の番人はこの3つの結末のどれになるかを決めることが出来る。どれであってもうれしいものではないのだが・・・裏を返せば自分が運命を超越出来たところで、やはり悪い事態は悪いままということかもしれない。 ■ただ、3つのストーリーの連動性が低く、ただ3つの対照的なストーリーを並べただけに終わっているのが残念。もう少し「主人公がこうした/しなかった」ことがゆるやかに利いてくるような、つまり複数話をまたいで登場するイベントなどがあった方が、全体としては面白くなったのではなかろうか。このままでは一つ一つの物語が単調で面白味にかける。残念[DVD(字幕)] 6点(2010-12-29 01:01:59)《改行有》 3. 戦場のピアニスト 《ネタバレ》 タイトルからイメージされるような、ピアニストであることが重要であるような映画ではない(最後にちょこっと利いてくるだけだ)。極めてよくできた戦争もの、それもありそうでなかった戦争ものである。 ■多くの戦争映画は二通りに分けられる。 一つは主人公が「戦う」映画。それは主人公が兵士であったり、あるいはレジスタンス的に活動していたりである。望まないで徴兵されてしまうのもこのパターンに入れられる。 もう一つは主人公が誰かを「助ける」映画。「ホテル・ルワンダ」のように誰かをかくまったり、あるいはジャーナリストとして戦地の状況を世界に伝え、国際世論を喚起する(「サルバドル」みたいな)というがこれに当てはまる。 大概の映画はこのどちらかである。 ■ところが、本作はこのどちらにも属さない。この映画の主人公はただ「逃げる」。レジスタンス活動にも結局与することはなく、むしろレジスタンスにひたすら助けられ、かくまわれているだけだ。だから主人公はちっともかっこいい位置付けではない。 だが考えてみよう。もし実際に日本が戦場になったとしたら、我々はレジスタンスを行ったり、他の困窮している人を助けたりするだろうか。恐らく、ただ「生き延びる」ことで精いっぱいのはずだ。だからこの映画は、すばらしく等身大の戦場を描き出しているのだ。 ■ラストのピアノはいろいろと言われているようだが、個人的には弾き手の心のすさみっぷりが伝わってくるような音色だったと思う。ある種の乱暴さではないが、心の傷と棘を感じさせられるような音であった。だからなぜ大尉がシュピルマンを助けたのかを解釈するならば「ピアノに感動した」というよりも「ピアニストの心をかくも傷つけてしまうようなことを自分たちがしてきたことを恥じた」と見た方がいいのではないだろうか。 ■ただ、大尉の登場時間が短いのに、最後に「私は彼を助けたんだから、彼に私も助けてもらえるはずだ」みたいな命乞いをするのは興ざめであった。あれでは自分の命を守るために(おそらくドイツは負けるし、彼は著名人だから影響力もあるだろうと踏んで)彼をわざと生き残らせた、というえらく合理的で感動もあったものではない解釈がもっとも自然になってしまうではないか。あそこにマイナス[DVD(字幕)] 9点(2010-11-07 01:08:04)(良:1票) 《改行有》 4. 影(1956) 《ネタバレ》 最初の謎の転落死から始まって、3つの事件が一つにまとまっていくのだが、まとまり方がいま一つ弱い気がする。 結局謎の男がすべて共通だったというだけで、もっと大きなつながり方を期待していたらちょっと拍子抜けだった。 ただ、一つ一つの話はわりと面白い。手りゅう弾を抜いた直後の「手を出せ」は見ていてもびっくり。 あと、関係ないけど、ビデオのあの字幕は読みにくい。[ビデオ(字幕)] 6点(2008-09-19 21:51:30)《改行有》
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