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プロフィール |
コメント数 |
73 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
映画をいっぱい観るようになったのは、大学生になってから。 映画を創作できること自体とてもすごいことだと思うので、 なるべく誠意のあるレビューを書こうと思っています。 好きな映画のレビューだけ書こうと思っていたのですが、 ちょっと個性が埋没してしまいそうなので、おいおい酷評も 入れちゃおう。
☆好きな監督☆
黒澤 明 山中貞雄 溝口健二 エルンスト・ルビッチ フランク・キャプラ ビリー・ワイルダー アルフレッド・ヒッチコック ミロス・フォアマン チャン・イーモウ |
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1. ノー・マンズ・ランド(2001)
戦争映画は数あれど、なかなか独特のアプローチで興味深い作品です。実際の戦争には「英雄」は確かに存在すると思いますが、映画にする際には、この「英雄」の取り扱いには極めて注意が必要。一部のプロパガンダを除いては、戦争映画=反戦映画ですが、この「英雄」の取り扱いを一歩間違えると、戦争映画が反戦の意を示さないという危険を孕みます。それならば、むしろ「英雄」などは描かない方がよいのかも知れません。実際、この映画には「英雄」は存在しない。愛情や友情などの人間の情をねじ曲げてしまう戦争。そんな中で、彼等の死は、全く無意味で、滑稽で、馬鹿げていて、惨じめに映ります。きっと理解し合えたはずの人間同士が殺し合わなければならず、地雷を背に、身動きすることも許されないまま見捨てられていく弱き兵士。生々しい残酷な描写。こんな死に方はしたくない。こんな場所には行きたくない。絶対にいやだ。国の為であろうが、なんであろうが戦争には行きたくない。そんな思いが強烈に込み上げてきます。この戦場への嫌悪感こそ反戦映画の命であることをつくづく思わされます。「正義の為の戦争なんてない」というこの姿勢こそ真の反戦映画。「英雄」の苦悩をドラマにするのもいいのですが、戦争の存在自体を真向から否定したこのアプローチは秀逸だと思います。8点(2004-03-13 00:24:45)
2. 第三の男
《ネタバレ》 第三の男は誰だ?というサスペンスを巧みに盛り上げながらも、謎解きに終止することなく、重厚な人間ドラマに仕立てていく展開が実に見事です。それどころか、むしろこの映画におけるサスペンスという要素は、後半の愛憎ドラマの序章にすぎないと言えるでしょう。軍からペニシリンを盗み出し、水で薄めて売りつける。使用した患者は精神をヤラれるか、死に至る。こんな悪行を重ねる犯罪者は友人でもあり、愛しい人の恋人でもある。オーソンウェルズの才能は疑うべくもありませんが、難しい立場を演じるジョセフコットンもやはり名演です。結局、彼は犯罪を許さじと、友人を警察に売り渡すことになるのですが、アンナの一途な愛によって、善人であるはずの彼があたかも悪者のように印象づけられていく展開が、なんとも凄まじく切ない。ラスト近くの葬儀シーンは、冒頭の葬儀シーンと全く同じロケーションであるにも関わらず、同じなのはロケーションだけで、それぞれの人間関係は全く別ものに変貌しています。有名な「すれ違いの」ラストはこの差異によって導かれ、物語の奥深さを見事に暗示した、まさに映画史上屈指の名シーンです。ロバートクラスカーのキャメラも一級品で、特に下水道の追跡シーンは秀逸。ただ、時折見せる「斜めの構図」は、不安感を出すという意図は達成されているとは思いますが、少しだけ浮いて見えました。効果をあげているのは確かなのですが、なんというか、恐縮ですが、生理的に合わないという理由であの構図は駄目でした。8点(2004-01-20 22:51:15)(良:3票)
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