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1. ソフィーの選択
かなり精神的に重くなる映画。メリル・ストリープの演技も見事だし、ベストセラーの原作を映像化した時に生じやすいカット割りの短さも感じなかった。国家的精神障害ともいうべきナチの優等思想とユダヤ系アメリカ人の個人的な精神障害に起因するふたつの選択を対比して描いてくれた。但し、すごい作品であることは否定しようもないが、芸術的意味での美しさは感じられなかった。すこしだけでもいいから希望をしめしてほしかった。
なお、個人的にはこの作品からユダヤ人以外の人々もナチの大量虐殺政策の対象になったことを教えられた作品でもある。
7点(2003-12-20 11:01:54)《改行有》
2. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
この作品のおおまかなストーリーは知っていた。しかし、あらためてビデオを見て、爆撃機シーンのBGMをかってきいたことがあることに気づいた。これだけならば、FMかなにかで耳にしただけかもしれない。しかし、この作戦を命じた将軍が企てるにいたったことを語るシーンで、見る前から「フッ素と水道水」のことが頭をよぎった。おそらく30年以上前、幼い頃見ていたはずである。この映画のインパクトは30年以上も私の頭の奥底にうもれていた。
改めてみて、ピーター・セラーズの演技もすばらしいし、36才でこの作品をつくりえたキューブリックの才能に感服するばかりである。10点(2003-12-18 19:47:46)《改行有》
3. スターリングラード(2001)
《ネタバレ》 プライベイト・ライアン風のはじまりで、武器の消耗をさけるため2人に1挺しか鉄砲を支給せず突撃を命じるといった人間を物量としか考えなかった時代の悲惨な戦いを伝えるのかと思ったら、途中から男の嫉妬を描いた作品に堕してしまった。好演していたジョゼフ・ファインズのやくどころにフォーカスすれば、目的のため少年を危険にさらすことさえなんら疑念もいだかない共産主義のエリートが、片思いの女性が即死したと勘違いして、スナイパーの視線に自らをさらしてしまうお話だ。
野営中のジュード・ロウとレイチェル・ワイズのまぐわいも、さほどエロチシズムを感じなかった。ヒロインがやっぱり生きていたという幕切りもなんか物足りない。 5点(2003-12-13 21:49:32)《改行有》
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