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プロフィール
コメント数 2506
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  キングスマン: ファースト・エージェント 《ネタバレ》 この作品は『キングスマン』シリーズの前日譚かと思って観始めたが、こりゃ完全にスピンオフですよね。いきなりボーア戦争で大英帝国がナチスに先だって建てた強制収用所が登場、その後の展開も史実を巧みにフィクション化した小ネタが満載の脚本は、歴史マニアをも唸らせる脚本は秀逸でした。もっともマタ・ハリがウィルソン大統領にハニートラップを仕掛けて脅迫するなんてのは、ちょっと悪ノリが過ぎた感もありますがね(笑)。ヴィルヘルム二世・ジョージ五世・ニコライ二世の三君主をトム・ホランダーに三役で演じさせるというのは、なかなかぶっ飛んだアイデアだったと思います。実際のところ三人ともヴィクトリア女王の孫でいとこ同士、とくにジョージ五世とニコライ二世は双子かというぐらいのそっくりさんだったという史実を上手く織り込んだ演出でした。フランツ・フェルディナンド大公暗殺犯のガヴリロ・プリンツィプと怪僧ラスプーチンやマタ・ハリが闇の組織のメンバーで首領の指示のもと第一次世界大戦を引き起こさせて大英帝国を窮地に追い込むという陰謀論丸出しのストーリーも、実際に起こった数々のイベントを巧みに落とし込んでいるので愉しめましたし、おまけに実はレーニンそしてヒトラーまでもがメンバーだったとは!こりゃあ史上最悪の陰謀組織じゃないですか(笑)。でもそんな組織のボスがみみっちい動機の復讐が目的だったとは、小物感が半端無かったのがちょっと残念でした。でもやっぱラスプーチンがいちばんキャラが立ってましたね、あのコサックダンスを取り入れたようなレイフ・ファインズとの剣の決闘は、この映画の最大の見せ場だったと思います。レイフ・ファインズもリーアム・ニーソン顔負けのアクション・シーンを見せてくれて、新たな熟年アクション・スターの登場だったのかも。マシュー・ヴォーンの演出も前二作の様な羽目を外すようなところもなく、極めてオーソドックスだったんじゃないかな。まあ肩の凝らない愉しめる映画だと思いますよ。このスピンオフもシリーズ化するのもアリかな。[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-04-27 23:10:00)
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2.  シビル・ウォー アメリカ最後の日 《ネタバレ》 英国人のアレックス・ガーランドだからこそ、こういう洒落にならないような際どい題材の作品が撮れたのだろうと思います。〝米国で内戦が発生!”というでかいテーマを非常にミニマムな視点でしかもロードムービーとして撮っていますが、しょうじきなんで内戦が勃発する事態に至ったのか現在の情勢はどうなっているのかなどの基本的にオミットしているので、ワシントンDCへと向かう四人の視点でしか情勢が判らないようになっています。反乱軍としてタッグを組んでいるのがカルフォルニア州とテキサス州というちょっと現実にはあり得ないけど、リアルな米国の政治情勢を織り込んで刺激が強くならないようにという配慮があったんでしょうね。だからワシントンに近づいていっても何がどうなっているのかさっぱりで、どうやら政府軍は敗北しそうでそうなったら大統領は殺されることになりそうだということぐらい。その代わりに四人は道中で様々な理由で虐殺された一般市民を見ることになるわけで、まさに合衆国は北斗の拳の世界の様な修羅の国になっているということです。それでも途中には〝国が内戦状態であることを見ない”という現実逃避に走って平穏な暮らしが続いている町もあるわけです。設定では反乱側は全米50州中の19州、つまりいちおう連邦政府を支持する州の方が多いことになっていますが、きっと様子見というか傍観しているだけの国民が多いということなんでしょうね。主人公たちは報道カメラマンにTV記者そしてNYタイムズの記者でいわゆるオールド・メディアの奮闘を描いているとも取れますが、このSNS全盛の時代にはちょっと現実離れしている感も無きにあらずです。見習いカメラマン的な立ち位置のジェシーがニコンのアナログモデルを愛用していて屋外で使用できるキット(そんな優れモノがあったとは知らなんだ)を使用してフィルムを現像するシーンがあるところなんか、監督の意思が伺えたような気がしました。ラストの展開なんかトランプが観たら激怒することは間違い無しですが、さすがにハリウッドではあの写真のショットで幕を閉じるなんてことは、絶対ムリでしょうね。それにしても久しぶりにキルスティン・ダンストの出演作を観た気がしますが、すっかり歳相応のおばさん顔になっていましたね、これはイイ意味での誉め言葉ですけど。[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-04-19 22:58:47)

3.  フランケンシュタイン(1994) 《ネタバレ》 メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』は、学生のころ英文購読の教材だったので読みとおしたことがありました。フランケンシュタインが創り出した怪物が哲学的な語りをすることに、妙に違和感を持ってしまったという記憶があります。原作に忠実に撮ったというこのケネス・ブラナー版を再見して、その違和感が甦ってきました。処刑者の頭部というか脳をくっつけて創られたクリーチャーがやっとFriendという言葉を理解できるぐらいの段階なのに、フランケンシュタインの研究ノートを読解して終いには愛を求めるようになる過程が、いくらフィクションとは言っても不自然な気がします。そもそもシェリーは科学否定的な思想の持ち主だったので、小説の中でもクリーチャーという存在の科学的な辻褄合わせには興味が無かったんじゃないかな。 このケネス・ブラナーの『フランケンシュタイン』は一言で要約すれば“グロいメロドラマ”ということになるのかな。デ・ニーロが演じるクリーチャーは、史上もっともグロいフランケンシュタインのクリーチャーだったと思います。このクリーチャーのパブリックイメージはボリス・カーロフ版であるのは間違いないけど、デ・ニーロのクリーチャーはボロを纏ったホームレスにしか見えないのが難点だな。でも登場時には生々しかった縫い目が終盤にはかなり薄くなっているところが、生身の肉体が素材だけあって妙にリアルです。ヘレナ・ボナム=カーターのエリザベスは、自分的にはミスキャストじゃないかと思います。このエリザベスには清楚な感じが皆無なので、私が抱くエリザベスというキャラとは隔たりがあり過ぎるのも原因かな。ラストで凄まじいメイクの女クリーチャーにされちゃうのはさすがに可哀そうだったかな、そういやティム・バートン作品なんかでも酷いメイクされがちだし、意外と彼女自身がこういうのが好きなのかも(笑)。 『ドラキュラ』を撮ったコッポラが本作ではプロデューサーにまわったわけですが、この作品では監督のケネス・ブラナーの撮り方には満足できずにかなりもめたらしいです。まあもしコッポラが監督にまわっていたら、こんなに音楽過多なメロドラマにはならなかったでしょうね。[CS・衛星(字幕)] 5点(2025-04-09 22:33:00)

4.  プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち 《ネタバレ》 おお、前作の2万ポンドの予算が30万ポンドと15倍にパワーアップ!それでも大した金額じゃないけど、その増額分のバジェットをスプラッターとその特殊メイクにつぎ込みましたってのは、まあ正しい戦略と言えるでしょう。気合い入れてかなりグロはエスカレートしたみたいだけど、如何せんスプラッター・シーンが夜間やホラー映画お約束の照明が点いていない室内ばかりなので、判りづらいところは大難点です。ほんとこういうのって、観ててストレスが溜まります。おまけに手持ちカメラでカット割りが多すぎるし、おかげでプーやお仲間怪物キャラの細部が良く見えない。これは相変わらずチープなメイクをじっくり見せないための、監督の意図もあるかもしれません。でもCGに頼らず着ぐるみとアナログ・スプラッターで押し通す根性だけは認めてあげようかな。一応脚本も前作よりは多少進歩していてプーと仲間たちの誕生秘話が明かされるけど、いやいや、これは『ドクター・モローの島』からの丸パクりじゃないですか。ラストの閉め方も前作のような身も蓋もない感じじゃなくてありがちなハッピーエンドとなっていますが、エンドタイトルで明かされる「また次作も撮っちゃうぞ!」宣言と今度は「ピノキオとピーターパンやバンビまでも出てくるぞ!」という気合いの入った予告には、「まだやるのか…」と正直頭がクラクラしてきました。そろそろディズニーから怒りの巡航ミサイルが飛んでくるんじゃないかな。 「死者数だけなら今年圧勝!」というキャッチ・コピーも眼にしましたが、これには思わず笑ってしまいました。[CS・衛星(字幕)] 3点(2025-04-06 22:47:26)

5.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 この映画では2050年には太陽がなぜか活動が弱まって地球が凍り付くという設定だが、太陽という恒星は水素がヘリウムに変換される核融合によってエネルギーを放出しており、一説ではその燃料が枯渇する63億年後には赤色巨星となって消滅するそうです。その燃料となる水素の減少によって逆に太陽からの放射エネルギーは徐々に増大していて、5億年後には地球は焼け焦げた惑星と化して生命が存在できない環境となるだろうとの予測もあります。まあ今からたった50年後に太陽が活動縮小するなんてことはあり得ないことですが、そこはSFだから全然ありですね。 ほぼ宇宙船内だけでストーリーは展開し登場人物はモンスターと化すマーク・ストロングを含めても9人こっきり、イカロス2号の乗員たちは8人中3人が東洋系でわれらが真田広之が船長!でも序盤であっさり退場しちゃったのは残念でした。イカロス2号の外観や船内はよく造りこまれていると思いますが、“地球の核物質をすべて使って製作したマンハッタン島ぐらいの大きさの核爆弾”というのが宇宙船のどこに装着されているのか不明。ラストで太陽に打ち込まれるその爆弾はどう見ても普通(?)の大きさで、ちょっと大風呂敷を広げ過ぎじゃない(笑)。本作はダニー・ボイルと脚本アレックス・ガーランドの最後のコンビ作だけど、その後監督業に進出したガーランド作品の暴走ぶりを考えると、ボイルは彼を良くコントロールしていたなと思います。でもこれだけは言っておきたいんですよね、この映画は中盤以降の展開はその10年前に撮られた伝説の怪作SF『イベント・ホライズン』とそっくりなんですよ。なぜかモンスターと化したイカロス1号の船長マーク・ストロングの登場は、ここに由来していたとしか思えません。とは言え『イベント・ホライズン』ほどのモンスター風味は薄く、ガーランド脚本特有の哲学趣味というか臭みが濃厚だったのも確かですけどね。 けっきょく登場人物は全員死んでしまったが、人類は救われる(のかな?)という結末は陳腐ではあるけどラストカットはダニー・ボイルらしさがあって良かったと思います。彼は本作でよほど苦労したらしく「もうSFは二度と撮らない」と語ったそうですが、それは確かに正解だと思いますよ(笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-12-10 22:06:28)

6.  サボタージュ(1936) 《ネタバレ》 いやあ、正直言って驚きましたよ、まさか少年が運ばされている爆弾がバスを粉々にしてこの子まで死んでしまうとは!予備知識なく観ていたのであの“初めてのお使い”のシークエンスは、ハラハラ・ドキドキさせてどこかで爆弾が爆発しないか当初の目的を達成できないという良くある展開だとばかり高をくくっていたので、まさに“黒いヒッチコック”がこんなに若い頃の作品で見られるなんて予想もしませんでした。そこからのシルヴィア・シドニーが夕食の配膳をしている最中にオスカー・ホモルカを刺殺するまでの短いシークエンスは、そのピリつくような緊張感は圧巻で本作最大の見どころです。この指令を受けながらロンドンでテロを実行するオスカー・ホモルカが演じる男、もちろん明言はないけど時期的にナチス・ドイツのエージェントであることは誰でも判ったでしょう。でもこの男と妻であるシルヴィア・シドニーとの関係やキャラ設定がイマイチ甘いのも確かです。この怪しげな訛りが強い英語を喋る男は夫婦で米国から移住してきたという設定だけど、いきなりロンドンの中心部で自前の映画館を持てるというのはなんか不自然。まあ雇い主の某国が活動拠点として資金を出して映画館を買い取ったという推理(というか妄想)も成り立つけどね。このあまりに不釣り合いな夫婦だが、妻は彼が真面目で善良な人物だと信じて疑っていなかったのに、弟が爆死した真相を夫から聞かされても弟の死に激しいショックを受けているのに夫の正体にはあまり驚いている風には見えないんですよ。エージェントとしてのホモルカも無差別殺人に繋がるような指令には動揺は見せるが、けっきょく任務を放棄しないところもなんか判りにくいキャラであります。 ラストは辻褄合わせの様な一種のハッピーエンド(なのかな?)としてまとめているけど、最後の爆発はどこから爆弾が出てきたんだ?様子を探りに言ったペット屋が爆弾を持ち歩いていたということなのかな?ヒッチコックの娘がヒッチコックのフィルモグラフィ中でもっとも暗い作品の一つに上げているのは、なんか納得できます。[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-12-07 23:37:08)

7.  ふたりの女王 メアリーとエリザベス 《ネタバレ》 原題の通りでこの映画はスコットランド女王メアリーの物語で、イングランド女王エリザベスは言ってみれば狂言回しの様なストーリーテリングでした。ドロドロ・グチャグチャと言えばイングランドのチューダー朝のお家芸ですが、スコットランドのスチュアート朝も決して負けてはいませんね。スコットランド貴族たちの“裏切り御免!”ぶりは、皮肉ですけど観ていて清々しいほどです。なんといってもシアーシャ・ローナンの堂々たるメアリー女王演技には、あの少女がここまで立派になって…と感無量です。マーゴット・ロビーがエリザベス一世を演じるわけですが、天然痘を患って顔にあばたが残ったという割と知られた史実通りのメイクを再現しているところは、エリザベス女王が登場する映画で初めて観たような気がします。まあこれは、美貌でメアリーには負けるというエリザベスのコンプレックスを強調する意味合いがあるんだろうな。この映画ではメアリーがイングランドに亡命するまでのいわば彼女の人生の前半部がメインで、夫ダーンリー卿の爆殺の黒幕と疑われる根拠となった“小箱の中の秘密”事件や亡命後の数々の反乱計画などはスルーとなり、かなりメアリーに感情移入させる様な脚本になっています。あと、なぜかエリザベスの側近の一人が黒人、侍女の一人がアジア系の女優をキャスティングしているところがなんか奇妙。こういう物語上はあり得ない人種の俳優をあえて使う映画は他にも観た気がしますが、これも最近うるさいポリコレの影響なんでしょうか?そしてクライマックスでの、二人の女王は顔を合わせることがなかったという史実を超えたフィクションの会見、あの何枚ものベールをかき分けてついに果たした対面には二人の女としてのバチバチ感が緊張感を作っていました。 けっきょくエリザベスでチューダー朝は断絶してメアリーの息子ジェームズがイングランドの王になるという結末には、歴史の皮肉を感じさせるものがあります。メアリーのエリザベスへの最期の言葉は「あなたはいつか、私の流した血を思い起こすことでしょう」だったそうですが、苦悩の果てに死の間際に次王に指名したのがメアリーの血を引くジェームズだったのも皮肉です。[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-10-22 22:55:54)

8.  スカイエース 《ネタバレ》 原作は第一次世界大戦西部戦線での英軍の塹壕戦をテーマにした戯曲で、いわば『西部戦線異状なし』の英国版みたいな感じだそうです。それを航空隊の物語に変更して、志願したパブリックスクール生の若者が、部隊配属から戦死するまでの7日のストーリーとして脚色されています。この若者が配属された第76飛行中隊の指揮官は実はパブリックスクールの先輩で姉の婚約者、つまりもうすぐ義兄になる人で演じているのがマルコム・マクドウェル、すでに23歳で少佐のベテラン・エース戦闘機乗りで同窓の英雄というわけです。製作されたのが76年でマクドウェルにはまだ『時計仕掛けのオレンジ』のアレックスのイメージが残っている頃ですが、そんなパブリック・イメージにはそぐわない有能で老獪な戦闘機乗りです。設定は1917年の10月ですけど、史実としては西部戦線の航空戦は激しさを増していて、少数のエースパイロットが奮闘しているけど新人として配属されてくるパイロットはバタバタと撃ち落されてゆき、7日で戦死というのは実情に近かったんじゃないでしょうか。そんなわけでパイロットたちは酒に女と戦闘後はひたすら快楽を求めますが、中には精神が破綻して離脱する者も出てくる始末です。 空戦シークエンスにはレプリカの複葉機が使われていますが、英軍機はけっこう再現度が高かったと思います。それに反して独軍機の方はイマイチどころかイマサンぐらいの代物で、一次大戦の独軍戦闘機は赤く塗装しておけばそれらしく見える、というのは大間違いですぜ。とはいえ空戦シーンはそれなりのものでしたが、英軍機のパイロットが撃墜されたときに全身が燃えながらパラシュートなしで空中に投げ出され、地面に激突するまでをワンカットで見せるところは強烈でした。 『レッドバロン』や『ブルー・マックス』の様な派手な空戦映画を期待すると肩透かしを喰いますけど、塹壕戦と同じように消耗品として消費されてゆく戦闘機乗りにスポットを当てた地味ながらも英国映画らしい佳作でした。ジョン・ギールグッドやクリストファー・プラマーなどの渋い大物俳優たちも脇を固めています。[インターネット(字幕)] 6点(2024-09-18 22:14:46)

9.  プー あくまのくまさん 「くまのプーさん」と言うたらあの一党独裁国家の親玉のあだ名、あの国ではプーさんというワードや映像はネットでは検閲&即削除されるタブー中のタブー。こんな今や物騒なキャラを怪物ヴィランにするなんて英国にあの国から刺客が飛んでくるんじゃないかと心配するが、案の定香港・マカオでは上映禁止だったそうです。 そんな高尚な志を持ってこのキャラを選んだわけもなく(単に原作小説がパブリックドメインになったからだそうです)、単なるC級スプラッター・ホラーでしかない代物ですが、10万ドルの製作費で420万ドル稼いだんだからそりゃ笑いが止まらんでしょ。なんかこの製作陣は味を占めて、続編は造るし『ピーターパン』や『ピノキオ』が暴れるスプラッターまで企画しているらしい。おまけに今年のラジー賞で作品賞はじめ五部門も受賞する快挙まで、でもねこんな便所の落書きみたいなクソ映画を相手にしたら、さすがにラジー賞の権威(?)が落ちるってもんですよ。 プーもピグレットも単にアニマル・マスクを被っただけとしか見えないし、バカバカしいほど単純な脚本の上に画面が暗くてストレスが溜まるし、ほんと褒めるところがないですよ。まあ妙に理屈っぽくないところと類似パターンが思いつかない救いようのないラストがある意味斬新だったので、プラス一点献上いたします。[CS・衛星(字幕)] 2点(2024-08-24 23:13:46)

10.  炎のランナー 《ネタバレ》 自分は前回の東京オリンピックのゴタゴタで、巨大ビジネスと化してしまったオリンピックというお祭り騒ぎにすっかり嫌気がさして興味もなくしてしまったので今回のパリ・オリンピックはいっさい観てもいないが、ここで100年前の同地でのオリンピックを振り返ってみたいと感じて本作を観返してみました。 ハロルド・エイブラハムとエリック・リデルはもちろん実在のメダリストだけど、この映画の中では二人のアウトサイダーと大英帝国とのそれぞれの係わりを興味深い対比で見せてくれます。エイブラハムはユダヤ人移民の出自でリデルはスコットランド人の長老派教会の宣教師、両者とも大英帝国のエスタブリッシュメントからすればイングランドに飲み込まれた異邦人なんです。ハロルドは裕福な家庭で育ちケンブリッジに学ぶ頭脳の持ち主だが、レースで勝つことでユダヤ人というハンデを消したいと熱望する男。英国はロスチャイルド家が爵位を得たりベンジャミン・ディズレーリが宰相に昇りつめたりしているが、ユダヤ人を差別はしないが区別はするというのが英国社会の本音、要は利用できるものはとことん利用しますけど…という感じです。エリックは早く走れることは神が与えてくれた能力で、これを活かして神の御業を称えたい、というコチコチのキリスト者。両人とも、自己の信条をエスタブリッシュメントが求める国家や大学に対する忠誠のためには絶対に曲げないタイプ。対して真のエスタブリッシュメントの一員であるリンゼイには走ることは彼にとって遊びの一つであり、オリンピックでも何の気負いもなく400m走の出場権をエリックに譲る。この三者の生き方の違いを上手に脚色した素晴らしい脚本だと思います。 それにしても100年前のオリンピックの素朴なところと言ったら、100年後と較べると町内会の運動会を見ているような感じです。あとこの大会の参加は44国・地域だったそうですけど、異様なほど有色人種の選手が観れずまさに“白すぎるオリンピック”という感じです。日本はもちろん参加してましたし開会式のシーンではトルコの国旗もチラッと見えましたが、まだアフリカやアジアはほとんど列強の植民地だったころなのでしょうけどね。でもトラック競技で黒人選手がまったくいないというのは、現在の視点ではちょっと異様な感じがします。アメリカ選手団の練習風景では、一人だけ黒人選手がチラッと映りましたけどね。 今やあまりに有名なヴァンゲリスのテーマ曲や海辺を走る映像はもはや映画遺産といって良いでしょう。やっぱ本作はスポーツがテーマの映画としては最高峰なのかもしれません。[CS・衛星(字幕)] 9点(2024-08-21 23:05:37)(良:1票)

11.  オスロ国際空港/ダブル・ハイジャック 《ネタバレ》 この映画、『オスロ国際空港』なんて邦題を勝手に付けちゃってるけど、実は設定上は“スカンジナビア国”という架空の国家が舞台で、どう見てもミエミエなのにノルウェーやオスロというセリフは一切使われておりません、エンドクレジットでは“ノルウェーでロケした”って出てるのにね。そしてダブル・ハイジャックなんてワードはどこから来た?って感じで、そのスカンジナビア国の英国大使館がテロリストに占拠されて大使たちが人質にされて英国に囚われている仲間の釈放を要求する事件が起き、その首都空港に着陸寸前の旅客機がテロリストの仲間にハイジャックされるという事件が同時に起きる。最初は軍用機を用意させて人質とともに脱出する計画だったのに、「降下地点が当局にバレた」ということでハイジャック機を脱出に使うとして仲間が急遽英国から駆け付けたというわけです。なんか腑に落ちないところがあるな、と観てて思いましたがこれがラストのオチに繋がってくるわけです。このテロリスト・グループは冒頭では派手に英国内で爆弾テロをかましますが、これもどう観たってIRAがモデルだろって判りますが、もちろんIRAなんてワードは出てきません。この当時の現実の英国は今では想像もつかないほど物騒な状態だったので、このような配慮というか忖度は必要だったんでしょうね。ストーリーはドキュメンタリー調というか淡々とした語り口で進行してゆきますけど、やはりジェームズ・ボンドから足を洗ったばかりのショーン・コネリーの渋さは光ってます。対するハイジャック犯の親玉はイアン・マクシェーン、『ジョン・ウィック』シリーズのウィンストンの若き日のお姿です。両者の知恵を駆使した駆け引きが見どころとも言えますが、ちょっと意表を突かれるあの結末には、正直なんか複雑な感じが否めなかったかな。まあ派手な見せ場が無いし演出もあまりに単調だったので、こりゃあしょうがないね。フレデリック・フォーサイスあたりがノベライズしたら面白くなりそうな題材だったので、ちょっと残念でした。[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-08-12 22:13:46)

12.  ミッション 《ネタバレ》 これは史実ではあるんだけど、“ローマ法王の斬りこみ隊”の異名を持つイエズス会がなんでカトリック国であるスペインとポルトガルから弾圧を受けたのかが正直良く判らん。これには色んな事情があったんだろうが、大航海時代を迎えて世界を二分するかのような国力を蓄えた両国にとって世俗の問題に口を挟むローマ法王の存在が邪魔になってきたってことなんでしょうか。新教勢力もどんどん拡大していたし、たしかに17世紀以降になるとカトリック=ローマ教会の影響力が爆散していったのは否めないでしょう。物語の語り手となるイエズス会の弾圧命令を伝えに来訪した枢機卿が、神父たちや村民の虐殺をまるで第三者のように傍観するだけの無力な存在なのは象徴的です。 まるでヴェルナー・ヘルツォークの秘境もの映画を見せられた様な壮絶な映像には圧倒されます。とくに二度も見せてくれる滝落ちシーンは息を飲まされます。このシーンは途中からは人形が使われていますが、それでもスタントマンたちからはあわや拒否されそうになったとか、そりゃ無理もないですよね。今作のデ・ニーロは目立たないというか表に出ない抑えた演技に終始していますけど、それでもジェレミー・アイアンズとのコラボには感慨深いものがあります。ロバート・ボルトの脚本は明らかにカトリック教会寄りですが、それでもジェレミー・アイアンズが劇中で何度も強調する“神の愛”には、ラストまで観ると疑問を抱かざるを得ないような構成になっているのは上手い。あくまでわき役でしたが、とても聖職者には見えないリーアム・ニーソンの最後の戦いでの活躍には胸が熱くなりました。音楽はモリコーネで、「自分の仕事の中で、この映画の曲がいちばん好きで誇れる」と生前語っていたぐらいで、たしかに素晴らしかったです。 しかし昔から住民がいる土地に攻め込んで勝手に領土を設定して線引きするスペインとポルトガルは、なんとも非道な国家だったとしか言いようがないですね。ほんと日本は早めにポルトガルやイエズス会と縁を切って大正解でした。その後両国とも急速に国力が衰退して世界に影響を及ぼさない存在に落ちぶれてしまったのは、ほんといい気味だとしか思えません。[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-07-03 21:59:54)

13.  ガンズ・アキンボ 《ネタバレ》 死体役や変な悪役など最近おかしなキャラを演じることが多いダニエル・ラドクリフ、今回は両手にハンドガンを縫い付けられたシザーハンズならぬピストル・ハンズとなってしまいました。“なんでこうなるの?”という無茶苦茶なプロットだが、スキズムなる殺し合いタイマン試合をリアルタイムでネット中継サイトに悪口投稿したら、タトゥーまみれの主催者を激怒させて拉致され人体改造されて試合に無理やり出場させられたというわけです。まあなんか無理くり納得させてくれそうな設定だけど、このスキズム自体が最近日本でも物議をかもしているブレイキングダウンを連想させてくれて、なんかリアル感があります。ラドクリフ君が両手の銃を指代わりにせざるを得ず四苦八苦するところは笑えるが、掌に銃が文字通り釘づけにしただけの雑な改造は観るからに痛そう。対戦相手のこれまたタトゥーだらけの女・ニックスと協力するようになるだろうなって想像つきますが、彼女があんな最期を迎えるとはちょっと予想外でした。平和主義者であるラドクリフ君は基本として逃げ回るだけですけど、ニックスの方は多人数の敵の中に飛び込んでいって全部血祭りにしてしまう、爽快感はあるけどリアリティ無さすぎじゃね?前半のコメディ調がだんだん薄れてゆきシリアスになっちゃうのは、スピード感も失速してしまい残念でした。ラストで「これはラドクリフ君の妄想でした」という夢オチじゃなかっただけマシかな。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-03-11 23:07:38)

14.  マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙 《ネタバレ》 まあ確かにマーガレット・サッチャーは政治家としては毀誉褒貶が激しい人ではあるけど、どう見ても英国は“サッチャー以前/サッチャー以後”と区別できるほど国家として変貌を遂げたことは確かでしょう。そんな人物をメリル・ストリープに演じさせたということは、冗談ですけどそりゃ反則ですよ。正直なところ扮装自体はさほどサッチャーに似ているとは思わないけど、その話しぶりや仕草などはサッチャーそっくりなんだそうです。認知症を患っている引退後のサッチャーと亡霊のように彼女の幻視に現れる亡夫デニスとの対話を通じての回想というある意味オーソドックスなストーリーテリングなんですが、双子の子供のうち娘のキャロルだけを登場させて問題児のマークを出さなかったところはさすがに忖度でしょうか。『鉄の女の涙』という邦題の割には劇中メリルが涙を流す場面は皆無だったような気がしますが、「サッチャーが泣くところなんか誰も観たくないだろ」と考えたかもしれない脚本は正解だったと思います。実際のところサッチャーが公の場で涙を見せたのは、息子マークがバリ・ダカール・ラリーに出場して一時行方不明になった時だけだったそうです。デニス役のジム・ブロードベントとメリルの掛け合いはさすが名優同士だけに見応えがありましたが、その印象が強くてなんか舞台劇を見せられたような感もあります。そういうところが、ある意味でこの映画の弱いところなのかもしれません。 驚くべきはこの映画が製作されたときはまだマーガレット・サッチャーは存命だったということでしょう。公人だったとはいえ、その認知症を患っている姿まで赤裸々に描くとは、腰抜け揃いの日本映画界では考えられないことです。[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-01-13 22:42:08)

15.  クレオパトラ(1963) 《ネタバレ》 “映画史上空前の失敗作“としてその名も高い本作、でも意外なことに世界中で大ヒットしてその年のNo.1の興行収入をあげていますが、20世紀フォックスは製作費の半分も回収できなくて社運が傾いて撮影所を売却する羽目にまで陥ります。当時の日本円で143億も製作費が掛かってたら(現在の貨幣価値では幾らになるんだろう…)、そりゃあ利益が出るわけないですよ、ここまで来ると不条理の世界です。金が掛かった原因は監督の交代から始まってエリザベス・テイラーとリチャード・バートンの不倫スキャンダル諸々で撮影期間が四年近くになったこと、ゴタゴタが続いて苦労して完成させた映画は報われない、というジンクス通りになっちゃったわけです。やはりこの映画で「カネかかってるなー」と唸らせてくれるのは、クレオパトラのローマ入城とクレオパトラが船でアントニウスを訪ねて来るシークエンスでしょうな。入城シーンはあまりの壮大さにバカバカしくなってしまうほど、船なんて巨大なガレー船を建造して撮影しているぐらい、もっとも遠景に映るのはどう見ても撮影当時の地中海沿岸の街並みでしたけどね(笑)。クレオパトラの衣装も豪華絢爛の極み、でもなんか現代風のオスカー受賞式で観られるようなドレスが多かった気がします。そう言えば宮殿内の机やソファーなどのインテリアも妙にモダンな感じだったのも違和感があり、考証的には他にも首を傾げるところがありました。 四時間の長尺ですけど、開幕から一時間余りがカエサルとクレオパトラ編、残りがアントニウスとクレオパトラのストーリーという感じで、リチャード・バートンは前半にはまったく登場しません。そういう面ではカエサル編とアントニウス編ではまったく違う映画の様な印象さえ与えかねないところですが、当初の構想ではカエサル編とアントニウス編は別々の映画として合わせて六時間という企画だったのを一本に纏めたそうです。正直なところカエサル=レックス・ハリソンの実に堂々とした演技が光り、肝心のアントニウス編になると単なるメロドラマというテンションになってしまいます。あとクレオパトラの子供がカエサリオンだけでアントニウスとの間に設けた子供が存在しないかのような描き方は、史実とは大幅に相違しています。バートンはアレキサンダー大王を演じているのを観たときも感じましたが、史劇になると妙に大芝居をするようになって持ち味を殺してしまうんじゃないかな。 とは言え歴代クレオパトラ女優の中でもやはりエリザベス・テイラーは別格、まさにクレオパトラのアイコンに相応しいと思います。当時彼女は31歳の女盛り、脱ぐわけじゃないですがあの豊満な乳には視線が釘付けにされてしまいます。パスカルには「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら…」という有名な言葉がありますが、テイラー=クレオパトラを観ていると「クレオパトラがもし貧乳だったら、歴史が変わっていただろう」と言いたくなりました。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-04 22:24:39)

16.  MEN 同じ顔の男たち 《ネタバレ》 いやあ、今年観た中でいちば訳が判らなかった映画でした。てっきり私は田舎の村に越して来たら村人の男性がみんなクローンの様に同じ顔だったというホラーを予想していましたが、これが外れたような的中したような微妙な映画です。主人公が気が付かなかったように、屋敷の管理人を演じた俳優が司祭を始め登場する村人全てに扮していたなんて、あまりに違い過ぎて気が付きますかね?妙に長髪の司祭からしてマーロン・ブランドそっくりで、唯一「あれって?」と訝しんだのはマリリン・モンローみたいなマスクをつけて現れた少年だけだったし、これはCGで顔だけ付け替えたのかな?まあ統合失調症の患者の頭の中を映像化しただけのストーリーと切って捨てれば身も蓋もなくなっちゃうけど、フェミニストというか男性嫌悪主義者が喜びそうな映画なのかもしれません。クライマックスというか後半三十分はもう???の無差別攻撃状態でしたけど、中盤に裸の男が庭に現れるけど主人公が気が付かないというところだけは、ゾワゾワする恐怖が味わえました。庭に生えているリンゴを食べるところや、とても教会にあるはずもない不気味で卑猥なレリーフ、なんか宗教的な意味づけがあったのかもしれないけど、こちとらにはサッパリでした。[CS・衛星(字幕)] 3点(2023-12-14 22:17:33)

17.  三十九夜 《ネタバレ》 私にはどうしても解せないのは、この映画なんで『三十九夜』というシェイクスピア劇の様な邦題になったのか?ということで、ジョン・バカンの原作小説や後に製作された二本のリメイクも『三十九階段』と(正しく)翻訳されているのに、なんかこうなったエピソードがあるんでしょうかね? ストーリー自体はかなり脚色されているそうですが、これが戦前の映画とは思えないスピーディな展開でなかなか面白い。主人公のハネイ氏については「カナダから来た」という以外は一切情報が提示されずに終わるけど、スパイ事件に巻き込まれてからは出会う人物が男女を問わず怪しげで非協力的なところがサスペンスを高めています。パメラとハネイが手錠に繋がれてからの展開はヒッチコック版スクリューボール・コメディという感じで、ヒッチコックにしてはかなり洗練されていました。“ミスター・メモリー”を使って機密情報を国外に持ち出すという原作にはないアイデアも、なんか突拍子もない気がしないでもないですか、スピーディな演出なのでなんか納得させられてしまいました。小指の先のないボス(ヘタ打ってエンコ詰めされたヤクザか!)と三十九階段なるスパイ組織の細かいところもスルーなので、悪役に対する恐怖が伝わってこないところは難点だったかと思います。[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-10-27 22:33:16)

18.  キャッシュトラック 《ネタバレ》 “ハゲ無双”ステイサムとガイ・リッチー、これが4度目のタッグになるわけですよ。やっぱステイサムはメガロドンなんかと絡むよりも生身の悪人たちを成敗する方がかっこいい!それにしても毎度毎度のハゲ無双&無精ひげ無双、この人の演技プランには役造りという概念はないみたいだ。お話しは単純なんだけどそれをわざと複雑にして見せるいつものガイ・リッチー節でございます。劇伴も重低音を基調にして全体的に重苦しいストーリーテリングで、どこかに茶目っ気やユーモアをねじ込ませる今まで観てきたリッチーの作風とはちょっと違う気もします。章立てを用いる撮り方も彼お得意の手法だけど、さすがに今作ではステイサムの立ち位置というか背景が判りにくいのは難点です。前半で出てくるステイサムに現金ネコばばがバレて脅される女警備員や、襲撃犯のボスの家庭風景をわざわざ見せる、などは後半に繋がる伏線なのが普通だと思うんですけど、そういうところは雑と言うか奇妙な脚本です。私の中ではステイサムは“トム・クルーズやスティーヴン・セガールと違って撃たれたり手傷を負ってボロボロになるガメラ的なキャラ”という位置づけなんですけど、さすがに今回は「これ、絶対に死んだよな」と思いましたがまさか定説通りだったとは、さすがにこれはやり過ぎです(笑)。 ところで、日本ですらキャッシュレス化が進んでいるのに、いくらブラックフライデーとは言ってもキャッシュレス先進国のアメリカであんなに大量の現金取引があるんだろうか?というのが素朴な疑問。まあそれを言っちゃうと、現金輸送車襲撃をテーマにした映画は撮れなくなっちゃうけどね(笑)。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-10-06 23:15:56)

19.  クラッシュ(1996) 私の中では「変態と言えばこの人!」という位置づけなのがジェームズ・スペイダー、その本領を遺憾なく発揮しているのが本作と『セクレタリー』と言えるでしょう。でも本作はスペイダーだけでなく出てくるキャラが全員変態というところが『セクレタリー』とは大きな違いです。だいたいからして、J・G・バラードの原作自体が原稿を持ち込んだ出版社から出版拒否を喰らったぐらいの代物で、それを映画化してカンヌ映画祭で上映したら賛否両論が巻き起こり物議をかもしたというのはある意味当然の成り行き、それにしてもこの映画に“賛”を与えた人がいたってのが信じられない。 ほとんどポルノ映画と間違われそうなほど露骨な描写に加えてさっぱり理解不能な登場人物たちの行動、これはもうどこを褒めたらいいんでしょうかね。バラードはニューウェーブSFの旗手として評価されていますが、このストーリーのどこにSF要素があるというんでしょうかね?車社会の現代を機械文明の行き着いた荒野として呪詛したいのは感じ取れますが、自動車の事故(クラッシュ)がどうやったら性行為と結びついてゆくのかは凡人の理解を超越しています。これはもう、ハッパできまった脳内妄想を映像化しただけの代物、としか言いようがないストーリーでした。[CS・衛星(字幕)] 3点(2023-09-02 23:15:39)

20.  オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体 《ネタバレ》 「事実は小説よりも奇なり」をまさに地で行くような実話の映画化。ジョン・マキンタイヤーの原作ノンフィクションは既読です。登場人物やエピソードはほぼ原作通りなんだけど、コリン・ファレルとケリー・マクドナルドの三角関係や、“マーチン少佐”の本当の姉や彼とそっくりの米軍兵士のエピソードはフィクションです。それにつけても、英国人のスパイや謀略好きにはほんと呆れてしまいますね。 “マーチン少佐”を実在の人物にするための手紙や財布の中身そして恋人の創造まで、もう愉しんでやっているとしか思えないぐらいです。彼ら謀略部隊の親玉である提督の副官があのイアン・フレミングであるのも面白いです。 ジョン・マッデンが監督ですから、もう捻りもない正攻法での映画化という感じですかね。戦争映画なのに兵器や戦闘シーンがほぼ皆無なストーリーなので、コリン・ファレルとケリー・マクドナルドの恋愛模様などを織り込まないと地味すぎるという判断があったんでしょうが、それが上手くいったかというと疑問ですね。作戦が成功するかというハラハラ・ドキドキ感を、もっと強調した方が良かったと思います。そう考えると、もしヒッチコックが現代に生きていて監督していたら、きっと傑作になっただろうな。[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-08-27 22:10:33)

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