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2. コーラス 戦後間もないフランスの田園地帯。それは「池の底」と呼称され、寄宿舎というにはおよそ程遠く、まるで牢獄の様な佇まいをみせている。そこには親との死別あるいは理由あって離れて暮らすことを余儀なくされ、日々寄宿生活を送る少年たちの姿があるのみ。その寂しさゆえ荒ぶ心の拠りどころを得られぬ彼らには、「目には目を」という体罰主義の校長の方針で、その自由さえ叶わない。そこへ舎監としてやってきたのが主人公のクレマン・マチュー。彼は落ちこぼれの音楽家であるが、校長のやり方に反撥し、悪ガキたちに手を焼きながらも、音楽の素晴らしさを教えていくというのが物語の大筋。確かに、かつて何処かで観たような聞いた事のあるようなお話しで、目新しさというものは感じられない。所詮「学園ドラマ」とはいつの時代でも同工異曲で、基本的なパターンは同じということ。しかし描き方によっては感動を呼び興すものがあることもまた事実。まだまだ無邪気さが残る少年たちそれぞれに個性が光るが、もう一人の主人公ピエールを演じるジャン=バティスト・モニエは本作の白眉であり、クールでナイーブな心の表現も然ることながら、なんと言ってもその透き通るような美声にはやはり聞き入ってしまう。一方、マチューをG・ジュニョに演じさせたのはやはり正解で、これが若くてハンサムな男優だと、もぅそれだけでクサい映画になっていたに違いない。初めて教室に入ってくるシーンでの子供たちの挨拶代わりの悪戯を、ウィットで切り返すという、定番ながら彼にしか出せないユーモラスな味というものが感じとれる。また、人生に失敗し身なりも粗末で風采の上がらぬマチューが、ピエールの母親に恋心を抱くも願い叶わず、ペアになった椅子を別の客に持ち去られた後、呆然としている姿が哀れみを誘う。彼にとっては最後のチャンスだったかも知れないだけに、人生のホロ苦さを感じさせる秀逸なシーンだ。ただ、マチューがどこまでも純粋で善良な人間で、校長はどこまでも悪人という描き方は、人間ドラマを底の浅いものにしているし、少年たちの心の叫びを歌声に変えるまでのプロセスは性急に過ぎる。そしてJ・ペラン演じる老成したピエールの回想シーンが、本筋にさほどの意味を帯びてこないのも残念で、バスで去っていくラストに深い余韻が残るだけに余計そう感じる。[映画館(字幕)] 8点(2005-04-22 17:31:48) 3. WATARIDORI 時折挿入されるナレーション以外、鳥たちがひたすら飛んでいるシーンで占められるというユニークな作品。俳優でありこの作品の監督でもあるJ・ペランは「決してドキュメンタリーではない」と言い切る。懸命に羽を動かして飛翔する鳥たち。その“被写体”に接写し“彼ら”と並列しての撮影技術の素晴らしさにより、我々人間が抱く空を飛ぶという感覚を存分に味あわせてくれる。決して大空高くというのでなく、海面すれすれ、あるいは木立の間を縫うようにして飛べるということが素敵なのだ。この作品を作るにあたって、あらかじめ沢山の鳥を調教・訓練し、膨大なカメラテストを経て撮影に臨んだとか。そういう意味においてもドキュメンタリー作品ではなさそうだが、労作である事には違いない。金と時間をかけて作る映画にも、こういうジャンルもあるのだという事を知りえただけでも、観た価値があろうというもの。8点(2003-07-26 23:31:02) 4. スーパーノヴァ(2000) う~ん、なんか凄く期待していたんだけど・・・。ミステリアス・アドベンチャーのいつもながらのお話に終始していて、主人公の男女が予定通り最後まで生き残り(しかも壮絶バトルのあと、赤ちゃんを身篭ってしまうという支離滅裂さ)、彼ら以外はいとも簡単に葬り去られて、見せ場すらない描き方といい、言い出したらキリがないほど出来が悪い。SFXだけではとてもモタない典型的な作品。4点(2001-03-14 12:03:42) 5. こうのとり、たちずさんで 幾つかの美しい印象的なシーンが多い中で、とりわけ河を挟んだ結婚式が感動的なのは、彼らの目を通してワンカットで見せきる、国境というものの無意味さ虚しさを、見事なまでに表現しているからに他ならない。それはまさに、こうのとりに託された国境の消滅への願いである。作品の意味深い内容とその映像の厚みに圧倒されてしまう。9点(2000-11-26 15:34:04)
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