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【製作国 : オーストリア 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. ヒトラー 最期の12日間 僕はヒトラーについて詳しく知っているわけではないので、この映画を見た限りで言うと、ヒトラーは典型的なガキタイプの権力者だったようだ。基本的に、権力者は周囲の人間の予想を裏切ることで権威を成立させる。ヒトラーは成り上がりものだから、ある程度理不尽な振る舞いで周りをビビラセないといけなかったのだろう。この映画が着目している「ヒトラーの人間性」についてだが、自分の周りの人間には優しいが、遠くの人間には冷酷な一面を見せるなんて、「僕は人類を愛せても、隣人は愛せない」と作中で語らせたドストエフスキーとまるっきり反対だぁ。だから僕はヒトラーの優しさって、大人の優しさではない気がした。大人の優しさってもっと想像力をともなったものだと思う。端的に言って、ヒトラーの優しさはガキの優しさだ。だから、ヒトラーが人間的だったというより、ただのガキだったというのが僕がこの映画から受けた印象。[映画館(字幕)] 7点(2005-09-10 10:45:24) 2. ベルリン、僕らの革命 紛れもない傑作だろう。設定が面白いだけでなく、男女の三角関係もとても細やかに描かれていて好感が持てる。映画としては申し分がない。ただし、この映画はメッセージ性が強いので、その点について一言。資本主義を批判する論点として、「金持ちのベンツに追突し、賠償金を払わなくてはならない貧しい」ユーリがでてくる。しかし、資本主義が貧しいものと富めるものをつくりだしている構造は、そもそもユーリ達がやっている「自由恋愛」が愛される人と愛されない人を作り出す構造とまったく同じ論理の上に乗っかっている。資本主義では富めるものと貧しいものが競争によって入れ替わるが、自由恋愛でも愛される人と愛されない人は競争によって入れ替わっていく。もし、友人に恋人を譲る精神を讃美するなら、富めるものにお金を譲り貧しさに耐え忍ぶ精神を持たねばならない。その程度に経済と恋愛は親しい関係にある。 「ドイツ人はユーモアを解さない」といわれるけど、この映画でも笑いのツボは会話ではなく、登場人物のコミカルな行動にある。その点が日本人と似ているので、見やすいのではないかと思う。[映画館(字幕)] 8点(2005-05-08 09:35:20) 3. 恋人までの距離(ディスタンス) もしこの映画に出てくるような刺激に満ちた会話が、フツーの会話としてリアリティーをもってそれほど違和感なく欧米人に受け取られているとしたら(もちろん映画だから少しは誇張されてるんだとは思うが)、西欧人の考える力や知性といったものは非常に強靱だ。日本人は多少むづかしいはなしを人前ではあまりしない。普段は専ら、なにがたのしいとか、友達がどうしたとか、そんなんばっかりはなしている気がする。言ってみれば、情報の垂れ流しと情報に対する簡単な感情の表現しかしてないよな。もちろん、日本人だって人生観を語ったりするだろうが、この映画の二人の会話は、人生観よりももっと普遍的で抽象的なレベルで、なのに「自分」の考えをもっている気がするのだ。普通なら電車が動き出して、それを見送って終わりになりそうだけれど、一人になってからそれぞれ眠りにつく二人を描いているのが心に残った。まるで、一晩のできごとが夢だったんじゃなくて、これからの現実生活が夢なんだみたいな。(もちろん、徹夜して眠いんだろうけど)9点(2005-02-25 17:58:08) 4. マーサの幸せレシピ ほっとできる映画だった。映画から刺激を受けたとか、学んだとかそういうのはないけど、なんか納得してしまった。あと、ドイツ語の響きが新鮮でいい。なかなかドイツ語の映画は観れないから本当に貴重。内容は予想を越えるものではないけど、そのおかげで安心して観れる。7点(2004-12-19 19:49:16)
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