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1. マーターズ(2007)
《ネタバレ》 殺戮シーンと拷問描写、人体破壊のグロさや胸糞具合は業界トップレベルですが、これら蛮行に『理由』を与え物語の体裁を整えたが故に、衝撃度合は弱まった印象を受けます。『理解できないもの』が最恐だと思うので。というより、そもそもホラージャンルの映画でもない気がします。『悪趣味』とか『アングラ』でしょうか。それにしても、最後の主人公の言葉が気になります。もちろん私たちに知る由もありませんが、仮にあの世を垣間見てきたのだとしてもそれは口にせず、奴らに一矢を報いるために考えた『絶望させる一言』であって欲しいです。[インターネット(字幕)] 5点(2021-07-23 18:58:14)
2. マニアック(2012)
《ネタバレ》 警察でも、探偵でも、被害者でもなく、猟奇殺人犯の観点から描かれるクライムサスペンス。しかもカメラは主人公(つまり犯人)の一人称視点。珍しい切り口の意欲作ですし、評価したい気持ちは山々なのですが、イマイチ“乗れなかった”というのが正直な感想です。観客は殺人犯と同一化されるワケですが、ただ単に“視点を共有している”状態。自らが強制的に残虐行為をさせられているようで、苦痛でしかありませんでした。彼が何故猟奇殺人を繰り返すのか、その心情の共有にまで至らなければ折角の趣向が活きて来ない気がします。[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-02-09 20:28:27)(良:1票)
3. マルホランド・ドライブ
初めてのリンチ作品がこれでした。あまりの衝撃に観終わった直後「はぁ~??!!」という言葉を連発しました。頭がジンジンし、正直意味がわかりませんでした。でももう一度観たらわかるような気がしました。何か見落としはないか?何かヒントがあったはずだ!あのシーンが怪しいぞ!!その思いから何度も観直す…リンチの思う壺です。そのさじ加減のなんと絶妙なことか!観客を適度に突き放しつつも決して置いてけぼりにせず、常に「君にもわかるはずだよ」と気のあるそぶりを見せる。まるで恋愛上級者のお姉さんのようです(笑)。からくりがわかってしまえば、もういいやという作品が多いなか、この作品は謎が解けても(正確には謎を解いた気になっても)まったくその魅力が色褪せません。それは、画の美しさ、音楽の素晴らしさと共に、作品を貫くテーマ「切ない愛」を見事に体現したナオミワッツの演技力に負うところが大きいと思います。実際この作品一発でナオミワッツのファンになりました。ただ、多くの方がご指摘のとおり、万人から支持される作品では間違いなくありません。リンチ作品は全般的にそうでしょうが、好きな人にはたまらないが、そうでない人には腹立たしい以外何ものでもないと思います。自分にとっては、映画を観て不明な部分を想像する楽しさを教えてくれた大切な作品です。[DVD(字幕)] 10点(2006-04-15 19:42:32)(良:2票)
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