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【製作国 : イタリア 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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2. 薔薇の名前 《ネタバレ》 私はエーコの原作を読んでいないので、原作とのギャップはわからないが、映画だけでもけっこう楽しめた。あるいは、原作とのギャップを気にせず、映画にのめりこむことができたといったほうがいいかもしれない。 ふだんは本に書かれている“知識”でしかない「宗教論争」とか「修道院」「修道士」などが、“現実”の姿となって眼前に立ち現われると、歴史がリアルに感じ取られ、それだけでまことに興味深い。現代の私たちは蛍光灯のある暮らしだが、当時はたしかに暗い生活だったのだろうなぁ、などと末節の事柄にも思いをいたした。 ラストで弟子と女性の別れが描かれているシーンが蛇足ではないかという意見もあるようだが、私は逆に重要なシーンに思えた。というのは、あれは単に弟子が女性と別れを惜しむということだけではなく、「世俗」との訣別を改めて決意することを象徴した場面として解釈できるからだ。しかもその決意は、「世俗」の甘美な誘惑の味を知ったあとで為されているから、なおさら意味深い。よく見直せば、そのような含意のあるシーンがほかにもあるような気がする。 それにしても、やはりショーン・コネリーは存在感のある役者だなぁとも感心することしきり。原作からは、かなり娯楽化しているみたいだけれど、そもそも映画は娯楽性をたぶんに含んだ芸術なので、私は9点也をささげたい。[DVD(字幕)] 9点(2008-04-18 19:29:01)(良:1票) 《改行有》 3. パッション(2004) 敬虔なキリスト教徒が見たら、いったいどのように受け止めるのか、というのが本作を見ての最大の関心事。メル・ギブソンは、まさにそんなキリスト教徒だそうだが、彼自身どういう意図をもって本作を撮ったのか、それがよくわからない。キリストはこんな苦痛に耐えて民衆の救済を願ったんだぞ、ということ? それとも、キリストといえども人並みに苦しみもしたし泣きもした。決して超人ではなかったと一種の親近感を伝えたかった? あるいはキリスト教黎明期の歴史を実録ふうに描くことで、改めて現在のキリスト教徒たちへ気持ちを深めてほしいというメッセージ? 作品意図が見えてこないので、本作に対する感想は、結局、「だから、何なんだ?」という戸惑いに尽きてしまう。ただ、歴史書では「迫害」という簡単な単語で説明されることの中身が、現実にはこうしたことであったろうという生々しさは衝撃的ではあった。5点也。[DVD(字幕)] 5点(2005-04-13 11:12:54) 4. WATARIDORI 《ネタバレ》 人によって評価がかなり分かれそうな気がするが、基本的に私にはOKだった。何といっても、この映像はお宝というほかない。過去、このようなアングルから鳥たちの営みを見た人類はいないはずだ。つくり手の労をねぎらわずにはいられない。脚色面も、余計なことはいわず、淡々と進行したのがよかった(もっとも、きれいにまとめられすぎている感がなきにしもあらずだが)。まさに鳥たちの目線で鳥たちの驚異の世界に触れることができ、すばらしい映像体験ではあった。 それはそうなのだが、では見終わったあとに、自分のなかに何が残ったかといえば、ほとんど何も引っかからなかったことが気になった。正直なところ、とくに心を揺さぶられたわけでもないし、何かを得たというわけでもない。まるで美味なるシャーベットを食べたあとのように、おいしいのはおいしかったのだけれど、何ら腹の足しになっていないのとよく似ている。何かが物足りない。その何かは、必ずしも鑑賞直後のいま、自分でもよくわからないが、つくり手自身、メインテーマとして鑑賞者に何を伝えたいのかがイマイチ把握できていなかったからではないか、という気がしないでもない。 なお、驚異的な映像の数々ではあるが、いったい、それを得るために何をしたんだ?と気になる面もあった。7点(2004-05-06 00:40:34) 5. ライフ・イズ・ビューティフル 《ネタバレ》 力作であることは間違いない。戦争の現実・悲惨さをちりばめながら、過酷な環境でも貫かれる家族愛が悲しくも朗らかに描かれる。ベニーニも終始熱演を見せてくれる。 が、基本的なところでの違和感が必ずしも作品世界になじみ込ませることをしなかった。それはイタリア人と日本人である自分とのあいだに生じる一種のメンタリティギャップなのだろうか。 誇張されたベニーニの演技、収容所でウソのゲームを続けるという設定、あそこまでドイツ人をコケにする描き方……物語の枠組み自体には共感を覚えても、作品化する際の演出が大味に感じられ、粗っぽい印象につながってしまった。そのためか、私の両目から涙が出ることはなかった(イタリアの人たちは大泣きしたのだろうか)。 不出来な作品だとまでは思わないが、60年代とか70年代のものならまだしも、97年の映画ということからすると、いま少しシナリオと演出に練りがほしかった。 6点(2004-05-04 09:45:15)《改行有》
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