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【製作国 : カナダ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  IT イット “それ”が見えたら、終わり。 《ネタバレ》 この空間は不気味である、この父親は危険である、という特定のムードをことごとく音楽が先回りして告知してくれる。 いかにもこれから何かが起こりますという感じの不穏な音色が高まっていき、サプライズの瞬間にあわせて、 最高潮の不協和音がシンクロして観客を脅かす。押しつけがましく。 このパターンの繰り返しなので最後にはさすがに飽きる。 廃屋の禍々しい雰囲気だとか、貨物列車が走る手前を少年らが一列になって歩くスタンド・バイ・ミー的情景だとか スライド映写だとか、ノスタルジックな感情を喚起させてくる部分もいろいろあるのだが、 虚仮脅しのやたらな連発がそれらの印象を弱めてしまうのである。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2017-11-04 23:52:52)《改行有》

2.  ブレードランナー 2049 《ネタバレ》 恐らく膨大な美術ボードが描かれたのだろう。 その世界観の提示に汲々としている感じだ。本当に160分も必要だったのだろうか。 白い濃霧や雪、黒い闇や波濤、雨に煙って視界不良の世界が奥行きをつくりだすが、 そこに環境音なのかBGMなのか、紛らわしい音響が虚仮脅しのように響くのも仕舞いには飽きる。 前作同様に碧い瞳のクロースアップで始まるオープニングだが、眼球や見ることのモチーフへのこだわりも 相対的に非常に弱く、単なるオマージュに過ぎない。 その冒頭の視線は、ヴァンゲリスのメロディと共にラストで横たわるライアン・ゴズリングの主観ショットにも繋がる よう、工夫するのが妥当かと思うのだが。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2017-10-27 23:31:04)《改行有》

3.  エイリアン:コヴェナント 《ネタバレ》 冒頭に現れるのは、蒼い瞳の超クロースアップ。『ブレードランナー』冒頭のレプリカント:ロイの蒼い瞳と同じである。 加藤幹朗氏の「『ブレードランナー』論序説」が論考した「超時間的存在」たる蒼い瞳の主の説を踏まえるなら、 本作の真の主人公がマイケル・ファスべンダーの演じるアンドロイドであろうことは早々に明白だろう。 高みから紅茶を注ぐ彼が人間を見下ろす冒頭の位置関係と冷徹な凝視は、冬眠機を見下ろすラストまで映像的な韻を踏み続ける。 その割を食うようにヒロインが魅力を欠いてしまっているのも、至極ごもっとも。 序盤で亡くなった船長の形見らしきものを彼女が結ぶシーンからして、ショットを三つも四つもに分割する無意味さに ストレスを感じさせられるのだが、これがアクションシーンとなるとさらに乱雑・細切れになるわけでまるで面白くない。 それでなくともショットが無駄に多いのに。 第一作を再見するとショットの持続が明らかに違っていて、サスペンスのタメがまるで違うのだ。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2017-09-23 04:28:32)《改行有》

4.  ジョン・ウィック:チャプター2 《ネタバレ》 危険な階段落ちや車両との接触、ミラールームの活用など、様々に工夫を凝らして 見せ場をつくっている。 単に発砲数やアクションの手数をインフレ化するのではなく、 静から動へ切り替わる瞬間に向けてのテンションの高まりが重視されていること(特にメトロでのモブ乗降シーン)や、 一貫して科白がごく短く切り詰めているのがいい。 中盤で標的として狙われ始めるシーンの時系列弄り等はただ混乱を招くだけで紛らわしい。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-08-31 00:02:09)《改行有》

5.  メッセージ 《ネタバレ》 暗い天井から窓の矩形へ。冒頭とラストで釣り合わさるショットだが、この矩形は異星人と接触する舞台の疑似スクリーンとも酷似する。 勿論、各国との交流の場となるモニター群とも。 その窓外の湖畔や窓際のベッドの情景は、娘との思い出の場所としても通じ合っている。 その明るい矩形の中で、円形を象るコミュニケーションが為される。 本来ならそれらのモチーフが、大きな物語と小さな物語をパラレルに関連づけるべきだろう。 であれば、もう少しその視覚的な押韻効果とでもいうべきものを突き詰めて欲しいところでもある。 前作ではその浅いフォーカスが後景を効果的に引き立たせたが、本作ではヒロインの心理を中心化しすぎたようである。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2017-06-11 21:19:44)《改行有》

6.  キングコング: 髑髏島の巨神 《ネタバレ》 BGMを伴うヘリの編隊飛行。その中で執拗に強調されるローターの回転運動。空爆。ジャングルの暗闇を染める炎。水牛のイメージ。 無言の原住民。河を下るボート。L・B・ジョンソン。そして「王殺し」。 嫌でも連想されるコッポラ『地獄の黙示録』のイメージの数々である。 中盤でチームが二手に分かれると、南洋版『八甲田山』的な展開かと思わせたりもする。 その割に本家33年版への思い入れが少し稀薄であるのが物足りない。 対戦相手が次第に弱っていく断末魔の細かい動きとか、その死を念を押して確認する動きとか。そうした手の込んだ細部の描写による 映画的リアル感の演出のことである。やたらにピント送りで視線を誘導したがるのも鬱陶しい。 結局は帰還兵のエピソードを以てエピローグとなるが、個々のキャラクターのドラマも半端にすぎる。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-03-26 02:25:32)《改行有》

7.  トリプルX 再起動 《ネタバレ》 馬鹿馬鹿しくて最高。あの映画この映画のパッチワークではあるが、アクションの釣る瓶打ちによる力技でハイテンションを維持する。 だけではなく、華のある女優陣の活躍に負うところも非常に大きい。マッチョな男優陣とのバランスが絶妙だ。 それも見た目だけではなく彼女らそれぞれのキャラクターに合わせたアクションの見せ場も用意されているので、さらに魅力が増す。 温度感知によって、ヴィン・ディーゼルの指の間を通して黒幕を狙撃する女性スナイパーのクールな身のこなしがいい。 ドニー・イェンの立ち回りも勿論、素晴らしい。切れの良いカッティングが彼の美技を引き立てている。 トニー・ジャーが割を食ったが。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2017-02-26 19:46:22)《改行有》

8.  バイオハザード: ザ・ファイナル 《ネタバレ》 無数のコラージュが集積してヒロインの像を象っていくオープニングは、彼女のアイデンティティをめぐるドラマを象徴する。 鏡像の反射を活用すべく設定された美術や道具立ても、分身の主題を強調する為のものだろう。 そうした謎解きはともかくとして、あの手この手のアイデアを駆使したアクションの釣瓶打ちによって、 追い追われるの状況のみを展開していく潔さがいい。 装甲車上、タワービルからピット内の地下エリアへ、装置の高低差のサスペンスを活かした見せ場がふんだんな上、 打撃系のインパクトを強調して組み立てた格闘がパワフルで素晴らしい。「指を切らせて腹を断つ」とか。 各ショットは短いながらもケレンある構図でコンティニュイティがしっかりしているので、速度に同調すればこのアクションは見れる。 ラスト、再びの映像イメージのコラージュによる記憶の補完もまた、何となくゴダールの『映画史』を連想させたりするといえば大袈裟か。 アクション映画の引用コラージュ集とも云えるし。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-01-18 16:26:41)《改行有》

9.  手紙は憶えている 《ネタバレ》 老いと、いわゆる認知症の設定がサスペンスを一貫して持続させる。そこに銃社会という現在的テーマも巧みに絡ませながら戦後70年の時間を 浮かび上がらせる。ウェルズの『ストレンジャー』を思わせるこの題材、語り口を変えつつ引き継がれている。 大戦を生きた世代と戦後世代の対比を強く印象づけながら。 静かに、穏やかにピアノを奏でるクリストファー・プラマーのショット。そのイメージは、ラストの痛切なサプライズと共に 趣を反転させるだろう。[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-11-08 23:26:13)《改行有》

10.  ガルム・ウォーズ 《ネタバレ》 『アバター』等の後では何の新味もない。それは『押井言論』の中で監督本人も認めている通りだろう。戦略もなかったに違いなく、 世界観と意匠だけでは何とも苦しい。技術に関するアプローチも、この内容ならむしろミニチュア特撮のほうが新鮮味とゴージャス感が出たのではないか。 監督自らが常々『ダレ場は必要』論を語るわけだからそこを批判しても仕方ないが、顔面づくしのドラマパートにエフェクト過多のロングショットが時折入り、「急」に転ずるべき格闘アクションはカット割りまくりの手ぬるさなのだから始末が悪い。 女優に興味なさそうなのも相変わらず。 正直のところ、川井憲次氏の映画音楽さえ聞ければOKだから良いが。『GANTS』といい、『009』といい、本編はアレでもエンディング曲だけで 何となくマスターピースを鑑賞したような気にさせてくれるこの方はやはり凄い。 会話中の劇伴は少々鳴りすぎだったが。[映画館(吹替)] 3点(2016-05-26 23:33:46)《改行有》

11.  ルーム 《ネタバレ》 部屋内の様々な家具に順々に朝の挨拶をする冒頭と、順々に別れの挨拶をするラスト。 きっちり釣り合った優等生的な脚本ではあるが、あの頃の自分は・・的なナレーションで回顧するラストの少年の老成ぶりには オトナの作為も強く感じられてしまう。 その脱出劇の宗教的換喩も紛れもなくシナリオの聡明さを示すが、どうもラストの達観した少年像は作り手の観念を具現しすぎているふうだ。 少年の目線として様々な事物や表情が大きくクロースアップされる前半のレンズはわかるとして、脱出後の世界の拡がりが効果的に視覚化されて いたかというと、後半も印象の弱いショットサイズが続くので物足らない。 小さな天窓のスケールから大きく拡がった青空の大きさ。友達とのサッカーで駆け回るフィールドの奥行き。それらへの驚きと感激を少年の目線を通して もっと感じさせて欲しい。 脱出劇では、シーンを状況説明するショットとサスペンスを優先させたか。ここももっと少年の主観に寄り添って欲しいところである。 映画の中盤、赤色灯が舞う雪に濡れたパトカーの車窓越し、水滴で滲んだ母親の像が必死に駆け寄ってくるPOVショットなどが感動的だ。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-04-17 21:52:15)《改行有》

12.  ダイバージェントNEO 《ネタバレ》 この壁に囲まれたエリアに生きる人々という世界観。邦画でも洋画でも最近よく見かけるのは偶然か。 その舞台となるデストピアの細密な描写力がなかなかで、瓦礫混じりの都市の俯瞰などに眼を奪われる。 ヒロインの脳内イメージシーンであることを前提として展開されるビル崩壊やアクロバティックなアクションにサスペンスなど無いが、 その瓦解のスペクタクルで乗り切ってしまう。 そのイメージの中で、髪を切ったシェイリーン・ウッドリーがその澄んだ瞳と、凛とした美しい表情をみせる。 ロベルト・シュベンケ監督となって、120分を切ったのもいい。前作からの説明もそこそこにドラマは進むが、把握には困らない。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-10-25 20:31:40)《改行有》

13.  ビッグ・アイズ 《ネタバレ》 ゴースト・ペインターが晴れて陽の目を見るという物語ならば、 もう少し画面の明暗、あるいは光と影を以て語って欲しいところである。 法廷内の入射光、判決後の正面玄関シーンなどは特にそうだ。 逃亡先のハワイの明るさなどにしても、雑多なエピソードにしても 実話をなぞることに拘りすぎている感がある。 絵画の映画は、出来るだけ静止した完成品ではなく 画家が絵筆を動かす様や、変化していく筆跡でもって 見せて欲しいところでもある。[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2015-04-17 23:56:39)《改行有》

14.  エレニの帰郷 『カサブランカ』や『嘆きの天使』などは少々サービス過剰かとも思う。 米国マーケット他をかなり意識したのか、どうか。 濃霧の中、抱き合うイレーヌ・ジャコブとウィレム・デフォーの周囲を 旋回しかけるデ・パルマまがいのカメラなどには冷や冷やしてしまいそうになる。 被写体サイズの大きさも有名俳優起用によるものだろうが、 そうした大御所俳優らを配しながらも曇天への妥協の無さは一貫している。 ブルーノ・ガンツの乗った船が橋梁をくぐると、彼に影が落ちスッとシルエット可する ショット。その黒と彼を包む曇天の鈍い白が異様な迫力で迫ってくる。 夜の国境検問所、暗闇とそこに浮かびあがる人物に当たる照明の加減も素晴らしい。 シベリヤの工場群の吐きだす白煙、ジグザグ階段の造形などもアンゲロプロス ならではの壮観であり、ロングテイク内での転調(パイプオルガンの演奏、 警官隊の突入など)も驚きこそないが、楽しめる。 [DVD(字幕)] 7点(2014-09-12 16:06:54)《改行有》

15.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 敵方の動きを想定した訓練機器に何度も激しく弾き飛ばされるスタントも トム・クルーズ本人がチャレンジしているのだろう。 その果敢なアクション魂が彼への好感度を一層高める。 重火器装備で動きやスピードが制限されかねないスーツを纏いながら、よく動く。 反復学習によって、練度を上げていく主人公のアクション。 その予測動作とリアクションの面白さを、例えば一連の長廻しショットの中で 捉えていくなどすれば、よりキートン的な活劇になっただろうに。 この映画では、それがカッティングのリズムの面白さに留まっている。 その意味で、火器としての見せ場も少ない上、 トム・クルーズの動きを鈍重にしてしまうスーツはさして映画に貢献していない。 その装備を外し、肉体アクションが弾むべきクライマックスが 大状況の物語の側に収斂し、失速しているのも惜しい。 [映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2014-08-13 15:06:59)《改行有》

16.  クロエ(2009) 《ネタバレ》 フルショットで撮られたジュリアン・ムーアが携帯電話で話し出すと、 相手方のアマンダ・サイフリッドの声も不自然なほど鮮明に聞こえてくる。 違和を感じた瞬間、カメラがパンすると同室に彼女が入り込んできていた事 が判明するという、そういったさり気ない音響の仕掛けが随所で巧い。 人物の背後からのライトを中心に、複数の光源を用いて 女優の金髪の輪郭線と瞳とを妖しく美しく輝かせるライティングの緻密さ。 拡散する影の動きも画面を重層化させて見事である。 手前の人物と、背景の窓枠・額縁・鏡・スクリーンを的確にレイアウトした構図など、 ショット一つ一つが官能的に決まっている。 見るものの欲望の投影たる鏡・窓ガラス。そこに幾度も映し出される ファム・ファタルとしてのアマンダ・サイフリッドは「虚像」の視覚的隠喩である。 『上海から来た女』を始めとする鏡の映画史に倣えば、 映画の構造上のクライマックスは、「砕け散る鏡(ガラス)」以外有り得ないことは 中盤には明らかになるだろう。 その映画的終結というべきスローモーションも美しい。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2013-07-17 23:09:54)《改行有》

17.  ボーン・レガシー 《ネタバレ》 序盤、二階建てのレイチェル・ワイズ宅の外壁を身軽に登ったジェレミー・レナーが、 階上の採光窓を蹴破って二階廊下の侵入者を拳銃で狙撃する。 家屋の構造と空間を活かした、アクション映画らしきアクションは後にも先にもこの1ショットのみと云っていい。 それ以外は、前三部作を踏襲した高速カット割りがことごとく映画の運動を殺す。 マニラロケによる車線無視の乱雑なカーチェイスも頑張ってはいるのだが、 そこで終わりでは締まらない。 少しは徒手格闘の見せ場も無くては、敵暗殺者の脅威が際立たないだろうに。 何よりも、延々と続く近視眼的なアップの連続、その芸の無さが耐えがたい。 [映画館(字幕)] 3点(2012-10-21 23:06:17)《改行有》

18.  エスター ピーター・サースガードの役柄が建築デザイナーであることを活かしたツリーハウスや ガーデンルーム、中央に階段を配した印象的な居間、あるいは凶器となる工具 (バール、万力)など、セットの高低と小道具を巧みにアクションに結び付けている。 その死角を強調した居住空間は秀逸なカメラワークと共に、 窃視の視線と盗み聞きのドラマにも効果を発揮する。 併せて、「話せない」こともまた視線の強度とサスペンスを生んでもいるだろう。 それだけに、インターネットはともかく携帯電話の安易な利用はドラマ的に少し勿体ない。 しかし、短いながらも強烈なインパクトのあるショットの数々が要所要所で利いている。 冒頭の逆光シーンの夢幻感。 ヴェラ・ファーミガがベッドで童話を語って聞かせる、その手話の身振り。 バックで暴走する車を内側から捉えたショットの恐怖感。 割れた鏡に映るイザベル・ファーマンの分裂した姿。 その顔に残るアイシャドウの黒。 公開バージョンのラストは、企業のシステムによって選択されたのだろうが、 監督が本来使いたかったのは、「割れた鏡」へのこだわりからしても 恐らく別バージョンの方ではないかと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-09 21:59:08)《改行有》

19.  アンノウン(2011) 《ネタバレ》 リーアム・ニーソンがパスポートの入ったバッグを空港に置き忘れるのは、ホテルのカウンターでジャニュアリー・ジョーンズだけがチェックインするのを監視カメラが捉える状況を作り出すというあくまで単純な作劇上の必要性から逆算した設定であり、その彼女が爆弾を止めようとして失敗するのも、届かない手のサスペンス(前半の鋏と照応)と爆破のスペクタクルを構成するというシンプルな映画的要請からくるものである。 フィクションに囚われ「<らしさ>とか<首尾一貫性>とか<心理>とかにばかりこだわる観客」(ヒッチコック&トリュフォー「映画術」)にとっては、単にキャラクターの愚かな行動という見え方でしかなくなるのだが、ジャウマ・コレット=セラ監督はそうした<らしさ>にも<首尾一貫性>にも<心理>にも拘ることなく、ひたすら状況設定とサスペンス感覚を核として映画を見せていく。 画面の意匠のみならず、そうした作法自体が「映画術」の忠実な踏襲として芯が通っている。 曰く、「マクガフィンには何の意味も無いほうがいい。」(ヒッチコック) 曰く、「映画作家は何かを言うのではなく、見せるだけだ。」(トリュフォー) 鏡面を使った看護師瞬殺シーンの絶妙な構図。アフリカ系タクシー運転手の亡骸に当たる照明。 その状況の秀逸な見せ方ゆえに、ブルーノ・ガンツ、フランク・ランジェラらは勿論、僅かな登場シーンしかない端役キャストに至るまで個性があり、そのいずれもが印象強い。 鏡面に映る二人の虚像を破砕するリーアム・ニーソン。その破片を握りしめる右手と、立ちすくむダイアン・クルーガ―の構図。 爆発による停電でモノトーンとなった画面に漲る一瞬の緊張と、交感する二人の表情がいい。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-22 23:46:06)《改行有》

20.  エンジェル ウォーズ 《ネタバレ》 妄想なのだから、架空のカメラワークでも、物理法則無視でも、誇張アクションでも良いのだが、その肝心のアクションにいわゆる「ツメ」「タメ」といったアニメーション的ケレンもハッタリのセンスも衝迫力も感じない。 手垢塗れのスロー・クイックモードを濫用して奇を衒おうとするのだが、動作の中で施すべき箇所を取り違えているように見える部分が多々ある。だから、殺陣アクションがメリハリも快感も伴わない。 というより、そもそもシチュエーションに危機感もなければ痛覚の演出もないから、どうでも良くなってくる。 当然ながら、ヒロインがコックの喉元にナイフ一本を突きつける厨房シーンのほうがまだアクションとしてのスリルがある。 意匠とイメージ先行で、デジタルエフェクトの陥穽に嵌っているというべきだろう。 図面を必要とする程の複雑構造の病棟なら、その建築物の空間的ディティールをアクションや芝居場に活かすべきだろうに。 火炎も脱走経路も印象が極めて薄い。 [映画館(吹替)] 4点(2011-05-07 16:34:52)《改行有》

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