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2. ゴーストライダー2 怪力でヘリを振り回したり、バイクが壁を垂直に登ったりといったバカバカしい見せ場のオンパレードにはグっとくるものがあって個人的に『1』は嫌いではないものの、一方であまりの世評の悪さに続編は諦めていた『ゴーストライダー』ですが、世界が『アベンジャーズ』や『ダークナイト・ライジング』に夢中になった2012年にしれっと復活。物語を無難にまとめる力はあるが、前作をそれ以上のものにはできなかったマーク・スティーブン・ジョンソンは降板し、代わって『アドレナリン』シリーズのバカコンビが監督に就任。さらには、アメコミ番長デヴィッド・S・ゴイヤーがメインライターを務めるなど、個人的にはなかなか熱いメンツで固められていて、「ひょっとしたら『ブレイド』以来の突き抜けたB級アクションが出来上がるのでは?」という密かな期待もあった本作ですが、出来はまぁまぁといったところでした。。。 007を思わせるオープニングから、アニメーションを用いたタイトルバック、ゴーストライダー再登場までの流れは完璧。優秀なクリエイター陣の手腕は序盤で一気に披露されるのですが、良かったのはここまで。本筋に入ると映画は一気につまらなくなります。世界の存亡を握る子供がいて、その子を追う巨悪がいて、悪と同等の力を持つ者が子供のボディガードになる。『ターミネーター2』以来、何度見たか分からないほど陳腐な物語が何の捻りもなく提示されるので、少なからずガッカリさせられます。さらには、子供が悪の手に渡ればどんなに恐ろしいことが起こるのかという煽りが不足しているし、追っかけに絡んでくるキリスト教勢力の背景の説明も不十分(耳なし芳一状態で出てきたクリストファー・ランバートの無意味ぶり)。敵が異常に弱くて、勝つか負けるかのスリルが味わえないという前作の欠点は本作においてもまるで改善されておらず、『ダークナイト』や『マン・オブ・スティール』の脚本家の作品とは思えないほどに話は隙だらけです。。。 コンビ監督はスリルとユーモアのバランスを整え、それなりに面白い見せ場を作っているものの、予算制約もあって前作のようなド派手な見せ場は見当たりません。インタビューではさんざん前作の悪口を言っていましたが、前作と比較して見違えるほど良くなった部分はなかったように思います。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2013-10-17 00:35:38)《改行有》 3. ウェイバック -脱出6500km- 《ネタバレ》 共産主義国家を地獄として描いている上に、独立国家だった時代のチベットが登場することがネックになったのか、世界的な巨匠の最新作であるにも関わらず完成から日本上陸まで2年も寝かされた挙句に、ロクな宣伝もなく捨てるように公開されてしまった不運な映画ですが、肝心の内容はメチャクチャによくできています。『マスター&コマンダー』でも歴史考証にこだわりまくったピーター・ウィアーが、ナショナルジオグラフィックの協力の下に製作した映画ですから、とにかく映像の迫力や説得力が段違い。さらには暑さ寒さや飢餓感・疲労感の表現も素晴らしいレベルに達しており、観客も過酷な旅を追体験することができます。。。 ドラマの構成も非常に自制的かつ良心的であると感じました。露悪的な描写は控えめだし、追っ手とのアクション等の娯楽的な要素もほぼ排除されており、グループ内での駆け引きや裏切り等も一切なし。意志の力で過酷な大自然に挑む人々の姿のみがフィーチャーされており、一秒たりとも企画の趣旨から脱線することがありません。さらに、ドラマの着地点も良いと感じました。主人公たちはゴール手前でチベットの優しい人々に出会い、「これからは厳しい季節になるから、しばらくここで休んでいきなさい」との好意を受けます。ボロボロになっていた仲間達はこの親切に甘えようとするものの、主人公だけは「ここで足を止めれば、ゴールを目指そうとする自分の意志が負けてしまって、二度と動けなくなる。だから僕は休まずに旅を続ける」と主張するのです。決して激しい口調ではないし、ドラマティックな演出も施されていないのですが、それでも内面に燃えるような意志を感じさせるこの場面には、思わず胸が熱くなりました。。。 以上、全体としては非常に優秀なのですが、細かな点では問題もあります。まず、上映時間を短くするためか序盤を詰めすぎているためにキャラクターの紹介場面が不足しており、旅の前半では誰が誰だかわからないという混乱が生じています。また、製作費の関係か、最大の難所であるはずのヒマラヤ越えがかなりアッサリとした描写に留められているため、尻切れトンボの印象を受けました。。。 ちなみに、本作は実話であるとのテロップが冒頭に出てきますが、原作の内容については疑義が指摘されており、これはフィクションとして観るのが正解のようです。[DVD(吹替)] 8点(2013-04-04 00:19:38)《改行有》 4. ボーン・レガシー 《ネタバレ》 アクション映画としては程々の出来なのですが、ボーンシリーズの新作にして、『ボーン・アルティメイタム』の続編という高いハードルは超えられていません。一部に拒否反応のあった前作までの手持ちカメラ&細切れカットは本作より不採用となり、アクションはかなり見やすくなっているのですが、見やすさと引き換えに映画のルックスは平凡なものとなっています。本作を観れば、グリーングラスの演出がいかに映画全体の印象に貢献していたかがわかります。。。 新たな主人公アーロン・クロスの設定は面白いと感じました。少年院上がりで帰る家がないからと工作員に志願するも,当初は採用基準を充たしておらず,リクルート担当者のお情けで工作員となった人物であり、現在は訓練生の立場にあります。ヒロインであるマルタを助けに現れた理由は「好きだったから」という青臭いものであり、完璧な工作員だったジェイソン・ボーンとのコントラストとして未熟な面が強調されています。その設定は戦い方にも表れていて、常に逃走経路を確保した上で敵の二手先三手先を読んで行動していたボーンに対し、クロスは基本的に勢い任せで、敵に先手を取られては袋小路に追い込まれることもしばしば。ボーンがマリーの絶対的な保護者だったのに対し、クロスはマルタと協力しながら危機を乗り越えるという関係性となっています。この新機軸は良いのですが、問題なのは、これを演じるレナーとワイズが歳をとりすぎているということ。『ボーン・アイデンティティ』に出演した時点のデイモン(30歳)よりも若い俳優を起用すべきだったのに、ふたりとも40歳を過ぎているのです。また、総合的にはボーンに劣るにしてもクロス特有の強みも作っておき、その一点突破で危機を乗り切っていくという構成にすべきだったのですが、これがないために、ただ主人公が弱くなっただけという結果に終わっています。。。 前作までにあった殺伐とした空気も、本作においては希薄となっています。よく喋るレナーとワーワー喚くワイズの中年コンビは、ボーンシリーズの続編というよりも『ナイト&デイ』の焼き直しといった風情です。薬剤の投与によって工作員が強化されているという設定は『キャプテン・アメリカ』か『ユニバーサル・ソルジャー』かという安っぽさだし、後半に登場する殺し屋には迫力や凄みがありません。エンディングに流れる”Extreme Ways”の歌詞が完全に浮いていました。[映画館(字幕)] 6点(2012-10-01 11:27:52)(良:2票) 《改行有》
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