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181.  トランスフォーマー 監督の人選はある意味正解だったのでしょう。「ドラマなんか期待せずに迫力映像を楽しめ!」というはっきりしたメッセージになっています。そのとおり、圧倒的な映像はさすがでしたが、画面がなんだかゴチャゴチャしすぎで疲れました。とくに変形シーンは、映画ではゴシャゴシャゴシャと1秒もかかりませんでしたが、個人的には、ガシャーン、ガシャーンと各パーツが動くのが見たかったなあ。変形中に攻撃されるやんけ、というお約束のツッコミを受けるとは思いますが・・・まあ、どうぜ大金つぎ込んでおバカ映画つくるなら、それくらいやってもよかったのではないのかなあ・・・と。あと、冒頭に期待しないといいましたが、ストーリーは絶望的につまらないです。ロボットのいないシーンをコンパクトにして2時間以内におさめるべきでした。最後に、本当に余談ですが、この映画を見るまで、ぼくは、「トランスフォーマー」と「ゴールドライタン」を混同して覚えていたようで、途中まで「嫌煙社会だし、金色のライターじゃしょぼいから、勝手に主人公を車に変えやがったな。ゴジラもそうだったし、まったくハリウッドめ・・・」と思ってみてました。ハリウッドさん、ごめんなさい。[地上波(吹替)] 3点(2009-06-21 09:19:29)(良:1票)

182.  三度目の殺人 《ネタバレ》 「三度目」「十字架」「カナリア」「裁くのは誰?」「器」などなど、あれこれメタファーを盛り込み過ぎの感はあったし、俳優みんなオーバーアクトな感じもあって、見終わったときはお腹いっぱい。いつもの是枝監督作と比べると「思ってたのと違う」感もあった。その上、サスペンス風な味付けなので、「犯人」「動機」「真相」みたいなところにも関心が飛んで、さらに落ち着かない。ただ、あとでじんわりじんわりと、作品の味が伝わってきて、思ってたのと違ったけど、これはなかなかよかったのでは、と思うようになった。何より、最後の「器」がいい。結局、登場人物たちはみんな役所さん演じる三隅に、自分が思う犯人像を重ねていて、それを彼は「演じて」いるに過ぎない。彼が力強く自分の意志を訴えているように見えるシーンでも、彼の目は「からっぽ」だ。それを考えると、最初は苦手だなと思った役所さんのオーバーアクトも説得力を持ってくる。裁判をめぐるあれこれの表現は、自分は昔近い人に関する裁判を数回傍聴したことがあって、そのとき「裁判なるもの」に感じた違和感を、すごく適切に表現してくれた気がする。裁判は「真実」を明らかにする場ではなく、起こってしまった「アノマリー(非日常)」を日常世界へと回収するための共同体儀礼である、というのは言い過ぎかもしれないが、そういう側面が見事に描かれていた。これは、米国産の量産される裁判モノにはない、是枝さん的な視点でとても面白い。「モヤモヤ」する映画であることは間違いないが、そもそも裁判で「スッキリ」すること自体への違和感というか、そこを見事に突いた作品だと思います。[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-10-11 11:54:58)(良:1票)

183.  ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女 《ネタバレ》 子どもが想像する世界を映像化したような作品。そう思えば、多少都合良すぎる展開もまあまあ許せる。ただ、その映画を30歳も過ぎた人間が見て楽しかったかといえば、ノスタルジックな感情は抱いたものの(とくにクローゼットの奥に未知の世界が広がるっていう妄想・・・)、やっぱり面白くはなかった。自分が子どもの頃に見ていれば、そこそこ楽しんだろうなとは思うけれど、やっぱり心に残る映画にはならなかったと思う。そういうタイプの作品。場面設定やキャラクターは魅力的だったのに、ちょっとした展開や見せ方に失敗しているように思う(とくに、魔女の最期をちゃんと見せなかったのは大きな間違いだと思う。「子ども向け」でもちゃんと見せるべきでしょう)。「子ども向け」だから面白くないのわけではなく、ただイマイチなファンタジー映画なのだと思う。[地上波(吹替)] 4点(2009-05-20 00:21:16)(良:1票)

184.  ニューオーリンズ・トライアル 意外に高得点続出だったんですね。演出と脚本は少しテンポが悪かったように思いました。主人公二人をミステリアスに仕立てようということだと思うんですが、陪審員に選出された後に落ち合う2人がいかにも「なにかたくらんでそう」な悪人風だったのに、ラストの裁判後の2人は急に善人になってしまうのも、最初にプロット(or観客だまし)ありきで人物としての掘り下げができていない演出のように思えました。ラストも、結局陪審員を「操作」したのかどうかはわからずじまい・・・。実は「操作」したわけでなく、最後は陪審員の良心に委ねられたのだと解釈しても、肝心の部分で「人間の良心」に頼ったのだとしたら、ヒューマン・ドラマとしてならOKだけど、知的スリラーとしては失格なのではないかと思います。そのへんの演出上のバランスの悪さが目立って、見終わってもなんだかモヤモヤしました。とはいえキャスティングは見事でした。グリシャムの原作も俳優たちの演技もよかっただけに、このモヤモヤ感が残念。 5点(2005-02-03 22:19:17)(良:1票) 《改行有》

185.  エンド・オブ・ホワイトハウス 《ネタバレ》 大ざっぱな勢いだけで最初から最後まで押し切ったアクション映画。ここまで「伏線」というものを無視した映画も珍しい。冒頭の自動車事故、ホワイトハウスに詳しい息子、妻との小さなすれ違い、大統領夫人を救えなかった主人公、主人公と現役シークレットサービスとの微妙な関係、「私がコードを言わなければいい!」(笑)などなどの要素はほとんど全く顧みられず、それを示唆したり想起させるシーンもほとんどないまま、とにかくその場の思いつきの行動ですべて進んでいく。過去の事故はテロとつながっているとか、息子は絶対どこかで人質になりながらも事件の解決の鍵になるとか、最後にどうやって大統領からコードを聞き出すのかとか、そういう積み上げられた問いの斜め上をひたすら突き進みます。冒頭のホワイトハウス侵入シークエンスからして、ほとんど正面突破に近いやり方で、ある意味、ここにこの映画の全体のトーンが集約されていたのかも。また肉体派で行くんだったら、たとえばテロリストの殺され方にいろんなバリエーションを用意するみたいな工夫もあってもよかったと思うけど、それもなし。それでも何とか見られたのは、わかりやすい敵役さんの好演とジェラルド・バトラーの容赦ない殺戮マシーンぶりで映画に「勢い」があったから。観客もそれに巻き込まれるように映画の世界に入れればいいけど、途中で何か疑問に思い始めると耐えられなくなる、そういう映画です。[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-11-20 22:43:29)(良:1票)

186.  バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生 《ネタバレ》 もうザック・スナイダーには雨と夜を禁止にしたい。バットマンが主人公だから夜主体になるのはしょうがないし、ノーラン版よりはアクション・シーンも何が起きているかはわかった。けど、こうも終始雨と夜のシーンばっかりだと、さすがに見ててうんざりくる。一度前に見て、まったくダメだと思ったのだけれど、『ワンダーウーマン』見て、あらためて見てみたくなって再見。でもやっぱりダメなものはダメだ。娯楽大作のはずなのに一見さんお断り感満載の回想やら夢やらのシーンを支離滅裂に詰め込み、登場人物の動機はどれも「まあ、わかるけど、そんなに怒らなくても・・・」みたいなのばっかりで感情移入もできない。スーパーマンとバットマンのスケールの違いが、悲しいくらいに物語のバランスを崩しているし、レックス・ルーサーは劣化版ジョーカーでしかないし、最後のアイツに至っては、もう笑うしかない。ワンダーウーマンはめちゃくちゃいいが、この映画で一番かっこいいのがワンダーウーマンっていう点で単体の映画としてはダメだろう。それから、マーベルにも言えることだけど、映画の総予告編化っていうの、いい加減にやめてほしい。いつから映画にとって大事なのが、完結した1つの物語を楽しむことよりも、次回作を見にいかせることになったのだろう。次回作見ても、どうせそれは次々回作の予告編でしかなく、永遠の予告編ループで観客が飽きたら、きっとあっさりと打ち切られるんだろう。マーベルは、それでも単体で楽しませることがある程度できているからましだけど、この映画は絶対にダメだ。ワクワクするわけでも、へえーっと考えさせられるわけでもなく、ただ陰鬱な気分になるだけの夜と雨ばっかのヒーローものを何作もみんな見たいんだろうか。[CS・衛星(字幕)] 3点(2017-09-15 20:56:56)(良:1票)

187.  インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 《ネタバレ》 映画がはじまって、パラマウントの山ではなくディズニーの城で始まったときに嫌〜な予感を感じたものの、娯楽映画としては思った以上に楽しめた。とくに第1幕。CGの若返りインディは不気味ではあるけれど、アイデアとユーモアに満ちたアクションの連続。そう、これこれ、これがインディアナ・ジョーンズという展開で期待は高まる。そして、1969年のインディアナ・ジョーンズ。実は今作で一番期待していたのは、「1960年代を生きるインディ」をどんなふうに描くのか、という点でした。何しろ、時代は公民権運動の熱気が冷めかけたニクソン政権のころ。人種平等の夢は小さくしぼみ、それどころかベトナム戦争でアメリカの正義や理想がどんどん陰りを見せた時代。そして、第三世界からは欧米の植民地主義への反発が高まった時代。インディたち考古学者が各地の「お宝」を発掘し、ロンドンやらワシントンやらの博物館に収める行為も、文化の収奪として批判されはじめた時代。こんな時代にインディアナ・ジョーンズが過去の自分の行いを振り返り、どう折り合いをつけていくのか。そんなことを期待していた・・・・。もちろん、そんな難題に本作がまともに挑むとは考えていなかったけど、『ウエスト・サイド・ストーリー』で独自の21世紀版を作り上げたスピルバーグの製作であれば、何かそういうスパイスが効いた一作になってるのではないか、と微かな思いを胸に劇場へ。 残念ながら、そうした関心は本作の製作者には共有されていなかったようです。それは、せいぜい60年代の若者文化についていけない、さえない老人としてのインディの描写に反映される程度であり、むしろインディはそんな「新時代」には背を向けて「元ナチの科学者」との秘宝争奪戦にのめり込んでいく。インディは物語中、何度も何度もフォラーを「ナチ」と呼び、そう呼ぶたびに彼の中にエネルギーが満ちていき、どんどん生き生きとしていく。結局、彼は「アメリカが正しいと信じられた」過去の世界へと向かっているよう。1969年の変わりゆく世界を背に、そこだけが30年前の世界であるかのような冒険が続き、最後には考古学者が夢にまでみた世界へ・・・。いっそのこと、そのまま帰ってこない、という手もあったかもしれないけれど、NYに戻ったインディの前にはもうひとつの「過去」との再会があり、物語は大団円で幕を閉じました。結局、本作のなかのインディは最初から最後まで「過去にとらわれた人」でした。その姿は、かつて夢中になった作品の十数年ぶりの新作を観にせっせと映画館に通う、私のような観客にも重なっていたようで、胸に苦いものが残ったまま劇場を後にしました。 というわけで、たぶんスピルバーグが製作から降りたのも、本作のあからさまな過去への固執ゆえでしょう。同じものをもうひとつ作るんだったら自分が作る意味がない。『クリスタルスカルの王国』は難点は多々あれ、新しいものを作ろうとする意思は感じましたが、今作に新たに彼がメガホンを取る理由はなかったのでしょう。まあ、ちゃんと終わらせるだけでも大変なことだし、過去を愛したままそっと幕を閉じるための一作としては、よくできていたのではないかと思います。[映画館(字幕)] 5点(2023-07-21 22:08:32)(良:1票) 《改行有》

188.  誰も知らない(2004) やられた。自然光や日常会話的な台詞まわしなどの手法が、『ワンダフル・ライフ』のようなファンタジーにはハマっていたけど、この映画のストーリーにはちょっとリアルすぎて前半辛かった。けれども、後半は一気に印象が変わった。これは、単なる子どもを題材にした感傷的な話ではなかった。あの子どもたちの生活のように、この大人の世界の論理の隙間に「子どもの世界」が存在しているということが普遍性を帯びて見えてくる。自分の子ども時代の、些細な喜びとか、残酷さとかの「感覚」を久々に思い出した。それを可能にさせた是枝監督の演出も子どもたちの演技もすごい。前半は、ちょっと「あざといかな」と思った演出も、後半には見事なまでに映画の世界と一体化していた。これはたぶん、演出というよりは、子役たちのリアルな成長なんだろうなあ。あと、YOUのキャスティングもすばらしい。[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-05-16 01:44:01)(良:1票)

189.  清須会議 某大河ドラマを見ていたので、かなり混乱してしまったけど、それはまあこちらの事情。某大河ドラマで三谷時代劇に慣れたこともあって、思ったよりは楽しめた。ただ、こちらはオールスターキャストが完全にあだになってる。劇中、役名ではなく役所広司と佐藤浩市と妻夫木聡とかおなじみの人たちが、おなじみのコメディ演技でなんかドタバタ言ってるようにしか見えない。そのなかでちゃんと「秀吉」だった大泉洋は見事。この人で本当にこの映画は救われた。秀吉の狡猾さ、人間的魅力、エネルギー、名古屋弁(笑)まで、正直こんな作品にはもったいないくらい、しっかりと演じていた。某大河とのギャップも吹き飛ばす快演でした。三谷さんの映画的演出力の欠如はあいかわらずで、会議や根回しのシーンの会話劇は面白いのに、あいだに挟み込む蛇足シーン(「旗取り」やら走る滝川一益やら)でテンポを崩し、大勢が決したのにダラダラ続くエンディングなどは、豪華キャストに見せ場を1人ずつ設けろという契約でもあるのかと思えるくらい残念だった。[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-12-26 10:03:15)(良:1票)

190.  ちはやふる 上の句 《ネタバレ》 よくできた青春映画の良作。荒い部分もあるけれど、序盤から後半にかけての話のバランスがとてもいい。5人のキャラクターも立っていて、それぞれにしっかり感情移入できて、最後にしっかりと盛り上がる。2部作の前編とは思えない完成度。また、本作のすばらしい点は、「金持ちでイケメン」という(個人的には)一番感情移入しにくい太一の物語をとても丁寧に掘り下げていること。「卑怯者」の自分を許すことができない彼に勝たせるには、本作のクライマックスは最良の筋書きだったと思う。彼に感情移入できたことで、一気に物語に入っていけて、太一の目線から見えるチーム、太一の目線から見える千早の姿を、一緒に眺めることに成功していたと思います。広瀬すずの意外なコメディエンヌぶりも、セリフの間や思い切った変顔(寝顔)演技にしっかり現れている。肉まん君も机君も上白石さんもみんなが魅力的。実力者の若手俳優たちが、しっかり練り込まれた脚本を楽しそうに演じているのが伝わってきて、こちらまでよい気分になれる一作でした。[DVD(邦画)] 7点(2017-05-15 13:59:00)(良:1票)

191.  新感染 ファイナル・エクスプレス 《ネタバレ》 父娘ものとゾンビ映画の組み合わせというのは、個人的には最悪で最高だ。しかも、ハリウッド映画だったらなんだかんだで娘は大丈夫だろうと思えても、韓国映画なだけに全く予断を許さず、最後の最後までサスペンスは続く。秀逸なのは、そこに織り交ぜるドラマのバランス。過剰にベタつかないけれど、泣かせるところはとことん泣かせる。娘が最後まで歌を歌わない理由からラストへの流れは、もう父娘ものとしても完璧だ。キャラのそれぞれの顛末もよく考えられている。ある意味、最期に初めて「カップル」になれた高校生の2人(この2人の捕食シーンだけはなぜか美しく見えた)とか、葉加瀬太郎みたいなのに男気の塊のおっちゃん、ゲスなのに憎めない社長、最初から最後まで職務に忠実な車掌さん、そして何よりも主人公の父親の最期まで、それぞれにドラマと見所が用意されている。サスペンス・アクション映画としても、序盤の不穏な状況の見せ方、列車を舞台にしたバリエーション、そして駅という場所の描き方まで、たぶん予算は抑え気味でも、アクションやゾンビ描写自体にまったく不足はない。意外とバイオレンスや残虐描写が控えめなのも個人的にはよかった。万人におすすめできる秀作![CS・衛星(字幕)] 8点(2017-11-12 20:29:23)(良:1票)

192.  オッペンハイマー 《ネタバレ》 まず、アメリカ公開から時間がたちすぎで事前情報も入りまくり、まっさらに映画を観られなかったのは本当に残念。そんな状況を作り出した配給会社に対して、私は結構怒っている。事前情報なんて蓋をしておけと思われるかもしれないが、そこそこ映画好きな人間がアカデミー賞作品に関する情報を完全遮断なんて無理に決まってる。正直、アカデミー賞のときに(事前試写で見たであろう)評論家やジャーナリストが、その内容をあーだこーだ語ってるのだって不愉快だった。これだけの大作・話題作を、まったく見られない状態でオスカーの日を迎えるなんて、なんと不幸なことだろうか。 そもそもノーランは過去に『ダークナイト・ライジング』で核兵器をものすごく雑に扱った前科がある。あれ以来、私はノーランが核を描く、という本作のコンセプトに懸念しか感じなかった。あるいは、あれがきっかけでもう一度勉強して、今度はそのリベンジなのか。そこを確かめたいという思いもあって、公開翌日に映画館へ。 さて、実際に見てみた感想としては、IMAXで見る「おっさんばかりの会話劇」は、過剰気味な音響効果も相まって見所は十分。たしかにこれは、後々まで語られる重要作品であるのは間違いないだろう。面白いのは、本作を見終わった身近なみなさんの感想が、「本当に同じ映画を観た?」と思うくらいバラバラだったこと。ある人は、核の悲惨さを描いたものだ。原爆被害のシーンを描かなくても(描かないからこそ)十分にその「恐ろしさ」を描いていたと言うし、ある人は、これはナチ対ユダヤ人の闘いとその遺産を描いた映画だと言い、別の人は赤狩り時代のアメリカを描いたものであって、核はむしろおまけだったと語っていた。オッペンハイマーの周りにいた戦前の共産主義者の闘士たちの奮闘へのリスペクトを描いた、という明らかに的外れな見解を熱弁してる人までいる。 なんでこうなったのかといえば、緻密なのにちょっと緩い(ゆえに鑑賞者の解釈の枠組が入り込みやすい)時間軸バラバラ構成のおかげなんじゃないかと思ってる。別々のシーンがバラバラに配置されているなかで、その個別の場面をつなぐ「物語」を観客一人一人が見出しやすい構造になってる。そう考えると、原爆被害を描かなかったことも理に適ってる。私は描いたほうがよかったと思ったけど、もともと核問題・原爆被害に関心がある人は、描かれなくても自分が知っている「悲惨な絵」を思い浮かべながら見れるわけだし、そうだからこそ後半のオッペンハイマーの苦悩にも感情移入しやすい。ところが、アメリカに多そうな核問題に関心ない人たちは、描かれないがゆえにそこではなく、男たちの嫉妬のドラマだったり、戦争・冷戦・赤狩りという時代を描いた大河ドラマとして、十分に楽しめてしまう。実に、賢い。作り手の物語に引き込むのではなく、観客がそれぞれを再構成しやすい構造こそが、この映画の勝利だったし、だからこその興行成績と賞レース圧勝だったのだと思う。 結論としては、映画としての出来はすばらしい。ノーラン映画のなかでも出色だし、これでオスカー取れてよかったね、という気分。だけど、この映画で『ダークナイト・ライジング』での前科を克服したとはいえない。むしろ、悪い方にパワーアップして「非社会派な映画」の最高峰に達したと考えるべきだと思う。[映画館(字幕)] 8点(2024-04-13 18:19:02)(良:1票) 《改行有》

193.  ジョジョ・ラビット 《ネタバレ》 この設定を思いついて自分で映画にしちゃうというだけで、タイカ・ワイティティ監督はただ者ではない。主人公のジョジョ君は、冴えないヒトラー・ユーゲントのメンバー。いつもユニフォーム姿で熱烈なナチスの信奉者でありながらも、キャンプでいじめられたり、大けがをしたりパッとしない。そんな彼のイマジナリー・フレンドがあのアドルフ・ヒトラーという時点で、ジョジョ君がかわいらしい外見とは裏腹に分裂症的な<何か>を抱えてしまっているのが見えてくる。やがて、実はレジスタンスのメンバーでもある母親との関係やら、ユーゲントのなかに自分の居場所を見いだせていないことやら、彼の家で暮らしていたユダヤ人少女との出会いとか、どんどん悪化する戦況とか、10歳の子どもが背負うにはあまりにも過酷で複雑な現実が少しずつ見えてきて、それらと健気に葛藤する姿が、優しくユーモアあふれるタッチで描かれる。戦争のなかの日常生活を、明るくカラフルなタッチで描いているところにワイティティ監督のオリジナリティが垣間見える。ただ、どうも腑に落ちないこともあれこれ。一番の難点は、イマジナリー・フレンドがヒトラーである必然性が最後までよくわからなかったこと。ラストのあの一撃のためなのかなとは思ったけれど、ジョジョ君がナチスへの信奉と傍らにいる「総統」との折り合いをどうつけていたのかが、いまいちわからない。また、物語上の登場人物や出来事が、母親の身に起きること以外は、ブラックな小ネタはあっても終始ハートウォーミング過ぎるのも気になった。とくにサム・ロックウェルのキャラは出来すぎ。SNSでは絶賛されているようだけど、彼の役でもっと戦争の毒を表現できただろうに、「いい人」で終わってしまったのは残念。歴史や現実はあまりにも残酷で悲惨だからということなのかもしれないけれど、そのせいでファンタジー色が濃くなってしまい、ラスト・シーンのカタルシスが弱くなってしまったように思える。そして、ラストに流れるあの曲。大好きな曲だけに大感動が押し寄せるのだけれど、それは映画に対してなのか、曲に対してなのか、よくわからなくなってしまった。ここ数年、デビッド・ボウイの名曲に頼る映画が多すぎるような気が・・・。有名過ぎる曲なだけに、クレジットを見ながらだんだん違和感が大きくなってしまった。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2020-01-25 12:06:30)(良:1票)

194.  スーサイド・スクワッド 《ネタバレ》 数年前に配信で見ようとしたのだけれど、序盤30分くらいでなんか話がどうでもよくなって途中でやめてしまっていた。けど、ジェームズ・ガン版が見たいので、その予習としてやっぱり見ておこうということで再チャレンジ。今回は夏休み&外出自粛の時間つぶしだったこともあって、それなりに楽しめました。本作品の出世キャラのハーレイ・クインは、マーゴット・ロビーのはまり役。見てるだけで楽しいけど、ジョーカーとの共依存っぽい恋愛は正直ノイズで、もっともっと暴走してほしかった(次作で別れる設定は正しい。できたら本作の最後でぶっとばしてほしかった)。ウィル・スミスはウィル・スミス指数が高すぎてスター俳優を使ったマイナスが全面に出てしまっているし、レト版ジョーカーは、あまりに歴代ジョーカーが偉大過ぎて軽薄過ぎる(でもこっちが本当にジョーカーなのかも)。炎君はウェット過ぎてテンポ崩すし、アマンダが悪過ぎて悪役エンチャントレスが霞んでしまってるし、全体のテンポやバランスは本当に悪い。全然話が前進しないのに、突然エンチャントレスが逃げ出すくだりとか、話の展開についていけず、途中でどうでもよくなる。アクションも基本黒い塊をぶっとばすだけなので、単調だし。あと、音楽のベタ過ぎる使い方もマイナス。クイーンもストーンズもなんか中途半端に格好良くない。それでも、なんとなく楽しんでしまったのは、たぶん五輪やらコロナやらでどうにも暗くなるしかないニュースを忘れて、久々に「エンタメ大作」であれこれ壊したりぶっ放すキャラたちに少し爽快感を感じることができたからなのかもしれない。もう少し平時にみたら、たぶん最低にちかい評価になりそうだけど、だからこそ娯楽映画って大事だなと思ったりもした。[インターネット(字幕)] 5点(2021-08-19 10:00:08)(良:1票)

195.  ザリガニの鳴くところ 《ネタバレ》 冒頭のノースカロライナの湿地帯の映像を見ただけで、あ、これは佳作だと直感でわかる丁寧な絵の作り方。取り残された主人公と自然界との関係性だけでも十分に魅力的な話だけれど、本作はそこにミステリとラブストーリーを重ねることで物語の「引き」も強く、最後までほとんど飽きることなく浸ることができました。とくに、序盤に少女と父親の緊張感ある関係を丁寧に見せた事で、終盤の事件の真相にぐぐっと感情移入できる作りも秀逸。このあたりは原作の出来のよさでもありそう。よくできたシナリオに、説得力のある自然の映像と美しく成長する「自然児」を演じたデイジー・エドガー=ジョーンズの好演が加わって、「映画」としても一級品となったと思います。頼れる弁護士役のデヴィッド・ストラザーンもよかった。一方で、少々不可解だったのは、被害者となるチェイスの変化。恵まれた環境にあるからこその孤独な人物像にはそれなりに説得力があったのに、急に暴力男に豹変するあたりの描写はもう少し丁寧さがほしかったところ。たぶん、父親に仕事を任されて自分を認めてもらったあたりが心変わりのタイミングだったんでしょうが、その描写もないので、カイアに男を見る目がないみたいな感じになってしまうのはちょっと残念でした。あと、ザリガニって鳴くんですかね。ザリガニのフライは南部料理の定番で、きっとあちこちにいるんでしょうが、「Where the Crawdads Sing」のイメージが最後までよくわからなかった・・・。[インターネット(字幕)] 7点(2023-08-15 21:39:59)(良:1票)


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