みんなのシネマレビュー |
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1. 日本の黒い夏 冤罪 今どきお金を払ってこの映画を観に行く人は滅多にいないと思いますが、日本映画の良心として、この映画を作ろうと思ってくれる人がいることは嬉しいです。作りとしては非常に古式ゆかしい日本映画ですし、ここまで真面目に真正面からこういう題材を撮ること事態、あり得ないぐらい特殊なことだと思います。ただし映画にはこういう使命もあるということを、たまに認識しておくのは悪いことではないです。こういう事件があったことを、多くの人に知ってもらいたい、という作り手の誠意がこれほど感じられる作品に、最近では滅多にお目にかかれません。そしてこれをきちんとこのタイミングで映画にしておくことで、この作品は歴史にこの事件を記録しようとしているのです。それは正しいことで、楽しいことではないかも知れませんが、そういうことも映画としての一つのあり方ではないかと私は感じます。8点(2003-12-28 11:59:18)(良:4票) 2. ミザリー 今まで観た映画のうちで一番コワイのはどれ?と聞かれたら、文句なく5本の指には入る作品。古今東西、スプラッターやオカルトまで含めても、このコワさはちょっと異質なもの。何度も観たいとはあまり思わないんだけど、とりあえず観ている間中ドキドキハラハラ楽しめたので、こういうのもありかなあ、とは思う。キャシー・ベイツの存在感を確立した作品。どんな血みどろの作品にも真似のできないコワさですね。これはコワイ。7点(2003-11-29 14:24:10)(良:1票) 3. 幸福の条件(1993) 「ねぇねぇ、もし100万ドルあげるからエッチしてって言われたらどうするぅ~?」とあちこちで話のタネにはなったが、必ず結論は相手がロバート・レッドフォードならタダでも、というコトになってしまいお話にならなかった。まあそういう映画。1点(2003-11-29 18:13:21)(笑:1票) 4. フィールド・オブ・ドリームス あらゆる意味で男性による、男性のための、オトコのロマンを限りなく美しく描いた作品。オトコにとっては羨ましい限りであろうが、女性の立場で言わせてもらえばハタ迷惑この上ない。後先考えずに思いつきで行動する夫にホイホイつきあっている妻も都合良過ぎ。可愛い奥さんだナ、と感心はするけれど、所詮は男性の理想を具現化しただけのファンタジーの一部にすぎない。映画とは夢を与えるモノ、という考えを決して否定するわけではないが、悪いけどこの映画を観た時の感想は「オトコどもよ。現実を見ろ」である。私が妻ならとにかく病院に連れて行きます。夢ならもうちょっとささやかなのを頼む。3点(2003-11-29 22:59:45)(笑:1票) 5. 黄昏に燃えて 痛い映画。観る人を陰鬱な気分にさせる、まったく救いのない映画だが、それなりに覗き見趣味的好奇心は満足させてもらったし、ホイホイ浮かれっぱなしの私のような人間にはたまにはこういう押さえも必要。一度メリル・ストリープの思いっきり恥ずかしい姿が見たいゾ、という腹黒い欲望も満足させてもらえたし。この映画で初めてメリル・ストリープをうざったくないと思うことができた。でもやっぱりホームレス擁護みたいな方向性にはあまり賛成できない。6点(2003-11-29 23:07:50)(良:1票) 6. 交渉人(1998) 《ネタバレ》 後にも先にも、私の映画人生の中で最も多く劇場まで足を運んだ映画。現在の私のちょっと異常とも思えるサミュエル・L・ジャクソン狂の元凶ともなった作品。ミステリーとしての出来栄えもさることながら、プロの人質交渉人が人質を取って立てこもり、別の人質交渉人と交渉を続けるという着眼点が素晴らしい。親友を亡くし、障害者基金の使い込み容疑をかけられて窮地に追い詰められる人質交渉人という役柄もオイシすぎるが、サミュエル・L・ジャクソンの天性の不幸顔がこの役を限りなく暗いモノにした。稀代の犯罪者役としてゲイリー・オールドマンを凌ぐかに思われたケビン・スペイシーを善玉として持って来たキャスティングも見事。結果、正義の味方ケビン・スペイシーをして若い女のコたちのアイドルにまで押し上げる作品となったが、タフで、頼れる、クールな男として突っ張りぬいたサミュエル・L・ジャクソンの「パルプフィクション」に次ぐハマリ役として何度観ても飽きることがない作品である。残念ながらラストのオチにはいくらなんでも天才ブリが発揮されすぎた気もするが、まぁIQ180の人たちのすることだから凡人にはちょっとついてけなくても仕方がないんではないだろうか。どうもここに至る経緯を観ても、どちらもソコまで凡人離れしたIQの持ち主には見えないんだけど。そこはまあ、ご愛嬌。あくまでも娯楽映画としての満点。10点(2003-12-03 01:22:18)(良:1票) 7. ザ・フライ2/二世誕生 何を間違えたのか、この映画が地上波で放映されるという日に限って、皿いっぱいニラレバを作って食べ始めてしまった。半分ほど食べてテレビをつけたら、画面では犬がギトギトの肉の塊に変貌していた。やめればいいのにそのまま観ていたら、ニラレバが一口も食べられなくなってしまった。結論としては、ニラレバを食いながら鑑賞するには最も適さない作品である。2点(2003-12-09 00:34:13)(笑:1票) 8. エントラップメント 「キャサリン・ゼタ・ジョーンズはカラダが柔らかい」っていう映画ですよね?でも芸になってるからいいじゃん。と思った私は寛容すぎ?だってやっぱりカラダは固いより柔らかい方がいいですよ。それだけで6点あげちゃう私もどうかと思うが。6点(2003-12-14 04:01:58)(笑:1票) 9. ハート・オブ・ウーマン ヘレン・ハントがかな~り苦手な私でさえちゃんと楽しめたんだからけっこういい作品なんだと思う。コミカルなメルがなかなかミスマッチでいい味出してました。娘は必要なアイテムだったのかも知れないけど、彼女とその友人たちが絡んで中盤がダレたのが惜しい。後半はやけに派手に盛り上げようとしてたのがちょっとクドい。でも妙に総合点が高かったような気がするのは、やっぱりメルのお腹いっぱいの男臭さと、主人公の間抜けぶりがうまくマッチした結果でしょう。マリサ・トメイは何でわざわざあんな役のために出て来たんだか、ちょっぴり理解に苦しむところ。7点(2003-12-18 01:15:13)(良:1票) 10. マーズ・アタック! ある土曜日の朝、昼まで眠りこけてボ~ッとしたままTVをつけたらスターチャンネルでこの映画をやっていて、何やら人だかりの中で宇宙船から宇宙人が降りて来たところだった。一瞬、ついに自分の頭がおかしくなってしまったのかと思い、他のチャンネルでもこの同じ現場を放送してたらどうしようと思うとチャンネルが変えられなくなってしまい、そのまま画面に釘付けになって固まっていた。映画だと気づくまでの数分間が、非常に長く感じられた瞬間であった。8点(2003-12-18 01:25:58)(笑:1票) 11. スクリーム2 惰性で観たわりにそんなにつまらないとも感じなかったので、こういうのはこれでいいんじゃないかと思います。当たり前のことですが前作を観てない人が単品でこれを観ても映画としてどうのこうの言える映画じゃないんですが、前作を観ないでわざわざこれだけ観る人は滅多にいないでしょうし、流れ的にこれ以上のものを期待する人も稀だと思われるので合格点かと思います。6点(2003-12-30 12:39:46)(良:1票) 12. モブスターズ/青春の群像 普通の青春マフィア映画(そんなジャンルあるのか?)なりに普通に面白かった。チャーリー・"ラッキー"・ルチアーノをクリスチャン・スレイターが演じること自体かなり不安に感じていたけど、さすがに彼は上手い。ただし残念ながらマフィア映画に期待する重厚感や、ガツンと来る感動にはもう一つ欠ける気がする。あくまでも普通の出来。題材的におもしろくできる要素はいっぱいあったと思うんだけど、まあこんなものでしょう。ちょっと大物と若手陣の間にギャップがありすぎる気がして観る人に不安感を与えたと思います。7点(2004-01-04 12:12:57)(良:1票) 13. アポロ13 世界中が興奮した実在の宇宙ロケットアポロ13の奇跡の生還、これだけのネタがあって監督がロン・ハワードなら、もうちょっと面白く出来たんじゃないのかというのが率直な感想。普通に考えれば十分面白い映画なんだけど、掛かっている期待がケタ外れに違う。ついでに目の幅の涙を流して観客の同情を誘うトム・ハンクスにも私はちょっと飽きている。どう見ても間抜けな三枚目だった若い頃の彼を知っていると、この男に乗員の運命を委ねることが危険にすら思えて来るし。昔の話なので確かにあんないい加減なやり方で帰って来れたとしたら本当の奇跡だ、という納得はあるんだけれども感動がない。特に感動させる狙いはなかったのかも知れないが、もうちょっと面白くする方法はいくらでもあったんじゃないだろうか。特にキャサリン・クインランは本当に必要だったのか、など言いたいことは尽きない。ほどほどに面白いという事実が一層私を腹立たせるのだよ。いつもながらエド・ハリスだけは良い。6点(2003-11-22 23:16:33)(良:1票) 14. E.T. 映画が「おもしろさ」だけを求められた時代にあって、これ以上ないほどその点だけに特化した、そういう意味では非常に素直な売れセン映画。あまり魅力的とは言えない容貌のE.T.が、ヘタな英語で一生懸命「カエリタイ」と訴える姿が、「可愛くない可愛さ」という新たな価値観を生み出した。彼と子供たちとの心の交流を軸に、ラストは子供で泣かせるというあざとさでは他に類を見ない作品だが、幼少期にこの作品に触れた世代に対しては「異端を認めなさい」という非常に明快なメッセージが素直に受け入れられ、強い影響を与えたと思う。そういう意味では、特に脳天をカチ割られるような衝撃を受けたり、人生における新たな境地を見出すような作品ではないながらも、かなり幅広い世代にとってある種の価値観を植えつけるサブリミナル効果があったことは否定できない。実はこういう作品にこそ、人って影響されていたりするんですよね。7点(2003-12-03 23:06:29)(良:1票) 15. いつか晴れた日に 《ネタバレ》 途中この映画は本当に結末があるのだろうか?という不安が頭をよぎったものの、ヒロインと共に耐えに耐えただけの報いはある。いかにもコスプレ向きのケイト・ウィンスレットを妹役に持って来たのも大正解なら、微妙に悪役顔のアラン・リックマンに求婚者役を与えたのも神業。オスカーを受賞した後での鑑賞となったため、エマ・トンプソンの頭良さげオーラには多少辟易したものの、最終的にはその知性の下にひれ伏すこととなった。それにしても襟の詰まった時代劇の衣装を着ると顔の長さが異常に強調されてしまうせいかヒュー・グラントの登場シーンだけアングルが狂っているように感じられたのは私だけなのであろうか。8点(2003-11-22 23:07:12)(笑:1票) 16. イングリッシュ・ペイシェント 《ネタバレ》 これだけ長々と果てしないストーリーを展開されて、最後の最後に単なる昼メロ不倫映画だったと気づかされることの驚き。顔もわからないほどに負傷した男性が従軍看護婦に語る身の上話の中に、戦争の愚かしさや虚しさを痛烈に告発する力強いメッセージを期待してしまった身としては、強烈な脱力感は残るものの驚きも感動も未来への希望も失わせるには充分な映画。こういう男をカラダを張って助けてしまったのがジュリエット・ビノシュだから別にいいけど、昼メロなら昼メロと最初に言ってよね、という感じ。唯一、ウィレム・デフォーだけが痛い個性を充分に発揮してくれたので3点。彼が出ていなかったら0点でもお釣りの来る映画。テーマは無限の退屈。3点(2003-11-29 12:33:50)(良:1票) 17. インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア 《ネタバレ》 飛ぶ鳥を落とす勢いのブラピに、トップスターの座を譲り渡すまじと崖っぷちに立たされたトム・クルーズの捨て身の演技に、底力を見せつけられた作品。白塗りの化粧にフリフリ衣装のコスプレで、笑っちゃうぐらいシリアスなストーリーが、最後の最後で「全部、いつもの泣き言」であったと知らされるラストには正直、人生最高に笑わせて戴いた。おまけにカーステから流れ出すBGMがストーンズの「悪魔を憐れむ歌」なら最高でしょ。全編に漂うミステリアスな雰囲気に魅力的な子役、かなり先の読みにくい筋立てで、こういう世界が好きな人なら比較的楽しめる内容。インタビュアーのマイロ役には、急逝したリバー・フェニックスの代役としてクリスチャン・スレイターが好演。彼は場をわきまえてますよね、特に見せ場もないし地味にやっている。関係ないけどこの映画の「原作」は絶対に萩尾望都の名作「ポーの一族」。ルイ、レスタト、クローディアの三点ショットはマンガに出て来る1場面とまったく同じところまである。これもまあご愛嬌。オチははっきり楽しかったし、こういう遊び心っていつまでも大切にしたいですね。8点(2003-12-06 23:10:09)(笑:1票) (良:1票) 18. エド・ウッド とりあえず現時点ではティム・バートンの最高傑作。今後もまだまだ傑作をモノにする無限の可能性を秘めた監督であるので、あくまでも現時点ではとだけ言っておく。ジョニー・デップは単なるハンサムボーイで売り続けようと思えばそういう道もあるだろうと思うのだが、敢えてこういうクセの強い役で勝負しようという強い意志が伺い知れて頼もしい存在である。おバカなドタバタの中にも、監督自身の映画に対するとてつもない愛情が感じられる、同レベルの熱狂的な映画バカに捧げられた作品として、こればっかりは絶対に譲ることができない。テーマは「人はどこまで映画バカになることができるか」または「映画は人をどこまでバカにならせることができるか」。史上最悪の映画監督は、たぶんティム・バートンが本当になりたい映画監督でもあるのだろう。万歳。 10点(2003-12-09 00:00:09)(良:1票) 19. エレファント・マン 単なるキワモノ趣味だと思うんだけどなあ。アン・バンクロフトが絡んで話がややこしくなりましたね。実在した伝説の奇形児を、さも人間万歳みたいなオブラートでくるんで美しく描いてしまいましたが、実際に観に行った人の何割が人間の尊厳や心の美しさみたいな感想を抱いて帰ったか、ちょっと自信がないです。「すげーヘンなのがいた。しかも実話だ。」っていうニオイしか伝わって来ないんですよね。狼に育てられた子がいたぞ、そいつぁ珍しいや、って飛びつく人たちがぞろぞろ観に行く映画なんじゃないでしょうか。ジョン・メリックは可哀相で、ラストも涙をそそるモノでしたが、やっぱり監督がデビッド・リンチで、前に「イレイザーヘッド」を撮った人なんだ、っていう先入観が強すぎて、どうしてもキワモノ趣味としか受け止められませんでした。私自身、身体障害者に対する偏見や差別意識は極めて低い方だと思うんですがね。こういう不幸な人を、見世物小屋でお金を払って見るというのが人間のやって来た現実なんだ、という意味では存在価値がないとは思いませんが、この映画をお金を払って観に行く私たちと、見世物小屋に集まった人たちの違いがどうしても説明できないんです。そういう意味では、非常に後味の悪い映画でしたね。4点(2003-12-09 00:16:53)(良:1票) 20. コクーン 人々に夢や希望を与えることが映画の一つの使命であると考える立場から、この映画には心の底からありがとうと言いたい。多くの人が、その人生で最も大切な物が何だったかに気づくのはもはや取り返しようのないほど年をとってしまった後である。死を目前にした祖母の、長い長い思い出話を聞いた日から、私は心のどこかでこの映画に出会える日を待っていたような気がする。ここに出て来るお年寄りは、私の祖母ではないのだけれど、彼らが若さを取り戻して笑い、はしゃぎ、再び人生を楽しむ姿を観て、その嬉しさを想像できることが私には嬉しかった。人生は短い。だからこそ、わずか数時間の映画の中だけでもいい、誰かが心の底から幸せを感じる瞬間を、分かち合えたらどんなに良いだろうか。子供が空を飛ぶ夢を見るように、若者が愛する人との出会いを夢見るように、お年寄りにだって若かった自分を取り戻す夢を見る権利があるのだ。この映画に登場した、実際に年老いた俳優たちに感謝したい。若さを取り戻したように演技をするのは、彼らにとってたやすいことではなかっただろう。子供のように走り回り、飛んだり跳ねたり、プールに飛び込んだりすることは彼らにとってしんどかっただろう。それでも大勢の人に楽しいひと時の夢を見せるためなら、彼らはやるのだ。そういうファンタジーが、あってもいいと思う。若い私たちが映画の中で、遠い宇宙の彼方を旅するように、お年寄りが若返ったっていいじゃないか。世の中には楽しいことばかりじゃないけれど、映画の世界では時折、こんなふうに楽しいひと時もある。そういう映画もある。10点(2003-12-16 00:56:58)(良:1票) |
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