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評価順1

1.  スクール・オブ・ロック 《ネタバレ》 本当にスッキリした気分が味わえるなら、 お約束だろうが御都合主義だろうが大歓迎。 子役達は皆いい感じだし、単純明快なストーリーラインもいい。 この手の映画は理屈抜きで楽しむのが一番、と思う。 なのに、楽しめなかった、むしろ不快とさえ感じた。何故か。 デューイが子供達に教える価値観が「独善的で排他的」だったと言う事に尽きる。 「本物のロック」「ロックは反抗の音楽」「あいつらは偽者、本物のロックじゃない」 等々が、デューイ個人の狭く偏屈な価値観でしかないのに、 それを授業で子供達に押し付け(異論は端っから受け付けず)、 子供達もまたそれをスンナリ受け容れるという映画全体の図式、独善的な価値観の押し付けっぷりが、 終始不愉快だった。 実際60~70年代のロックが好きで、熱く語る人は多いし、色褪せない音楽も多いと思う。 けれど、こんなに「これが正解だ」なんて決め付けられたら堪らない。 自分だったら、聴く前に嫌いになるだろうな…。 ロックは別に、デカイ音やハデなパフォーマンスがなくてもいい、 だから自由な価値観を象徴出来るんだと思う。 なのにこの映画にあるのは、妄執にがんじがらめで、他の価値観を受け容れようともしない男の云う「正しいロック」。 これが正解で、これは偽物、模範の演奏はこれとこれ、挙げ句「反抗しなきゃロックじゃない」なんて事を 文字通り授業で熱弁振るう様子にはウンザリ。 デューイは情熱的と言うより、妄執にしがみつく空っぽな人にしか見えなかった。 …何だかんだ言って、最初に皆が楽器を重ねて、笑顔になっていくシーンはグっと来るものがあった。 そこに5点献上。 生徒の中では、キーボード役の彼と、委員長の女の子が格段に良かったです。5点(2004-10-27 00:14:01)(笑:1票) (良:4票) 《改行有》

2.  プロメテウス 《ネタバレ》 今では何の疑いもなく巨匠扱いされるようになったリドリー・スコット監督だが、実は初期の傑作から最新作に至るまで「映像には徹底的に凝るが、物語描写は残念な人」であったことを思い出した。特に、思わせぶりで観念的なテーマを扱うと悪い癖が出る。自由な発想のSF作品では観念的な暴走に歯止めが効かない。 プロメテウス船内をはじめ、ケレン味たっぷりながらシャープで格式ある映像美はさすが。そしてブツ切りで唐突な展開もさすがリドリー・スコット。 白い巨人が液体を飲んで滝に身を投げるファーストシーンから、不死身ヒロインがアンドロイドと一緒に巨人の母星へ殴り込みに行く(?)ラストまで、全て何かおかしい。どう見ても危険な状況なのに、何度も進んで無防備に近付いていく登場人物全てがおかしい。未知の物質に感染し火炎放射器で焼かれた科学者が蘇って暴れるあたりは完全にゾンビ映画だ。地球に向かう(と何故か確信した)巨人の船を止めるべく特攻をかけるプロメテウスの船長も謎だし、何故か真っ直ぐにしか走らず潰されるシャーリーズ・セロンも謎のまま。 根本的に脚本に難がある失敗作であるのは間違いないが、だからといって駄作と簡単に切り捨てるにはしのびない奇妙な愛着も感じる。これは製作まで兼ねて作品をコントロール出来る立場にいるリドリー・スコット監督の趣味の世界であり、良くも悪くも作家としてのピュアな個性が出た結果ではないだろうか。 少なくとも、完全版なり全長版が出るなら私は観たいと思う。愛すべき超失敗作だった。[ブルーレイ(字幕)] 4点(2013-01-23 05:17:12)(良:4票) 《改行有》

3.  バトル・ロワイアル 《ネタバレ》 アクションに徹した深作監督の画面は大したものだし、役者も悪くない。しかし下手にメッセージを入れたつもりでいるらしい脚本はタチが悪い。こうした映画を凶行の原因と弾劾するのは短絡過ぎると思うが、同時に、この脚本にも同じ種類の短絡さ、無責任さを感じる。それぞれに複雑な問題を抱えて生きていた筈の中学生達が、殺し合いが宣言された途端、感傷的で可哀想な被害者としてひとまとめに描かれる様は、同情を示しているようで実はモノ扱い。実際、「頑張れ」と空虚な言葉を残して主人公を追い詰めた実父と、本編ラストで大々的に出る字幕メッセージ「走れ!」は、無責任さ、空虚さに於て全く同じではないか。何処に向かえばいいかも知らされないまま「走れ」と強要されるから辛いのではないか。何か気の利いた事を言おうとして、自分自身も同じ残酷な事を言っていることに気付いていない、このタチの悪い能天気さ。設定や残虐描写の有無などより、こういう無責任なメッセージを発して悦に入る人間のほうが余程怖い。この脚本と、取り合えずバイオレンス映画を規制に走る風潮。両者に共通する、思考放棄、想像力の欠如に憤りを込めて、0点を付けさせてもらいます。[DVD(邦画)] 0点(2004-07-05 00:38:42)(良:3票)

4.  スモーク(1995) 《ネタバレ》 ハーヴェイ・カイテル演ずる、煙草屋の親爺、オーギー・レンのキャラクターが大好きです。胡散臭いけど、有り得ないくらいピュア。ラストの、「どこまで本当か解らない」オーギー・レンの打ち明け話のように、映画全体が、苦いけれど優しいおとぎ話のよう。大切なのは「全部事実かどうか」なんて事じゃない。クリスマスの話のあと、どこまで事実かなど二の次で、嬉しそうに笑い出す男ふたりの笑顔。文字通り、心地よい煙に包まれているような、不思議な余韻が残る映画です。[DVD(字幕)] 7点(2004-06-20 08:45:25)(良:3票)

5.  エターナル・サンシャイン 《ネタバレ》 主役ふたりの自然な雰囲気が良い。いかにもお似合いのカップルではないし、何故ふたりが惹かれ合ったのか特別な理由付けが描かれないところも自然で良かった。何故恋に落ちたのか、タイプが違うと判っていても何故離れたくないのか、たぶん理由はない。だからこそラストの「また同じ事で喧嘩するかも知れない」と判っていながら躊躇や理屈を投げ出して抱き合うふたりに涙。いずれ本当の別れが来るのかどうかは別の話。恋する気持ちって、こういうものだと思う。 ふたりが一緒に過ごした記憶の中を逃げるシーンはどれも秀逸。中でも、実際には言葉を交わさずに別れた夜の海辺での「せめてサヨナラぐらい言った事にしましょ」のひと言が切な過ぎる。普段荒っぽい性格のヒロインが、寂しげにポツリ呟くから余計に切なさが滲む。 ラクーナ社側の三角関係は蛇足?とも思えたけれど、おかげで映画全体が主役限定のお話に終わらせず、割り切れない、苦い恋の記憶を巡る普遍的なストーリーになっていたとも思う(それでも、描き込みが中途半端なのは確かに残念)。 主役に感情移入して酔いしれるタイプの恋愛映画ではないかも知れないけれど、恋した時の甘く、苦い記憶を痛いほど突いてくる映画だった。音楽も素晴らしい。[DVD(字幕)] 8点(2006-04-30 03:44:00)(良:2票) 《改行有》

6.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 凄まじい映画だ。個人的にはイーストウッド監督作品の中でもベスト1、2を争う。重厚な映画だが間延びもなく緊張感が途切れる事もない。約二時間半、釘付けになって、観終わった後も色々な想いが渦巻いている。後味が悪い結末だが、全く希望がないわけでもない。・・・この辺がさすがイーストウッド監督、毎度ながらクセ者だ。恐ろしい現実を描きながら、絶望だけで終わらせる事もしない。完全な絶望なら、それはそれで娯楽映画的なカタルシスも生まれたと思うが、そうはさせてくれない。きっとそれが人生だからだろう。希望を捨てず、楽観も出来ず、強く立ち向かうしかない。実話を基に、それがどの程度まで脚色されているか、もはやそんな事は問題ではない。この映画は特定の事件や時代に限った事ではなく、今の社会にもそのまま通じる、理不尽さと、それに翻弄される人の姿が描かれている。平凡な女性が持つ強さと弱さの間を行き来するアンジェリーナ・ジョリーの存在感が凄い。クラシカルな画面の中にすっかり溶け込んでいるが、時折見せる眼光、特別な意志の強さは他の演技派女優には望めないものだし、それを見越しての起用だったのだろう。完全にハマり役。理解者である牧師を演じるジョン・マルコビッチも、単なる「良識人」的な演技を越えた異様な迫力を放つ。敢えて難を言えば、中盤、猟奇事件に荷担させられた少年の「悪夢」が(ほんの数秒だが)いかにもショッキングなアングルで、映画全体のトーンを乱しているように見えた。[DVD(字幕)] 8点(2012-04-30 04:23:31)(良:2票)

7.  ソーシャル・ネットワーク 現実に勢力を拡大し続けるSNSの裏話を虚実交えて描いた映画。進行形の実話を基にした映画だけに劇的な描写もなく、徹頭徹尾、客観的な視点で進行し、登場人物を応援したり手に汗握ったりというドラマの醍醐味は、全くと言っていいほど無い。しかし、圧倒的なテンポの良さ(時系列の違う場面がビシビシと入れ替わるスタイルが効果的)で、あれよあれよの間に観終えてしまった。暴走しエスカレートしていく出来事をハイスピードで見せていくデヴィッドフィンチャー監督ならではの手腕に脱帽。トレント・レズナーの、哀しく、ミニマムな音楽も驚くほどハマっている。 ただ正直、テクニックの鮮やかさに酔う以外、一度観たら充分な内容。 ここ数年(「ゾディアック」もそうだが)実話を基にした半ドキュメンタリー形式の作品が多いフィンチャー監督だが、この路線は本作でもう充分ではないか。 確かな演出力が健在なうちに、心を揺さ振るドラマ作品を撮ってほしい。[DVD(字幕)] 5点(2011-09-26 09:33:11)(良:2票) 《改行有》

8.  ワンダフルライフ 《ネタバレ》 ドキュメンタリー的な部分と、ドラマ部分(どうしても、劇映画としてまとめるために取ってつけた印象…)が噛みあわない気がするのは、これ以降の是枝監督作品と同様。けれど、この映画では「生前で一番の思い出を選んで下さい」と言うモチーフ、問いかけが、ドキュメンタリーのインタビュー形式とぴったり合っていて、自然に引き込まれました。是枝監督の作品では未だに一番好きな映画です。他者の思い出を再現する為にアレコレと工夫し、議論する「現場」の描写は、映画の撮影現場の暗喩を越えて「働く」ことや「暮らすこと」そのものにも思えます。「俺たち何の為にこんなこと~」ボヤく寺島進をはじめ、それぞれ内心で自問自答を繰り返す登場人物達が、みんな印象的でした。「胎児の頃の記憶が残っているケースもある」と言う雑談を聞いたあと、無愛想な小田エリカが風呂に潜る一連のシーンが好きです。選べなかった(見つからなかった?)大事な記憶を探そうとする姿に、つい感情移入…。ARATAの役職を引き継いだ、ラストでの小さな変化が、希望を感じさせます。(記憶、定かでないものを捉まえようとするモチーフには何故か弱いようで…)正直、クセが強い映画ですが、一度入り込めば、観るたびに映画の中の小ネタや自分の印象の変化を発見出来る面白さがあると思います。ARATAはじめ、役者陣も力みがなくて良かった。ざらついた建物の質感、空気が張りつめた冬の情景がキレイでした。静かで、不思議に明るい音楽もヨカッタです。8点(2004-09-18 02:29:50)(良:1票)

9.  ピンポン 《ネタバレ》 スポーツ・青春映画として、キレイにまとまっていて好感が持てる出来。 卓球のラリー場面は、CGが効果的に、自然に使われていて良かったです。 スマイルがチャイナ戦で本性を出し始めるシーンが印象的。 反面、窪塚ペコの存在感は弱い。 天然を「演じてる」のが全編通して見え見えで痛かった…。 中盤でグレて、髪伸ばして煙草くわえてる姿が一番自然に見えちゃマズイでしょう。 しかし、最後まで気持ち良く観れる映画でした。 終盤のスマイルとチャイナの台詞、 「ペコなら楽しめる」 「~そんな相手と戦えるのは幸せだ」 …が、胸にズシンと来ました。[DVD(邦画)] 7点(2004-06-03 04:04:38)(良:1票) 《改行有》

10.  交渉人(1998) 《ネタバレ》 あ~勿体ない~、のひとこと。 配役と設定が非常に魅力的なだけに、K.スペイシーとS.L.ジャクソンの頭脳戦、駆け引きが観れると思っていたら、普通の(没個性な)アクション映画ノリで終わるなんて勿体なさ過ぎます。指名されたK.スペイシーが、現場に着いて仕切り始める辺りは緊張感があった、でも…そこまで。「凄腕の交渉人同士」という、せっかくの設定を活かした見せ場は殆ど無く、爆発、銃撃戦と、勢い任せのアクションで決着してしまうとは残念。この題材とキャスティングを使って作り直して欲しい気分。4点(2004-06-14 04:26:54)(良:1票) 《改行有》

11.  がんばっていきまっしょい(1998) 《ネタバレ》 ノスタルジックな田舎町の風景、次第に部活にのめり込んでいく女の子たちの姿、年齢の割には子供っぽい?と思うほどの、淡い恋…。等々、素朴な題材を、素朴なまま(濃ゆいキャラを出して強引に盛り上げるでもなく)淡々と変化球抜きで描かれた佳作だと思います。試合シーンの映像(水を掻くオールの動き、波のきらめき)は美しく、クライマックスの展開と相まって息を呑む瞬間がありました。途中から現れた、やる気のないコーチの存在が未消化だったり、引っ掛かる点もあるけど…、好きです。爽やかで切ない余韻の残る青春映画。7点(2004-07-12 02:42:28)(良:1票)

12.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 ごく平凡に見えるアメリカ中流階級の人々が徐々に虚飾を剥がされ、崩壊していく様。 言ってしまえば目新しいテーマではありませんが、それを真正面から、特定の時代のせいにすることもなく、しかも軽快なテンポで描いてみせた傑作だと思います。 死んだような思いで毎日を送っていた主人公が娘の友人に恋し(恋したと錯覚し)、殆ど自暴自棄で意気揚々と仕事を辞め、冷えた人間関係を痛烈に罵倒する。 束の間、彼は(やがて訪れるであろう)破滅と引き替えに、生まれ変わったように見えますが、結局「甘美な破滅」なんてものはやってきません。 暴走する手を止め、我に帰り、隣人をなだめ、幸せだった家族の写真に見入った直後に死が訪れる。 ドラマチックさも甘美さもない、幾つかのくだらない虚飾と誤解が絡み合っただけの呆気なく虚しい最期。 それだけに、主人公が抱いていたささやかな希望、愛情と夢がヒシヒシと胸に迫ります。 冒頭とラストに死後の主人公のナレーションが入る構成。ビデオカメラ越しに世界を見る青年の視点。 常に客観的で醒めた視点が逆に哀しく、印象的でした。[DVD(字幕)] 8点(2012-04-14 01:52:51)(良:1票) 《改行有》

13.  ビッグ・フィッシュ 《ネタバレ》 何といっても、あのラスト間際の展開の素晴らしさに尽きます。 ホラ話ばかりする父を尊敬出来なかった息子が、最後の最後に、父のため思い付きでホラ話を語り出す。 ちょっと反則?と思いながら素直に泣けました。 (蛇足ですが、ポール・オースター原作の映画『スモーク』で感じたテーマ、 「事実かどうかより、幸せなほう、ハッピーなほうがいい」と重なって見えました) 映像も美しく、特に回想の場面では、夢のような町の情景と、 奥さんとの出会いのシーンが印象に残りました(女性の美しい撮り方も含む)。 父の話を元にした回想がやたら長く、中盤ダレたのが残念。 あのラストは、イジワルな見方をすればティム・バートン監督の夢見がちな空想癖、現実逃避傾向を 自分で肯定する為の理屈と思えない事もないですが(医者がそのまま台詞で語ってるし)・・・。 しかし、何よりも観終わって爽やかな余韻に浸れて良かったです。 大事なのは想像する歓び、なにより「皆で」楽しむ事。 誰にでも勧めたくなる良作でした。[DVD(字幕)] 6点(2004-11-27 22:46:00)(良:1票) 《改行有》

14.  Avalon アヴァロン 《ネタバレ》 冒頭数分、特異な映像による戦闘シーンには引き込まれた。絵画的な撮影も、ポーランドの建築物のフォルムと相まって美しい。これは傑作か?と身を乗り出したが……残念ながらどんどん失速し、結局は監督の他の実写作品同様、悪い意味で学生の実験映画レベル(いや、それ以下)の、思わせぶりなだけで中身のない、自己満足映画であった。脚本は撮影時に改変されているのだろうが、それにしても核になるものがなく、酷すぎる。 相棒が残飯のような飯(まさに餌)を汚らしく食べながら喋るシーンが異様に長く嫌悪感を感じ、反面、ヒロインが飼い犬に嬉々として豪華な料理を作ってやるシーンの無駄な華やかさ。この異常なバランス感覚で、ドラマの緊張感も先の展開への興味も何も、全て消えてしまった。この監督の他作品を観る限り、犬に対する偏愛が特徴なのだろうが、少なくともこの映画の中で何の必然性も感じられない。 ラストも、少女の意味深で思わせぶりな笑い顔のアップで終わり。結局全てが思わせぶり。中身がない。 映像、役者、CG技術など映像は良いだけに、勿体ない。 このくらいの予算があれば、才能ある学生に撮るチャンスを回したほうが、面白く野心的なインディペンデント映画が出来るのではないか。[DVD(字幕)] 2点(2013-11-25 23:36:39)(良:1票) 《改行有》

15.  ラスト サムライ 《ネタバレ》 サムライを神秘的なイメージで美化し過ぎ。 潔い死を讃えるかのようなシーンには嫌悪感すら覚える。 が、ズウィック監督にとってはサムライ賛美と云うよりも、 自分たちが「侵略し、略奪し続けてきた」側であることを自覚したうえで、 「違う価値観を受け容れること・異文化に敬意を表すること」が主題・・・だったように思う。 お世辞にも巧みとは言えないが、その生真面目さ、誠意が感じられた。 監督は心底、サムライが象徴する精神性に惹かれ、丁寧に撮りたかったのだろう。 反面、ハンス・ジマーの音楽には辟易させられる。思えば「ブラック・ホーク・ダウン」もそうだったが、 この人の音楽は異文化との交流や対立を軸にした映画に使いやすいのだろうか。 エキゾチックな異文化の音を、口当たり良く巧みに「略奪」して、 勇壮なハリウッド流に仕立て上げる手腕は大したものだが、そこには一片の誠意も感じない。[DVD(字幕)] 4点(2005-06-15 04:00:06)(良:1票) 《改行有》

16.  ホーホケキョ となりの山田くん 《ネタバレ》 説教臭はあるし、人間像も老若男女問わず見事に類型的だけど、予想以上に好きになれる映画だった。個人的には宮崎駿監督作より数段新鮮で、外向きな姿勢を感じて好ましい。ラストの「ケ・セラ・セラ」の音楽にのって空を舞うシーンが好き(ふっと舞い上がるイマジネーションと力技…、テリー・ギリアムを連想したのは私だけか…)。こんな豊かなシーンをもっとたくさん観たかった。矢野顕子の音楽もいい。但し、全編にわたって生真面目に考え過ぎた感は否めず、素直に楽しませてくれなかったのが残念。深く考えて作るのは素晴らしいけれど、それが前面に見え過ぎるのは戴けない(これはジブリ映画の常だが)。せっかくの「みんなで軽やかに生きよう(…かな?)」といういい主題がストレートに伝わってこないで、リラックスする大切さを熱心に説明されているような、ヘンなジレンマがあった。なにより、こういうスタイルの映画が、バブル並みに過剰なジブリ・フィーバー真っ只中で制作・公開されたのが最大の不幸だったのでは。最後に、結婚式のスピーチでの、ミヤコ蝶々の投げ遣りな喋りはなんとかして欲しかった…。 [DVD(邦画)] 8点(2004-08-15 09:39:20)(良:1票) 《改行有》

17.  ミスト 《ネタバレ》 ここまで嫌悪感しかおぼえない映画は久し振りに観た。 ありがちなモンスター映画を装い、観客に毒を吐き絶望と嫌悪の底に突き落とす映画だ。 映画制作者の姿勢として最低。 キングの中編小説『霧』は何年も前に読んで、漠然とした恐怖が印象に残ったが 敢えて霧の中で終わる小説からは、まだ救いを想像することも出来た。 だが映画には希望どころか情けの欠片もない(知性もない)。 何しろ、小説で霧の中に踏み出していった主人公たちの、悪趣味な結末を映画は描いている。 それも無駄に丁寧に、ダラダラと時間をかけて、真綿で首を絞めるように如何に救いがない状況か見せつけ、あの結末に至る。 演出の技は認める。が、あの無駄に皮肉めいた結末は、悪乗りとしか言いようがない。 今までダラボン監督作品は好きな部類だったが、この映画の記憶が褪せるまでは観ないだろう。 もう一つ、この映画が最悪なのは、 結末変更を提案された原作者・キングに『思い付いていれば原作もこの結末にしただろう』等と 今更余計なひとことを言わせてしまったことだ。 そりゃないぜ。[DVD(字幕)] 1点(2008-09-21 02:44:04)(良:1票) 《改行有》

18.  コラテラル 《ネタバレ》 平凡なタクシー運転手と、凶悪だが複雑な殺し屋が一緒に過ごした一晩。タクシー車内での会話に、ドキッとする瞬間もあった。シンプルだがいくらでも面白くなりそうなプロット。だが、その良さが結局活かされなかったのでは。トム・クルーズの悪役演技がどうと言う以前に、単純に緊張感のない凡庸なサスペンスだった。殺し屋のキャラクターが中途半端に人間臭いのはどうした事か。ドジって一人目の標的がタクシーの屋根に落っこちる序盤から失笑。挙げ句、タクシー運転手の母親と話している隙にドジってアタッシュケースを盗まれ、慌てて追いかけたがケースはトラックに激突し木っ端微塵。運転手に凄む殺し屋の台詞『あれには全データが入ってたんだぞ!』に至ってはもう爆笑するしかない。その後も依頼主の元に自分の替わりにタクシー運転手を行かせるわ、可哀相なほど情けない。ムーディでスタイリッシュなマイケル・マン監督は、プロットが要求するヒリヒリした心理劇には興味がなかったとしか思えない。DVDでの視聴ながら、夜のタクシー車内の雰囲気はいい感じだったが、やはりこれは別の監督で観たかった。[DVD(字幕)] 4点(2006-05-24 06:30:44)(良:1票)

19.  エイリアン3 《ネタバレ》 明らかに混乱した脚本の、歪な作品ではあるけれど、デヴィッド・フィンチャー監督独特のタッチが随所に感じられて、ファン(自分)にとってはゾクゾクする作品でした。前作で生き残った人々が冒頭であっさり死んでいる事を、感傷の入り込む余地のないモニター画面で見せる等々、容赦なく冷え切った恐怖感の演出はシリーズ随一。後年、テクニックで撮った「パニックルーム」よりもフィンチャー監督の個性が強く出ているように感じます。[DVD(字幕)] 6点(2005-12-10 02:31:06)(良:1票)


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