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プロフィール |
コメント数 |
18 |
性別 |
男性 |
年齢 |
54歳 |
自己紹介 |
ハリウッド⇒西欧⇒東欧⇒アジアときて、最近はもっぱら邦画と韓国映画しか観なくなりました。年かなぁ。学生の頃は何でも観たのに。 |
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1. MUSA-武士-
アン・ソンギが久々にかっこいい。それだけでも満足。最近は話題作でもほとんど助演、仮に主演級でも渋い引き立て役になっていた感のあるアン・ソンギですが、この映画のチン・リプは『於宇同』のカルメ並みにかっこいい。例えがとても古くてすみません。カルメは手裏剣の名手でしたが、チン・リプは弓の達人。この設定がまたいいです。これだけかっこいいアン・ソンギを見るのは、『永遠なる帝国』以来。また、これは物語がいいんですよ。歴史を動かした人物の話ではなく、明に流刑されて孤立した高麗の武士達が、ただ帰国するために生死をかけて戦うという、単純なストーリー。そこにあるのは、国に帰りたいという一心と、武士の尊厳だけ。ちょっと前までは韓国の大作と聞くだけで、どうせしょぼいんでしょ、っていう先入観があったものです。『ブラザーフッド』や『MUSA-武士-』で、すっかりそういう先入観はなくなってしまいました。満足。[DVD(字幕)] 7点(2005-11-26 23:02:17)(良:3票)
2. 殺人の追憶
現実のファソン連続殺人事件自体が解決していないため、映画で犯人像に迫ることは難しい。観る前から、最後まで犯人は分からないってことがばれているのも、この映画にはとても不利な条件ですよね。しかし、観応えは十分。犯人の心情に迫ることを放棄した演出は、必然的に刑事の葛藤を徐々にあぶり出していきます。地元の刑事とソウルから来た刑事、ふたりの顔つきが、時間の進行とともに変わっていくところは圧巻です。傍若無人と沈着冷静、対立する立場で登場したふたりは、一方はやるせなさに絶望し、他方は反対に暴走し始め、次第にその立場が入れ替わりつつバランスを失っていく。青空の下、完璧なまでの、平和でのどかな風景が印象的でした。[DVD(字幕)] 7点(2005-11-26 22:00:30)(良:1票)
3. 泥の河
生も死も、大人も、人間の業も、かつてはこんなに子供の近くにあったんですね。大人はそれらをなるべく子供から遠ざけようとしますが、隠し切れない、ぎりぎり漏れて伝わってくる大人の価値観を、ひとつずつ小さな頭で消化しながら人間を形作っていくものです。だから、大人が考えるより子供は大人なんですよ。50年前にこれほど身近にあった死生観は、今や電話の陰に、テレビの奥に、PCの向こうに追いやられてしまいました。日常的に隠されているものだから、いざというとき、大人も死生観について子供にどう伝えてよいのか、全くわからなくなってしまったのではないでしょうか。最近の子供は何を考えているかわからないというようなことを平気で言ってのける無責任な大人は、その想像力を欠いた固い頭をこの映画に粉砕されるでしょう。信雄も喜一も銀子も、大人と同じように強く、同じようにもろいんです。作品を重ねる度に難解さが深まっていった小栗康平の、僕にとっては最高傑作です。[ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-07 01:58:35)(良:1票)
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