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プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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1.  ハウルの動く城 《ネタバレ》 最初に見たのはTVだったが、その時は何が何だかわからず単純に面白くなかった。その後は見直す気にならなかったが故あって改めて見たところ、大人になれない若い男と老婆のような若い女が影響し合って最後は幸せな家庭を築いた話に見えた。 男の方は世間の風など関係なくお花畑に身を置いて「人殺しどもめ」と戦争を蔑んでいればいいと思っていたが、具体的に守りたい相手ができたとたんに何人殺しても構わないほど舞い上がってしまい、これはまずいと女の方が抑えにかかって安定状態に至ったように見える。女の方はもう人生終わったかのように思っていたが、私だけの王子様のようなのが突然現れて、駄目な男だけど本当は優しい人だから何とかしてあげたいと思ったり、私のことをずっと待っていてくれたと感激したりしてやっと年齢なりの女子になったということか。それでも基本的に落ち着いた主婦向きの人物なので、男が恋人に母親を求めるような都合のいい話になっていたようである。 劇中で戦争が起こったのは二人を高次の人格に導くための契機ということだろうが、物語を動かすために起こした戦争など「バカげた戦争」というのは当然であり、物語の終了と同時に戦争が終わったのも変ではない。あるいは実際に、王室付きの魔法使いが生涯最高の弟子を表舞台に引っ張り出すためにわざと起こした戦争ということだったのかも知れない。まともに取れば多数の人命が失われたのだろうが、そもそも観念的な戦争のようでどれだけ人が死んだかなど気にしなくていい感じだった。 以上のような感じで大まかな説明はできなくもないが、それで面白いかというと大して面白くはなく、映像面でも風景や事物などに既視感のあるものが多い。宮崎アニメはいわば国民的アニメであるから一度は見なければと昔は思っていたが、別に見なくても問題ないと初めて思ったのがこれだった。 なお端正な美形女子が年を取ると鷲鼻になるのはなぜか不明だが、これならシータが年を取るとドーラになるというのもわかる。[DVD(邦画)] 4点(2017-01-23 23:42:08)(良:3票) 《改行有》

2.  北の零年 《ネタバレ》 DVDの時間表示で02:48:58にも及ぶ長大な映画であり、物理的な大作感は十分である。欠点と思われることはここまでの間にほとんど書かれているが、特に自分としてはわざとらしく芝居がかった感じの人の動きや事件や展開が気に障る。序盤はまだしも後になるほど違和感が拡大して、終盤に至るともう嫌悪すら覚える。また、最初はさんざん嫌な奴に見せておきながら実はそれぞれ事情があり真心もあり愛もあって、最後は全員が都合よく”本当はいい人”の範疇に取り込まれていくような展開は、全ての人に暖かく優しい目を向けています、というようなことかも知れないが、個人的には安っぽく幼稚に感じられる。  一方、この映画で感動的だったのは何といっても中盤の「夢を見ているようだ」であり、これは具体的にそういう経験がないにもかかわらず激しく共感する。堰を切ったように号泣するなどというのでなく、娘を膝に抱いて微笑みかけようとしながらも感情があふれ出てしまうのが奥ゆかしい。「どうして泣いているの」と尋ねるこの子がかわいいから泣くのである。 しかし、そういったプラス評価を完全に覆してしまうのが終盤の展開である。この映画は男が生命を棄てて正義を回復し、妻子のために殉じようとするのを無益なものとして否定するのか。それだけの決意をした男を「死なないで」で泣き落とそうと思う発想が気に食わず、また「生きてください」という発言も“とにかく人は死んではなりませぬ”という程度の観念的かつ無責任な綺麗事のようにしか聞こえない。“下郎”の妻のように生物学的に生きて繁殖するのが第一義というなら随意にすればいいだろうが、個人のプライドなど全く頓着なく自分のペースに巻き込まなければ気が済まないというのはどれだけ能天気で傲慢であることか。 そういうわけで激しい憤りを覚えたので、当然ながら零点である。  なお知り合いの淡路島関係者が、劇中の稲田家当主の扱いが変だといって怒っていたのでついでに書いておく。それからどうでもいいことだが、見ているとまず戸を閉めろと言いたくなる場面が目立つ。北海道は冬でも温暖なのか。[DVD(邦画)] 0点(2013-11-18 19:54:46)(良:3票) 《改行有》

3.  時をかける少女(1983) 《ネタバレ》 冒頭の場面で原作のオチを軽く蹴飛ばしてしまい、この映画は違うんだと宣言しているかのようだ。違っている点は、原作の登場人物が中学生のため思春期の一時的な心の揺れで済ませられるのに対し、この映画では年齢が高校生まで上がっているので、劇中の出来事がその後の人生を直接左右する恐れがあるということである。果たしてこの映画ではヒロインと、その幼馴染みがとばっちりで人生を狂わされてしまった。こんな理不尽な映画に誰がした、と怒りを覚える。どこが理想の愛だ。だいたい深町が憎たらしい。 しかし、本編終了後のプロモーション映像のような場面になると一転、ヒロインがにこにこしてとにかく可愛いので、見ている方も顔が緩み、テーマ曲に合わせて身体を左右に揺らしてしまう。周囲の登場人物もヒロインを盛り立てようとしているのが嬉しい。この幸福感で本編のいろんなことは全部許してしまい、あーよかったという気分になって映画の評価が確定。終わりよければ全てよしという結末。 ところで、舞台の街が超レトロであり、また一部の特殊効果が超安手なのは、映画自体が古いせいだと思う人がもしかするといるかも知れないが、これはリアルタイムで見てもそのように感じられたと証言しておく。[DVD(邦画)] 7点(2011-12-31 23:49:07)(良:3票) 《改行有》

4.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 ゴメスで始まりゼットンで終わる。映像面が旧作と段違いなのは当然として、そもそも荒唐無稽な怪獣モノに各種突っ込みを入れておいて「理に適ってる」とか言いながら言い訳していたのが微妙に可笑しい。巨大生物が繁殖もせず単体で生息しているかに見えるのは、もともと生物兵器だからということらしい。 また宇宙人(外星人)が組織的な動きでなく、単独行動で侵略しに来たようで小スケールに見えるのは、宇宙では個体で活動するのが普通だからということのようで、それで××星人という名前でないのかと思った。ちなみに個体で活動する宇宙人から見た地球人は、例えていえば人間から見たアリの群れのようなものかと思った(旧作のメフィラス星人がアリと言っていた)。 この映画では人類の特性として「群れ」を作ることを挙げていたが、別にそれが悪いのではなく弱いからこその事情であって、その群れの内部で支え合い、時には他人のために自分を犠牲にすることもある、ということだと思われる。また人間はウルトラマンに頼っていればいいのかという問いは旧作でも出ていたが、さらにこの映画では無力感が依存/服従につながることへの懸念を示し、求められるのが自律/自立であることを明瞭にしていた。 最終的に人類の未来は人類自ら担うことになったようで大変結構だが、それにしても劇中政治家が心許ないのはまことに困ったことで、ザラブというのが日本に来たのも世界で最もちょろい国だからでないのかと思った。どうもこの映画では最初から「国」という群れの単位を当てにしておらず、代わりに地球という「星」の人々に期待をかけていたようで、これは元の子ども番組に由来する考え方かも知れない。「シン・ゴジラ」が「この国はまだまだやれる」なら、今回は地球が”やればできる子”くらいの扱いではあった。 結末はよくわからなかったが最低限、ウルトラマンが仲間や相棒を大事に思ったというのは共感ポイントかも知れない。あまり楽観的に語ってしまうと現実味が薄れるが、あえていえば地球の人間と他星の人間が、史上初めて同じ群れの仲間になった物語ということか。あるいは遠い未来において、「光の星」にとっての地球という星が、挑戦者でも脅威でもなく対等な「バディ」になる日を夢見る映画だったとも取れる。 そのようなことで、古きよき怪獣特撮のリメイクということだけでなく、旧作のメッセージを踏まえて現下の内外情勢も反映し、現代なりの希望を語る映画に見えなくはない。またけっこう可笑しい場面が多いので娯楽性も高い。特に期待していなかったが悪くなかった。 以下その他雑記: ・劇中日本の対米関係は笑えない。/「鼓腹撃壌」という言葉に特定のニュアンスを込めていた可能性がある(不明)。/zero-sumが領土切取りのイメージとすれば、それとは違うwin-winの関係を目指すべきという考え方でもあったのか(不明、断片的)。 ・職場に趣味関係の雑多なものを持ち込んでいる奴がいて、サンダーバード・スタートレック・マイティジャックとSRIのトータス号は見えたがウルトラシリーズは存在しない世界になっていた。 ・山中に怪獣が出現する風景はウルトラマンらしい。「虫が多くてやだ」という台詞があったが、都市部にもいるハエ程度を嫌がるようでは甘い。山間の農地が破壊されていたのは痛々しいが、上手の水田は既に耕作放棄地だったようでもある。 ・子どもを保護すると言い出して山道を走る後姿は、何でお前が行くのかという突っ込みを誘うが、これはこれでお約束というか開き直りのおとぼけと見える。 ・特にザラブ編では、もとの番組の場面や展開がまともに生かされている。 ・「河岸を変えよう」というのが古風で粋だ。ここだけは「ウルトラセブン」第8話を思わせる場面で、オチも含めて圧巻の印象だった。これほど複雑に表情を作る宇宙人など怪獣モノにかつてあったか。 ・ウルトラマンの超能力として、1キロ先(だったか?)の針が落ちたのを聞き取るとは言われていたが嗅覚も犬並み?犬以上?だったのか。意識の高い宇宙人に悪態のネタを提供してしまっていた。 ・公安調査官役の人が好きになって来た。生物学者役の人もいい感じを出している。[インターネット(邦画)] 7点(2022-12-31 10:12:24)(良:3票) 《改行有》

5.  口裂け女2 《ネタバレ》 映画のもとになった都市伝説はリアルタイムで知っているが、すでにそれなりの年齢だったため怖いと思ったこともなく、最初から笑いを含んで語られる話のように思っていた。しかしこの壮絶な映画を見てしまうともう笑えない。自分にとってはこの映画で、口裂け女というキャラクターのイメージそのものが一変してしまった気がする。 劇中では不可思議な現象も起こるものの、あからさまに超自然的な要素を導入することはなく、基本的には現実世界の出来事のまま最後まで引っ張っていたように見える。冒頭と末尾のキャプションを見れば、この映画で描かれたのは空想世界の口裂け女の誕生とも、あるいは現実世界の都市伝説の起源とも解することができるが、特に劇中さかんに出ていた噂話は、このように陰惨な事件まで無責任な都市伝説に仕立て上げてしまう人間社会の無情さを訴えているように感じられた。 ところで、主人公は見ていて可愛い。最初の方の気恥かしい展開は狙ってやっているわけだが素直に乗せられてしまい、その後の場面が痛々しくて見ていられなくなる。主要人物のほとんどは実質的な被害者であり、最初の凶行に及んだ馬鹿を除いて本質的な悪人はいないように思うが、特に姉の夫はどうやら本当の善人だったらしい。この男が同居しようと言ってくれたところが最後の救いだったのかと思ったが、よく見るとわずかの差で間に合っていなかったようだ。主人公が題名の姿になるのはラストの一瞬だけだが、この場面の表情を見てもなお可愛いというか、自分としては彼女が哀れで愛おしく感じられた。多分、父親の立ち位置から見ているからだろう。 なお、メイキング映像で主演女優が普通に笑っているのを見るとほっとする。本人が歌う主題歌も結構きつい内容で、久しぶりに心が痛い映画を見た気がした。[DVD(邦画)] 9点(2013-06-03 21:08:02)(良:3票) 《改行有》

6.  小さき勇者たち ガメラ 《ネタバレ》 実物の子ガメはともかくガメラの造形も可愛らしい。成長後はそれなりに凛々しくなるが最後まで童顔を残しているのは“愛すべき怪獣”を体現している。成長段階に応じた最初の火球攻撃と最初の回転ジェットのタイミングは感動的だった。また子役が煩わしく感じられないのは、昭和ガメラに比べると著しい進歩といえる。ほか美少女が出るのは現代風だが、これも歓迎する。 それで映画の内容としては、映像面では平成以降の水準と特徴を受け継ぐ一方、ドラマ部分は昭和ガメラ直系の後継作と思える。心に欠けたところのある少年とガメラとの関係性をもとにドラマを作っているのは昭和ガメラ第一作への回帰のようで、またキャッチコピーに書かれたように、子どもらがガメラを助け、ガメラがそれに応えてくれるというのは、古き良き昭和ガメラの本質を示しているように思われる。劇中の大人は善人でも結局自分のことしか考えておらず、「みんなが逃げるためにガメラが戦ってくれてる」とはあまりの言い草で、ウルトラマンその他に任せて安心と思っている世代の根性が情けない(自分はこっちに近いわけだが)。やはり観客の思いを託すのは子どもらでなければならず、石のリレーが不自然なのは言われなくてもわかっているが、正直ここは泣けた。君らもヒーローだと言ってやりたい。自分もガメラの鼻先を撫でてやりたい。 ただリアリティを削ぐのがカリカチュアライズされた役人の存在であり、こういうバカみたいなのは出さなくていい。要は政府や自衛隊が動いていることが示唆されればよいので、半端な社会描写などは割愛し、主人公周辺の人間関係だけに限定でよかったと思われる。これは戦争映画に大局感が必須でないのと同様である。 以上、子どもの出るファンタジックな映画のため攻撃性が鈍るのも確かだが、子どもだましと貶めるよりも、あえて大人がだまされてもいいと思える映画である。何より個人的な趣味嗜好が嵩じたような人々ではなく、ちゃんとした大人が作っているという安心感がある。 40年間の全ガメラ映画を当事者的に眺めて来た立場からすれば、この映画が映像面とドラマ部分を総合して最も高水準の内容が実現できており、子どもを中心に据えた怪獣映画の理想像を提示したものと思える。いいものを見せてもらった、というのが率直な感想であり、評点についても、ここまでの最高が9点なのに励まされる形でいい点を付けておく。[DVD(邦画)] 8点(2013-01-20 08:46:42)(良:2票) 《改行有》

7.  洋菓子店コアンドル 《ネタバレ》 色彩豊かなスイーツの映像だけでも心なごむ映画と予想するわけだが、実際見ると主人公があまりに破壊的な人物のため事前のイメージが砕かれてしまう。 とにかく感情制御に問題があって、自分の心の安定を保つためには客観性も常識も思いやりもなくなるらしいのが大変なところである。特に怒りの抑制が困難らしく、些細なことでも心に収められずにその場でバランスを取ろうとするので大ごとになってしまう。元彼が本気でものを言っているのに笑い飛ばそうとした態度には、さすがに自分としても(実在の人物を思い出してしまって)腹が立った。これまでずっとこんなのを相手にしていた海くんが哀れでならない。 これでその他の条件(主に見た目)がどうかによっては見るのも考えるのも嫌な奴ということになるだろうが、幸い主演女優のおかげでまだしも愛嬌があるのが救われる。劇中ではこの人と元彼・店のシェフ・嫌味な先輩・伝説の男とのやり取りがそれぞれ見所になっていて、専らこのキャラクターの存在が映画全体の価値を決していたように思われた。初回はともかく2回目に見ると彼女の言動には笑いっぱなしで、次第にこの主演女優も好きになって来た気がする。 一方でストーリーとしては緩い感じになっており、娘にケーキの作り方を教えたいと思ったことが何で復帰の動機になるのかとか、要は復帰すればいいのであって元妻とよりを戻すことまで考える必要がどこにあったのかとか細かいことはいろいろあるが、まあ大体のところでいいお話だったのではないかと思われる。 なお常連さん宅にケーキを届ける場面では、常連役の女優の普段のイメージとの関係もあって“この人がこんなことを言ってくれた”と少し感激する思いだった。ただこのケーキを作ったのは主人公ではなかったはずなので、ここは彼女に奮起を促したエピソードだったということだろう。[DVD(邦画)] 7点(2014-02-03 19:50:39)(良:2票) 《改行有》

8.  ひまわり(1970) 《ネタバレ》 2022/2/24撮影の動画で、ウクライナ人の女性がロシア兵に対し、ヒマワリの種をポケットに入れておけ、と言ったのを見てこの映画を思い出した。 実際にヒマワリ畑の映像はウクライナで撮影したとのことだが、しかしこの映画自体はウクライナのことなど全く意識していない。字幕を見る限りは「ロシア」としか言っておらず、映像的にもモスクワ周辺が映っている場面が多かったらしい(ネット上のロケ地紹介記事によれば)。物語の設定上も、主人公の夫が「ドン河」で戦ったのだとすれば、現在のウクライナより東のロシア領の話だったかも知れない。現下のウクライナ情勢を受けて、今こそ見るべき映画として全国各地で上映する動きもあるようだが、ウクライナという国に注目して見ようとするとちょっとずれた印象を受ける恐れがある。ただ最低限「戦争反対!」とはいえそうだ。 ちなみにヒマワリは別にウクライナ原産でもなく、ロシア帝国時代の18世紀?に持ち込まれてから現在のロシアとウクライナに広まったとのことで、現時点でのネット上ではロシアの国花と書かれている記事もある。これをロシアではなくウクライナだけのシンボルとして位置付けるのは不自然であり、両国共通に親しまれている植物と思うのが妥当ではないか。今回の戦乱によって両国のヒマワリが分断され、ウクライナのヒマワリが国際的に公認されてロシアのヒマワリが否定されるとすれば変なことになる。国で分けるのではなく人々の連帯のシンボルにでもなればいいだろうが。 ドラマに関しては、基本的には共感しづらい人物が多く、どうも外国の映画は馴染めないものがあると思わされる。ロシア人妻が可憐に見えたのはよかったが、心が乱れてしまって子どもに当たっていたのはよろしくない。 主人公は冷戦下のソビエト連邦に入ったわけだが、現地のソビエト市民は平和で友好的でそれなりに満ち足りた暮らしをしているように見える。まるで社会主義の成功をアピールするPR映画のようでもあるが、それはそもそも合作映画なので当然としても、もともとイタリアは西側の中でもソビエト連邦と友好的だった関係もあるかとは思った。主人公をヒマワリ畑へ案内した役人は、親切そうに見えて実は監視役だったのではないかと皮肉を書いておく。 なおどうでもいいことだがイタリア語で蚊はzanzare(単数zanzara)というらしい。ロシア語は知らないがНе знаюだけはわかった。[DVD(字幕)] 5点(2022-03-19 09:57:04)(良:2票) 《改行有》

9.  60歳のラブレター 《ネタバレ》 大変ハートウォーミングな映画で、医者と魚屋に関してはまあ素直に共感できる。 ただし中村雅俊氏の役は感情移入が難しいキャラクターだけに、最後の締め方もアクロバティックというか突然ファンタジー調になった感じで、これが映画的な盛り上げというものかも知れないが少々無理がある。この男だけは、これまでの積み重ねを怠ったために因果応報ということでもよかったのではないかと思うが、だからといって元妻と人気作家がこのままうまく行くというのも変であり、見ている側としては困ってしまった。団塊世代の大量退職を背景にした企画というのはわかるにしても、それまでの行状にかかわりなく60歳というだけで免罪してしまい、とにかく全員にエールを送らなければ済まないというのでは、“年齢関係なく”という脚本家の言葉も説得力が薄れる気がする。 なお個人的な見どころとしては、医者をめぐって対決する中学生女子と50代女子が、それぞれ本気で一生懸命で愛らしく見えることだった。それから綾戸智恵という人は映画の外でも相当に可笑しい人物であるらしい。[DVD(邦画)] 5点(2013-08-11 18:25:22)(良:2票) 《改行有》

10.  呪怨 -終わりの始まり- 《ネタバレ》 [2014-11-30 DVD視聴に伴う改訂]  OV版1から劇場版2までの4作から各種素材を持ち寄ったように見えているが、基本的な筋立てとしてはOV版1の発端部分と劇場版2の受胎部分を直接つないだ形になっており、これを白塗り少年を軸にまとめたことで、けっこう筋の通ったストーリーができた感じである。 この映画でも時系列錯綜の特徴は継承しているが、呪いの原点に関して旧作になかった設定を追加しており、そのせいもあって初見時には時系列に関する個人的仮説が途中でひっくり返される感じもあった。また学校教員が関わるのはOV版1と共通だが、この人がただ巻き込まれるだけでなく、終盤で決然と現場に乗り込んで行ったのは少し感動的で、この辺は旧作の貧相で情けない主人公と一線を画している。今作は最後が涙で終わっていたのも好印象だった。 一方でホラーとしての怖さはほどほどで、旧作の形式を継承していることもあり、この辺で出るだろうと構えていられるのは観客に優しい面がある。しかし旧作だったらこうなるはずだと見せておいて、おっとそう来たか、と思わせる箇所もあったのは可笑しい。また特徴的と思われたのは音響面で、ピアノの場面に続いて何度も起こる楽音的な大音響や、人物の絶叫に続く電車の金属音は印象的だった。 ところで出演者に関して、まず主人公役の女優はこれまで特に注目していなかったが、この映画を見るとあまりにもキレイでカワイイので感動した。劇中ではこの人の脚がきれいなのをしつこく見せつけていたようで、そういったところにもこだわった映画かも知れない。 一方で女子高生の七海が他の3人に比べて特別扱いだったのはストーリー上の必然性がなく、これはキャスティング上の事情によるのかと思うが、こういう人は顔が汚れないで終わるのは不公平である。個人的には莉奈役の女優が好きで見たわけだが(意地悪な感じだが可愛い)、ほかの女子高生もそれぞれ個性的で、こういった多彩な女優を見られるのはこのシリーズのいいところなのかも知れないと改めて思った。またDVDの出演者インタビューを見たところ、佐伯伽椰子役の最所美咲という人が柔和な感じで心和むものがあった。これからもみんなに愛される女優であってほしいと他人事ながら願っている。 なおエンドロールで動物を虐待していない旨の表示が出るが、劇中の描写は人間を含めて悲惨であるから、よい子の皆さんは真似しないでいただきたい。[映画館(邦画)] 6点(2014-06-28 23:50:58)(良:2票) 《改行有》

11.  人狼ゲーム デスゲームの運営人 《ネタバレ》 今回は運営組織が代わったらしい。撮影場所も、以前は小山町フィルムコミッションの関連施設(静岡県小山町)だったが今回は自動車労組のセミナーハウス(静岡県御殿場市)を借りている。 背景設定としては、運営側の主人公がやっていた個人事業が買収されて本式の殺人ゲームをするようになったとのことで、出資者も顧客も外国の富裕層ではないのかと思った。運営の粗雑さが低コスト化や社会の劣化を思わせるものもあり、荒唐無稽なはずの殺人ゲームが妙に現実感を増してきているようなのは気分が悪い。 今作では運営側を前面に出して、ゲーム自体というより全体的なサスペンス展開で見せている。それほど悲惨な場面はなく、緊迫感に欠けるところもあるが意外な結末ではあった。しかしいくら観客側が配役を知っているからとはいえ、人狼があまりに饒舌なのは怪しすぎる。こんなのの言辞に惑わされず直感的に投票していれば、可哀想な予言者が死ぬこともなかったはずだ。 初めのうちは殺人ゲームの運営/参加を平然とやる連中ばかりのようで暗澹とさせられるが、それだけではないところも見せている。人間にとって、実は他人の人命などそれほど重大事でもないのが本音であり、“いのちは何より大切!”的な主張などは偽善に思えることもあるだろうが、しかし何としても守りたい特定個人がいるというのも人間である。誰しも本当に大事に思う人間がいて、そこに共感する他者もいて、そのような関係が広がれば人命尊重という共通認識の基盤もできていくはずと解されなくもない話だった。 なお今回はかなり特例的なエピソードのため、このままシリーズがまた続いていくような気は全くしない。次はどうするつもりなのか。 登場人物に関しては、「可愛い子」が多い理由を運営側が一応説明していたが、実際に今回はそういう印象が強い。参加者側の主人公役は「ビブリア古書堂の事件手帖」(2018)で栞子さんの妹役だった桃果という人で、今回は賢明で芯の強いちゃんとした人物らしい顔を見せている(守りたくなる)。今後の活躍を期待したい。 また人狼役の朝倉ふゆなという人は「くちびるに歌を」(2014)にも出ていたようで、今回はイヤ~な人物像を芸達者な感じで演じている。ほか個人的には運営側チーフのお気に入り(演・山之内すず)もわからなくはないが、何より可哀想な予言者(演・森山晃帆)が早々に退場してしまったのが残念だった。[DVD(邦画)] 5点(2021-05-15 09:13:04)(良:2票) 《改行有》

12.  SPACE BATTLESHIP ヤマト 《ネタバレ》 今年に入ってから酷評が多いので気が引けるが、自分としてはやはり年代のせいもあって、大昔のしょうもないアニメを現代風に映像化したこと自体を評価してしまう。また前の方のレビュアーも書かれているように、特に褒めたいのがエンディングで出たクレーターのある風景で、こうなるだろうと昔から思っていたことをちゃんと映像化してくれたことには感謝したい。これは間違いなくこの映画の功績である。 それからキャスティングについて、主役の個性が出過ぎているのは確かに気に障るが、それはまあ少々我慢すれば済むことである。それより、もともとどうでもいい扱いの相原の性別を変えて出した女優にはちょっと注目してしまった(結構目立っている)。艦が揺れたときにこの人(多分)が「うわぁ!」と声を上げる場面は好きだ。 そういうわけで大体好意的なのだが、ただ一つ納得できない点としては、やはりイクサブネでやってはならないことというのがあるわけで、もともと変に雇用均等が徹底されている上にそういうことが許されるなら、そこら中で野合状態になるだろう。失われた家族の復元という趣旨はいいと思うし、エンディング部分もそれなりに感動的だが、こういう軍紀違反を前提にしないとストーリーが成り立たないのはつらいものがある。 なお余談だが、大和の沈没地点の放射線量がマイクロでもミリでもない「14シーベルト(おそらく毎時)」だったのは、今になってみると本当に危ないと思う。 [2015-10-14追記] 改めて見直したが、西暦2012年の時点で書いたことに変更はない。昔の名作?を安易にリメイクしようとする企画側の姿勢がどうかは別として、できたものはそれほど悪いとも思えない。TV第1シリーズと「さらば…」からいいとこ取りしてちゃんと2時間強に収めてあり、また放射能除去装置の話が嘘だったという意外な設定をもとにして、“わずかな可能性を希望に変える”ことをうまくストーリー上で表現できていたと思われる。他の映画との調整の関係から、場合によっては点数を変えるかとも思っていたが(具体的には1点減程度)、そこまでしなくてもいいようである。[DVD(邦画)] 6点(2012-05-14 22:34:26)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》

13.  大巨獣ガッパ 《ネタバレ》 当時の特撮怪獣映画としてはそれなりというしかない。特に前半の南洋の場面はかったるいので、以前見た時には洞窟探検の前あたりで寝てしまったこともある。それでも改めて全編を見れば、中盤で米潜水艦の近くの海面から親ガッパが飛び立つ場面はなかなか迫力があるとは思える。熱海に上陸した場面では、建物が倒壊して出た塵埃のために、せっかくのタコがほこりまみれになるのではないかと少し心配だった。 ところで、この映画の何年か前に公開されたイギリスの「怪獣ゴルゴ」が親一人子一人の親子怪獣だったのに対し、それを受けた?この映画ではさらに設定を強化して両親+子一人の家族怪獣にしてあり、そのためにドラマ部分でも“家族”をテーマにしなければならないよう運命づけられたともいえる。劇中ではヒロインと社長の娘が子ガッパの心情に共感し、周囲を動かして親子を故郷へ返していたが、またこの2人がそれぞれ核になって人間世界にも2つの家族(踊りの先生を含む)を誕生させたのだろうと想像される。現代ではキャリア志向の女性を家庭に押し戻そうとするかのようなお話を作るなど考えられないが、一方では立身出世を第一義とする男の論理にも再考を促しているようであり、この時代に理想として提案された家族のあり方を改めて現代に示すこともまた有意義ではないかと思われた(誰も見なければ無意味だが)。 一方、この映画で最も感動的なのは何といってもヒロイン役の山本陽子さんであり、撮影時点で24歳くらいかと思うが(設定は22歳)、とにかく可愛いらしいので心なごむものがある。全体としてはすらりとした体型でも、あごの下の肉が少し余って見えるのが何ともいえず愛らしい。ラストでは、相手役の男がヒロインを追いかけて二人が寄り添うなどという場面もあってまことに微笑ましく、ちゃんとした万人向けの娯楽映画になっているのが何より嬉しい。この点はネタ元になったイギリス映画と一線を画すところであり、わが国怪獣映画の美点がこの単発映画にも確実に受け継がれていると感じられた。[DVD(邦画)] 6点(2014-01-06 23:46:28)(良:2票) 《改行有》

14.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 [2012.10.27改訂] アニメヒロインっぽい元気な女の子の青春物語。終盤には“時かけ”の通例どおり切ない別れが待っている。 別れの場面では、千昭が「未来で待ってる」と告げ、真琴が「走って行く」と応えていたが、実際は千昭のいる未来と現在との間には絶望的な懸隔があり(原作の27世紀という設定を採用)、これが永遠の別れになるのだろう。しかしどれほど遠くても、現在とはいわば地続きの未来であり、時の向こうに間違いなく千昭はいる。真琴はもう自分自身で時間を超えていくことはできないが、はるか未来で待つ千昭のために、あの絵を残すことならできるはずである。そのためにいま何をすべきなのか、終盤で夏雲を見上げた真琴は心に決めていたに違いない。 この映画での「時をかける」とは、原作や他の時かけ映画のような、単なるタイムトラベルの言い換えではない。何の特殊能力もない女の子が、ただ時間に流されるのでなく、自分の意志と力で能動的に未来へ向かって行動しようとする姿を示している。そう思えばこそ、終幕であらためて表示されるタイトルに深い感動を覚えるのである。 なお劇中で真琴が魔女おばさんに持って行った手土産のケーキは、都内の実在の洋菓子店(エンドロールに出る)で調達したものだったが、その店名の”à tes souhaits!”という言葉を真琴に贈りたい(同店公式サイトに意味が書いてある)。 ところでこの映画では、時間というものの性質についてかなり柔軟な見方をしているらしい。他の時間モノでは、定められた時間の流れを寸分たりとも変えてはならないなどという厳しい制約がかけられている場合もあるが、この映画では同じ時間を何度も経験すれば全く違う展開が生じており、そのことで一人の人間がもつ無限の可能性が示されていた。また途中で“シュレディンガーの猫”が登場していたが(静止画)、別の場面でも一時点で複数の可能性が並存していて、フタを開けてみなければ確定しないという状況が描かれていた(功介の態度)。 “未来は変えられる”とか“やってみなければわからない”というのは、言葉にすれば当たり前のことだが、年を取るとどうしても未来の自由度が狭まるので、そもそも自分はこういう運命だったと考えて納得してしまうことが多くなる。自分にはもう無理であっても、せめて若い世代には、その当たり前のことをもっともっと言っていきたい気がしている。[DVD(邦画)] 10点(2012-01-21 21:22:05)(良:2票) 《改行有》

15.  埼玉喰種<OV> 《ネタバレ》 「東京喰種 トーキョーグール」(2017)と同年の製作だが、本家に堂々と対抗する気概を感じるわけでもなく、単に東京を埼玉に取り換えて人目を引こうとしただけらしい。なおグールghoulでなくグールーghoulouとした理由についてまともな説明はなかった。 題名に出したからには埼玉でなければならないので「埼玉にこんな山があるなんて」というような台詞を2回くらい言わせていたが、その山へ行く途中の駅がJR青梅線の軍畑駅(東京都青梅市)で、「高水山/青梅丘陵ハイキングコース/東京都」という表示が映ったりするのは真面目にやっているようには見えない。とりあえず埼玉映画としての性質は全く感じられなかった。 内容としては予告編から受ける印象以上のものはない。人を食うよう運命づけられた巨乳生物の切ない物語(後日談付き)を一応作ろうとしたようだが形だけなので真面目に見る必要はない。脚本のほか演出・撮影・録音・音楽など全般的に低調で、そもそも映画を作ろうとする気がないのではと思ったが、監督は「ホラー・ドキュメンタリー」に携わって来た人物らしく、そういうものの延長で映画のようなものを作るとこういうものができるのかとは思った(ちなみに制作会社はAV会社の系列とのこと)。なおエンディングの前に5分半程度のメイキング映像を入れていたのは作り手の姿勢に問題を感じる。 スタッフはともかくキャストはみな一応の役者だろうが、主演扱いの(ほとんど演技しない)雨宮留菜という人だけは人気グラビアアイドルとのことで、要はアイドルホラーとして作られたものらしい。身長143cmでHカップという極めて特徴的な体型だそうだが、劇中でそれが生かされているわけでもなく、単にその場に突っ立っているだけの人物に見えた。ファンなら姿が見えさえすればいいのかも知れないが。 最初からこういうレベルで作ったにしても独創性もなく平板で、もう少し頭を使って作るということができなかったのかとは思った。それからスタッフにもう少し国語の得意な人がいた方がよかった。 なお女優では、女子社員→母親役(実質主演)の竹内奈菜という人はかなり個性的な風貌だが、特に序盤はほどよく色気が出ていて目を引いた。また犠牲者役の大町沙矢佳という人は、美形ともいえないがなかなかキュートな感じではある。そういうところでも見ないとほかに見どころが全くない製作物だった。[DVD(邦画)] 1点(2019-10-05 09:58:21)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》

16.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 登場人物の多い映画だが、主人公とヒロインに限ってみれば著しく都合のいい青春ドラマである。内気な男子が自分では何もしないのに、年上女子が勝手に手を握ったり抱きついたりしてくれて、その上「あの子をよろしく」とまで言われて本当はうれしいのに迷惑顔できるような、年少男子の願望丸出しの気恥かしいストーリーになっている。ただ、よろしくと言われたのは主人公しか知らないことなので、あとは自分でがんばれということだろう。 また、映画に出るインターネット上のサービスがコミュニケーションや商用機能だけでなく、インフラなどの社会システムまで担っている設定は不自然に思われる。しかしパソコンやネットには詳しくとも実社会とは接触不良の青少年が、自分も現実世界を救うヒーローになれる、と感じられるシチュエーションを準備するためには、多少無理でもこうする必要があったということか。ネットやゲームを馬鹿にする母親(=劇中の主婦連)を見返してやるというような展開は大人気なく、これもまた年少者に極めて甘い内容になっている気がするが、それでも最後は主人公が新しい人間的なつながりを作って終わっていたので、まあよかったとすべきだろう。 ところでこの映画では、インターネットに依拠しない旧世界の「つながり」と、ネット上の新しい「つながり」が競うように危機に対処していたが、前者代表の曽祖母が電話で言っていたのが、要は“あきらめるな、元気を出せ”というだけなのは大変拍子抜けだった。本当の大事件なら関係機関では落胆する暇もなく対策に奔走している最中だろうから、この人は明らかに的外れなことを一生懸命言っている。福島第一原発の所長を電話口に呼び出すようなもので、相手先の組織的対応を邪魔しているようにしか思えない。これがリアルの「つながり」というならお粗末なことで、この映画自体が実社会と接触不良のように感じられた。 以上、前作に引き続き青少年向けの作りになっているが、対象範囲はさらに狭まった感じである。自分としては普通に面白い娯楽大作という以上の評価はできないが、映像面や人物描写ではいいところが多かった。消防3兄弟、自衛隊員と漁師のオヤジが格好いいが、ヒロインも可愛いと思う(実は予告編の「…1名なの!」という場面につられて映画を見た)。またラストの写真は素直にほめたい。[DVD(邦画)] 6点(2012-08-11 17:31:44)(良:2票) 《改行有》

17.  犬鳴村 《ネタバレ》 地元PRに使えるネタではないはずだが、現地の自治体が実名を出して特別協力していたのはかなり驚いた。県警名と車のナンバーも実在であるのに電力会社だけ架空になっているが、ちなみに現実の犬鳴ダムは県営である。 ストーリーはかなり説明不足に見えるので、欠落部分を勝手に補うと次のようになる。 ***** 村人は昔から周辺住民に忌避され恐れられてきたと想像される。ダム建設なら金と脅しで立ち退かせれば済むはずが、皆殺しにまで至ったのは会社の意向というよりも、この機会に忌まわしいものを一掃したい、という周辺住民の集団意志があったからではないか。その先頭に立った旧家に主人公の母が嫁に来たのは、憎むべき家系の廃滅または乗っ取りの意図が背後にあったと思われる。また今回の事件がきっかけで、それまで知らぬふりをしていた周辺住民も、まるで全てが旧家のせいだったかのように責任転嫁を始めたようだった。 事件のあと、旧家は家庭崩壊を免れたようでもあったが、しかし村人の子孫は確実に社会に紛れ込んでおり、その異能はやがて周辺住民の脅威になっていく恐れもある。そうするとダム建設時の虐殺も、社会の多数派たる周辺住民にとっては一理あったことになるか。あるいは大した脅威でもなかったものを、脅威のように言い立てて差別し迫害した多数派への復讐が始まるということかも知れない。 ***** 家単位で見ると憑物筋の特徴も出ていたようだが、村単位ではネット発祥の怪談「コトリバコ」や、欧州でのポグロム(イェドヴァブネ事件など)を連想させられた。ちなみに実在した犬鳴谷村はこれとは全く違うものであり、上記はこの映画限りでの解釈である。 個別の場面としては、若年女子が股間を黄色くして歩くのが衝撃的だった。白い服に映る映像を振り払おうとする演出も悪くなかったが、終盤のトンネル内の揉め事は早く終わらせろと言いたくなった。なおラストのトンネル映像が本物だったとすれば、ここが一番怖かった。 人物関係では、三吉彩花嬢は長身で美形の医師かと思ったら臨床心理士だそうで、女性っぽさは抑えていたがすらりとした姿には終始見とれていた。ちなみに劇中の子役はこの人の子役時代とは似ていない。また村娘役の宮野陽名という人は撮影当時まだ中学3年生だったとのことで、若いのにプロ根性があるようなのは感心した。ほか突撃バカ役の大谷凜香という人は、「ミスミソウ」(2017)でも悪役だったが今回またひどい役だったので、今後もどうか頑張って演技者として大成してもらいたい。逆さになった一瞬の表情は輝いていた。 [2022/7/23変更] 突っ込みどころの多い映画だが、「牛首村」までのシリーズ3作の中では最も総合的なエンタメホラーになっていて悪くないと思ったので点数を+1にしておく。エンディングの空撮とテーマ曲が心に残る。[インターネット(邦画)] 6点(2020-10-17 08:22:32)(良:2票) 《改行有》

18.  アイ・アム まきもと 《ネタバレ》 「おみおくりの作法」(2013英伊)のリメイクとのことだが、撮影場所からすれば「おくりびと」(2008)の成功に味をしめた制作会社が二匹目のドジョウを狙ったように見える。変な題名は我の強い人々には受けるかも知れないが、自分にとっては見る気を減衰させる効果しかない。 内容的にはコメディ要素らしきものが多いが笑えない漫才のようで寒々しく、また本人の性格特性を言い訳にして、お役所だから非効率も許されるはずという前提で話を作っているのは安易な印象がある。都合よく人を死なせて泣かせるのは薄っぺらいドラマというしかない。 物語に関しては、世評によれば結構忠実なリメイクらしいので、この映画に対していちいち突っ込みを入れる気にならない。もとからこういう変な話だったということだ。 一つ書くと、死を語る映画であれば死者よりむしろいまを生きる人々を前向きにさせるメッセージがあってもらいたいと思うが、それがこの映画では「頑張った」だったのか。オウムが言っていたように日々の自分を励ますため、あるいは主人公のように最後にこの言葉が言えるよう、日々悔いのない働きをしようということならわからなくはないが、何にせよ最後の締めの言葉だというのが後向きの印象を残す。 未来に向けて生きていこうと人を元気づける映画でもなく、どちらかというと人生後期の人々向けに、そろそろ自分の最後を意識しておけ、という終活映画のように思われた。今の時代にふさわしい。 以下関係ないが個人的な思いとして、自分としては劇中の元炭鉱夫のように、死んだ後はもうどうでもいいので死体を適切に処理してもらいたいとしか思わない。もう死んでいるので葬式に人が来なくても困らないが、しかしそれでも自分の死を悼んで来てくれる人がいるとすれば有難いと思う(心霊になっていれば泣く)。故人を思う生者の気持ちは大事にしなければならず、自分もまた生きている限りそのような気持ちは持っていたいという程度の感慨を催す映画ではあった。特に同じ時代を生きて来た人が先に行ってしまうのはつらいものがある。[インターネット(邦画)] 4点(2024-01-20 19:55:30)(良:2票) 《改行有》

19.  牛首村 《ネタバレ》 「恐怖の村シリーズ第3弾」である。 今回は「坪野鉱泉」と「牛首トンネル」という2つの心霊スポットを取り上げているが、題名のとおり牛首関係の方が中心で、廃ホテルとはエレベータなど“落ちる”場面で本筋とのつながりをつけている。「村」に関しては実在の地区名があるようだが(江戸時代は牛首村)、八坂神社(祇園社)の祭神である牛頭天王に由来するのであれば別に呪われた地名などではない。ほかに牛首つながりとしては“そんな怖い話は誰も聞いたことがない”という「牛の首」説話とか、予言獣「件」(くだん)とかいうネタを出しており、また「七つまでは神のうち」など各種要素を積極的に(やたらに)取り込んでいるのが特徴的ともいえる。 この映画に何かまともなテーマがあるとすれば牛というより双子に関することのようで、昔あった「畜生腹」という言葉と、具体的な動物としての牛を無理やり結び付けた形かと思われる。現代日本で双子を忌み嫌う風潮などはさすがにないだろうが、それでも多胎児家庭は虐待リスクが高まるため支援が必要という声もあり、また世界的にはなぜか多胎児の多い地域があるようで(食物の関係?)、それが人権問題につながっている場所や時代もあったのかも知れないが、そういう社会的な問題提起のようなものがこんな映画に込められているわけもなかろうという気はする。 以上に関して無理にいえば、関連性の曖昧な各種要素を逐次投入して観客を眩惑させておき、最終的に真のテーマに導く意図だったと取れなくもないが、単にまとまりがないだけのようでもある。さらに今回は邦画ホラーらしい怖さも特になく、適度にふざけた部分もないので真面目に見えるが面白味がない、というのが素直な感想だった。 ほか今回は地元PRにも気を使っていたようで、Aクラスの蜃気楼が出た時は実際に魚津市役所がアナウンスするとの噂もある。映像面では魚津駅の大雨が印象的だった。 登場人物に関しては、芋生悠という人が全く可愛くない役だったのは残念だ(本人がよければいいが)。またレギュラー化した突撃ユーチューバーが「オカルト特集第3弾!」と言っていたので、この人が犬鳴村と樹海村から無事に生還できた世界での話かも知れない。せっかくなので、この人のYouTubeチャンネル「アッキーナTV」で定番だった「ハロー!アイムアッキーナ!世界の皆さんこんにちは〜!ども、アキナです!」をフルバージョンでやってもらいたかったがそうでもなかった。同行のミツキちゃん(演・莉子)も愛嬌があって可愛いので、次の機会にまた生き返って出てもらうのもいい。[インターネット(邦画)] 5点(2022-07-23 09:44:01)(良:2票) 《改行有》

20.  犬鳴村 恐怖回避ばーじょん 劇場版 《ネタバレ》 本編を見てからなので期待感は全くない。 冒頭の説明通り、ホラー場面に手を加えて怖くないようにしたものらしく、コメントでドッキリを予告するとかキラキラの装飾とか、「イラストで表現します」と書いておいて「いらすとや」風の絵を実写に被せるといった加工をしている。怖さの緩和以外にも、観客が見落としそうな一瞬の映像を親切に指摘するといったこともしているが、しかし見所には全部コメントが付くだろうと思い込んでいると、序盤で立小便かと一瞬思わせる場面などはかえって見落としてしまいそうだ。ほか「応援タイム」というのもあったが観客の全員が沈黙していただろうと想像される。 ドラマ部分は変更がないようだが、しかしこんなふざけたホラーにしておいて、全体を真面目な顔で見ることなど初見の観客に可能なのかどうか。せっかくの物語を背景音楽やコメントが明らかにぶち壊しているところがある(主に2か所)。 逆に本編を見た者としては全編突っ込み入れまくりにして笑わせてもらった方がよかったが、ドラマ部分はほとんど加工がないのでそういう見方もできなくなっている。わずかに可笑しいのは「こんにちは、いぬです!」「失敗しちゃった笑」「ここは便所ちゃうで~」「電話かけたいねん」くらいのもので、これなら公式のギャグPVでも見た方がよほど笑える(鷹の爪コラボなど)。 一応全部見た結果として、これはやっつけ仕事ではないのかと正直思った。 なお同じ映画を繰り返して見た形なので、本体部分に関して改めて思ったことを書くと、 ○祖父宅から見えた山霧はいい感じ。祖父は全部わかっているが思いを押し込めている。 ○帽子の男は昔風だが渋味があってクールな奴だ。 ○海でなくて湖だという件は本編段階からあるとぼけた場面で、こういうのは「呪怨」以来のこの監督の持ち味である。 ○エンドロールの背景で空から現地へ迫る映像は迫力がある(行くな)。 ○主題歌がかなり心を打つ。これで鑑賞後の感情が支配されてしまう。 そのほか人物の関係で、奥菜恵の出演場面には注意喚起のコメントがついていたが、それ以外にも例えばファン向けに「三吉彩花ちゃんでたー!」と書いて盛り上げるとか、「宮野陽名ちゃんはSeventeen専属モデル。この頃まだ15歳!」とか紹介を入れるとよかったはずだ。ちなみに突撃バカ役の大谷凜香という人は、しつこいコメントのせいで小便娘ということがますます強く印象付けられてしまっていた。[インターネット(邦画)] 1点(2020-10-17 08:22:35)(良:2票) 《改行有》


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