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プロフィール |
コメント数 |
17 |
性別 |
男性 |
年齢 |
50歳 |
自己紹介 |
色々と探り中です。 戦前戦後の日本映画好きですが、割と雑食です。 監督は1人あげるとしたら溝口健二監督です。 |
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1. サマーウォーズ
《ネタバレ》 率直に観て興奮もあるし、面白いし壮大なスケールに感嘆し、クリエイター陣の創造力に圧倒されるし。
でも3点。
ストーリーの骨組みが定まっていないように思えて、勢いに騙された感が残る。
サイバーな仮想空間における疑似コミュニケーションやデジタルに処理される世の中と、田舎の大家族のリアルコミュニケーション・完全にアナログの世界を対比させているようで、
ストーリー上の対立軸としては
アナログ VS デジタル ではなく、
デジタル・アナログ含む人間のネットワーク VS 人工知能
と設定されている。
人工知能への警鐘的な作品ではなく、あくまでも人工知能は暴走したら危ないよという、作中の高校野球と同じくらいの位置づけだし
また人物描写も結局よくわからず。
この作品のマスター、栄ばあさんはどういった判断基準で生きているのか。
つながりを大切にしているばあさんであることはわかるけど。
なぜケンジを認めたのか。なぜわびすけを拒絶したのか。
なつきがわびすけに恋をし、それを見ているけんじの様子は非常にリアリティがあり面白かったが、
ラスト、なつきがけんじを好きになる瞬間がなぞ。
確かに暗号を解いて、みんなのためにがんばっている様子はかっこいいと言えばかっこいいが。
わびすけみたいなクールな大人に憧れ、恋心を持つような女の子がケンジみたいな男にそんな簡単に恋に落ちるのかな。
ちょっとかっこいい、くらいの描写だったら納得した。
人に共感が持てないし、あれだけ作り込んだ設定も鼻血ブーみたいな漫画的でしかも昭和後期に流行ったような表現されても。
せっかく作り込んだ設定全部台無し。けんじにはなつきを受け入れる器は伴っていない。
というわけで人間ドラマとして観れない以上、映画としての高い評価は出来ません。
でもとても面白かったです[DVD(邦画)] 3点(2018-08-10 17:54:58)(良:1票) 《改行有》
2. 華岡青洲の妻
《ネタバレ》 市川雷蔵、高峰秀子、若尾文子、伊藤雄之助、浪花千栄子と、名前をながめているだけで気持ちよくなってくるような豪華キャスト。
見所の一つはやはり高峰秀子さんと若尾文子さんの関係性。
これは中々一口で語るわけにはいかないものでして。
尊敬もありお互いに愛情もありつつ、医者の家の女として争い、嫁と姑としても争い…。
一筋縄ではいかない人間模様を描いています。
冒頭しばらくは本当に幸せな世界なのに、市川雷蔵が家に帰って来ると同時に、よーいドンという感じでねちねちワールドが始まります。
中盤、一つのクライマックスとも言える人体実験を申し出る妻と母の激しい争いのシーンで。
それを仲裁する市川雷蔵扮する華岡青洲が怒る理由が、自分の麻酔薬に対する信頼性のなさからのものだったり。
後半、妻の出産と手術が重なって、どっちも無事に成功するのですが、出産後の妻にひたすら自分の手術の成功だけを喜び、語っていたり。
そういった「初めて全身麻酔による手術を成功させた医者」としての人物造形も面白いです。
冒頭ですが人生二度目となる於継(高峰秀子)と加恵の出会いのシーンの演出がまるで運命の出会いのようで大好きです。そのシーンの音楽が特に素晴らしい。
そしてこの作品における美術。これは溝口健二監督の後期の傑作郡を助監督として支えた宮嶋八蔵さんの仕事。その徹底した仕事ぶりが素晴らしいです。髪型から小道具から生活用具から嘘のない世界を作り上げています。
助監督としてクレジットされています。
それにしてもあの猫ちゃんたちはどうしたんでしょう…[DVD(邦画)] 9点(2014-08-14 13:20:51)(良:1票) 《改行有》
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