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1. さびしんぼう
《ネタバレ》 完全ネタバレです。映画未見者お断り。間違いなく名作なので、本編を見て下さい。
「すてきね。」
百合子の短い何の変哲も無い言葉に、ヒロキは、ふだんはうっとうしく感じてるがそれは表面だけで、自分は母親から愛されていて、自分なりに母を愛していること、そのことが母親を亡くした百合子にはたまらなく素晴らしいことで、それがわかるから「そんなことはないよ」などという照れ隠しのような否定すら百合子を傷つけることだと何も言えなくなる。短い台詞と二人の表情に、ことはでは言い尽くせないほどの思いを交錯させる。
「いけない。」
百合子の極めつきのセリフ。暖かい父母の愛に包まれた大きな寺の息子であるあなたと、母を亡くしたあと男手ひとつで育ててくれた父も病に倒れて、日々の生活の糧にすら苦しんでいる私とでは、住んでる世界が違う。あなたが見てくれた私は、夕日射す教室で、一人ピアノを弾く少女。どうか今は、私のそんなきれいな面だけを見ていて。あなたがこちら側の面を見て、悲しい思いをするのが私にはとても悲しいから。 これも短い一言に、あふれ出す思いが詰まっている。
この作品のほんの一コマを切り取ってみても、もう初老の私の涙腺が緩んでしまう作品。[映画館(邦画)] 10点(2016-10-23 08:38:59)(良:3票) 《改行有》
2. 風の谷のナウシカ
《ネタバレ》 私にアニメ映画のすばらしさを教えてくれた作品。では満点かというと、1カ所微妙に残念な点がある。
ジルの部屋で、死んだジルと、それを取り囲むクロトワとその従卒たちを見て、文字通り怒髪衝天、怒りに我を忘れて、みずからの剣で従卒たちを問答無用と斬り殺すナウシカ。
王蟲の巣の湖で王蟲の触手に調べられたとき、ナウシカはこのときのこと、自分が人を殺したと言うことを、みじんも思い浮かべなかったのか?少なくとも画面上は、その件に関する後悔も反省も、表現されたようには見えなかった。
ナウシカにとって人殺しは、それが犯罪とはならなかったにしても、簡単に忘れ去ってしまえる程度の行為だったのか?
この点は、作者に問うてみたい。
殺人という劣悪な行為をナウシカにさせることで、人間の愚かさ、心の弱さ、理不尽さを強調すると言う作者の意図はわかる。完全な人間はいない。どんな聖人君子でも感情があり、激情に駆られれば過ちも犯す。その表現だ。それもわかる。だが、甘いと言われても、怪我を負わせる程度で済ませて欲しかった。減点1。[地上波(邦画)] 9点(2015-08-10 18:45:03)(良:1票) 《改行有》
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