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プロフィール
コメント数 2388
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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61.  青空娘 《ネタバレ》 源氏鶏太が原作の人気ラジオドラマの映画化だそうですが、ストーリーは観ていて恥ずかしくなるほど通俗的でご都合主義です。でも、若き日の若尾文子の魅力を堪能するには、本作はベストに近いと言ってもいいんじゃないかな。妖艶で小悪魔チックな彼女は他の作品に譲って、もお少女漫画も白旗揚げる様なひたすら不幸な境遇にも明るく頑張り抜く彼女の笑顔は癒してくれます、ささくれだった心を。そして、誰が観ても「諸悪の根源はおまえだろ!」と言いたくなるダメな父親に最後に言い放つ口調は柔らかいけどキツイお説教、これは実に爽快でしたね。ここから若尾文子・増村保造の黄金コンビが始まったかと思うと、感無量です。[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-10-26 22:17:10)

62.  アフターショック 《ネタバレ》 “アフターショック”とは余震のことを意味しているのですね。地震が起こるまでの前半と、その後の地獄絵図が続く後半とのコントラストはなかなか強烈です。製作者がイーライ・ロスなだけあって凄まじいのかと身構えたら、グロは思ったよりおとなし目じゃないかと思います。ネタばれしちゃうと登場人物は全滅するわけですが、ということは『ファイナル・ディスティネーション』シリーズの変形ヴァージョンと言えなくもない。まああちらは死に方に拘り過ぎてしっちゃかめっちゃかになってしまいましたが、意外と登場キャラが創りこまれているので本作の方が映画としてのレベルは高いと感じます。『ハングオーバー』のアランかと突っ込みたくなる風貌のボンボン息子やチャラい奴かと思わせて実は娘思いのパパだったイーライ・ロス、そして忘れていかんのは何故だかちっとも役に立たない消防士とかです。反面、女優陣が今一つ光るものがない顔ぶれだったのは残念でした。 最後にひとつだけ突っ込んでおきたいのは、津波が到達するのが遅すぎだろ(笑)。[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-10-23 21:12:10)

63.  悪徳の栄え 《ネタバレ》 ロジェ・ヴァディムの映画は全部観たわけではないですけど、特徴としてはとにかく“まず女優ありき”をモットーとしているところです。そして意外とオリジナルな脚本が少なく、ゾラやラクロといった古典的な作家の名作を現代に置き換えて脚色したストーリーが多いというとこでしょう。本作は題材をサド侯爵に求めてそのヒロインにカトリーヌ・ドヌーヴを引っ張り出してきましたけど、さて出来栄えはいかがでしょうか。 サドの『悪徳の栄え』と『美徳の不幸』をミックスして舞台をナチ占領下のパリに変更し監督は耽美的な映像が身上、これだけでもワクワクする様なプロットなんですが実は出来上がったのは退屈な凡作でした。正直言ってサド文学の映像化とはとうてい思えない生ぬるさに、「これのどこがサドやねん!」と激怒してしまいました。ナチズムとサディズムはとても親和性が強いと思うんですけど、登場する親衛隊の面々も何がしたいのかさっぱり伝わって来ず、これじゃ単なる“ナチごっこ”を見せられるだけでした。ドヌーヴは確かにハッとさせられる様な美に溢れていますが、まだ若いということを差し引いてもちょっと演技が下手過ぎですね。アニー・ジラルドにしても中途半端なキャラで、彼女のどこが“悪徳”なのか伝わってきませんでした。 後半古城のハーレムみたいなところに舞台が移ってからはかなり支離滅裂な展開で、城をフランス軍に攻められてナチたちとジラルドは全滅しますが、ドヌーヴだけじゃなくハーレムの女たちが皆救出されるというハリウッドも真っ青の超ご都合主義です。 けっきょくロジェ・ヴァディムのサド文学やナチズムに対する理解は、とっても底の浅いもんだったみたいです。[CS・衛星(字幕)] 3点(2015-09-28 22:51:57)

64.  愛と憎しみの伝説 《ネタバレ》 70年代を通してもっとも輝いていたハリウッド女優は誰かと問われれば、それはフェイ・ダナウェイだという答えに異存ある人は少ないでしょう。そのまま活躍していれば今頃はメリル・ストリープに匹敵する存在だったであろう彼女のキャリアを、一瞬にして終わりにしてしまったのが本作です。公開されるや否やフェイ・ダナウェイを含めラジー賞を総なめして酷評の嵐だったんですが、今やすっかり正真正銘のカルト映画になっています。このたび目出度くTSUTAYAからDVDリリースされましたが、どうしてこの映画は皆に嫌われてしまったんでしょうか? 観終わりましたけど…正直これはきつかった。DVDで良かったですよ何時でも中断出来るから、もし映画館だったらこれを一気に見続けなければならないわけで、想像しただけでゾッとします。いえね、決して映画としての出来が悪いわけじゃないんですよ、冷静に考えれば俳優の演技もレベル高いし力作だと思います。でも幼児虐待もの映画が苦手な自分には(このジャンルが好きという人は貴重ですけど)、ジョーン・クロフォードの上映時間の三分の二にも及ぶ養女いじめの数々は観てて苦痛以外の何ものでもありませんでした。もうこのクロフォード=ダナウェイが凄すぎるのなんのと言ったら、あの伝説の針金ハンガーのシーンにいたっては心底ふるえがってしまいました。これが本当だとしたら、ジョーン・クロフォードという人は完全にビョーキです。またフェイ・ダナウェイの激似メイクと演技が凄まじく、お世辞抜きに本物よりもジョーン・クロフォードらしいと言いきってしまいます。 養女クリスティーナが成人してからも強烈なエピソードの連発ですが、昼メロに出演中のクリスティーナが入院したらすかさずTV局に売りこんで自分が代役におさまるというのはちょっと凄すぎです。63歳で28歳のキャラを演じるんですが、本作で唯一の爆笑シーンでした。 「いつ果てるともなく続く苦痛の連続」「休みなく観客を打ちのめし、もはやドラマにも娯楽にもなっていない」これらは公開時の批評ですが、まさにその通りです(笑)。でもジョン・ウォーターズだけは「この映画のクロフォードはサメやゴジラと同じでひとかけらの人間性も感じられない、でもこの映画はダメじゃないそれどころか完璧だ」と絶賛していたそうです。 さてあなたは本作を観てどのようなジャッジを下しますか、私は人にはお奨め出来ないんですがね。[DVD(字幕)] 4点(2015-09-07 00:15:34)

65.  暁の7人 《ネタバレ》 ハイドリッヒ暗殺とその後の報復虐殺事件の悲劇をストレートに映像化し、戦争映画史上に残るダウナー映画として名を残しています。本作と『ジョニーは戦場に行った』および『炎628』が私が選ぶ三大ダウナー戦争映画です。ティモシー・ボトムズはこのうち二本で主演しているというのはある意味凄いですね。 暗殺成功した後の報復を恐れる現地レジスタンスと、命令遂行しか眼中にないまるで青春物語のキャラみたいに脳天気な若い潜入組との対比が面白い。だいたい史実通りなんですけど、暗殺隊員たちのグダグダぶりはイライラさせてくれます。でも妻子持ちをメンバーに選ぶおえらいさん方もたいてい間抜けです。そんな杜撰な計画でも暗殺は成功してしまい、その後にメンバーたちとチェコのリディツ村の住民の悲惨な運命を見せられると、実に暗澹たる気分にさせられます。 映画ではハイドリッヒが全欧のナチ占領地の責任者になることを阻止するのが暗殺を急ぐ理由になっていますが、そんな事実はなくこれはウソです。本当は有能なハイドリッヒが飴と鞭の占領政策で労働者階級を味方につけるような情勢になって来たので、チェコ亡命政府が住民を虐殺される危険を承知のうえで決行した作戦でした。この政治感覚は、ヴェトナム戦争のヴェトコンと相通ずるところがあります。冷戦時なのにプラハでロケさせてもらえたぐらいですから、そこら辺の機微に触れる様な部分は改変せざるを得なかったんでしょうね。[映画館(字幕)] 6点(2015-08-17 00:39:18)

66.  アンダー・ザ・スキン 種の捕食 《ネタバレ》 あなたたち、“スカ・ヨハのヌード”というキーワードに期待を膨らましてこの映画を観ると、手痛いしっぺ返しを喰らいますよ(かく言う自分がそうでした)。考えてみれば、『スピーシーズ』の○番煎じみたいな映画にスカ・ヨハが主演してヌードを見せるわけありませんよね。 いきなり『2001年』みたいな映像を見せられたうえもう極端にセリフが少ないときたら、「キューブリックの後継者か?」なんて勘違いするあわて者がいても不思議ないですね。全篇通じてもほとんど音楽が使われず、流されるのはほとんどワン・フレーズだけの不安をかき立てる不協和音みたいなやつだけ。その分映像には凝りまくってて、やたら引きで撮るシーンが多く風景の中で良く観るとスカ・ヨハが動いているという感じです。彼女の正体なども説明は一切なく、バンを運転しては男を物色して声をかけることを単調な繰り返しで見せるだけの展開には恐れ入りましたが、でもヘンな中毒性すら感じました。中盤から現れるバイクに乗って走り回る男、これもいっさい説明がないので?ですけど、どうもスカ・ヨハを探し回っているみたいでしたね。そんな彼女も例のエレファントマンくんに声をかけてからは、鏡に映る自分を意識しだしたりして何かが変化したみたいですが、さすがにあの最中にいきなり鏡で自分の股間を観察し始めたのには思わず笑ってしまいました(お前は小野小町か)。レイプされそうになって森の中を逃げ回るところまで退化(?)するとは意外な展開でした。そしてスカ・ヨハのあの最期、エイリアン映画史上に残るあっけなさでした。 まあ正直人に薦められる作品ではないんですが、どこか麻薬性がある不思議な映画であるのは確かです。[DVD(字幕)] 6点(2015-06-08 01:37:14)

67.  アイアンマン 《ネタバレ》 ここ10年で製作されたマーヴェル・コミックものではいちばん面白いかも。これも一重にロバート・ダウニー・Jrをトニー・スターク役に引っ張って来れたからで、このキャラは彼の生涯の当たり役となるでしょうね。後半のパワード・スーツ同士の戦いはなんだか『ロボコップ2』の再現みたいな気もしますが、さすが最新のCG映像なので『ロボコップ2』のコマ撮りとはレベルが段違いでした。とくにわたくしが気に入ったのはアイアンマンの飛翔シーンの素晴らしさで、かなりリアルで満足させて頂きました。 サミュエル・L・ジャクソンがどこに出てくるんだろうと首を捻ってましたら、まさかあんなドン尻で顔を出すとは(笑)。でもこの人、ほんとにアメコミが好きなんですねえ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-04-24 21:56:32)

68.  アップサイドダウン 重力の恋人 《ネタバレ》 重力と反重力が存在する双子の世界、このアイデアとプロットはセンス・オブ・ワンダーに満ち溢れていてグッドです。緻密に創りこまれたCG映像もレベルが高くてよかったんですが、この映像は大スクリーンで観ないと真価が判らないでしょうね、なんせTV画面では小さすぎて映像の情報量に全然追いつけないですからね。でも脚本はびっくりするほど稚拙です。リュック・ベッソンの『フィフス・エレメント』じゃないけど、まるで監督が中坊の頃に自分のイマジネーションを書きとめた脚本を映画化したみたいな出来です。そのイマジネーションは確かに凄いんだから、せめて脚本は腕のたしかなプロに任せた方がよかったですね。プロットやディティールには『ブレードランナー』など過去のSF映画からの影響が強く感じますし、何度も出てくるカフェのシーンでは『ガタカ』の世界観と雰囲気が彷彿されました。 「これはまた別のお話し」なんて思わせぶりなナレーションで終わるけど、続編を撮る計画があるのかな?[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-04-13 20:13:29)

69.  アウトブレイク 《ネタバレ》 この映画が今では山ほど製作されたパンデミック・ジャンルの元祖になるんじゃないでしょうか(いや、元をたどれば傑作『アンドロメダ…』でしょうね)。中盤以降の雑な展開は眼を覆うばかりですけど、TVで放映さてるとついつい観てしまうんですよね。突っ込みどころは満載です、まるで紙製みたいに破ける防護服、笑っちゃうほど簡単に見つかる宿主のおサル、あんな近距離にくっついているのにしくじる射撃がド下手なヘリコのパイロット、とまあ呆れるほどのご都合主義な展開です。それでも小さな町で感染が拡がり軍に封鎖されるまでの怒濤のストーリー・テリングは見応えがあります。これもダスティン・ホフマンを始めとする名優たちを揃えることが出来たからでしょうね、ダメな脚本でも何とかなるものなんです。善悪をあまりに単純に分けているのはいかにもハリウッド映画ですけど、それでもドナルド・サザーランドの邪悪な将軍は適役でした。陰謀をたくらむ悪役をやらしたらこの人の右に出る役者はいません。「お前はぜったい将官にはなれん」といじめられてくさっていた大佐がサザーランドを逮捕するときの嬉しそうな顔には笑ってしまいます。この大佐はデイル・ダイなんですが、軍事アドバイザーから俳優になった人で本人も海兵隊では大尉どまりだったから、なんかセルフ・パロディですね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-04-09 20:15:39)

70.  アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー 《ネタバレ》 ダリル・ハンナの『ジャイアント・ウーマン』の主人公をチアガールにして、ロジャー・コーマンがリメイクしてみましたって感じでしょうか。どっちも身長50フィートですしね。 主人公のチアガール、冒頭ではちょっと賢そうなニキビ面のメガネッ娘だったのが、薬を注射して巨大化してからはセクシーなナイスバディに大変身、なかなかレベルが高いです(なんの?)。巨大女のビジュアルは、チャチというか超原始的な遠近感ででかく見せるという、なかなかプロの映画人では恥ずかしくて使えない様な手法です。後半のフットボール場での大暴れでも単純な合成でしたけどね。ここではライバルのビッチなチアリーダーも巨大化させて、しかも両者トップレスでビンタ合戦に女闘美アクションと、さすがコーマン御大、ツボがよく判ってらっしゃる。懐かしのショーン・ヤング(あのレイチェルがこんなぶくぶくしたおばさんになってしまうとは!)とトリート・ウィリアムズにジョン・ランディスまで、ちょっと地味なムダに豪華なキャスティングはこれもコーマン御大の人徳というか手腕の賜物かな。 この映画を観たらあなたの人生の貴重な時間をムダに費やすかもしれませんが、私は残りの人生の80分余りのひとときを有意義に使うことが出来ました、大した点数はつけてあげられませんけどね(笑)[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-04-07 22:13:20)

71.  アメリカン・ハッスル 《ネタバレ》 この映画を観た人は誰しもが納得するところだと思いますが、ワン・シーンだけなんですがデ・ニーロが登場してから緊張感が高まりテンポがすごく良くなるんです。そこまではどちらかと言うとモタモタした展開だっただけに、これは監督が狙ったのか映画の神に愛されているデ・ニーロだからこそ成し得る御業なのか、面白いところです。そしてクリスチャン・ベイル、あそこまで醜く肉体破壊してまで役作りに励む役者魂は、彼こそデ・ニーロの後継者たり得る人物なのかもしれません。良く観察してみると、この映画での彼の演技はなんか若いころのデ・ニーロを彷彿させるものがありました。 終わってみれば主要キャラはみなルーザー(負け)でカタルシスのかけらもないし、映画の登場人物に感情移入出来ることを求める人には耐えられないお話しでしょうね。でも俳優の演技を愉しむという観点からは、主要キャラ四人が全員オスカー・ノミネートというのも納得の逸品だと思います。[DVD(字幕)] 9点(2015-03-03 23:45:10)(良:2票)

72.  網走番外地(1965) 《ネタバレ》 良く考えてみると脱獄してからの展開は『手錠のままの脱獄』のパクリみたいなもんですが、そんなことを微塵も感じさせない痛快な作品です。広大な国土のアメリカと違って日本では脱獄は自殺行為だと思ってましたが、こういう風に北海道の最果てなら成功して逃げ切れそうな説得力があります。 いつも通りのストイックで家族思いの高倉健なんですが、この映画の健さんは饒舌とまではいかないにしても良く喋るんです。入浴のシークエンスではハダカで阿波踊りまで見せてくれるんですから、びっくりです。でも随所で流される健さんのナマ歌『網走番外地』には、なんか荘厳な響きすら感じて震えちゃいました。 監督の石井輝男を始めとしてアラカンや丹波哲朗といった新東宝の残党メンバーたちの底力がこの作品を傑作にまで高めたのかもしれませんね。アラカンの鬼寅はさすがの迫力でしたし、丹波が最後までイイ人だったというパターンも珍しい。この映画は本来二本立て興行のBプロとして撮られた小品なんですけど、これでも新東宝の予算じゃ決して撮れない企画なんだから石井輝男も思い残すことなかったでしょう。[CS・衛星(邦画)] 9点(2015-02-10 20:16:10)(良:1票)

73.  アリス・イン・ワンダーランド 《ネタバレ》 いやはや笑わしていただきましたのは、ティム・バートンによるヘレナ・ボナム=カーターのいじりっぷりです。ふつう惚れた女房をここまでグロテスクに撮りますかね、でもこのデカ頭の女王様が彼女にピッタリのキャラに思えてくるので、そこはさすが一緒に暮らしている旦那さまですね。でも本作のあとバートンの作品に彼女が出てないのは、さすがに怒ってるんじゃないでしょうか(笑)。 お話自体は『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』の後日談というかたちで、それをピーター・ジャクソンを意識した様なアクション・ファンタジーに仕上げましたという感じです。まあ可もなく不可もなくというところですが、森の木々の造形などのティム・バートンらしさが良く出てましたね。登場キャラはいろいろアレンジされてましたが、ジャバウォッキーだけは原作のテニエルの挿画に忠実なところには怪獣好きなバートンのこだわりを感じました。[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-01-28 22:20:28)

74.  ありふれた事件 《ネタバレ》 「どこがありふれんてんだよ!」という突っ込みは別ににしても、とてもよく出来たモキュメンタリーです。この手の題材になると私はどうしても『ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録』をどうしても想い出してしまうんですが、本作のブノワはヘンリーと違ってピアノを弾いたりして多芸で饒舌なので雰囲気は全然違います。ペラペラしゃべっていることはもっともらしいけど中身がないたわごとなんですが、ヘンリーとの最大の相違点はブノワにとって殺人とは生活の糧を得るための単なる手段であるということでしょう。つまり猟師が大自然の中で獲物を狩っている様に、都会で殺人を繰り返しているわけです。カネのためだけに無慈悲に人殺しをするというのもとんでもない話ですが、それでも『ヘンリー』よりは理解できるキャラではあります。彼の凶行を記録する撮影クルーたちも次第に犯行をともにするようになってゆきますが、これはクルーたちがブノワの自己分裂した魂の片割れみたいな存在にも見えてきます。でもその中でも一番狂っている様に感じるのはブノワのやってることを知っている恋人や友人たちで、あの誕生パーティのシーンは実にシュールで不気味でした。[DVD(字幕)] 7点(2015-01-03 22:37:21)

75.  愛のメモリー 《ネタバレ》 デ・パルマ映画の中でも屈指のぶっ飛びストーリーだと私は思います。詳しくは書けませんけど、もうあわや近親相姦になるところですからねえ(笑)。妻子を亡くした男の喪失感を前面に押し出した前半と、強引な急展開へと暴走する後半がかなりアンバランスなのも目を見張るところかもしれません。思うにこれは脚本にポール・シュレイダーが参加しているのが原因かもしれませんね。ヒッチコック大好きデ・パルマですからもろにオマージュと判るシーンも幾つかありますが、誘拐犯たちの意図がイマイチ不明なのに突っ走っちゃうストーリー・テリングも彼らしいところです。でも急展開の後で見せてくれるあのグルグル回るラスト・シーンは、映画史に残ると言う人もいるぐらいでさすがにグッとくるものがあります。これをマネしている映画はいっぱいありますからね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-10-10 18:29:57)

76.  赤ちゃんはトップレディがお好き そう言えばむかしDINKSという言葉が流行りましたよね、とっても懐かしい気持ちです。そして80年代にはほんのちょっと社会性をまぶしたラブコメが流行ったんですよね、この映画はその奔りみたいなもんです。 ダイアン・キートンを強引な展開で子持ちにしちゃってからの軽いというかご都合主義の極みの脚本、この手の映画は雰囲気を愉しむのが正解なんで気にしないことにいたしましょう。キートンのスーツ姿のキャリア・ウーマンというのも珍しいのですが、さすがにファッションセンス抜群の彼女だけあって見事な着こなしです。でもそのキートンもサム・シェパードも喰われてしまったのが、あのエリザベスちゃんの名演技です。この子は映画出演もこれだけで子役の道も歩まず普通の人になっているみたいですが、今では30代半ばというところ、どんな女性になったのかいっぺん見てみたいですね。[ビデオ(字幕)] 5点(2014-10-04 20:56:16)

77.  “アイデンティティー” 《ネタバレ》 久しぶりに観た驚愕の展開の映画ってとこでしょうか。まあそれでも随所にヒントは隠されていますが、そのばらまき方がセンスが良いというか巧妙です。その最大のヒントは原題そのままの“アイデンティティー”というタイトルで、まるで『そして誰もいなくなった』みたいな展開のお話しが“アイデンティティー”なのかと首を捻りましたが、まさかあのオチとは想像できませんでした。キャスティングもそれなりに捻ってますよね。レイ・リオッタやレベッカ・デモーネイといった他作品でサイコ系犯罪者を演じたことがある役者を使っているから、どうしても観る方の注意がそっちの方に向かっちゃうんです。辻褄が合わないところは在りますけど、ジョン・キューザックが鏡を観るシーンのカタルシスがそんなチマチマした事を吹っ飛ばしてくれました。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-09-18 18:21:44)

78.  アルゴ 《ネタバレ》 大使館に群衆が乱入してくるシークエンスは半端じゃない緊張感に圧倒されました。でもその後はあまりに淡々としていて、ラストの脱出劇も大使館乱入に比べると期待していたようなハラハラ・ドキドキが自分には感じられませんでした。なんでかなと考えてみると、ベン・アフレックが演じるキャラがあまりにも表情に乏しいところに原因があるかもしれません。実在のモデルがもともとそういうキャラなのかもしれませんが、やっぱベン・アフレックだからということもあるんでしょうね。この人、監督や脚本の才能はともかくとしても、役者としてはイマイチですからね。またこれも事実なんだから言ったってしょうがないけど、救われた6人がどうも勝手に大使館から脱出したとしか思えないし、大使館にまだ大勢の人質がいるのに彼らだけ救出されたってのはなんか後味悪くないですか。 エンドクレジットでカーター元大統領のインタビューが流されるのを聞いて、この映画はかなり政治的な意図があって製作された様な気がしました。だいたいこの時代のカーター政権の外交は失策続きだったという評価が一般的ですから、極秘作戦で6人の救出自体がカナダ政府の手柄だとされてきたこの事件をカーター元大統領サイドが名誉回復の一環として利用しているんじゃないでしょうか。 まあ私の感想としては、この映画にオスカー作品賞を与えるってのはちょっとどうかなって思います。映画としてはそんなに悪い出来ではないですがね。[DVD(字幕)] 6点(2014-09-09 20:02:36)(良:1票)

79.  アルカトラズからの脱出 《ネタバレ》 脱獄ジャンルものは、どれだけ刑務所生活が悲惨かを観客に納得させ脱獄する囚人にいかに感情移入させるかが映画の出来を大きく左右するものです。その観点からは、もう一生シャバに戻れない終身犯は別としてもアメリカの刑務所生活は途上国なんかと比べると恵まれているように見えちゃうのが難点。そういう点ではこの映画のイーストウッドにも、飄々とし過ぎていて脱獄するぞという執念が感じられなかったのはちょっと残念です。その代わりに換気口に穴を穿つための努力を淡々と見せてくれる丁寧な描写はイイですね。看守を見張るために鏡を使うところなぞ『穴』でも使われた手口で、こういうところは万国共通なのかもしれません。ハラハラさせるところはちゃんとツボを抑えていて、ここら辺の手腕は老いたりと言えどもさすがドン・シーゲルです。音楽も最小限におさえたドキュメント・タッチの撮り方も渋いです。 アルカトラズ島の遠景が、日本の軍艦島みたいだったのが印象的でした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-17 22:17:24)

80.  明日に向って撃て! ニューマン&レッドフォードは映画史に残る鉄壁のコンビですが、意外なことに本作と『スティング』だけなんですね。やはりその中でもこの映画が最高で、彼らとキャサリン・ロスの三人こそベスト・オブ・三角関係と呼んであげたい(対抗馬は『冒険者たち』でしょうかね)。 この映画はよくニュー・シネマ西部劇と言われますが、ニュータイプのウェスタンかもしれないけど私は決してニューシネマじゃあないと思っています。まあ主人公が最後に死ぬということぐらいがニューシネマらしさで、ときにはコミカルそしてノスタルジックな撮り方はニューシネマという範疇を超えていますし、ジョージ・ロイ・ヒルの映画監督としてのセンスの良さを存分に愉しめます。バート・バカラックのサウンド・トラックも彼の最高傑作で、最初に観たときの感動は今でも忘れられません。 映像も音楽も今観直しても全然色あせていない、珠玉の傑作です。[映画館(字幕)] 10点(2014-08-02 22:52:27)

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