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プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  アクトレス ~女たちの舞台~ 《ネタバレ》 人気と実力を兼ね備えたベテラン女優マリア・エンダースは、私生活の方も任せっぱなしの女性マネージャーとともに充実した毎日を送っていた。そんなある日、彼女はとある舞台の出演依頼を受ける。それは彼女の映画デビュー作である『マローヤのヘビ』のリメイク。若く美しい少女がお堅い中年女性をその美貌で翻弄し破滅させるという役柄で自分は一躍有名となったのだ。だが、その役は当然かつての美少女ではなく、なんと破滅させられるお堅い中年女性の方だった――。時の流れの残酷さをひしひしと感じ当初は断ろうとしたマリアだったが、恩師である映画監督の急死を機に前向きに検討することに。そんな彼女を献身的に支えてくれるマネージャーから知らされた、かつて自分が演じた美少女役に抜擢されたという若手女優ジョアン。ネットで調べてみた彼女はまさに自分が演じた役にぴったりのスキャンダラスな若く美しい女の子だった。彼女の存在に心を搔き乱されたマリアは、出演依頼を承諾することを決意するのだが……。確かに題材は良かったと思うんですよ、これ。かつてその悪魔的な美貌で一人の中年女性を破滅させるという役で一世を風靡した女優が、今度は逆に破滅させられる役を演じるというのはなかなかに興味をそそられるお話。しかも演じるのはジュリエット・ビノシュとクロエ・グレース・モレッツという、これ以上ないくらいのまさに嵌まり役な2人。そこにクリステン・スチュワートが絡んで三角関係のような心理劇となるなんて、どう考えても面白くなりそうな脚本なのに、これが一向にそうならない。何故なんでしょう?それはやはり監督の演出が終始、見事なまでに的外れだからじゃないですかね。観客が観たいのはそこじゃないだろ!!と突っ込みたくなるほど、どうでもいいシーンの雨あられ。主人公の女優と女性マネージャーが山にピクニックに行くシーンなどやたら長いうえにはっきり言ってつまらない。恐らく監督は、この2人の友情以上恋愛未満なシスターフッド的関係をこそ描きたかったのだろうけど、いかんせん深みが足らないせいで観ていて退屈でしかなかったです。また、肝心のクロエちゃんが出てくるのが映画も中盤を過ぎてからって明らかに遅すぎ!ようやくクロエちゃんが出てきたと思ったら、ここまで破天荒キャラで引っ張っておきながら実物は驚くほど優等生な女の子。ユーチューブの映像で散々お騒がせセレブキャラみたいに煽っておいて、これはアカンでしょ。物語の焦点となるはずの最後の舞台劇もまるで取ってつけたようで肩透かし感が半端なかったです。この3人の嘘とプライドが複雑に交錯する心理劇をこそ掘り下げて描くべきだった。華のある人気女優たちの豪華共演に+1点!![DVD(字幕)] 4点(2023-11-06 02:51:42)

2.  アダムス・ファミリー(2019) 《ネタバレ》 アメリカで古くから親しまれてきたホラーコメディ漫画『アダムス・ファミリー』を豪華声優陣を揃えて映像化したフルCGアニメ。いまだ根強い人気を誇るだけあって独特の世界観と個性豊かなキャラクターはすこぶる魅力的。おどろどろしい雰囲気なのにどこかコミカルなのもこの作品ならではで、ティム・バートン好きな自分としてはけっこうツボでした。今回悪役として登場した、髪の毛盛り過ぎセレブおばさんも負けず劣らずキャラ立ちしているのも良かったです。ただ、さすがにお話が空気すぎる!余りにも中身がなさ過ぎて心に残るものが何もないまま、さらさらっと終わっちゃいました。このオーソドックスでベタベタな物語の中に、もう少しぴりりとした隠し味が欲しかったかな。この監督の前作が『ソーセージ・パーティー』という毒の塊のようなアニメだったので、その10分の1でも盛り込んで欲しかったところ。ここらへん、ティム・バートンはやはり偉大だなぁと再確認しちゃいました。結論。可もなく不可もなくなごく普通の家族向けアニメ。でも、声優陣も豪華だし、アニメとしてもちゃんとクオリティは高いし、暇つぶしで観るぶんには充分楽しめると思います!![DVD(字幕)] 6点(2023-03-22 08:04:28)

3.  PITY ある不幸な男 《ネタバレ》 都会の高級マンションで洗練された生活を送る、ある中年弁護士。常に清潔なスーツを着て、誰に対しても礼儀正しく、毎日規則正しい生活を心がける、品行方正を絵にかいたような真面目な男だ。だが、彼の最近の一日はベッドで目覚めてからしばらくの間、咽び泣くことから始まる。何故なら、彼の長年連れ添った妻が事故により昏睡状態へと陥ってしまったからだ――。もう長い間、彼の妻は病院のベッドで寝たきりで、医師も匙を投げるほどの深刻な状態。そんな彼を気遣って、周りの人々は常に優しく接してくれる。マンションの上階に住む心優しい奥さんは毎朝甘いケーキを焼いて差し入れてくれるし、弁護士事務所の事務員はいつも励ましの言葉を掛けてくれる。長年の友人は食事やスポーツへと彼をとにかく一人にさせないよう誘ってくれ、仕事の依頼主である殺人事件の被害者も自身と境遇を重ね合わせ一緒に涙してくれる。いつしかそんな周りのサポートが彼の生きる支えとなっていた。そんなある日、妻が奇跡的に目を覚ますのだが……。不慮の事故により生活を一変させられた、とある〝不幸な男〟の秘められた狂気を淡々と描いたサスペンス・ドラマ。いやー、なんか変な映画でしたね、これ。特に何が起こるわけでもない中年男の普通の日常を描いているのに、この全編に漂う言いようのない違和感。とにかくこの主人公がすんんんごく気持ち悪いんですよ!!愛する奥さんが事故で寝たきりという不幸な境遇にいるのに、何故か同情できない行動ばかりとる。「俺は世界で一番不幸な男だ」と言わんばかりの暗ーい表情でひたすら周りの同情に依存し、ピアニスト志望の一人息子には「明るい曲を弾くな、周りに立ち直ってると誤解されるだろ」なんて言ったりする。ほんとキモい(笑)。繰り返される謎のテロップも妙に心をざわつかせるものばかりだし、極めつけは息子に「妻がもし亡くなってしまったときの為に歌を作ったんだ。聴いてくれ」と突然歌いだすシーン。妻が死んだら1000匹の動物を殺すだろうと1曲丸々歌いきるところはもはや一周回って笑けてきちゃいましたわ。そして妻が回復してからは、もはやコメディ。「違う、自分が望んでたのはこれじゃない」と、周りに妻がまだ入院中だと嘘をついたり上階の奥さんにまたケーキを焼いてくれとしつこくねだったり長年飼ってた犬を海の上に捨ててきたりと、笑えないのに笑うしかない一連のシーンは白眉。全編気持ち悪いのに、変に癖になる面白さがありますね。画が無駄に奇麗で清潔感に溢れているのも良いセンスしてる。脚本は、ギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモスと一緒に仕事してきた人とのこと。なるほど、なんか納得。かなり癖が強いので観る人を選ぶだろうけど、自分はけっこう好きでした。最後、物語は不幸のどん底に落ちたけど、捨てられた犬が浜辺に帰ってきて観てる方はほっと一安心。人間が嫌いになりそうな映画、お薦めです(笑)。[DVD(字幕)] 7点(2023-03-10 07:40:15)

4.  ANNA/アナ(2019) 《ネタバレ》 常に死と隣り合わせの危険な任務を颯爽とこなす凄腕女スパイの活躍を、スピード感あふれる展開で見せるエンタメ・アクション。監督は、この手のジャンルを得意とするリュック・ベッソン。まあ面白いっちゃ面白いですけど、良くも悪くも薄味作品でしたね、これ。時間軸を行ったり来たりする脚本も手堅く纏められていて、終始キレのいいアクションシーンも見応えありますし、主役をはじめとする役者陣もみな華があって、最後までそこそこ楽しんで観ることは出来ました。でも……、心に残るものはほぼありません(笑)。そういうもんだと割り切って観るのが正解なんでしょうけど、自分はもう少し内容のある方が好みかも。暇つぶしで観る分には全然オッケーなんですけどね。[DVD(字幕)] 6点(2022-06-24 03:32:42)

5.  甘いお酒でうがい 《ネタバレ》 これは私の日記、誰が読むわけでも自分で読み返すわけでもない、ただの日記――。彼女の名は、川嶋佳子。お酒が大好きな40代の独身OL。取り立ててモテないわけではないのにタイミングが合わなかったのと自分自身への拘りが強すぎて一度も結婚したことがない。彼氏はもう長いこと居ないが、たまに出会う若い男の子との恋愛を妄想するだけで充分だった。最近の一番の楽しみは、何故かこんな自分を慕ってくれる会社の後輩の女の子、ワカバヤシちゃんとランチに行くこと。そんな日々の些細な出来事を思い出しては、それを日記へと書き綴ることを密かな趣味にしている。ある日、そんな空しい毎日を過ごしていた彼女の前に本気で想いを寄せてくれる若い男の子が現れて……。おひとり様アラフォー女子の生態をリアル&リリカルに綴ったラブストーリー。最近僕が嵌まっている、おひとり様女子の現実をポップに描かせたら右に出るものの居ない大九明子監督の作品ということで今回鑑賞してみました。『勝手にふるえてろ』では20代、『私をくいとめて』では30代の拗らせ独身女子の現実を描いてきた監督が今回挑むのは、なんと40代。さすがにここまでくるともはやエネルギーも使い果たしてしまったのか、この主人公、もう物凄く枯れてます(笑)。元気な子供たちを見て切なくなってみたり、気分転換でベッドを買って届けてもらったらそんなに寝心地良くなくてがっかりしたり、初めて真剣にお付き合いした昔の彼氏を思い出して「向こうも私のこと覚えてるかな」なんてセンチメンタルになってみたり…。そこに時おり主人公のポエムのような日記の文章がナレーションされます。雨が強く降る日に敢えて新しい靴を穿いて人生の厳しさを(靴に)教えてあげるの、やら、普段昇ったことのない歩道橋の上から見る景色は見たことのないものだった(泣きそう…)、など。途中、いったい自分は何を見せられているんだろう…ってなります(笑)。いやー、なんか本当に変な映画でしたね、これ。でも、この変さ加減が徐々に心地良くなってきて、最後の方は好きになっている自分が居ました。若い男の子といい感じになって年甲斐もなくウキウキしたり落ち込んだりするこの佳子さんが、なんか可愛くて無性に抱きしめたくなりますわ。そのルックスやファッションから、若いころはさぞやモテたんだろうなってのが分かるんで、もうそういう面倒臭いのはいいやってなったんでしょうね。でも、何処かでまだ若いころのプライドを引きずってて「自分はまだ女としてギリギリ現役」だと思い込んでる感じが絶妙に痛々しい。彼女とは対照的な、天真爛漫後輩を演じた黒木華も何気にいい味出してました。うん、なかなか面白かったです。めっちゃ変な映画でしたけど(笑)。[DVD(邦画)] 7点(2022-01-29 03:51:18)

6.  アンストッパブル(2019) 《ネタバレ》 生まれたばかりの娘を火事で失い精神を病んでしまった女性が、見ず知らずの夫婦の娘を自分の娘だと思い込み、執拗にストーカー行為を繰り返すといったお話。人様の子供にひたすら執着する母親役をノオミ・ラパスが熱演しております。とは言え、彼女のそんな熱演も勿体ないくらい酷い出来の作品でありました。物語の重要なカギとなる、何故他人の子を自分の娘と信じ込んだのかという部分に欠片も説得力がなく、なので物語に一切入り込めません。肝心のストーカー行為の部分もひたすら単調で退屈。サイコ・サスペンスとして緊迫感もなければ、ドラマとしても極めて薄っぺらい。最後の取って付けたようなオチに至っては、あまりにテキトー過ぎて怒り狂いそうでしたわ。え、この監督は伏線を張ったり脚本を練ったり物語を盛り上げたりというもっとも基本的な行為を放棄しちゃたんですかね?とにかく最後まで退屈極まりない駄作でありました。[DVD(字幕)] 2点(2021-05-03 18:14:04)

7.  アマンダと僕 《ネタバレ》 彼女の名は、アマンダ。何処にでも居るような7歳の平凡な女の子だ。シングルマザーの母親と二人で暮らす彼女は、叔父でその日暮らしの気儘な青年ダヴィットに助けられながら生活している。たまには厳しいこともあるけれど、それでも彼女は大好きなお母さんとこれから先もずっと幸せに暮らしていけると信じていた。そう、あの日を迎えるまでは――。イスラム系のテロリストによって引き起こされた凶悪なテロ。アマンダの母親はテロリストの凶弾に倒れ、呆気なくこの世を去ってしまうのだった。急に独りぼっちになってしまったアマンダは、突然のことに哀しむ間もなく、ダヴィットとともに暮らし始めることに。だが、失ってしまったものの重みは徐々に7歳の女の子の心にも重くのしかかってきて……。常にテロの脅威にさらされる現代のフランスを舞台に、そんな凶悪なテロによって母親を亡くした女の子の心情を淡々と綴ったヒューマン・ドラマ。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、最初は延々と続くこの女の子の日常描写に退屈さが勝り、思わず眠気に襲われそうに。でも、中盤でそんな日常の延長線上に混ざり込んでくるテロ描写にその意図が分かり、そこからは徐々に物語に惹き込まれてゆきました。何気なく自転車を走らせていたら、遠くの方から聞こえてくる救急車のサイレン音、そして公園に血だらけで横たわる被害者たち……。テロがいかに日常を破壊してしまうかが分かり、改めてこの残酷な行為に怒りを覚えます。そして7歳にして、愛する人を突然失ってしまったアマンダ。彼女の哀しみを思うとどうしようもなく切なく、そんな彼女を徐々に受け入れ、ともに一緒に生きてゆこうと決意するダヴィットの心情描写も丁寧でなかなか好感の持てるお話だったと思います。ただ、最後まであまりにも淡々としているため、どうしても一個の物語としては弱いと言わざるを得ませんでした。圧倒的な悲惨な現実に立ち向かうためには、やはりそこには優れた物語がなければならないと僕は思うのです。誤解を恐れずに言えば、これならテロの被害者を追った密着ドキュメンタリーを観た方がいいのではないか。アマンダ役を演じた女の子をはじめ役者陣のナチュラルな演技も良かったし、大切なものを失った人々に寄り添うそのスタンスにも好感が持てるものだっただけに、監督にはもっとフィクションの力で勝負してほしかった。[DVD(字幕)] 6点(2020-10-19 09:00:52)

8.  アド・アストラ 《ネタバレ》 『インターステラー』の超絶劣化版映画。とにかくつまんなかったです。映像はキレイだったので、ぎり4点!![DVD(字幕)] 4点(2020-10-10 17:30:58)

9.  アス 《ネタバレ》 その日、アデレードは憂鬱な気分で車に揺られていた。夫と二人の子供たちとともに久々に家族水入らずで過ごすバカンスなのに、彼女の気分は一向に晴れることはなかった。何故なら訪れたリゾート地が、サンタクルーズだったから――。彼女は子供のころに、この地でとても恐ろしい経験をしたことを未だに覚えていたからだ。人気のないお化け屋敷の中で、なんと彼女は、自分と瓜二つの姿をした少女に出会ってしまったのだ。しばらく言葉も発せられなくなるほど、そのことがトラウマとなったアデレード。今すぐにでも家に帰りたかったが、夫も子供たちも楽しんでおり、とても言い出せるような雰囲気ではなかった。そして迎えた最初の夜、アデレードの予感は的中することに。いつの間にか立っていた、別荘の外の四人の人影。夫婦とその二人の子供と思しき家族たち。夫の警告も空しく、無言で近づいてくるその影。家の明かりの中で彼らの姿を見たアデレードは再び恐怖のどん底に突き落とされる。なんとそこに居たのは、自分たち家族とそっくり同じ姿をした者どもだったのだ。果たしてこいつらは何者なのか?恐怖と謎に満ちた壮絶な一夜が今、幕をあける……。前作『ゲットアウト』でアカデミー賞の栄誉に輝いたジョーダン・ピール監督の最新作は、そんなミステリアスな雰囲気が濃厚に漂うモダンホラーでした。前作同様、不穏な音楽と充分に間を取った禍々しいホラー描写とで、なんともいや~~~な感じのホラーに仕上がってましたね、これ。もう人の神経を逆撫でするような嫌なエピソードのてんこ盛り。この家族のいわゆるドッペルゲンガーたちが手を繋いでただ突っ立っているという登場シーンから、もう嫌なことしか起こらないことは目に見えていますし。ただ、全編に渡ってここまでたっぷり間を取っちゃうと、必然的にお話の方が単純になっちゃうのは至極当然。前作ではそのシンプルさが巧くいっていてなかなか完成度の高い秀作となっていたのだけど、本作ではどうなんでしょうね。途中まではこの謎が謎を呼ぶミステリアスなお話にぐいぐい引き込まれて観ていたんですけど、ことの真相が明らかにされた辺りでさすがに僕は冷めちゃいましたわ。いや、この真相はさすがに無理があり過ぎるっしょ(笑)。ダメ押しするようなあの大オチに至っては、あまりに無理やりすぎて思わず苦笑しちゃいました。この全編を覆う禍々しい世界観は嫌いじゃなかっただけに、残念![DVD(字幕)] 6点(2020-10-02 23:08:57)

10.  ある少年の告白 《ネタバレ》 その施設の名は、「愛の導き」。アメリカ南部の自然豊かな郊外にあるその建物には幾つもの厳しいルールが決められていた。入所した本人しか施設内には入れず、外部との接触は一切禁止、当然のように携帯も没収される。さらには中のデータも逐一チェックされ、毎日登録された電話番号の中から無作為に電話されやましい関係はないかまで確認されるのだった。喫煙・飲酒・ドラッグも一切禁止、休憩時間も指定された場所に居ることを強要され、そればかりかトイレもスタッフの監視下でしか使用できない。ポルノの閲覧も禁止、自慰行為などもってのほか。入所者たちは誰であれ軽い握手以外、互いの身体に一切触れてはならない。何故ならここは、神によって禁じられた同性愛を矯正する目的で創られた施設だから――。本作は、そんな施設へと入所することになったある少年の葛藤の日々を、実話を基に描いた作品。敬虔な牧師としての立場からやむなく息子を施設へと送り込む父親役には人気俳優ラッセル・クロウ、息子を愛していながらも世間体を気にしてそんな施設への入所を容認する母親役に同じく人気者のニコール・キッドマン、同性愛を絶対悪とみなす横柄な施設長役には本作の監督でもある才人ジョエル・エドガートン。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、この施設のなんとも非人間的な内情には、見れば見るほど反吐が出そうになりますね。このような前近代的な施設が実際に存在し、しかもいまだ全米に何か所も存続しているというのだから驚くほかありません。入所者たちを前に、神が与えたもうた男らしさ・女らしさを滔々と説く施設長のそのいびつな論調にはもはや戦慄させられてしまいます。このような非人間的で差別的な施設の実態を世間に告発するという点では、作品として成功していると言えるでしょう。ただ、物語の面白さという部分では正直物足りない。事実を基にしたから仕方ない面もあるのでしょうけど、もう少しドラマティックな見せ方も考えて欲しかった。同性愛者の息子と、同性愛を糾弾する立場の敬虔な牧師である父親との関係性も終始淡々としていてもう少し掘り下げてくれても良かったのでは。自分の信念と積み重ねてきた家族の日々、そして持って生まれた個性とのぶつかり合いの果てに辿りついたであろうこの親子の結論を、僕はもっと見たかった。[DVD(字幕)] 6点(2020-09-28 03:31:50)

11.  アップグレード 《ネタバレ》 科学技術が高度に発達した近未来。アンティークな車を専門に扱う整備士グレイは、キャリアウーマンの美しい妻とともに充実した日々を送っていた。そんな彼をある日、悲劇が襲う。謎の暴漢に襲撃され、愛する妻を無残にも殺されたばかりか、グレイ本人も一生車椅子を手離せない後遺症を負わされてしまったのだ。突然のことに自暴自棄になるグレイ。そんな彼を救ってくれたのは、旧友でハイテク技術を専門に扱う大企業のオーナー、エロンだった。エロンは、彼に驚くべき朗報を告げる。「社で開発したばかりの最先端AIチップである、この〝ステム〟を使えば、君は再び歩けるようになるだろう」。半信半疑でグレイは、チップを自らの体内に埋め込む手術を受けることに。無事に成功し、自分の足で歩けるようになったグレイだったが、しばらくすると今度は謎の声が脳内に直接聞こえてくるのだった。どうやらこのステムは自らの意思を持ち、彼の承認があれば、グレイの身体を自由にアップグレードすることが出来るらしい。ステムの力で驚異的な身体能力を手に入れたグレイは、妻を殺した犯人を求めて危険な夜の街へと繰り出してゆく……。アイデア一発勝負の明らかにB級なそんな本作、これがキレのいい演出とそこそこよく出来た脚本の力で最後まで楽しんで観ることが出来ました。とにかくこのダークでグロテスクな世界観が素晴らしい。一向に晴れ間が見えない陰鬱な街の情景、体内に直接武器を埋め込んでいる犯罪者集団、荒廃した雑居ビルのそこかしこでは現実から逃れ仮想世界で生きることを選んだ世捨て人たち…。いやー、見事なまでに退廃的で大変グッド。肝心のアップグレードされた主人公もその徐々に強くなっていく描写が丁寧で、荒唐無稽ながらなかなか楽しい。ステムに操られた主人公がカクカク動きながら敵を倒してゆくとこは、映像的にもけっこう斬新だったんじゃないでしょうか。後半、開発者や犯罪集団の追跡を逃れ、ハッカーの元へと駆け付けようとするシーンは緊迫感抜群!まあ設定に突っ込みどころ満載なのはご愛敬ですけど(笑)。さすがに未来社会とはいえ、事件を捜査するのが黒人の女性刑事一人だけと言うのはおかしいんじゃないですかね。ラストは捻りが効いていて良かった。だって客観的に見れば主人公はバットエンドですが、本人は幸せな夢の世界で生きていけるんですから。うん、なかなか面白かった!7点![DVD(字幕)] 7点(2020-08-24 02:48:02)(良:1票)

12.  アウトロー・キング スコットランドの英雄 《ネタバレ》 舞台は、血で血を洗う争いが続く中世イギリス。イングランドの支配下にあったスコットランドの民は、長い苦難の日々を強いられていた。そんな中、王位継承を主張する若き王ロバートは、独立を求めて立ち上がる。圧倒的に不利な状況の中、手段を選ばぬ手法で徐々に勝利を収めていった彼は、次第に民衆の支持を得てゆくのだが…。史実を基に、圧政に苦しむ若き王が反旗を翻し自由を取り戻すために戦う姿を描いた歴史スペクタクル。そんな勝利のためなら手段を選ばぬ無法者の王を演じるのは、人気若手俳優クリス・パイン。監督は彼と前作でもタッグを組んだデヴィッド・マッケンジー。犯罪サスペンスの秀作『最後の追跡』コンビの新作ということで今回鑑賞してみたのですが、これが期待に違わぬ良質の作品に仕上がっておりました。とにかく脚本がよく出来ておりますわ。史実を基にしていながら、この分かりやすいストーリー展開はナイス。領地と名誉を奪われた王が苦難の旅の末、再びのし上がってゆくっていうのはベタながらやはりテンション上がりますね~。クリス・パインも意外にそんなシリアスな役に嵌まっておりました。それにしてもこの時代のイギリスってホント血腥い……。こんな時代に生まれてなくて良かったと平和ボケ日本のありがたみを再確認いたしました。まあジャンル的にそこまで好みではなかったですが、迫力満点の戦場シーンや役者陣の熱演等々、満足度は充分高い。うん、面白かった!7点![インターネット(字幕)] 7点(2020-08-13 15:15:15)

13.  嵐の中で 《ネタバレ》 何十年かに一度の周期でやって来る、正体不明の大規模な磁気嵐。その中では時空が交錯し、ごく稀に過去と未来が繋がってしまうのだった――。心優しい夫と可愛い盛りの一人娘とともに幸せな日々を過ごしていたベラは、嵐の夜、小さなビデオカメラを通じて25年前に生きる少年ニコと繋がる。だが、ベラは知っていた。彼はその日、たまたま妻を殺害した隣人の犯行現場を目撃したせいで帰らぬ人になることを。「ねえ、ニコ!何があろうと隣の家に行っては駄目!」。思わず、カメラの向こうに居る少年にそう強く訴えかけるベラ。おかげで、彼はその日を無事に生き延びられるのだった――。ところがその日から、ベラの平凡な日常は激変する。自分は夫と結婚しておらず、しかも出会ってすらいないことになっていたのだ。当然、愛する娘もまた、この世に存在しないことになっていた…。果たしてベラの身に何が起こったのか?彼女のおかげで生き延びた少年は今、何処で何をしているのか?そして、ベラは無事に愛する娘と再会することは出来るのか?激しい嵐の中で、本当は死ぬはずだった少年を救ってしまったことから不条理な世界へと迷い込む母親を描いたSFサスペンス。という設定を聞いてまず真っ先に思い浮かべるのは、一時期大流行りしたタイム・パラドックスもの。いわゆる『オーロラの彼方へ』や『バタフライ・エフェクト』系の、過去を変えたら現代の自分の生活が大変なことになっちゃった!ってやつです。本作の主人公である専業主婦はなんと、夫との結婚生活を失い、あろうことか娘まで誕生していないことになってしまいます。ふとしたきっかけで何もかも失うという、この絶望的な感じはなかなかよく表せていたんじゃないでしょうか。何を訴えても精神病扱いされ、次第に孤立無援となる主人公の描写も不条理で大変グッド。それに嵐の中で死んだ少年と会話するシーンもけっこうホラーテイストで、ぞくっとする怖さがありました。ただ、こういう設定勝負の映画って、どうしたって矛盾や突っ込みどころが完全には消えないものなのですが、本作もご多分に漏れず、肝心のことの真相はかなり無理がありまくりです。特に主人公を何かと助けてくれる心優しい刑事。こいつの存在がどう考えてもおかしい。彼の行動がどれもこれもあり得ないものばかりで、説得力が微塵もありません。真相が分かってから改めて見返してみても、「あぁなるほど!そういうことだったのか」と言うカタルシスより、「いやいや、ここらへん絶対無理くりですやん!」と思わず突っ込んじゃう気持ちの方が強いという、ね。全体を覆う不穏でミステリアスな世界観はけっこう作り込まれていただけに、肝心の脚本がなんとも残念な作品でありました。[インターネット(字幕)] 5点(2020-07-01 00:31:15)

14.  アトランティックス 《ネタバレ》 古い因習がまだ色濃く残るアフリカのとある小さな国。貧しい家庭に育つ年頃の女の子エイダには、すでに親が決めた男との婚約が決まっていた。一夫多妻制が存続するこの国で、地元の有力者の長男の最初の妻となることを認められたエイダ。彼女には裕福で満ち足りた未来が待っているはずだった。だが、エイダには密かに心惹かれる幼馴染の青年がいた。地元の工事現場で働く貧しい肉体労働者の彼と、夜な夜な家を抜け出し、何度も密会を重ねるエイダ。そんな彼女をある日、悲劇が襲う。彼がイタリアへの出稼ぎのために乗っていた船が転覆し、行方不明となってしまったのだ――。深い哀しみに沈み込むエイダは、彼の消息を求めて街をあてどなく彷徨い歩くことに。それでも着実に近づいてくる夫との婚礼の日取り。そんな折、行方不明のはずの彼の存在が何故かエイダの回りに感じられるようになって……。保守的なイスラム社会で真実の愛を求めて彷徨う若き女性を幻想的に描いたピュア・ラブストーリー。カンヌでグランプリを取ったということで今回鑑賞してみたのですが、正直、僕にはさっぱりこの良さが分かりませんでした。海で死んだと思しき主人公の彼氏が何故か霊体となって彼女を見守るという本作のお話、いかんせんこの展開が独り善がりすぎです。こういう幻想的なお話こそ細かい設定をしっかり詰めないと観客を巧くこの異世界へと誘えないものです。なのに本作では、その大事な部分がことごとくスルーされているので、全体的に物凄くふわふわしててなんとも締まりの悪い作品となってしまってます。アフリカのイスラム世界と言う特異な舞台設定を取り除いたら、後にはさして目新しくもないイマイチ出来の悪いファンタジーしか残らないのでは。映像も頑張ってセンスある感じで撮ろうとしているんだろうけど、残念ながらそこまで心に残るようなシーンはありませんでした。正直、どうしてこれがカンヌでグランプリを取れたのでしょう。この年のカンヌは不作だったんだと信じておきます。[インターネット(字幕)] 4点(2020-06-18 17:33:04)

15.  アースクエイクバード 《ネタバレ》 聞こえる?これは〝地震鳥〟の鳴き声。いつも地震の後に聞こえてくるの――。辛い過去から逃れるように日本へとやって来たアメリカ人、ルーシー。大学時代から学んできた日本語という特技を生かし、日本で暮らすようになってはや5年。翻訳関係の仕事もそれなりに順調、アメリカや日本の友達ともぼちぼちいい関係を築いている。何より、蕎麦屋で働きアマチュア・カメラマンとしての顔も持つ日本人の彼氏、禎司と深い仲になっていた。そんな折、ルーシーはアメリカから着の身着のままでやってきた奔放な女性、リリーと出会う。ほとんど日本語も喋れず、明確なプランもない彼女をルーシーは何かと面倒を見てやるのだった。一緒に飲みに出かけたり、仲間のライブに参加したり、さらには彼氏の禎司と3人で旅行にまで出かけるほどの関係になった彼女たち。だがある日、しばらく消息を絶っていたリリーが急に東京湾で死体となって発見されるのだった。重要参考人として日本の警察へと連行されるルーシー。警察に問い詰められた彼女は驚くべき告白を始める…。日本を舞台に、ミステリアスな日本の彼氏と奔放なアメリカ人女性との間で揺れ動くある一人の女性を描いた心理サスペンス。人気若手女優アリシア・ヴィキャンデルが主演を務めたという本作、これがまあ近年稀に見るダメな映画でした。とにかく全編に渡って変な演出が延々と繰り返され、見れば見るほど失笑を禁じ得ないというダメっぷり。まず主人公が日本人の彼氏と付き合い始めるきっかけがそもそもおかしい。道を歩いていたら急に見ず知らずの男に写真を撮られ、怒るのかと思いきや、主人公はそのままその男と蕎麦を食べに行き、あろうことかその足で家まで付いてゆくんです。え、この主人公はビッチなの?と言うと特にそんなわけでもなく、その日は写真を撮られて終わり。いや、いったい何がしたかってん?終始こんな感じで、急に知り合いの日本女性が階段から転落死したり、主人公や彼氏の過去の話が急に出てきたりするのですが、それが物語の重要なキーになるかと言えば特にそんなこともなく…。タイトルにもなっている地震鳥のエピソードに至っては、もはや何の意味もなしてません。監督はきっとソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』みたいな映画を狙ったんでしょうけど、才能が遠く及ばず、出来上がったものは最後までまったく意味不明の退屈極まりない作品でありました。あと、最後にこれだけは言っておきたい。アリシアちゃんの日本語があまりにカタコト過ぎて、日本人としては聞けば聞くほど苦笑するほかありませんでした。周りにいた日本のスタッフはこのことに関して何も言わなかったのでしょうか?監督が「こんなもんでいいだろ」と判断したのであれば、あまりに日本を舐めた制作姿勢だったと言わざるを得ません。[インターネット(字幕)] 2点(2020-06-04 14:00:52)

16.  アンカット・ダイヤモンド 《ネタバレ》 エチオピアの鉱山で発見された、七色に光り輝くダイヤの原石。ニューヨークで宝石商を営むユダヤ人のハワードは、長年の借金生活から逃れるために自らのコネを最大限駆使して、何とかその原石を手に入れることに成功する。少なく見積もっても100万ドルはくだらない。オークションに掛け、莫大な額で売り抜けようとした矢先、店にたまたまスピリチュアルにかぶれたNBAのスター選手がやって来る。その原石を見た瞬間、彼はハワードに一晩だけこの宝石を貸してほしいと訴えてくるのだった。今夜の大事な試合のために何としてもこの宝石のパワーが必要だ、と。「これは絶対金になる!」。そう確信したハワードは、彼の高価な指輪と引き換えにそのダイヤの原石を貸し出すことに。そして、その足でハワードが向かった先とは、質屋――。そう、彼はNBAのスター選手の指輪と引き換えに大金を借り入れ、その金を全額、バスケット・ボール賭博につぎ込むのだった。妻にせがまれ、娘の劇の発表会に参加しながらも、試合の行方が気になって仕方ないハワード。そこに彼の長年の愛人や借金の取り立て人なども現れ、事態はますます混迷の度を深めてゆく。果たして賭けのゆくえは?アダム・サンドラー主演で送る、口先だけでこれまで生きてきた宝石商の狂騒の一夜をスラップスティックに描き出すクライム・ドラマ。率直な感想を述べさせてもらうと、僕はさっぱり楽しめませんでした、これ。考えられた脚本や緻密な構成などはなから度外視、役者のアドリブを最大限重視して、ひたすら行き当たりばったりで最後まで突っ走るこの撮影手法(違うのかな?でも僕はそんな印象を持ちました)はきっと好きな人には堪らないんでしょうけど、僕は全然無理でしたね。分かったような分からないようなこのストーリーがあまりにつまらな過ぎて、もうひたすら退屈!たくさん出てくる登場人物たちも誰が誰やら分かりづらいし、しかも皆自分のことしか考えていない俗物のバカばかりで魅力なんて欠片もありません。そんな彼らが最後までただひたすら悪態ばかりつくのを見せられるのは、もう苦痛以外の何者でもない。好きな人には申し訳ないですけど、自分には時間の無駄としか言いようのない作品でありました。[インターネット(字幕)] 2点(2020-05-25 00:04:59)

17.  アイ・アム・マザー 《ネタバレ》 そこは再増殖施設と名付けらた、とある広大な建物。最先端技術で管理されたそこには、意思のある人間は一人も存在しない。ただ、そこには凍結された胎児が6万体も保存されていた――。大量絶滅を迎えたその日、施設を管理する一体のドロイドによって一人の赤ん坊が蘇生される。生まれてきた赤ちゃんには名前すら付けられず、ただ〝娘(ドーター)〟と呼ばれ、ドロイドによって大切に育てられるのだった。施設の外は毒素に満ちた危険な世界で、人間は一人残らず死んでしまったと教えられる娘。いずれ大量に蘇生される幼き弟や妹たちのために日々勉強にいそしみ、美しい少女へと成長したある日、予期せぬ事態が起こる。なんと重傷を負った一人の女性が助けを求めてやってきたのだ。戸惑いつつも中に入れてやる娘。するとそれまで最大限の優しさを見せていた〝母親(マザー)〟は豹変する。果たしてここは何処なのか?本当に世界は滅んでしまったのか?今、娘の手によって回復した女の口から驚きの真実が語られる……。ディストピアと化した世界で、外界から完全に隔離された施設に暮らすある少女の葛藤と成長を描いたSFドラマ。舞台となるのはほぼこの完全隔離された施設内のみ、登場人物もこの主人公の少女と途中から登場する謎の女性のみ(演じるのはオスカー女優のヒラリー・スワンク)と言う低予算ながら、細部にまで拘ったであろうこのスタイリッシュな世界観のおかげで普通に観ていられる作品になってましたね、これ。特に、主人公を育てるドロイドなんてきっとパントマイムの人が中に入って演じてるんだろうけど、それを全く感じさせない自然な動きでなかなか良かったです。ただ、それに対してお話の方は正直微妙。何と言うか、細部の詰めが非常に甘いのです。まず、この広大な施設を管理するのがこのドロイド一体のみと言うのが不自然すぎます。後半に警備用ドロイドがたくさん出てくるのですが、それならこのうちの何体かはこの施設に配備されてても良かったんじゃない?おかげでこの主人公の少女にかなり自由な行動を許しちゃってますし。それに、この施設へと駆け込んでくる謎の女の存在もよく分かりません。外に仲間がいると嘘をついて主人公を外へと連れ出す、その理由がさっぱり分からない。要するに、腑に落ちないのです。終始そんな感じで、終わってみれば「結局、あれやこれはいったいなんだったの?」と言うもやもやしたものばかりが残る、何ともすっきりしない作品でありました。[インターネット(字幕)] 5点(2020-05-21 01:18:00)

18.  アウトサイダー(2018) 《ネタバレ》 ねえ、この入れ墨の意味を知ってる?鯉はね、滝を登り切ると龍になるの――。1954年、まだ敗戦の影響が色濃く残る大都市、大阪。罪を犯し、この地の刑務所へと服役していた元アメリカ軍人ニックは、そこでヤクザ組織の幹部を務める大物、清と出会う。身寄りもなく、アメリカ軍からも見捨てられたニックは、出所後、この清の組織に目を掛けてもらうように。米兵からの銃の横流し、売春組織の用心棒、地下カジノの運営など、裏の仕事で次第に頭角を現すニック。大きな仕事を幾つも成功させた彼は、やがて親分と盃を交わし義兄弟の契りを交わすまでになるのだった――。へまを犯し何本か指を失いながらもすっかり闇の世界の住人となったニックは、そこで清の妹美由と恋仲となる。背中には同じ鯉の入れ墨。一生一緒に居ようと誓いあうニックと美由。当初は交際に反対していた清もいつしか二人のことを認めてくれるように。だが、古いしきたりを重んじる親分の組織運営に反発した若頭の裏切りによって、二人は哀しい運命に翻弄されてしまう……。敗戦後の混乱した大阪を舞台に、アメリカ人でありながらもヤクザ組織の幹部にまで上り詰めた男の栄光と挫折を描いたクライム・ドラマ。主演を務めるのは、ハリウッドのオスカー俳優ジャレッド・レト。ヤクザ組織の幹部を迫力たっぷりに演じるのは、浅野忠信や椎名桔平と言う豪華な面々。内容的には日本のVシネマでもお馴染みのいわゆる仁侠ものなのですが、その手の作品にありがちな日本的泥臭さとハリウッドのスタイリッシュさがいい感じで中和されて、なかなか見応えのある佳品に仕上がっていましたね、これ。完全アメリカ資本の映画でありながら、ヘンテコ日本描写もほとんどなく、当時の大阪の猥雑な空気もけっこう忠実に再現されていたと思います。何より、日本語の台詞に全く違和感がなく、ちゃんとヤクザっぽい怒鳴り方なのがいい。浅野忠信も椎名桔平もけっこう渋くて格好良かったですし。主人公とヒロインとの悲恋もベタながら、最後まで惹き込まれて観ることが出来ました。ただ、脚本の細かいところに「?」が多いのが惜しい。特に主人公を脅す元戦友のエピソードはバッサリ切っても良かったんじゃ?とはいえ、アメリカ側から描かれたヤクザドラマとしてはなかなかよく出来ていたと思います。ちなみに、安田大サーカスのヒロくんがけっこう重要な役回りで出ていたことも最後に記しておきます(まかり間違ってクロちゃんにならなくてホント良かった!笑)。[インターネット(字幕)] 7点(2020-05-20 02:07:00)

19.  アイリッシュマン 《ネタバレ》 アメリカ裏社会にその名を轟かせた大物マフィア、ジミー・ホッファ。しがないトラック運転手をしている時に見出され、その容赦のない仕事ぶりで瞬く間に彼の右腕にまでのし上がった男の半生を実話を基に描いた伝記ドラマ。監督を務めるのは、もはやハリウッドの伝説と言っても過言ではないマーティン・スコセッシ。そしてキャストを務めるのも、ロバート・デ・ニーロ&アル・パチーノと言うこちらもレジェンド・コンビ。という訳でかなり期待して今回鑑賞してみたのですが、ちょっと僕の期待が高すぎたのか、そこまで心に突き刺さるものはなかったですかね。まず言わせていただきたいのが、とにかく長い!!この内容ならきっと3時間内に絶対収まったはずだと思うのですが。これは映画館での回転率を気にしなくていい最近のネット配信映画全般に言えることなのですが、いかんせん長くなりがちです。三つの時代を行き来するストーリー自体もなかなかよく出来ていたし、登場人物たちもそれぞれに皆魅力的だったと思うのですが、上映時間が長いせいでどうにも散漫で冗長な印象になっちゃいました。もっとキレのいい演出を心掛けて欲しかったです。とはいえ、デ・ニーロとパチーノの重厚な演技合戦は充分見応えありました。特にアル・パチーノの高圧的で自信家のジミー・ホッファ像は非常に魅力的ですごく良かったです。それだけにもっと削るべき部分はバッサリ切って、ちゃんと構成を考えてほしかった。[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-15 22:33:18)

20.  アルファ 帰還(かえ)りし者たち 《ネタバレ》 時は今から2万年前、まだ氷河期時代の雪に覆われたヨーロッパ。過酷な環境の中、当時の人類はマンモスをはじめとする獣を狩ってその命を繋げていた。父とともにいつものように狩りをしていた青年ケダは、ある日、獲物からの反撃に遭い崖下へと突き落とされてしまう。目覚めてみると、荒れ果てた荒野に独りっきり。父や仲間たちは彼のことを諦め、泣く泣く家族の元へと帰ってしまったらしい。なんとしても部族の元へと帰ろうと決意するケダだったが、行く手には様々な大自然の困難が待ち受けていた。大雨、嵐、狼の群れ、猛吹雪、飢えと渇き……。そんな彼の孤独な旅路を助けてくれたのは、同じく群れからはぐれた一匹オオカミの“アルファ”だった――。文明誕生以前の古代を舞台に、青年と一匹の狼との種を越えた友情を描いたネイチャー・アドベンチャー。と言う設定を聞いてまず真っ先に思い浮かべるのは、かつてローランド・エメリッヒが撮ったネイチャーおバカ映画の迷作『紀元前一万年』でしょう。でも、主人公たちが皆流暢な英語を喋っていたあちらとは違い、本作では一応当時の言葉っぽい言語を喋っていて、まだリアリティに対する拘りが感じられました。とはいえ、本作で勝っているのはそこぐらい。仲間からはぐれた若者がただ家に帰るだけという、大して中身のない薄っぺらいお話がひたすらダラダラ続くものだから、もう最後まで眠たくって仕方ありません。映像の方も、よくあるネイチャー・ドキュメンタリーで何度も観たことあるような「あー、確かにキレイだね~。大自然マジサイコー。カレンダーにして飾っときたいわぁ」ってレベル。肝心のおおかみ君がけっこうしっかりと演技していたのでなんとか最後まで鑑賞できましたが、わざわざ時間を割いてまで観るべき内容ではありませんでした。[DVD(字幕)] 4点(2020-03-11 16:20:27)

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