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プロフィール |
コメント数 |
3243 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
監督別鑑賞作品数
成瀨巳喜男 69 溝口健二 34 川島雄三 41 小津安二郎 37 石井輝男 24 豊田四郎 19 石井岳龍 18 矢崎仁司 12 西川美和 8 山下敦弘 15 今泉力哉 21 フェデリコ・フェリーニ 24 ミケランジェロ・アントニオーニ 14 ピエル・パオロ・パゾリーニ 16 ルキノ・ヴィスコンティ 17 ジャン=リュック・ゴダール 36 フランソワ・トリュフォー 24 ルイ・マル 17 ジャン・ルノワール 15 ジャック・ベッケル 13 ジャン=ピエール・メルヴィル 11 ロベール・ブレッソン 12 イングマール・ベルイマン 27 アルフレッド・ヒッチコック 53 ジム・ジャームッシュ 15 ホウ・シャオシェン 19 ウォン・カーウァイ 14 ジャ・ジャンクー 9 |
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161. 鞄を持った女
イタリアのこの時代の作品は大好きなので、一つでも多く観ておきたいところだが、中でもこのヴァレリオ・ズルリーニの代表作の一つともいえる『鞄を持った女』は絶対に観てみたかった作品の一つだった。
主演は、“C・C”ことクラウディア・カルディナーレ。
ヴィスコンティ作品で一度観たことのある大女優さんだけど、彼女の代表作といわれるものを観るのは、これが初めて。
そして、監督のヴァレリオ・ズルリーニだが、彼の作品を観るのは『家族日誌』に次いで2作品目。
『家族日誌』はイマイチだっただけに、本作には大きな期待をしていなかったけど、その期待をいい意味で裏切って、十二分に楽しむことができた。
これをきっかけにして、ズルリーニにハマりそうな予感。
なんともいえない、文学的でもの悲しい雰囲気の作品を創る素晴らしい監督だなぁ、と今回見直したわけだ。
ジャック・ペラン演じる16歳の青い青年と、カルディナーレ演じる豊満な大人の女性との、淡くも切ないラブ・ストーリー。
ラブ・ストーリーとはいっても、少年の片想い的な状況なのだが、これが内気な少年の立場から丁寧に描かれており、なかなか引き込まれる。
どうみても不釣合いな二人。
不釣合いどころか、恋が成就する状態になり得ないくらいのギャップがある。
自分も過去に背伸びして、「じゃあ仮に付き合ったとしてどうなるの?」的な女性にゾッコン(笑)だった時代があるだけに、観ていてどうしようもなく辛かった。
逆に、口がうまくて社交的な男や、女性の立場から観たら、どれだけ少年に感情移入できるだろうか。
そういう意味では、観る人を選ぶ作品。
そして、口ベタなクセに何故か、快活で大人な女性に恋をしてしまいがちな男性諸氏には、必ずやハマれる作品ではないだろうか。
ハマり過ぎて、過去の辛い想い出に涙しないように要注意。[ビデオ(字幕)] 7点(2007-09-02 11:28:08)《改行有》
162. 家庭
《ネタバレ》 監督であるフランソワ・トリュフォーの自伝的作品シリーズ“アントワーヌ・ドワネルもの”の第四弾。
トリュフォー作品は何本も観たが、全体的には好みに合わない作品が多かった。
しかし、“トリュフォー=レオ”コンビによる自伝シリーズは別格だ。
『大人は判ってくれない』をはじめとして、『二十歳の恋』や『夜霧の恋人たち』と秀作ぞろいである。
本作の主人公ドワネルを演じるのは、あのジャン=ピエール・レオ。
元々かなり好きな俳優さんではあるが、このトリュフォー自伝シリーズ(ドワネルもの)においては、特に彼の魅力が発揮されているように感じる。
彼に男の“ダメダメぶり”を演じさせたら、右に出るものはいないからだ。
シリーズ前作『夜霧の恋人たち』で無事結婚したドワネルは、実に幸せそうな新婚生活を送っている。
この何気ない新婚生活を観ているだけでも、十分に楽しむことができる本作。
そして、撮影のネストール・アルメンドロスによる美しい映像も、花を添えている。
そんな中、日本人女性“キョーコ”さんというのが登場する・・・
この登場人物が実におそろしい。
どう恐ろしいかって?
いやー、何とも表現しにくいが、トリュフォーによる日本人女性への偏見にみちたキャラなのだ。
まあこれはこれでジョークと割切れば、楽しく観れなくもないが・・・
(トリュフォー自身も、これに関連して、“失敗作”と本作を評価しているらしい。)
この日本人女性に関するエピソードがあるせいで、日本においては他の“ドワネルもの”に比べて極端に知名度の落ちる本作。
このゲテモノとも言える日本人女性に関するシーン以外は、なかなか魅力がある本作だけに、実にもったいないはなしだ。
(追加)
ちなみに、本作は思わずニンマリしてしまうシーンが盛り沢山。
例えば、主人公が電話をするシーン。
「ジャン・ユスターシュさんですか?」
そして、“キョーコ”さんがドワネルに残した置き手紙の内容。
「勝手にしやがれ!」
などなど。
なかなかやってくれます。[ビデオ(字幕)] 5点(2007-09-02 10:54:33)《改行有》
163. カンタベリー物語(1972)
《ネタバレ》 パゾリーニだが、この『カンタベリー物語』を観るまでは、イマイチ好きになれなかった。
この作品もいわば「義務的」にやっつけるつもりだったのだ。
しか~し、これが何とも面白い作品で、見事にハマってしまった。
この作品は『デカメロン』『アラビアンナイト』と並ぶ、P.P.パゾリーニ“艶笑三部作”の一つでもある。
何個もの挿話から成り立っており、オムニバス作品の様な形式で話が進んでいく。
つまらない挿話もあるにはあったが、これがなかなかの粒揃い。
基本的に映画で笑わない(笑えない)この私が、思わず吹出してしまう挿話が何個もあった。
その中でも笑いまくってしまったのが、ニネット・ダヴォリがちゃらんぽらんな主人公を演じた三番目の挿話である。
ニネット・ダヴォリは、P.P.パゾリーニの作品では常連の俳優だ。
いつも訳のわからん役ばかりだが。
でも、今回の作品における彼の演じる青年は、殊のほかオカシイ。
なんだか分からないけど、常に“ニヤニヤ”しているのだ。
あげくの果てに、そのちゃらんぽらんさが災いして、“ギロチンの刑”に処されることとなるのだが、首を板にはめ込まれた後でも“ニヤニヤ”である。
この終始馬鹿にした様な彼の振る舞いに、見事に引き込まれてしまった。
処刑されるわけだから、かなりシビアなストーリーであるはずだ。
だのに、それだのに・・・
それを微塵も感じさせない彼の“ニヤニヤ”は、もはや神がかり的でさえある。
この挿話によって、ニネット・ダヴォリ、そしてP.P.パゾリーニにハマってしまいそうだ・・・
そして、この作品が、ベルリン映画祭の最高賞(金熊賞)を獲っているのだから凄い。
何たることだ。[ビデオ(字幕)] 7点(2007-09-01 20:42:11)《改行有》
164. 崖
《ネタバレ》 数多あるフェデリコ・フェリーニ作品群の中から、『崖』を鑑賞。
フェリーニ作品は全て観たが、この『崖』が一番のお気に入りだ。
世間では、同時期に作られた『道』(1954)の方が有名である。
でも私は『崖』の方が遥かに好きである。
一番のお気に入りシーンは、「主人公と小児麻痺の少女との会話」シーン。
詐欺を働き、その人生自体も汚れきった中年の主人公。
片や、小児麻痺と戦いながらも人生と真正面から向き合い、純粋さを失っていない少女。
この対照的な二人の会話は、ただただ見入ってしまうほど感動的で印象的なシーンだ。
主人公が、純粋な少年や少女と会話をするシーンは、『甘い生活』(1959)や『青春群像』(1953)などの初期フェリーニ作品でもよく出てくる。
『甘い生活』は非常に尺の長い作品で、ややもすると退屈さに襲われる危険性大の作品だが、ラストの「海辺での主人公と少女との会話(実際は会話が成立していないが)」シーンが一気にそのもやもやを吹き飛ばしてしまう。
『青春群像』でも、ラスト間際の「汽車が出発する直前の、主人公と少年の会話」シーンがあり、最後にとてつもない余韻を残す。
私にとって、初期フェリーニ作品が大好きな理由は、まさにこれらの名シーンが存在するからなのだ。
中期から晩年にかけてのフェリーニ作品は、まさに「映像の魔術師」的作品が多く、それらは高く評価されているかと思うが、私の好みには合わない。
やはり私にとってのフェリーニ作品といえば、『甘い生活』であり『青春群像』であり、そしてこの『崖』であるのだ。
“あの会話シーン”を観たいが為の理由で、私はこれらの作品をまたいつの日か観ることだろう。
最後になってしまったが、ニーノ・ロータの音楽も言わずもがな素晴らしい。
やはりフェリーニはロータあってのフェリーニである。[ビデオ(字幕)] 9点(2007-09-01 20:36:48)(良:1票) 《改行有》
165. 貸間あり
“初川島雄三”を「フィルムセンター」で体験してきました。
川島作品といえば、『幕末太陽傳』『洲崎パラダイス 赤信号』『しとやかな獣』辺りから入っていくのが無難なんでしょうが、貴重な本作がちょうどフィルムセンターで上映されるということで、行ってきました。
フランキー堺が主演の1950年代喜劇ということで、自分にとってはやや敷居が高かったですが、意外と楽しめました。
主演のフランキー堺、ジャズ・ドラマー出身ということですが、演技うまいですねー。
びっくりしました。
そして変に体格も良いです。
そして脇役で強い個性を発揮していた桂小金治。
こちらも落語家ですが、自然な演技で素晴らしいです。
若い頃も同じ様な顔してたんですね。
ヒロインの淡島千景ですが、個人的には好みに合わなかったです。
なので、男性出演陣に共感できず。
あのパーマは、現代的センスで見てしまうと、ひいてしまいます。
完全におばはんパーマです。
ところで本作、冒頭から凄いハイテンションです。
よほど集中していないと流れについていけないくらいのスピード感。
その後も、ドタバタ喜劇的な色合いのジョークが連打されていき、観ているこっちはノックアウト気味です。
これを「息もつかせぬ笑いの連続」と取るか、「テンション高すぎ、スピード早過ぎで疲れる」と取るかは、ほんと好み次第。
私は両方でした。
笑いのセンスとしては、正直合わない部分が多かったです。
しかし、登場人物が全てクセ者ぞろいで、各キャラクターが実によく作りこまれています。
その為、後半はいつの間にか“川島ワールド”に引き込まれたのも事実。
特にフランキー堺の演ずる主人公が、実に人間味があってよかったですね。
“サヨナラだけが人生だ”
何度となく本作で繰り返される“川島監督の座右の銘”といわれる名文句。
実に奥深い言葉でした。[映画館(邦画)] 7点(2007-08-24 07:11:26)《改行有》
0 | 43 | 1.33% |
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1 | 78 | 2.41% |
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2 | 134 | 4.13% |
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3 | 251 | 7.74% |
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4 | 291 | 8.97% |
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5 | 639 | 19.70% |
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6 | 853 | 26.30% |
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7 | 696 | 21.46% |
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8 | 201 | 6.20% |
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9 | 47 | 1.45% |
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10 | 10 | 0.31% |
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