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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  葛城事件 《ネタバレ》 評判に違わぬヤバイ映画でした。池田小事件や秋葉原通り魔事件などの凶悪犯達を育てた家庭とは一体どんな状態にあったのかという点を深く深く煮詰めた作品なのですが、常人では考えられないほどの凶行に及んだ人間の源流を辿っていくと、誰もが思い当たる心の闇や歪な家族関係に行き着き、「少し誤っていたら、自分も殺人犯になっていたのかも」「自分も犯罪者を育ててしまうのではないか」という不安を掻き立てられます。見ている間中「これはお前の話だ」と言われているようで、とにかく居心地が悪いのです。 家庭内でもっともソリが合わないように見える親父と次男ですが、実はこの二人はよく似ています。自意識が肥大化し、ちっぽけな自分の実像を受け入れられない男達。親父の方は継げる家業があったし、団塊の世代で若い頃には社会環境に恵まれたこともあって、それなりの社会的地位に安住することができましたが、根底には自分の可能性を一度も試してこなかったというコンプレックスがあって、その反動から「俺は強くて偉いのだ」ということを至るところでアピールしたがります。家族に対して高圧的に接するのは当然のこと、事あるごとに「男は一国一城の主で」みたいな説教を始めるので本当にめんどくさい。そして本作最大の見せ場である中華料理屋でのイチャモン場面ですよ。物凄い剣幕で店員を怒鳴りつけているので何事かと思いきや、よくよく聞いてみると「麻婆豆腐がいつもより辛い」ということを訴えているだけ。しかもカメラがパンすると、長男の奥さんとご両親が気まずそうにごはんを食べている。よりによってこの席でそんなことするかと誰もが思う一幕ですが、あの親父は、この席だからこそあのような態度をとっているのです。自分は強いということ、そして「あなた達のために不届きな店員を叱ってあげましたよ」ということを全力でアピールしているのです。この親父は万事この調子で、自己アピールや他者への愛情表現がすべて裏目に出ています。ただし悔しいのが、これを鑑賞している私自身にも恐らく同様の一面はあるということです。中華料理屋のようなことを、自分自身もやらないとは言い切れません。 次男は時代に恵まれなかったために何者にもなることができず家に引きこもり、世界で唯一自分の思い通りになる母親に対して暴言を吐いたり暴力を振るったりしながら、「自分は何事かを成し遂げられる人間だ」という自意識のみを肥大化させています。親父には「自分の城を守る」という大義名分があったものの、次男はそんな目的すら持てない中で煮詰まっていき、その後自意識と現実との間にできた絶望的なギャップを埋めるために凶悪事件を引き起こします。この凶悪犯製造プロセスもまた対岸の火事ではなく、どんな家庭でも起こりうることとして描かれています。 他方、完全に常軌を逸しているのが収監中の次男との獄中結婚をする女。面会室のガラス越しに数回接見しただけの凶悪犯との結婚を決意し、この結婚のために肉親との縁を切ってきたと言い、他の登場人物にとっても観客にとっても何を考えているのかサッパリわからないキャラクターなのですが、この女が親父と次男を容赦なく追い込みます。 まず次男。親切に差し入れをしたり、気遣いの言葉をかけてくれる女に対して彼は暴言を吐いたり、無関心を装った態度をとっているものの、これって母親に対する態度と同様のものであり、彼なりにこの女を受け入れて心地よさを感じているのです。しかし女はそんな反応を読み切れず、いつまで経っても自分が受け入れられないまま死刑の時が迫っていることに焦る中で、最後の最後に自分の身の上話を始めますが、これが次男を絶望の淵へと追い込みます。「昔、彼氏の安アパートでずっとセックスしてたのよ」という痴話ばなしなのですが、恐らくは童貞であり、かつ、世捨て人の如きこの女も当然自分と同類だと思い込んでいた次男は、この女の人生にも人並みに幸福な時期があったということを知って愕然とします。そこから彼は態度を急変させ、堰を切ったように自身の犯行について話し始めますが、これは「俺は殺人鬼だ。他人なんて虫けらにしか見えていないんだ。どうだ、凄いだろ」という最後の見栄でした。 親父は親父で、自分の元に訪ねてくる唯一の客人であるこの女に対して、自身の寂しさをぶつけようとします。クライマックスの展開は決してレイプ未遂ではなく、ただ人肌の温もりが欲しかっただけなのです。女からは「あなた、それでも人間ですか」と厳しく非難されましたが、いやいやこのみっともなさ、他者を求める行為こそが人間なんですよ。最後の一人からもそんな切実な思いを拒絶されてしまった親父は最後の糸が切れてしまい、この世との決別にまで思いが至ります。 とにかく何から何まで地獄なのですが、人間に対する深い洞察は見事なものでした。[DVD(邦画)] 9点(2017-01-15 06:18:11)(良:4票) 《改行有》

2.  鑑定士と顔のない依頼人 《ネタバレ》 ※注意!壮絶にネタバレしています。未見の方は読んじゃダメ!絶対! おっさんが若い女からモテるわけねぇだろ!という、男にとって実に痛いところを突かれた加藤茶さんムービーでした。かく言う私も30代後半に突入し、最近では若い女性からほぼほぼ相手にされなくなっているわけですが、そんな中でたまに職場の20代の子から話しかけられると、「ありがてぇ、ありがてぇ」と恋愛乞食ぶりが全開となってしまうのです。彼氏の相談なんてされた日にゃ、「彼氏とうまくいっていない→私、寂しいんです→あなたに抱かれたい」と1億光年先にまで妄想が弾けるポジティブシンキングが止まりません。幸か不幸か私は大した資産を持っていないためハニートラップに掛けられるような器ではなく、今後もトラブルに巻き込まれることはないと思いますが、仮に仕掛けて来られたら1ミリ秒(©シャリバン)で落ちると思います。男ってバカね。 本作の主人公は美人画収集を唯一の心の安らぎとする筋金入りの二次元萌えであり、コミケで美少女ものの抱き枕とか買ってるオタクをじっくりコトコト煮込んだ上に72時間熟成させたような御仁。その童貞遍歴は妖精や魔法使いを超えて神の域に達しており、ネット界隈では「SEXしたら死ぬ」とまで言われているレベルです。実際、若い女性を抱いて廃人にまで追い込まれたのだから、ネットの説はあながち間違ってもいないようです。恐ろしや恐ろしや。 ジュゼッペ・トルナトーレの演出は絶好調であり、気難しいバルボッサが恋をしてどんどんみずみずしくなっていく様を実に丁寧に描写します。仮にオチなしのラブストーリーで終わってもそれなりの映画になるほどの完成度があるため、主人公と同様に観客もすっかり騙されてしまうのです。これは見事でした。 また、ミステリーものとしても上々の出来であり、オチを知ってから本編を見返すと、あらゆる要素に別の見方ができるという手の込んだ仕上がりとなっています。上質かつ下世話な素晴らしい映画でした。[インターネット(字幕)] 8点(2016-09-13 18:17:04)《改行有》

3.  紙の月 映画版独自の設定として舞台が1994年にされていますが、この時代設定が絶妙でした。それはバブル崩壊後の混乱期に当たり、数年前まで約束されていたはずの将来が目の前で崩れ去った現役世代は地獄の苦しみを味わっていました。専業主婦だった梨花が銀行へのパート勤めを始めた理由について劇中では触れられていませんが、こうした時代背景において、夫の収入だけでは生活が成り立たなくなったのかもしれません。一方で、バブルを勝ち逃げした老人世代もいました。現役世代がリストラに怯えながら仕事をしている一方で、遊びのことしか考えていない老人や、ひたすら蓄財に励むドケチ老人がいる。こいつらだって、若い世代の生き血を吸って私服を肥やす盗人ではないのか?こうした世代間格差が、梨花のモラルを低下させる一因となっています。少なくとも初犯は、富める老人から恵まれない若者への所得の移転を狙ったものでした。 しかし、一度あぶく銭を手にしてしまうと、それは癖になってしまいます。さらには、40才の主婦が20代のイケメン大学生から惚れられるという、今後の人生で二度と訪れないであろうチャンスを掴んだことや、ナイスタイミングで旦那の単身赴任が決まったこともあって、「後は野となれ山となれ。ここで楽しむしかないのよ」と、梨花は刹那的な生き方にどっぷりと浸かってしまいます。恋することでどんどん綺麗になっていく宮沢りえの姿が梨花の行動を心情的に応援したくなる要因ともなり、私は梨花の気持ちに同調して映画を見ることができました。結果的にヒモとなってしまう光太についても、その心情がうまく描写されています。当初は身内でもない人からお金を受け取ることに抵抗を示しているし、その後においても梨花に対して積極的に要求したことはありません。しかし、普通の20代では味わえない贅沢をさせられることで倫理観は徐々に低下し、「このお金はどこから来ているのか」という正常な猜疑心も失われ、さらにはまともに働こうという気力まで奪われ、本来は悪人ではない彼が人間的に腐ってしまうのです。これぞお金の魔力。恐ろしいものを見させられました。 恐ろしいと言えば、梨花の着服を暴く隅より子(映画版オリジナルのキャラ)の存在も同様で、すべてを見透かされているような眼光の鋭さ、職場のお局様特有の容赦のなさが素晴らしく、彼女の存在により、本作は一流のサスペンス映画にもなっています。[ブルーレイ(邦画)] 8点(2015-07-20 01:35:40)(良:2票) 《改行有》

4.  崖っぷちの男 《ネタバレ》 興行面では世界的に不発だった本作ですが、なぜこれが話題にならなかったのかと不思議になるほど面白い映画でした。傑作とは言いませんが、これよりも面白くない大ヒット作なんていっぱいありますよ。。。 多くの方が挙げられている『フォーン・ブース』を筆頭に、『交渉人』『ミッション:インポッシブル』『マッドシティ』等々、本作の内容は過去作品のパッチワークのような状況となっています。ビルから飛び降りようとする謎の男と、それを止めようとする交渉人という構図は、2011年に製作された『ザ・レッジ-12時の処刑台』と同じだし、本作はオリジナリティに欠ける映画だと言わざるをえません。ただし、イベントの詰め込み方が尋常ではないため、ハイスピードで展開されるサスペンスアクションとしては過去作品達を上回る面白さとなっています。監督を務めたアスガー・レスはドキュメンタリー出身で本格的な劇場映画は本作が初となるのですが、その手腕には目を見張るものがありました。トニー・スコットやデヴィッド・R・エリスら、このジャンルの重鎮の急逝が相次ぐ昨今、意外とすぐにメジャー大作を任されることになるかもしれません。。。 以上が作品レビューであり、これからは鑑賞後に気になった点をいくつか挙げていきます。まず、この手の映画は視点を絞れば絞るほど面白くなるので、崖っぷちに立つ主人公と、敵の総本山に潜入する弟たちの様子を交互に映し出すという構成はいただけませんでした。盗みについては素人同然の弟がイーサン・ハントのような技を見せる点も不自然だったし、作品を通じて視点は主人公に固定して弟達の活動は明確に描写せず、終盤でサプライズ的に登場させるという構成にした方がよかったと思います。次に、交渉に失敗した過去を持つマーサーの設定が本筋とうまく絡んでおらず、ほとんど不要な背景となっています。『ダイ・ハード』のパウエル巡査的なポジションを彼女に託したのだと思うのですが、ならば彼女にも見せ場を与えてやるべきでした。悪役側については頭の悪すぎる行動が多く、「そこで主人公を殺したら、さすがに隠蔽しきれないだろ」という局面もありました。もっと賢く振舞ってくれれば、強力な敵となったはずなんですけどね。。。 まぁこの手の映画は2時間の上映時間を楽しむことができれば勝ちですので、以上の指摘も鑑賞後の小言であって、作品の面白さを損なうものではありませんが。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2013-01-27 02:21:54)《改行有》

5.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー IMAX-3Dにて鑑賞。舞台の高さや広さを活かしたアクションや、無数の戦闘機が入り乱れるドッグファイト等、3D効果を狙った見せ場が多く、3D料金を払う価値が充分にある映画でした。。。 この映画の構成は抜群に優れており、マーベル・シネマティック・ユニバースに属する現行10作品の中では、もっともよくまとまった作品だと思います。それぞれに複雑なバックボーンを持つヒーローが5人もいる。彼らは根っからの善人ではないため戦いに参加するだけの動機を与えてやる必要があるし、敵組織も味方となる勢力も一枚岩ではない。おまけに、どちらの勢力にも属さない謎の宇宙人までが登場する始末。これだけ複雑な情報を観客に伝えながら、抜群のタイミングで見せ場を入れつつ、主人公たちの友情物語も無難にまとめる。よくぞこれを2時間程度でやりきったものだと感心しました。。。 ジェームズ・ガンは『スクービードゥー』や『ドーン・オブ・ザ・デッド』の脚本を手掛けた経験はあるものの、ハリウッド大作の監督を務めるのは本作が初。直球勝負の純粋娯楽作を撮った経験のない監督が本作をどう味付けするのかには関心があったのですが、クライマックスに向けて舞台を大きくしていくという見せ場の配分や、ピンチの中で味方の救援が駆けつけるタイミングの絶妙さなど、恐ろしく熟れた仕事ぶりを見せています。これだけ器用にやれる監督はそうはいません。。。 とはいえ、このバランスの良さが時にアダともなっています。善人ではなかった5人が正義に目覚めたり、友情を大切にしたりといった展開はハリウッドの王道すぎて、ドラマとしての面白みに欠けます。また、「毒を持って毒を制す」がコンセプトの企画ながら、主人公たちの悪の面が強調されていないことにも不満を覚えました。無味無臭の標準的な娯楽作に徹しすぎているのです。前作『スーパー!』ではヒーローものをバラバラに解体し、物凄く気味の悪い形で観客に提示してみせたジェームズ・ガンが、ここまで大人しいものを撮ってどうするんだという気にもなります。続編こそは、もっとヤンチャで、もっと挑発的なものを期待します。[映画館(字幕)] 7点(2014-09-19 00:22:10)(良:1票) 《改行有》

6.  カンパニー・メン 個人のパフォーマンスが芳しくなかったり、業界の景気状況が悪化したりすれば簡単にクビを切られる世界で働く身としては、他人事とは思えない映画でした。MBA持ちで30代にして大企業の部長を務める主人公が、リーマンショックの影響によって呆気なくクビに。主人公に非があったわけではなく、部門の統廃合によって運悪く余剰人員の一人となってしまったという点が同情を誘います。そして、リストラ後に繰り広げられるのはサラリーマンにとっての地獄絵図。「自分にはまともな学歴と職歴があるし、きっとすぐに再就職先が見つかるはずだ」という見当は外れて無職の期間がどんどん長引き、親や子供、親戚やご近所さん達にも自分が無職であることが知れ渡ります。家族には迷惑をかけまいと思っていても月々の支払いは容赦なく迫り、家や車を手放すことに。空気を読んだ子供達が家計に気を使うに至っては、申し訳なさと情けなさで胸が張り裂けそうになります。親戚に頭を下げて仕事をもらっても不慣れな作業にはまったく馴染めず、不甲斐なさと自己嫌悪はさらに増長するのみ。観ている間中、こちらまでが胃の痛むような思いをさせられました。。。 監督のジョン・ウェルズは主にテレビ界で活躍してきた人物であり、中でも『ER』では長年に渡って脚本・監督を務めてきました。テレビで培った構成力やリサーチ力は長編デビュー作である本作においてもいかんなく発揮されており、リストラサラリーマン達の姿は驚くほどにリアルです。さらに、個人の物語をメインとしながらも時事的な大企業批判もうまく織り込んでおり、その構成力の高さには舌を巻きます。本作は非常に上質なドラマだと思います。その一方で映画的な抑揚に欠ける点もあり、悪い意味でもテレビ的な面が出てしまったことが残念です。サラリーマンにとっては身近な話であっても、主婦や学生さん達が本作を観てどの程度感情移入できるのかについては疑問が残ります。[DVD(字幕)] 7点(2012-10-09 01:19:49)《改行有》

7.  神様メール アイデアの奇抜さや、そのアイデアを観客に伝えるためのストーリーの整理の仕方など、この監督の手腕には恐れ入るのですが、『ミスター・ノーバディ』に続き、私との相性は良くありませんでした。 この監督はアイデアで引っ張る一発ネタ的な作風である割りには上映時間が長めだし、極端な設定から人類普遍のドラマを導き出すのかと思いきや、その核にはそれほど訴求力のあるメッセージがなかったりと、結局技巧を楽しんでいるだけという印象がしてしまいます。 比較すべき相手かどうか分かりませんが、例えばチャーリー・カウフマンのように、物凄く奇抜な設定やキャラクターを選択しながらも、見る者の共感を呼ぶような着地点を見出せる作風の方が、より万人受けするのではないでしょうか。[インターネット(吹替)] 6点(2017-10-31 18:40:12)(良:2票) 《改行有》

8.  顔のないスパイ 《ネタバレ》 『ウォンテッド』や『3時10分、決断の時』の脚本家、マイケル・ブラントの監督デビュー作。これまで優れた脚本を書いてきたブラントが、自分の手で監督したいと思った渾身の作品だけあって、本作の脚本はかなり魅力的です。ポールの正体を早々に暴いて観客の視線をポールに集中させておいて、第2のトリックを密かに仕込んでおくという周到な構成には恐れ入りました。また、男性映画の傑作『3時10分、決断の時』の脚本家だけあって、男の友情物語としても非常に優れた物語です。残念なのは、監督としての腕前がまだまだ不十分で、脚本の魅力を十分に引き出せていないこと。プロの監督に委ねていれば目の覚めるような傑作になる可能性もあっただけに、結果としてB級アクションに終わってしまった点は惜しいと感じました。[DVD(字幕)] 6点(2012-09-09 14:15:08)

9.  ガンズ&ゴールド 《ネタバレ》 華のある役者が出ているし、テンポは良いし、見せ場は面白いし、さらっと見られる娯楽作としては仕上がっているものの、鑑賞後には何も残らない薄味映画でした。 本作の主題は信頼関係であり、主人公は親分と慕うベテラン犯罪者からは「女を信用するな。犯罪者はたいてい女で失敗する」と言われ、他方で彼女からは「あなたの親分はあなたを利用するだけして、必要なくなれば捨てられるわよ」と言われます。主人公がどちらを信じるべきなのかという葛藤を描けば面白いドラマになったと思うし、両者に対して疑心暗鬼に陥ればサスペンスとしての一山も作れたと思うのですが、そのどちらにも振り切れていないために主題がほぼ死んでいます。さらには、「愛こそ正義」という甘々なオチの付け方も犯罪映画には似つかわしくなくて、もうひと捻り欲しいところでした。 芸達者なユアン・マクレガーは今まであまりやってこなかった役を無難にこなしているものの、実年齢の割に若々しさの残るマクレガーには終身刑を食らうほどのベテラン犯罪者に必要な凄みや、内に秘めた凶暴性が不足しており、もし主人公が彼を裏切れば何をされるか分からないという怖さが表現できていません。ブレイク直前のアリシア・ヴィキャンデルはかわいくて綺麗でおっぱいまで出してくれるので最高なのですが、こちらも裏社会に生きる女特有の手強さを表現できていません。若い観客向けのライトな犯罪映画を目指していることはわかるのですが、怖い人が一人も配置されていないのでは雰囲気が出ません。[インターネット(字幕)] 5点(2016-10-27 23:10:16)(良:1票) 《改行有》

10.  哀しき獣 デビュー作『チェイサー』がいきなりの傑作だったナ・ホンジン監督の第2弾。激しいバイオレンス描写、全体を覆う殺伐とした空気、追われる男の痛々しいドラマ等々、監督は本作でも堂々たる演出力を披露しており、『チェイサー』がまぐれではなかったことを証明してみせています。バイオレンス映画としてはかなり見応えがありました。ただし、DVDの特典としてくっついていた人物相関図を見てもピンとこないほどドラマが複雑であり、このことが観客のテンションを著しく下げる原因となっています。個人的には『インセプション』よりも難解に感じた作品であり、誰が何のために戦っているのかを見失うことが多々ありました。日本人の私でこの状態なのだから、東洋人の顔の区別がつかない欧米の観客であれば、混乱はより増したはずです。本作は20世紀フォックスが製作に協力した初の韓国映画であり、当初より国際マーケットでの展開を意識した企画であったにも関わらず、なぜこのような複雑な内容にしたのかがよくわかりません。[DVD(吹替)] 5点(2012-09-25 00:50:06)

11.  カウボーイ&エイリアン ダニエル・クレイグとハリソン・フォードはいつもながら男らしいし、VFXの扱いに慣れたジョン・ファブローによる見せ場作りも悪くありません。特にラストバトルはハリウッド大作らしいボリュームできっちり楽しませてくれるので、観たことを後悔する映画ではありません。。。 ただし、右往左往する脚本が本作の足を引っ張っており、”悪い映画ではないが、決して褒められた出来ではない”というレベルに落ち着いています。「カウボーイ&エイリアン」、、、男子中学生が考え付いたような適当なアイデアではありますが、西部劇とSFとを違和感なく組み合わせることは非常に困難な作業だったようです。97年の発案当初から数えると12名もの脚本家が本作の執筆に関わり、脚本家が変わる度にコミカルとシリアスのバランスは大きく変動。結局、複数人の脚本家が出してきたアイデアのうち、良いものをパッチワークするという形で決定稿が作られたために、なんだかとっ散らかった印象を受ける仕上がりとなったようです。致命的だったのが、クレイグ、フォード以外のキャラクター達の個性の薄さで、多くのキャラクターが入り乱れる物語だったはずなのに、観客に好かれる者は皆無という状態となっています。悪徳牧場主、牧場主に苦しめられる市井の人々、治安を乱す盗賊団、白人社会と敵対関係にあるインディアン、これらの人々がラストバトルを前に主人公の元に結集し、”オール西部”で侵略者に挑むという燃える展開を準備しながら、個々のキャラクターの完成度の低さゆえに不完全燃焼で終わっています。この決戦前夜がビシっと決まっていれば、映画全体が締まったはずなんですけどね。[DVD(吹替)] 5点(2012-05-07 01:33:56)(良:1票) 《改行有》

12.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 《ネタバレ》 アウトローを主人公としているにも関わらず「毒を以て毒を制す」というそもそものコンセプトは前作以上に希薄化しているし、仲間だの家族だのと主張しすぎることもかなりめんどくさかったです。そういったキーワードをわざわざ台詞で言わなくても、見ている側にはちゃんと絆が伝わるように見せることこそが、演出の妙なのではないでしょうか。 また、殴り合いで戦ってきた主人公がラストで突然覚醒し、それまでとはレベルの違い過ぎる技を何の訓練もなくいきなり繰り出すという展開が私は大嫌いなのですが、本作はまさにそれをやっちゃってる点もマイナスでした。 さらには、スターロードが突出した能力を手にするとチーム内の持ちつ持たれつの関係が成立しなくなり、一人で事に当たればいいんじゃないのとなってしまうし、彼を神の子とした展開は完全に誤りだったと思います。なお、原作においてはエゴとスターロードの間に血縁があるという設定はなく(原作では宇宙帝国の皇子がスターロードの父親だった)、この神の子設定は映画オリジナルだったようです。 吹き替えで見ると、ゲスト出演のスタローンとハッセルホフの声優がともにささきいさおさんだった。この点だけが面白かったです。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に向けて重要なピースである以外の存在価値を感じない作品でした。[ブルーレイ(吹替)] 4点(2018-01-05 20:13:05)(良:2票) 《改行有》

13.  完全なるチェックメイト チェス映画という前代未聞のジャンルを切り拓いた作品ではあるのですが、何が凄いんだか観客には伝わりづらい上に、そもそも画が地味という映画としては致命的な欠点を孕んだこの題材を真正面から取り扱うことは避けており、特殊な環境に置かれた天才が精神を病んでいく物語として全体が構築されています。チェスをまったく知らなくても何ら問題がないというレベルにまでこの題材を落とし込んでみせた監督と脚本家の工夫には恐れ入りました。 ただし、映画としてはまったく面白くありませんでした。頭のおかしい人が暴言や妄言で周囲をひっかき回すだけの内容で、誰にも感情移入ができないのです。フィッシャー以上のストレス下に置かれながらも紳士的な態度を維持できていたスパスキーとの違いなどの考察があれば面白かったのですが、二人の天才の関係性もやたら淡泊で描写が不十分だったので、盛り上げるべきポイントを逃してしまっています。トビー・マグワイアが狂気の天才役を演じる自分の姿を撮らせたくて、自分で製作費を集めて作った映画なのだから仕方ないのかもしれませんが、狂人だけを描いても映画は面白くなりません。むしろ、レクター博士の如く狂人は脇役にしてしまい、狂人に振り回される人達を表面上の主役にしてしまった方が、その存在は立ったのかもしれません。[インターネット(吹替)] 4点(2017-10-14 01:41:35)(良:1票) 《改行有》

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