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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  クロニクル 【8bit】さん同様、1年以上前にイギリス版ブルーレイにて鑑賞しました。劇場公開前の映画を、個人で簡単に海外から取り寄せることができる。良い時代になったものです。。。 本作の内容も、そんな現在のネットワーク社会の特徴をうまく利用したものになっています。「テクノロジーを扱った映画でもない本作のどこが?」とお思いになるかもしれませんが、それは主人公がカメラを回し続けることの理由付けの部分にあります。例えば『クローバーフィールド』では、いかに映像をリアルに作り上げても、登場人物がカメラを回し続ける点については合理的な説明をすることができず、そこが映画の穴となっていました。しかし、それから数年で個人がSNSを利用する局面は大きく広がり、FacebookやTwitterで私生活の一部を世界に公開することも、YouTubeにアップする目的で動画を撮ることも当たり前のものとなりました。本作の映像や編集は意図的にYouTubeに似せており、数分程度の短い動画の積み重ねにより全編が構成されています。pov映画は掃いて捨てる程ありますが、YouTubeに似せてきたものは恐らく本作が初めて。10年後の観客が本作の手法を受け入れられるかについては不安が残りますが、少なくとも現在の観客にはマッチしたやり方でした。。。 以上、長々と語ってしまいましたが、手法については本作の魅力の一部に過ぎません。青春ドラマとしてよくできていたことが、本作を傑作にした最大要因だったと思います。地味で陰気、彼女なし、友達なし、家では父親からの暴力を受け、学校ではアホにいじめられるというあんまりな青春を送るアンドリューの悲惨な物語が胸に突き刺さります。物語中盤で一瞬の平穏を見せるものの、その後、急速に悲劇へと雪崩込んでいく様は見ていて辛くなりました。他方、彼を一方的な被害者として描いていないという点もよく考えられています。彼が破滅したきっかけはいじめでも貧困でもなく、初体験での失敗をバカにされたことを必要以上に根に持ってしまったことでした。それは他者と触れ合いたくても触れ合えない者の悲劇。初期ティム・バートン作品を思わせる独特の暗さがあるのです。アンドリューを演じるデイン・デハーンはハマり役で、明るい表情の時にはかつてのレオナルド・ディカプリオの面影があるものの、暗い表情の時にはケイシー・アフレックのような腐った目を向けるという二面性が非常に印象的でした。[ブルーレイ(吹替)] 9点(2013-12-21 04:37:46)(良:1票) 《改行有》

2.  グレイテスト・ショーマン 《ネタバレ》 IMAXにて鑑賞。 頭から尻尾まで歌とダンスの迫力と楽しさで貫かれたザッツ・エンターテイメントな作品であり、音響に恵まれたスクリーンで見る価値が充分にありました。とにかく楽しくてずっと見ていたいほどの幸福感があって、良い意味で実際の上映時間よりも体感時間の長い作品でした。 さらに驚かされたのは観客に余計な頭を使わせないよう無駄が徹底的に削ぎ落とされ、情報量がコントロールされた脚本の質です。例えば、生涯続くこととなるバーナムとチャリティの精神的なつながりの強さを序盤における以下の3つの描写で説明しきっています。 ・下層の出身だからという理由でチャリティの父親から蔑まれるバーナムと、そのバーナムに寄り添おうとするチャリティ ・海岸での二人の密会 ・廃墟の邸宅をファンタジーの世界に変えるバーナムの想像力とパフォーマンス、そして、それに魅了されるチャリティ さらには、その後のバーナムのすべての行動はこの3つの描写に象徴される彼の個性【上流階級に対する反骨精神】【男性としての魅力】【自分の夢に他人を取り込む力】を源流としたものであり、人物描写を実に簡潔に終わらせているのです。 全体的な構成も恐らく意図的に紋切り型を通しているのですが、そのことによって状況説明がほぼなしでも映画として成立するという効果が上がっています。歌が始まると物語の進行がピタっと止まってしまい、詰め込める情報量に限界があるというミュージカルの欠点を考慮した構成なのだろうと思いますが、これほど直感的な理解が可能な映画も珍しいと思います。 ただしこれって諸刃の刃で、製作者が意図的に切り捨てた深みという要素が本作の欠点にもなっています。鑑賞後数日経過してからこのレビューを書いているのですが、鑑賞直後には「傑作中の傑作!ここ何年間で最高の作品!10点満点!」と思っていたものの、現時点では私の頭の中に驚くほど何も残っていません。 後々振り返ってみると、ネタふりだけで明確な回答が出されていない要素もいくつかありました。ひたすらに上を目指して止まらなくなるバーナムと、今の成功を充分としてここに留まることを願う周囲の人々との間で起こる軋轢や、フリークスの味方として成功を収めたバーナムが無自覚のうちに差別者側に回る件については、当事者達がどう納得して元サヤに戻ったのかがはっきりしていません。 確かに放火や破産という大イベントはありましたが、でもそれってバーナム側の事情ですよね。重要なのは一時期バーナムに不快な思いをさせられた人達がいかにしてバーナムを再度受け入れるかなのに、彼らが心情面でどう折り合ったのかが見事に誤魔化されています。もしこの辺りをうまく扱えていれば美談の中の良いスパイスになった可能性もあったのですが、全体のテンポを重視してこれらが切り捨てられたために、どこか絵空事を見せられているような後味になっています。 この手の人生讃歌的な映画って、見たことが人生のプラスに働くほどの強烈なパワーを持ってこそ傑作だと言えると思うのですが、本作はそのレベルには達しておらず、よくできた娯楽作に留まっています。どこかに強烈なサムシングが宿っていれば問答無用の傑作になったかもしれないのですが、本作は鑑賞後数時間でほとんどの要素が流れ去ってしまうのです。批評面での苦戦も、この辺りに原因があるのではないかと思います。[映画館(字幕)] 7点(2018-02-28 00:10:56)(良:1票) 《改行有》

3.  クライム・ヒート 《ネタバレ》 【注意!壮絶にネタバレしています】 『ミスティック・リバー』のデニス・ルヘインが自身の著作を脚色し、オスカーノミネート作『闇を生きる男』のミヒャエル・R・ロスカムが監督をしたということで、案の定暗くじめじめとした映画でした。数発の銃弾がぶち込まれるクライマックスのサプライズとカタルシスのためだけに残りの107分があると言っても過言ではない特殊な構成をとっているのですが、かったるい本編部分は旬な役者、実力のある役者のパフォーマンスで何とかもたせています。 トム・ハーディは真面目に仕事をこなすバーテンにして、犬を愛する優しい男。彼女に見当違いなキレ方をされても、刑事からしつこい尋問を受けても、チンピラに変な絡まれ方をされても怒ったり取り乱したりすることなく、淡々と受け答えをする物腰が印象的なのですが、あまりの落ち着きぶりにかえって裏の顔の存在を感じさせるという演出が実にいい塩梅でした。切り落とされた強盗の腕を丁寧にラップで包む辺りから「こいつはおかしいんじゃないのか」と思わせておいて、殺人マシーンであったことが判明するクライマックスでは「やっぱりな」となりますが、この振れ幅の激しい役をトム・ハーディは見事にこなしています。本作の8割は彼の魅力で出来ています。 これが遺作となったジェームズ・ガンドルフィーニは、新興のチェチェンマフィアの台頭によって権力基盤を失った元ヤクザ者という役柄であり、現状を受け入れているトムハとは対照的に、いつか目にもの見せてやるのだという野心を捨てきれていません。本作のトラブルの元凶は彼なのですが、栄光を失った現状に安住したくないという心理が観客にも伝わる形となっているために、彼に対して悪印象は抱きませんでした。この辺りは、ハマり役だったガンドルフィーニの魅力によるところが大きかったと思います。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2017-01-26 00:51:02)《改行有》

4.  クレイジーズ(2010) ロメロをプロデューサーとして迎えているだけのことはあって、オリジナルをかなり尊重したリメイクに仕上がっています。細かいエピソードにはオリジナルから引用したものが多くて、「ゾンビ」とは似ても似つかぬ映画になってしまった「ドーン・オブ・ザ・デッド」などと比較すると、その製作姿勢には大変好感が持てました。その一方で、ただオリジナルをなぞるだけではなく21世紀版としての適度な改編がなされている点でも本作は評価できます。細かいネタはオリジナルから拾いつつもその味付けを変えており、オリジナルとはまた違う楽しみが出来る作品に仕上げているのです。オリジナルはかなり体制批判的な作品でしたが、その作風は公民権運動やベトナム戦争を経た70年代という時代背景を反映したものであり、そんな作風をそのまま現代に復活させても時代錯誤なリメイクが仕上がるだけ。そこで本作は体制批判的な面をバッサリ落とし、ソリッドなサバイバルアクションとして「クレイジーズ」を再構築しています。最大の変更点は軍隊の指令系統をまったく描かなかったことで、これにより社会派作品としての魅力は失ってしまったものの、映画の視点を逃げる主人公のみに絞ったことでアクション映画としての面白さは倍増しています。主人公は、自身がウィルスに感染するという脅威だけでなく、感染者による襲撃と軍による追跡という複数の脅威と戦うこととなるのですが、描写を限定したおかげで主人公の苦境がオリジナル以上に鮮明となっています。アクションの面白さやショックシーンの作り込みはオリジナルを凌駕しており、電ノコを持った感染者、鍬で人を串刺しにする校長先生、洗車場での襲撃等、気合いの入った描写が目白押しです。アクション映画として作り直したことで映画全体のテンポも変わっており、序盤からサクサクと話が進んでいく点でもオリジナルより見やすい娯楽作となっています。オリジナルを尊重しながらも時代に合わせて作風を変える、これは理想的なリメイクの形であると思います。[DVD(吹替)] 7点(2011-10-21 01:13:36)(良:2票)

5.  グリーン・ゾーン 《ネタバレ》 さすがは21世紀のジョン・フランケンハイマーことポール・グリーングラスだけあって、余裕で水準を超えるアクション大作に仕上がっています。細かいカットを積み重ねて構成される銃撃戦は臨場感に溢れているし、現場を走る兵士の視点と、それを上空からナビゲートするヘリの視点を交互につなぎ、観客に対して戦況をスムーズに伝えるという神業的な編集には脱帽するしかありません。「ボーン・スプレマシー」の大ヒット以降は手ブレ映像や細かいカット割を採り入れるアクション映画が急増しましたが、やはり本家が一番です。また、硬派な題材をエンターテイメントとして味付けするという稀有な才能も全開。オリバー・ストーン作品のような重厚なテーマがアクション大作の皮を被っていて、それらが水と油にならずにうまく共存しているのです。こんな器用な芸当ができる監督は他に見当たりません。。。と、監督は相変わらず良い仕事をしているのですが、奇跡的な傑作だったジェイソン・ボーンシリーズと比較すると脚本が弱く、そのことが、ジェイソン・ボーンの何倍も野心的な本作を傑作にしていない原因となっています。まず、主人公が陰謀に挑むこととなる動機付けが弱く、一方で「イラクを良くしたい」と願って積極的な行動をとるイラク人フレディの扱いが軽く、キャラクターの動かし方がうまくありません。また、秘密主義のCIAが現場指揮官に過ぎない主人公に接触する理由も弱いし、陰謀の黒幕となるパウンドストーンはどう見ても小物で、映画のスケールを背負って立つ悪役になっていません。アメリカ政府のウソを無検証でタレ流したマスコミへの批判もなされるのですが、ここで登場するジャーナリストも本筋とうまく絡んでおらず、いてもいなくても大差ない存在となっています。そして大きなミスだったのが、「大量破壊兵器はウソだった」という話を謎解きの中心に持って来てしまったこと。2003年当時ならともかく、現在では全人類が知っている話です。今さら「なんと、イラクは大量破壊兵器を持っていなかったんですよ!」と言われても、見ているこちらとしては「そりゃそうだろ」としか思えません。陰謀の背景などはさっさと暴露してしまって、イラク軍元将軍の口封じをしようとする米軍上層部と、それを阻止しようとする主人公との攻防を核とした方が盛り上がったのではないでしょうか。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2010-10-28 20:06:38)(良:1票)

6.  グレートウォール(2016) IMAX 3Dにて鑑賞。 アメリカではトンデモ映画扱いされている本作ですが、確かにこれはかなりの珍品でした。北京オリンピックの芸術監督を務めたチャン・イーモウ監督作品なのに中身は大怪獣映画だし、一応は中国の時代劇なのに主演はマット・デイモンだし、1億ドルバジェットの大作とは思えないほどの闇鍋感が漂っているのです。これまでもレジェンダリーフィルムズはチャイルディッシュな感覚溢れる大作を量産してきましたが、企画のバカバカしさを自覚して作られていた従来作品とは明らかに異なる質感が本作にはあり、基本的に物凄くおかしな話なのに監督も出演者も大真面目にやっちゃってる辺りがトホホ感を高めています。 とはいえ、さすがはレジェンダリーだけあって本編開始後まもなく繰り広げられる第一回会戦の出来は素晴らしい完成度でした。機能により色分けされた禁軍が見事な統制を見せる演出はチャン・イーモウの得意分野だけあって安定の仕上がりだし、対する怪獣軍団の手強さも見事に表現されています。敵味方双方の実力がきちんと描写されたアクションは見ていて本当に気持ちがいいものだし、米中合作らしい異常なボリューム感もあって、とにかく盛り上がるのです。これを見るだけでも入場料の元は十分にとれます。 ただし、序盤のこの戦闘こそが作品中最大の見せ場であり、その後はこれを縮小した見せ場が繰り広げられるのみという構成の歪さ、また、何か感動的なことを伝えようとしているのにすべて上滑りしている脚本のマズさなど、映画としての欠陥が至る所に見えてしまっている点は大きなマイナスでした。その他、主人公の成長物語や立場が違う者同士のロマンス、東西の文化比較などいろいろやろうとはしているものの、すべて中途半端に終わっていることも作品の印象を悪くしています。エドワード・ズウィックやトニー・ギルロイといった一流脚本家が雇われたのに、なぜこれほど脚本の出来が悪いのだろうかと首を傾げてしまったほどです。 また、クィーンさえ倒せば何百万の怪獣軍団を一気に潰せるというハリウッドでよくある攻略法もトホホ感を高めています。高度な知能を持ち通信機能までを有しているんだからクィーンは前線に出ていかず、どっか安全な場所で指示を出していろよと思ってしまいました。[3D(字幕)] 6点(2017-04-16 03:08:58)《改行有》

7.  クロユリ団地 さすがはJホラーを代表する監督・中田秀夫による作品だけあって、伏線の張り方や落とし方は非常にしっかりとしています。Jホラー特有の陰惨な空気も見事に醸成されており、丁寧に作りこまれた良作だと言えます。主演の前田敦子も、小慣れてはいないものの演技を全力でやりきっており、役作りのために自分を相当追い込んだことが伺えます。最初は、アイドル映画だと思って舐めた目で見ていたのですが、実際にはかなり本格的なホラー映画だったことは嬉しい誤算でした。。。 以上、褒めるべき点の多い作品ではあるのですが、ひとつひとつの場面が妙に長いために、全体としてチンタラした映画だという印象を受けたこともまた事実。静かな場面の積み重ねからいきなりショックシーンで観客を驚かせることはホラー映画の常套手段なのですが、観客の眠気を誘うほど静かな本編では、ショックシーンの勢いも削がれてしまいます。[ブルーレイ(邦画)] 6点(2013-11-06 01:11:45)《改行有》

8.  クローバーフィールド・パラドックス 《ネタバレ》 2018/2/4(日本時間では2/5)に突如「今日からNetflixで配信します」というアナウンスがなされて全世界を驚嘆させた、まさかまさかのクローバーフィールドシリーズ第三弾。こういうお祭りは旬が大事ってことで、配信初日に月曜から夜更かしして早速鑑賞しました。日米の時差が切なかったです。 どうやらクローバーフィールドの続編を作っているらしいという情報は漏れ聞こえていたものの、まさか劇場ではなくNetflixで、しかも宣伝もなしにいきなり配信開始という戦略の奇抜性には驚かされました。それと同時に、このような実験的な試みにゴーサインを出せるほどゆとりあるNetflixの組織体制も驚きであり(もし余裕がなければ「大金かけて仕入れた目玉コンテンツなんだからちゃんと宣伝して新規顧客獲得に繋げろ」という意見が社内の結論になったはず)、やはり時代は動画配信なんだなと痛感させられました。 で、内容ですが、モンスターパニックの『1』とも密室スリラーの『2』とも違う、宇宙を舞台にしたド直球のホラー映画であり、『クローバーフィールド』というシリーズは最終的に破壊者を出しさえすれば、あとは何をやってもいい箱になっているようです。実際、本作には第一作と繋がる点がほとんどなく、それどころか第一作の時点ではその雰囲気すらなかった地球規模のエネルギー危機や、ドイツ・ロシアが開戦寸前の国際情勢といった背景が突然登場するわ、第一作はガラケー時代のはずだったのに本作では普通にスマホが出てくるわと、誰もシリーズ内の整合性を気にせずに作ったか、そもそもクローバーフィールドとは無関係な映画だったが、地球パートを付け足して無理矢理クローバーユニバースに引き込んだのかという状態になっています。「10年前、"それ"が地球にやってきた。その理由が今日、明らかになる」というNetflixの宣伝に過度な期待はなさらぬように。 SFホラーとしてはそれなりの出来だったと思います。J・J・エイブラムス、マット・リーヴス、ドリュー・ゴダードといったうまい人達が大勢関与しているだけあって、独創性あるショックシーンの数々や、それを見せるタイミングの良さなど、実に良い仕事が連続しているのですが、その一方で瀕死の状態で登場したエマニュエル・デビッキの回復が異常に早かったり(特殊メイク代をケチった?)、地球全体を危機に陥れたことに対してクルー達がさほどの反応を示さなかったりと、おかしな部分もいろいろ目につきました。あと、この手のホラーはどうやっても1997年の『イベント・ホライゾン』に似てしまうようで、全体の雰囲気がありがちなSFホラーになっています。ポール・W・S・アンダーソンって実は優秀だったんだなと、妙なところで感心してしまいました。 また、ドラマとしても不完全。主人公の個人的なドラマと宇宙規模のスペクタクルの融合を目指してはいるものの、主人公の背景が中盤で突然語られることの違和感であったり、「そっちの選択をしたら、誰も幸福にはならんだろ」という方向に走ろうとする主人公に感情移入できなかったりで、『ゼロ・グラビティ』や『インターステラ―』といった成功例にはまったく及んでいませんでした。 これらの落ち度も動画配信なら許容できる範囲内ですが、もしこれを劇場で、しかも『クローバーフィールド』の続編という期待値の下で見れば、おそらくガッカリしたと思います。本作の配給権を手放したパラマウントの判断も、サプライズ的に配信を発表したNetflixの判断も、作品を見てみれば腑に落ちました。[インターネット(吹替)] 5点(2018-02-11 07:49:35)(良:1票) 《改行有》

9.  グリーンルーム 《ネタバレ》 前作『ブルーリベンジ』の批評面での大成功により、売れない映像作家から気鋭の若手監督に超絶ランクアップしたジェレミー・ソルニエの現時点での最新作。そのランクアップの成果はキャスト面に如実に現れており、アントン・イェルチンvsパトリック・スチュワートという新旧スタートレック対決をしれっと実現しています。実際に二人が直接顔を合わせる場面は少ないのですが、ちゃんと対決しているように見える辺りに、この監督の演出力の高さが垣間見えます。 あらすじだけを聞くとヒャッハーなネオナチがバンドメンバーたちをなぶり殺しにするような激しい内容を連想させられるのですが、実際には加害者側も被害者側も極めて冷静に行動をしています。これは感情を伴わない復讐劇だった『ブルーリベンジ』と共通する傾向であり、高い計算の上にえげつないバイオレンスを成り立たせるという微妙な匙加減こそが、この監督の作風であるようです。 もげかけの手首やカッターナイフで切り裂かれた腹部など、一連のゴア描写は見る者が痛みを疑似体験できるレベルに絶妙にチューニングされていてセンス良いなと思う一方で、籠城劇としてはあまり洗練されておらず、初期段階で主人公側が入手した銃をアッサリ手放してしまうなど、首を傾げるような展開があった点が残念でした。また、ネオナチ側の人数が無駄に多くて彼らの組織構造が分かりづらかったり、籠城者側に居た金髪パッツンの娘の立ち位置の説明がなかったりと、余計な疑問を抱かせる構図としたためにスリラーとしての没入感にも欠けていました。 あと、反ナチの歌を演奏したバンドメンバーがネオナチの怒りを買う話かと勝手に期待していたので、偶然殺人現場を目撃したという、もはやバンドやネオナチを主人公にする必要のないお話だったという点でも落胆させられました。監督の演出は相変わらず良いんだけど、ちょっとボタンの掛け違いが残念だったという、そんな映画でした。[DVD(吹替)] 5点(2018-01-27 02:31:12)《改行有》

10.  グランド・ブダペスト・ホテル 監督のスタイルや美意識が全面に出ており、ドラマの高揚感やリアリティなどは意図して切り捨てられていることから、見る人を選ぶ作品だと言えます。そのビジュアルセンスの良さや、何か深いことを語っていそうなインテリな雰囲気から、「この映画が好き!」と積極的に言いたくなるようなオーラが漂っており、それゆえにウェス・アンダーソン作品には一流俳優がこぞって出演したがるのだろうと思うのですが、私にはピンときませんでした。[インターネット(字幕)] 5点(2017-01-07 04:31:53)(良:2票)

11.  クリムゾン・ピーク 《ネタバレ》 おぞましくも美しい美術はさすがのデル・トロであり、十分に目を楽しませてもらいました。ティム・バートンの角がとれた今、このジャンルの先頭に立っているのはデル・トロであるということは間違いないようです。 ただし映画として面白かったかと言われると、それは微妙。物語の舞台がクリムゾン・ピークに移るまでに1時間もかかっている展開の遅さや、幽霊話と殺人事件がうまく絡んでいないという構成のまずさ。また、クリムゾン・ピークに移る前から主人公は怪奇現象を経験していることから、クリムゾン・ピークとおばけ屋敷のインパクトが相対的に薄まっているという点もいただけませんでした。おばけ屋敷ものにするのであれば、怪奇現象はそこでしか起こってはいけないと思います。 本作の制作にあたってデル・トロはキューブリックの『シャイニング』を意識したと言っており、確かに幽霊よりもキ○ガイの方が怖いというオチにはなっているものの、閉鎖空間でキ○ガイと過ごさねばならないことの恐ろしさの描写がいま一歩足りていません。ルシールが絶対的な強者ではなく、かつ、イーディスが絶対的な弱者でもなく、それどころか二人の間にいるトーマスはどちらかと言えばイーディス側に寄っているため容易に逆転可能な勢力図になっていることがその原因であり、そのために主人公側の絶望感が絶対的に不足しています。 そのトーマスはトーマスで、煮え切らない態度をとるのでイライラさせられます。敵は姉一人であり、男が本気を出せば力で押さえ込むことは容易なはずなのに、彼がウジウジと悩んでいる間に状況がどんどん悪化していくのだから困ったものです。真相に気付いて屋敷までやってきたアランを殺したと見せかけて実は急所を避けていましたという偽装工作にも、一体何の意味があったのかわかりません。あの場でトーマスとアランが力を合わせてルシールを押さえにいけば誰も死なずに済んだはずであり、彼の不合理な行動の数々が映画のテンションを下げています。 あとお母さんの幽霊、ヤバそうな雰囲気で登場して「クリムゾン・ピークに近づくな~」となぞなぞみたいな警告の仕方をしないでね。あれでは絶対に伝わりません。「結婚詐欺に気を付けて~」と言えばよかったのに。[インターネット(字幕)] 5点(2016-11-11 12:29:29)(良:1票) 《改行有》

12.  グリーン・ホーネット メカはかっこよく、カンフーアクションにはキレがあるし、物語だってそれなりに練られているのに、なぜか気持ちが乗り切らなかったのですが、その理由を考えてみると主演のセス・ローゲンを好きになれなかったことが大きな原因であるように思います。正義に目覚めたアホボンという設定なのでコメディ畑のローゲンがグリーン・ホーネット役を演じることにはそれなりの正当性があるのですが、彼はあまりにコメディ顔すぎて、ヒーローとしてのかっこよさが致命的に欠けているのです。例えば「スパイダーマン」のトビー・マグワイアや「アイアンマン」「シャーロック・ホームズ」のロバート・ダウニーJrなどには、三枚目であっても真面目な顔をした瞬間にキュっと空気を引き締めてヒーローらしい表情を見せるというメリハリがあったのですが、ローゲンにはそれがありません。笑いと男らしさの間で絶妙なバランスをとらねばならないグリーン・ホーネット役において、コメディ”しか”できないローゲンは不向きであり、キャスティングの候補に挙がっていたジョージ・クルーニーやジェイク・ギレンホールといったコメディ”も”できる普通の俳優の方が、この役には相応しかったと思います。ジェイ・チョウのカンフー、キャメロン・ディアスのいい女ぶり、クリストフ・ヴァルツの悪役ぶりはどれも悪くなかったし、ミシェル・ゴンドリーのビジュアルセンスもきちんと映画に反映されていただけに(しつこいほどにエスカレートしまくるクライマックスのアクションは必見)、主演俳優の魅力不足を惜しく思います。[DVD(吹替)] 5点(2012-01-30 01:14:48)(良:1票)

13.  グランド・イリュージョン ルイ・レテリエの流れるような演出は相変わらず素晴らしく、勢いのある作品には仕上がっているのですが、お話の方はイマイチでした。ある事象が起こる→「実は○○は××でした」という種明かしをする、これを3度も繰り返すので、正直飽きてきます。主人公達がマジシャンであるのを口実に何でもありが許された見せ場にはまるで緊張感が宿っていないし、各自の特技を活かした見せ場が作られていないために、集団アクションとしての面白さも生み出せていません。さらには、大オチは意外性を狙いすぎて、かえって月並みなものになってしまっています。黒幕の目的は逆恨みにも程があって、かえって小粒感が漂ってるし。そんなことに高い能力と何十年もの歳月を費やすくらいなら、もっと前向きに生きればよかったのにと呆れてしまいました。。。 そもそもの問題として、映画においてマジックを見せるという基本コンセプト自体に問題があったと思います。マジックとは、マジシャンと観客とのガチンコ勝負の娯楽。あらゆるものを見逃さんとする観客の目をいかに掻い潜るかという点に最大の面白さがあるのです。他方、いくらでもカットを割れるし、必要ならばVFXも使える映画という媒体でマジックを見せられて、我々は何に驚けばいいのでしょうか。冒頭の脱出マジックで登場したピラニアが、明らかにCGだった時点で脱力してしまいました。 [ブルーレイ(吹替)] 4点(2014-05-18 10:20:23)《改行有》

14.  グリーン・ランタン 《ネタバレ》 DCコミック社とワーナーは1997年頃からグリーンランタンの実写化を考えていたのですが、宇宙警備隊という子供じみた基本設定が災いして物語をうまくまとめることが出来ず、一時期はジャック・ブラック主演のコメディという方向性までが検討された程の迷走ぶりを見せていました。しかし、ライバルのマーヴルコミック社が、同じく製作が難航していた『アイアンマン』を大ヒットさせた辺りから本企画の方向性もなんとか固まっていき、難産の末に誕生したのが本作なのでした。。。 まず驚いたのが、大人のアクションを得意とするマーティン・キャンベルが監督を務めているということ。当初予定されていた監督がスケジュール切れで参加できなくなったための代打なのですが、それにしてもこれは意外すぎる抜擢です。とはいえ、キャンベルは『ゴールデンアイ』『カジノロワイヤル』『マスク・オブ・ゾロ』とヒーロー誕生編を得意とする人物でもあり、意外と何とかなっているかもしれないという期待感もありました。しかし、肝心の本編は何とかなっていませんでした。キャンベルは未経験の分野に挑むにあたって自分ならではのこだわりをすべて封印しているのですが、その結果、コスチュームのダサさや基本設定の杜撰さなど、監督のセンスでうまく誤魔化すべき点がすべて剥き出しになってしまっています。さらには、宇宙のロマンや巨大なパワーを手にしたことの爽快感なども薄く、ヒーロー映画に期待される風情がまるでありません。残念ながら、無名の新人監督にでも撮らせた方がまだマシというレベルの演出です。。。 脚本も無難に徹していて、特に面白みがありません。主人公ハルが恐怖心を克服することが物語の骨子となるのですが、映画全体が重くなりすぎることを避けるためか彼のトラウマ描写が希薄なので、ドラマに重みがありません。彼の敵となるハモンド博士についても同様で、客が引かない程度の描写を心がけた結果、彼のドロドロとした闇が致命的に不足しています。幼馴染が敵味方に分かれて殺し合いを繰り広げるというシャドームーンチックな設定は良かっただけに、もっと詳細な心理描写が欲しいところでした。[ブルーレイ(吹替)] 4点(2013-03-25 23:33:38)(良:1票) 《改行有》

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