みんなのシネマレビュー
かたゆきさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12

1.  コロンバス 《ネタバレ》 近代建築の宝庫として知られるアメリカの地方都市コロンバスを舞台に、建築に取りつかれたとある男女の微妙な関係を淡々と見つめた会話劇。これが長編デビュー作となる監督は、日本の名匠小津安二郎からの影響を公言しており、その構図への拘りは確かに感じられました。シンメトリーを意識しながらも微妙にバランスの崩れた映像の中で描き出される、等身大の人々の淡々とした会話はいかにも小津安二郎的。ただ、近代建築にも小津安二郎にも全く興味がない僕にとっては、最後まで観るのがだいぶしんどかったです。正直何度も寝落ちしそうになりながら、何とか最後まで観終えたようなレベル。僕の好みとは対極に位置するような作品でございました。[DVD(字幕)] 4点(2022-01-20 04:44:57)

2.  幸福路のチー 《ネタバレ》 貧しい家庭に生まれ育ったものの、苦学して大学を卒業し、後にアメリカに移住したある一人の台湾人女性の半生を現在と過去を行き交いながら描いたアニメーション。複雑な世界情勢に翻弄されながらも逞しく生き抜いた台湾の庶民たちの実情は巧く描けていたと思います。全体を包み込む、ノスタルジックな雰囲気もほのぼのとしていてなんとも心地良い。特筆すべきなのは、それぞれに弱さを抱えた登場人物たちへの暖かな目線でしょう。時代の流れに逆らえず時に野蛮人呼ばわりされるお婆ちゃん、宝くじにのめり込み常に金に困っているお父さん、娘への過度な期待に心をすり減らすお母さん、そしてキャリアウーマンとして成功しながらそれでもどこか満たされない心を抱えた主人公……。抑制の効いたこまやか心理描写はなかなか心に響くものがある。ただ、これは個人的な好みの問題なんでしょうが、僕は本作の絵のタッチがどうにも合いませんでした。なんか子供たちが絶妙に可愛くないんですよね、これ。それに人物の動きがかくかくしてて全然スムーズじゃないのはわざとなのか、それともただ単純に技術の問題なのか。随所に挿入される幻想的なシーンも僕にはいまいちセンスが感じられず、ちっともワクワクしませんでした。作品としてはよく出来てるんでしょうけれど、そういったわけで僕はそこまでって感じです、はい。[DVD(字幕)] 6点(2021-04-30 00:00:48)

3.  心のカルテ 《ネタバレ》 摂食障害に苦しむ少女たちが、型破りな精神科医が営むグループセラピーを通して徐々に立ち直ってゆく姿を淡々と描いたヒューマン・ドラマ。キアヌ・リーヴスがそんな破天荒な精神科医を演じているということで今回鑑賞してみましたが、正直、さっぱり面白くなかったです。とにかく脚本がゆるゆる過ぎます!!最後までダラダラダラダラどうでもいい話が延々と繰り返され、僕はもう退屈で退屈で眠気が止まりませんでした。拒食症の実態も上辺をなぞってるだけの薄っぺらい代物。僕が昔読んだ摂食障害をテーマにした本によると、ある拒食症患者は買い込んできた大量の食糧を夜中中食べては吐き食べては吐きを繰り返すことを止められないそうなのですが、ここにはその悲惨な現実の片鱗すらありません。もう、終始、キレイごと。それにこの少女たちのグループホームに一人だけ少年が混ざっているのもなんか不自然で、これって無理やりラブストーリーの要素を入れたかっただけちゃうんって思っちゃいました。んで、最後はお母さんの腕の中で赤ちゃんごっこしたら、過去の確執も無事解決ってあまりにも浅はか過ぎるっしょ!主役を演じたリリー・コリンズのもはや本当の病人にしか見えないメンヘラ女子っぷりに+1点![インターネット(字幕)] 3点(2020-11-21 03:01:49)(良:1票)

4.  荒野の誓い 《ネタバレ》 1892年、いまだインディアンの脅威が去らぬアメリカ南部の田舎町。退役を間近に控えた、かつての戦争の英雄ブロッカー大尉に、恐らく最後となるであろう任務が下される。それは、過去に仲間を惨殺したアパッチ族の首長イエロー・ホークを故郷まで連れ帰るというものだった――。末期の癌を患い、長年囚われの身だった彼を人道的な見地から故郷に帰そうというのだ。殺された仲間のことを思い、当初は断ったものの、軍人としての義務と年金のために仕方なく任務を引き受けるブロッカー大尉。信頼する仲間たちを集め、首長とその家族を連れ荒野へと旅立つのだった。ところが初日、彼は荒野で悲嘆に暮れるある一人の婦人と出会う。話を聴いてみると、彼女はなんと凶悪なコマンチ族に幼い三人の子供たちと愛する夫を目の前で殺されたらしい。絶望の淵に立たされた彼女をそのままほっておくことも出来ず、大尉は彼女を連れて旅を続けることに。だが、目の前に拡がる広大な荒野は彼らに何処までも無慈悲だった……。雄大な大自然を背景に、そんな恩讐の中に生きる人々を冷徹に見つめた西部劇。監督は、『クレイジー・ハート』でアカデミー賞の栄誉に輝くスコット・クーパー。この監督らしい細部にまで拘った丁寧な演出は本作でも健在で、一つ一つのエピソードの見せ方などは相当巧い。特に、家族を殺され天涯孤独となってしまった未亡人が自らの手で家族を埋葬するための穴を掘るシーンなど、その絶望感がひしひしと伝わってきて僕は思わず涙してしまいました。彼女を演じたロザムンド・パイクの素晴らしい熱演は特筆に値します。彼女を助ける寡黙な軍人役のクリスチャン・ベールも渋さ爆発で大変グッド。彼らが大自然の中を旅するシーンは全てが美しく、まるで優れた絵画を観ているようで非常に良かったですね。ただ、残念だったのは後半の展開。てっきりこの凶悪なコマンチ族を彼らが復讐のために追い詰めるのかと思いきや、呆気なくこいつらは第三者に殺されてしまいます。そこから物語としての強度が明らかに弱まってしまったのが惜しい。この家族を殺したコマンチ族との対決をクライマックスに持ってこないとやはりカタルシスが得られませんって!それに、入植者である白人たちとアメリカ先住民族の和解のドラマもかなり唐突でいまいち説得力が感じられない。前半の展開がすこぶる良かっただけに、なんとも勿体ない作品でございました。[DVD(字幕)] 7点(2020-10-29 00:20:42)(良:2票)

5.  ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 《ネタバレ》 夢の怪獣大戦争!!!!「どうせ子供向けなんじゃろ~」とまったく期待せずに観たら、意外や意外、なかなか面白いじゃないですか、これ。別にゴジラにもキングギドラにもそこまで思い入れない自分ですけども、ここまで過去作にリスペクトしてくれたら同じ日本人としてはやはり胸が熱くなりますね~~。ブルーを基調とした映像もスタイリッシュかつ迫力満点で、けっこうセンスを感じました。キングギドラと覚醒ゴジラが最後に一騎打ちするシーンなんて、もはや理屈抜きにカッコいい。ま、ストーリーなんてこの際どうでもいいでしょ(笑)。うん、なかなか面白かった!!7点!![DVD(字幕)] 7点(2020-10-06 01:34:33)

6.  ゴールデン・リバー 《ネタバレ》 1851年、ゴールドラッシュに沸く西部開拓時代のオレゴン。各地を旅しながら刹那的に生きるシスターズ兄弟は、その類稀なる銃の腕で人々から恐れられた殺し屋コンビだ。冷静沈着で常に先を見据えた行動を取る兄イーライと自分の直感だけを頼りに時に暴走も辞さない弟チャーリーは、雇い主である地域の大物「提督」の命を受け、南へと旅を続けていた。目的は、ボスを裏切った男を見つけだし殺すこと――。先に出発し男を捜して旅を続ける偵察係モリスと合流するため、彼らは馬を走らせていた。だが、彼らがどんなに馬を急がせてもモリスに追いつくことは出来なかった。何故ならモリスはボスを裏切り、追っていた男とともに金脈を見つけ一山当てようともくろんだからだ。相次ぐトラブルに見舞われながらも、執念の追跡でモリスを見つけ出したシスターズ兄弟だったが……。西部開拓時代のアメリカ南部を舞台に、金脈に目がくらんだ男どものひりひりするような駆け引きを濃密に描いたクライム・サスペンス。冷酷無比な殺し屋兄弟を演じるのは、今ノリにのっている実力派のホアキン・フェニックスとジョン・C・ライリー。彼らに追われる裏切り者役には、こちらも人気者のジェイク・ギレンホール。何の予備知識もないまま、そんな豪華な共演陣に惹かれ今回鑑賞してみたのですが、これがなかなかよく出来た犯罪ドラマの良品で、西部劇がもともと得意ではない僕でも充分楽しんで観ることが出来ました。とにかくこの三人の主要キャラクターの人物像がよく描けている。酒と女に目がなく何度もそれで失敗しながらも懲りない弟、対照的に女には奥手で唯一思い出?のスカーフにフェティッシュな愛情を注ぐ無骨な兄貴、自分の人生に疑問を抱き理想のために逃亡を続ける密偵、それぞれの思いを抱えた彼らの追跡劇は丁寧な演出の力もあり最後まで惹き込まれます。物語の中盤、ひょんなことから手を組んだ彼らが文字通り〝黄金の河〟を求めて荒野を分け入ってゆくところから、物語はより一層悲愴感を増していく。ここら辺の各々の心理描写も鋭く、完成度は高い。苦難の旅の末、とうとう目的地に辿り着いた彼らは、欲に目がくらんだ弟の愚かな行動により破滅への道を辿ることに。人間の愚かさを冷徹に見つめたそのアイロニカルな視点は鋭い。金に翻弄された男どもの狂気に満ちた犯罪劇、なかなか見応えのある秀作でありました。[DVD(字幕)] 7点(2020-09-28 02:50:30)

7.  荒野にて 《ネタバレ》 女癖の悪い父親とともに暮らす15歳の少年、チャーリー。何かとトラブルの絶えない父に愛想を尽かせた母親は、彼が赤ん坊の時に家を出たまま消息不明だった。学校にも通えないほど貧しい生活だったが、それでもチャーリーはそんな父との生活に満足していた。そんなある日、彼は地方競馬の競走馬を専門にする調教師デルと出会う。少しでも生活の足しにしようと、彼の元で働き始めたチャーリーは、デルの今の稼ぎ頭である若い馬ピートの世話を担当することに。そんな折、チャーリーの父親の浮気がばれ、激高した愛人の夫になんと父親が殺されてしまうのだった。天涯孤独となってしまったチャーリーは、馬のピートに深い愛情を注ぐようになる。だが、ピートは長いスランプから次第にレースで思うような結果を残せなくなってしまう。するとデルは、ピートをメキシコへと売り飛ばすと言い出すのだった。「ピートは僕の友達だ、それだけは絶対ダメだ!」――。そんな彼の意見などデルは到底聞こうとしない。どうしようもなくなったチャーリーは、ピートを連れ密かに荒野へと旅立つのだった……。家族をなくし孤独の中に生きていた少年とピークを過ぎた一頭の馬との逃避行を雄大な荒野の景色の中に描き出すロード・ムービー。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、これが丁寧な演出の力が光る佳品に仕上がっておりました。少年と馬との友情物語という、これをディズニー辺りが撮れば心温まる安定のファミリー・ドラマになりそうなものだけど、本作は全く違います。ここで描かれるのは、圧倒的な貧困の現実。主人公がどれだけ不幸な境遇にいようが、誰も助けてくれたりなんかしません。せいぜい働き口を紹介する程度で、時には主人公のなけなしの金を毟り取る輩さえ出てくる始末。それは馬も同じで、「競争馬はペットじゃない。勝てなくなった馬は処分する」という厳しさが徹底しているのです。だから、主人公は行く先々で窃盗や無銭飲食を繰り返すしかありません。それでも希望を捨てず、一人と一頭とで荒野をゆく彼らの姿がとても切ない。風呂にも入れずどんどんと汚れてゆく主人公と対照的に雄大な大自然の映像はますます美しさを増してゆく。この監督の無常観に満ちた、その詩的センスの良さには唸らされます。ただ、惜しいのはピートが途中で呆気なく物語から退場してしまうこと。たとえどんな最期を迎えるにしても、ピートにはこの少年の旅路を終わりまで見届けて欲しかった。とはいえ、この少年がどん底に堕ちるぎりぎりのところでほんの少しの希望へと辿り着くラストには思わず涙してしまいました。いつまでも余韻に浸っていたいと思わせる青春ドラマの良品と言っていいでしょう。[DVD(字幕)] 7点(2020-09-19 00:11:41)

8.  ゴーストランドの惨劇 《ネタバレ》 惨劇は16年前に終わったはずだった――。叔母の遺した古い洋館へと越してきたシングルマザーの母親とその双子の娘たち。常に不機嫌な反抗期真っ盛りの姉ヴェラと、ラブクラフトをこよなく愛し自身もホラー小説を書いているという内向的な妹ベス。変わり者だったという叔母の趣味なのか、家中に気味の悪い人形が溢れ返っている新居で、彼女たちはひとまず最初の夜を過ごすことに。だが、そんな彼女たちを悲劇が襲う。突然押し入ってきた二人組の暴漢に、姉妹はなすすべもなく酷い暴行を受けてしまうのだった。しかし、隙を突いて反撃に出た母親の決死の行動により、二人は何とか無事逃げ出すことに成功する――。16年後、ホラー作家として大成した妹ベスの元に一本の電話が掛かってくる。それは惨劇以来、神経を病んでしまった姉からの悲痛なSOSだった。居てもたってもいられなくなったベスは、すぐさま、今も母親と姉が暮らしているというかつての叔母の家へと向かう。久しぶりに再会した二人は、ベスに衝撃の事実を告げるのだった……。監督は、その容赦のない残虐描写で世界に衝撃を与えたカルト映画『マーターズ』の鬼才、パスカル・ロジェ。彼の6年ぶりとなる待望の新作ということで今回鑑賞してみたのですが、いやー、これが期待に違わぬ素晴らしい出来でした。この監督お得意の全編に渡って展開される暴力シーンの容赦のなさは、もはや完全に振り切れてます。だって、逆さづりにされ恐怖のあまりおしっこを漏らしちゃったローティーンの少女が、その尿塗れとなった全身の臭いを変態男に嗅がれるという、そこらの鬼畜系AVも真っ青なほどの残虐シーンが出てきますから。いや、この監督、ホントに頭大丈夫なんですかね(笑)。まあ肝心のお話の方は完全に破綻してましたけど。例えば、物語の三分の一が主人公の少女の〇〇オチだとか、警察が相変わらず無能すぎだとか、物語の重要なモチーフとなっているラブクラフトの扱いがほぼ添え物でしかないとか(せめて彼の小説に出てくるクリーチャーは登場させてほしかった!)。でも、そんな欠点を補って余りある魅力がこの作品にはあります。それは、少女の〝妄想力〟。とにかくこの全編を彩る少女趣味の禍々しさに、僕は完全にやられちゃいましたわ。家中に溢れ返る可愛さ全開なのに何処か不気味なフランス人形たち、お菓子やキラキラのおもちゃがたくさん吊り下げられたキャンディ・トレーラー、主人公が無理やり着せられるロリータファッション、そして絶え間ない暴行のせいで顔面ボコボコになった少女たちが泣きながら食べるマシュマロ…。悪趣味極まりないこの世界観は見事に完成されています。男たちの酷い暴力や醜い性欲に立ち向かうために、少女が手に取った武器は夢見る妄想力。こんな残酷な世界で大人になんかなってやらない。『不思議の国のアリス』や『アンネの日記』にも通じるテーマがここにはある。非常に退廃的なので、かなり観る者を選ぶ映画ですが、僕は大好きです。[DVD(字幕)] 9点(2020-08-17 23:44:04)(良:1票)

9.  幸福なラザロ 《ネタバレ》 現代に現れた〝聖なる愚者〟ラザロ、彼が辿ることになる数奇な運命を寓話的に描いた幻想譚。カンヌで何かの賞を取ったということで今回鑑賞してみました。まあやりたいことは分かるし、この不思議な世界観も嫌いじゃないけど、そこまで嵌まるもんでもなかったですね。要は、好みの問題ってやつですわ。[DVD(字幕)] 5点(2020-07-30 00:45:48)

10.  500ページの夢の束 《ネタバレ》 彼女の名は、ウェンディ。何処にでも居るような平凡な女の子。でも、一つだけ人と違うことがある。それは人と話すのが大の苦手で、自分の思い通りにならないことがあると思わず“かんしゃく”を起こしてしまう困った癖を持っていること。そう、彼女はいわゆる自閉症なのだ。唯一の肉親である姉の結婚を機にウェンディは福祉施設で暮らすようになり、今はパン屋さんで働き自立している。でも、本当の願いは思い出がたくさん詰まった自分のお家に帰ること。そんな折、姉の勝手な判断で大切なお家が売却されてしまうことを知るのだった。到底納得いかないウェンディはまたしてもかんしゃくを起こしてしまう。食事が喉を通らないほど落ち込んだ彼女が、考え込んだ末に思いついた解決法。それは、映画会社が主催する、自分の大好きなテレビドラマ「スタートレック」の脚本コンテストに応募し、賞金10万ドルを手に入れることだった。寝る間も惜しんで書き上げた500ページにも及ぶ原稿はすでに完成してある。だが、締切は明後日。とてもじゃないが、今から郵便局に預けにいってては間に合わない。仕方なくウェンディは、たった一人ロサンゼルスへと向かうバスへと乗り込むのだった。愛犬のピートを相棒にして――。自閉症と言う個性を抱えた一人の女性が、自らの夢を叶えるために遠く離れたロサンゼルスまで旅する姿を描いたロードムービー。前作で、障碍者と性と言う難しい問題をあくまで軽く爽やかに描いたこの監督らしい、ほのぼのとした空気に包まれた心温まるお話でしたね、これ。とは言ってももちろんキレイごとばかりではなく、当然そこには障碍のある人の生き辛さや家族の葛藤、世間の無関心やそんな弱者を食い物にする悪人の存在もちゃんと描かれる。でも、そこまで深刻になる一歩か二歩手前で引くこの監督の絶妙な匙加減は見事としか言いようがありません。特に居なくなった彼女を追って奔走する、トニ・コレット演じる施設職員には好感持ちまくりです。バスの運転手や医者、融通の利かない映画会社の事務員など嫌なやつも沢山出てくるのですが、それ以上に彼女のような魅力あふれる人々がいっぱい出てくるのがとてもいい(宇宙の言葉を突然話し出す、あの警官マジサイコー!)。そう、どんな人にだってちゃんと手を差し伸べてくれる優しい人が居ることを改めて教えられました。主演を務めたダコタ・ファニングも自閉症を抱えた若い女性をリアルに演じていてとても良かったです。最近妹の方が何かと話題になることが多いのですが、彼女にはこのまま演技派の道を歩んでいって欲しいものです。今回の結果は残念だったけど、必ず認めてもらえる日がきっと来るよ。そう思わずにはいられないヒューマン・ドラマの佳品でありました。お勧めです。[DVD(字幕)] 8点(2020-02-18 22:39:07)

11.  コード211 《ネタバレ》 それは平凡な一日になるはずだった。いつものように――。定年を間近に控えたベテラン警察官、妻の妊娠を知り人生の絶頂に居る若手警官、学校での乱闘騒ぎから丸一日のパトカー同乗体験を余儀なくされたいじめられっ子の高校生、長年連れ添った妻との記念日を迎えた銀行の支店長、そして凶悪な犯罪者を追ってアフガニスタンからやって来たインターポールの刑事……。彼らの平凡な日常が、突如として切り裂かれる。街の一画にある大手銀行を狙って、元軍人たちで結成された凶悪な強盗集団が襲撃したのだ。何丁もの武器と大量の爆発物を用意した彼らは、瞬く間に銀行を占拠し、中に居た客や行員を人質にする。白昼堂々と行われた大胆な犯行。異変を察知した、偶然近くに居た警察官の通報により、緊急コード〝211〟が発動されるのだった。それは、現在進行中の銀行強盗を意味する秘密のコードだった――。果たして人々は無事にこの大惨事を乗り切ることは出来るのか?突如として修羅場と化した地方都市を背景に、偶然そこに居合わせた人々のサバイバルを臨場感たっぷりに描いたクライム・アクション。毎度おなじみニコラス・ケイジ主演で送るそんなオーソドックスな本作、まあやりたいことは分かるのですがなんだか全体的に演出の詰めが甘い作品でしたね、これ。一応群像劇っぽい作りになっているのですが、それぞれのエピソードの描き方がいまいちよく練られてません。例えばニコラス・ケイジ扮するベテラン警官、なんか妻を過去に失くしてそれが原因で娘と疎遠になってるっぽいんですが、そこらへんが説明不足でよく分からないんですよ。偶然パトカーに居合わせたという高校生もそのキャラ設定の詰めが甘くいまいち感情移入できない。インターポールの女性刑事に至っては、正直何がしたいのかさっぱり理解できません。終始こんな感じで、肝心のドラマ部分にうまく乗り切れないんですよ、残念ながら。対する銀行強盗たちも綿密に計画を練ってると思いきや、かなり行き当たりばったりの無為無策ぶりでちょっと呆れてしまうレベル。最後、追い詰められた彼らがどうするのかと思ったら、まさかの重たいバックを背負ってえっちらおっちら正面突破。当然のように瞬殺されるという捻りの無さには思わず苦笑しちゃいました。最近のニコケイ映画にしてはアクションシーンにけっこうお金を掛けていて、白昼の街並みで展開される銃撃戦などはなかなか迫力あっただけになんとも残念。[DVD(字幕)] 5点(2020-02-15 23:00:44)

12.  孤独なふりした世界で 《ネタバレ》 ゴミを拾うたびに、宇宙のカオスが一つ減る――。ある日突然、謎の現象により人類の99%が死に絶えてしまった未来社会。そんな終末を迎えつつある世界で、たった一人、街に残った人々の死体を片付けて廻る孤独な男、デル。家々に残る乾電池を集め、シーツに包んだ死体を山の中に弔い、遺された故人の写真をファイリングする静かな日常。誰とも会話することなく、一日の最後に赤ワインを嗜み、図書館で本を読みながら眠りに就くような彼の前に、ある日、謎の少女グレースが現れる。もともと孤独を愛するデルだっだが彼女に強引に押し切られ、やがて一緒に暮らすようになる。ともに協力して街の遺体を弔い続ける二人。最初は疎ましく思っていたデルも、心優しいグレースに次第に心を許してゆくのだった。だが、彼女は誰も知らないとある秘密を抱えていて…。ゆっくりと死に絶えてゆく世界で出会ったそんな孤独を愛する男と孤独を嫌う女、彼らの静かな交流を詩情あふれる映像で綴ったディストピア・ドラマ。偏屈な主人公を演じるのは、あくの強い演技で独自の存在感を発揮するピーター・ディンクレイジ。等身大の魅力を放つヒロイン役には、いま最も注目を集める人気若手女優エル・ファニング。この美女と野獣ならぬ、美女とブ男(失礼!)という組み合わせがなんとも味わい深い作品でしたね、これ。世界がこうなってしまわなければ、決して交わることのなかったであろうこの二人の、静かに少しずつ心を許してゆく過程がとても繊細に描かれています。ともすれば退屈になりそうなお話なのに、この詩情豊かな雰囲気が観ていてとにかく居心地がいい。ずっと静かに進んでいってたところに、急にハードロックの轟音が鳴り響くとこなんかもいいセンスしています。「街に1600人居た時の方が俺は孤独だった」などといった、印象的な言葉が時おり差し挟まれるのもポイント高いです。ただ、残念なのは急展開を見せる後半部分。グレースが抱えたこの世界の秘密が明らかにされるのですが、これがいまいちよく分からない。この“孤独なふりした世界”の真実をもっと作り込んでくれたら(例えば、高度に発展したハイテク社会がそこにあって、彼女はそこから逃げ出したアンドロイドだった!等々)、より完成度の高い傑作になっていたかもしれないのにね。この雰囲気のある世界観は凄く魅力的だっただけに、結末がなんとも惜しい。[DVD(字幕)] 6点(2019-11-07 21:07:24)

13.  心と体と 《ネタバレ》 ブタベスト郊外にある食肉加工工場。妻と離婚し、孤独な独り暮らしを続けている工場の責任者エンドレはある日、食堂で見慣れない若い女性を見かける。産休に入った職員の代理として雇われたという彼女の名はマーリア。誰にも心を開かず常に一人でいる物静かな彼女が、エンドレは何処か気になるのだった。だが、それ以上なにが起こるわけもなく、二人は工場の単なる上司と部下として何気ない日常をやり過ごしていた。そんなある日、ちょっとした事件がきっかけで二人は驚きの事実を知ることに。二人が毎晩見る鹿の夢――牡鹿と女鹿となった二人が静かな森の中で木の葉をついばんだり池の水を飲んだりするという夢を、二人が毎晩同時に見ていたらしいのだ。戸惑いつつもエンドレとマーリアは、その後も鹿となったお互いの夢の中で次第に打ち解けてゆく。「もっと深く知り合いたい」――。そう強く思い始める二人。たが、現実生活ではどこまでも不器用なためいつまで経ってもすれ違うばかり…。奇妙な夢の中で知り合った、孤独な中年男性と生きづらさを抱え込んだ若い女性との不思議で静かなラブ・ストーリー。アカデミー外国語映画賞にノミネートされたというハンガリー発のそんな本作、何の前知識もなく今回鑑賞してみました。最後までとても淡々とした物語なのですが、それでもこの詩情あふれる映像の美しさは特筆に値します。それまで生きていた牛がただ事務的に屠殺され首を切り離され床のタイルを血で汚しながら淡々と食肉へとさばかれていくさまを、ここまで美しく撮れる監督は世界でも稀ではないでしょうか。そこに差し挟まれる二匹の鹿の映像も、本当に二人が姿を変えて逢引きしているように見えるのですから、この映像センスは本当に群を抜いている。内容の方は言ってしまえばまぁよくある、いわゆる〝枯れた中年男とメンヘラ女子の面倒臭い恋愛物語〟なのですが(日本の小説で例えるなら川上弘美の『センセイの鞄』のような)、このお互いの夢の中で逢引きを重ねるという設定が凄く秀逸。メルヘンなのかリアルなのか、この変な感覚は今まで味わったことのない不思議な世界観でとても惹き付けられました。次の日、昨日の夢のことを思い出しながらお互いににやにや見つめ合うとこなんて、「確実に交尾したね、この二人」と今まで口にしたことのないような言葉を呟いちゃいました(笑)。ただ、この設定が後半いまいち活かされていなかったところが惜しい。もっと夢の中での二人の秘密の逢瀬を見たかった。とはいえ唯一無二の独自の世界観を持ったこの監督のセンスには要注目。本作が18年ぶりの新作らしいけど、もっと早めに次作が観たいです![DVD(字幕)] 8点(2019-05-08 01:10:11)(良:1票)

14.  告白小説、その結末 《ネタバレ》 世界的なベストセラー作家にして二児の母でもあるデルフィーヌ。多くのファンを持つ彼女だったが、その私生活はとても順風満帆とは言い難いものだった。独立した二人の子供たちとは疎遠になり、テレビ司会者として名を馳せる夫とも現在別居中、新作小説も深刻なスランプからまだ一行も書き出せない状態が何日も続いていた。独り暮らしをしているアパートに届くのは、差出人不明の脅迫状ばかり…。八方塞がりのそんなある日、デルフィーヌは〝エル(彼女)〟と名乗る謎めいた美しい女性と出会う。長年のファンで自分も文筆業だという彼女と意気投合したデルフィーヌは、次第に彼女に心を開き始めるのだった。行くところがないという彼女を自宅へと招き入れ、ともに暮らしはじめるようになるデルフィーヌ。すると、エルは少しずつデルフィーヌの私生活に干渉しはじめ、新作小説の内容に口を出すばかりか、仕事や友人との交友関係までもコントロールするようになり…。孤独な女流作家と謎めいた美しい女性との危うげな関係をミステリアスに描き出す心理サスペンス。名匠ロマン・ポランスキーの円熟の才が随所に感じられる本作、確かに安定感は抜群でした。謎が謎を呼ぶモダンで怪しげな雰囲気はいかにも彼らしく、しっとりした美しい映像と音楽も観客の不安感を煽るのに成功しています。主役であるデルフィーヌを演じたエマニュエル・セリエのいかにもくたびれた女性作家然とした佇まいももちろん良かったのですが、エル役を演じたエヴァ・グリーンの美しさは特筆に値します。サディズム・マゾヒズムを髣髴とさせるこの二人のいびつな関係性はどことなく淫靡で凄く良かったです。ただ、肝心のストーリーの方は正直どうなんでしょう。はっきり言ってしまうと本作はいわゆる〇〇オチのお話なのですが、物語の中盤くらいにはそのことがほぼ分かってしまうのです。きっと意図してそういう演出がなされていると思うのですが、その趣旨がいまいち分かりづらい。女性作家の母親を巡る過去のトラウマとの決別、フィクションと現実との境界線を巡る創造者の葛藤、エルの本当の正体を巡るサイコ・サスペンス…、最後までその焦点がぼやけてしまっているような印象を僕は持ってしまいました。全編を覆うミステリアスな雰囲気は良かっただけに、惜しい。[DVD(字幕)] 6点(2019-04-20 15:21:44)

15.  ゴールド/金塊の行方 《ネタバレ》 人生のどん底を這いまわっていた男が執念で金鉱を発見し、大逆転を図るものの実は…という実話を基にした人間ドラマ。確かに手堅く作り込まれた作品で見応えは充分あるのですが、若干展開が急ぎ足なのが残念。実際に起こった出来事を時系列順にどんどん進めていくので、各々のエピソードがいまいち入ってこなかったです。頭を禿げにしてお腹をでっぷりと太らせたマシュー・マコノヒーの演技もなんか品の良さのようなものが邪魔をして、なんとなくこれじゃない感が…。ニコラス・ケイジとかがやれば最高に胡散臭い感じが出てもっと良かったと思うのだけど(笑)。[DVD(字幕)] 6点(2018-10-21 23:15:43)

16.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 素晴らしいの一言に尽きる。あの時、あの時代を生きた市井の人々のささやかな幸せが圧倒的な暴力の前に無残に崩れ去る。平凡な人々が胸に抱いたであろう静かな怒りに胸が震えました。すずを演じたのんの嵌まり方も良かった。またいつか観てみようと思います。[DVD(邦画)] 9点(2018-08-11 03:35:57)

17.  ゴースト・イン・ザ・シェル 《ネタバレ》 サイバーパンクSFの金字塔として有名な日本のアニメをハリウッドがリメイク。主人公は今を時めく人気女優スカーレット・ヨハンソン、日本からは北野武、桃井かおりの両氏が参加しております。もともとの押井守版アニメは正直、あまり好きではなかったのですが、いろいろと話題になっていたので今回鑑賞してみました。結果は…、やっぱりあんまり好きではなかったです(笑)。観終わった後に誰かと何がしかの議論を交わしたくなる深いテーマ性(のちのエヴァシリーズにも通じる?)は確かに一見の価値はあると思うのですが、僕はさっぱり嵌まりませんでした。あと、何故か日本語しか喋らないたけしのキャスティングも違和感しか感じられなかったですし。[DVD(字幕)] 5点(2018-05-26 21:25:31)

18.  高慢と偏見とゾンビ 《ネタバレ》 ジェーン・オースティンのメロドラマの古典的名作にゾンビという全く正反対のものをリミックス!!上流階級の優雅な恋の駆け引きに突如として迷い込むゾンビどもを、英国貴族たちが中国武術と日本刀でぶった切る!!果たして彼らの恋の行方と人類の道末は?とまあやりたいことは分かるけど、いまいち空回っている感が…。もうちょっとはじけてくれても良かったのにね。僕はそこまでのれなかったです。[DVD(字幕)] 4点(2017-12-15 22:52:10)

19.  コロニア 《ネタバレ》 1973年、政情不安に揺れる南米チリ。大統領支持派として活動していたドイツ人青年ダニエルは、突如として起こったクーデターによってその身柄を拘束される。碌な裁判も受けることなく彼が送られた先は、謎の宗教団体が建築したコロニア・ディグニダという世間から隔絶された秘密施設。そこはチリ人なら誰もが震え上がる一度入ると二度と生きては出てこれないと言われる地獄のような世界だった――。ダニエルの恋人であるレナはなんとしてでも彼のことを救うため、単身この地へとやってくる。彼女を迎え入れたのは、元ナチス党員でこの施設で絶対的な権力を有する教祖シェーファーとその狂信的な信者たちだった。恋人のためにこの地で生きていく決意をしたレナは、やがてこの施設の地獄のような惨状を目にすることになる。わずかな食事と過酷な労働、日常的に行われる暴行や拷問、自由を奪われ男女の接触も家族との交流も極端に制限され、ルールを破れば明日の生活すらままならない。果たしてレナは捕らわれた恋人と無事に再会することが出来るのか?そしてレナとダニエルはこの地獄のような施設から生きて脱出することが出来るのか?ピノチェト政権下で秘密警察の拷問機関として使われた施設〝コロニア・ディグニダ〟を舞台に、囚われの身となった恋人たちの過酷な運命を描いたサバイバル・ドラマ。主役は子役からのイメージ脱却を図る若手女優エマ・ワトソン。史実を基にしたということで今回鑑賞してみたのですが、うーん、なんかいろいろと突っ込みどころ満載の作品でしたね、これ。ご都合主義や整合性の合わない脚本に終始「?」が止まりませんでした。なんか地下に秘密トンネルが張り巡らせてあって、そこが脱出の重要なカギとなるのだけど、その入口が誰でも入れる倉庫の床にあってしかも鍵も掛けてないなんて不用心にもほどがあるっしょ。また、人気女優エマ・ワトソンに気を遣ったのか、彼女が大して大変な目に遭わないからこの施設の過酷さがイマイチ伝わってこないのも大いにマイナス。それに本作の重要なテーマとなるこの教祖様の狂気性の描き方がかなり中途半端なため、説得力が皆無なのもいただけない。少年への性的虐待をぼやかしているのはいったい誰に気を遣ってのことなのでしょうか。最後の空港での脱出劇も明らかに『アルゴ』のパクリでは?いろいろと残念な作品でありましたけど、エマ・ワトソンの可愛さに+1点で。[DVD(字幕)] 5点(2017-11-15 15:36:35)(良:1票)

20.  コップ・カー 《ネタバレ》 ガキども、お遊びはそこまでだ――。うだるような熱気に包まれたアメリカ南部のとある田舎町。貧しい家庭に育つハリソンとトラヴィスは、どこに行くのも何をするのも一緒の悪ガキコンビだ。ある日、いつものように家を飛び出し森の外れを歩いていた彼らは、そこで何やら見慣れないものを発見する。一台の無人のパトカー。車内はもちろん、周りを見渡しても持ち主の居る気配はない。恐る恐るドアを開け、車内を探ってみた二人はそこにキーが残されているのを発見するのだった。「大丈夫。車ならマリオカートで何度も運転したことある」。少年たちの危なっかしい運転で、パトカーは危険な荒野を走り始める。一方、車の持ち主である保安官はそのころ、秘密の仕事にいそしんでいた。トランクから運び出した誰かの死体を古井戸に捨てるために悪戦苦闘していたのだ。何とかやり遂げ戻ってきた保安官は、当然のようにそこにあるはずの自らのパトカーが盗まれたことを知る。悪ガキコンビが運転するパトカー、そしていろいろとヤバい事情を抱えた悪徳保安官。彼らの決死の追跡劇がいま、幕を開ける…。アイデア勝負のそんなクライム・スリラーなのですが、この全編に漂うとち狂った雰囲気、なかなか嫌いじゃないですね~。パトカーを奪う少年二人もどうしようもない悪ガキで自業自得だし、対する保安官もまた同情の余地のない悪人、こいつらがどんどんと暴走し破滅へと一直線に向かっていくドラマがけっこう丁寧に描かれていて、僕はぼちぼち楽しめました。車内にあった銃で遊び合う少年たちにひやひやさせられたり、頼りない靴ひもで他人の車を盗もうと悪戦苦闘する保安官にニヤリとさせられたりと、合間に挟まれる細かいエピソードがどれも考えられていて、最後まで飽きさせない工夫が凝らされているのもポイント高いです。クライマックスへと向かうにつれ、どんどんと血腥い展開となるのになんだか変にカタルシスがあるのもいいですね。彼らのチェイスを横目で眺める牛たちののどかな映像が個人的にツボでした。まあ突っ込みどころは満載だし、最後のオチの投げっ放し感も酷いけど、けっこう面白かったです。監督はこの後、スパイダーマンの新シリーズの監督に大抜擢されたとか。うん、今から楽しみにしとこっと。[DVD(字幕)] 6点(2017-07-18 22:12:50)(良:1票)

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS