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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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21.  イナフ 《ネタバレ》 午後のロードショーでやってたのを録画して鑑賞しました。往年の名作からD級アクションまでを幅広く扱う午後ローでは必然的に視聴者の懐も広くなるものですが、そんなオープンな気持ちで鑑賞してもこの映画はよく理解できませんでした。DVに苦しむジェニロペが子供を連れて旦那から逃げるという話なのですが、その行動がいちいち頭悪すぎ。警察に届ければ根本的な解決に至らなくとも一応の歯止めにはなるし、届け出の事実によって後の親権裁判も圧倒的有利に進むはず。なのに彼女は「子供を連れて姿を消す」という最悪の方法をとってしまいます。逃げるなら逃げるで旦那が仕事に出ている昼間に姿を消せばいいものを、深夜にこっそり夜逃げしようとして案の定旦那に気付かれてしまうという大馬鹿ぶりを披露。以降は旦那による常軌を逸した追跡が開始されるのですが、これについても「警察に駆け込めば解決するだろ」の連続で呆れてしまいます。バカとバカの追いかけっこの末いよいよ追い詰められたジェニロペはようやく弁護士の元に駆け込むのですが、すると「あんたの行動がメチャクチャすぎたんで、今さら裁判やっても勝てませんよ」と至極当然のことを言われます。ひどく落ち込むジェニロペ。しかし、DV男にかわいい娘を渡すわけにはいかない。そこで思いついたのが「格闘技を習得し、旦那とサシの勝負でケリをつける!」。もう理解不能でした。つっこみすら入れられない驚愕の展開。訓練に励むジェニロペの表情が真剣そのものなのが、さらにトホホ感を高めます。旦那の殺害に無事成功し、駆けつけた警察もうまく誤魔化し、笑顔を失っていた娘も元の良い子に戻り、次の旦那候補は良い人そうだし、すべてめでたしめでたしで映画は終わるのですが、格闘技の特訓をしていたことが分かれば故殺は成立しますよ。。。この映画、DVという重いテーマを扱っているのにその理解があまりに不足しています。DVは「逃げれば済む」という単純な話ではなく、被害者である女性と加害者である男性が精神的に依存し合っているために、逃げればいいのに逃げないという点が問題だったりします。「やられたらやり返せ!」と斬り返せる女性は一般的なDV被害者の人物像からはかけ離れています。そもそもジェニロペはたくましすぎて「耐え忍ぶ妻」には全然見えないし。テーマがテーマなので、もっとマジメに作るべきでした。[地上波(吹替)] 3点(2011-01-19 22:21:48)(良:1票)

22.  インファナル・アフェア 終極無間 《ネタバレ》 斬新なアイデアで大ヒットした「Ⅰ」、「Ⅰ」とはまったく作りを変えて直球勝負のヤクザ映画にした「Ⅱ」と比較すると、「Ⅰ」の後追いである本作は分の悪い立ち位置にあります。また、シリーズも第3弾ともなれば「またかい」と観客から飽きられる(呆れられる)作品が大半なのですが、その点で言えば本作は重厚な雰囲気を維持していてシリーズの名を落とすような出来にはなっておらず、後付けの続編としては異例なほどまっとうな質を保っています。新キャラであるヨン、シェンはかっこいいし、彼らの存在に関わる謎は作品全体を引き締めています。サーガを締め括るオチの方向性は悪くないし(後で技術的な欠点は指摘しますが)、「インファナル・アフェア」の続きを作れと言われてこのオチに決めた監督の判断は間違っていなかったと思います。。。と、全体的には評価できる仕上がりなのですが、部分的にはいくつか欠点も指摘できます。まず多くの方が指摘されている通り、時間軸がしょっちゅう移動し、おまけに現実と妄想の混ざり合う構成は複雑すぎで、話を理解することに過度の集中力が要求されるために感情面では乗り切れませんでした。それだけ話をややこしくした割には、ラストのネタバラシでは「そうだったのか」と最後のピースが埋められたような感動も薄く、これならばよりシンプルで人間ドラマにフォーカスした構成にした方がよかったと思います。次に、ラウが精神崩壊していく様の描写が不足しているため、ラストの展開に唐突感がありました。彼の混乱状態を示す場面はいくつかあるものの、監督の計算違いのためかそのどれもが「疲れてるから変な幻覚見たんだ」程度の印象しか残せていません。せっかくケリー・チャン演じる精神科医が傍にいるのですから、ラウの精神が危険域にさしかかっていることを彼女に説明させればよかったと思います。最後に、ヤンの人格が「Ⅰ」とは別人となっています。「Ⅰ」では警官に戻りたいと願いつつも、恐らく自分はヤクザの世界で近いうちに死ぬのだろうと悟って苦悩のどん底にいたヤンですが、本作では冗談を言い、終始笑顔の明るい人間となっています。ヤンの別の面を強調したくて意図的に演出を変えたのでしょうが、同時に暗い面も描かなければ「Ⅰ」との整合性は保てません。「Ⅰ」ではヤンを「兄貴」と慕っていたキョンが、本作では相棒的な立ち位置に変わっていることにも違和感がありました。[DVD(吹替)] 6点(2010-08-29 02:19:41)

23.  インファナル・アフェア 無間序曲 「インファナル・アフェア」の物語はどう見ても「Ⅰ」で完結していて、蛇足となるであろう続編には期待していなかったのですが、これが意外なほど良い仕上がりとなっています。強力な一発アイデアを背景にドラマを構築した「Ⅰ」と比較すると作品の大元部分に「Ⅰ」ほど強力な仕掛けを持たない本作は分が悪いのですが、その弱点を抜群の演出力と構成力でカバー。直球勝負の本格的なヤクザ映画として製作されており、映画としての出来はこちらの方が上かもしれません。前作では恋愛部分など一部の演出に稚拙な面が見られたのですが、本作ではそういった弱点はほとんど改善されていて、「Ⅰ」の成功に満足せず地道な質の改善がなされたことが伺えます。。。。若き日のラウとヤンを演じるイケメン俳優は完全に脇役扱いで、伊吹吾郎似のウォン警部、チビでデブの春風亭小朝のようなサム、地味なインテリ顔のハウが本作の主人公。見た目の美しさなんて二の次、中年オヤジ達が知恵を尽くして戦う姿が描かれる苦み走った男のドラマなのです。冒頭で香港闇社会の大物が暗殺され、組の二代目に就任したのは昨日までカタギだった息子のハウ。こりゃ俺達の天下だぜ!と闇社会の中堅達は大いに盛り上がるのですが、これに対してハウは迅速かつ的確な抱き込み作戦を展開し、まだ注目される存在ではなかったサムは、この事態を冷静に観察して闇社会での存在感を現しはじめます。ここでハウが只者ではないこと、サムは冷静な戦略家であることが強調されるのですが、この一連の描写の的確さ、面白さには目を見張りました。とにかく前半は圧倒的な面白さで、ヤクザ映画としては最高レベルの仕上がりとなっています。後半に入ると、残念ながら作品の勢いは落ちてしまいます。観客を騙そうとして編集や演出に捻りを加えたために、映画が複雑になりすぎてしまったのです。ただし物語は依然として骨太で見ごたえがあり、最後まで飽きることはありません。本作について苦言を呈すなら、後付けの続編であるためにいくつかの点で「Ⅰ」との整合性がとれていないことです。最大の難点はヤンであり、兄であるハウを目の前で殺され、さらに一族郎党を皆殺しにされながらサムの子分に収まることはさすがに不自然です。また父の暗殺に関与したウォン警部に忠誠を尽くし続けることも疑問。こうした矛盾をうまく回避できていれば、続編としてより評価できる作品になったはずです。[DVD(吹替)] 7点(2010-08-29 02:18:49)(良:1票)

24.  インサイド・マン 冒頭、クライブ・オーウェン演じるラッセルは「自分達は完全犯罪の方法を思いついたから、それを実行したのだ」と自信満々に語りますが、これは本作のアイデアを思いついた脚本家からの言葉と考えてもいいでしょう。その自信の通り、本作に描かれる銀行強盗の手口は完璧です。人質に犯人グループと同じ服を着せることで警察による突入を回避し、犯行現場からの脱出までを可能とする。この大胆な発想だけでもアクション映画が一本撮れてしまうほど魅力的なのですが、本作にはさらにアイデアが満載されています。強盗の被害者たる銀行が「ある事情」から決して被害を訴えないであろう品物のみを奪うことにより、被害者のない犯罪を成立させてしまう。犯人グループと警察の騙し合いは非常に高度で、こちらが激昂したと見せかけて相手の反応を確かめ、次の一手を考えるというやりとりが積み重ねられます。このゲームのプレイヤーとなるラッセルとフレイジャーのキャラクターもよく出来ていて、おまけにこのキャラクターを一流の俳優に演じさせることができたとあっては、本作の面白さは保証されたようなもの。最高に楽しめました。この手の映画を経験したことのないスパイク・リーの演出については不安があったのですが、彼はこの脚本を自分のものとしています。冒頭、わずか15分で主要な登場人物の紹介を終え、占拠された銀行という舞台を作り上げてしまう手際の良さには圧倒されました。並みの監督であれば本作をごりごりのクライムサスペンスとするところですが、リーはあえて気の抜けたコメディ演出を施しています。この演出が合わない、まじめなサスペンス大作とした方がよかったと思う方も多いと思いますが、一見気の抜けたような演出が知的なやりとりを際立たせる役割を果たしていて、私は有効だったと思います。デンゼル演じるフレイジャーなどは、下らない冗談を言ってヘラヘラしているように見えて、腹の中では相手を出し抜くための策を練っている最高にかっこいいキャラに仕上がっているではないですか。対するラッセルは終始クールですが、アルメニア語放送やなぞなぞでは完全に警察で遊んでおり、こちらもコメディ演出による援護がなければ、物語上意味をなさないトラップになる恐れがありました。当初はロン・ハワードが監督する予定だったようですが、生真面目なハワードではこの遊びをうまく処理できなかったでしょう。[DVD(吹替)] 8点(2010-08-25 00:55:28)(良:1票)

25.  イベント・ホライゾン 製作側が意図しているほど高尚な作品に仕上がっているわけではありませんが、かといってB級と切って捨てられない魅力も放っており、ポール・W・S・アンダーソン監督作品においては、現時点における最高傑作だと思います。宇宙に行って気が狂うという物語は現在からするとありふれた題材ですが、本作の公開当時、エイリアンではなく精神世界を敵とするというアイデアは斬新であると評価されていました(本作の最初の脚本では、エイリアンが登場するはずだった)。また、それを表現するビジュアルは非常に秀逸で、船内の日用品がプカプカと浮く無重力の表現や、宗教的イメージと科学的合理性を両立したイベント・ホライゾン号のデザイン、死を連想させる炎の表現等はかなり目を引きます。生身で宇宙空間に放り出された人体の描写や、超高速での航行からクルーを保護するための水槽の存在等は、文系の私にはどれほどリアルなものかの判断はつかないものの、ともかく「リアルっぽい」雰囲気を出すことには成功しています。SF映画において「リアルっぽい」と感じさせることは重要であり、これに成功している時点で、本作は一定の完成度に達していると言えるでしょう。「ミッション・トゥ・マーズ」「レッド・プラネット」「サンシャイン2057」等、後に製作される宇宙映画には本作との類似点が多く指摘できる点でも、本作がSF映画史に残した功績は大きいものと評価できます。また、SFホラーであるにも関わらず地味な演技派を配置したキャスティングも当時としては異例でしたが、彼らの演技力がムダになっていない点も評価できます。製作当時若干31歳であり、代表作が「モータル・コンバット」だったアンダーソン監督が、よくぞ大人の俳優陣を使いこなしたものだと感心します。。。と、部分評価はできるものの(明確な欠点を指摘することの方が難しいほど)、全体としてそれほど面白い映画になっているわけでもないのが本作の問題点。物語は終始単調で、「いざクライマックス!」という煽りに欠けるために、不完全燃焼な印象を受けます。SFホラーなのですから、もっと爆発的な盛り上げが必要でした。[DVD(吹替)] 7点(2010-08-03 20:34:19)(良:1票)

26.  イングロリアス・バスターズ 「ジャッキー・ブラウン」までの抜群の構成力は大きく買っていたものの、大金をかけてB級映画を作り直しはじめた「キル・ビル」以降のタラとは相性の悪い私ですが、残念ながら本作もイマイチでした。初期3作では、クセの強いキャラクターと、一筋縄ではいかない複雑なストーリーと、それらを効果的に見せるテクニックと、そして映画マニアならではの遊び心とが絶妙に絡み合った見事な手腕を披露していたものの、それ以降のタラは印象的なキャラクターで遊ぶことのみに特化し、映画を構成するその他の要素への関心を失ったかのようです。本作においてもその傾向は続いており、ランダ大佐を筆頭としたキャラクターの作り込みは良いものの、物語は恐ろしく単純で何の捻りもありません。この単純な内容で150分を超える上映時間は長すぎるように感じます。個性的なキャラクター達による長い長い会話も面白いことは面白いのですが、これは物語における効果的なタイミングで挿入されてこそ活きるもの。すべての場面でこれをやられ、会話が映画の中心となってしまうとさすがに飽きます。基本は物語で魅せて欲しかったです。映画館主によるミッションとバスターズによるミッションとが同時に進んでいるのですから、両者を巧く絡ませるということくらいは考えられなかったのでしょうか。片方のミッションが失敗しようとした時、もう一方のミッションの存在によって当事者達も気付かないうちに危機から救われていたとか、そのような展開がいくつかあれば映画は引き締まったはずです(「パルプ・フィクション」の頃であれば、こういう工夫も当然やってたんですけどね)。私が不満に感じるのは、才能が枯れてしまった監督が全盛期よりも劣る作品を発表するのなら納得できるのですが、緊張感に満ちた本作の冒頭などを見る限りタラの才能はまだまだ衰えておらず、その気になれば「パルプ・フィクション」クラスの映画をあと数本は撮れそうな状態であるにも関わらず、その才能の一部しか使わない映画しか撮っていないということ。次回作も恐らくは好きなジャンルで遊ぶだけの映画を撮るのでしょうけど、いつかはまた商品になる映画に戻って来て欲しいものです。。。最後に、本作に快く出演し、素晴らしい演技を気前よく提供したドイツ人俳優のみなさんの姿勢には感服しました。われわれも「パールハーバー」ごときで目くじらを立ててる場合じゃありませんな。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2010-08-01 20:06:36)(良:1票)

27.  インセプション 《ネタバレ》 パンパンの期待で観に行ったのですが、その期待を完全に超えていました。知的で、そして燃える映画。私は完璧に満足しました。難解な映画と言われていますが、物語の骨子は大して難しくありません。ただし映画の雰囲気作りのため、小難しいセリフ回しや情報を提示するタイミングの操作によって観客をわざと混乱させる仕組みになっています。なかなかイヤらしい作りではあるのですが、これはキューブリックやリンチも用いている立派なストーリーテリングの技術だし、積極的に物語を読み解くことを要求された観客は、映画を理解する喜びを得ることができます。これは単純明快な娯楽作では得られない感覚であり、アート作品ならともかくSFアクションでこの感覚を得られたことは貴重な体験でした。また、監督は遊び心も失っていません。哲学的な作品ではありますが、007の大ファンだという監督は本作を燃えるアクション大作として撮っています。産業スパイが困難なミッションに挑む、そしてミッションはどんどん悪い方へと進んでいく、このミッションは成功するのか?高級なスーツを着込んだディカプリオが様になった構えで銃を撃つ姿はまんまジェームズ・ボンドであり(子供の名前もご丁寧に「ジェームズ」)、アフリカからNY(と思われる都市)、そして雪山へという舞台のバリエーションも007を思わせます。この監督のアクション演出は冴えに冴えていて、銃撃戦やカーチェイスは本家007を超えるほどの迫力とかっこよさ。そんな見ごたえ十分のアクションにSF的設定が突如割り込み、空間がビニョーンと歪む中での見たこともない格闘には大興奮なのでした。夢と現実では時間の流れが異なるという設定を活かしてタイムリミットサスペンスにしたこともアクションのスパイスになっており、制限時間が迫る中での戦いには本当にハラハラさせられました。そして素晴らしいのがラスト。詳しくは書きませんが、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかの判断を観客に委ねた素晴らしいラストには鳥肌が立ちました。本作にはその他にも解釈の分かれる点があり、そもそも現実として描かれているパートが現実である保証もないわけで、ビルから飛び降りた奥さんの判断が正しい可能性だってある。観客に多様な判断を楽しせる余裕まで与えた本作は、後々にまで語り継がれる映画になるはずです。[映画館(字幕)] 10点(2010-07-23 17:21:34)(良:2票)

28.  インビジブル(2000) 透明人間になったらエロに走るって、のび太くんと同じ発想なわけです。1億ドルバジェットの大作でこの内容、なんとも素っ頓狂な映画だなぁと思ったのですが、よくよく考えてみれば理に適っています。ただ人間が透明になっただけですからね。社会に影響を与えるような壮大な陰謀なんて実行できるわけもなく、覗きぐらいしかその能力を発揮できる場はないのです。透明人間という設定を徹底的に煮詰めると、必然的に本作の内容になったのだと思います。。。この企画にバーホーベン監督という人事はまさに適材適所で、エロとバイオレンスの描写は実に手慣れたものでした。本作はエロの場面が比較的少ないのですが、そんな数少ないエロ場面でも強烈な印象を残してみせるのはさすがバーホーベン。また、VFXを操らせるとハリウッドで一番の仕事をしてみせる男バーホーベン、ここでも相変わらずの腕前を見せつけます。透明になった科学者と透明になってない科学者が地下の研究施設で戦うだけというなんとも地味な内容の本作において、最大の見せ場と言えば透明化プロセスなのですが、ここでのビジュアルのインパクトはかなり強烈です。VFXの操り方や見せ方を完璧に心得ている監督でなければ、このインパクトは出せませんでした。本作において、バーホーベンはかなり良い仕事をしていると思います。。。問題だったのは脚本で、「Hollow Man(空っぽの男)」のタイトルに負けず劣らず中身がない。透明人間というネタでド派手な物語を作るのは難しいとは言え、ここまで面白みのない脚本はちょっと問題だと思います。登場人物は一様に魅力に欠き、「次はどうなるんだ?」という盛り上がりもない。バーホーベンが監督を引き受けていなければ、目も当てられない作品になったと思います。[映画館(字幕)] 5点(2010-05-30 20:46:31)

29.  今そこにある危機 脚本が弱かった「パトリオット・ゲーム」の反省からか、スティーブン・ザイリアンとジョン・ミリアスというトップクラスの脚本家を二人も配置したおかげで、脚本の出来は格段に上がっています。登場人物が多く、複雑な話がいくつも同時進行で展開されるというややこしい物語ながら、驚くほど綺麗にまとまっています。俳優陣も細かい役に至るまで全員よくハマっており、キャスティング面も上々。問題なのは監督の演出力が追い付いていないことで、脚本を追いかけることにいっぱいいっぱいで、色気やこだわりのない作りとなっています。特にクライマックスのアクションは酷いもので、何の緊張感もなくダラダラと撃ち合い、殴り合い、本当に退屈でした。52歳のハリソン・フォードが体を張ったアクションを披露しているものの、あまりに監督がダメダメなので頑張り損になっています。「パトリオット・ゲーム」のアクションも酷いものでしたが、その反省がまったくなされていません。[DVD(字幕)] 5点(2010-02-07 23:35:16)

30.  インクレディブル・ハルク(2008) 制作陣の異様なまでの気合は伝わるもののチ~っとも面白くなかった「ハルク」を反省してか、スピーディな展開、明確なライバルの存在と、マンガ映画に徹した本作は十分に面白い出来となっています。アメリカ人なら誰もが知っている物語の発端を数分のタイトルバックで済ませてしまうという、前代未聞の荒業からして光っています。普通、コミックの実写化は「みんなが知っているおなじみの展開をどう実写で表現するか」に全力を挙げて挑むものですが、本作は「どうせみんな知ってるんだからあらためて説明する必要もないだろ」と、コロンブスの卵的発想で切り捨ててしまったこの潔さ。一方で、いくら巨大化しても破れないパンツや、ハルクに変身した後、裸で放り出されたバナー博士は一体何をやっているのかといった、原作がうやむやにしていた部分をキチっと実写化。物乞いをしてとりあえずのお金を入手し、真っ先にパンツを買っていたんですね。変身すると裸になってしまうので、貴重品は事前に飲み込んで胃袋にしまっておくという生活の知恵も面白かったです。以上、刈り込むべき部分は大胆にカットし、説明が必要な部分にはきちんと答えを準備しておくという、よく出来た構成だと評価できます。一方アクションシーンになると、こちらは良い意味でマンガチックな大味さがあります。事情を知らずバナー博士をいじめる街のチンピラ&特殊部隊登場で「ヤバイ、ヤバイ、変身しちゃうよ」というイヤな汗をかかせ、いざ変身すると、それまで横柄に振舞っていた連中をひねり潰すという爽快感。これぞハルクです。ブロンスキーの存在も良く、体力の限界を感じていた軍人が力への羨望に取り憑かれて肉体改造を重ねるという設定なのですが、大袈裟な背景やひねった動機付けをするよりも、こういうシンプルな動機の方がかえって説得力があります。いざ怪物が暴れはじめると、次々と兵器が登場し、物を壊しまくるという腕白ぶり。ラストの怪物バトルは、元がエドワード・ノートンとティム・ロスとは思えないような大プロレスが展開されて目を飽きさせません。怪物がベラベラと話し始め、最後の「ハルクスマッシュ!」にはさすがに驚いてしまいましたが。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2009-12-24 08:14:40)(笑:1票) (良:3票)

31.  イースタン・プロミス 《ネタバレ》 バイオレンスを自称する他のすべての作品に対して「あんたら、本当の暴力をわかってないな」と言えるほどの強烈なバイオレンス作品。これに比べれば、スカーフェイスやグッドフェローズすら甘く感じられます。直接的なバイオレンスシーンはサウナでの死闘のみなのですが、暴力的でギラギラとしたオーラを作品全体が放っており、100分間すべてがバイオレンスシーンと言える状態となっています。コッポラやマイケル・マンが美学をもって描く闇の組織像もここにはなく、平然とモラルを侵し、人の不幸の上で生活する理不尽な縦社会がこれでもかと映し出されます。家族を大事にし孫をかわいがる一方で、10代の少女たちを売春宿に閉じ込めるセミヨンの憎々しさといったらありませんが、これがヨーロッパや、もしかしたら日本でも現実に起こっていることなのですから恐ろしい。監督と脚本家にはマフィアを糾弾したいという意思もあったようですが、現実社会の問題がよく物語に昇華しており、製作者たちがアンナやニコライに託した怒りに私たちも自然と共感できる形となっています。カタギからヤクザの世界を垣間見るアンナが私たちの視点となりますが、彼女の行動原理や直面する事態への反応が非常に自然なので、話に違和感がありません。口数の少ないニコライの人柄を僅かな行動や言葉からきちんと描けているのも見事。キリルから強要されたSEXのあと、情けなさと絶望感から泣くこともできない売春婦の少女に「まだ死ぬなよ」と声をかけるくだりは、作品の世界や彼の人柄を端的に示していました。また、本作の特徴である過激な暴力描写も決して露悪的ではなく、重みと必然性と作り手の責任感が伝わってきます。監督の手腕は神業の域に達していて、オリバー・ストーンあたりだと3時間以上かけそうな情報量を100分程度で無理なく片づけています。物語の進行と登場人物の感情が必ず同時に描かれ一切のムダが省かれており、駆け足も間延びもなく観客のバイオリズムにピタリと一致した構成となっています。テーマから逆算して描くべきものとそうでないものの取捨選択も的確に為されており、例えばFSB絡みの展開はいくらでも膨らませそうなものの、テーマの上では重要でない為触れる程度となっています。この監督は変な映画ばかり作ってるイメージがありましたが、いざシンプルなものを作らせても並の監督ではマネできないレベルにするのですから大したものです。[DVD(字幕)] 9点(2008-12-19 01:12:22)(良:1票)

32.  インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 悪評を聞いていた為どんなひどい出来なんだろうと思っていたのですが、期待値を下げて見たせいかなかなか楽しめました。とにかく素晴らしいのがスピルバーグの演出力。あんなに男らしく腕っ節の強いヒーローだったインディ・ジョーンズを66歳のハリソン・フォードに演じさせ、ちゃんとインディに見えるように作ることはなかなか出来ることではないでしょう。イーストウッドが「許されざる者」で老境のガンマンを演じたのが62歳、ショーン・コネリーが「ザ・ロック」でいぶし銀の元スパイを演じたのが66歳であり、従来なら先例に習ってセルフ・パロディにするしかないところ。しかし今回はその選択肢を取らずあくまで現役のヒーローとして描き、ちゃんと活劇映画として成立させているのです。小走りするのもツラそうなほどヨボヨボを隠し切れないハリソンさんでしたが、見ているうちに段々違和感がなくなっていきます。アクションもハリソンさんの現在の見た目、年齢でも説得力を失わないラインにギリギリ納めてあり、「物足りない」と「やりすぎ」の間で微妙なバランスをとっています。次々と新手の現れるナチスを相手にしてた頃と比べると、20人程度のソ連兵を相手にする本作はどうしても敵がショボく感じてしまいますが、アクションの説得力を維持するためにはこれが限界だったと思います。ここまで難しい要素の多い企画において、新解釈や新機軸を入れることなく昔のルールのまま及第点の作品を作れるのはスピルバーグならでは。私は今回の出来で十分だと思ったのですが、脚本レベルでのもうひと捻りも考えられるでしょう。イリーナ・スパルコは超能力の研究者という設定でしたが、思い切って彼女を超能力者にし、インディの考えをどんどん先読みされていくという展開でアクションの限界をカバーする手もあったし、前半でインディに疑いの目を向けていたFBIを争奪戦に絡ませることもありえたでしょう。しかしそこまでやってしまうとインディ・ジョーンズが主人公をやる必然性が薄くなってしまうわけで、そんな話はナショナル・トレジャーにでもやらせとけばいい。やっぱり今回のものが可能な中でのベストな出来だったと思います。オチも含めて(神様が「お前ら頭が高い」とナチスを皆殺しにしたり、間寛平みたいなオヤジが「700年間ここを守っておる」と言ったり、前3作だってオチは結構メチャクチャでしたよ)。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2008-11-15 15:09:16)

33.  イーオン・フラックス(2005) 大コケぶりに妙な期待をしたのですが、実際に見ると意外とあなどれない作品だなと思いました。話がわかりづらく世間一般に認められる映画ではないと思いますが、映画好きや批評家から酷評を受けるほどのものでもないでしょう。とにかく映像美に感心。ブレードランナーからマトリックスまでSFといえば闇。テクノロジーの無機質さと闇は抜群の相性なのですが、この映画はそれを覆す試みをしており、かつ成功させているのです。雲ひとつない真昼間に緑いっぱいの庭園を走り抜けてSFを成立させているのです。また、通常のSFではテクノロジーを感じさせるマシーンや建造物が登場するものですが、この映画では代わりに小道具でそれを表現しているので独特な印象となっています。それらを見せる監督の美意識も大したもので、独特なデザインをうまく作品に取り込んでいます。外敵を感知するとトゲになる芝生や、足に手のひらを移植している暗殺者等の突飛なアイデアもダサくすることなく映像化に成功させており、なかなかセンスの良い人だなと感心しました。一方でストーリーはいまいち弱く、陰謀の根幹がクローン技術でしたなんてのはSFではよくある話で、またテクノロジーに生命の神秘性が追いつくというテーマもSFの常套句なのでアイデア自体は別段特殊なものではありません。また、脚本に舌っ足らずなところがいくつも目につきます。まずイーオンがなぜレジスタンス活動を行っているかの説明がないので、彼女がトレヴァーと心を通わせていく過程のドラマが引き立っていません。人類はたったひとつの都市に密集して暮らしているのに、イーオンは兵士をボコボコ倒せるような訓練をどこで受けたんだというそもそもの疑問もスッキリしないし。都市上空を旋回している飛行船が実はクローン製造工場だったというどんでんも、そもそもあんなものがどういう理由付けをされて飛んでたのかの説明がないのでどんでんになってないし。また、政府トップの暗殺があまりに簡単なのも納得できず、その上その暗殺犯がいとも簡単に逃亡し、しかも再びトレヴァーに接触しに行けちゃうという安易さは回避すべきだったと思います。とまぁ脚本には穴が多いのですが、これはビジュアルを見せるための映画なんだと割り切ってみると、バカみたいな話でビジュアルを台無しにせずきちんと硬派な印象を残しているので、良くはありませんがそれほど悪くもないと思います。[DVD(吹替)] 7点(2006-11-25 23:39:00)

34.  インファナル・アフェア 主演2人が男前の笑い飯みたいでした。8点(2004-10-11 03:38:29)(笑:2票)

35.  インナースペース DVDをお持ちの方は、ぜひ吹き替えでご覧下さい。オリジナル俳優と声優の相性は正直「?」ですが、気の抜けたようなセリフ回しが非常に作品にマッチしてて笑わせます。最初に感じる違和感をガマンすれば、作品を2倍楽しめるはずです。とくにマーチン・ショートの吹き替えが下らなすぎて最高です。ただし、「ナンミョーホーレンゲーキョー」だけは英語でリピートを。そして肝心の本編ですが、全体を覆うユルイ空気が非常に心地よい映画です。スピルバーグってネームバリューに惑わされて、なにかスゴイものを期待してはいけません。80年代特有の、なんとも言えないヌルさ加減が魅力なのです。7点(2004-08-31 01:16:00)(良:1票)

36.  イヤー・オブ・ザ・ドラゴン ↓え、ラジー賞ノミネート?しかも5部門?大好きな映画なのでビックリです。ジョン・ローンよりも、私はミッキー・ロークの方がかっこいいと思います。自暴自棄なんだけど、マイルールをしっかり持ってるキャラって好きなんですよ。ハリー・キャラハンやマーティン・リッグス(第1作のみ)と同系統ですね。彼らは決してナイスガイではないんですけど、感情の先にはちゃんと筋が通ってるというか、「そらそうだわなぁ」と思わせるものがあるんです。このスタン・ホワイトもしかり。仕事に打ち込むあまり家庭をぶち壊し、さらにはマフィアとの戦争に周囲を巻き込んでしまうわけですが、私は違和感を感じませんでしたね。ここで納得できるかどうかが、作品の評価を分けるポイントなんでしょうね。これは正真正銘の男気映画なんです。男気とはかっこよさや倫理観、マイルールが優先される世界。理屈は二の次なんです。ラスト、向かい合うミッキー・ロークとジョン・ローンが叫びながら撃ち合うシーンが、この映画のほとばしる男気を示しています。そんな男気の世界だからこそ、家庭より何より、敵を倒すことが優先されるんです。ジョン・ウーイズムにも通じるこの倫理観、男気賛成派の私は熱烈に支持します。そして、ミッキー・ロークの適度なうらぶれ加減、かっこよさは、この映画の男気にピッタリきてましたよ。とくに奥さんを殺されてブチキレるシーンなんて、あまりのかっこよさに私も大興奮。画面に向かって、「チョウ・ユンファだ。チョウ・ユンファに仇討ちを手伝ってもらえ!」とマイプランを提示してしまったほどです。8点(2004-08-02 02:17:39)(笑:1票)

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