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1. THE 有頂天ホテル
スポットライトのあたる華やかな「舞台」と、それを支えるどちらかと言えば地味な「舞台裏」というのがあって、で、三谷監督は「舞台裏」側を“愛する”人なんだぁという思いを強くしました。それは舞台演劇の“裏方”である脚本・演出という、監督の出自と大きく関係しているのでしょう。裏方や地味な人の心を理解できる、あまり光のあたらない側に温かい眼差しを向けることが出来る、それを作品にさり気なく反映できる数少ない作家なんだ。この程よいやさしさが、心地良くってたまらないんです。普通、表裏とか“裏側”とかっていうと、あまりイイ意味で使われないでしょう。でも彼はそれを面白く可笑しく、ちょっと哀れで愛らしく描いてくれるのですね。それはラジオドラマ生放送のドタバタ、マイホーム建つまでのアレコレ、喜劇の台本を巡る攻防等々、三谷作品を貫く大きなテーマなんだと思う。「どんなことでも表層だけ見てたら、その裏にあるもっと面白いもの、ステキなもの、大切なものを見逃しちゃうよ~」と語りかけてくるかのようなのです。[映画館(字幕)] 10点(2006-02-08 11:16:06)(良:2票)
2. サイレント・ランニング
《ネタバレ》 人間のエゴというものを、考えさせられます。自然環境の破壊が人類のエゴが原因ならば、自然を愛する一見イイ奴っぽいニューエイジ系の主人公も、物語が進むにつれ酷いエゴイストっぷりを見せ始めますし。そのエゴの果て“緑”を抱えて宇宙を放浪する孤独感が、ひしひしと伝わってきます。深読みすれば、これはナパームやら枯葉剤で、地球を痛めつけた70年代初頭のアメリカ人のエゴと心象の投影なのでは、とすら思えてきます。あ、そうそう、チミノが脚本を書いているのですね、“強いアメリカ”または“偉大なるアングロサクソン”と自らへの批判が、自嘲気味に出ているようにも感じられませんか?そうアメリカンニュー“SF”シネマ。宇宙空間にぽつんと浮いた植物栽培ドームで、ロボット君が地球最後の緑へ、ジョウロで水をあげてますね…心に痛いシーン。痛すぎて、たいがい僕は涙します。 10点(2003-11-12 18:14:24)(良:1票)
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