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プロフィール
コメント数 1275
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1.  ザ・ギフト 《ネタバレ》 人が死なないどころか暴力沙汰も流血沙汰もほとんどなく、サスペンスとしてはかなり大人しい作風ながら、終始張り詰めた緊張感のある良作でした。 前半は、普通の夫婦がおかしな奴に目をつけられて平和な日常を侵食されていくというよくあるタイプのストーカー映画ながら、ジョエル・エドガートン演じる挙動不審な男・ゴードの不気味さや、人とズレているために何が彼の心のスイッチになるのか分からないというサスペンスで、見るものに終始嫌な汗をかかせます。 一転して後半はゴートの正体とともに主人公・サイモンの本性も暴かれ、善と悪が逆転し、さらには観客に対するサプライズもあるというかなり動きの激しい展開を迎えます。静から動への転換や、真の悪人が制裁を受けるというある種痛快な展開など、このパートでも観客の心をガッチリ掴む仕掛けが多くて感心させられました。 【注意!ここから大きくネタバレします】 また、オチを見てから前半に戻ると、サイモン夫妻とゴードの噛み合わない会話が、初見時とはまるで別物に見えるという細かい作りにもなっています。 サイモンと共犯関係にあったもう一人の同級生・グレッグが、ゴードの名前を聞いただけで顔を強張らせたことを考えても、ゴードがサイモンに対して抱く感情は誤解や逆恨みではなく客観的にも正当なものであったことが分かるし、二人の間で起ったことは数十年経ったからと言って忘れてもいいレベルの内容ではありませんでした。 この情報を踏まえて前半の会話を見ると、ゴードはあえて切り出さないが、過去のイジメを前提にした発言を何度もしています。どう考えたってこの二人は青春時代のイジメの件をまず話さないといけない間柄にあるし、ゴードは辛抱強くサイモンからその発言が出ることを待っている。それどころか、自分は過去を水に流しているから安心して話していいよという気遣いまでを見せているのに、サイモンはそんな重大な件を忘れてしまい、今の話ばかりをしているのです。 ゴード宅(実は彼の雇い主の家でしたが)にサイモン夫妻が招かれた夜の件も同じくで、ここでもゴードは過去の総括を期待していたのに、サイモンは「うちの嫁が美人で親切だからと言って、ちょっかい出して来てんじゃねぇよ」とまったく見当違いのことを言い出します。初見時にはゴードの方がおかしいように見えていた会話が、実はサイモン側がおかしかったという細かい作りになっていたことには驚かされました。 ジョエル・エドガートンは本作を監督しただけでなく自ら脚本も書いていますが、ここまで芸の細かい作品を作り上げた手腕には恐れ入りました。[インターネット(吹替)] 8点(2018-05-19 02:49:39)《改行有》

2.  サバイバー(2015) 《ネタバレ》 スターといっても過去の人達が顔を揃えたVシネなので大して期待はしていなかったのですが、その下がりまくったハードルも越えられないほどの無残な出来でした。 主人公が極端な行動をとらざるをえなくなる理由づけが物凄く弱いので、序盤から躓いています。例えば1993年の『逃亡者』では、「俺は無実だ」の主張に対して「知ったことか」と返すジェラード捜査官の一言により、これは逃げる他ないということが主人公と観客との間の共通認識として成立していました。他方、本作はあのような端的なやりとりがないまま本編を始めてしまうので、頭には疑問符しか浮かびませんでした。 そもそも、世界最高クラスの殺し屋に命を狙われており、しかも目の前で同僚や上司を殺され「敵は本気だ」ということが明白な状況で、自力で事に当たる奴なんています?第一容疑者に上がっており自分にとっては不利なシチュエーションかもしれないが、それでも殺されるくらいだったら警察に駆け込み、少なくとも口封じはされない環境下で身の潔白を証明するという行動がもっとも合理的だと思うのですが。 その後、度重なる殺し屋の追撃を交わし、国際指名手配犯であるにも関わらず国際線で移動してついに母国まで帰ってくる主人公。あまりに無茶な展開が多いので、実はCIAという設定でもあるのだろうかと思っていたのですが、ただの事務系職員のまま通すので悪い意味で驚かされました。さすがに無理ありすぎでしょ。 NYに着いたら着いたで、さっさと捜査機関に駆け込んでテロの警告をすればいいものを、またしても一人で事に当たろうとする主人公。もはやバカにしか見えませんでした。プロフェッショナルであり、しかも複数人である敵側が、そんな主人公相手に敗退するという展開にも何らカタルシスが宿っておらず、短い上映時間をごまかせるほどの内容もない作品でした。[インターネット(吹替)] 3点(2017-11-30 18:13:44)(良:1票) 《改行有》

3.  砂上の法廷 《ネタバレ》 映画における裁判では「宣誓下にあるのだから、証言台に立たされた人間は真実のみを語っている」という暗黙の大前提が置かれているのですが、その大前提をひっくり返して「証人は、自分に都合の悪い話は捻じ曲げて証言する」ということを追及した点が、本作の新規性であると言えます。名作『羅生門』にも通じるアプローチですが、私はこれをリアリティの一種であると感じたし、二転三転する物語は物凄く楽しめました。 本作で描かれるウソの種類は2つあって、事件の核心部分の理解を意図的に操作しようとしてつくウソと、事件の真相とは直接関係ないが自分自身の触れて欲しくない部分をごまかすためにつくウソとがあります。後者については合理性のあるウソであるため、その人物の背景を紐解く中で不整合が自ずと露わになってくるのですが、難しいのが前者であり、その周辺にある些細なウソを切り崩していきながら「より確からしい理解とは何か」を探ることになっていきます。 作品は証言と回想を行き来しながら進むのですが、回想パートにウソはなく、少なくとも作り手が観客に対してインチキはしていないという点にも感心させられました。また、一見すると荒唐無稽に感じられるオチについても、ある思惑が想定外の形で別の思惑と結びつきながら結果的にこの歪みまくった構図が出来上がったという説明付けがなされており、決して「サプライズのためのオチ」とは感じませんでした。全体として矛盾がなく、おかしいと思われる部分にもよくよく考えればちゃんと説明が付けられており、実によく考えられたお話となっています。 キアヌの弱点である能面フェイスは、本作では観客に表情を読ませないという点で良い方向に作用しているし、疲れきってはいるが男を魅了する色気はギリギリ残っている人妻役に、こちらもくたびれきったレニー・ゼルウィガーが見事にハマっています。また、女性で見た目が良くて有色人種だから陪審員から正義の側に見られやすいという理由で主人公が傍らに置いているインターンの弁護士の堅物ぶり、この場にいるのは自分の実力を評価されているからだという勘違いぶりも面白く、キャスト面でもなかなか充実した作品だと感じました。[インターネット(吹替)] 7点(2017-11-10 18:41:58)(良:1票) 《改行有》

4.  ザ・マミー/呪われた砂漠の王女 多くの方が指摘されている通り、お話は『スペース・バンパイア』にそっくりです。女性モンスターが精気を吸い取るという描写のみならず、主人公の男性がその女性モンスターの眠りを覚ましてしまったという点や、その男性が女性モンスターに選ばれた者であるという点もまったく同じ。超常現象でロンドンが大損害を受けるという点も共通しており、小学生時分より『スペース・バンパイア』を傑作だと信じている私としては、ついに時代が追い付いたかと感慨深いものがありました。 ただし、『スペース・バンパイア』には確かにあった恐怖という感情が、本作ではほぼ失われているという点は致命的でした。大変な金をかけて作られたミイラ達が全然怖くないんですよ。ダークユニバースは一応ホラー要素のある作品群であるはずなのに、ホラー映画としてまるでダメなのでは話になりません。このままでは『リーグ・オブ・レジェンド』や『ヴァン・ヘルシング』といった失敗作と同じ轍を踏むのではないでしょうか。 また、話が異常に分かりづらかったという点も、大きなマイナスです。蘇った砂漠の女王は何をしようとしているのか、そして主人公たちはどうやってそれを防ごうとしているのかという基本的な情報すらうまく伝わってこないため、特にクライマックスの追っかけは一体何やってんだかよく分かりませんでした。アレックス・カーツマンを筆頭にデヴィッド・コープ、クリストファー・マッカリーとハリウッドトップクラスの脚本家が名を連ねながら(なお、3名全員が『ミッション・インポッシブル』シリーズに関わった経験を持っています)、これだけ雑な仕事をするものかと驚きました。ま、話がまとめられなかったからこそ、大勢の脚本家が雇われたとも言えますが。[映画館(字幕)] 4点(2017-08-12 23:34:23)《改行有》

5.  サウスポー 『ナイトクローラー』ではヒョロヒョロに減量していたジェイク・ギレンホールが、今度は筋肉モリモリマッチョマンになっていました。ギレンホールの役者魂もさることながら、最近のハリウッドの肉体改造技術は本当にすごいことになっています。監督もギレンホールの肉体こそが最大の見せ場であることをちゃんとわかっており、冒頭から出し惜しみなし。また、MTV出身の監督だけあって画作りはお手のものであり、もしテレビで放送されていたら本当のボクシング中継かと勘違いしてしまいそうな見せ場を作り上げています。こちらも見事でした。 物語はスポーツ映画の王道通り「栄光→没落→再起」のフローで推移し、ほとんど変化球なし。ロートルトレーナーとの出会いや、周囲の人々とのドラマなどテンプレートから1mmも離れることがなく、だからこそきっちり感動させられるものの、残念ながら水準作以上にはなっていません。 さらには、作りが粗い部分も目立っています。あれだけ人目が多い場での発砲事件だったにも関わらず、奥さんを誤射した犯人が逮捕されないという点はさすがに不自然。また、対戦相手となるボクサーは「ビ○チはもうお前を助けてくれないぜ」とか言って傷心の主人公を煽ってきますが、いくらヒールであってもここまで言ってくる奴はいないでしょ。さすがにイジれないネタというか。しかも、あんたの子分が誤射したことへの罪悪感はないのかと。急に娘が反発し始めたことも不自然であり、何か重要なエピソードを見落としたかと思ってしまいました。 もうひとつの問題点は、前述した通り現実のボクシング中継に極めて近いルックスを作りながらも、オーディエンスの存在が描かれていないことです。主人公は一度没落しますが、彼はアルコールやドラッグで自滅したのではなく奥さんの急死という同情すべき背景があったのだから、世論は彼に味方するはず。あれほど急激な没落は不自然に感じました。また、主人公が金づるではなくなった途端に相手ボクサーに寝返ったプロモーターやトレーナーはバッシングを受けるはずなのに、そうしたオーディエンスの反応がまるで描かれていません。こうしたディティールの面で失敗しているため、本作のドラマには乗りきれませんでした。[DVD(吹替)] 6点(2017-01-10 18:59:35)(良:2票) 《改行有》

6.  最強のふたり 異色コンビの物語であれば「反発→共感→対立→和解」というプロセスを辿ることが一般的なのですが、本作が特殊なのはドラマにそうした起伏がほとんどないことであり、主人公二人に人間的なぶつかり合いはなく、喧嘩のひとつもしません。後半にて二人は一旦離れることになるものの、それにしても二人の関係性を揺さぶるような深刻なトラブルがあったわけではなく、「ドリスにも家族や生活があるのだから、住み込みでの介助はそろそろ限界ですね」という中でお互いに空気を読み合った結果の判断であり、それは円満退社のようなものでした。 本作に唯一あった山場とは、障がい者としての姿を見せずに関係性を維持できていた文通相手の前にフィリップが今の姿を見せるかどうかというものでしたが、それにしても大した葛藤が描かれるわけではないので見ごたえに欠けました。押しつけがましさを徹底的に排除した作風には好感を持つものの、やはり一波乱くらいはないと映画としては盛り上がらないのです。また、以下の点も気になったのでドラマへの没入感も低くなりました。 ・フィリップは、ドリスの何が気に入って採用したのかが分からない。面接時点では無資格・無教養で言葉遣いの悪い盗っ人でしかなかったんだし。 ・フィリップがさほど気難しそうに見えない ・ドリスが来る前から屋敷にいたイヴォンヌやマガリーがフィリップの性格に手を焼いている様子がなく、また、彼女達もサバサバとした性格でフィリップに対して過度な遠慮をしている様子がないために、フィリップとその周囲の人たちがドリスのような変化球を求めていたという背景が弱い。 ・ドリスがフィリップから与えられたものは豪邸での生活や高級車の運転といった金銭面での驚きのみであり、人格面での影響を受けていないことから下世話な内容になっている。さらに、介護のめんどくさい点、見栄えの悪い点が端折られていることもあって、途中から王様に雇われた道化の話に見えてしまう。[インターネット(字幕)] 5点(2016-11-11 12:28:17)《改行有》

7.  THE ICEMAN 氷の処刑人 《ネタバレ》 映画よりも面白い実話を映画化した作品なのですが、作品は事件のうわべをなぞるだけで面白みのある部分を逃しているように感じました。 この事件を知った人が真っ先に関心を抱く点は、裏で殺し屋稼業をしていた旦那を家族は怪しいと思わなかったのか、そして彼はどんな家庭人だったのかという点であり、そこにドラマやサスペンスが発生したはずなのですが、作品はその点をあっさりとスルー。本来は家庭生活をメインにして殺し屋稼業をサブに回すべき題材でありながら、その逆をやってしまったがために題材の特殊性を作品の面白さに繋げられていません。 また、ヤクザ映画としての一山も作れていません。丁寧な仕事によって20年近くも捜査線上に上がってこなかった主人公が、仕えていた親分に切られたことからフリーで雑な仕事をするようになっていよいよ追い込まれた。捜査当局の手が迫ってくる描写があれば盛り上がったはずなのですが、ここもあっさりと流されるためラストが唐突に感じられました。[インターネット(字幕)] 4点(2016-10-13 20:06:57)(良:1票) 《改行有》

8.  ザ・ガンマン 《ネタバレ》 これまで娯楽作への出演を避けてきたショーン・ペンが、突如ジョエル・シルヴァー製作、ピエール・モレル監督というコッテコテのアクション映画に主演。しかも自分で脚本を書くほどの熱の入れようということで、事前にはどんな映画になっているのか見当もつかなかったのですが、雰囲気だけはメチャクチャによくできています。『ブラッド・ダイヤモンド』や『ザ・バンク』のような重い社会性を帯びた娯楽作であり、本編はB級アクションらしからぬ重苦しい雰囲気に覆われています。また、ひとつひとつの仕草にまでこだわり抜いたと思われるほどアクションシーンにおける主人公の行動は洗練されており、きちんとプロの傭兵に見えるだけの説得力があります。それを演じるショーン・ペンの肉体改造は凄まじく、体脂肪率の低そうなバッキバキの肉体を披露。『エクスペンダブルズ』の面々ですらここまで体を作ってきている者はおらず、御歳55歳にしてアクション俳優としてのキャリアが開花しそうな勢いなのです。 ただし、お話しの方がまるで面白くありません。主人公は8年前の暗殺事件を発端とした国際的な陰謀に巻き込まれて命を狙われ、その黒幕を探し始めるのですが、イマイチ観客の興味を引くような流れを作り出せていません。怪しい奴を捕えると、こちらが聞きもしていないことまでベラベラと話してくれる。本編はこれを何度か繰り返すのみなので、面白いわけがありませんね。ラストの展開などは噴飯もので、主人公が持つ証拠動画と、敵に囚われたヒロインを交換しようという取引がなされるのですが、いくらでもコピーできる動画ファイルをわざわざ受け取りに現れる敵一味が間抜けにしか見えません。また、犯罪を首謀した行為の隠蔽がそもそもの目的だったにも関わらず、追い込まれたラスボスは公衆の面前で銃を振り回して女性を追い駆け回すというアホな行動をとり始める始末であり、仮に過去の犯罪行為を隠蔽できたとしても、新たな罪状で逮捕されるだろと呆れてしまいました。 主人公とヒロインの悲しい恋愛や悪人との三角関係、主人公の重病設定も本筋のサスペンスを盛り上げることには貢献しておらず、無駄な枝葉になってしまっています。ショーン・ペンを含めてオスカー受賞者が3人もいるにも関わらず高いレベルでの演技合戦を楽しむことはできず、専ら不自然な展開を誤魔化すために彼らの演技力が費消されているという点も残念でした。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-08-10 20:36:34)《改行有》

9.  サイレンス(2016) 《ネタバレ》 人里離れた森の中、一人暮らし、しかも聾唖と、スラッシャー映画史上もっとも不利な条件で殺人鬼と対決せねばならなくなった女性の映画ということでたいそう期待して観たのですが、女性の戦力に合わせて殺人鬼のレベルまで落とされており、なんともレベルの低い泥試合でガッカリさせられました。 序盤にて、殺人鬼は主人公を殺せる状況にあったにも関わらず殺さずに生かしておきます。「ただ殺しても面白くない。極限まで怖がらせてからじっくり殺すのが楽しい」というのが殺人鬼の言い分なのですが、そんな大上段からのセリフとは裏腹に、本編に入ると主人公に裏をかかれて武器を奪われたり、ケガをさせられたりとまるで良いところがありません。こいつがとにかくダサくて参ってしまいます。いきなり殺人鬼の姿を見せるのではなく、何か異変が起こっているのだが、脅威の正体が分からないというサスペンスである程度引っ張った方が、恐怖の底が割れなかったのではないかと思います。 対する主人公が聾唖という設定も、本編にはさほど活かされていません。ほとんどの展開が普通の女性でも成り立ってしまうものであり、せっかくぶち上げた設定が宙ぶらりんとなっているのです。警報機の伏線などもバレバレだったし、もう少し設定を掘り下げて欲しいものでした。[インターネット(字幕)] 4点(2016-07-11 14:16:15)《改行有》

10.  ザ・ブリザード IMAX3Dにて鑑賞。 『ラースと、その彼女』のクレイグ・ギレスピー監督ということでドラマ寄りの作品かと思っていたのですが、ドラマパートが薄味で特に感動も興奮もなくてガッカリさせられました。 “based on true story”が裏目に出た作品であり、米国沿岸警備隊においては半ば神格化された事件だけあって脚色の余地がほとんどなく、さらには登場人物全員を良い人として描く必要があったためか、ドラマに起伏が生まれていません。主人公・バーニーの引っ込み思案な性格についても、1年前の失敗によるトラウマが原因なのか、本質的な気質なのかがはっきりとしないため(恐らくその両方なのでしょうが)、彼の成長譚として微妙な出来映えとなっています。もう一方の主人公シーバートについても、どうやら彼は他のクルーとの間で確執を抱えているようなのですが、そういった従来の人間関係が明確に描写されていないために、事故後に彼が生き残ったクルーをまとめ上げる際の苦労が伝わってきません。 本作はリーダーシップ論を描いた作品でもありますが、自分がリーダーになるしかないと腹を決める瞬間や、リーダーとして苦渋の決断を下す場面など、このテーマでの定番の盛り上がりどころをことごとく外しているため、なんだかボヤっとした印象となっています。 他方、見せ場の迫力はなかなかのものでした。VFXの凄さも然ることながら、大海原に投げ出されることの恐怖や、真冬の海の寒さをきちんと表現できており、海難事故を扱うにあたって必要な描写を外していないのです。ディズニー製作なので痛々しい描写や明確な人の死の描写が控え目であることは不満だったのですが、生存者たちがどれほど大変な目に遭ったかという点を掘り下げることで観客の感性にはきちんと訴えられています。 ただし3D効果は微妙であり、それどころか夜の場面が多いため3Dメガネをかけていると画面が暗くて見づらく、これだったら2D版を選択すればよかったと後悔しました。[映画館(字幕)] 5点(2016-02-27 13:48:33)《改行有》

11.  ザ・ウォーク IMAX3Dにて鑑賞。 3D映画の第一人者と言えばジェームズ・キャメロンという風潮がありますが、10年以上前、2時間の映画を3Dで撮るという試みにもっとも熱心だったのはロバート・ゼメキスでした。彼の努力は技術的には一定の成果を挙げ、従来は数分間のアトラクション用だった3D技術を本格的に映画館へ持ち込み、ストーリーテリングと両立させることに成功しました。私は『ベオウルフ/呪われし勇者』を公開時に映画館で鑑賞したのですが、遊園地で見るような3D映像が2時間も続くことに大興奮したものです。ただし、ゼメキスが撮った3本の3D映画は高コストを回収できず、2009年の『クリスマス・キャロル』を最後にゼメキスは3D映画から離れてしまいました。その後、3D映画がどのように発展したのかは周知の通りです。 そんなゼメキスが3D映画に戻ってきたのが本作ですが、研究開発段階から3D技術に関わってきた御大だけあって、そこいらの監督の仕事とはレベルが違います。キ○タマが縮みあがるような映像の連続で、鑑賞後には手汗も凄いことになっており、特殊な状況を観客に疑似体験させるという点で、本作は究極のライド映画となっています。その没入感は『ゼロ・グラビティ』にも並ぶほどであり、これは史上最高クラスの3D映画と言えるでしょう。 脚本・演出は思い切ったもので、ドラマというものをほとんど描こうとしていません。自らの命をかけ、逮捕されるリスクを冒してまでもWTCで綱渡りしようとする男の気持ちなど観客に伝わるわけがないので、彼の心境を描くということを監督は完全に放棄しているのです。また、彼には多数の協力者が現れるのですが、彼らがどういう意図で集まったのかも詳しく描かれておらず、何となく人が集まってWTCに綱を張ったという荒っぽい展開となっています。とはいえゼメキスは『フォレスト・ガンプ』や『フライト』を撮った監督なのでそもそもドラマの扱いには長けており、適度にユーモアを入れながら、それなりに見られる形にドラマの体裁を整えているので、件の荒っぽさは鑑賞中にはさほど気にはなりませんが。[映画館(字幕)] 7点(2016-01-23 22:59:22)《改行有》

12.  サボタージュ(2014) 意外性ある展開を狙ってはいるものの、サスペンス映画にはよくある流れなので、最後まで見たところで観客にとっては大したサプライズがないという点が苦しかったです。デビッド・エアーは才能ある脚本家兼監督だとは思うのですが、この人は態度の悪い公務員が悪態つきながら暴れ回る映画を撮っていればいいのであって、騙し騙されの駆け引きを描かせると、途端に手際の悪さが露呈します。ヤクザよりもタチの悪そうな麻薬特捜班の登場場面や、ホラー映画顔負けの残酷描写にはこの監督ならではの個性を感じられたものの、全体としては不手際の方が目立っていました。 また、監督の引き出しのなさと同様に、シュワの演技の幅の狭さも、作品に大きな支障をもたらしています。この人の俳優としてのキャリアは1985年の『コマンドー』で確立されており、基本的に同作のジョン・マトリックス大佐以外の役柄を演じることはできません。にも関わらず、シュワ氏は無謀にも本作で新境地開拓に挑んでおり、そして見事に失敗しています。同業者であるスタローンが、90年代の多くの失敗作から自己の演技の幅を認識し、近年ではセルフパロディに徹することでファンを喜ばせているのとは対照的に、シュワ氏は自己の限界をいまだに認識できていないようです。物語の進行とともに主人公の本性が暴かれていくということが作品の要だったにも関わらず、その主人公を演じるのが一種類の演技しかできないシュワ氏だったということは、観客にとっては悪夢としか言いようがありませんでした。[ブルーレイ(吹替)] 4点(2015-05-05 01:26:17)(笑:1票) 《改行有》

13.  ザ・パッケージ / 暴かれた陰謀 《ネタバレ》 『野獣捜査線』『刑事ニコ/法の死角』等アクション俳優との仕事が多かったアンドリュー・デイビスが、渋い大人のキャストを得て作り上げたサスペンスアクション。後の傑作『逃亡者』へと繋がる要素が多く、彼の演出スタイルを確立する上での重要作であったことは伺えるのですが、映画の出来自体は大したものではありません。。。 米ソの歴史的和解を拒む軍産複合体による大規模テロを背景とし、殺人の濡れ衣を着せられた主人公の逃走劇と謎解きという、たいそう面白そうなお話であるにも関わらず、これがイマイチ盛り上がりに欠けます。主人公の行動は自分の身を守るためなのか、それとも軍人としての大義のためなのかが明確に描写されないため、感情移入が難しいのです。主人公を演じるのはジーン・ハックマンですが、オスカー受賞で名優と持て囃されたのも今は昔、本作製作時は低迷期にあり、『追いつめられて』や『カナディアン・エクスプレス』等、同傾向の映画に出演しまくっていました。本作もそんな雇われ仕事のひとつに過ぎず、肩に力の入らない演技で映画のテンションを下げまくっています。軍縮会議場警備に失敗しても、護送中の囚人に逃げられても、自身に殺人容疑がかけられても顔色ひとつ変えず、常に余裕の表情。その貫禄には素晴らしいものがありますが、巻き込まれ型サスペンスでこの安定感は不要でしょ。他方、当時無名に近かったトミー・リーは、少ない出演時間ながらなかなかの存在感を披露しています。おしゃべりで気の良さそうな男から一転して、口数の少ない殺し屋の本性を現すという演技の振れ幅も素晴らしく、後の大スターの片鱗を見せつけています。[DVD(字幕)] 4点(2014-08-27 00:26:47)《改行有》

14.  サイド・エフェクト ソダーバーグとの相性はよくないのですが、本作は楽しめました。黒幕には意外性があるもののソダーバーグはそこを大きく扱いすぎておらず、人生を奪われかけた男による反撃を作品の中心に据え続けたことで、作品全体が引き締まっています。豪華俳優陣のハマり具合も素晴らしく、熟練した技を楽しめる作品でした。[DVD(吹替)] 7点(2014-04-08 00:11:13)

15.  ザ・バンク -堕ちた巨像- 2013年には、日本国内で常識を疑う事件が2つ発生しました。ひとつは、某メガバンクが暴力団に融資を行っていたこと。もうひとつは、某餃子チェーン店の社長が、プロの殺し屋と推測される犯人によって殺害されたこと。この2つの事件からは、表社会と裏社会の距離は我々が思うほど遠くはないということを認識させられ、少なからず戦慄させられました。。。 本作のモデルは、1991年に経営破綻した国際商業信用銀行(BCCI)。独裁者を顧客に抱え、麻薬取引・武器輸出への関与、各国の諜報機関との関わりなど、出るわ出るわの悪行三昧。裏社会の組織ならともかく、世界78カ国に400拠点を構え、表社会で営業活動を行っていた金融機関がこれだけの悪事に手を染めていたということには、大変な驚きがありました。。。 本作は、そうした現実社会のトピックをエンターテイメント化すると同時に、熱い男のドラマとしてもまとめられており、さらには目を疑うほど素晴らしい銃撃戦もあり、非常に見応えのあるサスペンスアクション映画として仕上がっています。多少やりすぎな点もあるにはあるのですが、その辺りは「実話をベースにしております」という免罪符を使ってうまく言い訳しているので、致命傷にはなっていません。全体としては70年代風の骨太アクションであり、甘い要素はゼロ。主人公・サリンジャーは超絶美人の地方検事と行動を共にするも、両者が恋愛関係に発展することはありません。それどころか友達ですらなく、目的を共有し、かつ、仕事ができる相手だから一緒にいるのだという関係性は最高にクールでした。。。 また、敵方のブレーンであるウェクスラー大佐とサリンジャーの関係も激熱です。秘密警察での職務に人生を捧げたウェクスラーは、サリンジャーの将来の姿。職務のために尽くしてもそれが報われることはなかったという虚無感が現在のウェクスラーを支配しているのですが、悪を倒そうとまっすぐに生きるサリンジャーとの出会いによって、彼は再び「自分が信じるもののために戦う」という気概を取り戻します。他方、サリンジャーもまた、ウェクスラーから影響を受けます。まっすぐに戦うだけでは巨大な敵に勝つことができないということをウェクスラーから教えられ、そのことが、ラスト近くでの決断に繋がっていくのです。ドライな語り口の中に、以上の熱いドラマを忍ばせた本作の演出には、完全にノックアウトさせられました。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2014-01-06 00:58:02)《改行有》

16.  ザ・エージェント 本作の脚本はかなりの変化球です。例えば、やり手ではあるが人間味に欠けていた主人公が、己の仕事の不毛さを知って改心するというドラマティックな展開。通常の映画であればクライマックスに持ってくるべきパートを、なんと冒頭に据えているのです。もしくは、苦難をともにしたシングルマザーへのプロポーズ。これもクライマックスにあるべきパートですが、これを中盤に据えています。本作がやろうとしていることは、通常のドラマが描く綺麗事のその後。「こうして、主人公は新しい道を歩み始めるのでした。めでたし、めでたし」といくほど、人生は甘くない。美しい決断の後には厳しい現実が待ち構えているというひとつの真理を突いた内容としています。こうしたキャメロン・クロウの着眼点の鋭さには、心底恐れ入りました。。。 以上の通り、基本的に本作はビターな内容の映画なのですが、観客にストレスを与えすぎないよう、あくまで王道を装っている点が本作の良いところであり、悪いところでもあります。トム・クルーズは抜群の安定感だし、レニー・ゼルウィガーは爽やか、キューバ・グッティング・Jrはコメディリリーフとして申し分なく、非常に口当たりの良い仕上がりとなっているのですが、その完成度の高さゆえに、ドラマの核心部分に重みを感じないという点が引っかかりました。確かに主人公は人生のどん底にいるが、トム・クルーズが演じている以上、最終的には何とかなってしまうだろうという安定感は、本作に必要だったのか?小綺麗なレニー・ゼルウィガーで、シングルマザーの苦境を描ききれるのか?人の良さが滲み出るキューバ・グッティング・Jrが、素行不良でチームから敬遠されるアメフト選手に見えるのか?見終わった後に、多くの疑問符がつきました。演出と演技のレベルの高さが、この脚本のポテンシャルを奪っているように感じます。[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-12-23 02:17:52)《改行有》

17.  ザ・マスター 貫禄を見せるフィリップ・シーモア・ホフマンと、彼に全力でぶつかっていくホアキン・フェニックス。そして、影の実力者らしき静かな存在感を見せつけるエイミー・アダムス。確かに、彼らの演技合戦は素晴らしいレベルに達しており、見て損のない映画に仕上がっています。その一方で、この映画が一体何を言いたかったのかという点については腑に落ちない点が多く、アカデミー賞で演技部門には複数ノミネートされたものの、作品内容に係る部門でのノミネートがなかったという評価には、非常に納得がいきました。。。 本作はサイエントロジーの設立から拡大までを描いた作品だということで、本国では大きな論争を生みましたが、実際には、宗教や信仰というものはそれほど大きく扱われていません。教祖様の教えは科学と宗教を折衷したインチキ臭いものだが、アル中の主人公・フレディは、そのデタラメな教えによって人生を救われてしまう。この点を深く掘り下げれば、「信仰とは何か?」という哲学的な映画になったはずなのですが、勿体無いことに、本作はその点を見事にスルーしているのです。では本作で何が描かれているのかというと、インチキ教祖と信者の間に生まれた謎の友情。暴力に訴えてでも教団と教祖様を守ろうとするフレディは完全にイカれており、教祖様の周囲でも、「あの人はヤバいから切ってしまおう」という声が根強いものの、なぜか教祖様はフレディに対して特別な思い入れを持ち、決して切りません。フレディもフレディで、教祖様の巻き添えを食って留置所に入れられた時には、「なんだよ、この教え。インチキじゃないか!」と信仰をはっきりと否定するものの、その後も教祖様と行動を共にするという意味不明さ。本作は信仰の物語ではなく、異常者同士の歪んだ友情を描いた物語なのです。。。 しかし、二人の間の友情がどうにも消化不良。監督が言わんとすることは頭で理解できるものの、ドラマチックではないので心に響いてこないのです。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の仮想的な親子関係や、『マグノリア』の憎んでも憎みきれない肉親への愛情物語などと比較すると、PTAの演出は随分落ちたなと落胆させられました。撮影技術や役者への演技指導といった表層的なスキルについては熟成を感じさせられるものの、主題の煮詰め方については、寧ろ退化しているように感じました。[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-11-10 02:41:42)《改行有》

18.  三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船 VFXで古典を大胆アレンジという企画は『シャーロック・ホームズ』の二番煎じだし、監督はダメな方のポール・アンダーソンだし、どうせロクでもない映画なんだろうなと期待せずに観たのですが、そんな予想に反して意外な程よくまとまっていて、きちんと楽しめる娯楽作に仕上がっていました。笑いあり、スリルあり、目を楽しませるド派手な見せ場あり、さらには全編に散りばめられた伏線とその回収もスムーズであり、B級アクションとしては過不足ない出来なのです。。。 また、私は3D版を鑑賞したのですが、3D効果もきちんと発揮されており、技術面での努力も充分に伝わってきます。ポール・W・S・アンダーソンのこういう真面目なところは大好きです。。。 なお、タランティーノは2010年度のベスト映画の一本に本作を含めており(いかにもタラが好みそうな『ドライヴ』よりも高評価)、意外な方面からの評価は受けている作品のようです。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2013-09-01 04:18:06)(良:1票) 《改行有》

19.  ザ・ダイバー 《ネタバレ》 人種差別と戦い、さらには身体障害までを乗り越えた実在の人物の物語という、ハリウッドの大好物がご丁寧に二つも並んだドラマなのですが、あまりに平凡な脚色によって題材の良さも優秀な俳優も無駄になっており、駄作と呼ばれても仕方のない出来に終わっています。この手の感動作のテンプレートにでも当て嵌めて作られたかのようなストーリーには意外性ゼロだし、観客を感動させようと用意されたセリフの多くは上滑りしています。そして何より、偏見というものの捉え方が表面的すぎて、この題材から期待される教訓は何ら得ることができません。。。 人種差別の恐ろしいのは、それが社会の多くの人々の意識に住み着いてしまい、普通の人々までが悪気もなく差別してしまうということ。本作のように、差別意識を持っているのがごく一部の心ない人だけなのであれば、それは大した問題ではありません。また、黒人青年側の心境も、時代の空気を考えれば非常に不自然なものでした。主人公は有色人種であるがゆえの壁に度々ぶつかり、彼はその度に戸惑い、そして憤ります。しかし、善い悪いは別にして、当時はそういう時代だったのです。黒人が上を目指せば叩かれることは分かりきっていたはずなのに、彼はそのことが意外だったという顔をするのです。本作の登場人物は、みなナイーブ過ぎはしないでしょうか。。。 身体障害のパートも同様に不自然でした。身体障害者が危険な職務に就けないことには、善悪では片付けられない複雑な事情があります。本人が「努力でカバーする」と主張しても、やはり他の隊員とは同じ条件ではないのです。厳しい言い方をすると、一人の名誉欲を満たすために、何人の手助けが必要になるのかという話になってきます。また、軍隊という特殊な職場である以上は、リスクの高いメンバーを抱え込むことで部隊全体の安全にも影響が出ないかということも考慮しなければなりません。以上の難しい事情があるにも関わらず、またしても一人の憎まれ役にすべての問題を収斂させて、最終的には「めでたしめでたし」で終わり。現実はこれほど簡単ではありません。。。 その他、核弾頭紛失(チューレ事件)という超トップシークレットが普通にテレビ中継されていたり、公式の軍事委員会で部外者が勝手に発言したりと、おかしな場面がいくつもあります。ラストの歩行テストなんて実際にはなかったようだし、脚色が過ぎているように感じました。[ブルーレイ(字幕)] 4点(2013-06-24 01:03:56)《改行有》

20.  388 《ネタバレ》 タイトルは舞台となる家の住所を示しており、郊外で暮らす平凡な男が恐怖の犯罪に巻き込まれることが本作の内容です。犯人が仕掛けた隠しカメラの映像のみで全編が構成されており、犯人目線で映画が進行するという点が本企画の特徴なのですが、この点においては概ね製作者が意図した通りの効果があげられています。ムダを省きつつも犯罪の全貌を捉えることに成功しているし、犯人はカメラの後ろ側にいるため決して顔が映らないという構図が置かれたことで、犯罪の不気味さがより際立っています。その他にも、不安定な映像が主人公の心理状態を反映していたり、主観映像によってチェイスシーンのスピード感・緊張感が飛躍的に向上したりと、多くの点でこの仕掛けが功を奏しています。主観映像を用いた映画は増える一方ですが、本作はそんな作品群の中でも成功した部類に入ると思います。。。 また、脚本もよく練り上げられています。幸せな日常をコンパクトに描写した後、徐々に恐怖のシチュエーションが出来上がっていくという過程にはスリルがあるし、主人公が焦れば焦るほど犯人の術中にハマっていくという展開の不快度数もかなりのもの。犯人が仕掛けるワナにはこの手の映画にありがちな論理的破綻がないし、被害者側の心理描写にもリアリティがあります。ヴィンチェンゾ・ナタリが製作に関わった成果か、不条理サスペンスとして実にうまくまとめられているのです。。。 【注意!ここからネタバレします】 唯一問題に感じたのは、オチの付け方です。ここまでの完成度で推移しておきながら、オチが「愉快犯の犯行でした」ではガックリきます。謎解きに主眼を置いた作品ではないため必ずしもオチは重要ではないのですが、それにしても納得感の薄い終わり方でした。[DVD(吹替)] 7点(2013-03-23 03:02:27)(良:1票) 《改行有》

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