みんなのシネマレビュー
ザ・チャンバラさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1
投稿日付順1
変更日付順1

1.  ザ・バンク -堕ちた巨像- 2013年には、日本国内で常識を疑う事件が2つ発生しました。ひとつは、某メガバンクが暴力団に融資を行っていたこと。もうひとつは、某餃子チェーン店の社長が、プロの殺し屋と推測される犯人によって殺害されたこと。この2つの事件からは、表社会と裏社会の距離は我々が思うほど遠くはないということを認識させられ、少なからず戦慄させられました。。。 本作のモデルは、1991年に経営破綻した国際商業信用銀行(BCCI)。独裁者を顧客に抱え、麻薬取引・武器輸出への関与、各国の諜報機関との関わりなど、出るわ出るわの悪行三昧。裏社会の組織ならともかく、世界78カ国に400拠点を構え、表社会で営業活動を行っていた金融機関がこれだけの悪事に手を染めていたということには、大変な驚きがありました。。。 本作は、そうした現実社会のトピックをエンターテイメント化すると同時に、熱い男のドラマとしてもまとめられており、さらには目を疑うほど素晴らしい銃撃戦もあり、非常に見応えのあるサスペンスアクション映画として仕上がっています。多少やりすぎな点もあるにはあるのですが、その辺りは「実話をベースにしております」という免罪符を使ってうまく言い訳しているので、致命傷にはなっていません。全体としては70年代風の骨太アクションであり、甘い要素はゼロ。主人公・サリンジャーは超絶美人の地方検事と行動を共にするも、両者が恋愛関係に発展することはありません。それどころか友達ですらなく、目的を共有し、かつ、仕事ができる相手だから一緒にいるのだという関係性は最高にクールでした。。。 また、敵方のブレーンであるウェクスラー大佐とサリンジャーの関係も激熱です。秘密警察での職務に人生を捧げたウェクスラーは、サリンジャーの将来の姿。職務のために尽くしてもそれが報われることはなかったという虚無感が現在のウェクスラーを支配しているのですが、悪を倒そうとまっすぐに生きるサリンジャーとの出会いによって、彼は再び「自分が信じるもののために戦う」という気概を取り戻します。他方、サリンジャーもまた、ウェクスラーから影響を受けます。まっすぐに戦うだけでは巨大な敵に勝つことができないということをウェクスラーから教えられ、そのことが、ラスト近くでの決断に繋がっていくのです。ドライな語り口の中に、以上の熱いドラマを忍ばせた本作の演出には、完全にノックアウトさせられました。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2014-01-06 00:58:02)《改行有》

2.  ザ・ダイバー 《ネタバレ》 人種差別と戦い、さらには身体障害までを乗り越えた実在の人物の物語という、ハリウッドの大好物がご丁寧に二つも並んだドラマなのですが、あまりに平凡な脚色によって題材の良さも優秀な俳優も無駄になっており、駄作と呼ばれても仕方のない出来に終わっています。この手の感動作のテンプレートにでも当て嵌めて作られたかのようなストーリーには意外性ゼロだし、観客を感動させようと用意されたセリフの多くは上滑りしています。そして何より、偏見というものの捉え方が表面的すぎて、この題材から期待される教訓は何ら得ることができません。。。 人種差別の恐ろしいのは、それが社会の多くの人々の意識に住み着いてしまい、普通の人々までが悪気もなく差別してしまうということ。本作のように、差別意識を持っているのがごく一部の心ない人だけなのであれば、それは大した問題ではありません。また、黒人青年側の心境も、時代の空気を考えれば非常に不自然なものでした。主人公は有色人種であるがゆえの壁に度々ぶつかり、彼はその度に戸惑い、そして憤ります。しかし、善い悪いは別にして、当時はそういう時代だったのです。黒人が上を目指せば叩かれることは分かりきっていたはずなのに、彼はそのことが意外だったという顔をするのです。本作の登場人物は、みなナイーブ過ぎはしないでしょうか。。。 身体障害のパートも同様に不自然でした。身体障害者が危険な職務に就けないことには、善悪では片付けられない複雑な事情があります。本人が「努力でカバーする」と主張しても、やはり他の隊員とは同じ条件ではないのです。厳しい言い方をすると、一人の名誉欲を満たすために、何人の手助けが必要になるのかという話になってきます。また、軍隊という特殊な職場である以上は、リスクの高いメンバーを抱え込むことで部隊全体の安全にも影響が出ないかということも考慮しなければなりません。以上の難しい事情があるにも関わらず、またしても一人の憎まれ役にすべての問題を収斂させて、最終的には「めでたしめでたし」で終わり。現実はこれほど簡単ではありません。。。 その他、核弾頭紛失(チューレ事件)という超トップシークレットが普通にテレビ中継されていたり、公式の軍事委員会で部外者が勝手に発言したりと、おかしな場面がいくつもあります。ラストの歩行テストなんて実際にはなかったようだし、脚色が過ぎているように感じました。[ブルーレイ(字幕)] 4点(2013-06-24 01:03:56)《改行有》

3.  13デイズ 中国との間の尖閣諸島領有問題がこじれにこじれ、反日デモで日本企業がボコボコにぶっ壊されるわ、尖閣に中国の大船団が迫っているわ、中国報道官の日本に対する悪口が日々エスカレートするわと、只事ではない事態に直面している最近の日本。その一方で我らが野田総理の存在感は薄く、彼は一体何をしているのだろうかと考えながらふと思い出したのが本作でした。。。 今回の鑑賞であらためて感じたのですが、この映画の面白さは異常です。本作は戦争に至らなかった事件を舞台にしており、見せ場らしい見せ場は皆無。あーだこーだと議論するおっさん達の姿が上映時間の9割を占めるという何とも暑苦しい内容ながら、これをアクション映画もかくやという娯楽作にまで高めているのです。ロジャー・ドナルドソンによる演出が素晴らしく、膨大な登場人物の入り乱れる複雑な物語を、極めて簡潔に仕上げています。映画全体のテンポの作り方や、イベントに向けての盛り上げ方も見事であり、この監督なくして本作は完成しなかったであろうと思います。。。 ただし、傑作にはなりきれていないという印象です。かつて『ダンス・ウィズ・ウルブス』を製作し、『JFK』にも主演したリベラル一直線のケビン・コスナーの影響か、本作は問題の捉え方があまりに一面的すぎるのです。何が何でも武力行使に持ち込もうとする軍人達が悪として断罪されており、危機を作った張本人であるソ連以上に否定的に描かれています。この手の映画は「あなたならどうしますか?」という問いを観客に投げかけてこそ価値があると思うのですが、製作側が善悪を断定してしまっているのでは楽しみが半減してしまいます。[DVD(吹替)] 7点(2012-09-25 00:51:42)《改行有》

4.  ザ・クリーナー 消された殺人 《ネタバレ》 クリーナーという職業にスポットを当てた発想は面白いし、脚本は丁寧に練られています。しかし、エド・ハリスが出演した時点で犯人がモロバレになっていることと(他の出演者とグレードが違いすぎ)、監督のレニー・ハーリンにやる気がまったくなかったことが、本作の出来を不幸なものとしています。オチに至るまでの物語にまったく面白みがなく、視覚的な見せ場やストーリー上の山場を作る努力をしていないため、たった90分の作品であるにも関わらず恐ろしく退屈な仕上がりとなっています。ハーリンは脚本に書いてあることをただ撮っているだけという状態で、映画を魅力的にすることには関心がなかったかのようです。この人はミステリーをチマチマ撮る人ではなく、1億ドルバジェットの爆破アクションを撮るべき監督なのです。同様の傾向を持ったマイケル・ベイの登場によって本来の活躍の場を失ったハーリンですが、頭の悪いアクション大作を今一度撮って欲しいものです。[DVD(吹替)] 3点(2012-01-11 23:38:32)

5.  13/ザメッティ ロシアン・ルーレットは一瞬でカタのつくゲームであるため映画には不向きな題材なのですが、本作はそんな困難な題材を扱いながら90分の緊迫感あるサスペンスにまとめた点で評価できます。「弾を込めろ」「弾倉を回せ」「中央の電球が点いたら撃て」という胴元の指示に従い、淡々と進められるロシアン・ルーレットの描写は実によくできていて緊張感を煽ります。殺人ゲームを扱う作品においては人を殺す過程がシステマチックであればあるほど鬼畜感が漂うわけですが、本作はそうした描写を見事にモノにしています。モノクロ映像もアンダーグラウンドの世界にピタリとハマっていて、なかなか巧く作られていると思いました。。。ただし、本作が誉められる点ってそれくらいなんですよね。外箱は上手く作られているものの、人物描写の妙や脚本上の捻りはないため中身はスカスカです。アンダーグラウンドの人達の怖さは大したものではないし、突如命を張ることとなった主人公の心理描写も意外と適当です。監督自身が脚本も手掛ける低予算映画であるためアイデア一発勝負にならざるをえなかったことは理解できるのですが、それでももうちょっと何かがあれば見違えるほど面白くなっただけに残念さが残ります。[DVD(吹替)] 6点(2011-05-29 19:27:56)

6.  ザ・スナイパー(2006) 午後のロードショーで放送していたのを録画して見たのですが、期待値の低い午後ローで見ても退屈するほどの完成度の低さ。モーガン・フリーマンにジョン・キューザック、おまけに撮影監督にはダンテ・スピノッティまで動員する豪華ぶりに「バイオレンスの隠れた佳作かも」と期待した私がバカでした(「ドライビングMissデイジー」の監督の作品なので、モーガン・フリーマンは企画の良さよりも人間関係で本作に出演した様子ですが)。反抗期の息子に良いところを見せたいおやじの奮闘、その親子を好きになってしまう悪党の親分、その親分を取り戻しにやってくる怖い子分達という要素はまんま「3時10分、決断のとき」なのですが、作品の出来は「3時10分~」とは比べようもありません。すべての要素の煮詰め方が甘いのです。事件が発生する前の時点で親子はすでに仲直りしちゃってるので家族の再生のドラマになっていないし、悪党の親分は最初から最後まで素直に言うことを聞いてくれるので親子の姿に感動して態度を変えたというドラマも発生していません。子分達は異常なまでに弱く、ヘリコプターに乗りスコープ付きのサブマシンガンで武装しているにも関わらず、ちっちゃい拳銃一丁持ってるだけのド素人に簡単に反撃されてしまうという体たらく。主人公一行が途中で合流するカップルやFBIに振り回される田舎保安官など明らかに必要のないキャラクターも何人か紛れ込んでいて、とにかく脚本が緩すぎます。おまけにアクションも緊張感がなく、誉めるべき点がほとんど見つかりません。さらに追い打ちをかけるのが作品内容とはほぼ無関係の邦題。この映画はどうなってるんでしょうか。[地上波(吹替)] 2点(2011-01-12 00:08:35)

7.  サラマンダー 《ネタバレ》 マッドマックス2みたいな世界で凶悪ドラゴンと軍隊が戦うという男子の大好物が詰まった奇跡的なコンセプト、「reign of fire(炎の統治)」という尋常じゃなくかっこいい原題、主演はクリスチャン・ベール、製作開始がアナウンスされてから、これほど見たいと思った映画は他にありません。しかも、全米公開から日本公開までに相当な期間があり、その間に期待はさらに膨らみました。そうしていよいよ劇場に足を運んだところ、これが驚異的につまらなくてずっこけそうになりました。大好きなジャンルなので好意的な目で鑑賞していたのですが、それでもこのつまらなさには勝てませんでした。。。本作の最大の敗因は、力の序列がデタラメだったことにあります。マシュー・マコノヒー率いるケンタッキー義勇軍は出会うドラゴンを片っ端から退治しながらイギリスに上陸してきたという設定なのですが、その割に一頭の雄ドラゴンによって呆気なく壊滅させられるし、その雄ドラゴンはほとんど素手の3人組によって意外と簡単に倒されるし、そもそもドラゴン達は地球を滅亡寸前にまで追い込むほど強力には見えないしと、設定と描写がまったく噛み合っていません。これについては脚本上の不備というよりも、監督にセンスがなかったことが原因だったと思います。雄ドラゴンの描写を例に挙げると、雄ドラゴンは通常のドラゴンの数倍もの巨体という設定であり、その巨大さ・強力さを示す描写は初登場時に示すのが常套手段です。「なんだ、あのバカでかいのは!」という煽りのセリフと共に登場し、圧倒的な火力でケンタッキー義勇軍を壊滅させるという演出がなされるべきなのですが、本作では初登場時に「こいつは特別強い」ということを示す演出が入らないために、ラスボスとしての存在感をアピールしきれていません。そのため、壊滅するケンタッキー義勇軍が弱く見えるという事態に陥っているのですが、本来は「あれほど強いケンタッキー義勇軍がなす術もなく全滅するとは」という描写でなければならなかったのです。。。VFXはよく頑張っているし、エイドリアン・ビドルによるカメラワークは相変わらず素晴らしく、破滅を象徴するようなドラゴンのデザインも秀逸、役者も悪くないので、監督の無能を原因とするこの出来は本当にもったいないと思います。[映画館(字幕)] 4点(2010-09-22 23:44:05)

8.  3時10分、決断のとき 《ネタバレ》 多額の借金を抱えた上に長引く干ばつによってその返済の目途も立たない、さらには鉄道会社に大事な土地を奪われそうな状態にあり、身体的には戦争で足を不自由にし、長男からは腰抜け、嫁からは負け犬と思われていて、おまけに次男は重病持ち、、、主人公ダンの境遇はいくらなんでも酷過ぎるでしょう(笑)。そんな切羽詰まったお父さんが、家族を幸せにするため多額の報酬を得られる囚人護送に参加する物語なのですが、家族のためならお父さんはいくらでも泥にまみれるし、身の危険だって厭わない、無口なダンの背中から漂うそんな思いにはグっときました。お父さんというのは奥さんや子供が思っている以上に家族の幸せを願い、もし家族が幸せでなければ自分を責め、そして家族の幸せのためならいつでもわが身を危険に晒すことができる健気な生き物なのです。そんなお父さんの律儀な思いがこの映画では十分に表現されていて、それだけで涙が出そうになるくらいに感動します。毎年父の日には、日曜洋画劇場でこの映画を放送して欲しいと思ったほどです。また、凶悪犯ウェイドを目の当たりにして危険な仕事であることを認識したダンの奥さんが、旦那に対して「護送団からは降りるべきよ」と言う場面も妙にリアルでした。毎日仕事でボロボロになって帰ってくる旦那に向かって「そんな辛い仕事なら辞めちゃえば」と言うアレです。家族を養うというのは、身近にいる奥さんですら想像できないくらいに大変なことなんですね。。。カッコ悪くても家族のために必死で仕事をするお父さんと、派手に生き、金と自由を謳歌するアウトローとの対比が前半で描かれるのですが、後半になると映画は男と男の物語にシフトします。牧場には念願の雨が降り、さらには護送を完了しなくても200ドルやるという提案までなされ、ダンがこの仕事に命をかける理由がなくなります。家庭人であれば、このまま金を受け取って帰ってしまえばいいのです。しかし、ダンは男として息子に情けない姿を見せたくない、そして自分自身のプライドを取り戻したい、自分は負け犬ではないことを証明したいという思いから、この大仕事を最後までやり遂げようとします。その思いに乗ったウェイドとともに大勢の敵が待ち構える駅へ走り出す様は男泣き必死の名場面で、盛り上がるドラマ、高鳴る音楽、腹に響く銃声、良い映画を見たな~という気分を存分に味わうことができます。[ブルーレイ(吹替)] 9点(2010-09-18 20:40:29)(良:1票)

9.  ザ・ビーチ(2000) 《ネタバレ》 まったく面白くなかったのですが、かと言って駄作と切って捨てるほどの致命的な欠点も見つからず、相性の問題だったのかなぁという印象です。日常を捨ててどこか遠くへ行きたいという願望は私にはないためストーリーの根幹部分に共感できなかったのですが、そのような願望を持つ人ならばこの映画の感想も大きく変わるのかもしれません。。。主役であるビーチがそれほど魅力的ではなかったために、本作は楽園願望のない私のような人間を取り込むことができなかったようです。映画会社も作品の成功はビーチの出来にかかっていることは認識していたようで、巨費を投じてリゾート島を改造し、撮影監督にはダリウス・コンジを起用して盤石の態勢でのぞんでいます。その甲斐あって白い砂浜に透き通った海は確かに美しかったのですが、その海は周囲をグルっと岩で囲まれて広さがないため、南の島ならではの開放感がありません。ビーチでの生活は、共同体を維持するための簡単な作業を1日数時間程度こなし、残りの時間は仲間とスポーツをしたりゲームをしたりして過ごすのですが、1週間もすればこんな生活には飽きるでしょう。ビーチでの生活を魅力的に見せるためには、隔絶された楽園ならではの楽しみ、文明社会ではモラル的に許されない娯楽を謳歌するという毒々しい面が必要だったのですが、メインの娯楽がスポーツでは健全すぎました。ビーチの住民達は毎日毎日楽しそうにビーチバレーをやっているのですが、現実の若者がそんな生活で満足できるでしょうか?監督の中の若者像はあまりに幼いような気がします。。。ディカプリオ演じるリチャードは、後半になると命を危険に晒すという遊びに没頭しはじめます。そんな危険の味を覚えると、ビーチで遊んでいた日々には魅力を覚えなくなる。そうなると自分は強い人間に成長したような感覚を覚えるのですが、ラストは呆気ないものでした。島に住む大人達が「もう遊びは終わりにしろ!」と怒鳴り込んできて、生活を背負った大人の迫力には勝てずにすごすごと退散してしまうのです。遊んで暮らせる楽園なんてものはないし、ムリヤリ作ったとしてもそんなものの存在は許されるわけがない。どこかに理想郷があると思って旅をしている若者はさっさと日常に帰れと言っているような面白い結論だったのですが、残念なことに脚本や演出が必要以上にゴテゴテしていて言いたいことがあまり伝わってきませんでした。[DVD(字幕)] 3点(2010-09-08 18:45:43)(良:1票)

10.  サブウェイ123 激突 トニー・スコット+ブライアン・ヘルゲランド+デンゼル・ワシントンといえば燃えるバイオレンス大作「マイ・ボディガード」のトリオですが、今回は一転してアクション控え目で会話によるやりとりが中心となっています。にも関わらず宣伝において「クライム・アクション超大作!」と煽られたため、ガッカリされた方も多いようです。しかし、犯人との息詰るやりとりは悪くありません。さすがはヘルゲランドだけあってセリフにはキレがあるし、ビジュアルの巨匠スコットは単調になりがちなこの手の作品に視覚的なアクセントを入れています。ワシントン、ガンダルフィーニ、タトゥーロは相変わらずお上手。オリジナルはコミカルな要素を多分に含んだ作品でしたが、今回は芸達者なガンダルフィーニがコメディパートを引き受け、その役割を見事に果たしています。そして意外にも良かったのがトラボルタで、前述の3人のように器用なタイプの俳優ではないものの、この人は善人役にも悪人役にもハマるスターであり、かつ彼の演じる役柄には適度な大物感が漂います。彼が演じるライダーの素性や犯行の動機は謎となっており、ワシントン演じるガーバーと私たち観客はライダーの言葉や行動から彼が何者であるかを推測することとなるのですが、ここでトラボルタの個性が活きてきます。社会に対する正当な憤りから大それた犯罪を計画した「ザ・ロック」のハメル准将タイプの同情すべき悪役なのか、純粋に金のためにハイジャックを起こした知能犯にして、計画遂行のために錯乱状態を装っているだけの「ダイハード」のハンスタイプの冷徹な悪役なのか、社会を逆恨みして暴れているだけの単純バカなのかの判断がつかず、彼が次に何をしでかすかが読めないのです。このキナ臭さが作品前半の面白さに大きく貢献しているのですが、この味はトラボルタでなければ出せませんでした。善人と悪人を演じ分けられる俳優は多くいるものの、基本的に役柄を演じ分けていないトラボルタの個性がなければ、ライダーをここまでミステリアスには出来なかったのです。。。というわけで本作の脚本は謎の悪人ライダーによってNY市と観客が振り回されることが核となっているため、彼の素性が明かされる後半以降は話が急激につまらなくなってしまいます。彼についての謎解きをもっと引っ張り、素性が明らかになったところで映画を終わらせた方がよかったのではないでしょうか。[ブルーレイ(吹替)] 6点(2010-08-25 00:56:21)(良:1票)

11.  ザ・プロフェッショナル 《ネタバレ》 ズタズタにカットされまくった地上波テレビという悪条件での観賞でしたが、それでも十分に楽しめました。と言うより、この映画はたまたまテレビで見るぐらいがちょうどいいんですかね。最後のもうひと盛り上がりがないため、まともな媒体で見ていればちょっと物足りなく感じたかもしれません。終盤の銃撃戦のグダグダ加減などはかなりのものでした。。。とはいえ、「オーシャンズ11」「スコア」「ミニミニ大作戦」と強盗映画が連続していた時期にあって、本作の脚本の出来はそれら作品の中で最高のものでした。さすがはデヴィッド・マメットだけあって構成は緻密であり、かなり大胆なドンデン返しが連続するものの論理的に破綻していません。物語の視点を終始ジーン・ハックマンに絞り、他のことを描かなかった取捨選択も的確で、かなり複雑な犯罪計画をほとんど混乱なく観客に伝えることに成功しています。シャープなセリフ回しも魅力的で、年季の入ったおじいちゃん強盗団には「修羅場を生き抜いてきたプロフェッショナル達」という凄みが溢れています。↓ウメキチさんも書かれていますが、観客に解釈を委ねたラストも面白かったです。ジーン・ハックマンは、若くて美人で自分には不釣り合いな女房が裏切るであろうことを計算に入れていたのか、それとも、女房は若いチンピラを巻くために芝居を打っていたのか、鑑賞後にもあれこれ考える楽しみがありました。こうした遊びを入れてくる辺りも、小慣れた脚本家ならではの巧さなのです。残念なのはマメット自身が監督も担当したことで、この脚本をプロの監督に任せていれば、相当な映画になったはずです。[地上波(字幕)] 7点(2010-06-26 12:51:06)

12.  ザ・セル 《ネタバレ》 映像美は圧巻でした。グロいんだけど独特の美しさがあり、斬新なアイデアに満ちた精神世界はもちろんのこと、SWATが出動し、ヘリが飛び回る現実世界の描写もリドリー・スコット作品のようで非常にかっこよかったです。ジェニファー・ロペスもかつてないほど美しく撮られており、この監督のビジュアルセンスはスコットやフィンチャーをも超えているように思います。ただし脚本のツメが甘く、作品全体としてはもうひとつ及ばぬ出来なのが残念。本作は「羊たちの沈黙」と「マトリックス」を比較対照とすると弱点がよくわかるのですが、事件に対する登場人物たちの思いや姿勢があまり描かれていないこと、また「煽り」が不足していたことが問題だったと思います。他人の精神世界にダイブするという非現実的な仕事を観客に受け入れさせるには、それに従事する人々がどのような覚悟や姿勢を持ってこれにのぞんでいるかを掘り下げる必要がありますが、まずこれをやっていません。また、生死の危険を冒してまで被害者を救おうとするキャサリンの、事件に対する思いや覚悟も描き方が甘かったように思います。同時に、彼女が行おうとする「リバース」と呼ばれる処置がいかに危険であるかの煽りが不足していたため(「それは危険だ」と同僚の研究者が警告するのみ)、これを断行する際の緊張感や、「いよいよ最後の禁じ手を使うか」という高揚感が出ていませんでした。また精神世界へのダイブにおいて、彼女の個性のどんな面が強みとなっているのかが明確に説明されていないため、スターガーの悪の面と対決する際の彼女の武器が観客に伝わっておらず、戦いにメリハリがありませんでした。さらに、タイトルにもなっている「セル」によるタイムリミットも作品の面白さにはほとんど貢献しておらず、せっかくの設定を一刻を争うような緊張感につなげていなかったのは残念でした。[DVD(吹替)] 6点(2009-07-26 18:25:42)

13.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 死にゆく太陽を復活させるというあらすじ、おまけに主要キャストに日本人俳優と聞けば映画の出来がクライシスだった「クライシス2050」を思い出しますが、こちらはハードSFとして相当レベルの高い仕上がりです。破壊的な太陽光と常に隣り合わせで宇宙をポツンと航行しているという、想像するだけで背筋が凍るようなシチュエーションを見事に映像で表現しており、特に前半などは「2001年宇宙の旅」や「エイリアン」などと比較してもまったく遜色ないほどの仕上がり。人間関係がひたすら淡々としていることも、かえって不気味さを煽ります。「地球を救うために絶望的なミッションを引き受けたクルーはどうなっていくのか?」ということを突き詰めて考えた結果がこれなのでしょうが、いちいち心情の説明をしてもらわないと話を理解できないような客層をはっきりと切り捨て、終始ドライに徹することで作品の味を保っていると言えます。また科学考証についても同様で、かなり厳密な科学考証に基づいて書かれた隙のない脚本ですが、説明的な描写が入らないので知的好奇心の高い人でないとついてくることは難しいのではと思います。このように明らかに客を選ぶ映画であり、娯楽という呪縛から解き放たれたおかげでハードSFとしては成功しているのです。そして、クールな前半から一転して後半は演出・脚本・編集のすべてが大暴走をはじめ、観念的な世界に突入します。監督&脚本家の前作「28日後…」同様ここで一気に作品が崩壊をはじめるのですが、本作ではより確信犯的に作り手たちが作品を破綻させています。要は「イベント・ホライゾン」とまったく同じ末路なのですが、「5人いる…」から一気にテンションを上げてこの見せ方というのが実にうまい。娯楽的なわかりやすさを徹底的に排除することで、作品が陳腐になることを回避できているのです。一応はミッションの成功という形で締めくくられますが、イカロス2号であれほどの事があったとは知らず太陽の恵みを受ける地球の人々を描くことで、見終わった後もいろいろ考えさせる映画になっているのも見事。SF好きは要チェックの映画だと思います。[映画館(字幕)] 8点(2007-04-20 16:01:53)(良:7票)

14.  サハラに舞う羽根 《ネタバレ》 これはなかなか面白くない映画でしたね。それぞれの登場人物の行動原理が理解不能だったり支離滅裂だったりするので、話にのってあげようにも何を考えながら見ればいいのかサッパリわかりません。友情とは?勇気とは?なんてことを描こうとしたマジメな感動作のはずなのに、各人物の心理や行動が理解しがたいというのは致命的ではないでしょうか。まず、世間に白い目で見られながらも軍隊を除隊したにも関わらず、後に単身でスーダンへ渡った主人公ハリーの心変わりがよくわからないし、当初何の目的があってスーダンへ行ったのかすら不明瞭でした。何の策もなく収容所へ潜り込むに至っては単なる熱血バカにしか見えないし。こんな主人公には感情移入できませんよ。それに輪をかけてわからないのが、ハリーのボディガードとなる原住民の傭兵。ハリーのために何度も命を張ってるわりにそれだけの行為の動機が不明瞭だし、さらには侵略者であるイギリス軍のために奔走までするし。彼は奴隷部族出身で、現地においても差別を受ける身であるという描写があり、それがイギリス側に与する理由になっているとも考えられますが、それにしてもあそこまでの献身ぶりは腑に落ちませんでしたね。あと細かいですが、ハリーを脱走させる時に使った毒薬ありましたよね。一時的に仮死状態になってその後蘇生するアレ。あれはどういう原理の薬なのかが納得できず、なんとも都合のいいアイテムもあるもんだと呆れてしまいました。そして最強なのがヒロインの行動のムチャクチャぶりですね。将軍の息子にして士官学校でも有望株だったハリーとはラブラブだったものの、彼が除隊し一転して不名誉を背負った途端に臆病者と罵り、以後は戦地で英雄となったジャックにラブレターを書くんですね。ハリーを自暴自棄に追い込んだ反省もそこそこに、よりによってそのハリーの親友のジャックに色目使いますかね。さらにさらに、そのジャックが盲目となって帰還するや「ハリーに会いたい」と言い出す始末。ラストではこんな女とハリーが結ばれるわけでして、この締めにどうやって感動すればいいんだって感じです。原作(しかも名作)のある作品だけにご都合主義のストーリーでもいじりづらいという制約があったのはわかりますが、もうちょっと考えて作って欲しい映画でしたね。[DVD(吹替)] 2点(2006-06-24 20:48:18)

15.  ザ・コア はっきり言って、いいとこなしの映画ですね。展開は「アルマゲドン」の完コピ、しかも質は落ちてるし。キャラも平凡。設定はマイルール多すぎ。でもでも、私は嫌いになれないんです。「ボルケーノ」を見たときの感覚に近いですね。作りがなんだか不器用で、でもサービスしようと必死な姿が目に浮かぶんです。キャストの地味さのおかげで、「金に物言わせた大作」ってよりも「がんばって作りました」みたいな感じだし。なんだかダサいメカデザイン、微妙にチャチなVFXは東宝特撮映画を彷彿とさせます。こんなバカ映画、私が好きにならなきゃ誰に愛されるってぇーのって感じですよ。なので大甘の7点です。7点(2004-09-28 17:28:14)

16.  サイン 《ネタバレ》 友人と映画館に行ったんですけど、大満足の私に対して、友人は「つまらん」と大激怒。ここのレビューを読んでも否定的な意見が目立つんですけど、一方、否定意見は「つまらん」という直感的な見解ばかりで作品の欠点を明確に指摘するわけでもありません。結局、作品の本質的な完成度がどうのとか、理屈がどうのではなく、どう感じるかが問題の映画みたいですね。監督の呼吸に見る側のバイオリズムが合うかどうかが問題みたいな。そういった意味では、私を含めこの映画を楽しめた人というのは、相当に得をしてるわけですよ。笑えたし、驚いたし、本当に最高の経験ができましたから。私はもう画面にクギ付けでした。シャマラン映画の特徴ってのは、どんなに異常な事態にも日常の視点を放さないことです。家族のリアクションには人間的な温かさや面白さがあり、それが見る側の想像力のかせともなってるんです。リアクションがあまりに日常的すぎるからこそ、見る側が飛躍的な先読みをしないんですね。そしてそれがサプライズにつながっていると。アンブレイカブルでは「主人公は大事故でも無傷でした、なぜでしょう?~それは超人だから」、サインでは「ミステリーサークルができました、なぜでしょう?~宇宙人がやってくるから」。そのまんまなんです。しかし、演出が観客の想像力を完全にコントロールしているおかげで、そこには謎が生き続けるわけです。こんな芸当ができるのはヒッチコック以来ではないでしょうか。幸い、私はシャマランとの相性がいいので、これからもシャマラン作品では楽しめそうです。シャマランは、家族の描き方や、子役の扱いが抜群にうまいのもいいですね。ちなみにこの映画は10点でもよかったんですけど、やはり宇宙人がアレなので1点だけ引きます。扉1枚破れなかったり、バット1本でボコボコにされたり、果ては水が苦手なのに地球へやってきて、結局一晩で退散するなど、映画史上最大のうっかりさんでした。まぁ、この映画でプレデターみたいなのが出てこられても困るし、あれはあれでよかったような気もしないでもないですけど。9点(2004-08-03 00:03:09)

17.  ザ・ワン リー・リンチェイ(善玉)VSジェット・リー(悪玉)と解釈しました。それにしてもヒデェ映画。内容的には単なるリーVSリーなのに、たいそうなSF設定のせいでスッキリしていない。これだったらヴァン=ダムの「レプリカント」のがよかったね。そしてこの映画の大問題は、製作側にSF魂もクンフー魂もないこと。SF設定もジェット・リーもまったく活かせてないじゃん。新妻が見よう見まねで作ったハンバーグのような映画でした。リーのポテンシャルもはっきりしていない。白バイを振り回し、アスファルトを砕くわんぱくぶりだった前半に対して、ラストはこじんまりとクンフー対決。ネオやスミスみたいに破壊しまくらないと。1点(2004-06-14 19:53:13)

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS