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21.  地獄のバスターズ 中盤の城砦戦では城壁の垂直空間を駆使したアクション、そしてクライマックスは鉄橋の高低と列車の水平運動と、火薬量だけでなく空間的広がりも充実した活劇である。 ペキンパー・オマージュのスローモーションもジョン・ウーのような見境無しではなく、節度とメリハリがあっていい。 マイケル・ペルゴラーニの駆るオートバイが立てる水飛沫。爆発による火炎と土埃と、爆風で投げ出されるゲリラなど。しかるべき使いどころが心得られており、効果的にディティールと情感を伝達している。 列車アクションでは、フレッド・ウィリアムソンによる高架から列車天井への飛び降りや、ピーター・フートンによる列車から監視塔への乗り移りなど、俳優の実演をワンカットで捉える気概が頼もしい。 そうしたアクションの素晴らしさもさることながらそれ以上に、キャラクターの多国籍性と言語コミュニケーションの不全がもたらす悲喜劇の妙味を活かした脚本が魅力だ。 タランティーノが惚れたのもそこだろう。 実際、『イングロリアス・バスターズ』で主として活かされるのはこの言語の不自由性という設定のみといっても良い。 ドイツ女性軍人の水浴びシーンや、ボー・スヴェンソンらがドイツ軍用列車に公然と乗り込むシーン等での「言語」をめぐる緊張とユーモアの同居が絶妙だ。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-11-14 20:57:47)《改行有》

22.  少年、機関車に乗る レトロ感覚満点の機関車のメカニックは、セピアカラーの情緒と相俟って温かみすら感じさせるユニークなキャラクターであり、さまざまなアングルから捉えられた機関車の走行はそれだけで十分映画だ。 線路両岸の地形の変化も楽しく、小停止中に運転手が立橋上の家族と着替えや弁当などのやり取りをする生活感のある情景などもいい。 また、道中で一緒になった娘たちと主人公兄弟のやり取りも笑いを誘う。本職の役者か、素人か、みな演技を感じさせない良い表情をしている。 下車した娘が、迎えに来たバイクに乗って小さく走り行く見事なロングショットは観る者の想像力を様々にかき立てずにおかない。 そうかと思えば、並行して走るトラクターとの競争シーンのスリルには、『イントレランス』の記憶も入り混じってちょっとした興奮もある。 ラスト、車上を中心に固定だったカメラが水面上を滑るように列車と並走し始める驚き。 その雄大な移動が大陸を感じさせて素晴らしい。 [ビデオ(字幕)] 8点(2011-06-11 22:16:58)《改行有》

23.  少女たちの羅針盤 忽那汐里の提案によって四人が公園のブランコに乗る短いシーンは当然ながら原作小説にはない、ロケーションを活かした映画オリジナルのささやかな設定である。 それは四人の一列横並びと、ブランコの振り子運動、そして吊り手を握りしめる拳を映画表現する為のものと思ってよい。 謎解きの理屈は原作の領域に過ぎない。言語の行間を如何に実景化し、如何に画面にのせるかが映画の要であり、この作品はそこが充実している。 岸壁で夕陽に見惚れるシーンの横並び、公園の噴水でのじゃれ合い、衝動的な疾走と絶叫、健気な「手」のアクションなど、小説の記述では成し得ない映画ならではのエモーションにことごとく打たれる。 喜怒哀楽の内心を紋切型の表情演技で表出させない、微妙に屈折やコンプレックスが入り混じる女優たちの思春期の相貌もとてもいい。 四人はあるときはバラバラな方角を向き、あるときは求心的に向き合って手を重ね合い、そして横一列に並んで一方向を見つめる。 座り方、立ち方で各キャラクターの個性差を提示しながら四人を一画面内に収める配置はバラエティ豊かで、かつ的確だ。 舞台上で手を繋ぎ合ってスポットライトを浴びる四人のシルエットの画も美しい。 [映画館(邦画)] 8点(2011-06-11 19:07:59)《改行有》

24.  ジャガーノート アバンタイトルは、染みのついた白地のぼやけ気味のストップモーション。その焦点が合うと、客船の船体を背景とした「赤」と「青」の紙テープである事が判るという趣向。中盤で犯人が電話をかける電話ボックスの赤と、背後の船舶会社の青による画面分割もまたクライマックスに向けたさりげない映画的伏線といえる。 タイタニックから時を経て、階級差別から人種差別へ、変わらぬ格差社会を料理廃棄の反復とアジア系給仕の悲劇を以ってシニカルに描出する批評性もまたさりげない。 有閑夫人らや、船員同士の何気ない対話もウィットに富んで面白い。 乗客のパニック防止の為に行われる虚ろなパーティを、説話的な必然性のみならず、まずもって処理班の緊張の場との対比として活かした映画的作法も良い。 D・へミングスの爆死が、会場に集った乗客を揺さぶることとなる。 そしてリチャード・ハリスの面構えも独白中継も良いが、曇天と波しぶきの中をローリングする豪華客船現物の重量感と生々しい迫力が断然素晴らしい。 ボートからの仰角視点と空撮を織り交ぜた臨場感あるロケ撮影があってこそ、爆弾処理のサスペンスが各段に引き立っている。 [DVD(字幕)] 8点(2011-05-07 19:34:20)《改行有》

25.  死の接吻(1947) カーテンのライン、柱といった垂直のラインを多用して人物を狭所に配置し、夜の闇と人物の影によって黒の領域を大きくとった画面設計。そこに周囲の雑音を無音レベルまで消した録音効果が組み合わさり、息詰まるような焦燥感と切迫感が生まれている。その効果は序盤の高層ビルエレベーター内の場面、リチャード・ウィドマークがカーテンの隙間から目を光らせるレストランの場面、そのレストランの外で主人公ヴィクター・マチュアを待ち受ける黒塗り車の場面において絶大である。その異常な静けさが緊張を最高度に高めている。後半、ヴィクター・マチュアが裏切り者として狙われる側となってからの展開は特にサスペンス感に溢れ画面から目が離せない。これがデビュー作となるリチャード・ウィドマークの悪役像も強烈な印象度だ。[DVD(字幕)] 8点(2009-03-20 21:00:22)

26.  人生模様(1952) O・ヘンリーの有名短編を原作とするオムニバス5話。各々20分弱の短編だが監督はFOXを代表する錚々たる顔ぶれである。 第一話「警官と賛美歌」:チャールズ・ロートンの傘ナイスキャッチと空振りキックは抱腹絶倒。その驚愕の反射神経ととぼけた表情のアンバランスが絶妙だ。 第二話『クラリオン・コール』:鏡像を使った演出。そしてギャング役リチャード・ウィドマークの憎々しい悪役像の魅力。 第三話『最後の一葉』:雪と強風の実感描写、ドアの開閉を契機とした場面転換が見事。美術商と画家の無言のやりとりのさりげさが良い。 第四話:『赤酋長の身代金』:子供に翻弄される誘拐犯の表情のリアクションが可笑しい。人間と熊が共演するショットのハラハラする面白さはハワード・ホークスの真骨頂。 第五話『賢者の贈り物』:主演(ファーリー・グレンジャー&ジーン・クレイン)の若夫婦が抱き合うツー・ショットの至福感。原作が豊かに膨らまされ、貴金属店の主人の粋な計らいと帰り道での募金というオリジナルエピソードが、ささやかながら情話を巧く盛り上げている。 [DVD(字幕)] 8点(2009-01-03 22:30:00)《改行有》

27.  シムソンズ 《ネタバレ》 勉強のみならず、カーリングでも0点しか取れないと森下愛子にからかわれる加藤ローサが憮然として おかずをつまむと、それは0の形をした地元・北見産のオニオンフライだったというような視覚的なギャグの用法の数々。 真っ直ぐな一本道などのロケーションと競技リンクのライン、そしてそれらをヒロインらの素直なキャラクターとシンクロ させる清新な画面作り。 初歩のぎこちないプレーぶりから、錬度をあげていく様を丁寧にショットで積み重ねていく描写の誠実ぶり。 誉めるべき箇所が多々あるだけに、やはりラストの未練がましい引き伸ばしが勿体ない。[映画館(邦画)] 7点(2018-02-28 22:29:08)《改行有》

28.  出発 《ネタバレ》 カーアクションも勿論だが、モッズコートを羽織って跳ね回るジャン=ピエール・レオーの軽快な動きでもって映画が疾走する。 路面電車の軌道すれすれのポジションで危険なスタントなども披露し、随所で驚かせてくれる。 レオー自身は運転してはいないという事だが、凝ったアングルとポジションによって彼の運転シーンも迫真でまるで違和感がない。 モーターショーのシーンなど、ゲリラ撮影と思しきショットも多々あるが、 堂々と落ち着きのあるカメラのおかげで場面がそこだけ浮き上がるなどということはない。 ほどよい即興の感覚によって街が活写されている。[DVD(字幕)] 7点(2017-06-09 23:42:36)《改行有》

29.  人生劇場(1972) 《ネタバレ》 『加藤泰、映画を語る』によると、当時は田宮二郎の吉良常の評判が悪かったらしいが、監督も誉めているように田宮二郎は大健闘だと思う。 時に愛嬌を、時に哀愁を、そして凄みを滲ませる芝居は絶品だろう。彼が病臥して以降のドラマが少し長く感じられるきらいもあるが、 シネスコ画面をフルに使った低位置カメラよって特権的なまでに長々と横臥する終盤の彼の芝居は独壇場である。 屋敷の縁側と、その遠景にミニチュアの機関車を走らせて見事な奥行きを表現したセット撮影の技。 随所に挟まれる特徴的な橋と水路、あるいは路地の情景の味わい。 その川縁を手を取り合い走って駆け落ちしてゆく賠償美津子と香山美子のショットが素晴らしい。[DVD(邦画)] 7点(2016-12-12 23:54:19)《改行有》

30.  少女(2016) 《ネタバレ》 本田翼の左手甲の傷は、まず終盤のさる事件とも絡む物語的要請としてあるが、加えてその不自由によって彼女が右手を以て 一心に鉛筆を走らせるという映画アクション的要請から来るものでもある。 これがノートパソコンのキー打ちではサマにもならない。授業そっちのけで文字を綴り続ける手と鉛筆の動き、紙面上に生まれていく肉筆の文字、 その硬質な音響、そしてその彼女を横から見つめる山本美月の視線。それらの要素が映画を形成していく。 手書きの文字だからこそ、ドラマとしても映画としても献辞の言葉が重要な意味を持つこととなるだろう。 前々作に続いてのコンビ、月永雄太の撮影が曇天や夜景を見事にドラマに反映させている。 夕陽の映える海岸沿いの歩道を二人の少女が駆け抜けていくスローモーションショットの反復。 計四人の少女たちの表情と走りが素晴らしい。 「夜の終わり」がモチーフであるからには、二人を明るく照らし出す朝陽が欲しいところではあるが。 終盤はありがちなパズル合わせと化してしまう。そこから逆算したのだろうキャラクター造形が随所に見られるのが難点か。 『しあわせのパン』、『ぶどうのなみだ』で悪い先入観を持ってしまっていたが、これは悪くない。[映画館(邦画)] 7点(2016-10-09 17:52:33)《改行有》

31.  ショタール商会 《ネタバレ》 巻頭から伸びやかに動き回りショタール商会の舞台と人物を一気に見せていく長回しのカメラがまず圧巻である。 そこではメインキャストのショタール(フェルナン・シャルパン)が精力的に動き回って店を仕切っている。 小太りだが、彼のまくしたてる早口とダイナミックかつシャープな身振り手振りが最後まで画面を活気づけて面白い。 商売には向かない詩人の婿を追い出したものの、彼が賞を取った途端に手の平を返す身勝手なキャラクターだが、身振りの滑稽さが憎めない。 はしゃぐ彼にキスされる少女の迷惑そうなリアクションなど傑作である。 窓を介して部屋と屋外を同時に提示するルノワール的ショットも満載。 舞踏会の喧騒、音楽、戦場の銃撃音など、盛大にトーキーを鳴らしたいという稚気が画面から溢れている。[DVD(字幕)] 7点(2016-09-23 22:54:11)《改行有》

32.  ジェネラル・ルージュの凱旋 《ネタバレ》 クライマックス前の倫理委員会のシーンなどは、ともすればテレビドラマ的なダイアログ従属型の場面になりがちだが、 人物の出入りと共にさまざまな音響(手ばたき、携帯のコール音、スクリーンの開くモーター音)をフレーム外から先行させていくショットつなぎで シーンの緊張を持続させ、その後の動的なスペクタクルへのタメとしても機能することとなる。 病院玄関口で待機する山本太郎らのショットに、救急車のサイレン音を次第に高めていく形で響かせる。 エピローグでの堺雅人と羽田美智子のツーショトに、救急ヘリの音を響かせて次の屋上ヘリポートシーンにスムーズに繋げる。 舞台が病院という閉鎖空間に限定される舞台だからこそ、発生源不明の音響を配置することによって画面外へのベクトルを創り出す。 そうした意識的な音の用法を以て観客をドラマに引き込んでいこうという細やかな芸は 随所で確認できる。コーヒー豆を挽く不協和音の活用の巧さも言うまでもない。 モブシーンでの、画面中央からフレーム外へと放射状に人物の動線をつくって空間を広げてみせる演出も同様だろう。 モノクロでのパートカラー処理によって印象づけられる、赤色灯、血、口紅の艶めかしい赤が仄かにエロティックなラブシーンとなっている。[DVD(邦画)] 7点(2016-07-19 14:12:57)《改行有》

33.  十字架 《ネタバレ》 蜃気楼の浮かぶ田舎道を神妙な面持ちで歩む礼服の教師と学生達の列。そのどこか異様な風情の望遠ショットがまず印象深い。 いじめを受けている少年が登校するのを背後からカメラが縦移動で追う。通学路から学校玄関、廊下を通って教室へ。 その間、無視され、忌避され、罵られる彼に同化したカメラが我々に疎外感と痛みを直截に伝えてくる。 幾度も登場する、藤井家の仏壇の置かれた居間の空間。仏壇を前にした小出恵介と木村文乃の複雑な表情。 隣の卓袱台で精神的な危うさを見せる富田靖子と葉山奨之。 そして庭の見える窓際に座りこんでいる寡黙な永瀬正敏。その五人が一つのショット内に配置された縦構図と時間がただならぬ緊張をもたらしている。 時を経て小出と永瀬が佇むその窓際に突然降りだす夕立と稲妻に、わけもなく心を揺さぶられる。 10代から30代までを演じることを主演二人に課したことで、時間の経過とそれぞれのキャラクターの成長が鮮明となった。作り手の英断である。 時間のコントロールこそ、映画の要なのだから。それに応えた二人の芝居も素晴らしい。[映画館(邦画)] 7点(2016-02-10 05:06:34)《改行有》

34.  ジャンヌ・モローの思春期 《ネタバレ》 月の満ち欠けのアバンタイトルに続いて、フランス国民祭の賑わいが窓外から響いてくる。窓辺に佇む少女。 隣りの部屋の窓から身を乗り出す少女と交わされる短い対話によって、戦争が間近であることがわかる。 果たして、通りの嬌声に交じって軍用機の爆音も部屋の中に入ってくる。 美しい田園風景の中を走るバスのロングショットにヒロインのモノローグが被さる。12歳の夏休みにフランス中央部にある父方の田舎に出かけること。 そしてそれが1939年の夏であること。 つまり、フランスが宣戦布告する直前の夏、戦争前夜である。 納屋の干し草に埋もれながら田舎の友達とはしゃぐ。祖母(シモーヌ・シニョレ)と添い寝する。年上の青年にほのかな恋情を抱く。 単に女優の回顧録としても、それらの他愛ないエピソードが夏の光と共にノスタルジーをかきたてるが、 そののどかな暮らしの中ににじり寄る大戦の影(それらはラジオ放送であったりと、さりげない。)が 情景のかけがえのない美しさをより印象付ける。 少女によって開け放たれたオープニングのドアと、祖母によって閉ざされるエンディングのドアが対照を為す。[ビデオ(字幕)] 7点(2015-12-19 15:20:46)《改行有》

35.  自由への闘い 《ネタバレ》 屋根伝いの危険なスタントあり、操車場の高架から列車へ飛び乗るスタントあり。 アクションの演出も頑張っているし、空爆シーンは予算の都合らしく音響だけでの表現だが、 それでも十二分に空襲の恐怖感を伝えている。 ルノワールその人を思わせる相貌のチャールズ・ロートンの演説と身振りはヒトラーとは真逆で穏やかで淡々とし、 語る彼の姿よりも、それに聞き入る人々の表情に多くのショットを割いている。 その中で、彼を万感の想いで見つめるモーリン・オハラが一際美しい。 中でもルノワールらしいのが、映画の中盤、彼女とロートンがガラス戸を挟んで見つめるシーンだ。 屋内と屋外の空間処理の巧さもさることながら、彼女への想いをうまく伝えられない彼の気弱でシャイな姿が何ともいじらしい。 その彼が、ラストで彼を引っ立てようとするドイツ兵士の手を毅然と払い、胸を張って校舎を歩み出て行く。 映画前半の臆病を吹っ切った彼がみせる、さりげないが意思的で尊厳に満ちた身振りの数々が感動させる。[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2015-11-01 23:55:06)《改行有》

36.  ジョン・ウィック 《ネタバレ》 結末部一歩手前を巻頭に持ってくるのも、キアヌ・リーヴスの顔半分に影を落として二面化する照明設計もノワールスタイルの証。 全般に照度を落とした心象情景の中、主として人工の光が彼の相貌を染める。 摩天楼の夜景空撮に稲光、白銀に輝く雨の反射にネオンサインと、光と影を意識してドラマに組み込んでいる。 雨の波止場で決着を付けた彼が画面手前に歩み来ると同時に、その顔面を次第にシルエット化させて死を仄めかす。 そこで冒頭のショットへと回帰するが、瀕死の彼を生に呼び戻すのは亡き妻の声と、彼女を映した携帯端末の光であると。 打撃系と関節系を組み合わせた連続技のアクションを出来うる限り持続的な引きのフィクスショットで撮る。 桟敷部分からの垂直落下を、多人数掛けの銃撃とそのリアクションをワンショットで収める。 そうした意欲的なアクション演出も随所に光る。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-10-17 22:06:38)《改行有》

37.  ジュラシック・ワールド 《ネタバレ》 言語的で非運動的で簡便性が特徴である携帯電話はやはり映画的な小道具ではない。サスペンスを基調とする映画なら尚更で、 この映画の作り手もそこを理解していて、早々に子どもたちの携帯電話を無効にしてしまうなど、気が利いている。 孤立状態も割とあっさりなのだが。 枝葉や車輌など対象物の合間から、メインの恐竜を部分的に小出しに見せていく手管。昼間の擬態や、夜の闇の中で赤いレーザーサイトの交錯の中に シルエットを浮かび上がらせるといった、立体性を意識したモンスターの見せ方の工夫が楽しい。同じくモブシーンの混乱ぶりとスケールも気合が入っている。 もっと、人間視点の仰角構図で恐竜の迫力を見せて欲しかったが。 ヒロインについては、見せ方次第でもっと魅力を出せたはずなのが勿体無い。 滝の上で身支度して一念発起するシーンは、スカートの裾をたくし上げるとかの衣替えでもっと大胆にギャップを提示して欲しい。 後半、銃を打ぶっ放しタンクトップ姿で疾走する彼女はとてもいいが、逆光のショットなどで不美人に見えてしまうのは撮影側の問題である。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-09-11 00:00:10)《改行有》

38.  ジャージー・ボーイズ 《ネタバレ》 トランクに無理矢理金庫を押し込んで前輪の浮き上がった車が夜の街を 迷走する。 金の重みに後輪をとられてうまく舵をとれない車は、その後のドラマの暗示でも あろうか。それでも必死にハンドルを駆るジョン・ロイド・ヤングは 上方の光に向かう姿勢で前へと進んでいく。 それはそのままラストの街路で光を見上げる彼らの擬似ストップモーションと 釣り合う形ともなる。 60年代へのオマージュか、厳格なロケーション主義かと思われた監督がさらりと スクリーンプロセスを使う趣向があったり、長身のエリック・バーゲンが カウンター席で斜め後方を振り返るといった特権的な仕草を見せたりと あちらこちらがさりげなく面白い。 「SHERRY」をはじめとする楽曲とそれに合わせた4人の振り付けにももちろん心踊るが、 やはり既成曲の力に寄りかかりすぎの気がしないでもない。 クライマックスも少々くどくはないだろうか。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-10-02 23:04:09)《改行有》

39.  新・七つの大罪 1952年のオムニバス『七つの大罪』から10年後、「新しい波」の面々が撮る『新・七つの大罪』。 第一部の『憤怒の罪』は、アルジェリアからベトナムへと続いていく動乱の60年代を予見するような展開だが、ナレーションもフォローするように、以降は軽快な作品が続く。 いずれも、街路の往来を捉えるキャメラが新鮮だ。 『貪欲の罪』に映し出される夜のパリの繁華街。『大食の罪』の長閑な一本道。『怠惰の罪』の車窓を流れていく街路の光景。 中でも『淫乱の罪』で、ガールハントしながら街中をぶらつくローラン・テルズィエフを軽快に追いかけていくアンリ・ドカの縦横無尽なキャメラがいい。人波と陽光の出入りが開放的で若々しい。 (『憤怒の罪』の往来は少々作為が露でつまらない。) そして短編集はやはり、キャストの魅力も要だ。 『傲慢の罪』での髪形の変化が艶めかしいマリナ・ヴラディ。 『怠惰の罪』で運転席のエディ・コンスタンティーヌをさり気なく誘惑するキュートなニコール・ミレル。 そして、取りを努める『貪欲の罪』の高慢風なダニエル・バロー。 彼女が、初心なJ・C・ブリアリに対して最後に見せる嬉しそうな笑顔が実に素敵だ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-05-31 21:31:54)《改行有》

40.  獣人雪男 《ネタバレ》 山あいの断崖から宝田明が吊るされるミニチュアの秘境の趣は、群がる鳥のアニメーションと共にどこか『キングコング』(1933)の髑髏島の一場面を彷彿させる。 特撮ショットは全体的に控えめだが、動物ブローカーの悪漢が崖から谷川へと投げ落とされる俯瞰ショットや、車両が転落するショットなど、高所感覚の演出も気合が入った見事な出来栄えだ。 かなり長身のスーツアクター演じたらしい獣人の厳かな威容、土着的な山村や洞穴の美術も力が入っている。 根岸明美の村娘の悲恋劇も絡み、『ゴジラ』(1954)とほぼ同一の主要スタッフ・キャストによる「神殺し」のドラマの悲劇性は、同年の『ゴジラの逆襲』より断然深い。ただし、回想形式による語り初めがサスペンスを弱めてしまっているのが残念なところ。 少数民族音楽に造詣の深い伊福部昭が音楽担当であったなら、というのは贅沢な望みか。[映画館(邦画)] 7点(2010-12-11 23:52:22)《改行有》

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