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プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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61.  手裏剣戦隊ニンニンジャー THE MOVIE 恐竜殿さまアッパレ忍法帖! 《ネタバレ》 戦隊シリーズの第39作目とのことである。TVは当然見ていないが「忍ばない」というコンセプトは面白い。 映画といっても26分しかないのでTV放送の一回分と変わらないが、本物の城で撮影したという点が劇場版としての特別さかも知れない。公開時期にあわせた夏休みの宿題というのが今回の趣向で、ストーリーは極めて荒唐無稽だが嫌いでない。展開が早いので退屈せず、また毎度のことだろうがラストのダンスはノリがいいので嬉しくなる。とにかく観客を楽しませようという意図が前面に出ていたようだが、物語に込められた一応のメッセージとしては、“やりたいこと”と“やるべきこと”を一致させるのが大事ということだろう。多分。 ちなみにモモニンジャー/百地霞(ももちかすみ)役の山谷花純(やまやかすみ)という人は、他の出演作でも“かすみ”という役名で出ていることがあるが(「白魔女学園」白鳥かすみ、「劇場版 零~ゼロ~」野原カスミ)、これは事務所の意向か何かでこうなっているのか。[DVD(邦画)] 5点(2016-11-10 20:34:26)《改行有》

62.  死臭 つぐのひ異譚 《ネタバレ》 前田希美さんが出ているのでとりあえず見た。 最初の方で映画の趣旨説明が出ていたが、読むと人間世界の因果というより場所の問題だと解されるので、以後はずっとそういうつもりで見ていた。 撮影場所は静岡県熱海市(廃校?)と群馬県桐生市(マンション周辺)、及び東京都内だったようだが、このうち都内の撮影場所で、女子中学生が電話を取った場所や女子高生が襲われた場所から4km前後の位置に、現実世界で心霊スポットとして有名なマンションがある。そこは建物の構造が特異なほか、地名に「宮」の字がつくのに意味があるとかいう指摘があったりして、その方面に関心がある人々にはよく知られている。 別に制作側がそんなことを意識していたと思うわけでもないが、しかし個人的にはそういう先入観があるために、女子高生が襲われた場所が神社の前だったというのが何やら意味ありげに見えた。あわせて映像面などから来る劇中世界の雰囲気もあって、悪しき因縁のある街というイメージを十分に受け取ることができた。 一方で、人より場所の問題だとすれば、殺された恨みがあるとか犯人を殺せば恨みが消えるとか考えても仕方がないということになる。要は、その土地にたまたま住んだ人間に致命的なトラブルが生じる恐れがある(生じない場合もある)のであって、劇中では“ゆきえ”さんを含めて全員が被害者だったのかと思えなくもない。 さすがに終盤の展開などはまともに見ると意味不明だが、それでも全体としては意外にいい印象を残す映画だった。 なお登場人物としては、やはり前田希美さん(女子大生役)の色香に気を引かれてしまう。が、ほかに女子高生と女子中学生も見どころ扱いになっていたようで、主役としての存在感が若干削がれてしまった感じもするのが残念だった。[DVD(邦画)] 5点(2016-04-07 19:55:07)《改行有》

63.  呪怨 パンデミック 《ネタバレ》 今回は邦画劇場版2の女子高生に加えてOV版1の栗山千明のエピソードなども拾っており、またOV版2の見どころだったフライパンが採用されていたのは個人的に嬉しいが、変にシリアスな場面になってしまって可笑しさを感じないのは残念だった。その代わり、劇場版1の谷津勲氏がさりげなく登場していたところは笑った。事情を知らない外国人ならいたたまれない気持ちになるだろう。 ストーリーとしては前作の続きになっており、題名の印象ほどいきなり拡散はしていないが、邦画版の試みを受け継ぐ形で今後の新たな展開を企図したようでもある。最初の家で惨劇を再現することで新たな呪いを生むのは劇場版1のラストに通じる感じで、また新人を身代わりに残し、その上で母子が外国に移住したということならちゃんと手順を踏んだように見えなくもない。けっこう細かい疑問点が残るため前回ほど整理された感じはないが、それはまあこのシリーズでは普通のことである。 一方で、今回はどうも日本古来の精神文化がこのような怪現象(というかホラー映画)を生んだことをPRしたかったようで、変な田舎に不気味な習俗があるというような話を今回独自にでっち上げていたが、このシリーズはどちらかというと都市的な怪異を扱ったホラーと個人的に思っていたので、いきなり外人が山間地まで出かけて行くのはかなり違和感があった。 以上のほか、今回は母と娘の関係でわりとまともなドラマを作っており、これはこのシリーズとしては特異に見えるが悪い印象はない。また前回でも示唆されていたようだが、今回はガガガ音の由来を初めてまともに説明したように見えたのが新鮮だった。 ところで今回の主人公は比較的かわいく見えるので結構だが、女子高生連中は明らかに可愛くない。金髪と帰国子女?(日系人?)などは早目に死んでもらっていいと思ったが、もっさりした女子高生役の女優が、映像特典のインタビューを見るとけっこう可愛い人(ただし20代初めの状態)だったのは意外だった。邦画ホラーならかわいい女優はかわいいままで出すのではないかと思うが、この辺も少し感覚の違うところか。[DVD(邦画)] 5点(2015-12-12 13:55:24)《改行有》

64.  女子カメラ 《ネタバレ》 人生の変動期に焦点を当てたちょっといい話で、登場人物の描き分けも悪くないが、それぞれの将来を応援したくなるほど強い思い入れは生じない。特に怒声が苛立たしい関西人は個性的どころでなく明らかに不快であり、最初に生じた嫌悪感が容易に解消されずに最後まで目障りな人物のままで終わった。テーマ的には家族写真に焦点を当てているが、家族も写真も話が薄いのでそれほど心にしみるものはない。ただ途中で何度か出る写真を見ていると、写真というのもいいものだなという気がして、うまく写真の撮れる人はうらやましいと思ったりもした。 なお劇中に何度か出る9年以上前の話というのは結局何のことか明示されなかった気がするが、劇中に出た情報だけで適当に想像しておけというならできなくもない。 ちなみに見て思い出したが、4人が宿泊した指宿の観光ホテルには、自分も映画公開の4年前に泊まったことがある。なんでこんな高そうな宿を幹事が選んだのか今となっては不明である。[DVD(邦画)] 5点(2015-11-19 21:53:37)《改行有》

65.  心霊写真部 劇場版 《ネタバレ》 一応説明しておくと、2010年に制作された「心霊写真部」(壱限目・弐限目)が中断したまま完結しなかったにもかかわらず、「ニコ生ホラー百選」というもので2年連続ランキング1位という変な人気が出たために、その勢いで参限目と四限目に当たる内容の劇場版を作ったのがこれである。制作費の一部をクラウドファンディングで調達したとのことで、話だけでなく現実に期待を集めていたことがわかる。 前作の主演女優はものすごく可愛かったが続投せず、代わった女優(奥仲麻琴)も可愛いとはいえるが個人的には前作の方に未練が残る。ただ登場人物としてはちゃんと前作の主人公に似せようとしており、明らかに似ていなかったのは胸の大きさだけである。ほか部長以外のキャストも代わっているが、それぞれ人物イメージは継承していたようである。ちなみに上野優華という人は顔を見ていると和むタイプで個人的に好きだが、この映画ではリリ先輩の役が当たってしまったのであまりいい所がないのだった。 それでストーリーとしては実質的に前作の続編であり、最初に新作エピソード1話をこなしたあとは全編の終結に向けてまとめにかかる形になっている。前作を見ているか原作(「Re:心霊写真部」)を読んでいるのでなければ腑に落ちない点が多いだろうから、ほとんどファン限定というのが実態かも知れない。自分としては前作を見ており、また原作も読んでおいたので問題ないが、「あれれ、佳夕、驚いてくんない」という台詞が映画になかったのは残念だった(些細なことだがないと変だ)。 なお、自分としてはもしラストが原作通りだったら映画と原作をまとめて全否定してやるかと思っていたのだが、しかし実際に映画を見ると非常に正しい終わり方になっている。これは本当によかった。安心した。続編があれば見てもいい。霊感女子高生がんばれ。[DVD(邦画)] 5点(2015-07-23 00:26:29)(笑:1票) 《改行有》

66.  ショコラの見た世界 《ネタバレ》 携帯電話の存在をここまでポジティブに扱ったものは初めて見た気がしたが、外部情報によればそもそも当時の携帯の販促プロモーション用映像を使ったものらしい(CMに出ていたそうだがTVを見ないので知らない)。監督と主演女優の名前を見るとここに登録されていなかったのが不思議にも思われるが、当時としてはあまりまともな映画扱いされていなかったということか。 内容としては極めて非現実的であり、冒頭の砂丘の場面からしてこんな場所が一体どこにあるかと思う(アラビア半島の丘陵地帯を巨人が歩いているようだ)。主人公の自宅もかなり突飛な構造になっていて呆れるが、しかしここまでファンタジーに徹していると文句をつける気にもならず、逆に実在の犬吠埼の風景が本物であるのにファンタジックなのが不思議にも思われる。 また登場人物に関しては、全編を通じて幼い妹と姉のやり取りが微笑ましい。この妹とネコの組み合わせがまた極めて愛らしく、鏡の場面でのネコのリアクションはたまらない。7年後の妹も、少々くたびれたようでいながら以前の愛らしさを保っているようで好印象だった。こういう映画を愛でる感性は自分にはないが、妹役2人とネコに和まされる映画だったので悪い点にはしない。時間も短いので見やすい。[DVD(邦画)] 5点(2015-04-10 21:53:09)《改行有》

67.  呪怨 (2003) 《ネタバレ》 OV版の映画化とのことだが中身は続編になっている。 さすがに映画らしく若干洗練された感じでホラーとしてもそこそこ怖いが、個々の出来事に新鮮味があるとは限らず、洗髪中に誰かの手、というのはこの映画以外のところで最初に見たような気がする。一方で旧作にあった微妙なおふざけが少ないのは真面目な映画なので仕方ないわけだが、終盤に出る女子高生の横暴なふるまい(男子を暴力的に排除、教員を脅迫)などはOV版2の中学校の場面に相当するものだったかも知れない。 一方で昼夜も部屋の電気も関係なく、TVには頼れず、布団を被れば布団の中に出るといった形で、徹底的に逃げ場を封じているのがこのシリーズの特徴になっている気はする。また旧作以来の時間軸錯綜型の構成を利用して、劇中で別の時間世界同士を接触させてみせたのは新しい趣向であり、これは例えば練馬の家は時間の流れの制約を受けない、といったことを示唆する試みだったとも取れる。 ただし今回は終盤が変に難解だったのが困ったことで、特に二度目のフラッシュバック以降は何がどうなっていたのか正直ほとんどわからない。無理に何か考えるとすれば、練馬の家は入った人間を呪うだけでなく、新たな呪いの根源を生み出し続けると言いたいのか? 何にせよ今後も単純に同じことが続くという前提のラストではない感じがしなくもない。 ところで今回は特に好きな女優が出ていたわけでもないが、それぞれに個性的な美人女優の競演のようになっていたのは大変結構なことだった。個人的には奥菜恵(怯えた顔)、伊東美咲(全部)が印象的だったが、そのほか徳永家の妻役(松田珠里)も微妙に好きだったりする。それにしても役の固定してしまった人は毎度大変だと思う。また今回は特にエンディングの歌の悲哀感が印象的だった(次回も同様)。[DVD(邦画)] 5点(2014-11-30 22:25:39)《改行有》

68.  シュウシュウの季節 《ネタバレ》 まずは自然景観が美しい。場所は四川省内のチベット人居住地域という可能性もある。 内容としては過去の厳しい時代を描いているが、この映画自体は特に政治的主張を含むものとは思われず、そもそも過去の政策を批判して現在が変わるものでもないので、自分としてもこれでこの国への感情を今以上に悪化させたりはしない。劇中に下司な人間が多く出るのは政治体制などと直接関係なく、単にこの社会の文明度とか文化性のレベルを示しているものと解する。 ところで主人公の少女は確かに愛らしいが、自分としては冒頭からいかにも女優が演技しているように見えて心理的に距離を置いてしまい、結果として劇中の悲惨な状況にも過度の思い入れを持たずに見ていられた。さすがに過激な性描写はやりすぎと思うが、ここでの役者はエンドロールに出る「秀秀替身」であって、体型だけ見ても主人公が実際にやっているようには思われない。 それより痛々しいのは同居の男の方であり、一体どこまで耐え忍ぶつもりかと呆れ果ててしまって同情心も失われる。しかし原作者・監督とも女性であることからすれば、これは女性が望む純愛の姿を描いていたのかと思えなくもない。“男は去勢でもしない限り本当の愛を知ることができない”というならかなり毒気のある話になるが、女性の側がどれだけ変質しようと男は一途に愛を貫くというのもかなり都合のいい展開であり、どうも視点の所在が自分とは真逆と感じられる。 本来は自分としても少女の境遇に涙したかったわけだが、それほど純粋な気持ちの持てる年代でないこともあり、残念ながらかなり皮肉な感情を催す映画だった。この映画はあくまで美少女を主人公にした作り物だが、現実にはこういった悲劇は無数にあるだろうし(劇中ではほかに失踪者が一人)、その全てに涙してやれるわけでもないという諦観のようなものもある。 なお直接関係ない話だが、少し前に成都市での会議に出席した際、われわれ一行の世話役についてくれた地元の学生ボランティアが童顔で天真爛漫で本当に可愛らしい人で、それで現地の印象が若干よくなってしまったのは向こうの思惑にまんまと乗せられた形である(ハニトラはなかった)。現在でもいろいろと暗い側面が伝えられる国ではあるが、彼女のような人がのびのびと生きられる社会であってほしいと余所事ながら切に願う。[DVD(字幕)] 5点(2014-11-04 20:38:26)《改行有》

69.  ジョーカーゲーム(2012) 《ネタバレ》 劇中の設定に従えば、最も犠牲者が少なくなるのはグループなしで個々に戦った場合であり、それなら毎回1人が敗北するだけで済む。従って本来は委託側には積極的な動機がないことになるが、一方で受託側には具体的な利益が提示されている。多くの人間を口車に乗せておいて賭けに出るのを奨励するのは起業家育成を目的としたものらしく、“次世代のリーダー”というのもその意味かと思うが、しかし大言壮語して結果を見せればいいのだろうと嘯く連中ばかりになりそうで、そういう風潮を戒めた物語と取れなくもない。 ゲームについては要は単なるババ抜きだが、運だけの勝負にはならないよう、劇中人物独自の試みという形で無理やり駆け引きの要素を加えたのは悪くない。信じるか信じないかを問いかけておいて結局は騙すためのものだったわけだが、それでも最後はちゃんと“信じること”というテーマにつながっていたように見える。ラストの並走は、疑心暗鬼で相対するような局面ではなく、同じ心をもって同じ方向へ進んでこそ相互信頼が効果を生むことの映像的な表現と思えなくもない。 そのほかキャストに関しては、すでに20代の出演者もいる中で、長身でクールで大人びた感じの大野役だけは当時まだ中学生だったらしい。この人がほとんど主役のように見える一方、本来の主人公は終盤だけ本気の顔になるものの、本編の大部分を通じてとぼけた感じに見え過ぎである。アイドル映画なのだろうから、この人を知らない観客でも好きになれるようにしてもらいたい。個人的には美奈子役の方に目を奪われてしまったが、そのほか委員長役(伊倉愛美、元ももいろクローバー)のギラついたような顔もなかなかいい感じだった。途中で目障りな男子がほとんど一掃されたのも望ましい展開だったといえる。[DVD(邦画)] 5点(2014-08-12 19:24:58)《改行有》

70.  呪怨 黒い少女 《ネタバレ》 [2018/9/11修正] このシリーズ必須の家にまつわる呪いは出て来ないようだが、その呪われた家ができるまでの話だと思われる。 登場人物としては少女の叔母のすらりとした姿が印象に残る。当初は繊細そうで脆弱なようにも見えたが、その後に覚悟を決めてからの表情は少し差が出ていたようである。階段の手前でこの人物の足元を映していたのは境界線のようなものの存在を暗示していたということか。そのほか富士の見える屋上風景や、その後に母子が落下する際に、高架の道路を普通に車が走っているのと対比されていたのも印象深い。 ちなみに少女の叔母が驚愕の表情を見せた直後に、のほほんとした看護師の顔を大写しにしたところは笑った。 物語としては少女~母親~叔母が本筋で、そこに看護師/隣部屋のバカ/少女の父親のエピソードが付随する形に見えるが、その関係がよくわからないのは困る。特になぜか看護師が危険な人物だと匂わせる場面があり、これは何か裏があるのではという気にさせられる(例:初めから水子の霊がついていたなど)。また父親のエピソードは枝葉のようでもあるが、実はこの男にも隠れた問題があったと考えられなくもない(例:初めから水子の霊がついていたなど)。そもそも「黒い少女」とは何なのかを突っ込んで考えれば意外な真相が見えて来そうでもあり、また本筋部分でも実は母親と叔母の思い込みがとんでもなく間違っていたということもありえなくはないが、どうも深読みを強いられているようで面倒くさい。 制作側の思惑はともかく見る側としての問題は、この手の映画は真面目に考えても解答が得られる保証がなく、単に時間の無駄になる恐れがあることである。ここに書くのは筋違いかも知れないが、現代ホラーにつきものの理不尽さや不条理というのと、ストーリーとしての整合性不足というのは話が違うので、きちんと辻褄の合った話にするのは最低限のことである。そういう面で観客が制作側に全幅の信頼を置き、安心して見られる映画にしてもらいたいものだが、まあそういうことをこのシリーズに期待する方が間違いか。それにしても今回は、スルーしかねる程度に思わせぶりにしておいて、やはりわけがわからないという中途半端な感覚の映画だった。 なお劇中の少女役は松本花奈(まつもとはな)という人で、芸歴が長いようだが昔からこういう変な役をやっていたらしい。一見美少女のようで実は微妙な顔で不気味さを出しているが、現在は普通に美形に見えるので問題ない。役者だけでなく映画も撮ったりしている多才な人である。 ちなみに最近(2018年)になってこの人のヘソがネット上で話題になっていたようだが、その元になったのはこの映画でのヘソ出し場面である。そこはただ寝ているだけだが、ほかに目だけの演技というのもあったようである。[DVD(邦画)] 5点(2014-07-07 21:46:44)《改行有》

71.  呪怨<OV>(2000) 《ネタバレ》 最近になって初めて見たが、これ以外に和製ホラーの様式が普及して以降の映画はけっこう見ているため、改めて見てもごく普通というしかなく、どこをほめればいいのか正直わからなくなっている。とりあえず終盤のゴミ集積所で背後を通行人が知らぬげに歩いて行ったのは、こういったことが日常のどこかで起きている可能性を表現しているようで面白かった。また古いタイプの人間からすれば、怪異が昼間に起こるなど常識外のことだったわけだが、この映画ではわざわざ晴天の日中に周囲を真っ暗闇にまでして事を起こしており、これで逃げ場のない怖さを出していたといえる。 一方、登場人物が自分で墓穴を掘るような展開が見られるのは現代ホラーの悪習であり、特にどれだけ状況が切迫していても電話に出なければならないと思うアホがいるのは閉口する(2も含め)。またネタの独創性という面でも評価できるとは限らず、まずページに目いっぱい字が書かれているのは、自分の知る限り「座敷女」(1993年連載、同年単行本化)の例があるので特に目新しくはない。また階段を這い降りて来るのは貞子のようでもあるが、それより個人的には目が「蛇女の脅怖」(1966年英)を思わせて懐かしかった。それから胎児の取扱いは殷の紂王(BC11C?)の故事に倣っているのだろうが、こういうのを真似すると日本人の品性が疑われるのでやめた方がいい。 最後に登場人物としては、柑菜が元気だった頃の小生意気な態度は笑える。また瑞穂役の栗山千明は当時中学生くらいで制服姿が可愛らしいが、しかしこの女優のその後のイメージのせいで、この子が怖い目に遭っても特にかわいそうとか思わない自分が無情に感じられる。[DVD(邦画)] 5点(2014-07-07 21:46:29)(良:2票) 《改行有》

72.  白く濁る家 《ネタバレ》 登場人物が3人の低予算映画である。前年公開の米ホラー映画に似ているという噂のようで、確かに屋根裏部屋とか窓に何かがぶつかるとか唐突な顔写真といった個別の要素が共通するところはある(ゲゲゲハウスは出ない)。それより題名が「黒く濁る村」(2010韓)の真似だとすれば、それと同様の雰囲気で小スケールという意味になる(見たことがないので不明)。 ホラーとしては発想の独自性があまり感じられない。怖がらせの仕掛けとしては主に背景音楽での脅しだったように思われる。 話の本筋について無理に考えると、男は母親に一生懸命歩み寄ろうとしていたが結局裏切られ、またその婚約者が「完璧な家庭」を優先して、理不尽な結末を受け入れたことでも裏切られた形になり、踏んだり蹴ったりで存在を抹消されて悲劇に終わったということか。ほかに兄弟は腹違いではなかったのかとか、父親が死んだ時の経過についてなど、想像が広がる可能性もあるだろうが特に立ち入る気にはならなかった。 いろいろ考えがあるようで緩いようでもあり、中途半端な感覚で終わる映画だったが、構想段階ではもっと長かったのを短縮したというような事情でもあったのか。とりあえず最後の覚悟の表情が大事だと思っておけばいいだろうとは思った。 出演者に関して、藤本泉という人は「通学シリーズ 通学電車」「同 通学途中」(2015)の高校生役(ユカちゃん)しか見たことがなかったが(「鬼談百景」にも出ていたが映像が暗い)、今回見ると目に迫力があって華もあり、この人の存在が映画全体の価値を高めていた気がする。その相手役も「人狼ゲーム」シリーズで見た時の印象は残っていた。今後一層の活躍を期待する。[インターネット(邦画)] 4点(2023-06-10 10:00:09)《改行有》

73.  死の実況中継 劇場版 《ネタバレ》 乃木坂46のメンバーが主演するホラー映画シリーズ3作の1つ目で、主演は能條愛未という人である。「劇場版」とあるが、ほかにOV版とかTV版とか小説版があるわけでもないらしいのは、同シリーズの「デスブログ 劇場版」「杉沢村都市伝説 劇場版」と同じである。 劇中の都市伝説は架空のもののようで、映画の冒頭から主人公(が演じる劇中ホラーの登場人物)が殺されるまでの一連の部分がそうだとすると、①まず人が死ぬ映像を見たことで呪われ、②その後に来たメールのアドレスを開くと「メリーさんの電話」風の展開になる、という順序になる。うち②で本人が普段使う道を何かが走って来る動画付きなのは悪くない。また“あなたの後にいるの”的な演出は少し怖かった。 ただ①②がスムーズに融合しておらず、題名の「死の実況中継」と、別の“赤い服の女”とでもいうべき話を無理に接合したように見える。またラストでこれが別の形で再現され、観客のところにも“赤い服の女”が来るという感じにしたかったようでもあるが、途中のメール受信が省かれていたのが半端な印象だった。動画チャンネルに貼られたリンクをそのままクリックする形ならよかったか。 当方としては気楽に見られる安手のアイドルホラーを期待していたわけだが、ストーリーは意外に面倒くさく作られている。理屈がよくわからないので適当にまとめると、主人公は進学後の新しい友人と先輩のおかげで高校時代の記憶の呪縛から逃れられるかと思ったが、旧友のせいで先輩と友人を失ってしまい(多分)、改めて自分の意志で立ち向かおうとしたにもかかわらず、結局は旧友との「共依存」関係に引き戻されて終わったように見える。呪縛はかえって強まってしまい、主人公が憎んでいた「理不尽」が続いたまま今生も来世も生き続けなければならなくなった、ということか。かなり真面目に作ったようで、同監督の「デスブログ 劇場版」よりはいいかと思ったが、褒めるには微妙な印象の映画だった。 キャストとしては、主人公役のアイドルは悪くない。序盤で錯乱する場面などはいきなり経験不足にも見えたが、登場人物の息を荒くして変な印象になるのはこの監督の特徴のようでもある(前記「デスブログ 劇場版」と「黒蝶の秘密」(2018))。なお劇中の映像サークルの人物像を結構作り込んでいたようだが、申し訳ないが見る側にとっては関心ない(全員まとめてバカ)。[インターネット(邦画)] 4点(2022-09-24 09:44:46)《改行有》

74.  白魔女学園 オワリトハジマリ 《ネタバレ》 前作から2年経っての新作ということで、前作がよほど好評だったからかというとそうも思われないが、あるいはその間に「でんぱ組.inc」というグループ自体の存在感が高まったからということかも知れない。 物語としては前作のかなり厳密な続編になっているが、そもそも前作自体がよくわかっていない上に、今回はまた黒魔女学園などというものが出て来て心の整理が追い付かず、さらに貴公子然としたイケメンが頭ポンポンしたりするのでわけがわからなくなる(ちなみに22歳くらいの男が26歳くらいの女性の頭をポンポンしていることになる)。しかし最終的には前回も出ていたように、個別の救済をこえて根本的な変革を求めようとするストーリーであって、それを前回も頓挫した「支配」で実現するのでなく、全く別の方法をもって主人公が達成したということのようである。 映画宣伝によれば「想像を超える神展開」とのことで、終盤に至ると確かにその通りとは思ったが、創世記まで遡るのはエヴァンゲリオン(「セフィロトの樹」も出る)、主人公が最後に断行したことは“まどマギ”のようで、あくまでどこかで見たことのある範囲での壮大な展開である。しかし「普通の女の子」を守りたいという点はちゃんと一貫しており、白魔女6人勢揃いで大活躍する感動のクライマックスを見れば、結果的には魔法少女モノを目指した展開だったことがわかる。また今回はピアノソロのエンディングが静かな余韻を残していた。 登場人物としては、グループ全員を出演させるために一度死んだ人間も引っ張り出す形だが、復活した5人のうちなぜか1人だけが先輩で、この先輩までが小指にピンクのマニキュアをしていたのはさすがに変だ。前回から2年も経っているので、高校生というにはさらに厳しくなっていたはずだが大して変わっていないようでもあり、主人公が黒髪のロングヘアにした顔などは可愛くも見えた。また妹役の山谷花純という人も前回より2年分だけ大人びた感じになって出ている。 当初メンバーのほか新しい登場人物もいて人数がかなり多くなっており、小池里奈という人の出演は歓迎である(が歌を聞きたいとまでは思わない)。女優系(兼声優?)の人物としては市道真央という人の熱演を見るべきだろうが劇中人物としてウザい。ほか特に自分としては「始まりの魔女」があまりに美形で神々しいので見惚れてしまった。本来この人も声優なのか。[DVD(邦画)] 4点(2018-04-15 19:22:58)《改行有》

75.  白魔女学園 《ネタバレ》 「でんぱ組.inc」は昔も今もよく知らないが、以前に国際的な文化交流事業である「東アジア文化都市2014横浜」の広報親善大使になったと聞いて、これが日本を代表するアイドルグループなのかと思ったことはある(が本当にそうなのか知らない)。 監督は仮面ライダーや戦隊シリーズの坂本浩一、脚本は「けいおん!」「映画 聲の形」などの吉田玲子で、監督インタビューによるとこのグループ先行の企画ではなく、監督がこのグループを選んでプロットを作って脚本家に依頼した、という順序のようである。要は特撮(+アクション)・アイドル・学園モノという感じになっており、ほか女子高らしく少女の肢体を狙う視線も多いが、自分が見た限りあまりエロいとは思わなかった(悪い意味で)。 物語的には真面目に見てもよくわからない。みんなで一緒に高みを目指すのかと思ったら、結局は学園バイオレンス風の生き残りゲームになってしまい、結局この学校は何だったのかが不明に終わった気がする(虎の穴?世界征服を企む悪の秘密結社?)。しかし最終的なまとめとしては、世界を変えようなどと考えるのでなく、まずは目の前の人を救うために「居場所」を提供することが大事であって、そのために他人の痛みをあえて受入れようとする“勇気”が必要だ、という感じのことが述べられていたようである(よくわからないが)。 登場人物に関しては、当初はアイドルとしてのキャラクターの延長かという感じの(そうでもないかも知れないが)イタい人物ばかりで茶番のようにも見えた。どうしても山谷花純・小宮有紗といった女優系の人の方に目を引かれてしまうわけだが、しかし後半の修羅場になると、アイドル出演者も真剣な顔で演技する場面が多くなってアクションも結構ハードに見える(スタントの代役が多かったのだろうが)。主演の最上もがという人(この当時24歳くらい)は、このグループの中心人物なのかと思い込んでいたらセンターでもリーダーでもなかったようで意外だったが、少なくともこの中では、容貌や雰囲気の面でこの人以外に主役はありえなかった気はする。終盤で白魔女になった姿は正直格好いいと思った。 ちなみにエンディングテーマは「W.W.D II」という曲で、「やっぱり綺麗事じゃん」「綺麗事でいい」というような行ったり来たりの歌詞がなかなか心に染みた。[DVD(邦画)] 4点(2018-04-15 19:22:56)《改行有》

76.  島々清しゃ(しまじまかいしゃ) 《ネタバレ》 どこか南の島のこぢんまりした静穏な劇中世界ができている。女性の登場人物が多いがあからさまな美女などはおらず、外見よりも内面を見せようとする映画のように思われる。題名の歌をはじめ突然のセッションなど音楽で聴かせるところもあり、この雰囲気に乗ることができれば、映画全体を好ましいものとして受容することができるのかも知れない。 しかし自分としては各所にある微妙な齟齬のようなものが気に障って共感が妨げられる映画だった。 そもそも少女が音を不快に思うのは音感がどうとかいうより音のずれを脳が許容できるかどうかの問題ではないかと思ったが、序盤では発達障害か何かを示唆したように見えながら、最後には単なる気の持ちようで終わった感じなのははぐらかされた気がする。また母娘それぞれの事情~思い~行動の関係とか、サックス奏者がバイオリン奏者に喧嘩を売った経過など、話のつなぎに食違いが生じているようなのは気持ち悪い。 そのほか個別の台詞や行動などにも何かと違和感のあるところが多いが、そういうことが気になって素直に映画を見られないのは、少女と同じく特殊な性質のために生きづらい人生を運命づけられた人間と思うべきか、あるいは少女と同じく心を開けば共感できるはずだということなのか。よくわからないがグルーヴの問題か。 物語的にも最後に何がどうなったのか正直わからず困惑するばかりの映画だったので、点数は4点が限界である。ちなみに、序盤のステージ上で音楽家同士が揉め始めたのと、落ち込んでいる少年にバイオリン奏者がちょっかいを出していたのは面白かった。 付記:エンドクレジットの「撮影協力」に「環境庁慶良間自然保護官事務所」とあったので、これは一体いつの時代に撮ったのかと思ったが、出演者の顔ぶれ(特に伊東蒼さん)からすると今の映画としか思われない。単純な誤記ではないかと思うが、こういうものの事務的なチェック体制などはないということなのか。[DVD(邦画)] 4点(2017-10-12 23:53:11)《改行有》

77.  シンデレラゲーム 《ネタバレ》 山谷花純さんの初主演映画ということで見た。大きな目が特徴的で怖い顔を見せることもある人だが、個人的には困惑したような表情が好きだったりする。またこの映画では京都出身の人(演・吉田明加/Chu-Zオレンジ担当ミク)もなかなかいいキャラクターになっている。 スタッフとしては、監督は違うが企画・製作その他に「人狼ゲーム」シリーズの関係者が関わっているようで、中身も要はそういう感じの映画だが、登場人物がアイドルばかりのため人間一般というより芸能人の人間模様になっている。残虐場面を面白がるタイプの映画ではないが、劇中の売れないアイドルを貶めて笑って観客が相対的な優越感に浸る効果はあるのかも知れない。 テーマ的には結局何が言いたいのかわからなかったが、メイキングで主演女優が、自分の本当に大切なものは何かを考えるきっかけにしてもらいたい、と言ったのを聞いて、えっそういう映画だったんですかと言いたくなった。主人公役の本物の芸能人がそのように言うからには、肉親を死に追いやってでも任期1年再任なしのトップアイドルの座に生命を賭けるのが本当に大切だ、というかのようで、これはもう一般人にはとてもついて行けない世界になっている。 それではさすがに変なのでやむなく原作を読むと(結構厚い本だ)、原作通りであれば確かに主演女優の発言も理解できなくはない。要は基本路線が原作と同じで内容は表現し切れなかったということだろうが、特に個人的には、映画の主人公が否応なしに変節を強いられて終わったように見えたのが不快だった。最後に主人公の真の主体性が求められる形であればよかったがと思う。 そういうことで不満足感のある映画だったが、点数としては前記の両人と、見覚えのある佐々木萌詠さん(リーダー/涼夏さん)を含めた3人に大盛り気味にポイントを入れておく。役に立たないだろうがファンからの応援のようなものということで。 ちなみに劇中の桃園りん【りりぱっと★学園】の演者もメイキングに出ていたが、自身のイメージ低下を恐れもせずにこういう役をやっておいて悪びれることもないというのでは、本当にこの業界ではこれが当たり前のようで空恐ろしい(他人事だが)。[DVD(邦画)] 4点(2017-08-04 18:57:55)《改行有》

78.  ジョーカーゲーム 脱出(エスケープ) 《ネタバレ》 まだ若いアイドルが突然亡くなるというのは痛ましい。 映画としては前作「ジョーカーゲーム」(2012)の続編であり、劇中世界も連続した形で作ってあるが、内容はレベルダウンした印象がある。 まず劇中の教育プログラムに関して、前回はまだしも政府の意図が読めたのに対し、今回は見たところ単に支離滅裂で、結局は「この国の忠実な僕となる」人材を残すのが目的というのでは何も考えていないも同然である。どうやら今回はまともな社会批評は完全放棄されたらしく、悪いことは全部国家権力のせいという安易さだけを残した形になっている。また軽目ではあるが残酷描写や、変質者のようなのが出ていたのも志が低い印象を生んでいる。 ゲームについては副題通りの単純な脱出の話で、ババ抜きは最後の人数調整にしか使われていない。途中で出る「七つの大罪」もほとんどこじつけでしかなく、前回に比べても単調な印象がある。また前回の登場人物と今回初出の人物に姉妹関係があって、これが最後に意外な結末につながる構造になっていたが、前作を見た立場としても姉妹設定のことを終わってから思い出す始末であって、少なくとも個人的にはあまり有意義な趣向ではなかった。ちなみに姉妹役の2人は、外見的な印象では明らかに姉妹が逆である。 結果として“社会は厳しいので信頼関係など求めず、とりあえず肉親の情を優先すべき”という話に見えたが、そういう理解でいいのかどうか。正直あまり褒めるところはないが、個々の出演者はイメージダウンを恐れずに頑張ったのだろうから全否定もできない(吉田まどかさんは毎度悲惨な役でご苦労様)。主に社会性の面での退歩を反映して前作△1点としておく。[DVD(邦画)] 4点(2017-04-18 19:41:47)《改行有》

79.  4月の涙 《ネタバレ》 1918年のフィンランド内戦の時期を扱っているが、戦争映画というより人間ドラマに重点があり、映像美とともに登場人物の心理をじっくり見せようとする映画になっている。 しかし個人的には序盤の白軍宿舎の場面で、トイヴォ・クーラのピアノ曲 op.3b-2 “Häämarssi” を適当にアレンジして弾いていたのが悪趣味で非常に腹立たしく、これでいきなりこの映画自体の印象が悪化した。だからといって見るのをやめるわけでもなく最後までまともに見たが、結局は主要人物の誰にも共感できないままで終わってしまった。特に女性兵士の人格形成の背景が一切わからず、主人公男女の心情を推しはかる上で支障が生じているのは困る。ちなみにイヌのような生物(恐らく雌の狼)が一瞬映ったのは原作との関係かも知れないが意味不明である。 この映画が本当に何をいいたかったかは別として個人的に感じたのは、女に手を出さなければ同性愛者という決めつけも、民族主義か共産主義かの択一を迫るのも同じようなものだということで、要は個人の独自性なり主体性といったことが理解不能な人々への皮肉である。そういうことならわからなくはないが、それだけで賞賛する気にもならない。 なお映像面では、フィンランド南部(西ウーシマーとのこと)の岩ばかりの海岸風景や林地景観が印象的だった。まだ冬の残り香をとどめたようでいながら春の陽射しも見えて穏やかだが、人がやっていることの方は悲惨である。 ほか余談として、この映画では前記のピアノ曲以外にも各種の劇中曲が使われているのが特徴的だった。サティとベートーベンは日本人にもわかるとして、登場人物が歌う現地語の歌としては次のようなものがある。 【女性兵士】 ①”Punakaartilaisten marssi”(赤衛軍の行進曲) 【判事】 ②”Laps’ Suomen”(フィンランドの子) ③”Jääkärimarssi”(狙撃兵行進曲、シベリウスop.91a) 【少年】 ④”Varšavjanka”(「ワルシャワ労働歌」のフィンランド語替え歌) 【孤児院】 ⑤”Kotimaani ompi Suomi”(わが故郷はフィンランド) このうち①④は明らかに赤軍側、③はいわば白軍側の歌だが、⑤は劇中での扱い通り子どもらも素直な気持ちで歌える歌であり、従って最後に出たこの⑤が国民の融和を象徴していると思われる。しかし②についてはフィンランド国歌の作曲者の曲であり、児童合唱団が歌うのを聞いたこともあるのでそれほど極右的でも軍国主義的でもないと思うのだが、これを判事に歌わせていたのはどういう含意があったのかわからず、この辺は異国人としての引け目を感じる。 ちなみにこの映画は1918年4月の話だが、前記のトイヴォ・クーラ(作曲家)はその翌月に、白軍の戦勝祝賀会場で喧嘩相手に撃たれて死んだとのことである。この人物も熱烈な民族主義者だったらしい。[DVD(字幕)] 4点(2016-08-13 22:28:26)《改行有》

80.  事件 《ネタバレ》 原作も読んだが、人間ドラマというより裁判そのものに焦点を当てた小説だった。何だかよくわからない事件を題材にして、戦後の首都圏の社会変化や、裁判自体のあり方が変わりつつあることを背景に、当時の司法の実態をそのまま(多少劇的に?)描写したように感じられるのが非常に興味深かった。 しかしそれをそのまま映画化することはできなかったようで、原作の何だかよくわからない事件をよくわかるようにして一般向けの愛憎劇(濡れ場付き)に変えている。原作の内容もそれなりに再現していたようだが付加した部分が個人的には不快で、特に被害者の妹の表情がくどいのが苛立たしい。それは映画というよりこの役者が個人的に嫌いだということかも知れないが、それにしても「あれ」の意味をわざわざ質す場面などは見せ場づくり以外のものとは思えない。ラストに一応の和む場面を入れているのはまあよかったかも知れないが、それで映画全体の印象が好転するというほどでもなかった。ついでにいうと背景音楽の電子音も気に入らない(やかましい)。 唯一面白かったのは証人・篠崎かね(篠崎青果店)の態度だった。この役者は東京銀座の生まれのはずだが一体どこの言葉をしゃべっているのか。[DVD(邦画)] 4点(2016-06-15 23:38:37)《改行有》

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