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プロフィール
コメント数 2389
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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101.  新仁義なき戦い(1974) 《ネタバレ》 一応は新シリーズと銘打っているけど、一作目は完全に第一作のリメイクみたいなものだし、あとの二作は広島も広島戦争も関係ないないただの実録風フィクション。やっぱ何事にも引き際が肝心なのよ、未練がましいぞ!岡田茂。 というわけで似たような役者を揃えたリメイクを見せられるわけですが、なんと菅原文太の役名が広能昌三じゃなくて三好万亀夫に変わっている!あの聞きなれた「しょうぞう~」という呼び名が「まきちゃ~ん」となってしまっただけで違和感が満載。でもなぜか山守義雄と山守組だけはオリジナル通りというのは解せないところです。広能、もとい三好万亀夫キャラ自体は旧シリーズのムダにカッコよい感じが消えてがさつな普通のヤクザといった感じで、襲撃されたら情婦を盾にしようと画策するなどけっこう悪い奴です。話の流れは第一作とほぼ同じなんですが、どのキャラも実録的な凄みを前面に出した描き方かなとは思います。でも山守義雄=金子信雄と山守の腰ぎんちゃく坂上元=田中邦衛だけはオリジナル通りのゲスっぷり、やはりこの二人は『仁義なき戦い』には欠かせない定番キャラだってことです。 ストーリーは山守組若頭である青木尚武=若山富三郎がタマをとられてエンドですけど、結末は同じでもオリジナルとは事件での文太の係わり方が真逆なのが興味深いです。若山が演じた役はオリジナルでは松方弘樹だったわけですが、ホテルで文太と松方はしんみりしたやり取りをしたりしてどっか松方を助けたい風さえあったのに、本作では黒幕的な立ち位置ではあるけど青木殺しの推進役です。被弾してのたうち回る青木尚武=若山富三郎に止めを刺すのが松方弘樹だというのも、皮肉というかややこしい。オリジナルのラストは葬儀での有名なシーンですが、浮かない顔しているとはいえ青木殺しの成功に浮かれる山守組の乱痴気宴会に参加している文太が本作でのラストですから、その差は甚だしい。 とまあいろいろ考察してみましたが、やはり『仁義なき戦い』は四部作いや五部作で完結したと見做すのが正しいんじゃないでしょうか。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-05-01 20:35:03)

102.  仁義の墓場 《ネタバレ》 “実録ヤクザ映画の極北”という評判ですが、たしかに想像のはるか上を行く壮絶さでした、『スカーフェイス』なんて可愛いもんです。主人公が“伝説のヤクザ”と呼ばれているというので、成り上がって組を創って暴れまわるのかと思いきや、最後までただのチンピラで終いにはヘロイン中毒というのはちょっとサプライズでした。この男のやることには何の筋も道理もなく自分の親分や盟友を傷つけたり殺したりで、ヤクザなのにハナ肇や梅宮辰夫がなんかすごく善人に見えちゃうぐらいです。たしかに渡哲也の演技は鬼気迫るというか狂気すら感じさせますが、実はこの役は彼が大河ドラマ『勝海舟』を病気降板してからの復帰第一作なんです。でも快癒というにはほど遠い状態で、後半の演技は体調の悪さがかえって迫力を生むことに繋がりました。冒頭で関係者のインタビュー音声を流す(なんと隠しマイクで録音してしかも無断使用!)など深作監督作としては珍しい手法、でも主人公の戸籍謄本まで晒しちゃうのは現代では炎上必死でしょう。終戦直後から始まるストーリーなので警察が三国人を抑えるためにヤクザを使ったという話はよく知られていますけど、殺人容疑で一審有罪判決を喰らった被告が控訴中に保釈されるという展開には心底びっくりです。それも1950年代の話しですからねえ、昔はいろいろと緩かったということなんでしょうか。あと渡哲也が逮捕されるシークエンス、窓から拳銃を乱射する渡に取り囲んだ警察とヤクザが石を大量に投げつけて対抗すんですが、監督の意図せず本作で唯一笑いを誘うシーンとなっています。たしかにあれじゃあ堪りませんよね(笑)。[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-11-07 23:02:31)

103.  地獄でなぜ悪い 《ネタバレ》 海外の映画作家は自身の映画愛を吐露するような作品を撮ることが多いですが、邦画ではそういう私的な映画はほとんどないというか撮ることを許してもらえないという感じです。でもそこは園子温、まさに『映画に愛をこめて/アメリカの夜』ならぬ『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』という感じで映画愛をぶつけてきました、つまり彼は日本のジョン・ウォーターズということ?でもホントにやりたかったのは、『キル・ビル』青葉屋の死闘の再現だったみたい(笑)。 前半を観ている段階では、「この映画はいったいどこに向かっているのだろう?」という疑問しか浮かばず当惑しかないです。だって武藤組VS池上組の抗争と映画バカ集団ファック・ボンバーズとの接点がまったく見出せず、まるで違う映画のストーリーを交互に見せられているかのような感じです。まあ武藤組組長・國村隼が二階堂ふみを主演にした映画を撮ろうとしていることが伏線なのかもしれませんが、これをどう回収するのかと思いきや、お社で星野源が見つけた10年前の願い文が魔法の様に武藤組とファック・ボンバーズを結びつけるという強引な脚本!だいたい星野はなんで長谷川博己のことを知ってるんだよ!でもそこからの怒涛の展開はまさに園子温の本領発揮としか言いようがありません。園子温の映画では実力派俳優に怪演させるのがお家芸みたいなところがありますが、本作では堤真一がまさにそれ。あの表情というか顔芸はほとんどアホ芸という領域です。星野源もいまと違ってどちらかというとサブカル界隈の人というイメージで、これもかなりの怪演です。 閉幕近く長谷川博己の妄想の中で、首や脚など喪失した部位を包帯でつなぎ直した(?)死者たちが完成した映画にスタンディング・オベーションを送るところは、まるで『タイタニック』の感涙のラストみたいで良かったです。でも、ここで終わればいいのにあのメタフィクショナルな幕の閉め方は、いったいどういうつもりだ!でもこのずれたセンスがまた園子温らしいんだよな…[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-10-13 21:16:49)

104.  シシリアン(1969) 《ネタバレ》 マフィアが欧州でも隠然たる勢力を保っていた60年代の映画ですから、“マフィア”や“コーザノストラ”という語句は劇中ではいっさい使われていません。ジャン・ギャバンがボスの組織はどう見てもその出身地や構成などからマフィアなのですが、せいぜい“シチリア人”と呼ばれる程度です。この組織の表の顔はゲーム機器を扱う会社ですが、「裏の稼業では人殺しは絶対しない」なんて綺麗ごとが過ぎる設定で、これもマフィア業界への忖度なんでしょうかね。ジャン・ギャバンがまた沈着冷静で友誼に厚い貫禄というものを擬人化したようなキャラで、『ゴッドファーザー』のヴィト・コルレオーネなんか目じゃないって感じです。こういう警察も全くマークしていないような組織が旅客機をハイジャックして宝石強奪する展開は、ある意味で逆転の発想ですけど突拍子すぎます。60年代にアラン・ドロンがジャン・ギャバンと共演した作品はドロンがチンピラ感あふれる小者キャラという共通点がある気がしますが、刑務所でドロンが入手した宝石展のセキュリティ設計図はけっきょく使われず、女に手を出して墓穴を掘る軽率な行動を繰り返し、けっきょくこのパターン通りでした。 よく言えば淡々とした、普通に観れば締まりのないストーリーテリングに華を添える(?)のがエンニオ・モリコーネの脱力系な音楽です。この人はマエストロとなって惜しまれながら世を去りましたが、若いころは“音符のチンドン屋”“来る仕事はすべて引き受ける”などと陰口を叩かれていたそうで、その悪い面がでた結果がこれなんでしょうね。でもあの“ポヨ~ン♪”は、意外とフランス人の哀愁を誘う音だったりして(そんなわけ、ないか)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-09-13 21:01:41)

105.  ジョン・ウィック 《ネタバレ》 キアヌ・リーヴスが王道のガン・アクション映画に復帰という感じなんですが、この映画にはヘンと言うか独特のテイストが詰まっている感じがいたします。 「愛する妻や肉親を悪の組織に殺されて、復讐の鬼となって闇の世界に復帰する男」というプロットのアクション映画は腐るほどありますが、妻は病死で殺されたのは妻が残してくれた犬だというところが実にユニークです。犬をペットにしたことのない者には、たかが犬のためにここまで暴れまくるか?と理解を超越しています。劇中ではそれなりにキアヌの心情を投射して理解できないことはないけど、よく考えるとやっぱ引っかかります。そしてNYが舞台設定みたいですが、キアヌが生きている世界自体が不思議に現実離れした異空間みたいなところです。この映画では、妻の葬儀の参列者とクラブの客と自宅を訪れるパトロール警官(それもどちらも顔すら認識できない映し方)以外は闇の世界の住人たちしか登場しないんです。街中であれだけ大銃撃戦を繰り広げても、警察の姿すら見えない。そしてセリフのある登場キャラはみなジョン・ウィックのことを知っていて、彼のことを知ってなかったのはロシアン・マフィアの“犬殺し”の息子とその相棒だけ。タイムズ・スクエアの交差点に建つ三角形のビルそっくりな外観の殺し屋しか入れないホテル、ここなんかは異次元世界かと思わせるような異空間です。でもジョン・ウィックのガンさばきだけは超リアル、有象無象を倒すときでも必ず二発目は頭や顔に必ず弾をぶち込む非情ぶり、これぞプロです。その割には途中で敵に捕まりボロボロにされてラストに至ってはマフィア・ボスのナイフの切っ先を自らの肉体で受け止める荒業、ちょっと変なたとえだけどジョン・ウィック=ガメラと言えるかもしれません。でもお互いにズタボロになりながらもマフィア・ボスを仕留めずにまるで互いの健闘を称えあって再戦を約して別れたようなラスト、ジョン・ウィックいったいどうした?[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-07-30 20:38:31)

106.  将軍家光の乱心 激突 《ネタバレ》 実はわたくしも、この映画が角川映画&監督・深作欣二じゃないってことに、今回ようやく気が付きました。本作が撮られたのは89年、この当時では角川映画は完全に失速し始めていたころで、チャンバラ映画の本家・東映が角川映画の切り拓いた路線に乗っかる形で公開した超大作、まあ時代はバブルの真っ只中でしたからね。 お話しはもちろん周知のごとく荒唐無稽ですが、内容はしごく単純極まりなく緒形拳率いる浪人集団が将軍家光の長男竹千代を江戸まで護送するだけのことです。道中を家光が放った追手というか大軍が襲いかかってくるわけですが、この攻防戦のアクションが想像以上に大迫力。悪役・伊庭庄左衛門の千葉真一が配下のJACの面々を動員してアクション監督を務めていますが、彼の持てる力を結集したようなシーンの数々は見ものでした。とくに馬を使ったアクションはすさまじく、「これ、撮影でケガさせて廃馬がけっこう出たんじゃない?」と心配してしまうほどです。中にはスタントマンから死者が出た『ワイルドバンチ』の有名な橋爆破アクションをそっくり再現したシーンまであり、まさか日本映画でこれをやるとは、とびっくりいたしました。本家との違いは、橋げたの部分が一枚の板になっていて爆破ともに落し蓋みたいに下に開く構造になっていて、ここら辺に安全策があったのかもしれません。千葉真一のスタッフとしての役割は、東宝特撮の円谷英二みたいな感じといえば判りやすいと思います。ここまでやれるなら、日本映画界はなぜ彼に予算をたっぷり与えてアクション映画を一本撮らせてあげなかったのかと、悔やむ次第です。 トンデモ映画みたいに評されることもありますが、わたくしはアクションと殺陣(千葉真一と緒形拳の一騎討ち)だけ見てればかなり評価が高いとおもいます。でもALFEEを起用した呆れるほどの音楽センスに一点マイナスといたします。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 6点(2019-05-23 23:41:58)

107.  重犯罪特捜班/ザ・セブン・アップス 《ネタバレ》 『ブリット』『フレンチ・コネクション』を製作したフィリップ・ダントーニの最初で最後の監督作で、ロイ・シャイダーがついにつかんだ劇場映画主演作です。トニー・ロー・ビアンコが顔出してるし音楽はドン・エリスだし、気分はもう『フレンチ・コネクション』です。とくに不協和音を強調したドン・エリスのサウンドは、何度聞いてもゾクゾクさせられます。ロイ・シャイダーの役柄は『フレンチ・コネクション』のバディ・ラッソ刑事が特捜班キャップに昇格したような感じ、しかも本作でもロイ・シャイダー扮する刑事の役名は“バディ”ですからねえ。シャイダーの幼なじみでマフィア業界とつながりのあるビアンコが、シャイダーから得た情報を悪用してマフィアの幹部たちを誘拐して身代金を荒稼ぎするというのが事件の概要です。けっきょくビアンコの手下の暴走で特捜班の仲間が巻き添えを喰って射殺されてしまうんですが、二人の関係を特捜班の仲間は最後まで知らないので、諸悪の根源は実はシャイダーだったということになります。彼の捜査手法は極めて強引だけどけっして腐敗警官の部類ではないのは確かですが、そこら辺をシレっとスルーする幕の閉じ方にはなんか後味の悪さが残ります。 カーチェイスはさすがに迫力があります。トレーラーに追突して荷台の下にめり込んでオープンカーになっちゃうというアクションは、たぶんこの映画が初だったと思います。[映画館(字幕)] 6点(2018-10-19 23:31:39)

108.  新幹線大爆破 《ネタバレ》 昭和の社会派犯罪映画としては屈指の作品なんでしょうね。時代が時代だけにやけに全共闘の価値観みたいなものが鼻につくところは、今の感覚で行くと暑苦しくて堪らんものがあります。とくに高倉健一味の人間関係はちょっとクサくてヤリ過ぎ感は否めないところです。主犯の沖田という男はもう健さんそのものというキャラ設定で、事業に失敗して妻子に逃げられたからと言って健さんがこんな犯罪に走るかよ、と思ってしまいます。対する警察サイドも重厚な布陣ですけど、冷静に考えると捜査の進め方はなんか杜撰で無能さが目立ちます。空港で張るにしても、ふつう沖田の顔写真ぐらい持ってくるでしょう、元嫁と子供の面通しに頼るなんて、さすがにあり得ない話です。ふつうに考えても、爆弾が解除されてないのに身代金の受け渡し現場で逮捕しようとしまうかね?ここら辺も警察権力は横暴で無能だという団塊世代的な価値観なんでしょうね。この脚本では、警察は威信のためには新幹線の乗客の安全よりも、犯人確保を優先させる組織だと言いたかったみたいです。 そして最大のドラマが爆弾が無力化される前に二次災害を防ぐために新幹線を停車させようとするところで、これは9.11のときみたいなハイジャックされた旅客機を撃墜する命令を下す決断みたいなものです。ここでも国鉄の局長を非情の鬼官僚みたいに描いていますが、いくら国有鉄道だったとはいえこれはおかしい。その指令を下すのは政府じゃなきゃおかしいし、責任を負わねばならないのは当然総理大臣のはずです。劇中では官房長官が国鉄に決断させるような展開でしたが、いくらなんでもそれは酷というものですよ。事前に脚本を全部読んだのかは知りませんが、これじゃあ国鉄全面非協力という対応だったのは当然でしょう。[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-02-16 00:57:48)

109.  ジェイコブス・ラダー(1990) 《ネタバレ》 この映画、オチはもろシャマラン監督のあれなんですけど、普通に観ていてこの主人公はベトナムで死んでいるんだなとかなり前半から判るように撮っています。その影響もあるんでしょうけど、ストーリーの展開がジェイコブの夢か麻薬摂取のバッドトリップなのかとも解釈できるところがこの映画の弱いところかと思います。でもその分かなり強烈なのはジェイコブの眼にする悪夢のような映像で、冒頭の亡者みたいな乗客が乗っている地下鉄が疾走するシーンはけっこうゾクっとしましたね。突然シェイクし始める亡霊なんか、後年に製作されたホラーで良く観たものですが、ルーツはこの映画だったんですね。ちょっととんでもない方向に暴走しそうだったところを上手くまとめました、と言う感じラストでしたね。たしかにエンターティメントとしてはこのラストしかあり得なかったでしょうけど、中盤のテイストでとことん突っ走っていたら映画史に残る様な傑作(というか怪作?)になっていた様で惜しい気がします。[DVD(字幕)] 6点(2014-12-20 23:17:03)

110.  秦・始皇帝 《ネタバレ》 「大蔵貢の新東宝が明治天皇なら大映は始皇帝じゃ!」という永田雅一の雄叫びが聞こえてくるような70ミリ超大作、そりゃ始皇帝の方がはるかに各が上ですからね。大映の70ミリ大作は『釈迦』に続いての二作目で、『スパルタカス』の機材の払い下げ品である220キロも目方のあるヴィスタ・カメラも良く動かせるようになっていて、『ベン・ハー』ばりの戦車が登場する戦闘シーンまで登場します。タイトルに“中華民国陸軍協力”と出ていますので台湾ロケもしたみたいで、そういや山並みなんかの風景がちょっと日本離れしていて良かったです。 始皇帝の生涯を単発映画で見せるというのはかなり無茶ですが、後半とくに万里の長城建設に焦点を合わせた脚本は良くまとまってるんじゃないでしょうか。新東宝と違って綺麗どころの質が高い大映ですから、若尾文子・山本富士子・中村玉緒と惜しげもなく投入しています。でもそれぞれが別々に登場するのがちょっと残念で、どうせフィクションを盛り込んでいるんだからこの三女優の絡みで展開させて欲しかったところです。まあそこはオールスター映画のつらいところで、雷蔵の刑軻なんてあっという間に退場ですから実にもったいない。その中でもっとも感じが出てたのは始皇帝の勝新は別にしたらやはり鴈治郎の徐福ですね。絶妙のキャスティングで、どう考えてもこいつは稀代のペテン師だなと納得させちゃうのが凄い。 始皇帝の死なんかはまるっきりフィクションですけど、これはこれで良かったんじゃないでしょうか。彼の業績というか暴政をこうやって見せられると、スターリンの独裁とそっくりだなと改めて感じました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-09-22 00:29:05)

111.  J・エドガー 《ネタバレ》 アメリカ現代史の闇を暴く社会派ドラマだと思いきや、実は男同士のラブ・ストーリーでした。ディカプリオ、アーミー・ハマー、ナオミ・ワッツ、主なキャスト三人の老けメイク合戦ですけど、やはりディカプリオのフーバー激似ぶりは圧巻、あとの二人はまあこんなもんかなという感じでした。頭のおかしい人を演じさせたらやはりディカプリオは最高です。ハンカチで神経質そうに手をふくところなんかは、彼がかつて演じたハワード・ヒューズを思い出してしまいました。出番は少なめでしたけど、フーバーに40年以上も仕えたナオミ・ワッツも抑えたいい演技を見せてくれ、フーバーの陰の共犯者みたいな人生を送って最後に秘密ファイルをシュレッダーで闇に葬る、けっこう謎の女って感じがしました。しかしフーバーという人はやってたことの悪どさではベリヤやヒムラーと比べてもいい勝負で、この三人が20世紀が生んだ三大秘密警察長官なのかもしれません。 あまり見せ場もなく淡々とした作品ですが、ラストのフーバーの死のシーンでは泣かせてくれます。このフーバーとクライド・トルソンの関係を見てると、イーストウッドとモーガン・フリーマンを見てる様な錯覚しちゃいました(笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-04-22 21:04:18)

112.  紳士同盟(1960) 《ネタバレ》 プロットというか設定は『オーシャンと十一人の仲間』に酷似しています。舞台が英国で元将校ジャック・ホーキンスが集めた連中がかつての戦友じゃなくて軍を不名誉除隊となった互いに見ず知らず同士というのが『オーシャン』との大きな違いです。普通ならこの海千山千な男たちが持つ特殊技能や仲間内の確執で話を引っ張るものですが、親玉ホーキンスが飄々としているせいか実に淡泊なストーリー・テリングです。いつもそのいかつい顔を活かしたキャラが多いホーキンスも、こんなにとぼけた役もこなせるとは御見それいたしました。 犯行が露見するネタには「こんなことでばれるか?」とちょっと疑問が湧きますが、あのラスト・カットを見れば「ああこれがやりたくてこの映画を撮ったんだろうな」と思わせるようないい味がありました。[DVD(字幕)] 6点(2014-01-19 22:24:40)

113.  豹(ジャガー)は走った 《ネタバレ》 東南アジア某国の独裁者(明らかにインドネシアのスカルノがモデル)がクーデターで国を追われて日本に飛来してきた。三日間滞在してその後はアメリカに亡命する予定。独裁者暗殺を狙うジャガーと言うコードネームを持つ凄腕のスナイパーと、オリンピック出場経験がある警視庁一の射撃の腕前を持つ警部が、陰謀が渦巻くなか死闘を繰り広げる! この映画の宣伝コピーを書くとなるとこんな感じでしょうか。このジャガーなるスナイパーが田宮二郎、対する警部は加山雄三というのが東宝製作らしからぬ顔合わせです。そして陰謀をめぐらす総合商社の一員として加賀まり子がミステリアスなキャラで登場、ますます東宝らしくない顔ぶれです(笑)。 B級テイストの映画にしては珍しく豪華なキャストでけっこうキレ味がいい演出でもあるので、B級特有の安っぽさはあまり気になりません。何と言ってもそこは田宮二郎のクールなカッコよさのおかげです。まるでネイティブのように流暢な英語力にはもうびっくり、出来れば彼をデューク東郷にして『ゴルゴ13』を撮って欲しかったなと思わず嘆息してしまいました。ジャノメミシンのネオンサインから狙撃するシークエンスなんて、もう完全に『ダーティハリー』を先取りしてます。 対する加山雄三は意外とアクションと言うか身体の動きが鈍重で、イメージ悪くしてます。それでも銃に対する拘りは強く出ていて、大型ストックを装着したモーゼル・ミリタリーを使って田宮二郎と対決するなんて泣かせてくれます。加山雄三が撃たれて血しぶきが派手に飛び散るシーンなんかもあって、けっこうハードです。 でも脚本上のプロット構成の弱さはどうしても眼に付きます。加山雄三が警備陣と常に行動をともにしているなんて、警察を退職して職務上の制約から解かれて先制攻撃をかけるぞ、という設定が全然生かされていません。田宮二郎にしてもアメリカ人の姐ちゃんと仲良くなったりして、ちょっと脇が甘すぎます。あの当時の悲惨な邦画製作の状況ですから、まあこれくらいで上出来だったんでしょうね。 最後に疑問、豹は英語でパンサーなのになんでジャガーとルビがつくんでしょうか(豹とジャガーは別の生き物です)?[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-06-27 21:42:29)

114.  しゃべりすぎた女<TVM> 《ネタバレ》 まず原題の文字数の多いことにはびっくり、『博士の異常な愛情』といい勝負ではないか。毎度のことですけど、現在進行形の事件を題材にしちゃうハリウッド(この映画はHBO製作のTVムーヴィーですが)のえげつなさには恐れ入ります。でも実際にはこの映画の元ネタとなった事件はテキサスの田舎街で起こったショボいお話しなので、あまりに大げさな原題は一種の皮肉なのかもしれません。そのシニカルな目線は存在感が希薄というか登場人物たちの薄っぺらい造形にも顕れているのかもしれません(これは役者の演技や脚本がヘボいという意味ではありません)。その中でも群を抜いているのがH・ハンターの驚異の演技。あまりにバカバカしくえげつないこの事件が、彼女の怪演すれすれの熱演のおかげでなんかとても教訓的な印象すら覚えてしまうぐらいです。でっかい蜘蛛を握りつぶすシーンには背筋がゾッとさせられますし、あんな目つきでガンつけられたら思わずチビってしまいそうです。B・ブリッジスと車の中で延々と殺人謀議を続けるシーンなんか、もうハンターの演技に釘付けでした。 ラストのこれまた皮肉たっぷりのテロップは爆笑必至です。[ビデオ(字幕)] 6点(2013-04-27 20:01:12)

115.  16ブロック 《ネタバレ》 別にそれが悪いとは言わないけれど、もうどこから観ても『ガントレット』への現代版オマージュです。『ガントレット』では長距離移送だったのを眼と鼻の先までの護送に置き換え、セクシー美女な証人をちょっとおかしな黒人に変更するなどけっこう捻りを効かせているのは上手な脚本です。くたびれきった刑事のB・ウィリスはなかなか味がありますが、考えてみると彼が演じてきた刑事のキャラはJ・マクレーンをはじめエリートでもキレ者でもない場合が多いので、あまり新鮮味は感じませんでした。『ダイ・ハード』も4まで来ちゃったし、そろそろ刑事役は打ち止めにした方がいいんじゃないでしょうか。 展開はまあスピィーディーでよろしいのですが、なんというか眼と鼻の先なのに目的地にたどり着けないというサスペンス感が乏しいのは残念です。もちろん私にはNYに土地勘などありませんけど、映像を観てる限りではとても遠回りしている様な感じでした。この距離は、東京で言うと新宿警察署から新宿御苑までという感じでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-04-08 20:48:36)(良:1票)

116.  ジュリー&ジュリア 《ネタバレ》 M・ストリープ、デカっ! シークレット・ブーツを履いてセッシュウしているのか、はたまたCGで画像処理しているのか、まさか演技力が彼女を大きく見せているわけではあるまいし?(ちなみに、実はチビだった早川雪舟の故事にちなんで、背が高い様に撮ることを映画用語で“セッシュウ”というそうです) J・チャイルドという人はこの映画で知りましたが、オーヴァー・アクト気味に感じるメリルの演技もきっと彼女のことだから実物を良く研究したうえでのことでしょう。コメディエンヌとしてもやっぱ彼女は抜群の才能を持っているのが良く判りますし、『マンマ・ミーア』の怪演よりずっと良いです。まあこういうハート・ウォーミングに徹した映画もいいもんだなと思いましたが、確かに料理が美味そうに見えないというのは、イタイところです。[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-02-04 21:35:43)

117.  シャッター アイランド 《ネタバレ》 ディカプリオ、熱演なのは判るけど、あの眉間にデス・ヴァレーみたいに深い皺を刻む演技がそろそろワン・パターン化してきています。『J・エドガー』でも同じ様な表情だし、こりゃ当分続きそうだ(笑)。 R・ロバートソンの音楽が素晴らしくこの物語にマッチしていて、冒頭のディカプリオたちが病院に入ってゆくシーンなんか、なんと言うか背筋がゾクゾクしましたよ。警備隊長とディカプリオがジープに乗って病院に戻るシーンで、あまりにミエミエなブルーバック合成が使われているのでとても奇妙に感じたんです。私はあまりオチを考えずに映画を観るスタイルなのですが、これはディカプリオの妄想世界を暗示させる伏線の一種だったんですね。まあしかし、スコセッシの力量は別にしてもあまりにお話しが陰惨過ぎましたね。こんな映画を撮ったので、スコセッシは「お願いだから娘に見せられる映画を創って」と奥さんに怒られ、『ヒューゴの不思議な発明』が製作されたと言うのは笑ってしまいます。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-12-23 21:49:11)

118.  勝利への脱出 《ネタバレ》 第二次世界大戦の捕虜収容所脱走映画ってたいがいは実話ものだけど、この映画は珍しくフィクション。まあフィクションならもっと弾けるバカっぷりがあってもいいけどね。 それにしても、捕虜たちの服装が綺麗すぎて実感を損ねている。『戦場にかける橋』の英軍捕虜のズタ袋を被った様なボロボロの軍服とは好対照です、もっとも『戦場にかける橋』はビルマだからハダカでも何とかなりそうですが。ドイツ軍将校の軍服がまた考証が行き届いているのは感心したけど、騎士鉄十字章(喉元にぶら下げている鉄十字章)をつけた将校が多すぎるのはちょっと興ざめです。この勲章、全軍で7,000人しかもらってないんですから。でも、スタジアムでナチ党関係者はナチ式敬礼、国防軍の軍人は普通の敬礼ときちんと見せているところなどは印象が良かったです。 ペレをわざわざキャスティングした割にはあまりに見せ場が少なくてもったいない限りです。肝心の試合の見せ方が単調すぎると言うのはちょっと致命的で、サッカーに縁が薄いアメリカ人のジョン・ヒューストンがメガホンをとったのがそもそも失敗だったかも。[CS・衛星(吹替)] 6点(2012-10-20 20:50:45)

119.  地獄(1960) 《ネタバレ》 肝心の地獄よりも、天地茂たち主要な登場人物がほとんど死に絶える現生の方が、不気味なんです。上から見おろす、下から見上げる、そんなとてもシュールで居心地の悪いショットが一時間の現生編の半分は占めているような気がします。何度も挿入される走る蒸気機関車や線路のカットがどんどん鬱な気分にしてくれます。 しかし新東宝でも屈指のカルトにこの映画を押し上げたのは沼田曜一のそりゃ鬼気迫る怪演に違いなく、この演技を説明するには適切な言葉が思いつかないぐらいです。彼が悪魔なのか天地茂のダーク・ハーフとして出現したのか、けっきょく最後までよく判らんところがまた良いですね。 地獄で苦しめられる天地茂に何か光明がさしてくるような雰囲気もあり、まさか夢オチの最悪なハッピー・エンドかと危惧させられるも、あまりに無常なラスト・ショットで締めてくるとはさすが中川信夫です。 この映画、未成年とお迎えが近い老人は、決して観てはいけません!![DVD(邦画)] 6点(2012-09-08 20:04:12)

120.  主人公は僕だった 《ネタバレ》 神さまエマ・トンプソンは最近スランプに陥っている。自らの創造物であるウィル・フェレルの人生を、どうやって華々しく終わらせようかと試行錯誤の日々である。神のライバルである悪魔クイーン・ラティファは、フェレルの死後の魂が欲しいので、ここはグッとこらえて神さまに協力している。トンプソンとの関係がギクシャクしている天使ダスティン・ホフマンは、フェレルを助けて“神のみ業”を妨害しようとしている。 と、いう様なプロットだと私は思うんですよね、この映画は。ラストで“神のみ業”の出来栄えに恐れ入った天使がフェレルを見捨てちゃうのに、悪魔が逆に情にほだされてハッピー・エンドになるのに力を貸すというところが皮肉になっているんですよね。かなりシュールなお話を、ここまでふつうの出来事みたいに淡々と語るストーリー・テリングは、けっこう新鮮でした。[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-11-13 00:33:19)

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