みんなのシネマレビュー |
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1. 人生は、奇跡の詩 《ネタバレ》 戦争を背景に描かれてはいますが,それほど戦争という設定が生きているとは思えません。ところどころ冗談めかして描いている部分もあり,少し戦争を軽視しすぎていると捉える人もいるかもしれませんが,あくまで本題は愛する人を救おうとする点にあり,反戦性の全くない映画もこれはこれでありなのかと思わされます。全編を通してロベルト・ベニーニ得意のコメディが展開されていきますが,その分たまに放たれる真剣な台詞などが生きており,どことなく心に残るシーンが多かったです。特に薬剤師に頼み込みに行ったアッティリオが,ヴィットリアのことを世界で一番大切な女性だと熱弁した台詞は訳もよかったせいかひどく感動してしまいました。ヴィットリアが快復する展開の医学的な裏づけなどには少々難があるように思いますが,ファンタジーに細かいことを要求するのもナンセンスかと思うのでケチはつけないでおきます。トム・ウェイツ及びニコラ・ピオヴァーニの音楽は素晴らしかったです。[DVD(字幕)] 6点(2007-10-31 02:02:14)(良:1票) 2. 七年目の浮気 どうも主人公の妄想癖に頼り過ぎな感が全編通してつきまとっていました。普段なら気の利いたセリフやお洒落な展開で魅せてくれるはずのビリー・ワイルダーにしては,あまり心に残らない作品ということで心に残っています。有名な邦題,さらにマリリンの名場面の収録された映画ということで期待していただけに見てみて残念でした。[DVD(字幕)] 5点(2007-07-08 00:11:31) 3. ショーシャンクの空に 映画を趣味とする者ならば必ずや見るべき作品ですね。ティム・ロビンスとモーガン・フリーマンの二人の交流やラストシーンも素晴らしいのはもちろんのことですが,刑務所を舞台に次々と移り変わる人間模様や,狭い塀の中にいる間に変わってしまう外の世界への郷愁・情緒といったものが全編に漂っていてまた素敵でした。人が老いていくこと,罪を償うという意味,本当の善と悪…などなど,一つひとつ懇切に語りかけてくれるような作品だと思います。[DVD(字幕)] 9点(2007-05-15 03:33:12) 4. 情婦 序盤の無駄な感じのやり取りから最後の最後の「処刑…」という台詞まで、全編通して見事な脚本です。ビリー・ワイルダー映画はいつ観てもお洒落ですね。内容もエンターテインメント重視ということで、合間合間に挟まる余興的なシーンもまたよしです。お節介に見えて意外と理解のある看護士の役どころもよかったです。笑いありサスペンス要素あり大逆転あり、超一級の娯楽作品だと思います。[DVD(字幕)] 9点(2007-04-06 22:43:19) 5. 6デイズ/7ナイツ やれやれ、今更こんな映画を改めて作る必要があったんでしょうか?といった作品です。使い古されたようなテーマに、臨場感も緊迫感もない冒険モノといった感じで、そこへハリソン・フォードというキャスティングもほとほと安易っぽく魅力ゼロです。ラストまで結局褒められた点は一つもなく、島の風景と海の美しさだけが唯一の見所でした。[地上波(吹替)] 1点(2007-03-18 06:05:03) 6. シンドラーのリスト 見終わった後率直に、こういった映画をやはり後世に残すべきなのではないかと思いました。戦時中人の手により行われたことを一方は伝えなければならないし、他方は知らなければならない。そのために史実に基づいた文献があり、映画があるのだと思います。もちろん演出上脚色の加えられた部分も多々あるでしょうが、それもまたリアルさとして映っていると思います。特にモノクロの映像の中に登場する紅いコートの女の子が非常に効果的に作用していて、かなりインパクトがありました。伝えるものの多さゆえにこれだけ長くなったのも頷けますが…やはり重かったです。賞狙いという見方も拭えませんが、良くも悪くも著名になったスピルバーグが描いたことが、この映画にはまた意味があったのではないでしょうか。[ビデオ(字幕)] 6点(2007-01-23 23:46:09) 7. シティ・オブ・ゴッド 重いテーマの割りにはタッチが軽めで、事実を切々と語り続けるというよりは脚色をつけてエンターテインメント性を忘れない作りになっていますね。登場人物の区別も比較的容易で、丁寧なナレーションが随所に織り交ぜられてるので見やすかったです。こういった内容を神妙な雰囲気で描かれるよりは、軽いタッチによりあくまで日常的に普通にあることなんだよ、と言われているような気分になり、かえって観る者に深く考えさせる効果が出たのではないでしょうか。恋を知るよりも前に銃を知り、キスをすることもなく命を落としていく少年たちをこの先世界がどうすべきなのか。「ホテル・ルワンダ」を見たときも思いましたが、ニュースも伝えない世界の現状を描く映画というメディアの意義を改めて痛感させられる一作でした。[DVD(字幕)] 8点(2007-01-15 07:52:20) 8. JAWS/ジョーズ 《ネタバレ》 何から何まで完璧な作品だと思います。世界中をパニックに陥れるだけの影響力を充分に備えた傑作です。スピルバーグ作品の中では初期ながら未だにこの作品が一番好きです。最初から最後まで息をつかせない展開と、美しい海を舞台にした映像、そして聞くだけで恐怖を煽られる音楽がすべて素晴らしくマッチしていると思います。ただ一頭倒してそれで一件落着でいいの?という感はありましたが。[ビデオ(字幕)] 9点(2007-01-14 00:04:00) 9. シカゴ(2002) 舞台でのミュージカルではどうしても一つの客席からの視点からしか楽しめなかったり、演出上代わる代わる訪れる注目点をうっかり別のところに集中してしまい見逃してしまったりと、舞台での本場のミュージカルとは別の、映画ならではのミュージカルの魅力があったりしますが、この映画はその魅力を充分に引き出した作品だと思います。「ムーラン・ルージュ」と比較されがちなようですが、個人的にはカメラワークや演出面で「シカゴ」の方が好きです。確かに話が随分うまく運んだり、テンポがよかったと思いきや急にだれたり、ストーリー性は「ムーラン~」の方が上かもしれません。あとはあの役はリチャード・ギアじゃない方がよかったのでは、といった感じです。ただ、女優二人に加え映像の絢爛さや娯楽性など総じて完成度はかなり高いと思いました。キャサリン・ゼタがタバコをふかしながら「Cicero」と合わせて6人で始まった曲が忘れられません。[映画館(字幕)] 9点(2007-01-13 00:10:50) 10. シンプル・プラン 《ネタバレ》 この映画に描かれた人間模様が果たしてリアルなのかリアルでないのか、それすらも普通の日常を暮らしている私たちにはわからないような設定ですが、やけにどこかでありそうな物語なのが面白かったです。スノーモビルの事故に見せかけてしまうところは当然ながら、雪国という設定をうまく生かした展開や演出が秀逸です。夫婦間の諍いで収められてしまったブレント・ブリスコーは可哀想な気がしましたが、似てもいないしあまり釣り合っていない兄弟のようでしっかりお互いを思い合っているビル・パクストンとビリー・ボブ・ソーントンのコンビがよかった気がします。最初は消極的で自他共に認める有識者だったビル・パクストンの言い分が徐々に変わっていく様子が、静かに狂い出す人間像をリアルに表現していて、観ていて少し恐ろしくなりました。それでも結局は札束を隠して得をするような、非道徳的な結末で終えなくて良かったです。ラストに札束を守ることとは別の切り口の山場が用意されていたのも良しです。[DVD(字幕)] 7点(2007-01-11 23:33:16)(良:1票) 11. シザーハンズ かなりブラックな要素の強い映画ですね。。人が人(この映画ではロボットですが)に対してここまで簡単に掌を返してしまう怖さや、集団心理の前ではどんなに正しい主張をしていても潰されてしまう現実がよく描かれています。原色に統一された家並みやエドワードの作った刈り込みが映画中の随所に映りこんだりして、おとぎの国での話であることを忘れさせない作りになっていますが、要旨はあくまで現実社会に置かれています。ちょっと前の話でいえば、事実上の公認候補を弟だとか息子だとか祭り上げながら当事者が逮捕されたら知らん顔の政治家たちを見て、この映画の言っていることが証明されたような気もしました。ストーリー面の話をすれば、序盤エドワードが街の人に簡単に受け入れられすぎでは、とも思いましたが。そこはご愛嬌ってとこでしょうか。[ビデオ(字幕)] 9点(2006-12-25 21:53:19)
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