みんなのシネマレビュー
ザ・チャンバラさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12

1.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 EPⅠⅡと実に惨い仕上がりでしたが、本作はそれらの続きとは思えないほど突出してよく出来ています。いよいよクローン戦争が本格化し、全宇宙が戦場に。全世界のファンが「ジェダイの復讐」以来待ち続けたのはこれでした。続々と登場するかっこいいメカの数々に、ジムの如く局地戦仕様に改造されたクローントルーパー、クローントルーパーの大群を率いてバトルドロイド軍団へ突進するジェダイ達。男子悶絶の映像が続きます。やればできるじゃないか、ルーカス!そして、このシリーズは毎回悪役が良いのですが、本作のグリーヴァス将軍も意表を突くデザイン、ユーモラスな性格付けで強烈な印象を残します。。。パルパティーンがついに本性を現し、アナキンがダークサイドに落ちると、物語はさらに加速。ジェダイや共和国の理念は破れ、アナキンはダースベイダーになるという結末はわかっているものの、それでも心をぐいぐい掴む強力な物語が展開されます。弟子を育て損ねたオビワンの苦悩、愛する旦那が宇宙一のワルとなり、おまけにその男の子供を妊娠しているパドメの苦悩が描かれるのですが、スター・ウォーズにおいてここまで深い人間ドラマが見られるとは思いませんでした。ラストのバトルにおいて、アナキンへの思いを叫ぶオビワンと、オビワンへの怒りを叫ぶアナキンの熱いやりとりは必見です。後半のドラマについては、期待を完全に超えるものとなっています。それに付随する描写も実に気合いが入ったもので、EPⅠⅡと残酷描写について腰が引けているのが気になったのですが、本作においては必要な場面をきっちり見せてきます。ジェダイが惨殺される場面や、両手両足を失い、さらには火だるまになるというアナキンの衝撃的な最後に至るまで躊躇がなく、ルーカスが腹を決めて本作を作っていることが分かります(EPⅠ公開の時点で、EPⅢは悲惨な内容になるため観客に拒絶されるかもしれないとルーカスは語っていました)。また、人類史において時折登場する悪の帝国とは一体何だったのかという考察も交えており、「今、自由は死んだ。万雷の拍手の中で」という名セリフは本シリーズがついにおとぎ話を超えたことを象徴しています。。。ファンの頭の中でパンパンに膨らんでいた以上のクライマックスを準備し、これまで水と油だった新シリーズと旧シリーズを見事につないでしまったのですから、本作の完成度は驚異的と評価するしかないでしょう。[映画館(字幕)] 9点(2010-09-02 00:19:39)(良:1票)

2.  スパイ・ゲーム(2001) 《ネタバレ》 公開時にはブラッド・ピット主演のアクション大作として宣伝されたため誤解を受けましたが、これは硬派で知的なサスペンスです(だからこそ、アクション大作への出演を嫌がるブラピもこの企画には参加したのでしょう)。「スパイ・ゲーム」は逆説的なタイトルで、これは鮮やかに敵を倒す痛快なアクション映画ではなく、神経を擦り減らすような死と背中合わせの駆け引きを描く作品です。よって派手なアクションはほとんどなく(終盤の救出作戦すら、地味な撃ち合いで終わる)、スパイという世界が持つ極限の緊迫感や、命をかけた「ゲーム」であることから生じる痛みを作品の核としています。序盤のベトナム以外にブラピが銃を撃つ場面はなく、カーチェイスも格闘もなし、敵と顔を合わせることもなし。現地の協力者を口説き、彼らを戦場に送り込む駆け引きがひたすら描かれます。作戦が敵に漏れていたため協力者を置き去りにして逃げたり、作戦の手はずを間違えて死なせてしまったりという痛みのドラマをきちんと描いており、スパイ映画としてはジェイソン・ボーン以上に誠実に作り込まれた作品だと言えます。。。と、このように硬派な作風であり、なおかつ過去の回想と現在の救出作戦が並行して語られるという厄介な構成をとるため、作りの誠実さの代償として娯楽性という意味では問題のある脚本だと言えるのですが、これがスコットの手腕により十分面白く作られていることには驚きます。派手な見せ場は少ないものの、美しいビジュアルにかっこいい音楽、キレのある編集により、勢いのあるアクションを見たような高揚感を味わえます。脚本にあったと思われる泥臭さは調度いい具合に抑えられており、必要以上に重い作品にしていません。ラスト、作戦名を聞いて師匠の仕業だと知るブラピと、ポルシェで颯爽と退場するレッドフォード、この締めはまさに痛快でした。話の交通整理もうまいもので、ややこしい構造の作品でありながら、特に混乱することがありません。困難な企画にあって、水準レベルのアクションは寝てても撮ることができ、プラスαの工夫に頭を使う余裕のあるトニー・スコットを引っ張って来られたことは幸運でした。そこいらの監督に任せていたら、観客の頭を混乱させるだけの映画になっていたことでしょう。頭空っぽの映画ばかり撮る監督だと思っていたトニー・スコットの見方が変わった一作です。[DVD(吹替)] 9点(2009-08-14 10:52:10)(良:1票)

3.  スピード・レーサー 1967年のオリジナル版シリーズも、1997年のリメイク版シリーズもどちらも未見。ということで特に思い入れも先入観もなく本作を鑑賞したのですが、メジャースタジオが1億ドルもの予算を投入した作品とは到底思えないブっ飛んだ内容には驚かされました。。。 コミックの実写化企画は数あれど、アニメの実写化企画と言えば他に『トランスフォーマー』と『G.I.ジョー』くらいしか見当たらず、しかもその2作は、着想こそアニメに求めていても内容は通常のSFアクションとして組み立てられていたことを考えると、アニメの完全再現にこだわった本作は非常にユニークな存在であったと言えます。その再現の度合は常軌を逸したレベルに達しており、人間とチンパンジー以外はほぼすべてが作り物、しかも60年代特有のケバケバしい色調が画面を席巻していてカッコよさとも無縁という、「一体、誰がこの映画を楽しむんだ?」と頭を抱えたくなるような壮絶な出来となっています。主人公が乗るマッハ号はオフロードもオンロードもOKで、しかもプライベートでの乗用車としても使用されていたり、車がゴムまりのようにポンポン飛び跳ねたりと、どう考えてもおかしな点まで一切の修正を加えず丸ごと実写化。「現代風にリメイク」という甘っちょろい言葉に逃げず、ストイックなまでに映画を作り込んだ監督達の執念には圧倒されました。。。 本作の1週間前には『アイアンマン』が公開されたという不運もあって興行成績は惨敗でしたが、そりゃ、ここまでやれば当然でしょう。監督の意図を理解しながら見なければヘンな映画としか映らないのですから、普通の観客ではちょっと付いて来られなかったと思います。ただし、特異なビジュアルで思考停止せず冷静に内容を評価すれば、その出来は決して悪くなかったと思います。レース場面と回想のカットバックによりアクションとドラマを融合させた序盤、『デス・レース2000年』のようなチープな展開で観客を和ませた中盤、そして、主人公一人で敵の総本山へ殴り込むクライマックスと、本編は綺麗に色分けされており、しかも、そのいずれもが高いレベルでまとめられています。定番とはいえ、クライマックスのゴール場面では大興奮させられましたとも。バカバカしいビジュアルの一方で、M&Aや株価操作といった子供向けとは思えない用語が出て来たり、やたら上映時間が長いといった歪さも含めて、私は愛すべき映画だと感じました。[映画館(字幕)] 8点(2014-01-20 01:18:23)《改行有》

4.  スターダスト(2007) 『ロード・オブ・ザ・リング』と『ハリー・ポッター』の大ヒットに触発され、ファンタジー映画が乱発されていた時期に製作された一本。大したヒットにならず終わったので今の今まで鑑賞してこなかったのですが、これが見てビックリ。結構な完成度だったので驚かされました。『ロード・オブ・ザ・リング』のような重厚長大な大作ではないためジャンルの代表作にはなりえないものの、中規模作品としては、実に理想的なレベルでまとめられています。。。 ファンタジー小説では、読者は世界観を一から理解する必要があるし、登場人物の数も多くなりがちです。読み返しの利く書籍ならともかく、観客の側が能動的に情報量をコントロールできない映画という媒体においては、そのような雑多な要素をどうまとめあげるのかが大きな問題となります。『ロード・オブ・ザ・リング』のように、当初より3部作構成で製作されることが決定しており、シリーズを合計すればタップリとした上映時間を稼げる作品であれば、そうした問題への対処も容易にはなるのですが、大半の映画はそれほど恵まれた環境では製作されません。まず1本撮り、ヒットすれば続編を製作。第1作については、単品で成立する程度に話をまとめておく必要があります。そして、多くのファンタジー映画はここで躓きます。物語をコンパクトにまとめるという過程において、原作が持っていた魅力的な要素を多く切り捨ててしまい、焦点の定まらない凡作が出来上がってしまうのです。。。 本作についても、3つのパーティが同時に動き、さらには冒険に絡んでくるサブキャラの数も多く、かつ、舞台の移動も盛んであり、一本の映画の枠に収めるにはなかなか厄介な素材だったと言えます。しかし、マシュー・ヴォーンはこの複雑な物語を、奇跡的な手腕でまとめてみせています。各キャラクターの背景や行動原理を的確に伝えており、また、端正なビジュアルによって世界観の特徴も表現できており、観客に情報を与えるという作業を非常にスムーズにこなしているのです。特に感心したのは、感動の高ぶりとともにイヴェインが光を発するという処理であり、この設定を挟むことで、ドラマが非常にわかりやすくなっています。また、この原作には性や暴力が少なからず含まれているのですが、ヴォーンはそうした毒を描くという点でも躊躇しておらず、その結果、血の通った真っ当な物語として仕上がっています。[DVD(吹替)] 8点(2013-11-18 00:46:39)(良:2票) 《改行有》

5.  スター・トレック(2009) 《ネタバレ》 旧シリーズの劇場版には一通り目を通しているものの、テレビシリーズは未見。ファンではないものの、主要キャラクターや物語の背景についての知識はある程度持っているという状況での鑑賞です。。。 21世紀に入り、スタートレックシリーズは危機的状況に陥っていました。劇場版の興行成績は回を重ねる毎にワースト記録を更新し続け、テレビの新シリーズの視聴率も初回から低迷。長年、固定客のみを相手に商売を続けた結果、一般の観客・視聴者には理解不能な程に世界観が複雑化したことがその要因であり、大幅なリニューアルによって新規のファンを取り込むことしか、シリーズの維持を図ることはできないという状況にまで追い込まれていたのです。しかし、これが難題でした。少しでも気に食わない点があれば大騒ぎをする旧来のファンを納得させつつも、一般の観客をも取り込まなければならない。このリニューアル企画に最初に挑んだのはテレビシリーズのクリエイター達でしたが、話をまとめきれずに企画は頓挫。結局、スターウォーズ派を公言するJJエイブラムスにシリーズの命運を委ねることとなったのです。。。 エイブラムスは奇想天外なアイデアで、この難題を片付けてみせました。エピソード0でもリメイクでもない、タイムスリップにより時間軸が歪められたパラレルワールドでの物語としたのです。このアイデアには唸らされました。オリジナルの時系列を引き継ぎながらも、設定などについては全面リニューアルをする。これなら旧来のファンは納得するし、新規のファンは設定を一から覚えられる。このアイデアを思いついた時点で、この企画は勝ちだったのです。。。 さらに、リニューアルのメリットはこれだけではありません。旧劇場版にはテレビシリーズの俳優陣がそのまま出演し続けたため、主要キャストは中年や初老ばかり。これが娯楽作としての大きな制約条件となっていたのですが、リニューアルによって出演者全体が若返ったことから、見せ場はダイナミックなものとなりました。エイブラムスの小慣れた演出とも相俟って、スリル溢れる連続活劇に仕上がっています。ロミュラン人の逆恨みはさすがに度を越していないか?とか、ラスト、身動きがとれなくなったロミュラン船を攻撃するカークは容赦なさすぎないか?とか、細かい部分には疑問符も付きますが、そんなことはどうでもいいと思わせる程の勢いのあるアクション大作でした。[映画館(字幕)] 8点(2013-08-26 00:50:46)(良:1票) 《改行有》

6.  ストーリーテリング 《ネタバレ》 トッド・ソロンズという監督は過激な題材を扱いつつも直接的な暴力や性描写は徹底して避ける人なのですが、「フィクション」編ではかなり露骨な性描写がなされています。また、主題について登場人物がセリフではっきりと喋ることも例外的であり、「フィクション」編はソロンズ作品としてはかなり異色な仕上がりなのですが、ここにソロンズの意図があります。恐らくこのパートは過激な描写があれば立派な社会派作品として扱われる風潮への反乱であり、外面的なショックのみに反応する観客達を挑発するためだけに作られたパートなのです。こんな底意地の悪い前振りを作り、そしてそんな前振りのためだけに当時人気が出始めていたセルマ・ブレアを裸にしてあんなことやこんなことをやらせたソロンズ、恐るべしです。 そうして「フィクション」編によるウォーミングアップを終えて後半の「ノンフィクション」編に入ると、映画のイタさはフルスロットル状態となります。殺人者やレイプ魔がひしめき合っていた「ハピネス」をも超える漆黒の闇が広がるのですが、そのあまりのイタさにすっかり魅了されました。本作にヘンタイは登場しないのですが、無気力人間スクービーを除く登場人物全員が無神経であり、本人の自覚のないうちに他人を傷つけまくります。「ハピネス」のような極端さがないだけこちらの方がリアルだし、身近に感じる分見応えがありました。さらに本作が凄いのは映画史上最大のタブーにまで踏み込んだことで、ユダヤ人の被害者ナショリズムや拝金主義にまで鋭く言及しています。「うちのおじいさんはホロコーストの被害者だ(おじいさんは戦前にアメリカに移民しているため、実際にはホロコースト経験者ではない)」と言い張るリビングストン家の人々が南米からの移民である家政婦をボロ雑巾のようにコキ使い、その献身に一切の感謝もせず使い捨てにしてしまうという展開が準備されています。その家政婦が善意の被害者であるかと言えばそうでもなく、レイプ殺人を犯した孫のために涙し(孫の無実を信じているわけではなく、孫は確かにレイプ殺人を犯したが、それは悪いことではないという無茶な論理で泣くのです)、ラストでは一家虐殺までを行います。とにかく登場人物全員がどうしようもなく、観客に何の拠り所も残さない徹底したダークぶりには恐れ入りました。 [DVD(吹替)] 8点(2011-10-24 23:47:55)(良:1票) 《改行有》

7.  スラムドッグ$ミリオネア 《ネタバレ》 映画は壮絶な拷問からはじまり、ジャマールから語られる人生は、目の前で母を殴り殺され、ヤクザに目を潰されかけ、兄貴は人殺しをしてヤクザの道に入り、惚れた女はヤクザの親分の女になっていたという、文章にするだけで鬱になりそうな内容。しかし映画には妙な明るさが漂っており、どれだけ酷い目に遭っても暗くならずに人生を突き進もうとするポジティブな映画でもあります。なかなか珍しい食感の映画だなぁと思って見ていたのですが、思い出せばダニー・ボイルが注目されるきっかけとなった「トレインスポッティング」も同様の感覚を持った作品でした。本作は新しいタイプの映画のようでいて、実はダニー・ボイルにとっては原点回帰のような作品なのです(便所へのダイブまで共通しています)。ボイルならではのこの食感による作品への貢献は大きく、ハッピーエンドで終わるのかバッドエンドで終わるのかがまるで見えてこないため、ジャマールの思いが届くのか最後の最後までハラハラさせられます。ラティカが電話に間に合うかどうかなんて、古典的な仕掛けなのにこれ以上ないほど手に汗握りましたよ。ラストでは、10人中9人の監督は不正解とするであろうところを、本作はあえて正解にしてジャマールに女と金の両方をプレゼントしてあげた本作の判断はなかなか粋。私は支持したいと思います。粋と言えば、最後のテロップにおける「ジャマールがクイズを正解できた理由‐運命だったから」という締めも粋でしょう。学はないが人生経験は誰よりも積んでいるジャマールが、その人生で見聞きしてきたことがクイズとして出題されるという展開はさすがに都合良すぎじゃないかと思っていたのですが、「運命だったから」なんて言われると、こちらも「うまいこと言うねぇ」と寓話としての美しさに納得せざるをえません。こういう良い意味での強引さこそ、作り話の醍醐味でしょう。映画の面白さの本質、物語の面白さの本質までを再認識させられた本作には、私は大満足しました。。。以下は本当に小さな問題点を指摘しますが、私が唯一引っ掛かったのはインド版みのもんたの反応です。インドでクイズミリオネアがウケているのは貧乏な視聴者に夢を見せられるからであり、その夢を実現しようとするジャマールの出現は、番組サイドからすれば歓迎すべきことのはず。しかし、司会者はなぜ彼の足を引っ張ろうとしたのか。ここだけが納得できませんでした。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2010-08-02 00:17:08)(良:1票)

8.  スネーク・フライト なんと天晴れなバカぶり!飛行機で毒蛇が暴れる、小学生のような一発アイデアを恐ろしく素直に映像化したこの映画の自覚したB級ぶりは見ていて惚れ惚れとします。この映画に感動はいらない、難しい話もいらないとばかりに、ただひたすらパニックの連続を見せ付けるこの潔さ。「ヤクザはどうやって目撃者を見つけたんだ?」「あの短時間でどうやって大量の蛇を機内に持ち込んだんだ?」「飛行機墜落させるなら蛇仕込まずに爆弾仕掛けろ」等、深く考えれば納得しがたいこのお話も、説明的な描写やドラマ部分を極力排除し、怒涛の勢いで危機に襲われるハイパワー演出の前ではまったく気になりません。「飛行機に蛇がいっぱい(原題)」という素晴らしいタイトルが気に入っただけで出演を決めたサミュエル・L・ジャクソン以外の出演者は全員無名、10年も前にERを引退したジュリアナ・マルグリーズがヒロインという、下手すればそこいらのB級映画以下の出演陣の醸し出す絶妙な安さがこの映画の無理矢理ぶりをさらにサポート。「ああ、そういう映画なのね」という空気が全体を覆っているので、見ている間は自然と深いことを考えさせられず、偏差値ゼロの心地よい空気が楽しくて仕方ありません。無茶苦茶な設定だからこそ話の先が読めず、そんな荒唐無稽な話に疑問を抱かせないよう良い意味で安い演出をほどこし、無名の出演者ばかりだからこそ次に誰が死ぬかわからない。脚本・演出・演技の各要素がうまく補完し合い、なかなかバランス良く作られているのです。この監督は前作「セルラー」でも感心させられたのですが、ワンアイデアの面白い話を見せることにかけては天才的。蛇が襲い掛かってくる時のスリルや緊張感はそこいらの大作を凌ぐレベルだし、その間には笑える場面も入れてまったく飽きさせず、最後までダレることなく一気に見せる采配は見事なものです。そして最後の危機を乗り越え迎えた大団円では、助け合いながら戦った男女が「今度食事にでも」なんてナンパし合うという、「パッセンジャー57」や「エグゼクティブ・デシジョン」などという10年前のB級アクションの定番の締めで話は終わります。わかってらっしゃる!マジメに映画を見ている人たちは怒るかもしれませんが、ヴァン・ダムやセガールをたしなむ人たちにとってはゴッドファーザー級の傑作であることを申し上げておきます。[映画館(字幕)] 8点(2006-10-28 14:19:08)(良:7票)

9.  スパイダーマン2 やたらおもしろかったです。ピーターのしょっぱすぎる生活がブルーな前半ですが、絶妙なタイミングでユーモアを入れてくれるおかげで「X-MEN」のように辛気臭くならないのがよしです。とくに、糸を出せなくなったスパイダーマンがエレベーターで帰るシーンは映画史上屈指の名シーンです。本当、前半のピーターはかわいそうすぎですよ。しかもその悩みってのが「バイトをクビにされた」「彼女ができない」「家賃を払えない」「単位がヤバイ」などいちいち日常的すぎるので、一方なんの特殊能力もない私でも理解可能な切なさでした。スパイダーマンを見に行ったはずなのに、私まで「ヒーローなんてやめちまえ」と思いましたからね(「部活なんてやめちまえ」に近い感覚で)。しかし、その悶々のおかげで後半が活きてくること。スパイダーマンを求めてる人はいる、それを知ってからの躍動感は最高です。そして、付き合いたいのに付き合えないMJ、彼女に正体を見られた時の開放感も共有できました。よかったね、ピーター。スパイダーマンってのは気のいいお隣さんみたいな人なんです。ちなみに私はキルスティン・ダンスト懐疑派なのですが、前作に輪をかけてブ○イク問題は深刻になってませんでしたか?あと、MJの彼氏の宇宙飛行士を見て、なぜか「スピーシーズ2」を思い出してしまいました。8点(2004-07-15 17:31:46)(良:3票)

10.  スタンドアップ 《ネタバレ》 私は男性です。そして、現在のフェミニズムは「男女共生」を越えて「男性蔑視」の領域にまで足を踏み入れているので賛同し難いと感じているし、男女間には厳然とした差異があるのだから、社会においてある程度の棲み分けが発生するのは仕方がないというのが私の持論です。そういった点において、私は本作の主人公と敵対する側にいる人間なのですが、そんな私でも本作には素直に感動できました。とにかく脚本が良すぎるのです。サジ加減を間違えればお節介な啓蒙映画になりかねなかったこの題材を、ここまで見事にまとめてみせた手腕は賞賛に値します。。。 やむにやまれぬ事情でシングルマザーになってしまった、しかも家のローンもある。主人公が高収入の仕事に拘らねばならなかった背景をコンパクトにまとめた序盤から、その仕事ぶりは絶好調です。同様に、主人公以外の登場人物についても各々の背景や行動原理が的確に伝えられており、そのことによってドラマが非常にわかりやすくなっています。全体の構造も戦略的によく練られていて、社会問題を扱いながらも中心はあくまで家族の物語としたことで共感の接点が広がっているし、小難しい法律論を最小限に留めることで混乱が避けられています。「仲間を二人集めることができれば勝てる」という単純な図式にまで裁判を落とし込んでいるのです。さらには、仲間二人を集めることがいかに困難であるかという点も十分に描き込まれていて、最後までハラハラさせられます。閉塞的な田舎を連想させる原題が示す通り、舞台はNYやLAではありません。ひとつの炭鉱が消費し、納税し、職を生んでいる。街全体が炭鉱によって生かされているという状況において、これに戦いを挑むという行為は街全体を敵に回すことと同義なのです。その他、主人公に対するセクハラ行為や悪意あるウワサなどでは心底不快な思いをさせられるし、後半になって意外な人物が味方に加わるという展開には燃えさせられました。娯楽的なツボもよく心得ているのです。。。 唯一の不満は、ラストのまとめ方が安易過ぎたこと。悪意ある証言者を弁護士が汚い言葉で挑発し、証言者はその挑発に乗ってしまうという展開は、さすがに非現実的すぎるでしょう。一連のやりとりに感銘を受けて傍聴者全員が主人公に賛同のパフォーマンスをとるクライマックスも作り物的過ぎて、ここで一気に冷めてしまいました。[DVD(吹替)] 7点(2013-03-20 02:52:08)(良:1票) 《改行有》

11.  スリザー 《ネタバレ》 50年代のモンスター映画を観て育った世代が80年代にそれらの作品のリメイクを続々と発表し、そして80年代のモンスター映画を愛するジェームズ・ガンが、21世紀のテクノロジーとねじれた笑いのセンスでモンスター映画を再度蘇生させたのが本作です。この映画は「懐かしさ」や「お約束」の塊なので、過去のモンスター映画を観ていない人にとっては苦しい作品です。元ネタを知らないモノマネを見ているようなものですから。ただしその手の映画が好きだった人にとっては、本作はなかなかイケると思います。隕石に乗って地球に飛来する冒頭にはじまり、田舎町という舞台設定、「うちの夫がヘン」という導入部、ブレインスナッチに、ニュルニュルの触手に、ゾンビ状態の感染者にと、B級モンスター映画としてはほぼフルスペック状態となっています。警官達が装備を整える場面で、一瞬「プレデター」の音楽が流れた時には感動いたしました。本作には二人のヒロインがいるのですが、片や入浴中に襲われ、片や下着姿でラストバトルを迎え、おっぱいへのこだわりも十分なのです。「胸の谷間を撮りたいだけじゃん」という場面がいくつかある点など、実によくわかってらっしゃる。そんなこんなで80年代モンスター映画の総決算をやる一方で、21世紀ならではの捻りもちゃんと加わっています。笑っちゃいけないところで笑う、さすがに殺しちゃマズイ対象(子供、犬、お年寄り)を殺す、街が全滅して終わりという残酷すぎるラスト(80年代であれば、ボスを倒したことで寄生体が死滅し、意識を乗っ取られていた住民たちは正気に戻るというオチにしたはず)などです。この手の映画に免疫のない方が見ると「ちょっとやりすぎではないか」と思うかもしれませんが、このくらいネジの飛んだ映画というものも、たまには良いものです。[DVD(吹替)] 7点(2012-02-04 14:47:32)(良:1票)

12.  スパイダーマン(2002) 当初はキャメロン監督&ディカプリオ主演とアナウンスされ、映画版スパイダーマンは凄まじい超大作になると期待されていました。しかし90年代当時のマーヴルコミック社は借金まみれでスパイダーマン映画化権の所在が不明確となっており、法的な処理が進まない中でキャメロン組は断念。その後名前の挙がったサム・ライミ&トビー・マグワイア組には、世界中で落胆の声があがりました。サム・ライミ…低予算ホラーの監督に大作が務まるの?トビー・マグワイア…誰?。。。しかしフタを開けると、この二人が良かった。X-MENシリーズ、旧バットマン、新バットマン、成功するアメコミ映画は、監督のカラーがはっきり出ているものです。その点、本作はサム・ライミのカラーが発揮されており、しかもその個性がスパイダーマンという作品にしっくりきています。この人は低予算ホラー出身であるためか、いくら予算を積んでもなぜか大作感が出ないという特徴があります。本作は200億円を超える史上最大規模で製作された作品なのですが、そんなに金のかかった映画に見えません。アメコミ大作に慣れた現在の目で見るから安っぽく感じるというわけではなく、公開当時にも「映像がプレステ並み」という批判があがっていたほどで、映画全体に妙なチープ感が漂っているのです。これは通常の大作であれば致命的な欠点なのですが、スパイダーマンにはこの空気感がマッチしています。本作は大いなる力をたまたま手に入れた平凡な青年の物語であり、大袈裟な超大作であってはならない作品。たまにドジもする人間臭いヒーローには、この空気感でなければならないのです。またスプラッタホラーでコメディをやってみせたライミだけあって、スリルと笑いのバランスの取り方は慣れたものです。この味は、例えばブライアン・シンガーやクリストファー・ノーランには絶対に出せないもので、キャメロンでもここまでうまくは出来なかったと思います。マグワイアのハマり具合も抜群です。ディカプリオがやっていればピーター・パーカーが特別な人間になってしまったところですが、マグワイアが演じたことでイケてない普通の高校生となりました。キルスティン・ダンストは確かにブサイクでしたが、下町感溢れる本作にはあの程度が調度良かったんじゃないですかね。あそこでナタリー・ポートマンみたいのが出てきたら、ひとりだけ浮いてたでしょう。顔の分はおっぱいで取り戻してたし。[映画館(字幕)] 7点(2010-01-02 19:56:14)(良:3票)

13.  300 <スリーハンドレッド> 原作は未読ですが、すべてのカットに「コミックをまんま実写化してやるぜ!」という作り手の気合が満ちていて、これを見てしまえば原作を読む必要はないのではないかという勢いです。本場のスパルタ教育を見せつけられる冒頭から突っ走ってます。生まれた赤ん坊は選別され、子供の頃から暴力の世界に放り込まれる容赦のなさ。スパルタという国とこの映画の作り手はガチンコですよ、何のためらいもありませんよという心意気をここでガン!と見せつけられます。スパルタの元気な兵士達の如く、この映画はあらゆることに躊躇がありません。エロ、グロ、人種差別、障害者差別、普通のハリウッド映画なら良心的に避けるネタを恐れず扱い、血生臭く生きた古代の男たちの物語を、古代の倫理観で描いてみせます。本作のようにお金のかかった大作であっても、骨抜きにしてはならない企画にはかなり自由を許すハリウッドの柔軟さ、企画の本質を理解して適切な意思決定を下せるそのシステムには、素直に感心します。気合入れてトンチンカンなことをやってしまう我が国の映画産業とはやっぱり違うなぁと。そんな本気の原作・脚本を受け、監督の演出もやっぱりガチンコ。前作「ドーン・オブ・ザ・デッド」もビジュアルで押し切る映画でしたが、本作ではまったく違う画面作りを見せるあたりに監督の底知れぬ才能を感じます。100万人の大軍勢を相手に300人で戦うというムチャな話ながら、スパルタ兵ひとりひとりの強さ、誰かが攻めている時は誰かが守っているという合理的な戦法をわかりやすい形で画面に提示したことで、映画を成立させるだけの説得力は維持できています。多国籍軍たるペルシアが次々と繰り出すマンガチックな軍勢の実写化も見事で、こういうキャラ立ちした敵が多いと男子は燃えるのです。また、こうした敵以上にスパルタ軍の濃いこと。常に目がギラギラ、一言しゃべるにも血管が切れそうな地中海の中尾彬ことレオニダス王を筆頭に、男臭いを通り越した300人の男たち。友軍と合流した際に「たった300人かよ」とガッカリされると、友軍の兵士を指さし「お前の職業は?」「鍛冶屋です」、「お前は?」「パン屋です」…「本物の兵士の数なら俺たちのが多いぞ!うぉ~~~!」終始このテンションなのです。圧倒的なビジュアルと並んで、このまっすぐな男たちについても「珍しいものを見たなぁ」という気分にさせられます。[映画館(字幕)] 7点(2009-09-17 22:19:34)

14.  スーパーマン リターンズ 《ネタバレ》 9.11やアフガン・イラク攻撃などアメリカにとって波乱の21世紀においてなんでも解決してくれる無敵のヒーローは成立するのだろうかという難題に挑み、そこに突破口を作ってみせたブライアン・シンガーの手腕は相変わらず見事でした。かつての恋人に「スーパーマンはなぜ不要なのか?」という論文を書かれ、それがピュリッツァー賞まで受賞するほど変わってしまった世の中。町の人助けやちんけな犯罪者の成敗はやってくれても、テロや戦争など人類が抱える本当の困難には立ち会ってくれないじゃないかという大きな矛盾を前提としてこの作品は作られていますが、それに対する答案をきちんと準備しているのが立派なところ。スーパーマンは神のごとき力を持って世界を救うヒーローというよりも、目の前で困ってる人をほっておけない気の良い超人というスタンスを明確に出してきているのです。最初から最後まで基本的に彼は知り合いを助けるために戦っていることからも、彼の戦いの目的が個人的な方向へシフトしていることがよくわかります。また、スーパーマンに救われた人たちが感謝と尊敬を示すリアクションが丁寧に描いているあたりからも同様の意味が感じられます。墜落する飛行機を救う大スペクタクルの後に、スーパーマンの華々しい帰還を大歓声で迎える観衆が映し出される場面はまさに象徴的で、彼が観衆に支えられる市井のヒーローである(だから難しい世界情勢ではなく目の前の事件に立ち会うのみ)ことがよく描かれています。スーパーマンが病院に運ばれるというヒーローものとしてはありえない展開も、21世紀のスーパーマン像を確立する大博打だったと思います。徹底的なリアル路線にシフトしたバットマンよりも、ヒーローへのロマンと現実のうまい折衷をやってのけたスーパーマンの試みの方を私は評価します。そういえば劇中スーパーマンの活躍を報じるテレビの中から「ゴッサムでも目撃されており」という発言がチラっと聞こえるのですが(字幕では未訳)、バットマンの町にまで人助けに行っちゃダメでしょ。映画全体は恐ろしいまでに丁寧に作りこまれており、テンポも遅いのでやたら冗長に感じますが、それはスーパーマンに対する思い入れの違いだと思います。ガンダムが普通のアクション映画になっていたら日本人としては許せないのと同じ感覚で、アメリカ人にとってのスーパーマンはこのボリュームがふさわしいのでしょう。[映画館(字幕)] 7点(2007-02-11 17:28:21)(良:1票)

15.  ズーランダー 「モデルはバカ」だけがテーマという、実に素晴らしい映画です。笑いましたとも。この映画はキャラ設定がすばらしすぎます。ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンというちょっと違う顔の2人が超ナルなモデルを演じる一方で、まさしくスーパーなルックスのミラ・ジョボビッチがブっとんだビッチを演じるというこのバランス加減。そんなファッション業界のバカさ加減がもう最高です。とくにラスト、必殺の‘マグナム’が決まるシーンは大爆笑でした。ちなみにこの映画、吹き替えで見ないと笑いが3分の1以下に激減します。「日本人ではアメリカのコメディーは笑えない」というよく意見はよくあるし、私もその通りだと思いますが、吹き替えでなら声優がそのギャップをかなり埋めてくれています。やっぱり笑いは言葉が命ですよ。せっかくのネタをぶっきらぼうな字幕で読まれてしまっては、ベン・スティラーも浮かばれません。7点(2004-09-11 03:00:57)

16.  スカイ・ハイ(2005) 《ネタバレ》 みなさんご指摘の通り、『ハリー・ポッター』と『X-MEN』を『Mr.インクレディブル』風に料理した映画なのですが、ディズニーらしい丁寧な脚本が光っており、90分間充分に楽しめる娯楽作となっています。適度に笑わせ、適度に感動させ、適度に燃えさせる。合間に挿入される「ヒーローあるある」も楽しくて、誰もが見入ってしまうほど面白い映画ではないでしょうか。。。 と、娯楽作としては文句なしに面白いのですが、構成には首を傾げざるをえない部分が多々ありました。【目隠シスト】さんがご指摘の通り、主人公が能力を発現させるタイミングがあまりに早すぎるのです。この映画はヒーローもののパロディという体裁をとりながらも、その内容は現実の高校生の実態を描いたものです。優秀な両親の息子として周囲からの期待を集めながらも、それに見合った器に成長できない主人公の葛藤がドラマの骨子であったはずなのに、中盤で早々と学園最強クラスの能力を開花させてしまったのでは、この映画がやろうとしたことが見えなくなってしまいます。また、本作はスクールカーストを描いた映画でもあります。子供達は大人によって「ヒーロークラス」と「サイドキッククラス」に分けられ、そうした大人による選別がスクールカーストという形となって子供達の人間関係にも深刻な影響を与えています。少なくとも前半では、その問題をかなり真面目に扱った映画だったように見受けたのですが、やはり主人公が強くなりすぎたことで、この点も中途半端になってしまいます。このテーマであれば、「ヒーローかサイドキックかという選別に何の意味があるのか?落ちこぼれが役に立つ時だってあるのだ」という展開とすべきだったのに、主人公がスーパーサイヤ人化してしまったことで、物語に意味付けができなくなってしまいます。主人公は最初から最後までダメな奴だが、苦しんだ挙句に両親とは違うヒーロー像を確立するという物語にすべきだったのです。また、かつてヒーローになる道を断念したバス運転手が、最終的にヒーロー化するというオチなどは最悪で、結局は「みんなヒーローになりましょう」という、作品全体の方向性とは正反対の結論を導き出すに至っています。[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-06-17 01:34:42)(良:1票) 《改行有》

17.  スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい 『NARC/ナーク』で注目を集めたジョー・カーナハンの初メジャー作品。カーナハンは『NARC/ナーク』を気に入ったトム・クルーズ直々の指名を受けて『ミッション・インポッシブル3』の監督に抜擢されるも、作品を完璧にコントロールしたがるトム・クルーズと馬が合わずに途中で降板。その時に受けたストレスをぶつけるかの如く「俺はこんな映画が撮りたかったんだぁ!」と暴走したのが本作なのですが、訳の分からん登場人物が入り乱れる内容を器用にまとめており、相変わらず抜群の構成力を披露しています。また、コメディを基調としながらも湿っぽいドラマが同時進行しており、引くほどのグロテスクな暴力描写も含まれるというおかしな味わいの内容なのですが、そんな無茶な内容を不思議な統一感でまとめてみせた手腕も見事なものです。同時期にトニー・スコットが『ドミノ』で同様の試みをして失敗しており、カーナハンが本作で披露した技って実はかなり高度な芸当だと思います。こんな映画を撮れる監督は世界に10人もいないのではないでしょうか。。。 とまぁ監督の技見せとしては素晴らしい作品なのですが、観客が楽しめる作品かと聞かれれば、正直微妙なところです。後の『特攻野郎Aチーム』もそうだったのですが、この監督は娯楽的な盛り上�げというものを不得意としています。見せ場の作り込みは良いもののそれを見せるタイミングが今一つで、本質的には娯楽映画に向かない監督さんだと思います。カーナハンを切って、後にヒットメーカーとなるJJエイブラムス(当時はテレビドラマのプロデューサーという印象が強かった)を『ミッション・インポッシブル3』の後任に据えたトム・クルーズの判断は正解だったようです[DVD(吹替)] 6点(2012-08-03 01:06:18)(良:1票) 《改行有》

18.  スペース・カウボーイ 《ネタバレ》 前半部分はかなり面白く、マジメなドラマばかりのイーストウッドが軽いコメディを撮って、狙い通りに笑わせている器用さには感心しました。しかし、宇宙に飛び出して以降は話のテンションが一気に落ちてしまいます。これについては脚本と演出の両方に難があって、通信衛星アイコンが実は核ミサイルの発射ポッドだったとが判明し、当初計画していた修理が難しいということになるのですが、何がどう難しいのか、修理を失敗するとどんな危険があるのかの説明が不足しており、このために劇中の登場人物達は「大変だ、大変だ」と騒いでいるものの、観客にはその温度感がイマイチ伝わらないという現象が発生しています。後半は万事こんな調子、一体何が問題で、それはどう危険で、対策は何なのかという説明がすべてにおいて不足しています。このため、ラストの自己犠牲もまったく活きてきません。そもそも、事態を致命的に悪化させた原因が功を焦った若造による勝手な行動だったという設定が良くないのでは?地上では対立していたおじいちゃんチームと若者チームが一致団結してこそ、直面している事態の深刻さが観客にも伝わってくるというもの。若造のうちのひとりは事態を悪化させ、もうひとりは気絶して寝ているだけ、おじいちゃんチームのうちサザーランドとガーナーは事態を眺めて「こりゃ大変だ」とコメントしているだけ、危機と戦っているのが実質的にイーストウッドとジョーンズだけでは、せっかく揃えたチームがムダになっています。危機に対して各自が特技を発揮し、その中で若造チームがおじいちゃんチームの腕前を認める場面があり、それでも処理しきれない危機については「後先短い俺達が何とかする」とおじいちゃんチームが自己犠牲を買って出るという展開でよかったのではないかと思います。なお、ILMによるVFXは非常に秀逸で、宇宙映画においてここまで描写の充実した作品は、2010年現在に至るまで他に存在していません。NASA全面監修はダテじゃなく、トラブルの際に宇宙空間に散らばる塵や破片の表現や、宇宙から見た地球や月の描写の美しさや正確さには驚かされます。巨大ロボットの如くガシャンガシャンと変形する通信衛星アイコンもかっこよく、こちらでもイーストウッドの意外な器用さを楽しむことができます。[映画館(字幕)] 6点(2010-09-05 00:39:03)(良:1票)

19.  スーパーバッド 童貞ウォーズ 《ネタバレ》 プロデュース&脚本を担当したジャド・アパトーの手腕によってコメディとしては上々の仕上がりで、かなり笑えます(特にバカ警官コンビは最高)。しかしこの内容で113分は長すぎるように感じました。前半は最高に楽しめたのですが、後半では飽きてしまいます。この手のバカ映画は90分ほどでサクっと終わるのが理想だと思います(「オースティン・パワーズ」は95分、「裸の銃を持つ男」に至ってはたったの85分)。モテないバカ男子の情けない青春物語を売りにしている割には、意中の女子から勝手に惚れられたり、粘り勝ちで良い感じになったりと意外にも恋愛がうまく進んでしまうことも違和感で、本当にモテない奴の青春はそんなに恵まれてないわけです(涙)。悪戦苦闘したものの結局女子からは相手にされず、とぼとぼと家に帰りながら「何だかんだで今日の冒険は楽しかったし、友情っていいもんだ」と実感するようなオチの方が、このテーマにはしっくりきたのでは?[DVD(吹替)] 5点(2010-08-15 15:49:06)(良:1票)

20.  ステルス いまだにこういう映画を作ってる人たちもいるんだな~ってしみじみしてしまいました。低脳の極致を行くこの映画は80年代にスタローンやシュワルツェネッガーが出まくってたのと同じにおいがします。敵を殺しまくり、悪い国を成敗しまくって最後に主人公が生き残るこのパターン。アクション映画好きな私はこういうノリも大好きだったんですが、今の時代にいきなりこういうのが現れても素直には盛り上がれない、時代は変わったんだなと実感しました。単純な勧善懲悪を「痛快」の一言で片付けられる時代でもなくなってるんですね。例えばテロリストを殺すためなら当然のように他国を領空侵犯し、ミサイル攻撃してビルひとつを崩壊させる。こんな行為が英雄的に描かれ、「巻き添えは出ませんでした。成功です。やったー!」と手をたたいて喜んでる場面。思えばトップガンのクライマックスも領空侵犯して他国と非公式に交戦するという似たようなものでしたが、80年代には素直に盛り上がれたこの展開も、今の時代に見せられては素直に興奮できなくなってしまっています。「いくら悪いやつがいるからって、よその国を勝手に攻撃しちゃいけないよ」という感覚が常識となっているためですが、一方この映画を製作した人たちは、世間の人たちがこんな単純な話に素直に盛り上がると本気で思ったのでしょうか?これを製作したのはソニーピクチャーズという会社ですが、ソニーが製作する娯楽作はスパイダーマン以外ロクなのがありません。バーティカル・リミット、SWAT、ティアーズ・オブ・ザ・サン、バッドボーイズ2、アンダーワールド、パニッシャー・・・爆破さえ見せてれば盛り上がると勘違いした映画に大金を投入し続けているようです。エアフォース・ワンが思った以上に稼いでくれた97年以来、方針がまったく変わっていないような気がします。もうちょっとよく考えて映画作りましょうね。[DVD(吹替)] 5点(2006-10-21 19:06:17)

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS