みんなのシネマレビュー |
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2. 蝉しぐれ 子役→市川染五郎はそれほど年齢差が出ていないし、子役→木村佳乃はあまりにも子役が幼すぎることから劇的に年齢差を感じさせます。よって子役→成人のバトンタッチがぎこちなく、スムーズにストーリィが運ばれない。市川、木村それぞれが初めから演じた方がよかったように感じます。違う人物が演じるなら、例えば“ふく”は、蛇に噛まれた傷跡を、文四郎は与之助を助けた時に傷を受けたことにして、その傷を意匠として同一人物に描く映像的工夫が欲しいところです。そして桜、蝉、稲穂、雪など季節の移り変わりを叙情的に切り取るのはいいのですが、ラストの回想シーンの連なりは感傷的な音楽と重なり少し安易で、ここは文四郎とふくの主観ショットで、何もない現在の空間(蛇に噛まれた川、荷車を押した坂道、花火を見た祭りの場など)を写し、そこに過去の思い出を観客に蘇生させた方がより映画的だったのではないかな~と考えながら映画館を出たのでありました。[映画館(字幕)] 6点(2005-10-25 12:49:03) 3. 戦艦ポチョムキン 日本のプロ野球史上初のストライキが決行されることになりました。ということで、エイゼンシュテインさんのレビューでも書きましょう。「ストライキ」は未見ですが、その翌年に撮られたこの作品、艦内の労使対立からおこる反乱、それに引き続くオデッサの街の銃撃を喉元を抉るような鋭く、そして瑞々しいショットで描いています。驚愕です。とにかくカットを割って語ってくるのですが、いまさらながらモンタージュの完成度には唸るほかありません。後半、ほとばしる艦内の部位がカットでつながれ、噴き出した黒煙と光り輝く海面の白さとのコントラスト、戦艦の息遣いをまさに肌で感じるような映像です。オデッサに寄港したした時の、夕陽をバックにした帆船のショットの静的な美しさが、その前の反乱とその後の銃撃をつなぐ緩衝として実に効いています。オデッサの街の群衆、その叫び、悲鳴。イデオロギーの是非、善悪の判断は然るべき場に譲るとして、この映画は熱い、とにかく熱い!私の本棚には「エイゼンシュテイン全集」の第1巻が誇らしげに収まっているのですが、こちらは厚い、とにかく厚い、こともないのですが、まだ読んでいません。最後にプロ野球にも再び熱き戦いを!10点(2004-09-18 00:31:34)(良:2票) 4. 生活の設計 おっなんだ、フランス語かこの映画は・・・んなわけなくこれも伏線でした。さて、『極楽特急』に続き、ミリアム・ホプキンス嬢が登場。オープニングの列車のシーンだけ見るとこっちが『極楽特急』かと思ってしまいますが、そんなことはどうでもよくて、ホプキンス嬢は前作の泥棒役さながら、今度は男性二人の心を同時に奪ってしまった・・・が、ジルダも2人を愛してしまった。ジルダは2人に「ノー・セックス」。おー、ソフィスティケーション・コメディの本質が語られた。それだけでもこの映画には価値がありそう、だ。見せない演出の醍醐味は終盤に登場。パーティーを無茶苦茶にする2人を扉の向こうの音だけで表現。今ならここぞとばかりのドタバタがこれでもかと描かれる場面ですね。扉といえば笑ったのが「20の扉」。NHKの人気ラジオ番組ですが、ルビッチだけに「20の扉」というのは出来すぎてるなー。最後にタイプライターの“チーン”だけで象徴された愛、これには、この野郎またやりやがったと毒づいてしまいました。あー、私の部屋ではむなしく電子レンジの“チーン”が今日も鳴るのでありました。9点(2004-06-11 23:55:52)(良:1票) 5. 世界の中心で、愛をさけぶ うーん、なぜだろう、心が動かなかったなー。周りから聞こえるグスグスに反比例するように心は乾きっぱなし。監督の前作『きょうのできごと』は行定色たっぷりで満点を献上しましたが、今作は『ひまわり』の延長上にある死生観、残された者のけじめというテーマが、なんかあっさりし過ぎていて肩透かし。最初は監督を断ったのもわかるような気がしました。『花とアリス』(同カメラマン)では気にならなかったカメラの揺れもこの作品では、テーマの重みからか「頼むからもっとどっしりしてくれー、止まってくれー」とさけび続けました。愛をさけばしてはくれず、残念無念の一本。 実際に頭を丸めた長澤まさみの役者根性に+1点。5点(2004-05-11 17:36:37) 6. セント・マーティンの小径 リー演ずるリバティのサクセスストーリーと大道芸人チャールズの哀しみ。リバティは確かにスリ→大道芸人→舞台、そして今度はハリウッドか、というところまで出世していくのですが、なぜか私にはそんなに成功しているようには見えませんでした。それは、大道芸人としてセント・マーティンの小径で踊っている姿が、もっとも生き生きしているように見えるからでありまして、チャールズの前ではおかしな子はやっぱりおかしな子のままだからでありました。そして実際リーはこの翌年、あの映画に出るんですねー。セント・マーティンの小径は出世街道に通じていたのでした。5点(2004-04-20 23:17:51) 7. 戦場のピアニスト この映画の感動の無さは、家族を見捨てて自らのみ生き延びようとしたピアニストのエゴに尽きる。ふつうは、例え犯罪者でもいつのまにかその人物に同化してその成功を祈る自分に気付くものだが、このピアニストの場合は、全くそんな気が起こらなかった。『ライフ・イズ・ビューティフル』のグイドを見習ってほしい。こう思うことこそが、現代にぬくぬくと生きる戦争を知らない者のエゴだということは分かっているのだが・・・。4点(2004-03-25 22:33:20)
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