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61.  魂のジュリエッタ ジュリエッタ・マシーナって、俳優としてはそれほどうまい人じゃないと思う。“嫉妬”なら“嫉妬”とそれだけをデジタル的に表現して、あんまり膨らみがない。ジェルソミーナが良かったのは、その単純さが効果を出したからだろう。ただこの作品での彼女は、ひとつひとつの演技はそういった型通りの表現なんだけど、演技以前の「オスマシしている女の子がそのまま大人になった」感じとか、「ビクビクしているのを覚られまいとしてる女の子がそのまま大人になった」感じ、といった、おそらく彼女の地なんだろうが、少女時代をそのまま引きずってるようなとこが生きていて、いいの。亭主の監督が知り尽くしていて、それを生かすドラマに仕立てたからだろう。まだこれは『サテリコン』『ローマ』といった完全なフェリーニレビューではなく、レビューのような幻想と“普段”とが拮抗した世界にとどまっている。でもそのために幻想性の効果は高まった。祖父のサーカス、火刑芝居、隣家のパーティ、庭での心理劇…。ストーリーの軸にあるのは“相談”。降霊術とか、宗教家とか、探偵とか、彼女は相談して回る。相談することで記憶や夢や妄想といった幻想の世界から普段の世界へ戻りたいのに、ますます幻想に捕えられ、ついにラス、室内に幻想が雪崩れ込む場を迎えるわけだ。そして最後のカットは退場したはずの幻影の呼び声でさまよい出すヒロイン、これ以後のフェリーニ映画は何か吹っ切れたように、幻想を何の遠慮もなく展開していくことになる。そういうきっかけの映画として、やはり忘れ難い作品だ。[映画館(字幕)] 8点(2009-06-30 12:08:59)

62.  ダージリン急行 《ネタバレ》 移動撮影が、対象を追って動くというより回り舞台的な効果を狙っていて、特徴。こっちで何かしていて、それであっちのほうは…、というふうに、対象以外にヨソミをするような移動やパンなの。横に長い列車を行ったり来たりする、そのキョロキョロしている感じがちょっと面白い。インドでの子どもの葬式が終わって、帰りのバスを待っているところ、90度のパンで、前方、横手、後方、とキョロキョロ見晴らす。でそれがなんだ、と言われると困るけど、ちょっと面白かった。しかしあくまで「ちょっと」なのであって、一本の映画としては、私には物足りなかった。それぞれ疑心を抱きながらインドを旅する三兄弟って設定はまずくなく、もっと愉快に作れそうなのだが、下手に突っ込むよりオシャレにまとめるほうを狙う監督らしく、トボケた味の笑いをつないでいくだけ。でも最近の傾向ってこれなんだよね。サラサラした触感を重視する。やたらはしゃがれるよりはいいけど、物足りなくもある。でも好みの時代の変化じゃ仕方がない、とも思う。エンディングの「オー・シャンゼリゼ」は、冒頭の短篇にまたつながっている、と考えていいんでしょうか。ビル・マーレーは日本からインドと、ここんとこアジアを歴訪しているようだ。[DVD(字幕)] 6点(2009-05-20 12:04:10)

63.  太陽の少年 年上の女性への憧れを軸にした、少年の成長ものの定番みたいな映画だが、エピソードの一つ一つがみずみずしい。望遠鏡で覗き、また反対側からも覗いてみたりして、世界が近づいたり遠のいたりする。世界との距離感の不安定な思春期。屋根の上をさすらうシーンも印象的だった。これの興味の一つは中国の文化大革命時代の悪童ものというところで、大人にとって悪い時代ほど子どもにとっては自由だったりする。世の中を批評する暇も惜しむほど、悪ガキどもはいそがしかったのだ。リービ英雄の小説「北京越境記」に文革の“黄金時代”を懐かしむ若夫婦が出てきて、子どもにとっては上の世代を罵倒できたりして“ハレ”の気分で過ごせる祭りの日々だったんだなあ、と思ったものだが、でもこの映画のガキどもは、エリート軍人の子どもということで、日本の“太陽族”にも通じる「いい気なもの」って感じもちょっとある。つまりあの時代の中国の子どもと言っても、みんながみんな毛沢東語録持って興奮して紅衛兵やってたわけではなく、その興奮の隙間で純粋にグレていられた恵まれた子どもたちもいたということだ。 [映画館(字幕)] 7点(2009-05-07 12:05:56)《改行有》

64.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 もし、“悪ふざけ”の対語として“悪まじめ”って言葉があるとしたら、さしずめこれなんかそう。アメリカ娯楽映画の偉大さは、野暮を排除するところにあったはずなのに、最近は平気で野暮する。かつては、娯楽として徹底させるなかで無意識に何らかのメッセージを忍ばせることはあっても、その手つきを誇示はしなかった。ところが最近は堂々と見せて、とうとう活劇映画の山場を善玉と悪玉の対話で済ますまでになった。悪まじめであろう。それをやっちゃあおしまいよ、だ。船の相互爆破のエピソードもつらかった。「やられる前にやれ」で始めたイラク戦争の自己批判のつもりなのかも知れないけど、あまりにメルヘンチック。ジョージ・ワシントンが「桜の木を切ったのは僕です」と名乗り出るところをそのまま映画化したらこうでもあろうかという恥ずかしさ。どうしてもその話を演出しなければならないのなら、ちょっと三枚目にひとこと言わせる場面を入れるなりして悪まじめにならないよう気配りするのが、かつてのアメリカ映画だった。照れるということを知っていた。今は堂々と野暮をやる。ジョーカーが出てくるときも、もうちょっと粋に登場してほしいのに、ヒョイと出てくる、あの顔で。別にファンファーレを鳴らせとは言わないけど、悪玉としてのツヤがなさすぎないか。これからの時代、思想を語りたいのなら語っても結構。ただ、悪ふざけにも悪まじめにも堕さなかった、かつてのアメリカ映画の栄光を忘れないでいてほしい。[DVD(吹替)] 5点(2009-05-06 12:08:21)(笑:1票) (良:3票)

65.  ダンテズ・ピーク 前半はジョーズ型、気配で引きずっていく。評判を落とすから情報は伏せよ、と言われる科学者、とか。こういうパニックの前兆ってのは、やっぱりワクワクする。熱湯となる温泉、濁る水道。一度空振りになるかと思わせて噴火する。ここまでの段取りは正しく、いいのだけど、噴火ってのはどうもあんまりパニックとして芸がないというか、酸化した湖でボートが溶け出す、なんてぐらいかなあ、全体が暗い中で進行してるのも、もどかしかった。暗いから、溶岩の流れは強調できて良かったが。こういうパターンでは、だいたい“聖所”に立て籠もって救出されるってのがハリウッドは好きで、このころでは『ツイスター』とか『デイライト』もそうだったけど、つまり非日常の出来事からまた日常に復帰するというより、非日常をバネに何か特別の場所へジャンプする、ってプロットがアメリカ人にはしみ込んでいるらしい。飼い犬が助かり、姑は死ぬ、ってのはハッピーエンドと思っていいのか。最初の地震の時のセリフ「まだこれは咳払いよ、これから歌いだすわ」ってのがいい。[映画館(字幕)] 6点(2009-04-22 12:00:07)(良:1票)

66.  愉しき哉人生 まるで安部公房の「友達」の設定を、皮肉でなくそのまま描いたような作品で、だから戦後の今見ると、「友達」と同じようなグロテスクなものに見えてくる。柳家金語楼の不気味さが遺憾なく発揮された映画に見える。冒頭なんか垢抜けてる。狂って鳴り出した時計を合図のように、風が起こり、主人公たち相馬一家の引っ越し荷物が向こうから現われてくる。全体としてアメリカ映画のスモールタウンものの味がある。中ごろでは桶屋のリズム、タンタンタンタン、タタータータタン、に合わせて唐突に山根寿子が歌を歌ったり、主婦たちのおしゃべりを、処理した音声でやってみたり、成瀬の奇妙な面をたくさん見られる。しっとりした成瀬ではなくて、乾いた成瀬。テーマは「気の持ちようで明るくなるさ」という、いかにも戦局が悪化している背景をうかがわせるもので、この登場人物たちの朗らかさがカタストロフの近づきをかえって動かしがたいものに感じさせてくれる。[映画館(邦画)] 6点(2009-04-11 11:59:23)

67.  大地と自由 イギリスから見た南の戦争。最初はロマンであった、失業からの救済であった、戦場のほうにこそ自由が望めた。歴史上最も理想的な・自発的な・非強制的な軍隊としての義勇軍であった。ただこの軍隊の弱点は、タテ系統を持たないため勝てないということ。アナーキストがボルシェヴィキに勝てなかったように、個人を尊重する組織は個人をないがしろにする組織に勝てない、という人類の歴史がどうしても乗り越えられない悲劇に触れていく。自由だった組織は、組織の防衛のための組織となり、やがて内部崩壊していく。多言語が行き交っていた共同体は、同じ言語同士が呼び交わしつつ銃火を交えることとなる。牧歌的だった戦場は市街戦に移る。でもこの監督は美しい悲劇として投げてしまわない。嘆きの歌を歌わず、人類の課題として繰り返し作品を提示する。その人がいるということで、映画への尊敬を持ち続けられる監督の一人。[映画館(字幕)] 9点(2009-03-15 12:05:26)

68.  タクシデルミア ある剥製師の遺言 《ネタバレ》 もっと“おげれつ遊園地”って感じのものを期待してたので、やや肩すかしの印象。たしかにゲロの横移動なんかは堪能したが、ラストのほうの内臓三昧の自己剥製シーンや、最初のほうのロウソクマゾやらマッチ売りロリやら、これ見よがしなところは引いてしまう、なんかパサパサしてしまう。こういうの嫌いじゃないんです、どっちかって言うと大好きなんですが、もっと慎ましく、しかしネットリと提示してくれたほうが、こっちも“おもてなし”を受け入れ易い。あの風呂桶をめぐる水平軸の回り舞台なんかよかった。ところどころでオッとなれるんだけど、それがブツブツ切れた感じで、たとえばフェリーニのような大きなうねりを生み出してはくれてなかった。なかでは二代目の大食い選手が、かつての東欧のスポーツ選手の栄光と悲惨を描いていてよかったんじゃないか。ポーランドの「大理石の男」にも通じるような。[DVD(字幕)] 6点(2009-02-27 12:15:42)

69.  007/トゥモロー・ネバー・ダイ 007が中国諜報機関と協力するなんて、世の中も変わったものだ。香港返還記念か。もっともオートバイで平然と、有色人種であるアジアの町や暮らしをぶっ壊していくところは同じだが。面白いのは動機で、何のためにイギリスと中国を戦わせようとしてるのかと言うと、巨大市場の中国での放映権のため、ってのが変にリアルで怖い。戦争があると儲かる仕事、一歩進んで戦争をあおるメディアの怖さ。この不気味さは後のイラク戦争のときに半ば現実となった。007の新兵器も、ケータイ電話とか車の無線キーとか現実の世の中にどんどん追いつかれているので、開発担当者も大変であろう。キーボードに漢字が並んでいるギャグが笑えた。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-14 12:20:41)(良:1票)

70.  ダイヤルM 《ネタバレ》 クールビューティ系が苦手で、苦手って言っても嫌いってわけじゃなく、スクリーンから見つめられると、ついオロオロドギマギしてしまうの。グウィネス・パルトロウも分類すればクール系の顔立ちで、オロオロしてもいいんだけど、でもこの人はなんか口元あたりに、不似合いな幼さというか、いたずらっ子のようなあどけなさが残ってて、そこらへんクールになりきれないチャーミングさという独自の魅力になり、けっこう大丈夫なんだ。『セブン』のときはあんまり印象に残らなかったが、ジェーン・オースティンの『エマ』やったのが良かった。で、この映画だが、考えてみればこのパルトロウ、けっこうアホな役で、亭主にも愛人にもだまされてて、しかもミステリーではよくあるんだけど、密室で証拠突きつけて殺されそうになる。身の危険ということをよく考えて行動してもらいたい。でもそれも、あの口元の幼さがあるんで、仕方ないなあ、って感じで納得できなくもなく、グレース・ケリーとはまた別の味が出てたんじゃないか。[映画館(字幕)] 6点(2009-01-24 12:18:08)

71.  大学の若大将 そうか、このシリーズも最初のころは加山雄三オリジナル曲を歌ってなかったんだ。まだ東宝は彼にそういう才能があるのに気づいてなかった。タイトルのときに、なんかマヌケな感じのコーラスが流れて驚いた。中で加山が歌ってるのはドドンパだったし。60年安保の翌年の学生像と見ると、かなり落差を感じるが、案外大多数の学生はこんなもんだったんだろう、またサイレント時代の鈴木伝明などの大学生ものからつながっている伝統のジャンルの型だからしょうがない。もっとも戦前は学生ってのは尊敬される特殊な階級だったから微笑んでヤンチャぶりを見られたんだけど、時代が近づいてくるとちょっと微妙にはなる。レジャー産業が学生に標的を定めだしたころ。上原謙に「いまどき珍しい好青年だ」なんて言わせる楽屋落ちもあった。団令子が「MMK」と言うのは「もてて・もてて・困っちゃう」のことだそうだ。時代を懐かしむ材料として以外にはつらい作品で、唯一見せ場になりそうだったのは水泳大会リレー会場へ駆けつけるシーン、あそこは走りながら脱いでいって、そのままタッチと同時に止まらずに飛び込む、ってのが映画としては正解であろう。へんにリアリズムにこだわってはいけない。[地上波(邦画)] 5点(2008-12-06 12:15:16)

72.  ダーウィン・アワード 思わず笑っちゃう三面記事的アクシデント集ってとこがあって、ちょっと不謹慎かなあと後ろめたく感じつつ楽しむというコメディ。いちおう、彼らは早死にしても楽しそうな人生だった、とフォローしている。フォローになってないか。そういった素材を並べて普通のハリウッド・コメディの型に流し込み、マイケル・ムーア的(『シッコ』)批評精神もちょっと織り込んで、一丁上がりといった感じ。新しいエピソードに移って、さて今度はどんな事故死かな、というあたりがワクワクさせる。やっぱり不謹慎だなあ。素材の面白さに比べると、枠の話は見劣りがし、こういった事件・事故の主役たちの暗い情熱に突っ込んでいけば面白いのに、とも思うが、そうするとミニ・シアター系の映画になって軽く笑えない。微妙なところ。真人間に改心したウィノナ・ライダーに久しぶりに会えた。ハヤカワ文庫に、笑っちゃう自殺・事故死を集めた『変な学術研究2 活魚で窒息、ガムテープぐるぐる巻き死、肛門拳銃自殺』という長い題の実に不謹慎きわまりない本があって、そういうのが好きな人にお勧めしときます。[DVD(字幕)] 6点(2008-09-27 12:10:46)

73.  ただいま 街の音が沁みる。住宅から漏れてくるテレビの声など、彼女が牢屋にいる17年間耳にしなかった音だし、たぶんそれ以前にも聞いたことのない街の音。中国におけるここ17年の変化は大きい。やがてここに入っていかなければならない世間に対して身構え、耳を澄ましている緊張が伝わってくる。天津の街の、息の白くなる寒さも伝わる。主任のほうにもちょっと帰りにくい家があり、帰還するということの緊張が本作のテーマ。浦島太郎を基本形にして、「帰還もの」という物語のジャンルを考えてもいいかもしれない。帰還するって、けっこう大きなドラマなんだ。[映画館(字幕)] 6点(2008-08-22 10:03:44)

74.  ダンス・オブ・ダスト 煉瓦の粉を含んだ風がずっと吹いている。どこか怯えを秘め、老成した少年の顔。顔がいい映画だ。雪印の缶や日本語の古新聞(煉瓦がくっつかないように、焼くときに貼りつける)などが出てきて、経済流通の裏を垣間見られる。説明が排除されていて、意味になる前の映像が剥き出しで提示されている感じ。母が背中に煉瓦を乗せているのは、民間療法か呪法の何かなのか。しばしば天に突き上げられた手、雨乞いかと思っていたら、どうもそうではないらしい。ここでは雨はせっかく作った煉瓦をまた泥に戻してしまう忌むべきもののよう。詩として鑑賞すべき映画なのでしょう。[映画館(字幕)] 6点(2008-08-01 12:11:04)

75.  大日本人 インタビューの中で、だんだんと「稼業」の輪郭が見えてくるあたりのおかしさ。娘なので跡継ぎが問題で、とか、仕事の連絡のケータイでのやりとりとか。塀の落書き「くたばれ」や、投石、道の横断幕や立て看板など、昨今のきびしい状況も同時にだんだんと分かってくる。そうやって丁寧に裏ぶれたトーンを重ねた後で、ジュウと戦う場が描かれると、その馬鹿馬鹿しさもひとしおで、嬉しくなっちゃう。四代目の稼業華やかなりし頃の記録フィルムもいいし、間にはさまれる民間人へのインタビューは、どうしてあんなに自然なの? なんか違う質問しといて編集したのかしらん。変身場の係員へのインタビューもリアルだった。この映画、テレビの人気タレントの心象風景としても理解できるけど、純粋に贋作ドキュメンタリーの面白さだけで自立している。ラストは変に風刺がかってちょっとつまずいたが、許そう。ニラムの獣の、ササササと目玉をたぐり寄せるとこがかわいい。[DVD(邦画)] 8点(2008-07-28 11:03:12)(良:3票)

76.  タロットカード殺人事件 『ロスト・イン・トランスレーション』見たとき、スカーレット・ヨハンソンにはコメディエンヌの素質があるのではないかと思ったものだが、それを本作は証明してくれた。ちょっと半開きの口もとやハスキーな声、それまではセクシーと捉えられていた要素が、そのまま“お茶目”の要素に横滑りしている。コメディの登場人物はしばしば己れのドジによって窮地に落ち入るが、途方にくれたときに、人の口もとは半開きになるものだ。マジックのステージに上げられてもじもじしているところなど、かわいくすらあった。ボケとツッコミの迷探偵コンビものをウディ・アレンとこなす。ほどほどの笑いとほどほどのハラハラを織り込んで、けっして限度を踏み外さない上品な仕上がり。喋りちらしているようで、ちゃんと伏線を張っているシナリオも礼儀正しい。[DVD(字幕)] 7点(2008-07-18 10:11:32)(良:1票)

77.  ダイ・ハード4.0 《ネタバレ》 悪漢どもが次々と仕掛けてくる前半がドキドキする。休まずに畳み込んでくるアイデアの洪水が、活劇映画としての贅沢感、このシリーズの誇りであろう。歴代大統領に犯行声明を代読させる洒落っ気もいいし、信号機をすべて青にしたりトンネルの両方から車を入れたりなどの身近なテロに、けっこう現代ならではの怖さがある。機械の正気にかなりの部分依存して、秒単位の日常を築いてしまっているんだなあ、って。後半はアイデア切れで、もうマクレーンの体力勝負となるが、これはまあ仕方ないだろう。悪漢はずる賢い頭、正義は腕力、って対比は、日本の時代劇もそうだし、どこの国の映画でも基本構造だから。ここはもう「ここまで死なないか」と笑いながら見るのが礼儀だ(米軍の戦闘機もだらしない)。娘が絡んで話を小さくしてしまうのも残念だが、イラク戦争の失敗以後、誰もが納得できる最後の正義ってのが「家族を守る」になってしまった反映だろうな。悪漢のほうにも「偉そうなこと言っても狙いは金」とミソをつけてある。これも1作目と同じ。 [DVD(字幕)] 7点(2008-03-06 12:26:27)(良:1票) 《改行有》

78.  たそがれの維納 辛辣さに優しさが隣り合っていて、人の弱点をとがめだてしない。ヒロインだって積極的に社交界を告発するわけではなく、憧れたりもする。色男も純情を持つ。すべて批評的ではあっても批判的ではない。そこらへんの程度のわきまえが心地よい。もちろん20世紀前半のヨーロッパを描く以上、かすかな腐臭は漂う。でもたとえば「地獄に堕ちた勇者ども」のように、程度をわきまえずその腐臭漂うなかをごろごろ転げ回るほど不健全にはなってなくて(あれはあれで大傑作ですが)、いたって健全におさえている。冒頭のテープが投げ散される中を後退していく移動の華やかさ、夜会で色男とダンスする田舎娘のときめきを伝える横移動など、その上品さが身上。そして最後はかすかな腐臭も消し去るように雪で清らかに締めている。この年、ヒットラーが首相に就任した。[映画館(字幕)] 7点(2008-02-21 12:26:05)

79.  大理石の男 映画はある程度ナマものだから、この時代のポーランドの熱気と無関係に本作を見ることは出来ない。映画自体、別に映画史の古典になりたいとも思っていないだろう。時代へ向けて発言する熱気とそれを支える決意こそが、この映画の感動の核だ。かつて50年代に犯したポーランド映画人の過ちをもう繰り返したくない、という反省と責任が感じられる。レンガ積みの場面、主人公のみじめさと、個人が個人としての誇りを持つなどと思ってもいない党の残酷な視線を描いていて素晴らしい。見てはいけないものを見てしまうと下を向いてしまったカメラと、ヒロインのしつこく食いついていくカメラとが対比される。反省の映画っていうと、なんか後ろ向きに思われそうだが、でもそれは次代への期待の映画ってことなんだ。[映画館(字幕)] 7点(2008-02-20 12:21:21)

80.  大閲兵 《ネタバレ》 軍隊の訓練を群像ドラマで描く。閲兵式の96歩のために一万歩歩き通す訓練、でもその馬鹿馬鹿しさで軍隊を告発したわけでもない。それが無益であればあるほど、成し遂げたときに、奉仕する「忠」の心はより純化されていくという考えもあるからだ。3時間直立する訓練なんてのもそうで、馬鹿げているほどある種の陶酔も湧いてくる。人間が集団でいるだけで魔力が備わってくる。ナチにはまったく共感を覚えないにもかかわらず、リーフェンシュタールの「意志の勝利」で人々の行進を繰り返し見せられると、なんかしらん湧きあがる高揚を意識した記憶がある。この映画、作成段階で当局の干渉もあったそうで、作者の意図をあれこれ忖度しながら見なければならなかった。しかし逃げた新兵が麦刈りする農民たちに出会うところでは、文句なしに感動した。生産する労働と生きることと幸福とが、イデオロギーに染まる以前の段階で合致している世界、その世界が逆に、軍隊というものの異様さを鮮やかに照らし出した。当局はここをこそカットさせなければならなかったのだ。[映画館(字幕)] 8点(2008-02-18 12:29:34)

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