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1.  箪笥 ゆったりとしたペースが心地よい。おどかしに新手はないが、やってることは正しい。姉妹は髪の毛の長さでのみ見分けていたので、暗がりになると判断不能になった。だからドラマとして理解してはいない。再見すれば発見することもあっただろが、ホラーだと「一つ一つの怖がらせ」を味わえればそれでいいと思ってしまう口なので。だから継母と妹(?)が重なるようなイメージが、よく分からなかった。妹の死に対する責任感の妄想? 洋風の家であった。韓国風の家じゃだめなのか。東洋的な味わいのほうが合う世界の気がしたが。お父さんはほとんど大杉漣だった。[DVD(字幕)] 6点(2014-02-27 09:37:10)

2.  大統領の理髪師 これ昔の邦画だったらフランキー堺の役だなあ、と思い、今だったら、とあれこれ考えたが出て来なかった。こういうタイプの役者がいなくなったというより、そういう役柄がなくなっていたのか。善良だがしたたかな「庶民」。今の邦画には「庶民一般」が登場しなくなったのかもしれない。花札をやってる場があり、悪しき日帝時代の記憶、というふうに受け取る場面なのかも。責任がかかってくるのが恐ろしく、子どもですら拷問に掛けていく体制。飲み込んだカプセルを排泄するのと、エンコした大統領葬儀車が重なる。次の大統領全斗カンの禿頭が最後のギャグになる。全体に黄色味がかったトーン。[DVD(字幕)] 6点(2014-02-14 09:55:27)

3.  大誘拐 RAINBOW KIDS 《ネタバレ》 これ原作読んだときは、頭の中では浪花千栄子が演じてしまっていて、それがピタリだったものでもう彼女以外考えられなくなっていた。原作者も彼女をイメージして書いたんだろうと勝手に確信したぐらい。原作が発表された時点でもう故人だったんだけど、あの人で見たかったなあ、とは切実に思った。これは喜八監督の腕よりも原作に負った映画。でも天本英世や中谷一郎もちゃんと出てます。テレビ中継の部分が一番今(1991年当時)を感じた。このころから一番臨場感を得られるのはブラウン管を通してになったんだな。誘拐するまではもっとあっさりしてていいだろう。車の中で刀自が次々と犯行の不備を指摘していくあたりからが本題。仲間の一人が素顔で村娘とあってしまうあたりのとぼけたおかしさ。でテレビ中継か。刀自が具体的な数字を挙げて演説するシーン。セリフ覚えるの大変でしたろう。あの映画作った時点での生存俳優となると北林谷栄以外考えられなかったな。本作のいいのは、嫌な奴が出てこないところ。家族たちも俗っぽくなりそうなとこで抑えられている。[映画館(邦画)] 8点(2014-02-07 09:34:15)

4.  ダディ・ノスタルジー 『田舎の日曜日』が個人の老年期を描いたのに対し、こちらは「一家の老年期」だわな。一組の夫婦の結婚によって、家族が一つ誕生する。子どもができて子育てのてんやわんや、やがて青年期から壮年期、やがて子どもは外に別の家庭を作り、その家族は老年期に入っていく。その老年期の家族の荘厳を描いた作品。病院から自宅療養に戻ってきた家長を、みなでさりげなく日常を演じて淡々と過ごすその緊張。普段どおりであらねばならぬ、という義務が、父親本人も含めて静かな緊張としてこの家を包んでいる。与えられた最後の時間を、取り乱さないようにと無言で戒めあって、冬の近づきを待ち受けている。老いは単なる衰弱ではなく、それに対抗しようとする気品や誇りが張りつめている状態なんだ、と言っている。病気のために半分引退していたダーク・ボガートが、久しぶりにスクリーンに帰ってきたってのが売りだった、でも衰えが進んじゃってたな(この主人公とまったく同じ)。『ベニスに死す』の彼が見事に黄昏を演じてるんだ、という理屈を経て初めて感動できる、って遠回りな感じ。[映画館(字幕)] 6点(2014-02-06 09:24:16)

5.  太陽は夜も輝く 冒頭から寓話精神で始まる。樹の下の少年がおいでと呼びかけると、花びらが手のひらに舞い降りてくるの。有名俳優をけっこう使って、ミュージカル性も添えた。音への配慮がいつもどおり素晴らしく、衣擦れの音と雨の音が競い合ったり、羊の鳴き声の使い方とかいい。広い池は出たが海は出なかったな、この監督フェリーニと同じで海好きかと思っていたけど。これ主人公の三人の女性遍歴ものと見ることも出来そう。彼にとって真っ当な夫婦こそが、最大の憧れの対象だったのでは。他人に利用されることに極端に敏感に反発を感じてしまう主人公だったのが、修道士になっても心の平安が得られず、つまり自尊心が強すぎるという罪の保持者なんだろう。それが村人たちに善意の手助けをする生活で救済されていく、って話なのか。神様って、人に使われるのがヤな人が代わりに必要とするものなのかもしれない。この主人公、そういうことでずっと疲れている印象がある。この監督は俗人たちの話のほうが合ってると思う。「標高」の高い映画で、空気は澄んでいるけど、低地の俗人たちの俗な世界のほうが懐かしくなる。[映画館(字幕)] 7点(2014-01-25 09:41:45)

6.  誰も知らない(2004) 友だちのような母親。暴君ではない形での損ないがある。柔らかな虐待。スーツケースから出てくる子どもたち。異常な世界が自然に語られていく。マニキュア、母の衣装の詰まった空間、ピアノ、グローブなどなど外への夢。ベランダの禁止もある。コンビニの気遣うおねえさんがいい。外へ向かって開かれそうな窓。いじめられっ子が加わってくることで弱者のコミュニティめいていくが、ごつごつした「事実」を展開したあとで単純に割り切ってしまったような気もし、ちょっと残念。[DVD(邦画)] 7点(2013-11-22 09:26:30)

7.  ダークマン 本格的B級映画でとりわけ後半はB級ならではの軽快感を楽しめました。ヘリコプターからぶら下がったダークマンがトラックの上をチョコチョコ走りするとこなんかいい。B級にとって安っぽい感傷性ってのも大事で、夫婦の絆が絡むといいの。妻への愛と醜い己れとの葛藤。仮面が99時間しかもたないという制約も一応ある。悪人は残虐で、指をコレクションしてる。ヘンな名前の日本人も出てきて、ヤキチトだったっけ? ヤキトリから適当に発想したんだろう。空気はやや「オペラ座の怪人」めく。廃工場での活躍からヘリコプターのあたりが一番Bの味みなぎっていた。ハラハラドキドキに完全には飲まれないんだけど、ヨウヤルワというレベルで満足する感じね。悪玉が自分からわざわざ建築現場へ行ってぴょんぴょん跳ぶのもおかしい。叩き上げの悪漢。「私は創造のために人を殺してるが、君はただの復讐じゃないか」。[映画館(字幕)] 6点(2013-11-10 09:39:24)

8.  黄昏のチャイナタウン ハードボイルドの話のややこしさにはいつもついていけない者で、二人のジェイクの男と男の(一人の女を挟んでの)心の理解の話らしい。最初、靴の向こうにジェイクがいて、あとで二人とも同じ靴だったり…。ゴルフボールをコップに…。エレベーターが閉まる直前にタバコを…。など演出の洒落っ気はなかなかのもので、モノローグでハードボイルドの匂いが高まる。裁判所の場で銃声のテープが出てくるたびにビクッビクッとする主要人物たち。注目すべき失敗作ってやつですか。映画としてはあまり楽しめなかったが、この新人監督にもう一本撮らせてみたい、って気分は残った。このころリチャード・ファンズワースを立て続けに見ていたと記している。まだ『ストレイト・ストーリー』まで9年ある。[映画館(字幕)] 6点(2013-09-19 09:28:36)

9.  対決(1989) 男騒ぎの映画。軍隊はじっとしてるのがつらい、という話。そこをもっと笑いに拡大したら面白かったかも。「男の稚気もの」ってのもいいんだけど、この映画で言うとハッピーバースディまでで、それ以後はただの「困った軍人さん」だったなあ。豪快さが欠けてて、それは現在の軍事情勢が、そんな男の粋とか豪快さなんかが馴染まない世界になっちゃってるってこと。この映画もそこからスタートしてはいるんだけど、稚気を謳い上げるのには無理があった。お笑いになっていって、ラストは国境を挟んでの両軍の壮大な雪合戦になることを夢見てたんだけど。役者の線の細さってこともある。男粋を描くには、軍事情勢がささいな稚気をも許さないほどピリピリしてるし、そういう情勢が困ったもんだってことを描いたんだとしたら、中途半端だし。[映画館(字幕)] 5点(2013-08-23 09:55:32)

10.  達磨はなぜ東へ行ったのか 渋い題材を、渋い顔した人たちで、渋く描いている。深く深く沈んでいこうという意志。タルコフスキー的なものを予想してたんだけど、違った。タルコはかなり自分の世界を作っていく方なのに対して、こちらは自然をそのまま切り取ることことをルールとしてるみたい。タルコだと、水の中に壊れた自転車を置いといたりするけど、この人はしない。老師の灰を撒く水面は、枯葉が彩りを添えるだけ。自然物だけの、手を加えない美しさ。与えられただけの美しさ。西洋と東洋の感性の違いでしょうか。鳥は「畏れ」、牛は「平穏」の象徴か、なんて考えちゃうのも西洋的かなあ。老師を荼毘に付すときの鳥の鳴き声の効果が素晴らしい。そして牛に引かれてもとの寺に戻っていく。別に「禅とは何ぞや」という映画ではなく、「禅のある風景」と思えばいいんでしょ。夏から冬への森のたたずまい。夏の夜の虫の声、秋の枯れ枝のシルエット、といった味わい。少年が漂いだす瞬間は息を呑みます。無責任な西洋観光客の気分で、「う~んZENだ」などと禅を齧った気分になるのが一番いい鑑賞法かも。[映画館(字幕)] 8点(2013-07-24 09:54:11)

11.  Wの悲劇 このころ映画評の重点が映像表現のほうに移ったので、鬱屈していたシナリオ作家が「どうだ」と凄んでみせたような作品。現実と劇とがこすれ合うシーンなんか、脚本書いててワクワクしたんじゃないか。ほかにも細かいとこはいっぱいあったけど、変に覚えてるのは、世良君と三田村君でちょいと揉め事があって次に稽古があって、三田村君が間を取ったのに薬師丸嬢がプロンプ入れてなじられる、なんてのがあった。こういうことあるんだろうな、とリアリティ感じました。役者ではやはり三田佳子。配役発表のときの「ハァ~イ」って感じから良かった。そして薬師丸嬢を部屋(死体で登場の仲谷昇)に呼び入れての長い独白が貫禄。非常識だと思いつつ言いくるめられていく感じは、長回しだから効く。主役おろしのいびりも怖い。蜷川さんまでオタオタする。薬師丸嬢に『イヴの総て』は似合わないと思ってたら、大女優に使われてしまう卵の話で、こういう設定ならアリだろう。石神井公園で将棋をさしていた世良君が歩み寄ると武蔵関公園になった、帝国劇場の中に入ると練馬文化センターになった、と至ってローカルな発見が当時の私のメモにある。 /1913/10・31追加 石神井公園・武蔵関公園の記憶は間違いないと思うが、練馬文化センターうんぬんの記述は30年ぶりに見てその根拠が思い出せず、怪しい[映画館(邦画)] 8点(2013-07-06 09:51:53)(良:1票)

12.  ダンス・ウィズ・ウルブズ 白人にとっては輝かしいフロンティアの時代、インディアンにとっては楽園の終わりの恐怖の時代、その向こう側からフロンティアを見てしまった白人の物語。システムから逃げるように果てに行ってしまう。馬と狼のみを友として(ここらへん突っ込めばカフカ的物語になったかもしれない)。でこの馬と狼を奪うのが開拓者側の人間なんだ。ま最後は家族を守るために、ってのが出てくる。これを膨らますと民族的ナショナリズムになってしまう微妙なところ。巨大な社会が小さな共同体を潰していく歴史への悲哀、っていう点で納得しました。ツー・ソックスに象徴されるもの、アメリカが殺してしまったもの。インディアンが白人を殺すシーンに溜飲が下がるアメリカ映画、という特異な作品になった。[映画館(字幕)] 6点(2013-05-08 10:05:59)

13.  太陽のない街 ちょっとでも弱音を吐こうとすると、すぐ裏切り分子的に見て、採決もせず団旗を奪い、意気揚々と前進していくらスト、これは困る。「今ここで敗れたら、今までの犠牲者たちは浮かばれない」っていうの勇ましいけど、戦争後半での日本軍の考えそのものでもあるわけで、指導者にこういうのがいると迷惑するんです。原作はプロレタリア文学の古典だが読んでなく、作品の発想の責任がどこにあるのかは分からないけど、少なくともこの映画を作った人々は戦争後半の異常な「勇ましさへの熱狂」が国民の中にあったことを知ってるわけで、それを承知の上で「軍の興奮はけしからんけど、労働運動の興奮は正しいんだ」と思ってるんだったら、救いようがない(そうか、ソ連の水爆はきれいという発想につながってるな)。どんどん勇ましい考えのほうへ熱狂し興奮していくシステムをこそ突いてほしいのに、すぐ敗北主義とか裏切りとかいう言葉で捻じ伏せられちゃう。そりゃね、資本や官権の悪辣さはひどかっただろうが、こういう展開で描かれると「それならもう何度も聞いた」ってつい思っちゃう。もっと争議団内のゴタゴタやスト破りする人たちの苦衷こそが、新鮮なテーマだったはずなのに…、と不満を募らせたが、昭和もまだ20年代なら仕方ないか?[映画館(邦画)] 5点(2013-03-31 09:30:30)(良:1票)

14.  大仏さまと子供たち 観客はそれが嘘であると知りつつ映画の「演技」を見ており、しかしフィルムという「記録」を見ているとも知っている。そういう劇映画のややこしさが面白さを生むのだが、ストイックな監督には演技への不信をもたらすのか、「演技をさせない監督」ってのがいつの時代どこの国にも生まれ、たとえばブレッソンは核だけの硬質な世界を作ったが、我が清水はほのぼのとした独自の世界を築いた。映画におけるリアルってことは、単なる写実と違って面倒くさいのだ。それを変に考え込まず、こういうほのぼの世界を作ってくれたのが日本の栄誉。一応冒頭は棒読みでもおかしくない「案内」のせりふから始めているのは、映画の客への気遣いか(戦災孤児が奈良のガイドをやってくって話)。印象に残ったシーンとしては、川をはさんで二人の追い掛けを行ったり来たりやるところ。欄干の上を歩くのは監督の映画でよく見た気がする(『子供の四季』?)。「一緒に東京へ」と切り出す前の、主人公の庭から帰っていくところを、室内を横切る斜めの移動で撮るところ(『小原庄助さん』にも見事な斜めの屋内移動があった)。建造物に合わせた超ロングが多く、これも演技を奪う効果がある。小僧さんが日傘をさして豆腐を買いに行くところ! そしてラストの見事さ。監督の演技法と同じ理屈だ。本作唯一の欠点は音楽で、もうちょっと加減してよ。[映画館(邦画)] 8点(2013-03-29 09:58:57)

15.  ターミネーター2 《ネタバレ》 本作のあたり、90年代の前半、SFX技術は急速に進歩した。昔の合成の、ふちが緑に光ってたころから特撮映画好きだった者として、ほぼ完成の域に達したなと感慨無量であった。下水溝のチェイス(トラックが跳び下りてきて追っかけちゃうんだもん)などアクション映画の基本的な見せ場もシャカシャカいうリズムに乗せて身を乗り出させるが、液体金属ロボットの動きに力を入れていて「ここまで来たか」感が強かった。床の市松模様がムクムクと起き上がったり、格子を通り抜けてもピストルは引っかかったり、と芸が細かい。見せ物として本道を行っている。エレベーターの天井からブスバスと刺してくる。せっかく液体金属の身体ならもっとほかの襲い方もあるんだろうが、まいいか、と思わせる。液体窒素で凍るとこも細かい。足がボロッ、ついた手がボロッ、でも細片が融けてまた戻っちゃうの。この監督は女性に重火器持たせて戦わせるのが好きみたい。[映画館(字幕)] 8点(2013-03-09 09:51:28)(良:1票)

16.  探偵物語(1983) なんとなくつけている松田優作がまず楽しい。望遠で縦の動き。薬師丸と先輩とガールフレンドと探偵が縦にいる。ジェスチャーでのやりとり、鏡を使ったドタバタなどなど、いろいろ工夫の跡は認められる。クレジットの間、松田優作はずっと立っていた。積極的に褒める映画じゃないけど、語り口は『遠雷』のときより上達してて、ちょっと藤田敏八を思わせる軽快さ。尾行したり尾行されたりするってのは、一つになりたいという願望でもあるということか。薬師丸嬢は思い入れを込めない表情のときのほうがいい。ラストの松田君の表情が難しい、本人も困ったんじゃないか。へんに深刻ぶっちゃってないか、などと。[映画館(邦画)] 6点(2013-02-24 08:57:23)

17.  丹下左膳(1958) 《ネタバレ》 戦後の丹下左膳ってのはいっぱいあって、松竹で阪妻、大映で大河内伝次郎、日活で水島道太郎なんてのもある。東映では60年代に錦ちゃんも撮ってるが、その前に大友柳太朗が本作以下5本続いた。本作を見てみようと思ったのは「こけ猿の壷」のそもそもの話はどういうのか、という興味からだったが、どうもこれオールスターキャストの要請でかなり自由に脚色しているようで(原作者はとっくに山中版が作られた年に死んでいる)、途中からその豪華さのほうに目がいった。時代劇のオールスターキャストというと「忠臣蔵」が各社しのぎを削ったが、こういう作品でもやってたのか。次々大きな顔が現われてくるワクワク気分は、なかなかいいものである。女優の役が少ないのがちょっと弱いが、当時のひばりは一人でも大きかったんだろう。最初の金魚籤の場では、琴の合奏のBGMに不思議な効果があった。言語不明瞭ぶりで有名な新旧の左膳役者、大友と客演の大河内が怒鳴り合う場は当然セリフを理解するのが困難だが、やがて嵐のような風も吹き出し、異様な高揚が画面に満ち感動した。エンディングも時代劇の正しいラストシーンという感じで、旅の駕籠、曲がって続く街道、その路上で「とんびピーヒャララ、おかごはエッサカホイ」とのどかに歌う新妻のひばり、それを見送る左膳にお藤の長谷川裕見子(涙をこらえてる)、脇で朗らかに手を振る大河内御大にコソ泥の多々良純、駕籠から実はご落胤だったチョビ安の松島トモ子が振り返れば、見てるこちらも日本晴れだ。(気になって原作「丹下左膳・こけ猿の巻 正・続)を読みかけているが、左膳はよく「大菩薩峠」の机龍之助と並ぶニヒルな剣客と評されてるけど、そう陰々滅々でなく、いかにもモダニズム時代の軽快な文体で綴られ、山中版はけっこう原作の軽みを生かしてたんじゃないか)[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-01-28 10:29:19)

18.  丹下左膳餘話 百萬兩の壺 城の殿様でいかにも時代物で始まり、お家騒動にでも左膳が絡むのかと思わせといて、世話物の世界になだれ込んでいく。しかもこの左膳、家庭持ちだ。この落差を実感としてストレートに楽しめないのが現代人のつらいところ。ニヒルなヒーローと頭では分かっていても、それが空気のように・当然のようにあった当時、子どもの用心棒として駆けつけるおかしさは、現代よりも弾けたことだろう。いまの言葉で言えばパロディになるのだろうが、武張った「時代物」世界と人情の「世話物」の世界の硬軟が対になって存在するのは日本文化の基本で、なにも浄瑠璃に始まったものでなく、平安時代なら漢詩と和歌、いや、もともと日本語が漢字とひらがなで綴られること以来の両輪ではないかと思っている。だからこれ、単にパロディと言うより、もっと日本文化に根ざした、硬いものをすぐ軟らかく読み換えたがる性向がノンキな笑いとして結実した幸福な映画なのではないか。現存山中作品を見て思うのは、さぞかしサイレント映画は凄かったろうと思わせるリズム感だ。もう新たに完全なフィルムが発見される可能性は低いだろうが、そのときが来るまで10点9点は留保しておく。[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-12-27 10:23:25)

19.  ダブルベッド テンポがいい。冒頭の人物紹介の部分なんか、ノセるね。一番うまいのは浮気の発覚のあたり。ちょっとドタバタ調であれこれやって、何とかごまかせたと思ってたら旦那が寝室で呆然としてるという流れ。続けて雨のなか、ボールぶつけやってて、それた球がスローモーションで神田川に落ちていくところ。軽いタッチなんだが、冒頭の心中事件が「ちょっと踏み間違うとこうなる」という怖さを映画全般にかもしている。風俗映画と言ってしまえばそれまでだけど、図書館からコロッとサラ金に移る石田えり、庭先の柄本明、誰も本気でないという感じがあり、もう実生活自体が「浮気」なの。しばしばごまかされてきた高橋ひとみの映画撮影が、ラストで本気になってしまうのが、おかしいし哀しい。大谷直子の出発が本気の旅立ちなのか、また浮気の飛び石づたいをするのか。旦那が本気になって怒れずにボール相手にうじうじするのも、自分が本気かどうか確信が持てなかったからなんじゃないか。そういう時代。[映画館(邦画)] 7点(2012-12-05 09:51:22)

20.  戦ふ兵隊 作戦室の場、軍人さんたちアガッてるようで、ああ本物だ、とすごく生々しく“ドキュメンタリー”を感じた。弾のピュンピュンいう音も生々しかったが、あれ本物なのか? 同時録音? これ上映不許可になったため、反戦映画という眼で見られるようになってしまったが、一応製作者は国策映画として完成させようと努力している。妥協しても上映される映画を作り、戦場を国民に伝えたいというドキュメンタリストとしての執念が感じられ、それが名作にしている。なにせ時代はノンキではなかった。陸軍のフィルムを使う以上、無駄には出来ない。冒頭の流浪する中国人を描いたのも、ラストの復興へつなげて「こうやって皇軍は同じアジアの人を助けているんです」というメッセージになるし、夕陽の中で病馬が倒れる美しいシーンも「戦地の兵隊さんも馬も大変なんだ、内地の人は辛抱辛抱」ってメッセージになる。一応国策映画としての体面は繕っていたと思うんだけど、でも許可してくれなかった(この残っている版もすでに改訂命令で15分削られたもので、それでも最終許可は下りなかった)。あれかな。夜中のロバの鳴き声の哀切さ、あれはただただ意気阻喪させ、なんか戦場というものの正体を告げていた。私が役人だったら、あの鳴き声で不許可の断を下したかもしれない。[映画館(邦画)] 8点(2012-11-08 09:13:49)

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