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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12
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1.  トリプルX 再起動 《ネタバレ》 まず断っておきますが、私は『1』『2』は嫌いです。 というわけで、まったく期待値の上がらない中での『3』の鑑賞でしたが、不良・遊び人・変わり者が世界を救うという前作までのコンセプトが丸まんま引き継がれた本作の前半は、やっぱり厳しかったですね。特に50前のヴィン・ディーゼルが気の良い不良役をやっている辺りが何とも痛々しいし、作品の世界観では彼がかなりモテる男という設定にも違和感があり、映画に全然乗れませんでした。 お話の方も、CIAの悪だくみをNSA所属のトリプルXチームが阻止するという何ともドメスティックな内容なのに、無駄に世界を股にかけているので状況が感覚的に分かりづらいし、トリプルXチームが中国人・インド人・タイ人とインターナショナルすぎる顔ぶれで構成されており、もはやNSAの一プログラムという設定が置き去りにされていたりと、もうメチャクチャなのです。一応はアメリカ映画ではあるものの、アメリカ人による鑑賞をまったく前提としていないかのようないい加減さ、闇鍋加減には少々困惑してしまいました。 が、ザンダーチームとゴーストチームが合流する後半の高揚感や、ヤケクソの如くてんこ盛りにされた見せ場の連続には目を見張るものがあり、クライマックスまで絶え間なく続くアクションにはかなり見せられました。好敵手だったザンダーとジャンがついに手を組むタイミングや、2代目トリプルXが救援に駆けつけるタイミングなども絶妙で、B級アクション界の巨匠であるD・J・カルーソ監督の手腕も絶好調。こんなに楽しいクソ映画は久しぶりだなぁと最後には大満足できました。[インターネット(吹替)] 7点(2017-10-28 15:17:52)《改行有》

2.  ドント・ブリーズ 《ネタバレ》 恐怖シーンにおける豊富なギミックや意表を突く展開など、実によく考えて作られていることは分かるのですが、主人公・ロッキーにビタ一文感情移入できないという点が致命的でした。事故で娘を失った盲目の老人宅に侵入し、事故の示談金を盗んでやろうという発想の時点でクズ。また、自分に惚れていて何でも言いなりになるアレックスを無理に強盗に引き込むという女としてのズルさや、「クズ親から幼い妹を引き離す」という大義名分によって自己の悪事を正当化している点など、とにかくロッキーのすべてが気に入らんかったです。 また、彼氏のマネーがぶっ殺されたり、監禁されている加害者を発見したり、自分自身が孕まされそうになったりと、もはや金なんて言ってられる状況じゃなくなっても金への執着を捨てないという点も受け付けませんでした。最後には、マネーとアレックスに罪を擦り付けて、まんまと金をせしめるという驚愕のクライマックス。空港で妹にオレンジジュースを飲ませてましたけど、ああいうとこのジュースはそこそこ高いんですよ。何人もの命を犠牲にして得た金でオレンジジュース飲ますんかいと、そんな些細な点まで気に入らなかったです。[ブルーレイ(吹替)] 4点(2017-08-06 13:04:06)(良:2票) 《改行有》

3.  トランスフォーマー/最後の騎士王 《ネタバレ》 IMAX-3Dにて鑑賞。 日本公開前から前評判の異常な悪さが聞こえてきていたこの最新作ですが、確かにつまらんかったです。ギャグのつまらなさや設定の意味不明さは『1』以来の本シリーズの伝統なのですが、本作についてはそうしたシリーズの問題点が余計に悪化しており、もう本当にえらいことになっています。 しかも本作が重傷なのは、その意味不明な設定を観客にちゃんと理解させようと時間をたっぷり使ってしまっていること。前作までは正義のロボットと悪のロボットが戦っているという構図さえ理解できれば後のことはどうでもよかったわけですが、本作では「人類史にトランスフォーマーが深く関わっていた」という、本当にどうでもいいことがしつこいくらいに説明されるし、そうしてしつこく説明される割りには、タリスマンや杖といったアイテムに一体どんな力があるのか分からなかったり、途中まで杖の争奪戦をやっていたにも関わらず、ラスボスを倒す時にはその杖が大して重要な役割を果たさなかったりと、この監督と脚本家は一体何がやりたかったんだろうかと、本当に不思議で仕方ありませんでした。 もう一点、本作の関係者が罪深いと感じたのは、冒頭の合戦(おそらくベイドン山の戦い)にて円卓の騎士の中に一人黒人がいるということ。北欧神話をモチーフにした『マイティ・ソー』の世界にもなぜかイドリス・エルバや浅野忠信が居て「ハリウッドの人種平等主義はやりすぎではないか」と感じていましたが、本作はその比ではありません。円卓の騎士の名前と個性は広く知られているにも関わらず、そこに人種が違う人間を無理にねじ込んでいるのですから。特に本作では設定を観客に楽しませようとしていたのだから、その前提としては広く知られた歴史を尊重するという姿勢が必要だったはず。前作では中国の地理を無視して中国人を怒らせていましたが、本作ではイギリス人を怒らせるのではないでしょうか。外国に対するアメリカ人の無神経さには、毎度恐れ入ります。 また、肝心のロボットバトルにも前作から特に進化している点はなく、毎回毎回同じようなことばっかやってますなぁと、こちらでも熱くはなりませんでした。予告の時点でさんざん押されてきたオプティマスの寝返りについても、オートボッツと一回ド突き合いをしただけで我に返るというアッサリ加減で終わってしまうし、本作独自の色を出そうとしながらも、結局いつもの形に戻ってしまうという点がもどかしかったです。一時的にでもオプティマスとメガトロンが肩を並べて人類を攻撃するという画でもあれば、盛り上がったのですが。そういえば、あのメガトロンは『ロストエイジ』のガルバトロンと同一人物なのか、それともまったく別ルートで生き返ったものなのか、はたまた『ダークサイドムーン』で殺されたはずのやつがひっそりと生きていたものなのか、その説明すら端折られてましたよね。どんだけ適当な映画なんでしょうか。[3D(字幕)] 4点(2017-08-05 03:30:43)(良:1票) 《改行有》

4.  ドクター・ストレンジ IMAX-3Dにて鑑賞。 ひたすらに強く大きくという方向性での進化を遂げ、そろそろお腹いっぱいになりそうなMCUですが、ここに来て従来の作品群とは異なる趣の本作を登場させたことには驚かされました。というか、MCUという枠を超えてアクション映画全般を眺めてもこれほど独創的な作品は珍しく、娯楽映画史におけるベンチマークのひとつになるのではないかとすら思いました。それほど本作のビジュアルは革新的で強烈なのです。発想力の逞しさ、そして、これほど複雑な見せ場をよくぞ作り込んだものだと感心するほどの緻密さであり、もはや芸術の域にまで達しています。今までボンクラだと思っていたスコット・デリクソン監督が、まさかここまで出来る奴だとは思ってもみませんでした。 一方、物語はヒーロー誕生編としてはかなりオーソドックスなものです。ビジュアルこそがメインの作品なのでお話は観客の目を邪魔しない程度でいいという判断があったのでしょうが、それでも、ここ10年ヒーローものを作り続けているマーベルはちゃんと成功方程式に落とし込んで手堅く仕上げています。適度に笑わせ、適度にハラハラさせ、適度に感動させる、娯楽作として過不足なしです。パワーの源や、世界を滅ぼしかねない脅威の説明、長ったらしい固有名詞の羅列に入ると「MCU内に世界の脅威はどれだけ大勢いるんだよ」と少々退屈になるものの、この辺りにも深入りしすぎないのでストレスは感じませんでした。 華と演技力を兼ね備えた豪華俳優陣は、それぞれ説得力のあるパフォーマンスを見せています。作品全体のスピード感を落とさないよう、主人公以外の背景はほとんど語られないのですが、それぞれに演技のできる役者を配置したことで、そのキャラクターの歴史が透けて見えてくるのです。この辺りの塩梅も見事なものだと思いました。 ある程度の割り切りの下に作られているため傑作とは言えませんが、見せ場の独創性で引っ張るかなり印象深い作品でした。[映画館(字幕)] 8点(2017-01-28 00:21:09)(良:2票) 《改行有》

5.  殿、利息でござる! 《ネタバレ》 良い人だけが出てくる良い映画であり、たまにクスっと笑わせるという、いかにも松竹らしい人情コメディとなっています。とにかく全員が公共のために尽くそうという思いを持っており、このプロジェクトの障害になると思われていた藩の出入司や、財政難の元凶となっていた殿様すら話してみれば良い人。事情を知るや主人公たちへの協力姿勢を示し始めるという、安心して見られる作品となっています。 主人公たち出資者は「町が滅びれば自分たちの商売も立ち行かなくなるから、何とか町に活気を取り戻さなければ」という目的で資金の供出を開始します。この点は合理的で納得がいったのですが、他方で店を潰してまで資金を捻出しようとした妻夫木聡演じる浅野屋の行動原理だけは不明であり、この点が作品のアキレス腱となっています。彼のドラマをもっと合理的に見せてくれれば作品全体がより腹に落ちたのですが、もはや徳の高い人でしかないという見せ方は良くありませんでした。[ブルーレイ(邦画)] 6点(2017-01-14 15:47:15)《改行有》

6.  トリプル9 裏切りのコード 多数の人気俳優を持て余すことなくそれぞれから良質の演技を引き出しており、同じくスター共演作だった『欲望のバージニア』と同様に、ジョン・ヒルコート監督は良い仕事をしています。特に、マフィアのボス役を演じたケイト・ウィンスレットの迫力や凄みは非常に素晴らしく、彼女は作品の要としてきちんと機能しています。また、見せ場もかなりこだわって作り込まれており、強盗団がちゃんと優秀に見えていた点も評価できます。 ただし、各構成要素はよくできていても全体としては面白くなっておらず、映画としては残念な出来でした。ひとつひとつの構成要素は良いものの、量があまりに多すぎることと、それらを捌くには尺があまりに短すぎることからすべてがアッサリと流されている状態であり、もはや消化試合のような有様となっています。観客に何を感じ取って欲しいのかという観点から全体を構成し、描くものをより絞り込むべきだったと思います。 本作の山場は、トリプル9発動のために相棒・クリスを殺すことに決めたマーカスのドラマにあったと思います。当初は、まったくソリの合わない相棒なんてぶっ殺しても構わないと思っていたものの、その後ヒスパニック系ギャングとのいざこざを契機に仲良くなり、殺しづらくなってしまう。二人の関係性に焦点を絞れば映画に一本筋が通ったと思うのですが、残念ながら監督はこのドラマもアッサリと素通りしてしまいます。これは本当に残念でした。さらには、この部分を重視しなかった結果、一応は主演であるはずのケイシー・アフレックが居ても居なくてもどっちでもいいような状態となっています。これはさすがにマズイでしょ。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2017-01-07 21:01:27)《改行有》

7.  ドローン・オブ・ウォー 《ネタバレ》 『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』において、スパイ衛星で捕捉した敵を、常時航行しているヘリキャリアーからの攻撃により自動排除するというインサイト計画なるものが登場しましたが、「そんなもんはファシストのやり口じゃねぇか!」と激怒したキャップにより当該計画は豪快にぶっ潰されるのでした。 本作で主人公が従事するミッションは、まさにインサイト計画と同様のもの。テロリストであるとタレこみがあった人物の居場所にまでドローンを飛ばし、ミサイルで始末するだけの簡単なお仕事です。そして、キャプテン・アメリカの怒りを買ったインサイト計画と同様に、このミッションにも正義はありません。農夫にしか見えないアフガン人をテロ関係者として殺したり、ドローン攻撃で死亡した人物の葬儀に集まった人たちにもミサイルを撃ち込んだりと、もはや歯止めが利いていないのです。少しでも疑いをかけられた人物はクロと見做して殺す。たった一人のテロリストを殺すために無関係な一般市民を巻き添えにする。被害者と加害者の国籍が逆であればどれだけの非難を受けているだろうかということをアメリカはやっているのです。 そもそも戦争とは命の奪い合いであり、そこに良い殺し”Good Kill”などはないのですが、それでも従来の戦場には一定の掟や美学というものが存在していました。戦闘行為は兵士のみが行い一般市民は巻き込まないこと、相手の命を奪いに行く以上は自分も殺される覚悟をしておくこと。しかし、ドローンによる殺戮は絶対安全な場所でボタンを押すだけで片がつき、そこには最低限のモラルすらありません。主人公はF-16のパイロットに戻して欲しいと何度も上司に懇願しますが、それは一人の戦士として今やっていることに耐えられなかったためでしょうか。 昼間は遠隔操作での殺戮に手を染めながら、夜には帰宅して家族との時間を過ごす。そんな生活を送る中で兵士たちは次第に精神を蝕まれていきます。ある者は麻薬に走り、ある者は任務から離れていく。主人公もまた、大儀のない殺戮に順応するため他者への共感を絶たねばならなかったことから、家族との間で溝ができていきます。若い女性部下と何となく良い感じになっても不倫に走らず家へ帰るあたりからは、彼の中でも行動を制御しようとする意志が見られるのですが、それでも人格そのものが崩壊していくことは止められなくなっているのです。 以上、なかなか意欲的な姿勢で作られた作品ではあるのですが、物語はどこか牧歌的。主人公がウジウジと悩む様はある意味呑気であり、ミサイルを撃ち込まれる側からすれば、「発射ボタンを押す人だって苦しんでるんですよ」と言われたところで「それがどうした!」としかなりません。本作はより被害者目線に立った作品であるべきだと感じたのですが、これがアメリカ映画の限界なのでしょうか。[DVD(吹替)] 6点(2016-08-12 18:49:24)《改行有》

8.  ドリームハウス 《ネタバレ》 作品中にはよくできた部分とダメダメな部分が混在しており、たった90分程度の映画なのにえらくムラがあることが気になったのですが、鑑賞後にプロダクションの背景を調べてみて納得しました。製作会社であるモーガンクリークと監督のジム・シェリダンが完成した作品を巡って対立し、モーガンクリークは監督から作品を取り上げて再編集版を勝手に作成。シェリダンは監督協会に訴えてクレジットから自分の名前を外すことを要求し、ダニエル・クレイグとレイチェル・ワイズは監督を支持して作品のプロモーションへの参加をボイコットするという泥沼の事態に陥ったのだとか。クレイグは『インベージョン』でも同様のトラブルを経験しており、お疲れ様としか言いようのないキャリアを歩んでいます。 【注意!ここから激しくネタバレします】 内容はよくある本人オチ系の物語ではあるのですが、中盤でさっさとネタバラシをしてしまうため、「あといくつかネタフリがあってからオチだろう」と油断して見ていた観客はかなり度胆を抜かれます。また、主人公家族の描写が極めて丁寧で感動的であることも作品の目玉となっています。『マイ・レフトフット』や『父の祈りを』を手掛けてきたシェリダンだけあって、家族の描写では外していないのです。 家族は主人公の妄想による産物と見せかけているのですが、終盤で一度、主人公を助けるために物理現象を起こす場面があります。この描写により家族は幽霊であることが判明するのですが、そこから浮かび上がってくる、哀れなお父さんのために奥さんと娘たちが「都会から郊外に引っ越してきたエイテンテン一家」という家族ごっこに付き合ってあげていたという図式には泣かされました。また、一家惨殺の真相が暴かれたことで奥さんは自らの役割が終わったことを認識し、「私たちのことはもういいから、あなたは新しい人生を始めなさい」と言って主人公を送り出す場面ではもっと泣かされました。ここまで泣かされる幽霊映画は滅多にありません。意外なほど幅の広い演技を見せるダニエル・クレイグの腕前や、どこか超越性を感じさせるレイチェル・ワイズの存在感の貢献もあって、エイテンテン一家の物語がとにかく良いのです。 他方、お向かいさんに係るエピソードはボロボロで、このために最後の大オチがまったく決まらないという事態を起こしています。事件の真相を要約すると、親権裁判に勝てそうになかったジャック・パターソンは妻・アンの殺害を計画するが、殺人を請け負ったチンピラが間違えてお向かいのウォード家に侵入して一家を惨殺したというもの。一家惨殺についてこれだけ引っ張っておいて「家を間違えた」が真相ではズッこけてしまうので、もう少しうまいオチを考えて欲しいものでした。また序盤から中盤にかけての、主人公ウィルとパターソン一家との関係性の描写が希薄であったことから、この一家が物語の真相に深く関与するという点にも唐突感がありました。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2016-02-12 14:29:00)(良:1票) 《改行有》

9.  トランセンデンス(2014) 《ネタバレ》 生命倫理の問題や、テクノロジーが神の領域にまで達しようとすることの是非、環境問題など、この映画にはとにかくいろんなトピックが盛られています。監督と脚本家は恐らくこれら全部を語りたかったんでしょうけど、キャリアの少ない彼らではこれを扱いきれず、ただのひとつも観客の興味を引くことなく終わっています。難解な題材を華麗に調理するクリストファー・ノーランという天才の下でしばらく働いてきた撮影監督が、「ノーランほどではなくても、それに近いものは自分にも撮れるのではないか」と考えてしまったことは致し方ないところですが、もっと地に足のついた、まずはワンイシューで勝負するところから始めていれば、映画としてはきちんとまとまったのではないかと思います。 監督はあまりに多い構成要素を捌くことにいっぱいいっぱいで、血の通った物語にしきれていません。元は人質として囚われていたポール・ベタニーにどんな心変わりがあってエコテロリストの参謀を務めているのかが不明だったり、一貫して自己中の悪人にしか見えないエコテロリストのケイト・マーラが途中から正義の扱いになることの違和感、モーガン・フリーマンの存在意義など、キャラクターの動かし方が総じておかしいのです。何より問題なのは、誰がどう見ても怪しさ全開の行動をとるAIウィルが、実は良い人でしたというオチに納得感が薄いこと。超越的な知能を持ち、文明社会の森羅万象を動かす力を持っているのだから、人類から猜疑心を抱かれないよう、もっとうまくやれよと思ってしまいました。これと併せて、遠隔操作可能な改造人間を作り始めるに至って、ようやく「最近のウィルって何だか気持ち悪いわ」と感じるようになったエブリンの異常な鈍さにも付いていけず、バカ夫婦の起こした珍騒動という印象が強くなっています。 そんな感じでトピックの扱いでも、人間ドラマでも失敗している本作ですが、救いはビジュアルの美しさで観客の目を楽しませることには成功していること。ノーランの映像美を最前線で支えてきた監督は、ここではきっちりと仕事をしています。 また、脚本レベルでは中盤以降、FBI、民間セキュリティ会社、エコテロリストの連合軍がウィルの要塞に攻めてくるという何とも燃える展開を準備してきますが、この下世話な部分が面白かったので、本作は憎めない作品となっています。人類側は「ハイテク兵器ではウィルに乗っ取られるから、旧式の銃火器で乗り込むぜ!」とやってくる。対して、ウィル側は障害者を改造して作り上げた不死身の強化人間軍団で陣地防衛。前半の真面目な雰囲気をぶち壊すこのバカさ加減には、私の中のB級魂が騒ぎました。また、結構真剣にテクノロジーを扱ってきた作品なのに、このパートではナノマシーンがほぼ魔法の道具扱いになっていて、このヤケクソ加減も私のツボでした。キューブリックの脚本をマイケル・ベイが監督したかのような歪さを楽しめるかどうかが、本作の評価を分ける点なのでしょう。私は嫌いじゃありません。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-01-28 19:24:07)(良:1票) 《改行有》

10.  トランスフォーマー/ロストエイジ 《ネタバレ》 IMAX-3Dにて鑑賞。『4』製作開始のアナウンスがあった時には、「『3』で締まった話の続きをどうやって作るんだ」と心配したのですが、考えてみればこのシリーズには話も設定もあってないようなものなので、本編には何の問題もありませんでしたね。心配した私が愚かでした。。。 そもそも適当なこのシリーズですが、本作の適当ぶりは映画史上屈指のレベルに達しています。オートボッツが何のために戦っているのかわからない、そもそも誰と戦っているのかわからない、ロックダウンが地球で何をしているのかわからない、冒頭の恐竜絶滅に何の意味があったのかわからない、ラストで突然オプティマスが空を飛んでビックリetc…基本的な話がまったく理解できません。また、人間パートも同様の手抜きぶり。『アルマゲドン』でやったことを繰り返してるだけですから。主人公は貧乏発明家。SF映画における発明家といえば『ゴーストバスターズ』のようなオタク臭い面々を連想しますが、本作でこれを演じるのはマーク・ウォルバーグなので、出来ちゃった婚で高校を中退した元アメフト選手のムキムキ男という設定が加えられており、どうやっても発明家には見えません。実戦においても専ら使うのは頭脳ではなく肉体であり、素人とは思えない素晴らしい戦闘スキルでオプティマスの援護をします。その娘は、テキサスのド田舎の女子高生にはどうやっても見えない超ゴージャスなルックス。どんなに激しい戦闘の中でも、決して顔は汚れません。。。 以上、映画としてはガタガタなのですが、これが欠点となっていないのが本作のすごいところ。カーチェイスとロボットバトルをゲップが出るほど見せられる中では、ドラマとか設定とかはどうでもよくなってしまうのです。さらには、見せ場は多いもののきちんとバリエーションがあるので、同じようなアクションを何度も見せられるようなことはありません。また、「ロボットの区別がつかない」という前作までの欠点がきちんと修正されている点にも感心しました。3Dの使い方も素晴らしく、3D効果を実感しやすいショットが意図的に入れられているのでアトラクション映画として上々の仕上がりです。本作の上映時間は『ウォッチメン』や『ダークナイト』をも超えているのですが、それだけの長丁場を見せ場のコラージュだけで見せきったベイの絶倫ぶりには心底驚かされます。バカをやりきって偉業の域に達したような映画でした。[映画館(字幕)] 8点(2014-08-10 23:58:38)(良:1票) 《改行有》

11.  逃走車 低予算でもそれなりの映画が作れるということもあって、ワンシチュエーションでのサスペンスアクションはここ数年多く製作されていますが、たいていは盛りの過ぎたスターが出演するVシネマです。そこに来て、現役のスターであるポール・ウォーカーが製作までを兼任し、さらには自身の出世作を連想させるカーアクションを中央に据えた映画とくれば、ジャンルの中でも頭一つ抜けた出来を予感させるところですが、これが完全に期待はずれの駄作でした。。。 本作の脚本はネタの詰め込みがとにかく甘く、エンドロールを含めて85分というコンパクトな上映時間でありながら、中弛みをするというどうしようもない事態を引き起こしています。劇中に起こるイベントの数が少なすぎるのです。また、巻き込まれた主人公の動機付けが弱いために、ダメ男が正義に目覚めるというドラマとしての感動も薄くなっています。さらには、社内の様子しか映さないという監督の試みも完全に裏目に出ており、視点が固定されてしまったためにカーチェイスの迫力は半減しているし、俯瞰ショットを使えないために、主人公がどれほどの包囲網の中にいるのかもよく伝わってきません。[ブルーレイ(吹替)] 4点(2013-09-30 01:03:04)《改行有》

12.  トールマン 《ネタバレ》 【注意!激しくネタバレしています】 企画の概要は極めて優れていると感じました。善悪が二転も三転もする展開は面白かったし、『トールマン』というタイトル、果てはホラーというカテゴライズ自体がミスディレクションだったという大胆な仕掛けには唸らされました。ジェシカ・ビールが本企画を非常に気に入り、製作費が底をついた際には自腹まで切ったという入れ込み方にも、素人ながら納得がいきました。これはホラーの歴史に名を残す傑作になる可能性もあった作品だったからです。。。 ただし、企画は魅力的であっても脚本力や演出力はそれに追いついておらず、かなり残念な仕上がりとなっています。まず、ホラー映画としての作り込みが甘いので、大して怖くありません。着地点はホラーでなくとも、少なくとも企画がその本性を現すまでは、全力でホラーをやりきる必要はありました。しかし、ホラーパートは驚くほど簡単に処理されてしまうので、映画としての見所がありません。。。 さらには、ネタが明かされた後のドラマにも魅力がなく、「言いたいことは分かるんだけど、ねぇ」という、何とも残念な状況となっています。ベン・アフレックが『ゴーン・ベイビー・ゴーン』でやったことを3倍くらいに薄めたような内容で、深みがないのです。実の親の元で貧困と虐待にさらされながら生きることと、偽りの家族と共に物質的に恵まれた生活を送ることと、どちらが子供にとって幸せなのか?このテーマを語るのであれば、さらわれる前の子供達がどれほど過酷な環境にいたのかを観客に理解させる必要があるのですが、この映画はそうした描写を怠っており、観客が脳内補完してやらねばならないという状況が発生しています。これではドラマとしては不十分です。[DVD(字幕)] 5点(2013-03-31 03:49:07)《改行有》

13.  トロール・ハンター 《ネタバレ》 M・ナイト・シャマランが『サイン』の宇宙人映像で使用した例が初だと思いますが、それ以降、モキュメンタリースタイルはSF映画の定番となっています。SFに不可欠な空気感をいとも簡単に作り出すことができ、おまけに対象をはっきりと映し出す必要がないため予算も節約できる。『モンスターズ』や『chronicle』等、今やこのジャンルは屈指の激戦区となっています。。。 そこに来ての本作ですが、本作ならではのオリジナリティ、他作品との差別化の程度が弱いと感じました。映画としての出来は決して悪くないのですが、観客も食傷気味となっている当該ジャンルにおいて、この程度のアイデアでは心許無いのです。一応、ラストには60mの特大トロール登場というサプライズが用意されてはいるのですが、比較対象のない雪原での戦いであるため意図した程のインパクトを与え損られていません。トロールハンターのオヤジはいい味を出しているものの映画の顔となるレベルには達しておらず、あらゆる要素が勿体無い状態となっています。。。 映画の出来とは別に私が興味深く感じたのは、トロールが反キリストであるという点です。日本のようにお寺と神社が共存している社会は極めて稀であり、土着信仰は一神教により否定され、駆逐されるというのが歴史の常です。ノルウェーもその例外ではなく、10世紀頃(劇中提示されるトロールの寿命と一致する年代)にキリスト教が本格的に上陸し、土着信仰は駆逐されました。かつて神だったトロール達が怒っている理由はここにあります。さらに興味深いのは、現在のノルウェー国民のうち9割以上はノルウェー国教会に所属しているものの、熱心な信仰心を持っているのはその内の1割程度であり、大多数の国民は便宜上教会に籍を置いているに過ぎない状態にあるという点です。さらには、ノルウェー国民のうちの相当数は、今でもトロールの実在性を信じているとか。土着信仰は形式的には消滅したものの、ノルウェー人の心の中では今なお生き続けているのです。そして、劇中のノルウェー政府がトロールの存在をひた隠しにする理由は、この辺にあるようです。。。 現在、北欧の土着信仰復権運動を担っているのはブラックメタルです。90年代には、キリスト教会に放火する等の過激な事件までを引き起こしています。エンディングにおいて、作品に相応しくないメタル系の音楽が流された理由はここにあります。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2012-12-30 17:43:40)(良:1票) 《改行有》

14.  ドライヴ(2011) 《ネタバレ》 勢い任せに逃げる鬼ごっこタイプではなく、追手の死角を突きながら徐々に距離を離していくかくれんぼタイプのユニークなカーチェイスには引き込まれました。音響への異様なこだわりも映画のテンションに大きく貢献しており(本作は音響の整った環境で観るべき映画)、絶好調のスタートを見せる本作。ライアン・ゴズリング演じるドライバーのキャラ設定も良く、質素な一人暮らしならば修理屋の給料のみで食べていけるにも関わらず、逃がし屋やスタントマンといった危険な仕事を定期的に引き受けることで己の破壊衝動を充たしているアブナイ男という、バイオレンス一直線な設定には燃えましたとも。究極の危険愛好家にして、度を越した暴力性を胸に秘めたドライバーは、ポジティブに描かれたアントン・シガー。ライアン・ゴズリングの幽霊のような存在感も主人公のキャラ描写に大きく貢献しており、この主人公を見ているだけで2時間は余裕で楽しめます。忍従を重ねた末に、いよいよドライバーがブチ切れる瞬間には飛び上がるくらいに興奮しましたとも。。。 問題に感じたのは、ドライバーのキャラがあまりに完璧すぎて、その敵となる犯罪組織が完璧に見劣りしていること。アルバート・ブルックス演じる古株のヤクザなどはかなりいい味出しているのですが、人間凶器とも言えるドライバーと戦って勝てるタマではありません。そのため、冒頭のカーチェイスに匹敵するような緊張感ある見せ場を後半に準備できておらず、映画全体としては尻すぼみな印象を受けました。[DVD(字幕)] 6点(2012-10-03 09:39:55)(良:1票) 《改行有》

15.  トータル・リコール(2012) 濃厚コッテリだった『トータル・リコール』が薄味のラーメン屋みたいな味に。バーホーベン版を神格化するつもりはありませんが、それでもこのリメイクは失敗だったと思います。CGがほとんど使い物にならない時代に製作されたバーホーベン版には驚くような見せ場がいくつもあったのに、一方で技術的な制約のなくなった時代に作られたはずの本作にはインパクトのある場面がひとつもありません。コロニーは『ブレードランナー』、UFCは『マイノリティ・リポート』の世界そのままだし、劇中に登場するテクノロジーは『アイ、ロボット』で見たようなものばかり。レン・ワイズマンは『アンダーワールド』でも『クロウ/飛翔伝説』のパクリをやってアレックス・プロヤスから苦言を呈されていましたが、本作においてはより露骨な形でこの人のオリジナリティのなさが現れています。さらに罪深いのは、これだけ他作品のパクリをやらかしながら、肝心のバーホーベン版からの影響は皆無に等しいということ。小ネタで義理立てはしているものの芸術面でのリスペクトはまったくなく、そこまで『トータル・リコール』に関心がないのであれば、別の映画を作るべきだったと思います。。。 以上のようなSF映画としての欠点に加え、本作はアクション映画としても面白みに欠けています。見せ場の連続なのに手に汗握らないという娯楽映画の末期症状に陥っており、2時間の連続活劇としてうまく機能していないのです。こちらについても、泥臭くとも訳の分からん勢いだけはあったバーホーベン版とは正反対の仕上がりであり、スタジオは監督の人選を間違えたように思います。。。 役者についてですが、芸達者なコリン・ファレルは無難に主人公を演じており、このグダグダの映画をうまく乗り切っています。ジェシカ・ビールは個性に欠け、いてもいなくても大差のない存在感。ただ一人ネジの飛びまくった熱演を披露しているのがケイト・ベッキンセールで、かつてシャロン・ストーンとマイケル・アイアンサイドが演じた役柄を一人で引き受けたという気負いから過剰な演技に走っているのですが、これが笑ってしまうほどおかしくなことになっていてラジー賞ノミネートは確実ではないかと思います。これを撮っているのはこの人の旦那なんだなぁと思うと何ともカックンな気持ちになり、他人の家のホームビデオを見せられているような居心地の悪さを感じました。[映画館(字幕)] 4点(2012-08-11 01:30:09)(良:1票) 《改行有》

16.  ドラゴン・タトゥーの女 ハリウッド最強の脚本家と監督が組んだ作品だけあって安定感は抜群。娯楽性と芸術性の間で見事にバランスをとっています。主演2人はもちろん脇を固める俳優陣も素晴らしく、映画としての完成度は非常に高いと思います。しかし、とにかく上映時間が長い。目を見張る展開やド派手な見せ場のない本作で2時間半オーバーは厳しすぎます。。。 インディーズスタジオだったニューラインシネマズで「セブン」と「ゲーム」を成功させて以降、デヴィッド・フィンチャーはスタジオからの口出しを受けずに映画を撮れる地位を確立しましたが、それ以後に彼が撮った映画はどれも長い。確かにこの監督のヴィジュアルは完璧であり、どのシーンも美しく撮られているためにすべてを使いたくなることは理解できるのですが、同時に映画全体をどうまとめあげるのかという視点も持っていただきたいものです。同じくヴィジュアルの巨匠であり、自由に映画を撮れる立場にいるリドリー・スコット師匠などは毎回本編を短めに刈り込み、DVD化の際にディレクターズ版を発表することが恒例となっています。リドリー・スコットは”適正な上映時間”というものを常に意識しており、時には個々の場面の重要性よりも映画全体のテンポを優先させるという判断を下しているのです。フィンチャーも、早くこの域に達して欲しいものです。[DVD(吹替)] 6点(2012-06-25 13:53:31)(良:3票) 《改行有》

17.  トランジット この映画、序盤はとにかくつまらんです。主人公一家はどいつもこいつも面倒臭い性格で好きになれないし、強盗団は安っぽくてまったく怖くありません。しかし、いよいよ強盗団が一家に接触すると突如として緊張感が高まります。それと同時に主人公一家に愛着を覚えるようになり、最後には「親父がんばれ!」と力いっぱい応援してしまうのでした。クライマックスで突如ランボー化するお母さん、異常に機転の利く長男などジョエル・シルヴァーならではのやりすぎ感も不思議とアダになっておらず、それどころかどんどんエスカレートしていく展開からはかなりのカタルシスが得られました。。。 カーチェイスや銃撃戦などの見せ場も意外と細かく作りこまれています。田舎道を2台の車が走っているだけという貧相なシチュエーションでありながら、撮影や編集の丁寧な仕事のおかげでスリリングな見せ場を作り上げているのです。この辺りの手慣れた仕事もさすがジョエル・シルヴァーといったところです。。。 この映画、ジョン・キューザックとモーガン・フリーマンが共演した「ザ・スナイパー」という映画とまんま同じ話なのですが、退屈で死ぬかと思った「ザ・スナイパー」と比較すると本作の面白さは際立っています。スタッフの仕事の手際の良さや適材適所のキャスティングなど(長男役の子供はどこで見つけてきた?)、B級アクションに必要な下準備がきちんとできているのです。決して傑作ではないが、観て損のない小品だと思います。 [DVD(吹替)] 7点(2012-06-20 10:12:54)《改行有》

18.  ドライブ・アングリー3D 10年前ならロバート・ロドリゲスが撮っていたような闇鍋アクション映画。個人的に好きなジャンルなのですが、本作にはイマイチ乗り切れませんでした。主人公の能力設定がとにかく曖昧なので、アクションに感情が乗らないのです。無敵の強さを見せたかと思えば、意外な場面でピンチに陥る、2時間弱見ていて手に汗握ることが一度もありませんでした。また、復讐劇ならもっとウェットであるべきだし、勧善懲悪ものならもっと爽快であるべきなのですが、本作はどっち付かずになっていることも不完全燃焼の原因です。きちんとしたお膳立てがあれば目を釘づけにするような素晴らしい見せ場が多く、役者も全員ハマっているにも関わらず、脚本や演出の手落ちのために残念な仕上がりとなっています。[DVD(吹替)] 5点(2012-01-21 20:16:04)(良:1票)

19.  トロン:レガシー 《ネタバレ》 チャチながら味のある映像、安いながらも独特の雰囲気を醸していた音楽、そんな「トロン」第1作を見た直後に「レガシー」を鑑賞したのですが、その素晴らしいアップグレードぶりには目を見張りました。最先端の映像は美しくてやたらかっこよく、仰々しい音楽は腹にドスンと響きます。とにかく目で驚かせる、これぞスペクタクルだと思いました。前半のハイライトである「ゲーム」の作り込みはハンパではなく、平面だけではなく垂直方向も意識したアクションの連続には大興奮させられました。21世紀に入って突如「トロン」続編の製作が発表された時には「なんで今更『トロン』なの?」と世界中が首をかしげたのですが、この映像を見せられると、「なるほど、これを見せたかったのか」と合点がいきました。ビジュアル的には百点満点の映画だと思います。。。 ただし、お話の方が弱いと感じました。どのキャラクターも薄味で感情移入できないし、タイトルロールである「トロン」の扱いもぞんざいなものです。ビジュアル的にはかっこいいのに、キャラクターとしてまったく掘り下げられていない点が非常に残念でした。心変わりの背景などをもう少し丁寧に描いていれば、見違えるほど良くなったと思うのですが。さらには、観客に世界観を伝え損ねていることも問題です。ポータルがどうのこうのとか、ケビンのディスクがどうのこうのという話はサッパリ意味不明だし、デジタル生命体アイソーの件も、やはりよくわかりませんでした。難解な世界観をうまく観客に飲み込ませていた「マトリックス」という先例があるのですから、もう少し丁寧に脚本を作り込むべきだったと思います。 [DVD(吹替)] 6点(2011-12-04 09:54:45)(良:1票) 《改行有》

20.  トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン 《ネタバレ》 ↓ムランさんが詳しく書いておられますが、とにかく脚本が支離滅裂。「コンテナを破壊されたからもう飛べない」と言ったオプティマスが、次の場面では空を飛んで登場という展開には腰を抜かしました。本作は万事がこの調子で、筋らしい筋がない上に行き詰ると平気で方向転換、相変わらずドラマと本筋がうまく絡んでおらず、金のかかったプロジェクトでよくぞこんな手抜きの脚本が通ったものだと思いました。上映時間が長い割に時間の使い方もうまくなくて、ジョン・マルコビッチの出演場面は丸々不要な一方で、裏切り前のセンチネル・プライムの描写は少なすぎ。センチネルは本作最大のキーパーソンなのですから、彼が偉大な指導者であったこと、オートボッツ達からは父のように慕われていることを示す描写は必要でした。そして犯罪的に問題なのがシカゴ陥落場面を端折ってしまったことで、「昨夜シカゴが敵の手に落ちました」で済ませてはいかんでしょ。「インデペンデンス・デイ」も「宇宙戦争」もそうでしたが、侵略ものはファーストコンタクトが最大の見せ場。終末を感じさせる圧倒的な敵の登場、本作で言えばディセプティコンズの戦艦がシカゴ上空に飛来する場面こそが作品のアクセントとなるはずだったのに、そこを丸々落としてしまったのではもったいなさすぎます。。。とまぁ問題点の塊のような映画なのですが、それでもこの映画は面白いのです。ロボット達がドンガラガッシャンと大暴れしまくるボリューム満点の2時間半の前では、細かいケチは野暮に感じます。前作まではロボットプロレスの域を出ていなかったこのシリーズも、本作ではついにロボット大戦争に。敵の目を潰し、腕をもぎとり、内臓を引きずり出し、脳天を吹っ飛ばす、「ロボットならレーティングの心配も不要だぜ!」とばかりに悪趣味番長マイケル・ベイがやりたい放題やっています。クライマックスの戦闘ではそんなベイの手腕が光りまくりで、オプティマス登場のタイミング、センチネルの圧倒的な戦力の描写など、必要な演出はバチっバチっと決まってきます。キャメロン直伝という3D技術の扱いも上手いもので、猫も杓子も3Dでガッカリ3Dが氾濫する昨今において、「3Dで見てよかった」と思わせる素晴らしいアトラクションを提供してくれます。映画としてはイマイチな出来なのですが、大スクリーン、大音響で楽しむ3D大作としては破格の作品であったと思います。[映画館(字幕)] 8点(2011-08-03 00:20:39)(良:1票)

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