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1.  ドランク・モンキー/酔拳 《ネタバレ》 “Drunken Master”『大酒飲みの達人』。ジャッキーのカンフー映画黄金期の作品はほとんど好きだけど、一番完成度が高いのがこの酔拳でしょうか?いろんな格闘技がある中で、酔っ払いの動作で敵と闘うって発想が凄い。ダンスのような酔拳の動きは小学生にも真似しやすく、カンフーの組手ごっこは、プロレスごっこみたく痛くないからか、男子はみんなやってましたね。 殺し屋の鉄心良いですよね。生意気な飛鴻をさんざん痛めつけるけど、殺したりしないオトナな対応。たぶん初めて見る酔八仙に対し、封じ技の無影拳で対抗するのは殺しのプロらしくてカッコいい。 あと棒のオッサンが結構好きです。相手が蘇と聞いて帰ろうとするトコが最高。腹から出血してたけど、生きていてほしいなぁ。 今改めて見ると、ストーリーは結構雑です。街で見かけた可愛い娘が従姉妹、叔母さんは拳法の達人だけど2人の出番は前半のみ。個性の強い師範代(ディーン・セキ)も出番は最初の方だけ。街で喧嘩したキザ男の父親が飛鴻のお父さんの商売敵だったけど、特に掘り下げなし。殺し屋鉄心を倒して…商売敵とのその後は?飛鴻とお父さんのその後は? なんかツギハギだらけの話でモヤモヤしそうだけど、一切ご心配なく。華麗なカンフーの動き。だんだんランクアップする敵。観たこともない修行方法。合間に入るコメディ要素。CGの無い時代、人間の身体能力のと華麗な組み手が、観ていて飽きさせない、観ていて疑問を感じさせない、観ていて退屈させない、すごく前向きで明るくてパワフルな、素晴らしい娯楽映画だと思います。 やっぱりジャッキー映画は石丸さんの吹替版が良いよね。カーーーンフーージョーーーーnデデッテーーーーン♪[地上波(吹替)] 10点(2023-05-20 20:18:46)《改行有》

2.  トップガン マーヴェリック 《ネタバレ》 -Maverick- “焼印の押されていない子牛”≒“群れに馴染めない存在”=“一匹狼” なんか久しぶりに『映画館で映画を観る醍醐味』を味わわせてくれたわ。懐かしさと新しさ。ジェットエンジンの爆音とトップガンアンセム→デンジャー・ゾーンの流れは鳥肌モノだった。本作の主役機はF/A-18スーパーホーネット。前作の時代から現在まで活躍している、ちょい古い世代の戦闘機(の子孫)。 現役バリバリの第5世代戦闘機F-35をチラッとだけ映しといて、「お前の出番じゃねぇよ」と言わんばかりに力強く空に舞い上がるF/A-18の勇姿。 60歳近いのに未だに現役パイロットで大佐止まり。コールサインのせいじゃないだろうけど、彼があの年齢まで結婚しないのも、年上で野心家のシャーロット(チャーリー)と続かなかったのも、なんか頷ける。 そしてカワサキGPZ900R(まだ持ってたの?)にまたがるマーヴェリック。懐かしい革ジャン(これもまだ持ってたの?)、背中の日/台ワッペンもバッチリでひと安心。トムは映画でしょっちゅう観てるけど、ホント久しぶりにマーヴェリックに会えた気分。 当時と変わらない彼が、現代の若者とのジェネレーション・ギャップに苦労したり、トレーニングでついて行けなくなって年齢を感じさせたりするのかと思いきや、「まだお前等の出番じゃねぇよ」と言わんばかりに、衰えを知らない体力と精神力で、若者たちを軽くあしらう様子が痛快。いい意味でヤンチャなままのマーヴェリックだったわ。M:Iシリーズのイーサンみたく若い女性パイロットに手を出さないで安心したわ。 ペニー・ベンジャミン。前作で2回ほど出た名前だけど、そうか、彼女が“司令官の御令嬢”か。グースの妻・キャロルが名前を知ってたくらいだから、カラオケでマーヴェリックを『1回目は撃墜され黒焦げ』にしたのも、きっと彼女だろう。 ジェニファー・コネリーが懐かしく、それでいて若い。前作のレビューで『懐メロが~』とか書いたけど、まさかデビッド・ボウイを懐メロ枠で聴くことになるなんてね。懐かしいねラビリンス。 デートのあとドア開けっ放しにしてピートを招き入れ、そのまま受け入れるトコなんて特に若い。あの年齢でメイク直したり照明消したりしない潔さがカッコいい。前作のチャーリーもペニーも古いポルシェ乗りなのは、なにかの縁なのかな。 中盤のブリーフィングのシーンで猫みたく耳がピン!と立った。え?ええっ?これ前フリ?絶対そうでしょ!? 達成困難なミッション。からの絶体絶命。そこから先はもう、今までとは別な映画のよう。これ以上のサービスは思い付かいゾってくらい、素晴らしいご褒美。やっぱカッコいいわ。こんなカタチで全部解決してしまう説得力。まぁ細かいことなんてどうでもいいわ。 私は何の不満も無いわ。もう全部許す。これでいい。CGとかアニメとかじゃなく、こういう映画を映画館で観たかったんだ。 「でもそれは今日じゃない」これはかつて、トップガンで熱くなってた世代へのメッセージ。 あれから36年の年齢を重ね、当時の想像とは違った現実と日々戦っている、私たち当時の若者達すべての胸に、熱く響く言葉だった。[映画館(字幕)] 10点(2022-07-10 23:12:51)《改行有》

3.  ドライビング Miss デイジー 《ネタバレ》 “Driving Miss Daisy”『人使いの荒いデイジーさん』。アカデミー作品賞受賞作。 当時映画に興味を持ったばかりの私は、アカデミー作品賞とは『その年の数ある(アメリカ)映画の中で優勝を勝ち取った映画』が受賞するモンだってイメージを持っていました。優勝って、つまり一番すごい作品が勝ち取るモンだと。すごい問題作。すごい壮大な作品。すごい話題作… なのに、俳優もテーマも地味なこの作品が、大きな大事件が起きるわけでもないこの映画が、しかも前年のレインマンとちょっぴりイメージが被るロードムービーが、何で優勝したんだ??何だろ?アカデミー作品賞って?って、謎が膨らむきっかけとなった作品です。 この映画、歳を重ねる度に好きになっていきます。たった99分の作品なのに、デイジーとホークの半生が、ゆったりとした心地よい時間とともに流れていきます。のちのち笑い話になったであろうサケの缶詰事件。デイジーのツンデレっぷりが可愛らしいクリスマスの贈り物。恐怖、アラバマの路上で一人ぼっち。安らかな日常生活のまま穏やかに迎えたアデイラの死。老後のドラマとしてこのくらいのハプニング、事件が丁度いい、これくらいが良い。 デイジーは食卓で食事をし、ホークはキッチンで食事をする。それが主従関係。アラバマの道中もデイジーは車内、ホークは外。それが彼らの立場。人種の壁が生んだ立場。明らかな差別を受ける黒人と、目に見えぬ差別を受けるユダヤ人。二人の間に徐々に生まれる友情。ホークがデイジーと同じテーブルに座り、パイを食べさせるのに要した時間は30年。 このゆっくり、ゆったりした映画、人種間の見えない壁。生まれた時から知らずに出来ていた壁。それが壊れていくのに必要な時間を解りやすく観せてくれる。30年だって。 SDGs?2030年までに実現可能?ハァ?だよね。 あ、私にとってアカデミー作品賞の基準って、今でも謎です。多くの受賞作品を観るたび、むしろ謎が深まってます。[ビデオ(字幕)] 8点(2023-03-28 22:17:29)《改行有》

4.  ドライヴ(2011) 《ネタバレ》 “Drive”『運転する』『運ぶ』以外に『追いやる・至らせる』『人をこき使う』なんて意味もあるそう。 主人公はウォルター・ヒルの『ザ・ドライバー』みたく名前がないようだけど、劇中シャノンが「キッド」って呼んでたから、それが名前だと思ってたわ。設定のアッサリした'80年代風の映画を、'90年代の味付けで撮ったような、そんな2011年の映画。 キャリー・マリガン演じるアイリーンの美しさが光る。最初のエレベーターで何気にすれ違うところから美しい。キッドにはアイリーンがどう輝いて見えているかがよくわかる撮り方。 スーパーで見かける時の、最初ベニッシオを観せない撮り方も上手い。『あぁ、子持ちなのか』ってキッドの心の声が聞こえそう。水を汲む時の鏡越しのアイリーンの美しさ。からのスタンダードとベニッシオのツーショット写真。ここも『あぁ、旦那居るのか』って心の声が。そして「刑務所」って聞いた時も。キッドの気持ちがとてもわかり易く書かれている。 親子と幸せな日々を過ごしてからの出所。スタンダードがクズであってほしかった。キッドとアイリーンの仲を割く邪魔者であってほしかった。けど、人生の再出発を考えてる良いヤツで困ってしまう。このやり場のないキッドの感情が手に取る様にわかってしまう撮り方の上手さ。だからエレベーターのキスシーンからの暴力が活きる。理解できる。エレベーターのすれ違いで始まり、エレベーターの見つめ合いで終わる。 なので電話は蛇足だった気がする。けど、キッドの気持ちを考えると、伝えてしまうんだろうな。映画らしくカッコいい主人公じゃないキッドの人間臭さがエンディング曲“A Real Hero”に繋がる演出も上手い。[インターネット(字幕)] 8点(2023-03-21 10:01:39)《改行有》

5.  突破口! 《ネタバレ》 - Charley Varrick - “チャーリー・ヴァリック”主人公の名前タイトルで来たか、そう来たか。 タイトル・イメージからコミカルな強盗映画かと思いきや、ガチなクライムサスペンスでした。 アンドリュー・ロビンソンがダーティ・ハリーのさそりそのまんまの顔で出てたからもう嬉しくって。インパクトある顔立ちだよなぁ。 ちょっと欲求不満気味で妄想癖のある隣のお婆さんが、シャツをはだけて自分に向かって走ってくるハーマンに、ちょっと身の危険を感じてる仕草が可愛い。 あとアルバート・ポップウェルもチラッと出てて、ダーティ・ハリーよろしくアッサリ伸されて、そっちも嬉しかった。 のどかなオープニングからいきなりの銀行強盗。序盤から仲間が撃たれる展開に、レザボア・ドッグスが思い浮かんだ。 予定外にマフィアのカネを手に入れて…って展開にシンプル・プランを思い浮かべた。 なんかこの映画、後のいろんなサスペンス映画にちぃちょい影響を与えてる気がする。 計画がどんどん狂っていく後手後手のチャーリーに対し、追い掛けるモリーの容赦無さと嗅覚の鋭さ。 今までの作風と不釣り合いな、緊張感が有るようでないような、不思議な飛行機と車のチェイス。 最後の爆破で綺麗に絡め取る抜け目の無さ。歯医者のカルテすり替えがここで活きてくるなんて。 一件落着と、緊張の糸が解れたところで車のセルモーター。最後までハラハラさせる見事な終わり方。 こういうテンポが良くてアイデア勝負の映画って、古さを感じさせない面白さがあるよ。凄く良かった。[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-11-13 18:26:46)《改行有》

6.  TRICK トリック 劇場版 ラストステージ 《ネタバレ》 TVシリーズの1作目をリアルタイムで観られたのは、本当に幸運だったと思っています。金曜の深夜、さぁ寝ようか…って時にたまたま流れていた新番組。ぼんやり観ていたら目が離せなくなって…こんな夜中にこんな凄いドラマ流して良いのか?って。 TVドラマのDVDセットを買ったのは、後にも先にもTRICKとTRICK2だけ。私にとって本当に特別な作品でした。 TRICK劇場版の出来がイマイチで、金曜ナイトドラマからゴールデン帯に進出した第3シーズンで、ガッツ石まっ虫とかって悪ノリキャラが出た時点でTRICK熱が冷めて、パタッと観なくなりました。 前置きが長くなりましたが、劇場版4作目にして最後の最後との事で、自分の中でもこの作品群に決着を付ける意味で、劇場に足を運びました。 まぁ酷い出来です。第3シーズン以降の悪ノリ・テイストはそのまま。マンネリ化したドラマパート。面白くないギャグ。ノルマでもあるのか?ってくらいに、質より量と言わんばかりに、1分に1回ペースでコテコテのつまらないギャグを入れてくる。稀に初期の頃みたいな面白いギャグもあるんだけど、つまらないギャグのラッシュに埋没してしまうのが残念に思います。 ギャグとドラマのバランスが逆転しているから、奈緒子も上田や矢部に対して最初からタメ口・呼び捨て。いや基本は“さん付け”で呼ぶから、ギャグパートの“呼び捨て”が活きるんでしょ。 劇場版になるとどうしても人がどんどん死んで、重たい空気になるのは相変わらずです。ただ、そもそもこのドラマは、本物の霊能力者に殺された父の真相を追い求める奈緒子の物語。結構重いんです。菅井きんと母之泉って、視聴者に1作目エピソード1を意識させる演出が、本当に最後の作品として創ってるんだなぁって思わせます。 最後の最後で芸能界を引退した前原さん登場。やっぱTRICKは菊池でも秋葉でもなく、石原なんだと再認識。瀬田くんも出てほしかったな。大病される前の元気な野際陽子さんが観られるのも、今思うと嬉しいです。 上田次郎は、あのキャラのままで現在まで続けても、何ら違和感を感じないキャラクターですね。矢部謙三も。 だけど山田奈緒子は…仲間由紀恵も本作では34歳。マンネリドラマだけに、20歳の頃から成長してないキャラを演じ続けるのは、彼女もきっと苦しかったと思います。気になったのが南国が舞台なのに奈緒子は、昼夜問わず終始長袖&ロングスカート。単に日焼けできないのか、肌が弱いのか、自分の代表作の最後だから、頑張ってくれたんだと思います。でも最後は半袖でしたね、ひと安心。 フーディーニで始まりフーディーニで終わる。「上田さん、最後に一つ賭けをしましょう・・・そしたら、餃子と寿司を死ぬほど奢ってくれ!」死を前に上田に見せた、奈緒子の寂しそうな精一杯の笑顔。 「生まれた時から、笑ったり、冗談を言ったりすることが苦手だった…練習しても上手くいかない。」第一話で一番最初の奈緒子の自己紹介。そんな彼女の14年ぶんの笑顔に、もう涙が止まらない。そして鬼束ちひろの神曲『月光』。ギャグパートにクスリとも笑わなかった劇場の、あっちこっちからすすり泣きが…みんな照喜名みたいにTRICKが大好きな人たちなんだな。だってみんな、公開初日の最終上映に来るくらいなんだもの。 単にこの映画が終わるのではなく、14年前の金曜深夜から続いた物語が、いま終わる。 この作品でブレイクした仲間由紀恵と阿部寛は、今後も芸能界の第一線で活躍するだろうけど、山田奈緒子と上田次郎には、もう会えないんだなって。 深夜0時直前の研究室。出会った時と同じマジックを見せる奈緒子と、目に涙一杯貯めて嬉しそうに微笑む次郎。山田と上田の2人だけの“ラストステージ”。 なんと完璧なエンディングを用意してくれたんだろう。あまりの余韻に劇場が明るくなっても暫く立てませんでした。 客観的に観て中身は3~4点です。だけど14年も続いた物語の、期待を大きく上回る素晴らしいエンディングに、この点数を付けさせていただきます。[映画館(邦画)] 8点(2022-10-24 23:56:53)《改行有》

7.  12モンキーズ 《ネタバレ》 -Twelve Monkeys- ・・・と言う名の過激な自然保護団体。 テリー・ギリアム作品のなかでは珍しく、エンターテインメントとして、かなりスッキリしていると思う。未来の世界とタイムスリップを扱っているので、最初観ていて??って思うような部分も、後々きちんと事情が解る創りで、私はこの監督ではこの作品が一番好きかもしれない。 ブラッド・ピット演じるジェフリーの狂人演技、ハイテンションのヤバいヤツ感が抜群に素晴らしく、また人を引き付ける魅力も感じさせる。 そして主人公のジェームズ。主人公としてマトモなハズの彼だけど、キャサリン視点で観るとマトモとは思えず、怖くて仕方ない。妄想に思える人類滅亡のシナリオが、オオカミ少年の顛末や(出来すぎ感があるけど)第一次大戦の写真で、キャサリンが信じるまでを、一歩一歩踏みしめるように追っていけるシナリオが見事。 キャサリンが未来を信じた所に、未来を妄想と思い込んだジェームズをぶつけるのも面白い。あの不気味なテープから正気を取り戻し、テンポ良く結末に向かっていく流れも秀逸。 12モンキーズの起こした事件の清々しさ。・・・そりゃ危険なのもウロウロするわけだから、手放しじゃ喜べないんだけど、今までのドロドロしたダークな雰囲気を吹き飛ばす爽快さを感じた。 ここまで観ると、結末は悲しいものになることも想像できるけど、タイム・パラドックスを信じるなら、あの場に居たジェームズ少年には、空気の美味い明るい未来が待っている。と思えるかな。 サッチモの“この素晴らしき世界”がとても印象深く耳に残る。観終わって『良い映画観たな』って思える作品。[地上波(吹替)] 8点(2022-07-06 20:41:49)《改行有》

8.  トイ・ストーリー4 《ネタバレ》 やはり私も『最高の終わり方をした3の後日談を創る意味ってあるの?』って疑問もあったためか、4は劇場で観るつもりだったけどタイミング悪く観られず。1~3はそのうち円盤を買おうと思っていたけど、4は賛否両論あることを知り、どんなタイミングで観るか迷っていたところ、ネットニュースの『金ロー最悪。3の翌週4やるなんて』って記事にまんまと踊らされた。どんだけ酷いんだ?ようし、テレビで観てやるべ!って…観たんです。 今回のテーマは「子供は毎日のようにオモチャを失くす」そう、確かに。 “あげる”“壊す”“捨てる“売る”あと“あの場所で失くして、探したけど見つからなかった”そんな、最後どうなったか?を覚えているオモチャはともかく、もう一つ“どうしたか忘れた”があると思う。この4はその持ち主のもとで天寿を全うできなかった“忘れたオモチャ”のアンサーだ。 序盤の回想が、3から出なくなったボーとRCがメイン。漠然と“どっかの時点で捨てたんだな”って思っていたボーのその後が、ここでようやく解る。みんなのところへ戻そうとするウッディだけど、ボーの持ち主は妹のモリー。モリーがあげると決めたなら、ボーは貰われて行くしか無い。 ここで一瞬、ウッディも箱に入ろうとするトコ。最後に繋がる見逃しちゃ駄目なポイント。これがオモチャのウッディの自我、意志。だけどまだ自分がアンディに必要とされていることを自覚して残るウッディ。 ボニーのお気に入りになれなかったウッディ。まだ持ち主のモトにあるのに、既に忘れられつつある存在になっていて、このまま居てもきっと最後どうなったか、ボニーは覚えてないし、探しもしないだろう。 その後ボニーが大人になって、アンディと会った時「ウッディってカウボーイのオモチャ覚えてる?」とか言われて「あれ?う~ん・・・近所の子に全部あげたと思う」とかってなるかも。そんな未来が観える中、ボニーのことを思い続けるウッディが涙ぐましい。 そして最後、ボニーに必要とされないからではなく、9年前に思いとどまった事を実行したウッディ。迷うウッディの背中を押してやるバズの友情。 これでトイ・ストーリーを観た子供に「そういえばわたしの○○(オモチャの名前)、どこにいったの?」と聞かれた時「自分でどっかに捨てたんだろ」と冷たく言う以外の回答「○○もきっと、ウッディやボーのようにじぶんのかんがえで、たくましくいきているんだよ」って言える。このテーマを1~3の劇中に挟むのも難しかったろうし、単独の話として創って正解だったと思う。 トイ・ストーリーは1~3まで、公開年と劇中の時系列が一緒だったハズ。3が2010年の話で、この4も同じ2010年の話。だからカブーンの決め台詞がオバマ大統領のキャッチコピー。ちなみに9年前の回想シーンは実は2001年になる。 別に2019年のウッディたちの話でも良かったろうに、シリーズで例外的に時系列から外して創ったのは、やはり1~3が完璧と思う層(4を受け容れられない層)に配慮したように思える。そしてトイ・ストーリーは2010年で終わったシリーズを意味するんだと。4って付けてるけど、番外編でいいですよ。って。だから5は無いんじゃないかなぁ? 私は、4大丈夫だった。この出来なら劇場で観たかった。 ちなみにRCのその後、成れの果てが、スカンク・ラジコンなのかな?いやそんなウマい話無いだろう。たぶん壊れて捨てたんだろうけど。 ただフォーキーは…本作のスカンク・ラジコンみたく、オモチャなのに命のないものも居る中で、アレをオモチャとして良いのかどうか…これが例えば“お婆ちゃんが創った刺繍の人形”とかなら命も入りそうだけど。 アレだと、鉛筆さんや消しゴム君にも命があるってことになりそう。そういうので遊ぶ子供への配慮かもしれないけど、コッチの“どこまでがオモチャ?”の線引は、どうかなぁ?って思った。[地上波(吹替)] 8点(2022-06-25 12:42:10)《改行有》

9.  ドーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 -DAWN OF THE DEAD- “死人の夜明け” 大好きなゾンビのリメイク。ピーター、ロジャーにトム・サヴィーニも出てくるファンサービスに思わず『おぉ!』となってしまった。 ロメロ版との大きな違いはやはり“走る”事でしょう。走るゾンビはバタリアンの頃からあるので、それほど抵抗はなかったかな。ノロノロ歩くゾンビと違い、やっぱり走ると強そうに見えるし、怖い。銃がないと勝てる気がしない。 アナが襲われるまでの前置きが短く、外に出たら近所は地獄絵図。逃走中に事故に巻き込まれる車の不運。バスの中で襲われる人をただ見るだけの悲しさ。正常な人間にレイプされたのか裸の女性…森で車を壊すまでで、世の中の状況がだいたい解る創りが上手い。 話逸れるけどサラ・ポーリーがバスタブに飛び込むところ、小窓から地面に落ちるところなんて、体張ってるよなぁ。 ゾンビといえばショッピングモール。デパートとスーパーのイイトコ取りで、娯楽から何から生活に必要なものが一通り揃っている。設定次第でどんな商品も置けるショッピングモールは、ロメロ版の当時も今も、最も生存率の高そうな籠城施設だと思う。今回ガンショップをモールの外に設定したお陰で、ケネスとアンディの奇妙な友情も描けた。メッセージボードに血で何かを書くシーンは悲しくなった。 だけど何でも揃ってるモールを放棄してまで、未知の無人島に武装バスで向かう必要性は弱い。ロメロ版との違いを出すためかもしれないけど、もっと『コレは仕方ない』って状況を演出してほしかった。銃は沢山手に入ったんだから、私だったらモールを死守するな。 …とまぁ、そうやって『私ならこうするのに』を想像させてる時点で、この映画もゾンビ映画の名作だと思う。 スティーブンの死体から船の鍵を探すアナ。そういえば家で旦那に襲われる時も、真っ先に車の鍵を取ってたっけ。冷静で頭の回転が速い子なんだね。 エンディングで“その後”が描かれているのも良い。プロローグ同様、短い時間で何が起きたのかが伝わる。生存ルートは考えにくいけど…[DVD(字幕)] 8点(2022-05-04 19:39:28)《改行有》

10.  トラ・トラ・トラ! 《ネタバレ》 -Tora!Tora!Tora!- “ワレ奇襲ニ成功セリ”の意味だけど、タイガーの虎ではなく、トとラをくっつけた通信暗号で、意味は持たない。 真珠湾攻撃を真面目に映画化した作品。当時は第二次大戦の史実をもとに、ダイナミックに戦場を描くことが、戦争映画という娯楽映画のいちジャンルとして成立していた時代。空母の甲板に並ぶ水兵たち。真珠湾基地の風景、居並ぶ軍艦と航空機たち。日米両側の軍備に迫力を感じる。もちろん開戦からおよそ30年も経っているし、模型だったり現行兵器そのままだったり、当時のものを完全再現した訳じゃないだろうけど、やっぱ凄いわ本物。 見終わってから知ったけど日米合作とのことで、それで日本の描写も丁寧なんだなと感心。ハリウッド映画の日本人に有りがちな怪しい日本語ではなく、きちんとした日本語で、しかも関西弁まで出てきて驚いた。でも写真の『U.S.S.ARIZONA』はカタカナ表記が正解でないかな?極力公平に作ろうとしたためだろう、アメリカ人俳優と日本人俳優を1人づつ交互に流すエンドクレジットにも注目。 魚雷訓練で低空飛行をしている攻撃機に手を振る遊女。鳥居のそばで釣りをするおじさんなど、日本軍と民間人の身近さが感じられた。敵艦のシルエットクイズ風訓練風景なんか、とても日本人らしく和やかに描かれている。一方で大海原を走る空母赤城の勇姿。発艦する零戦の朝焼けに映える美しさ。いざ開戦というピリッとした空気が、日本は怒らせると怖い国だという事が、ビシビシ伝わってくる。アメリカ映画なのに、血が通った日本人が描かれている。 序盤中盤と政治的な駆け引きが多いが、後半に集中する真珠湾攻撃は迫力満点。 滑走路で一発撮りの爆破シーン、逃げ惑う兵員たちの命がけの撮影は、CGでは絶対に出せない臨場感。 容赦なく破壊されるP-40にカタリナ飛行艇。逃げ惑うB-17。基地内で働く日系人青年に向けられる敵意の目。 ハレイワ飛行場のケネスとジョージの活躍、機銃を撃つ黒人調理師が、辛うじてアメリカ・サイドの溜飲を下げる。 映画の大半は開戦に至る過程を丁寧に描写していて、特に日本側の、戦争を避ける為の努力が感じられる。 アメリカ側は、日本との開戦に危機感を感じている者と、あの場に及んで呑気にしているものの落差が大きい。 でも詳しくないけど、そもそも開戦前のアメリカが、日本と大使館の暗号電文を傍受して解読するのって、国際法的に犯罪じゃないの? 日系アメリカ人のゲリラ活動を恐れて滑走路に集められる航空機。もみ消された空襲前の潜水艦撃沈事件。たまたまB-17編隊の到着と重なったレーダー基地での未確認機影のキャッチ。 真珠湾で大打撃を被った失態。これは変えようのない事実で、この映画はあの時、何故そうなったか、些細な行違いと不運なミスの重なりに、真摯に向き合っている姿勢が見て取れる(…言い方を変えるとミスした士官に責任を擦り付けているようにも)。 一方の日本側は、開戦に前向きな士官に対し、実際にアメリカを見てきた山本長官の言葉に重みが感じられる。 戦争を回避できなかった野村・来栖両外交官。目的の空母を沈められず、艦隊を引き上げる南雲長官。開戦の最後通牒の前に攻撃をした事実を受け止める山本長官。みんな他人のせいにはせず、自分自身の責任として受け止める姿勢が、今も昔も変わらない日本人らしさに思えた。[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-02-08 22:16:11)《改行有》

11.  友だちのパパが好き 《ネタバレ》 フワついたタイトルから、おっさんの願望をそのまま映像化したような作品を想像してたけど、なんか違った。 そう視点が違った。自分の世界に入っている人を、一歩引いて客観的に撮ってるから、主要人物の殆どに感情移入出来ない視点で観えるんだな。 恭介がマヤと(劇中)最初にキスするシーンは通行人同様、たまたまその場で見てしまったように観せる。二人の関係も、LINEの交換、ファーストデート、ファーストキスといったドラマチックな場面を省いて、もう関係が出来上がってからをぶつ切りで見せる。 食堂のミドリと川端の会話も、たまたま食事中、向かいのグループの会話が聞こえてしまった風に。仕事外で何かあった事を匂わすだけ。客観的に観ている私は、二人に何があって今に至るかを、会話から想像する造りになっている。もの凄い演技力も要求されるわこの撮り方は。 自殺を図る先生。主観的に撮れば、先生の辛さを感情移入できるくらいドラマチックにも出来たろうに、そこをたまたま通りかかった他人のハヅキ視点で観せる。おじさんに自殺を止められて、説教されて、逃げようとして、生徒に見られて。客観的に観ると、何とまぁカッコ悪い。 広いようで狭い世の中で、それぞれ点だった登場人物が徐々に、モヤモヤモヤ~~~っと線で繋がっていき…結末は割愛、ご自身で。 話は逸れるけど、便秘になってモヤモヤ。それがスカッとするほどでないけど、ようやく出てきました。 一応どんなの出たか見ますね。でもマジマジとは見ないですね。ありがとう。とか、さよなら。なんて感情は抱かずに、冷たい視線を送って、機械的にジャーっと流しますね。 「やぁーやあ」「やあ、やあ」 身体から出たウ○コが、その後どうなったかなんて、ホンッットどうでも良いですよね。 いやぁ~面白かったわー。[インターネット(邦画)] 8点(2022-02-05 14:34:50)(良:2票) 《改行有》

12.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 ルールも勝敗もないから、永遠に終わりのない3人野球。 真琴の、いつまでも3人で、ずっとこのままが良いって気持ちが凄く伝わる。 それがいつまでも続くとは思っていない功介。続かないことが解っている千昭。 真琴が同じ時間を何度も繰り返すことによって、徐々に3人の気持ちが先に進み出す描き方が上手い。 過去に行けるというトンデモナイ能力を、あんなどうでも良いことに使えてしまう真琴がとても良かった。 バカなことばっかりの真琴が、意を決して友梨に、千昭が好きなことを告白するシーン。好きな人の突飛な話を信じられる真剣さ。行動力。アニメの声優は初のようだけど、ドラマで目にする仲里依紗がビックリするくらい上手に演じていた。 可愛い絵柄でドギツイ内容のアニメ、心を抉り取られるような鬱展開のアニメが増えた中、パンツも見えない、キスシーンすらない、カラッと真っ直ぐな高校生たちの物語は、逆に新鮮だった。 後輩3人もまた、毎日が楽しそうで、悩み多くて大変そうで良いね。功介に告白するとき、メガネしてないのは何でだろう?コンタクトにした?功介がクッキリ見えるのが怖いから? 魔女おばさん。単に超常現象に理解がある人だと思っていたけど、芳山和子だったんだな。1983年版をもう一度観なくては。[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-05-26 23:18:05)(良:1票) 《改行有》

13.  ドクトル・ジバゴ(1965) 《ネタバレ》 オープニングの油絵のような白樺林とベタ塗りの空。 小さい頃に連れて行ってもらった老舗デパートの渡り廊下の壁か、親戚の集まりで一度だけ行った大型温泉ホテルのロビーか… ラーラのテーマを聞きながらエンドレスで観てられるわ。 葬列シーンの山でかっっ!!あれがウラル山脈(違うらしい)?山吹色の花と灰緑色の草、地表を覆い尽くす雪と氷、ガラスの雪の結晶、タマネギみたいな屋根、赤と黒の装甲列車。どっからどう観てもイメージ通りなソ連、ソ連、ソ連!(※世代的にロシアよりソ連。) 現地ロケをせずにこれだけソ連感を出せるのが凄い。広大な自然を堪能出来て、ソ連版『北の国から』な感じも味わえる。 兵役に行くパーシャの服を引っ張る赤ちゃん。ハラリと落ちるテーブルの花びら。歴史的超大作となると端々まで役を演じるんだな。 タイトルは~Doctor Zhivago~ジバゴ先生。 平たく言えば、全く詩を書かない詩人ユーリと美少女ラーラの不倫物語だけど、ちょっとコマロフスキーに注目したい。 コマロフスキーは半分冗談で17歳の小娘ラーラにベールを掛ける。 なんかあまりに美しかったんでヤバいと思ったんだろう。この時の苦笑いが彼の良い人っぽさを出していた。 パーティの日、母が風邪を引き、コマロフスキーは『欠席しよう』と、ラーラは『看病する』と言うが、母の強い頼みで二人で行くことになった。 当初コマロフスキーにそんな気はなかったんだろう。帰りの馬車でコマロフスキーの顔にチラチラと掛かる怪しい影。対象的にラーラの顔はハッキリ灯りが。 ユーリは戦地でラーラと過ごし、不倫関係を持ちかける。この時ユーリの顔に掛かる怪しい影。目だけギラギラ。ラーラの顔には日が当たっている。 ただの不倫と言えばそれまでだけど、コマロフスキーもユーリも、ラーラの天性の魔性に取り憑かれたんだと思う。もちろん彼女の美しさに罪はない。 ユーリとラーラ親子を逃がそうとするコマロフスキー。逃げなかったユーリの代わりに、生涯父親としてトーニャを育てた。良い人すぎるぞコマロフスキー。 機会がなかっただけで、エフグラフ・ジバゴ将軍も彼女に取り憑かれてトーニャ探しに協力した。『淡い恋心』と言っていたけど… ん?ユーリの妻も、ユーリとラーラの娘も、どっちもトーニャなんだな。好きな人の奥さんの名前つけたんだな。 唯一ラーラを妻にしたパーシャはどうだったか?彼はラーラより、ボリシェヴィキに取り憑かれていた。 ところでユリアティンの男どもが、なんであんな美女を放っておくか謎だったけど、たぶんパーシャを捕まえるために家を見張っていた(当時の)KGBとかが、追い返してたんだろう。 魔性の女ラーラは強制収容所で死んだ。番号で処理され、記録は紛失。ユーリの美しい詩も、ソ連では発売禁止。 社会主義国家に女性の美しさや、詩の美しさは不必要なんだろう。まさにパーシャ≠ストレルニコフそのものだ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-04-12 23:07:00)(良:1票) 《改行有》

14.  遠い夜明け 《ネタバレ》 “Cry Freedom”『自由を叫ぶ』。邦題も良いタイトルです。 社会科の授業で、アパルトヘイト政策なんてものが、この世の中にまだ存在していることに驚いたっけ。大学時代、ピーター・ガブリエルにハマり、ビコの存在を知ったんだわ。そしてこの映画の7年後に政策が撤廃されたのにも驚いたっけ。ただこの映画、私は相当怖い映画だと思っていました。実話系の人種差別モノ=人を人と思わない殺人描写がいっぱい。そんな先入観から、鑑賞したのは今回初です。 私はこの映画の、前段に興味が湧きました。貧しい家庭に産まれたビコが、如何にして反アパルトヘイトに目覚め、活動の中心人物になっていったのか。それとアパルトヘイト真っ只中の南アフリカ生まれのウッズが、如何にして黒人に対し中立なスタンスを取ることが出来たのか。人間は弱いもので、自分が優位な立場でいる以上、自分を貶めてまで他者を救う行動は取りにくい。まして差別対象の黒人に対し、白人のウッズはどうしてあそこまで戦えたのか。 前半のドキュメント映画な展開から、ビコが殺され、今度はウッズがビコと同じ監視される立場になります。後半は家族の脱出劇に変わります。原作の著者自身の物語だけに、映画的にスリリングな展開です。 時系列的に最初の方に出てくるべきソウェト蜂起は、映画の最後の方、ウッズの回想として出てきます。蜂起の映像にはビコもウッズも出てこないけど、映画的にはそれぞれの当時の感情や動きなどを描いてもらえると、2人の人物像がより解りやすかったかと思います。 この映画で妙に印象に残ったのがクルーガー長官の歴史の話。「1652年にこの地に白人が来て、荒れ地を耕し町を作った。この地を植民地にしたのではなく築き上げたんだ。それをビコは手放せという。」確かに、300年以上掛けて、白人が住みやすい街に作り上げたのが、今の南アフリカ。白人が1994年まで、時代錯誤なアパルトヘイト政策を続けた根深い理由が、そこにあるんだなぁ。 この映画を観て平等の大切さ、差別される側から観た人種差別の理不尽さを学ぶとともに、昨今の過剰なポリコレ風潮には嫌悪感を抱いてしまう私って、根底ではこの映画の時代の白人と大差無いのかもしれません。[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-07-26 23:42:36)《改行有》

15.  トップガン 《ネタバレ》 -TOP GUN- “アメリカ海軍戦闘機兵器学校(NFWS)”の通称。 当時大ヒット&大ブレイクしました。トム・クルーズもトム・キャットも格好良かった。音速のドッグファイトとノリの良いサウンドの組み合わせ。デンジャー・ゾーンのノリも好きだけど、トップガンアンセムの静かに盛り上がる曲も好き。どうしてサントラ盤はギターが激しいんだろう、大人しいバージョンも入れてほしかったわ。 ミサイルが同じ場所から出てたり、洋上なのに陸地が見えたり、敵機が残り1機なのに2機映ってたり、そんな事が些細に思えるほどに本物のF-14Aの美しさ。特撮じゃない空撮の迫力。世界最強の航空戦力。あの雰囲気、あの格好良さに勝るもの無し。 カラオケで告白なんて、アメリカ人があの陽気なノリでやるから、もう格好良いのなんの。マーヴェリックてかトム・クルーズが相当歌が下手なのも見事にノリでカバーしてる。最後トイレまで追い掛けていって、グースとの賭けにインチキで勝つところもオチャメ。 アイスマンって嫌な奴&あの事故ってわざと?って思ってたけど、規律を守る常識人だし、本当に不可抗力な事故だったんだろう。ロッカールームでマーヴェリックに、一旦呼吸を整えてから「・・・ミッチェル」って名前で話しかけるトコ、ホント根が優しい人って感じ。 トップガンと言えば格好良いシーンで掛かるノリノリのロックが目立つけど、面白いのは懐メロが3曲ほど出てきたとこ。 カラオケで歌ったライチャス・ブラザーズの“ふられた気持ち”はピートとチャーリーのお互いの告白に。 グースが愛する妻キャロルにピアノ弾いて歌ったのはジェリー・リー・ルイスの“火の玉ロック”。 ピートの両親が好きだった曲としてオーティス・レディングの“ドック・オブ・ベイ” ノリノリのトップガンのサントラには入ってない3曲だけど、この映画では2人の愛を懐メロで表現しているのが面白い。 ベルリンの“愛は吐息のように”この曲も今ではずいぶん懐メロだけど、ピートとチャーリーの愛のテーマであり、デートムービーとしてトップガンを観た私たちの愛のテーマにもなっていた(と思われる)。だってみんなサントラ持ってたし。クラスに1人はサントラCD持っていて、それをみんなカセットテープにダビングして聞いてましたよ当時は。私もTDKのADに入れてたっけ…あぁ懐かしい。 最後にマーリンについて書いておこうと思う。今ではネットで簡単に調べられるから、ご存じの方は飛ばしてください。 公開から暫くして、ビデオとかで観てる時、最後の甲板で突然ヌゥっと出てきて「え!?もしかしてティム・ロビンス?」って、私たちををびっくりさせてくれたのが、マーリン。公開当時は無名だったから気にもしてなかった。 彼はいつから居て、どこで何してた?実は最後、マーヴェリックのレーダー要員、つまりグースの後任を努めてました。グースの死後、トップガンでは日章ヘルメットの黒人レーダー員(サンダウン)が後任だったけど、卒業式の緊急命令の時にヴァイパーが「レーダー員が居なければ私が飛ぶ」って言ってたから、この2人のどっちかがレーダー員を努めてたと思ってた。なのにどうしてマーリン? 実はマーリンは最初のミグ遭遇時の、クーガー機のレーダー員。本来だと空母エンタープライズからはクーガー/マーリン組がトップガンに行く予定だったけど、クーガーが辞職してマーヴェリック/グース組が行くことに。マーリンはそのまま空母に残ってたんだろう。腕は良いんだろうに。 で最後の緊急命令時もたまたまエンタープライズが母艦に選ばれて、最初の編隊チームだったマーヴェリックとマーリンの2人が、お互い固定パートナーが居ないから組めた。って流れでした。最後に突然登場したと思ってたけど、最初から映ってて、けっこう喋ってたんですねぇ。[映画館(字幕)] 7点(2022-07-04 00:38:39)(良:1票) 《改行有》

16.  鳥(1963) 《ネタバレ》 -The Birds-“鳥”シンプルで想像力を掻き立てられる良いタイトル。よく“ヒッチコックの鳥”って呼んでたっけ。 ホラー映画耐性の弱い子供の頃に観て、目をくり抜かれたダンの死体が脳裏に焼き付きました。他のどの映画の登場人物名は忘れても、『鳥のダン』だけは忘れなかったな。 数年前整骨院に通ってた頃、まだ20代後半の先生が「こないだ電線にカラスがグジャグジャって何十羽と固まって居て、もうホント“うわっ…鳥だっ”てなって…」と、平成生まれの子が例えに使うくらい、今でも有名な映画なのかな。 動物パニックホラーの先駆け。白バックにカラスが飛び交う羽音だけのオープニングの不気味さ。鳥は人間の友だち≒ペットショップの鳥コーナーから映画が始まるところ。“鳥”のあと、沢山の類似ホラーが作られたけど、1963年のこの映画の時点でスタイルが完成されていたのが凄い。 鳥のホラー映画だけど、最初にカモメに襲われるまで約26分と結構引っ張る。パーティ会場を襲うカモメの大群から本領発揮。身近な生き物だけに怖さが増す。暖炉のエントツから部屋の中に入ってくるスズメとか、木の板を貫くクチバシ攻撃とか、ワンパターンにならない工夫と映像のインパクトが素晴らしい。 小学校のジャングルジムに無言で集まるカラスたちの映像の怖さと言ったら…そもそも、あの映像どうやって撮ったんだろう? 鳥が人間を襲う理由がわからない。そんな鑑賞者の疑問を鳥の専門家が答える。「鳥に集団で人を襲う知能はない」ますます意味がわからない。「鳥は世界に1000億羽いるのよ」…当時の世界人口は30億人くらいかな。1人40羽くらい倒せば…なんて考えてると、部屋で20羽くらいのカラスやカモメに襲われるメラニー。あぁ無理だ。こんなの10羽でも倒せないや。身近な生き物が死物狂いで襲ってきた時の絶望感。 家の周りを取り囲んだ鳥たち。あの時襲いかからない理由も解らなくて、逆に怖さを演出していた。その鳥たちを刺激しないように、ペットのラブバードは連れて、そぉ~っと車で逃げ出すエンディング、謎が謎のまま終わるエンディングがまた秀逸。 目をくり抜かれて死んだダンもそうだけど、ガソリン・スタンドで焼け死ぬ男とか、直接的な痛々しい死(死体)を見せるあたり、ヒッチコック映画らしくないかもしれないけど、サイコ、裏窓に続くレビュー数(≒知名度)から、存在感とインパクトは抜群なんだろうな。[地上波(邦画)] 7点(2022-01-09 16:24:36)《改行有》

17.  トレインスポッティング 《ネタバレ》 ~Trainspotting~鉄道マニア(Trainspotter)が自分が観察した車両を記録すること≒些細なことに夢中になること≒ドラッグだけでなく女、007、サッカー、ケンカなんかも。またスコットランドではドラッガーが廃鉄道基地を溜まり場にしていたことから付いた隠語。 '90年代当時“クール・ブリタニア”ってムーブメントがあって、古くてカビ臭いイメージのイギリスから、若くて才能ある人々が台頭して、クールなイギリスを世界にアピールしてきた。ブレアは若干43歳で首相になり、オアシスやブラーがブリット・ポップとして音楽業界を席巻。映画界ではドラッグと向き合ったこのトレイン・スポッティングが、不活性な映画業界を引っ張った。 余談の余談だけど、このムーブメントに影響を受けたクール・ジャパンに足りなかったものって、客観的な視点と正しい自虐感だと思った。 快楽のためには座薬ドラッグをケツに入れて、汚い便所に手を突っ込む。社会に出ないでダラダラ・ズブズブとドラッグにハマるレントンを、ブリット・ポップに乗せて、奇妙な友人たちと共に描いている。ドラッグの禁断症状シーンの表現がまた素晴らしいんだ。どう考えても汚らしく格好悪いこんな所まで、スタイリッシュに描けるセンス。 仲間内ではマトモだったトミーは(セックスを自撮りする時点でマトモではないが)ドラッグにハマり、猫のバイ菌で死ぬ。カッコイイ大人の女ダイアンが、まだ学生だった制服姿のショック。育児放棄の犠牲になる赤ちゃんなんて、誰の子か解らないグチャグチャな状況。 レントンはドラッグを断って真面目に働く矢先、悪友に付きまとわれてドラッグの取引に手を染める。最後はその金を独り占めして悪友との縁を断つ。これで良いのか解らない結末。でもあくまで明るく、辛くても楽しげに、その日その場を生きる若者たち。イギリスが内側から壊れていく様子を、自虐的とも開き直りとも取れる魅せ方で表現したところがこの映画の格好良さだと思う。 初見時は私も20代前半だったか。あぁもっと若い時に、多感な時期にレビューしたかったな。この映画を初めて観た、あの当時の衝撃ときたら…手近にドラッグとかがなくて、本当に良かったと思う。[ビデオ(字幕)] 7点(2021-10-28 12:37:38)《改行有》

18.  トータル・リコール(1990) 《ネタバレ》 ~Total Recall~しっかり記憶し、しっかり思い出す能力。へえぇ~。 オープニングの印象的なテーマソングとともに流れるクレジット。もう壮大で格好良くて懐しくてワクワクする。 シュワの身体は最高に脂が乗っていて、表情にも人気者の余裕がある。夢の愛人に焼きもち焼く奥さん役のシャロン・ストーンが可愛い。 セーフティゾーンのレントゲン保安システム。ネイルペン。テニスの立体ホログラム。発信機取りだし器。2週間よオバサンはSF映画の名シーン。こういった夢の近未来道具の数々も素敵。 バーホーベンと言えば架空のTVCM。同僚が「リコ~ルリコ~ルリコ~ル♪」って歌うのが大好き。なんか架空の世界に厚みをもたせてる。でそのリコール社、タイトルの“Recall”でなく“REKALL”社だった。…意味は特に無いみたい。 未来の世界、タクシー運転手が会話もできるロボットなのに、ダグの仕事は手持ちのハンマードリルで岩崩しの違和感。このへんとってもバーホーベン。 リコール社で暴れるダグ。トラブルが起きて慌てるスタッフの臨場感も、バーホーベンの十八番に思う。 さて、この映画は結末がハッキリせず、見た人の想像に任せられる作り。 ①ダグは火星を救った。 ②全てリコール社のプログラムだった。 ③リコール社のプログラムに事故があり、ダグは夢から帰られなくなった。 …③な気がした。リコール社のプログラムが『火星の青い空』で、結末も青い空で終わる。①だとするとシナリオがプログラムに沿い過ぎてる気がする。 ②だとしたら、途中で奥さん殺しちゃうのはマズイから駄目だろう。 やっぱりドクター・エッジマーとローリーが来たときが、ダグ生還のターニングポイントだったんじゃないか?って。 本来はエイリアンの遺跡を見つけて、謎の遺跡を発動させると火星の空は青くなるかもしれないぞ!?続きは本物の火星で!!くらいで終わるシナリオだったところ、ダグが夢から出られなくなり、空が青くなるまで行き着いてしまったと… 前回見たときは①だと思った。観る度に結末予想が変わるのも、毎回楽しめてる証拠かな?[地上波(吹替)] 7点(2021-08-17 21:07:50)《改行有》

19.  時をかける少女(1983) 《ネタバレ》 初見、淡々と映画を見て「ふぅぅん。大林監督の、当時の角川アイドル映画だね」と、それ以上広がらない感想を持った。 角川春樹が原田知世に“この映画をプレゼントして芸能界を引退させたい”という想い。大林宣彦の“プライベート・フィルムとして好きにやりたい”という想いが、筒井康隆の原作(未読だからどれだけ弄ったか解らないけど)と、上手い具合にマリアージュしていた…って事は、後から調べて解ったこと。 …こういう話がパンフレットを買わなくても、検索すれば誰でも見られるんだから、便利な世の中だわ。 そのへんを踏まえて再視聴。土曜日の実験室。深町くんが芳山和子の記憶を消して、未来に帰る話をしている。 引退するアイドルのプライベートフィルムとしてみると、芳山くんを角川春樹(&原田知世のファン)。深町くんを引退する原田知世。そこには出てこない吾郎ちゃんを渡辺典子辺り(本来、事務所としてプッシュしなきゃいけないアイドル)として観ると、二人の会話からして、まぁ面白い。 芳山(角川)と吾郎(角川アイドル)が積み重ねてきた記憶(映画の主演ワク)を、訳あって深町(原田)がちょっとお借りして、お互いに好きになってしまった。 時をかける少女は、原田知世主演だから出来た映画。彼女でなければ、このワクは他のアイドルの違う原作の映画になっていただろう。 数年後のある日、偶然に再会する二人。深町(原田=一般人)は相手が芳山(角川=業界人)だと気づくが、芳山は気が付かない。あれ?どこかで…ってなるけど、別々の方向に歩き出す。引退から数年後、角川は原田とこんな再会が出来れば幸せかな?と思ったんだろう。 そこからあの楽しいエンディング。 「あなた わたしのもとから♪」主題歌(の歌詞)もベストマッチ。この映画と原田知世への愛が溢れた素晴らしいエンディング。 こんな映画が撮れるのは、大林監督だけだと思う。 モノクロとカラーの合成、アニメーションと実写の融合、コマ撮り、興味がある斬新な技術はどんどん入れてくる姿勢。大学の映研が楽しんで作った、とても出来の良い自主制作映画みたい。 ハリウッドのSF大作なんてお金無いから作れないけど、大林監督の技法なら頑張れば出来そうだ。 「あれシクラメンぽいけど、ラベンダーって言えばラベンダーに見えるんだ!(※調べたら造花でした)」 どう撮るかは工夫次第。そう思って映画制作を諦めなかった、未来の映画監督のタマゴも多かったんじゃないかな? でも数年後の老夫婦の会話に、そこそこの時間を割いているところとかが、やっぱり素人とプロの違い、本物の監督のハードルの高さを魅せてくれている。素晴らしい監督だ。[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-06-05 12:33:08)(良:1票) 《改行有》

20.  トランスポーター 《ネタバレ》 “The Transporter”『運び屋』。あれれ、トランスポーターと言うとアウディの印象が強かったけど、1作めはBMWなんだ。そしてBMWの退場早っ!全編パリッとしたスーツを着たステイサムが、高級外車を転がすイメージだったんだけど、そういうの序盤だけだったわ。 強盗団に銃を付きつけられてるのに、自分のルールをタテに言う事聞かない肝の座りっぷり。初っ端からかなり個性を全面に打ち出せていて面白い。 …と思いきやアッサリ自分のルール破ってんの。強盗のドライバーを引き受けるくらいなら、過去に生きた人間を運ぶ依頼だって受けたことあるだろうに。 そもそもあんな、もぞもぞ動けるバッグにライを詰め込む意味が不明。睡眠薬で眠らせておくとか、あれやこれや他に方法もあったろうに。 なんて些細なツッコミを入れていったらキリがないけど、個人的には、前半の“クールでスタイリッシュな運び屋”が格好良かっただけに、後半が良くある“罪のない人のために悪と戦うヒーロー”になるのが、せっかくの個性を殺してしまってるように思えてしまったかな。 日本人から見ても可愛いアジア人スー・チー。カーアクションにカンフーアクションてんこ盛り。93分と丁度良い上映時間と相まって、テレビの深夜放送で流れてたら、ついつい最後まで観てしまう安心設計の娯楽作品。[地上波(吹替)] 6点(2023-03-12 20:50:58)《改行有》

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