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21.  エグザイル/絆 《ネタバレ》 冒頭、男たちが黙って適度に配置されていくあたりが、もうこの監督の味。ドンパチよりも、そこに至る静けさの緊張が楽しい。レストランの場もそうだが、ここでは冒頭と違って広さが別の趣向となる。ヤミ医者のとこでのドンパチは滑稽味を加え、その後の悲痛と対照させている。金塊強奪の場に遭遇してのドンパチでは、ただ直立して撃つスタイル、ここも狭いヤミ医者の場の次ということで広さが対比される。繰り返されるドンパチでもいろいろ変化を持たせているわけだ。ここで絶対にドンパチが起こるぞ、と最初に映った段階で見ている者に確信させる吹き抜けのあるホテルで、ちゃんとラストでドンパチになる。ここも実際のドンパチより、その開始を告げる空缶のキックパスがいいわけで、『ザ・ミッション/非情の掟』の紙屑を思い出さずにはいられない。男たちの連帯。これをやるのならその前のちょっとクサい酒びんを渡しあうシーンは必要なかった。香港の密度と比べてマカオはいくぶん空気が拡散的で、話も中盤まとまりがほどけかけたような気がする。そのかわりポルトガルを経由してか中南米的なトーンが入ったのは、新味。ストーリーもややヒロイック度が過ぎてしまったようで、微妙に湿度が高めだ。[DVD(字幕)] 7点(2009-09-05 11:55:46)(良:1票)

22.  Emma/エマ(1996) ご近所だけが全世界でいられた時代。社交が文化であった時代。あくまで19世紀という枠があって可能な映画だけど、それを認めればまことに気持ちのいい作品。ヒロインはおせっかいというか、小悪魔というほどではないが、仕切り魔、人を操りたくて仕方がない。そうすることで自分は局外に立てる、言ってみれば“物語作者”そのものなわけだ。すべての登場人物に欠点というか俗な部分が与えられていて、彼女がそれを仕切っていく。そしてこうなるだろうと分かっている大団円へと至り、でもけっこういい満足感が見ている者の心に満ちてくる。結局それぞれの身分はおおむね守られた決着になるのだけど、それでも満足できる。この小世界がいとおしくなる。見ている間に保守的な気分に慣らされているからだろうか。パーティ、絵描き、弓、散歩と優雅な毎日。貧しい家への施しや看護もその一部以上のものではなく、屋外での食事の楽しみと同格なのだろう。20世紀の話だったら許せないだろうけど、19世紀だと、なぜか許せてしまうのだ。[映画館(字幕)] 7点(2009-04-29 12:02:38)

23.  エリザベス これがケイト・ブランシェットとの出会いだったが、なんてヘンな顔なんだろうと思った。えー、これがエリザベスなのー、場末のレストランの不機嫌なウエイトレスって顔じゃん、と思った。姉女王はそのレストランのおかみさん顔で、フランスの大使だったかは、イランのアマチュアレスラーって顔で、でもこのどんどん出てくる非史劇的な顔の連続に、そのうちリアリティを感じてくる。あんがい本物の王室世界なんてこんな感じなんじゃないかって。話はつまり『ゴッドファーザー』、次々と対抗勢力を処分していくあたりの演出は、音楽の使い方に至るまで全くイタダキでやってる。王宮の暗さを、マフィアの暗さみたいなもんだと同一視してるんだな。権力集団の暗さ。俯瞰の視点が多用されるのも、その暗さを強める。火あぶりを俯瞰で撮った映画なんて、あんまりないんじゃないか。あ、今ではケイト・ブランシェットもケイト・ブランシェットの顔も大好きです。[映画館(字幕)] 7点(2008-11-01 12:10:25)

24.  エリン・ブロコビッチ なによりも勝訴すると和解金の40%を弁護士が取る、ってとこに驚いた。もし日本でこういう映画作るとしたら、そこらへんは伏せとくんじゃないか、観客の反発を招く可能性があるので。あるいはその金は被害者救済基金に寄付します、とかいう場面を入れるかもしれない。でもあっちでは、そういう情とは切り離して、仕事の報酬は報酬と割り切っているわけだ。こういうとこ個人主義が徹底してるというか、あっちとこっちの違いをすごく感じた、どっちがいいとかでなく。まあそもそも日本では、公害訴訟を題材に娯楽映画を作るという発想は生まれそうもないけど。女性の生きがい探しの話にもなっているので、ずっと主人公が出っぱなしなのがちょっと鬱陶しい。交通事故のシーン、ジュリアが車に乗り込んで交差点でぶつかるまでワンカットじゃなかった? どうやって撮ったんだ?[映画館(字幕)] 7点(2008-09-24 12:10:59)

25.  エスター・カーン めざめの時 《ネタバレ》 世の中とうまくいかない女の子が、かえって生き生きと役者をやる。非現実の舞台にのみ没入できる。人生になにも期待していないから、アガることもない。そういうものかも知れないなあ、と思う。繰り返されるアイリス・アウトが、ちょうど舞台の幕の覗き穴から現実の世界=客席を見ているようで。でもやがて現実に乗り出していかなければならない時が来る。現実からの逃避場所であった舞台が、突如現実にさらされる場所として感じられる。激しい舞台恐怖。この「ヘッダ・ガブラー」が、本編の白眉で。舞台から逃げようとあらゆる試みをするヒロイン、自分で自分を殴って口を腫れさせたり、割れたワイングラスの破片を噛み砕いたり、やることがすごい。それでも芝居は進行する。ここらへんはサスペンス映画のノリ。力ずくで舞台に押し出されると、彼女はなにかを突破したかのようにセリフを語り出す(実際には声は聞こえず音楽になるのも憎い)。こういう話には弱くて、すぐ感動してしまいます。切羽詰ったところでの人生肯定もの。[映画館(字幕)] 7点(2008-07-19 12:11:29)

26.  エデンより彼方に 擬古典主義映画っていうのか。徹底してハリウッド黄金期のスタイルを踏襲する。斜めに書きなぐったようなタイトル。音楽もほとんど伴奏のように流し続ける。旦那が出社するときの音楽なんか、そうそうこういう感じこういう感じ、とニンマリしてしまう。ラストの平行四辺形に組まれたキャストのタイトルに至るまで凝っている。スタイルを踏襲するってのは、すでに完成した形式を利用して、それを外から眺める視点を持つことだろう。差別や偏見のテーマの扱いに、そういう積極的な成果が出ていたかどうかはハテナだ。それよりも、作者はひたすら耽溺の悦びに酔いしれてしまっていた。雑誌の取材で暖炉に手をついて微笑むポーズなんかの時代性、「ときとして違う世界の人間の方が心を許せる」「でも許したらもう違う世界の人じゃないわ」なんて会話の妙、メロドラマに必須の駅頭シーン、そういったもう完成した型を、古来の茶器を撫で回すように改めて愛でている映画と思えばいいのだろう。[映画館(字幕)] 7点(2008-05-23 12:16:25)

27.  エロス+虐殺 DVDがロングバージョンで収録されてると知らなかった。すぐに借りて見た。216分。6の3乗! 前半の方に記憶にないシーンが多かった気がするが、公開版より49分(7の2乗!)も増えている感じはなかった。野枝が大杉の家を訪れ妻と会う傘のシーンの陶酔はそのままだし、日蔭茶屋事件の緊張の充実も変わらず味わえる。そして全体としての評価に戸惑うのも、スクリーンで見たときと同じ。大正篇は重厚な悲劇としてほとんど完璧に出来上がっていると思う。自由を望みつつも嫉妬に囚われてしまうというモチーフは、単なる痴話を越えた大きなテーマだ。でも多分そういった悲劇として閉じてしまわないために、現代篇がくっついてるんだろう。この映画今回で3回見ているが、この現代篇をどう見ていいのか分からない。フリーラヴの昔と今の対比とか、持続する革命の困難とか、理屈は浮かぶが、どうにも面白くない。一柳慧の音楽が、流麗なメロディに、バキッとかガガガなんて雑音が混ざる仕掛けになってて、おそらくこの映画の大正と現代との対比にもなってるんだと思うんだけど、この雑音ほどの効果が現代篇にあっただろうか(こういう音楽の使い方は、数年後、篠田正浩の『沈黙』で武満徹もやった、あっちは西洋と東洋のぶつかり合い)。その時代の先鋭的なポーズは、時代が終わるとただの滑稽な気取りにしか見えない。かえって現代篇で一番興味深いのは、新宿副都心開発中の姿が見られる記録としてだろう。もっともそれも、カラー・普通の露出で見られる梶芽衣子の『野良猫ロック』のほうがいいのだが。というわけでこの映画を見ると、大正篇だけだったらなあ、という気持ちにどうしてもなってしまうのだ。閉じた悲劇を完璧に作るのだって、現代的な意味はあったと思う。[DVD(邦画)] 7点(2008-03-10 12:24:29)

28.  エレニの旅 もちろんすばらしい映画ではある。筏を連ねての葬儀や、樹に吊るされている羊たちや、水没していく村など、アンゲロプロス以外には作れない厳粛な映像が展開している。難民の世紀としての20世紀を検証しようとする姿勢も正しい。でもなんかツルッとしている。初期の作品はもっと歴史と人間がジャリジャリと擦れ合っていた。脚本にトニーノ・グエッラが加わるようになってから、このジャリジャリ感が少しずつ薄れてはいないか。どこかページェント的、オリンピック閉会式のショーを見ているような気にもなってしまうのだ。[映画館(字幕)] 7点(2007-12-05 12:25:20)(良:1票)

29.  EMMA/エマ(1988) 上流階級と下層階級のふれあい。いささか図式的なところもあるが、童話と思えばいいでしょ。いいとこのお嬢さんが狂言誘拐を企む話。ブルジョワのお母さんの描き方が、ちょっとつまんない。下層階級のほうでもスエーデン人に対するイジメがある。バケツを天井にモップで押し支えさせられてるの。全体淡泊で、もう少し脇役が事件をかき回しても良かった。身代金を地下水道から取るあたりが面白い。小生意気だったブルジョワ娘が、ラストでしおらしくなってるところがミソ。メルテが来ても目を上げないで下を向いたままテーブルを回って抱きつくの。『トトロ』でメイが姉ちゃんに学校に会いに来たとこみたいな感じ。心優しい人を、安易に変わり者としてちょっと足りない感じで描くのも芸がない。町の広さがよく分からなかった。[映画館(字幕)] 6点(2014-03-09 09:30:01)

30.  エクソシスト3(1990) 残虐な殺しがいっぱいあるんだけど、死体は一切見せない。教会の明かりが点滅するほうが怖い。病院の看護婦殺しのとこ。廊下の端にカメラを据えて、見回りの人がちょっと出入りして、部屋を覗いてみたりしてる雰囲気。出てきたのがシーツ男ってのが弱いけど、演出としては正しい。「妖しい静けさ」で全編を通している。冒頭のゆったりとした夜の町の移動からして、間違いない。黒人少年が塀際に立ってたり、赤い薔薇を手渡したり。時計を持ってる小人。あちらは善と悪をキッチリ分ける。殺人犯は純粋な悪の要素が入り込んだ、ってことになる。ラストの地下からモゾモゾでてくるのが、ちょっと困る。[映画館(字幕)] 6点(2014-02-18 09:14:20)

31.  英国式庭園殺人事件 いつも「イギリス」を背負ってる監督の長編第1作。典雅と暴力。典雅なものが典雅であり続けるために必要とされる策謀や暴力。上品なものが上品であり続けるための残酷。そういったものへの関心がずっとあるよう。夫はいつも殺される。趣向を大事にする人で、今回は12枚の絵。実物と絵を見比べる楽しみ。絵のなかで探す楽しみ。移動はあまりなかった。食事のテーブルを横に動いたり、あと屋外で少々。庭が奥から晴れていくところなんか、よく撮りました。あの彫像男分からなかったんだけど、実際ああいう人間を雇ってたことが歴史上あったとか。下層階級の視点だったのかもしれない。趣向が先走りしてる気もしたが、この人はその後もずっと趣向を先走らせる姿勢を貫くのだった。[映画館(字幕)] 6点(2013-08-12 09:27:15)

32.  エル・ドラド(1966) 最初『昭和残侠伝』みたいな話になるのかと思ってしまった。J・ウェインとR・ミッチャムが、友情を維持しつつ敵対する組に属してしまい、義理と人情の板ばさみになり、最後は二人してライフル携え悪の一家へ颯爽と殴り込みの道行きになっていく、バックには冒頭の歌が流れ…、って。そしたら、すぐにウェインは悪の一家とは手を切って、馬を後ずさりさせて善玉に属する。池部良のような心の葛藤はない。そして終盤では「颯爽」ではなく二人の怪我人として殴り込む。ウ~ン、東洋と西洋での男意気の違いをまざまざと感じさせてくれた。物足りないのは悪役に魅力がないことで、どう悪い奴らなのかをあまり映像で見せてくれない。彼らが悪役と言う立場なんだよ、と会話で説明されてるだけ。善玉の仲間うちの会話は楽しかった(保安官任命の宣誓とか、バッジは標的になるだけ、とか)。その他の俳優、とりわけ女優さんは60年代後半をまざまざと感じさせ、ウェインとでギャップがあったな。善玉一家の娘なんか、どちらかと言うとベトナム反戦集会にフォークギター持って参加してそうな雰囲気。J・カーンは、こういうのもやってたのか(『不意打ち』ってので町のチンピラやってたのは見たぞ)。せっかくナイフの名人ならそれをもっと生かせばいいのに、銃の訓練で笑いをとる役割り。やっぱ銃が基本の社会なんだ。[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-04-20 10:00:48)

33.  エノケンのちゃっきり金太 総集編でも残っていることを喜ぶべきなんだろうが、流れがおかしくなってしまっているのが、けっこうキズに感じる。中村是好との関係などギクシャク。なんか大筋のつなぎ合わせのほうを大事にして、ギャグとしての流れを犠牲にしたんじゃないか。滅んでいく幕府に同情的で、新興勢力の田舎ものをコケにするのが江戸っ子かたぎ。もちろん基本はこの時代の映画で親皇側を立ててはいるが、明治以降の大衆文化って、けっこう佐幕派的な心性がひっそりと生き続けている。エノケンのキャラクターは、卑屈としたたかさが同居したもので、チャップリンもそうだった。映画初期の庶民の理想像だったんだね、あんがい革命の時代ってことともどこかで通じていたか。スリのねえさんと一緒に旅していた、娘の父親探しはどうなったんだろうな。クシャミをすると是好が出てくるあの感じはよかった。[映画館(邦画)] 6点(2012-04-30 09:35:22)

34.  英国王のスピーチ これはもう「あがり症の王様」って設定が秀逸で、実話なんだろうけど、よくぞ取り上げた。人生のほとんどを公式の場にいる王族が吃ったら、そりゃ地獄だわな。職業が「公人であること」なんだもん。普通の対人恐怖症は「笑われる」ことを気に病むんだけど、彼の場合は「哀れまれる」という地獄。だから彼が気の毒だという視線が、さらに彼を傷つけてしまう。大観衆の視線から先祖の肖像画までが脅威となって迫ってくる。転職も出来ない(兄貴に先を越されてしまった)。脅威の対象だった一般市民との間に、次第に友情が育ってくるところがポイント。映画は結果が分かっている展開を、淡々と進んでいった。それが物足りなくもあるが、たとえばもし「演説の天才ヒットラーに対する怒りによって流暢に語れた」なんて話になったら、それはそれで安っぽく感じてしまっただろう。こういう「人生の不安」に対しては特効薬はなく、彼のようにただただ匍匐前進していくしかないのだ、という勇気をたたえる物語でいい。それにしても先代の王様が卑猥語を狂ったように叫ぶ映画が作れる国はいいなあ。もし昭和天皇が卑猥語を叫ぶ映画を日本で作ったら(あの人も幼少時にプレッシャーきつかったのか、しゃべりが流暢ではなかった)、街宣車が走り回ってスクリーンはズタズタにされるんじゃないか。[DVD(字幕)] 6点(2011-12-11 09:53:12)(良:2票)

35.  PNDC-エル・パトレイロ 理想に燃えた警官が社会に出て汚れていく。ついに矛盾に耐え切れず職を辞し、妻にこきつかわれ、愛人には「養ってくれるわね」と釘を刺され、ああ、これが人生か(ちょっと「砂の女」を思い出した。男を待ち構えている女という落とし穴)。愛の理想も現実に汚染されていく。仕事の嫌な感じを丹念に積み重ねていくあたりに、手ごたえ。怪我をしたとこに父の幻影が現われるのなんか、中南米の匂い。そしてドン・キホーテのように最後の一花を咲かせようとするわけだ。やはり中南米って、どこかスペインの影を引きずっている。[映画館(字幕)] 6点(2011-10-27 09:56:07)

36.  エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事 大ざっぱに女優を貴婦人タイプと小間使いタイプに分類すれば、M・ファイファーは小間使いタイプで、場末のウェイトレスなんかやらせると絶品なんだけど、これはちょっと柄じゃなかったんじゃないか。はぐれ者の感じはあるが、上流社会って雰囲気からは離れすぎているような。最後の送別パーティの優しい残酷さはよかったな。ヒンヤリとしたとこ。これを殺せば自由になれると思ったことのある妻に、なすすべもなく操られてしまうD・D=ルイス。憐れまれてさえいたのだった。男は最後まで決断から逃げている。19世紀末のニューヨークってのが美しい。風の強い日に、男たちが帽子を押さえて黙々と歩いてくるシーンなんかに、味わいがあった。[映画館(字幕)] 6点(2011-04-05 12:35:55)(良:1票)

37.  エース・ベンチュラ 《ネタバレ》 なんと言うか、三流に徹している潔さみたいなもの、感じますなあ。それを過大評価するつもりはないけど、でもこういうの観ると、映画が誕生した初めの時代、ほとんど1世紀前の、舞台芸人の芸を実写していたころの記憶に脈々とつながっているような気がして、ウーンとうなったりしちゃう。ステージ芸人の芸って知ってるわけじゃないけど、倍速逆回しのところなんかそんな気がした。芸人の芸の記録から始まって、やがて映画の芸が誕生していく、その現場に、なぜか1世紀後れて立ち会っているような感動が、なくもない。オシリがしゃべるの、とか。一番笑ったのは、もと選手たちの指輪を調べていくあたりか。無茶な運転して相手に指を突き立てさせるとか、殴らせて跡を見るとか、一緒に走っているだけではダメで、とうとう麻酔をかがせるとか。郵便ポストの中ってのもあった。ここたへんになると、舞台芸から映画の芸へ若干進化しかけている。[映画館(字幕)] 6点(2010-08-21 09:55:10)

38.  映画女優(1987) 冒頭の『不如帰』の、頭が上がってくるところは美しかった。ゾクゾクさせられた。過去のフィルムの骨董的美しさというよりも、モダンな現代美術として蘇ったような効果。しかし本筋に入ると、もひとつ乗り切れないところがある。いつもながら室内の暗さは美しいし、カットごとに人に移っていくそのリズムの心地よさは申し分ない。一番ドキドキしたのは、溝口の読み合わせのシーンでしたか、なんだなんだという絹代の戸惑い、消されていく黒板のセリフ、ステージ以外の周囲に広がる暗がり、「田中さん、…です」の繰り返し、こういう畳み込んでいく感じは素晴らしい。ただ吉永小百合、短いカットだと映えるんだけど、ちょいと太いとこを見せる場面になると、無理が目立っちゃう。うまいヘタの問題というより、質の問題なんだろう。そこらへんでどうも乗り切れない。この監督はポカーンとしたとこ撮るといいんだよね、セリフのあるドラマ部分よりも。よそ見をしながらビールを飲んでるとことか。上原謙はコントラストの強い場面で、ほんのちょっと出るだけ。清水宏役の渡辺徹は、体格で選ばれたキャスティングでしょう。[映画館(邦画)] 6点(2010-08-15 09:42:21)

39.  エル・トポ 《ネタバレ》 前半はほとんど武者修行の道場破りといったオモムキ。ここらへん60年代が匂い立つ。精神性への憧れがあって、それがファッション的というか皮相的な感じが実にもって60年代末。物質主義に対する反発、というより、物質主義に対する反発を表現したかった時代・反発するとカッコよかった時代。このあと地下のフリークスと組むわけ、というか神になるのかな。ま、この話全体がある種の創世記神話で、ここから歴史を始めたい、なんて意志が感じられる。小人女と組んで大道芸。ここらへんはちょっと哀切。成人した息子が殺しに現われる(だと思うんだけど違うのかな)。解放のための穴をあけ、しかし彼らは街の人々に殺され、男は復讐して焼身自殺を遂げる、ここらへんの展開にはノセられました。いかにも頽廃を演じようとしてるんだけど、なにせ画面が乾いてるもんだから陰湿感がない。でもだからかえっていいのかな。[映画館(字幕)] 6点(2010-06-10 11:59:27)(良:1票)

40.  永遠の1/2 ところどころに会話の妙はある。生活臭が感じられないってのは、この作品の場合悪口にはならないんだろう。暮らしてはいるが、生活はしてないんだから。おそらく映画として一番面白く出来そうなのは、自分そっくりのヤツがいろいろ面倒を起こしてる、ってとこだろうけど、それがずいぶん遠慮がちな描き方で、いづみちゃんがウロウロ身の回りをうろついてるあたりはいいんだけど、もひとつ盛り上がらなかったなあ。まあそこで大竹しのぶの「もっとこんがらがっちゃえばいいのよ」が生きてくるのかも知れないけど。でもこの主人公そう人間関係の鬱陶しさに悩まされてるって感じでもなく(婚約者にはウンザリしてたけど)、つまり状況のほうがこんがらがってくれないと、人間関係が動いてくれない、ってところに当時の「現代青年」像があったのか。部屋の奥で二人並んで神妙にモーツァルト聴いてるところなんかは、おかしかった。あと超ロングの右端で竹中直人が荒れてるとこかな。[映画館(邦画)] 6点(2010-04-11 11:57:44)

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