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1. 8 Mile
《ネタバレ》 いい題材だと思うし、演出や映像にも光るところがあるのだが、結局のめり込むことができなかった、実に惜しい映画。
なぜこの映画に乗れなかったのか考えてみたところ、脚本に問題があるのではないか、と思った。
おそらく本作には、「貧困と閉塞からの脱出」と「白人であっても、ラップで黒人に打ち克つ」という二つの大きなテーマがあると思う。そのテーマ自体はいいのだが、本作はその2つのテーマを同じ分量で描こうとしたために、どちらのテーマも踏み込み不足というか、消化不良を起こしてしまい、さらにはそのような状態で映画が終わってしまう。これが本作に私が乗り切れなかった理由ではないかと思う。
貧困の描写や追い詰めれた若者たちの焦燥、白人が黒人にラップを挑むことへの葛藤は、確かに描写されている。
ただどうにも物語が淡白で、仕事に戻ると言っても結局貧困から抜け出せるのか、バトルには勝ったが次はどうなるのか、という回答が見えてこないため、どこか腑に落ちない。
もしこの脚本が、テーマを一つに絞って、つまるところ「白人であってもラップで黒人に打ち克つ」という点に絞って、シンプルかつもう少し劇的な造りにしておけば、この映画はもっと面白くなったのではないだろうか。実際主演のエミネムも、黒人が圧倒的なヒップホップの世界でのし上がってきた人間なのだから、白人がラップをすることへのコンプレックスや重圧は映画以上に凄まじかっただろう。そうしたコンプレックスや重圧、それに打ち克つ人間をよりシンプルに、よりヘヴィに描いていた方が、より多くの人の共感を集める映画になったのではないかと思う。貧困をテーマにするのは悪くないが、貧困を言い訳に自暴自棄になっている人間や狼藉を繰り返す人間の様子を延々と見せつけられても、あんまりいい気はしないでしょ。[インターネット(字幕)] 6点(2019-01-08 12:13:24)《改行有》
2. エイリアン
SFホラー、というかホラー映画の最高峰だろう。
なかなか姿を見せないエイリアン、顔に貼りつくアレ、腹から飛び出るアレ、やけに退廃的な宇宙船のデザイン、暗がりと閉塞感。
今となっては古典、もしくはあまりに王道の設定や展開(別に本作が悪い訳でなく、本作の影響が甚大である証拠)なのだが、これもまた恐怖を煽る。
逃げ切ったかと思えば・・・まだヤツは生きていた!とか、お決まりだけれど、最高に息を呑む展開だ。[ブルーレイ(字幕)] 10点(2018-08-25 15:16:25)《改行有》
3. L.A.コンフィデンシャル
《ネタバレ》 原作小説の愛読者としては、この映画版は非常に罪作りな作品だと感じる。
エルロイの複雑極まりない原作を非常に手際よくまとめ、王道かつ一級品のエンタメ作品に仕上がっている。しかし、点数としては7点。
なぜなのか。これは原作が映画以上に良過ぎるから、の一言に尽きる。
原作小説は映画版を超えるスケール(事件の規模・事件解決までの年数、伏線の数々)で展開され、
しかも4部作中の3作目であるため、4部作通じて読む事で判ってくる本作の楽しさや面白みもあるのだ。
原作冒頭における衝撃の幕開け、黒幕の犯行のえげつなさ(映画の比でないくらいに”ダドリー!!!”と咆哮する事間違いなし)、そこからの怒涛の伏線回収と犯人との血みどろの対決。
映画版にはない複雑さ、えげつなさ、ミステリーとしての鮮やか過ぎる展開が原作には盛りだくさんで、とにかく熱い、熱過ぎる小説なのだ。
映画版を先に観てしまうと、原作を読む事で得られる楽しさや感動が減ってしまう。
原作を読んだ後でこの映画版を見ると、やはりスケールダウンした感じがあって物足りない。
そういう意味で本作は非常に罪作りな映画だなと感じる次第である。
興味を持った方はぜひ原作4部作も挑戦してほしい。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2018-03-25 16:05:57)《改行有》
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