みんなのシネマレビュー |
|
【製作年 : 2020年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. ノック 終末の訪問者 《ネタバレ》 そのノックは、世界の終わりを告げる音――。人里離れた静かな湖畔に建つ一軒の小さなロッジ。家族水入らずのバカンスを楽しむために貸し切りで予約を入れたゲイのカップルとその養女である幼い女の子。退屈な日常をしばし忘れ、彼らは早速バーベキューや虫取りなどバカンスを満喫するのだった。ところが2日目の朝、何の前触れもなく〝その者〟たちがドアをノックする。「信じられないかもしれないが今、世界の終末が近づいている。人類を救うためには、君たちのうち誰かを犠牲に選んでもらわなければならないんだ。明日の朝までに」――。ロッジに無理やり押し入ってきた4人の訪問者は、藪から棒にそう告げるのだった。宇宙人の啓示を受けた選ばれしものである自分たちしかこの事実を知らないという。到底信じられない家族は当然、そんな無茶な要求を拒否し、即席の武器で必死に抵抗する。だが、〝訪問者〟たちの言う通り、テレビからは巨大地震や謎のウィルス蔓延を知らせるニュースが大々的に報じられて……。果たして彼らは何者なのか?本当に世界の終末が近づいているのか?そして、家族は世界を救うために誰を犠牲に選ぶのか?奇抜なアイデアで映画を撮り続けるハリウッドの鬼才M・ナイト・シャマランが新たに挑んだのは、そんな閉ざされた空間で展開されるワンシチュエーション・スリラーでした。まぁいかにもシャマランらしいアイデア一発勝負で最後まで突っ走るお話でしたね、これ。昔からこの人の映画って当たり外れが多く、当たればそこそこ面白いけど外れたら目も当てられない酷い内容になりがち。んで、今回は……、外れの方のシャマランでした(苦笑)。ぶっちゃけこの脚本、酒でも飲みながら2時間程度で書き上げたんじゃないの?ってくらいやっつけ感が半端ない。突っ込みどころも満載だし、設定の爪も甘いし、何より肝心のアイデアも何処かで見たようなベタな代物でさっっっぱり面白くなかったです。数時間で世界中に蔓延するウィルスってどんなんやねん(笑)。だいたい主人公がゲイカップルだとか8歳の養女がアジア系の孤児だったりとかの設定もストーリー上たいして活かされておらず、昨今のポリコレ至上主義に安易に媚びてる感じがして途中からなんか腹立ってきましたわ。最後のオチも何の捻りもないそのまんまのもので思わず失笑。ま、簡単に言うと観るだけ時間の無駄の凡作でした、はい。[DVD(字幕)] 4点(2024-02-23 11:00:06) 2. ノースマン 導かれし復讐者 《ネタバレ》 ここは何処までも凍てついた大地が続く北欧の小さな島国、ラプシ王国。大鴉王と呼ばれ、その残虐非道な性格から周囲の国々を恐れさせたオーヴァンディル王の元、貧しいながらも人々は平穏に暮らしていた。そんなある日、攻め入った国から多くの奴隷を戦利品として持ち帰った王は、腹違いの弟の裏切りに遭い、悲運の死を遂げてしまうのだった。国王の側についた者は皆、残虐な手法で殺され、王妃は無理やり新たな国王の妃とされてしまう。そしてまだ10歳になったばかりの幼い王子アムレートは殺されそうになりながらも何とか一人、小さな舟で逃げ出すのだった。「いつの日か父の仇を討つ!母上を救い出す!」と何度も何度も誓いながら――。数年後、ロシアでヴァイキングとなり、近隣の町で略奪を繰り返していたアムレートは、父の仇であるフィヨルニル王が戦に破れ、遠くアイスランドの地まで追われたことを知るのだった。今こそ復讐の時はきた。故国で語り継がれてきた預言者の幻に導かれるまま、奴隷に身をやつしたアムレートは密かにアイスランドへとやってくる。ただ、亡き父の復讐を果たすために……。中世北欧のヴァイキング文化をモチーフに、父王を殺された王子の苦難に満ちた復讐劇を生々しく描き出す英雄譚。とにかく血腥い!!北欧のヴァイキング映画って何本か観ましたが、どれもこれもリアルで残虐でとにかく濃い濃い濃い!!例えるなら、『300(スリーハンドレッド)』のシリアス版みたいな。ヴァイキングっって、どんなけ野蛮な人たちなんだ(笑)。でも自分はこーゆーこちらにまで血の匂いが漂ってきそうなこの荒んだ世界観、けっこう好きでした。中世の英雄譚らしくかなりシンプルなお話なのでその分、俳優陣の熱演が光ります。主役を演じたアレキサンダー・スカルスガルドのそのただ淡々と復讐を果たしてゆく寡黙な演技も素晴らしく、彼に惹かれてゆく奴隷役のアニヤ・テイラー=ジョイもすこぶる魅力的。そんな俳優たちを、シャープでスタイリッシュな映像で捉えたこの監督のセンスも抜群にいい。モノクロームを基調としたこの映像が終始カッコよく、重厚な音楽がよりこの世界観を引き立てています。芸術的価値は充分高い。前作『ライトハウス』の時から監督の映像美には注目してましたが、本作で見事に完成されたんじゃないかな。燃え盛る火山をバックにした最後の闘いと、その後のヴァルキリー登場には思わず拍手しそうになっている自分がいました。うん、満足!![DVD(字幕)] 8点(2023-12-18 09:22:40) 3. ノー・セインツ 報復の果て 《ネタバレ》 かつて「拷問師」と呼ばれ、その冷酷無比の手口から裏社会で恐れられた殺し屋ネト。そんな彼も警察の執念の捜査で捕まり、今や服役生活を余儀なくされていた。ところがある日、新たな証拠の発見により釈放されることが決定する。当然、過去の因縁を抱えた裏社会の住人や彼を刑務所へとぶち込んだ警察たちが黙っていない。足を洗い、愛する一人息子とともに穏やかな生活を望んでいたネトだったが、彼のそんなささやかな望みはすぐさま絶たれてしまう――。別れた妻の元で育てられた息子フリオが何者かに誘拐されてしまったのだ。しかも国境を越え、メキシコの危険なスラム街に連れていかれたらしい。きっと自分に恨みを持っている奴らの仕業だ。怒りに燃えるネトは、偶然知り合った酒場のウェイトレスとともにメキシコ入国を図るのだが……。息子のために足を洗うことを決意した殺し屋と裏社会の住人たちとの壮絶な攻防を重厚に描いたクライム・サスペンス。ロン・パールマンやティム・ロスといった渋めの役者陣共演ということで今回鑑賞。終始画面が暗くて見辛いし話のテンポも悪いし登場人物誰もが魅力ないしで、率直に言ってさして面白くなかったです、これ。脚本もけっこうテキトー。わるもんのアジトを見つけてまず下見として相棒のウェイトレスが先に乗り込むのだけど、すぐにバレてピンチに陥っちゃう。でもその後から主人公が1人で乗り込んで全員やすやすと皆殺しってウェイトレスさん、先に乗り込んだ意味ないやん(笑)。主人公も「拷問師」と言いながら、熱湯をかけて爪剥がすくらいでちょっと甘い。愛する息子をさらった悪人なんだから、もっと無茶苦茶してくれても良かったんじゃないかな。最後の、「聖人など何処にもいない」と言わんばかりの超バッドエンドも胸糞悪いだけで深みもなんにもない。全編を覆う重厚な雰囲気はそこそこ良かったのでギリ5点ってとこですね。[DVD(字幕)] 5点(2023-10-02 08:18:23) 4. NOPE/ノープ 《ネタバレ》 アメリカ南部の片田舎で牧場を経営するとある親子をある日、悲劇が襲う。なんと何の前触れもなく空から異物が降ってきて、直撃を受けた父親が亡くなってしまったのだ。飛行機から積荷が落下した事故として処理されたものの、息子OJは到底納得いかない。監視カメラを幾つも買い、全て上空へと向けて様子を観察してみることに。すると、驚くべき事実が明らかとなるのだった。「空に一か所、まったく動かない雲がある」――。その日からOJの日常は歪み始める。突然使えなくなる電化製品、まるで自分たちを監視しているかのように空に現れる謎の影、そして近くのテーマパークでは観客が一瞬にして行方不明となる謎の現象が起こっていた。果たしてこれはなんなのか?アメリカの砂漠地帯を舞台に、そんな理不尽な事態に巻き込まれる一家を終始不穏に描いたサスペンス・スリラー。監督は、独創的なアイデアで話題を集めたヒット作『ゲットアウト』でデビューを飾ったジョーダン・ピール。観終わった直後の率直な感想を述べさせてもらうと、さっぱり面白くなかったです、これ。この監督ってアイデア一発勝負で映画を撮るスタイルなんでしょうけど、2作目、3作目と明らかにクオリティが下がっちゃってる気が……。アイデア先行で制作に入ってるのに肝心の中身がまったく追い付いておらず、明らかに破綻した脚本や思わせぶりなだけでさして面白くもない演出などダメな部分ばかりが目立つという、なんだかデビュー2~3年目頃のM・ナイト・シャマラン低迷期を髣髴とさせる右肩下がりぶり(今も?!笑)。ここで思いっ切りネタバレすると、結局真相は巨大な人喰いエイリアンが雲に擬態して獲物である人間を狩ってたってっだけの話。それをただひたすらグダグダだらだら引っ張って、そこに黒人差別的なテーマを若干匂わせてるだけで中身はすんごく薄っぺらいです。あの殺人チンパンジーのエピソードも最後にストーリーの本質に絡んでくるのかと思いきやまったく放り投げっぱなしって、「結局なんやってん!!」と自分は怒り狂いそうになっちゃいました。主人公も全く魅力がなく、ひたすら暗くてぼそぼそ後ろ向きなことばかり喋る彼に自分は最後まで感情移入できず。うーん、正直、この監督の映画はもういいかな……。[DVD(字幕)] 4点(2023-09-06 10:00:50)
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS