みんなのシネマレビュー
かたゆきさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234
投稿日付順1234
変更日付順1234

1.  ハウス・バウンド 《ネタバレ》 ATM強盗中にへまを犯し、警察に捕まった不良少女カイリー。未成年ということもあり、更生のために実家で数か月の保護観察処分という判決を受けた彼女は、保護観察官と一緒に久しぶりに実家へと帰ってくる。義父とともに静かな余生を送っていた母親は、渋々ながらそんな娘を受け入れることに。いろいろ衝突しながらも久しぶりに家族水入らずの生活を送る親子。だが、しばらくすると不可解な現象が家の中で多発するようになる。家のものがいつの間にか動いていたり、使った覚えがないのに電気代が高騰していたり、地下室から不審な物音が聞こえてきたり……。そしてとうとうカイリーは、地下室で霊と思しき存在を目にしてしまう。そう、ここは過去に凄惨な殺人事件があったいわくつきの家だったのだ――。果たしてこれは全て幽霊の仕業なのか。足首につけられたGPSのせいで家から離れられないカイリーは、怪奇現象オタクだった保護観察官ともに真相を究明しようと動き出す……。かんなり低予算で撮られただろうそんな本作、魅力的な登場人物たちがつむぐテンポの良いストーリーは観やすくてなかなか面白かった。かなりはねっかえり娘だけどどこか憎めない主人公やぐちぐち言いながらも結局娘に引きずられちゃう母親、オカルト大好きないかつい保護観察官。彼らのコミカルなやり取りはベタではあるけれど終始微笑ましくて大変グッド。ただ、ストーリー自体は率直に言ってありがち。序盤ゴリゴリのオカルト押しではじめといて中盤で実は……という展開は途中で読めてしまうし、けっこう突っ込みどころも多い。特に途中で主人公が義父をハサミで刺しちゃう展開は重すぎるし、その後も実家で暮らし続けるとかどんなけ甘々な警察やねん(笑)。そこら辺はもう少し考えてほしかった。ただ、中盤で真相はこういうことだったのかと思わせといてでも実は違いましたという、さらなるどんでん返しを見せる終盤はちょっと新しかったですね。「そうくるか~」って感じで。全てが明らかとなった最後の最後、それでもこの共同生活続けてんのかい!と思わず突っ込んじゃうオチはさすがに笑っちゃったわ。と、そこいらへんのユーモア感覚やところどころのホラー描写にけっこうセンスを感じたのでボチボチ面白かったかな。監督はこの後、ハリウッドでスマッシュヒットを飛ばしたホラー『M3GAN ミーガン』を撮ることになるジェラルド・ジョンストン。自分はそちらは未見なので、本作からどれだけ成長したのか今度期待して観てみようと思います。[DVD(字幕)] 6点(2024-04-03 09:31:35)

2.  パラレル 多次元世界 《ネタバレ》 最近立ち上げたITベンチャー企業の経営に奮闘する4人の若者。ところがかつての従業員の裏切りに遭い、経営の危機に直面してしまう。1週間以内にソフトを完成させ取引先に納入しなければ倒産するのは明らか。そんな絶体絶命の状況を救ったのは、とある小さな鏡だった――。オフィスとして借りていた古い一軒家の屋根裏部屋にあったその鏡には、驚くべき力が宿っていたのだ。なんとその鏡の向こうには、こことは違う別の世界が拡がっていた。自分たちが住む現実とは微妙にずれた世界、しかも入るたびにその世界は刻々と変ってゆく。そこでは今とは違う職業に就いた自分がいたり、見ず知らずの他人と結婚していたり、さらには死んだ人間が生きていたりする……。そう、この鏡は幾つもの時空を越えた別世界へと繋がる、いわゆる多元宇宙への扉だったのだ。鏡の力を使い経営の危機を脱した彼ら。やがて彼らはそのパラレルワールドへと頻繁に出入りし、自分たちの世界にはない発明品や芸術品を持ち帰ると、あたかも自分たちが作り出したかのように世間に発表する。鏡の力で充実した日々を送る彼らだったが、次第に自らの欲望を止められなくなって……。さまざまなパラレルワールドへと繋がる鏡を偶然見つけた今どきの若者たちの驚愕の体験をノンストップで描いたSFスリラー。監督は、『ダークレイン』や『パラドクス』でスマッシュヒットを飛ばしたイサーク・エスバン。確かにこの監督らしい独自の世界観は構築出来ていたと思います。突っ込みどころは満載ながら、スピード感あふれる演出とぶっ飛んだユーモアセンスで最後まで突っ走るところはこの監督ならでは。どうせ別の世界だからと金を盗んだり嫌な奴をボコボコにしたり、さらには他人の絵画や発明品を盗んだりと主人公たちがやりたい放題するシーンはけっこう楽しい。ただ、そーゆーワンアイデアを勢いとノリだけで一本の映画に仕上げてしまったのはどーなんでしょうね。過去作では、そういう荒唐無稽な設定も「これは映画ですよ」という寓話的な枠組みがバッチリ嵌まっていたからこそ観ていられたと思うんです。本作のように、現実と地続きの世界でこれをやられるとさすがに違和感が凄い。この多元宇宙という設定をもう少し詰めるべきだったのでは。例えば、この鏡がどのようにして出来上がったのかとか、別の世界からものを持ち帰るとその元の世界ではどうなるのかとか、別世界でもう一人の自分と出会うとどうなるのか等々。ここら辺のルール設定をもう少ししっかり描いて欲しかった。これでは物語としてあまりにふわふわしすぎていて、後半のサスペンスがいまいち盛り上がらない。監督の過去2作はそこそこ気に入っていただけに、惜しい。[DVD(字幕)] 5点(2023-06-05 06:35:29)

3.  バクラウ 地図から消された村 《ネタバレ》 近代化や開発の波に取り残され、加速化する人口減少なども相まって、世界から今にも忘れ去られようとしている村、バクラウ。インターネット上の地図からもその存在を消され、警察や行政からも見捨てられたこの村にある日、正体不明の部外者が訪れる。通りすがりの旅行者を名乗る彼らだったが、その日から原因不明の危機が村を襲うようになるのだった。給水タンクに撃ち込まれる銃弾、村を監視するかのように空を飛ぶドローン、そしていつの間にか惨殺される村人たち……。いったいこの村に何が起こっているのか?だが、村の住民たちも黙ってはいない。何故なら彼らは誇り高き革命戦士の末裔だったからだ。隠し持っていた銃を手に取り、自らの村を守るため立ち上がる住民たち。彼らの命を懸けた戦いの幕がいま、切って落とされる――。南米の荒れ地に囲まれた小さな村を舞台に、武装した村民と謎の襲撃者たちの血で血を洗う抗争を濃密に描くバイオレンス・ドラマ。カンヌで審査員賞なるものを受賞したということで今回鑑賞してみたのですが、正直僕はさっぱり楽しめませんでした。これってストーリーの面白さで見せるというより、多くの謎をまず最初に提示してその真相が何なのかを延々引っ張るというスタイルだと思うんです。謎の因習に満ちた村、怪しげな雰囲気漂う住民たち、そして彼らを執拗に狙う謎の襲撃者集団……。まあ確かに、全編に横溢するこのミステリアスな雰囲気に最後まで引っ張られて見てたんですけど、残念ながら最後に明かされる真相があまりにも弱く、肩透かし感が半端ない。こちらの想像したオチを全く超えてこず、「結局それだけのことやったんかい!!」と僕は思わずずっこけそうになっちゃいましたわ。さすがにここまで引っ張っといて、肝心のオチがこれではねぇ。もっと観客の度肝を抜くような一捻りが欲しかった。作品全体に漂うこのひりひりとした空気に+1点。[DVD(字幕)] 4点(2021-09-04 01:31:13)

4.  博士と狂人 《ネタバレ》 制作に約70年もの月日を費やして完成された世界最高峰とも呼ばれる辞書「オックスフォード英語辞典」。その完成の裏には、博士号を持たない異端の言語学者と精神を病んでしまい妄想から人を殺めてしまったアメリカの元軍医という二人の存在があった。実話を基に、世界最大の辞書を編纂したそんな二人の天才の友情と交流を描いた歴史ドラマ。ベテラン俳優ショーン・ペンとメル・ギブソンがそんな博士と狂人を演じたということで今回鑑賞してみました。率直に言って、題材は凄く良かったとは思うんですよ、これ。世界でも有名な辞書完成の裏に隠された秘話、しかもそこには統合失調症を患った精神病患者の尽力があったなんてとても興味が惹かれるテーマじゃないですか。なのに、最後まで付き纏うこの微妙な空気感。きっと話を詰め込み過ぎたんじゃないですかね。いろんなエピソードが展開されるんですけど、どれもこれも踏み込みが非常に甘い。特に、狂人博士の方に殺された男の奥さん。この人が最初は当然、この夫を殺しながら病のせいで罪に問われず精神病院への処置入院で済んだ男へと物凄い憎悪を募らせるんです。でも、お金を貰って何度か優しくされると簡単に許しちゃう。いやいやそんな訳ないでしょ。もし事実がそうだとしても、そこに至る過程にもっと鋭く切り込んでもらわないと。これでは深みに欠けると言わざるを得ません。また、同じようにこの狂人とはぐれ者の言語学者との交流も一面的でなんとも浅い。題材は良かっただけに、もう少し脚本を練って欲しかった。イカれた孤高の天才を熱演したショーン・ペンの迫力に+1点![DVD(字幕)] 5点(2021-08-09 06:00:44)

5.  ハミングバード・プロジェクト/0.001秒の男たち 《ネタバレ》 0.001秒――。それは生き馬の目を抜くようなNYの厳しい金融取引の世界で、ライバルを蹴落とすために必要な時間。光ファイバーやAIを駆使し、ライバル企業よりもコンマ1秒の差で優良株を買いそれを高値で売り抜けることで巨額の利益を上げるエリート・サラリーマンたち。そんな特殊な世界に身を置き、日々神経を擦り減らしていた落ちこぼれ金融マンであるヴィンセントは、ある日とっておきの方法を思いつく。それは、データセンターのあるカンザス州からNY証券取引所のサーバーまで、直線で1600キロにも及ぶ地下にトンネルを掘り、光ファイバーケーブルを通そうというものだった。そこに山があろうが川があろうが、まして人が住む民家があろうが買収し、ひたすらまっすぐ掘り進む。完成すれば、ライバル企業よりも0.001秒早く商取引を成立させることが出来るのだ。もはや無謀とも言えるそんな彼の計画だったが、幸運にもそのプロジェクトに出資したいという投資会社が現れる。自分の人生に一発逆転を図るため、彼は従弟である天才肌のコンピューター専門家を誘い、意を決して辞表を提出するのだった。もはや後戻りはできない。ハミングバードが一回羽ばたくような一瞬の時間に人生をかけた彼の計画は、果たして成功するのか?実話を基に、そんな無謀とも言えるプロジェクトに心血を注ぐ男たちの奮闘を描いた社会派ドラマ。野心に燃える主人公を演じるのは、まさに嵌まり役と言ってもいいジェシー・アイゼンバーグ(そう言えば、彼は過去にもフェイスブックの創始者マーク・ザッカーバーグの役をやってましたね)。監督は、独自の目線で社会問題を見つめるカナダの俊英、キム・グエン。最初こそ、「ここまでするか」と驚くほどの執念でもって長大なトンネルを掘ろうとする主人公たちの情熱に圧倒されながら観ていたのですが、彼らが相次ぐトラブルによりどんどんと追い詰められてゆくのを見ていると、なんだか呆れて笑えてきちゃいますね。だって、彼らが人生を懸けてやってることって他人より0.001秒早く株を売り抜けるってだけの話。それだけで巨額の利益を上げられるってのがそもそもおかしな話で、そんなことに人生を懸けて挑む彼らって一周廻ってこの人たちって実はバカなんじゃないかと思っちゃいますね。でも、それに世界の経済が振り回されているのかと思うともはや笑えない。相変わらずこの監督の目線は鋭い。途中に出てくるレモン農場の例えなんて見事に本質を突いている。物語の最後の顛末はまさに自業自得としか言いようがなく、そんな無駄なことに時間を使う彼らに比べたら、地道に働いてるレモン農場の農家の方が圧倒的に偉いって一庶民の自分なんかは思っちゃいますわ。行き過ぎた資本主義の矛盾をシニカルに見つめた、社会派ドラマの秀作と言っていいんじゃないでしょうか。お薦めです。[DVD(字幕)] 7点(2021-05-31 23:30:29)

6.  ハスラーズ 《ネタバレ》 彼女の名は、デスティニー。何処にでも居るような平凡な女の子だ。大して特技があるわけでもなく、容姿も学歴もそれなり、人に自慢できるような経歴もない。そんな彼女が生活のために見出した職業。それは文字通り裸一貫で出来る、ストリッパーだった。夜の街で繰り広げられる男たちの喧騒を乗りこなし、徐々に頭角を露わにしてゆくデスティニー。そんな彼女はある夜、お店のトップに君臨するベテラン・ダンサー、ラモーナと出会う。彼女とコンビを組み、お店の主な顧客であるウォール街の金融マンたちを相手に荒稼ぎしてゆく二人。高級住宅や車、豪華な食事に飲み切れないほどの高級ワイン、そして煌びやかな宝飾品の数々……。こんな生活が永遠に続くと信じていた。そう、あの日を迎えるまでは――。2008年、突如として巻き起こった世界的な金融危機によって、彼女たちは一夜にして全ての顧客を失ってしまうのだった。折悪く子供も生まれ、すぐさま生活に困窮するデスティニー。そんな彼女たちが、生活を立て直すために取った方法とは?実話を基に、追い詰められ犯罪に手を染めるストリッパーたちを描いたクライム・ドラマ。主人公とタッグを組む先輩ストリッパーを演じるのはベテラン女優ジェニファー・ロペスなのですが、とにかく今年で50歳になるとは到底思えない、彼女の圧倒的な存在感に尽きると思います。年齢を全く感じさせないパーフェクトなボディに、ステージを縦横無尽に駆け回る驚異の身体能力、そして何よりむちゃくちゃエロい(笑)。彼女が超セクシーなコスチュームを着て、客が投げる札束の海で踊りまくる冒頭のシーンには思わず痺れちゃいましたわ。僕はかねてより、ある種の水着は裸よりもエロいと思っていたのですが、それを改めて実感させられるようなほぼ線でしかないコスチューム姿の彼女、ナイスですね~。ただ、肝心のお話の方は正直ありきたり。追い詰められたストリッパーが、かつての顧客である金融マンを相手に金を騙し取る内容だと聞いて、もっと緻密に計画された知的犯行だと思ったら、まさかの単なる昏睡強盗。色仕掛けで客を泥酔させて近くのお店に引っ張り込んではカードの暗証番号を聞き出すという、なんだかミナミの帝王あたりに出てきそうなみみっちいお話でした。でもまぁ追い詰められた女たちの開き直りっぷりはなんとも潔く、そんな彼女たちがスケベな男どもを次々とターゲットにしてゆくとこはけっこう爽快だったかな。まさにゴージャス&セクシー。パワフルでエネルギッシュで猥雑で、目の保養にもなったし、まあぼちぼち面白かったですかね。教訓。夜の酒場で近寄ってくるエロい女には充分注意しましょう。[インターネット(字幕)] 7点(2021-01-12 01:33:12)

7.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 半地下と呼ばれる、低所得者向けの賃貸住宅に住むとある四人家族。長びく不況のあおりを受け、揃いも揃って失業中の彼らは先の見えない困窮生活を続けていた。便所コウロギや酔っ払いの吐くゲロに囲まれ、スマホも近隣住民の飛ばすWi-Fi頼み、唯一の収入源であるピザ屋の内職も何かと理由をつけて買いたたかれるような屈辱的な毎日。そんな彼らが這い上がるために見つけたとっておきの方法。それは、小高い丘の上の豪邸に住む金持ち家族に〝寄生〟することだった――。浪人中の長男は、娘の英語の家庭教師として。同じく浪人中の美大志望の長女は、幼い息子の美術教師兼カウンセラーとして。失業中の父親は、主に金持ち主人の運転手として。そして母親は、住み込みで働く家政婦として。世間知らずの夫人に取り入り、もともと居た人間を追い出すようにして徐々に家族の中へと入り込む〝寄生虫〟たち。だが、異常を察知したもともとの家政婦が舞い戻ってきたことから、事態は思わぬ方向へと転がり込んでゆく……。韓国映画界を牽引するポン・ジュノ監督の最新作にして、外国語映画として初めてアカデミー作品賞を受賞した本作を今回鑑賞してみました。冒頭から流れるように続く、徹底的に考え抜かれたであろうストーリー構成は本当に素晴らしかったです。貧困に喘ぐ四人家族が、徐々にこの金持ち家族の中へと入り込んでゆく一連の流れはもはや神がかってました。細部にまで拘ったカメラワークに計算されつくした脚本、変幻自在な音楽の使い方など全てに監督の才気が漲っております。そして元々の家政婦が舞い戻って来てからのあっと驚くどんでん返しも見事にやられました。まさか寄生虫に先客がいたなんて!そこからのドタバタも皮肉が効いていて、ベタながらなかなか楽しい。そして最後はポン・ジュノらしく、貧富の格差という普遍的な社会問題へと落とし込む手腕もお見事。貧困家族がどんなに頑張っても消せなかった「臭い」の扱いなど、監督の視線は何処までも鋭く、そして切ない。エンタメ映画として観客を徹底的に楽しませておいて、最後はちゃんと社会問題についても考えさせられるという、アカデミー賞受賞も納得の良品でありました。[DVD(字幕)] 8点(2020-10-24 00:06:10)

8.  ハイ・ライフ 《ネタバレ》 新たなるフロンティアを求めて、太陽系から遠く離れた外宇宙へと片道飛行を続ける元死刑囚たちを描いたハードSFドラマ。正直、クソつまんなかったんですけど、これ。まず、冒頭のチープな宇宙描写に思わず苦笑い。だって宇宙船の船外で作業をする乗組員が、がっつり宇宙服を着てるのに無重力感がゼロなんですもん。んで、船内に戻ってきた彼が宇宙服を脱ぐと申し訳程度に手袋が宙に浮くんですけど、それも明らかにテグスで引っ張ってる感ありまくり。え、これはエド・ウッドが制作した知られざる作品とかですか(笑)。んで内容の方も変に芸術を気取った独り善がりな代物で、ちっとも面白くもなければ深みもない。無駄にエログロ描写が多いのにも辟易です。あの謎のオ〇ニーマシンに跨るおばさん描写は、演じるジュリエット・ビノシュ含め誰得なの?最後はよー分からんまま、主人公親子がブラック・ホールに突っ込んで終わり……。あまりのテキトーぶりに僕は思わず怒り狂いそうになっちゃいました。そばかす美少女ミア・ゴスちゃんのおっぱいに+1点![DVD(字幕)] 2点(2020-10-19 08:01:01)

9.  ハッピーボイス・キラー 《ネタバレ》 地方の小さな工場で整備士として働く冴えない青年、ジェリー。独り身で古いアパートに独り暮らしをしている彼には、ある秘密があった。それは過去に起こった悲惨な出来事のせいで、精神科医が処方してくれた薬を呑まないとある〝声〟が聞こえてきてしまうこと。だが、長く続く孤独な生活に耐えられなくなった彼は、いつしか薬を呑むのを止めてしまうのだった――。その日を境に何故か突然しゃべり始めたペットの犬や猫とともに、それなりに楽しい生活を過ごしていたジェリー。やがて彼は、自らが想いを寄せる同僚の女性をひょんなことから殺してしまい、その死体をアパートへと持ち帰って来る。追い詰められた彼は死体をバラバラに解体して捨てると、残った生首だけを冷蔵庫へと仕舞いこむ。しばらくすると、冷蔵庫の中から死んだはずの彼女の生首がジェリーに話し掛けてくるのだった。そうして始まった、一人と二匹と一首の奇妙な共同生活。やがて、ひまを持て余した生首が友達が欲しいと言いはじめ……。キケンな妄想に囚われたある一人のシリアルキラーのおかしな生活をコメディタッチで綴ったサイコ・サスペンス。主演を務めるのは、今を時めく人気若手俳優、ライアン・レイノルズやアナ・ケンドリック。まあやりたいことは分かるんですけど、僕は最後までさっぱり嵌まれませんでした、これ。いや、アイデアは凄く良いと思うんですよ。自分にだけ話し掛けてくる犬や猫、そして自分が殺した女の生首と暮らす主人公なんてなんともブラックでシニカル。そんなぶっ飛びまくりの設定なのに、残酷さを微塵も感じさせないのはこの監督のポップでラディカルなセンスのなせる技なのでしょう。ただ敢えて苦言を呈してもらうと、そこで描かれるエピソードの数々がなんとも凡庸なのです。こういう荒唐無稽な設定なら、それを活かすためのさらにぶっ飛んだネタの数々を用意しないとダメでしょう。犬や猫もただ喋ってるだけでなんとも魅力に乏しい。こいつらと生首が言い争いやらどんちゃん騒ぎやらで主人公が追い詰められ、どんどん暴走しちゃうみたいな内容を期待していた自分としてはなんとも肩透かし。これでは、コメデイとしてもサイコ・スリラーとしても中途半端と言わざるを得ません。[DVD(字幕)] 4点(2020-08-03 02:35:40)

10.  ハロウィン(2018) 《ネタバレ》 ハロウィンの夜に人知れずやって来ては人を殺しまくる猟奇殺人鬼〝ブギーマン〟の恐怖を描いたスプラッター・ホラー。B級映画界の巨匠ジョン・カーペンターが制作し、今やカルト的な作品として語られることが多い前作からなんと約40年ぶりに制作され、しかも主要キャストが前作と同じ役を演じていることでも話題となった本作、どんなもんじゃろと今回鑑賞してみました。ちなみに、僕自身はその前作は未見。率直な感想を述べさせてもらうと、まあなんと言うか、アカン映画でしたね、これ。何がアカンかって、まず主役が誰か分からないこと。前作ではヒロインだったジェイミー・リー・カーティスが今やお婆ちゃんとなって、彼女の娘やその孫まで登場するのですが、彼女たち三世代のいったい誰が軸となる主人公なのかが非常に曖昧なのです。なので、誰に感情移入して観ればいいのかさっぱり分からず、最後までなんとも盛り上がらないままダラダラと終わっちゃいました。続編のセオリー通りに作るなら、きっと孫娘がメインとなるはずなのに、完全にこのお婆ちゃんの方のキャラが立ち過ぎなんです。それならそれでこの〝ブギーマン〟が直接対決するのはこのお婆ちゃんであるべきなのに、こいつがなんか無関係の人間をひたすら殺しまくったうえに、何故か孫娘を執拗に追うという一貫性の無さ。要するに、登場人物の誰も彼もに核となる行動原理がない。これでは物語が盛り上がらなくて当然です。肝心の殺人シーンもどれもキレが悪く、センスと言うものが一切感じられません。残念ながら、なんとも退屈な時間を過ごしてしまいました。オリジナルもきっと観ることはないでしょうね。[DVD(字幕)] 3点(2020-07-19 01:13:04)

11.  バイス 《ネタバレ》 彼の名は、ディック・チェイニー。共和党ブッシュ政権下で副大統領を務めあげ、911同時多発テロを皮切りに始まったアメリカの対テロ戦争では主導的役割を果たし、いまだ賛否両論渦巻くイラク戦争開戦へと踏み切った男。彼はテロリストを撲滅した偉大な指導者なのか、それとも世界を大混乱へと陥れた稀代の悪徳政治家か。本作は、そんな毀誉褒貶の激しい政治家の半生を実話を基に描いた政治劇だ。特殊メイクや肉体改造を駆使し、実在の政治家をそっくりに演じた俳優陣には、クリスチャン・ベールやスティーブ・カレル、サム・ロックウェルと言った実力派の面々。監督は、難解な政治経済問題を分かりやすく描くことにかけては定評のあるアダム・マッケイ。個人的にこの監督の前作『マネー・ショート』が全く嵌まらなかったのであまり期待せずに今回鑑賞してみたのですが、意外にも今回はばっちり嵌まっちゃいました。僕がこの時代のアメリカの新保守主義、いわゆるネオ・コンと呼ばれる人たちに個人的にとても興味があったというのもあるんでしょうけど、この監督のシニカルな笑いを散りばめた演出が今回は非常に心地よかったです。例えば映画の中盤、政権交代が起こり、中枢から追われた彼らの「その後」をテロップで流した後、エンドロールが始まるという実話を基にした映画にありがちな演出を差し挟むとこ。なかなか皮肉が利いてて思わずニヤついちゃいました。うん、これで本当にドラマが終わったら何の問題もなかったんですけどね(笑)。その後、ブッシュ政権が始まり、911を経てからのイラク戦争へと雪崩れ込む展開は、余りにも無茶苦茶すぎてもはや笑うしかありません。でも、その陰には大量の戦死者やテロの犠牲者が居ると思うと背筋が寒くなりますね。監督はそんな彼をステレオタイプの悪徳政治家へと落とし込むことなく、あくまで家族思いの良きパパであり、どん底から這い上がった立身出世の鑑としても描いてゆく。結果はどうあれ、彼は非常に優秀な政治家であったことは揺らぎのない事実。民主主義の盲点を冷徹に見つめた、非常にフェアなスタンスだと思います。ここらへん、マイケル・ムーアとは全く違いますね。結論。なかなか見応えのある政治ドラマの良品でありました。7点![DVD(字幕)] 7点(2020-07-17 20:41:15)

12.  バスターのバラード 《ネタバレ》 もはや誰がいつの時代に書いたのかも分からない一冊の短編集『バスターのバラード』。西部開拓時代を舞台にしたその古ぼけた本には、人生の深い哀感に満ちた六つの物語が収められている。それぞれのお話の冒頭には魅惑的な挿絵も施され、読む者の人生に一時の潤いを与えてくれることだろう。第一話『バスターのバラード』。お尋ね者のガンマンで陽気な歌い人でもあるバスター。ある日、彼がとある街の酒場でポーカーに参加したところ、ならず者に難癖をつけられる。だが、持ち前の減らず口と類稀なる銃の腕で難なく危機を乗り越えた彼だったが…。馬鹿々々しくも陽気なこのバスターの軽佻浮薄なキャラが楽しかった。最後、天に召されるまでその軽口を止めなかった彼に終始癒される。だが、ちょっとオチが弱いのが難点か。第二話『アルゴドネス付近』。いかにも襲ってくれと言わんばかりの郊外の銀行へと押し入ったならず者。簡単に大金が手に入ると思いきや、行員の老人に思いがけない反撃を喰らう。用心棒に引き渡され首吊りの刑にされようとした瞬間、今度はインディアンの襲撃に遭い…。何度も命の危機にさらされながら、その度に運よく生き延びる彼の悪運の強さには思わず笑ってしまった。ただ、強運も尽き果てたというオチは、本作でも弱い。第三話『食事券』。両手両足を失い介助なしでは生活できない青年が、生きるためにしていること。それは興行主である男の馬車で各地を旅し、その街々で魅力的な物語を語り聞かせることだった。各地で人気を得た彼の講演だったが、それも時代の波に流され、最後は暗算できるインチキ鶏にさえ負けてしまう…。人生の哀しみという点ではこの作品が一番優れている。彼を単なる食事券としか捉えていない男との関係性など、描かれない世界に思いを馳せるのもまた一興。だが、あまりにも淡々としているため物語としての面白みには乏しかった。第四話『金の谷』。ただひたすら金脈を求めて川を下る一人の老人。地道で苦難に満ちた作業の末、ようやくそのありかを発見するのだが、その背後には彼の手柄を横取りしようと付け狙う男が…。とにかく豊かな大自然の描写が素晴らしい。見ているだけで心が癒されるその風景の中で展開される、二人の男のひりひりとするやり取りは見応え充分。ただ、こちらも単純なお話のためいまいち印象に残りにくいのが難点。第五話『早とちりの娘』。幌馬車隊に乗せられ、兄とともに新天地に向けて旅していた世間知らずの娘。だが、途中で兄が病に倒れ亡くなってしまう。窮地に陥った彼女だったが、隊長の男に見染められ、何かと助けてくれることに。やがて彼と結婚することまで決意した彼女を悲劇が襲う…。個人的にはこれが一番面白かった。総じてオチが弱い本作品群の中では、一番しっかりとラストが決まっている。ただ、後味が悪すぎるのが残念。もう少し救いがあれば良かったのだが。第六話『遺骸』。乗合馬車に乗り合わせた五人の乗客たちの会話劇。最後を飾るにしてはいまいちパンチに欠ける印象。いかにもコーエン兄弟らしいペーソスとシニカルな笑いに満ちた、そんな六篇のオムニバス。どれも楽しく観ることが出来たが、そこまで心に刺さるものがなかったのが残念。総評としては、6点と言ったところか。[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-01 13:30:17)

13.  バード・ボックス 《ネタバレ》 それは本当に世界の終末なのか――。突如として全世界に拡がった謎の伝染病。その病気に感染した人々は急に狂いだし、自ら死を選ぶ衝動に駆られるようになるのだった。運転していた車のアクセルを限界まで踏み込み、手にしたハサミを自分の首元へと突き立て、自ら火の中へと飛び込む感染者たち。さらに恐るべきことには、その疾病は発病者の姿を〝見る〟ことによって感染するのだ。瞬く間に増殖する感染者によって、社会は暴力と死に支配された絶望的な世界へと変貌を遂げる。そんな破滅の淵に瀕する世界を生き延びるため、現在妊娠中のマロリーはある一軒の豪邸へと逃げ込むのだった。強固なセキュリティに守られたその家の中には、同じく逃げ延びた何人かの人々がすでに籠城していた。外には多くの感染者が徘徊し、しかも食料は残り僅か。マロリーとお腹の中の赤ちゃんは無事に生き延びることは出来るのか?恐ろしいディストピアと化した世界で、なんとしても生き延びようともがくそんな母子の姿を描いたサバイバル・スリラー。冒頭からいきなり始まるパンデミックの絶望的な描写に摑みはばっちり。死への衝動に駆られた感染者たちが、次々と自ら死を選ぶさまはかなり怖いです。物語はその後、一軒の豪邸内に籠城する彼女たちと、五年後、大きくなった二人の子供たちとともに河を下って脱出しようとする彼女の姿を交互に描いてゆきます。まあこういう不条理系パニック・スリラーの名作『ミスト』の一亜流と言ってしまえばそれまでですけど、この閉じ込められた人々の極限の心理劇はなかなか良く出来ている。感染者の姿を見てはいけないという設定も荒唐無稽ながらけっこう効いています。一時期大流行りした〇〇してはいけない系のはしりみたいな感じですね。目隠ししたまま幼い子供たちと貧弱なボートで激しい川を下ってゆくシーンは緊迫感もあって大変グッド。ただ、脚本に突っ込みどころ満載なのが本作の惜しいところ。感染者たちが全員すぐに死を選ぶのかと言ったらそんなこともなく、何故か非感染者を襲う者も居るというのはおかしい。また姿を見ても感染しない人もいて、その人たちは心に闇を抱えているからという謎の説明だけで済ませちゃってるのも納得いきません。目指していた安全地帯が実は盲学校だったという最後のオチもいまいち腑に落ちない。目が見えない人たちはそもそも見ることが出来ないから感染しないというのであれば、全員そうじゃないとおかしいのですが、ちゃんと目が見える人もそこに混ざってますし。主人公親子も最後、生き延びるために自ら盲目になるくらいのオチがないと説得力がありませんって。前半はパニック・スリラーとしてはなかなか頑張っていただけに、ここら辺の詰めの甘さがなんとも残念。[インターネット(字幕)] 6点(2020-04-29 00:36:10)

14.  ハングマン(2017) 《ネタバレ》 ある日、街の学校の敷地内で凄惨な猟奇殺人事件が発生。被害者は庭の大きな木に首を吊るされ、胸にはナイフでえぐられたとみられる「O」の文字。さらに遺体の近くには、絞首刑の絵と空白の文字列を示す白線が。そう、犯人は子供の定番ゲーム〝ハングマン〟をなぞり、警察へと挑戦状を叩きつけてきたのだ――。謎の犯人から警察のバッジ番号で名指しされた殺人課のルイニー刑事は、同じく名指しされたかつての相棒で今は定年退職したアーチャー元刑事とともに捜査に乗り出す。そこに彼らを取材する犯罪ジャーナリストのクリスティも加わり、懸命に捜査を続けるルイニーたち。だが、そんな彼らを嘲笑うかのように第二、第三の首吊り死体が発見される……。古典的な文字当てゲームをなぞり、次々と犯行を繰り返す猟奇殺人犯〝ハングマン〟と刑事たちとの息詰まるような攻防を描いたサイコ・サスペンス。名優アル・パチーノが主演を務めているということで今回鑑賞してみました。冒頭から、この分野の名作『セブン』を髣髴とさせるような(てか、そのまんまとも言えますが笑)重厚でおどろおどろしい世界観に摑みはばっちりでした。欧米では定番の文字当てゲーム〝ハングマン〟に見立てた首吊り殺人も大変グロテスクで、アル・パチーノの渋い魅力とも相俟って、「お、これはなかなか面白くなりそうじゃん!」と僕の期待は高まるばかり。でも…、そんな期待も虚しく中盤からものの見事に失速しちゃいましたね、これ。まさに、「ザ・竜頭蛇尾」。そもそもこんな大事件なのに、捜査してるのはほぼこの刑事二人のみで、しかも片方は定年でリタイアした今や普通の一般人ってのがおかし過ぎます。しかも取材してるだけの女性記者がばんばん犯行現場に付いてくるというのもあり得ません。対する犯人も何故にこんな面倒臭い方法で人を殺すのかも説得力に欠け、しかもわざわざ毎日11時ちょうどに首を吊るすという謎の自分ルール。肝心の犯人の正体なんて、「え、こいつ誰やねん」と思わず突っ込んじゃうほど、唐突感が半端ありません。文字当てゲームの回答も、「ここまで引っ張っといてそれかよ!!」と言うもので全く腑に落ちない。「犯行はまだまだ続く」と言わんばかりの最後のオチに至っては、蛇足以外の何者でもありません。あ、ここで訂正。「竜頭蛇尾」じゃなくて「竜頭蛇尾蛇足」な映画でありました。[DVD(字幕)] 5点(2020-04-04 01:04:59)(良:1票)

15.  パズル(2017) 《ネタバレ》 切り裂きキャンプへようこそ――。それはお化け屋敷と謎解きゲームが一体化した体感型アトラクション。参加者は外部との接触を一切禁じられ、何処とも知れぬ暗い森の中に放置される。期限は、36時間。次々と訪れる危機にうまく対処し、無事に謎を解くことが出来れば多額の賞金を得ることが出来るのだ。今回、ゲームに参加するのは6人。破天荒なパンクロッカーカップル、熱心なホラー映画マニアであるデブ、無口な謎の男、介護士の青年とその彼女アレックス。誓約書を書かされ目隠しをされた彼らは、車で人里離れた山奥へと連れてこられる。それぞれ独自のアイテムが与えられ、さっそくゲームが開始されるのだった。次々と訪れる試練に当初はワクワクしながら挑戦していた彼らだったが、徐々に違和感を覚え始める。このゲーム、何かがおかしい――。すると、とうとう最初の犠牲者が!パニックへと陥る残りのメンバー。ヘロイン中毒と言う過去を持つアレックスにもまた、過酷な試練が課されるのだった…。果たして彼らは無事にこの〝殺人パズル〟を解くことが出来るのか?と言う、かつて大ヒットしたソリッド・シュチュエーション・スリラーの某有名作の影響をもろに受けちゃってる本作、違うのは被害者が強制的に参加させられていたあちらとは違い、こちらはあくまでメンバーが自主的に参加しているところ。でも、それが面白さに繋がっているかと言うと特にそんなわけもなく、むしろ設定のムリムリ感がたたってけっこう残念な結果になっちゃってます。それにとにかくテンポが悪い!こういうB級スリラーはもっとテンポよくやってくれないと。中盤、主人公が元カレの命か今カレの命かという究極の選択を迫られるというありがちな展開になるのだけど、これも森の中から海辺へと急に舞台が変わるものだから唐突感が半端ない。挙句、クライマックスはかなりのグダグダ具合でもはや痛々しいレベル。夢オチまがいのラストなんてあまりにもテキトー過ぎて怒りすら湧いてきちゃいました。観るだけ時間の無駄の凡作というほかありません。[DVD(字幕)] 3点(2020-03-25 00:00:27)

16.  バグダッド・スキャンダル 《ネタバレ》 『石油・食糧交換プログラム』――。それはイラク戦争開戦前夜、欧米の経済制裁によって苦しむイラク国民を救うために国連主導で行われた人道援助だ。当時まだ独裁者として同国に君臨していたサダム・フセインによる大量破壊兵器開発を防ぐため、国連が窓口となって豊富な石油資源を市場価格で売却し食料や医薬品と交換してイラクへと還元させる。多くの人命を救うための人道的プログラムのはずだった。だが実際は、フセイン政権による横領や横流しが相次ぎ、さらには先進国の大手企業がその利権を巡って多くの不正行為に手を染めていた。驚くべきことに、監視者であった国連職員にまで汚職が蔓延していたのだ。若き職員マイケル・サリバンはその事実に気付き、すぐさま上司に報告するも実態は公にされることなく握りつぶされてしまう。だが、様々な国の思惑が複雑に交錯する国際情勢の中、やがてそれは国連を大きく揺るがす一大スキャンダルへと繋がっていくのだった……。本作は、200億円にも及ぶ大金が闇に消えたという実話を基にして描かれた硬派なポリティカル・サスペンスだ。主演を務めるのは若手俳優テオ・ジェームズ、他に制作も務めたというベテラン、ベン・キングズレーが名を連ねている。確かな取材や時代考証に基づいたであろう骨太な物語はなかなか見応えがあった。ニューヨークの国連本部から当時混乱を極めたイラクの首都バグダッドにまで拡がるそのスケールの大きさにも圧倒されるものがある。何より、この弱者を救うためのプログラムを利用し甘い蜜を吸い続けた、欧米各国の行き過ぎた資本の論理には戦慄させられる。人間とは、かくも欲深き生き物なのか――。「民主主義に汚職はつきものだ」と言うベン・キングズレーの言葉が重い。そんな醜い国際情勢によって翻弄される、主人公の国連職員とクルド人女性通訳との儚い恋物語は強く印象に残った。丁寧な手腕が光る政治サスペンスの逸品と言っていいだろう。ただ、こういう作品なので仕方ないのだろうが、お話として地味すぎるのが自分には少々退屈に感じてしまった。もう少しドラマティックに脚色しても良かったのではないか。世界の実態を知るという点では充分観る価値はあったが、人間ドラマとしては幾分か物足りなさの残る作品であった。[DVD(字幕)] 6点(2020-02-17 23:10:59)

17.  ハッピー・デス・デイ 2U 《ネタバレ》 謎の殺人鬼に何度も何度も殺されるという悪夢の無限ループへと陥ったビッチな女子大生、ツリー。彼女がその無限ループから抜け出すために、何度も殺されながら真相を探る姿を疾走感あふれる展開で描いた青春ホラー第二弾。前作の低予算ながらポップでキレのいい演出がけっこう面白かったので、続編となる本作も期待して今回鑑賞してみました。前作では謎のままだったタイムループ発生の原因が、本作で明らかにされたのは嬉しい展開。前作ではちょい役だったあの「メス犬とやったのか」でお馴染み(笑)の金髪アジア系男がまさかの張本人だったとは!冒頭、こいつが新たな無限ループに巻き込まれる展開に、「え、もしかして今回はこいつが主人公なん?!」とちょっと不安にもなりましたが、途中でちゃんとツリーの無限ループに戻ったのでホッとしました(彼女にとっては迷惑この上ないでしょうけど笑)。ただ、肝心のことの真相が実は幾つもの現実が併存する多元宇宙(パラレル・ワールド)だったというのは賛否が分かれるところ。僕はどちらかと言うと否の立場かなぁ。話が無駄にややこしくなって前作ほどのカタルシスを得られませんでしたわ。それに前作よりスラッシャー・ホラー要素が薄まったのもちょっと残念。まぁこればっかりは好みの問題なのでしょうけれど。それでも、相変わらず様々な死にざまを身体を張って魅せてくれたツリーの潔い死にっぷりには今回も楽しませてもらいました。ドライヤーで感電死したら次の瞬間髪の毛爆発してたりだとか、スカイダイビングに裸で挑んだりだとか、ゴミ収集車に頭からスライディング・ダイブだとか、前作以上の悪ノリっぷりに終始ニヤニヤが止まんなかったです。最後のオチもけっこう決まってましたしね。というわけで、前作ほどではないですが、今回もなかなか楽しませていただきました。でも、さすがにこれ、もう続編はないよね(笑)。[DVD(字幕)] 7点(2020-02-09 23:50:59)

18.  ハッピー・デス・デイ 《ネタバレ》 彼女の名は、ツリー。自他ともに認める下半身ゆるゆるの女子大生、いわゆる“ビッチ”だ。その日の朝も昨日の酒が残った状態で目覚めたツリーは、自分が見知らぬ同級生の部屋のベッドに寝ているのを発見する。「あっちゃー、またやっちゃった」。酷い二日酔いの頭でそう後悔しつつも彼女は、今夜のパーティーのためにすぐさま自分の学生寮へと急ぐ。何故なら今日は誕生日だから。今日こそ最高にハッピーな一日を過ごすため、ツリーは嫌みなルームメイトや不倫の関係にある大学教授たちをやり過ごし、約束のパーティー会場へと暗い夜道を歩いていた。すると、彼女の背後に忍び寄る不穏な影。不気味なマスクを被った謎の男に、ツリーは呆気なく殺されてしまうのだった――。だが、次の瞬間、ツリーはまた見知らぬ同級生の部屋のベッドに寝ている自分を発見する。見覚えのある人と見覚えのある会話。戸惑いつつもパーティー会場へと向かった彼女は、またしても謎の男に殺されることに。でも、次の瞬間、ツリーはまた見知らぬ同級生の……。原因不明のそんな悪夢の無限ループへと迷い込んだビッチは、果たして無事に誕生日を乗り越えることが出来るのか?最近流行りのループ物に青春ホラーをミックスしたというそんな本作、いやー、これがなかなか面白いじゃないですか!最初目覚めてから謎の男に殺されるまでの一回目が若干長くてループ物としてどうかと思ったんですが、二回目三回目とループが繰り返されるたびにどんどんとスピード感が増してゆくのが観ていて爽快。ツリーの殺され方も、ナイフで刺殺から割れたガラスで顔面串刺し、バッドで殴打、噴水で水死、バスで轢死、ガソリンで爆殺とバラエティに富んでるのも大変グッド!あまりに殺され過ぎて、もはや開き直ったツリーが裸で学内を歩いたりするシーンなんていかにもビッチでナイスでした(笑)。きっと原因は自分の自堕落な生活のせいだと思い込んだ彼女が、真人間になろうと努力する中盤の展開なんてすんごく薄っぺらいんですけど思わず応援しちゃってる自分が居ました。うん、頑張れ、ビッチ(笑)。そして真犯人が明らかにされるクライマックスもけっこう脚本が練られていて普通に面白い。ラストシーンなんてなかなか技ありで思わず拍手しそうになっちゃったし。いやー、この監督、けっこうセンスあるんじゃないですかね。このタイムループの原因をもう少し納得できる形で説明して欲しかった気がしなくもないですが、エンタメ映画として僕は充分楽しませていただきました。うん、8点![DVD(字幕)] 8点(2020-02-08 23:03:38)

19.  バーバラと心の巨人 《ネタバレ》 信じられる?奴らは太陽も逃げ出すような恐ろしい存在よ――。彼女の名は、バーバラ。海沿いの寂れた田舎町で、まだ若い姉や兄とともに貧しい生活を送る彼女にはとある秘密があった。そう、この世の諸悪の根源である邪悪な〝巨人〟が森の奥深くに潜み、何も知らない人間どもを虎視眈々と狙っているということに、彼女だけが気付いてしまったのだ。いつも身に着けているポーチへと秘密の武器「雷神トールのハンマー」を潜ませ、巨人の大好物である甘い蜜や手作りの罠を森のあちこちに仕込み、いつでも巨人の動向を監視しているバーバラ。だが、巧妙な巨人たちは一向にその尻尾を彼女に摑ませることなく森の闇の中に蠢き続けるのだった――。でも、彼女の家族や学校の先生、そしてバーバラの同級生たちはその事実に全く気付くことなく、いつものような普通の日常生活を送っている。そんなことなど気にする様子もなく巨人の物語へとのめり込むバーバラ。周囲の人間との軋轢はどんどんと増すばかりで、彼女は次第に孤立を深めてゆくのだった。そんな彼女のことを心配する転校生のソフィアや学校のカウンセラーが、何とか彼女の孤独な心を開かせようとするのだったが……。妄想とも現実ともつかぬ世界へと迷い込んでしまった少女の孤独な闘いを幻想的に描いたダーク・ファンタジー。アメリカのグラフィック・ノベルを原作にしたという本作、なかなか面白そうだったので今回鑑賞してみました。観終わってまず真っ先に思い浮かぶのは、J・A・バヨナが監督しリーアム・ニーソンが怪物の声をアフレコした某作品と設定やビジュアル・センスが丸かぶりしているところでしょう。巨人の脅威をフォークロアのように描いた幻想的なシーンなんて全くそのまんまなんですけど、これって大丈夫なんですかね?ただ、あちらの如何にもきかん坊な少年主人公に全く共感できなかった自分としては、こちらのメンヘラ女子の方にはまだ好感持てました。バーバラもその友達となる同級生もけっこう可愛かったってのもあるかもですけどね(笑)。とはいえ、だからと言って本作に嵌まったかと言えばそこまででもなく、終始辛気臭い展開に終盤はぐったりしてしまいました。もう少しファンタジー色強めでも良かったような気もしますし。ま、ぼちぼちってとこでした。[DVD(字幕)] 6点(2020-02-04 23:31:13)

20.  ハウス・ジャック・ビルト 《ネタバレ》 この12年の間に起きた、5つの出来事で俺の人生を語ろう――。生まれついてのサイコパスにしてシリアルキラーでもあるジャック。分かっているだけで、幼い子供から年老いた老婆にいたるまで少なくとも60人以上を殺し、その死体を自身が所有する冷凍庫にコレクションしていた男。自らが無作為に選んだという5つの出来事が彼の狂気に満ちたモノローグとともに語られる。聞き手となるのは、ヴァージと名乗る謎の男性。道端で拾った高慢ちきな見知らぬ女、夫を亡くしささやかな年金で一人暮らしていた初老の未亡人、二人の息子とともに充実した日々を過ごしていた若い母親、ただ愛されることを望んでいた売春婦、そして何人ものどうでもいい男たち……。創造と破壊、欲望と理性、倫理と芸術、ジャックは自らの思想とともにヴァージに語り続けるのだった。何故彼は人を殺し続けたのか?そして二人はいったい何処へと向かうのか?デンマークの鬼才、ラース・フォン・トリアーの約5年ぶりとなる最新作は、そんないかにも彼らしい挑戦的で自虐に満ちた野心作でした。率直な感想を述べさせてもらうと、いやー、本当に変な映画でしたね、これ。カンヌでも途中退席者が続出したというだけあってかなり人を選ぶグロ描写が続出するのですが、なんだか全体的に変なユーモアがあるのが彼の鬼才たるゆえん。いかにも殺してくれと言わんばかりの高慢高飛車女をジャッキで殴り殺す冒頭のエピソード(ユマ・サーマンの無駄遣い!笑)から摑みはばっちりで、続く強迫性障害のせいで何度も殺害現場へと舞い戻ってしまうエピソードなんて思わず笑っちゃいました。母親の目の前で幼い子供を射殺するシーンなどはあまりにも倫理観を逸脱していて逆に清々しいくらい。おっぱいをえぐられちゃうジャックの彼女?の話あたりまで来るとなんだか神経が麻痺しちゃいますね。合間に挟まれるジャックのフリップ芸なんて、あまりにもシュール過ぎてR‐1でも通用するかも?!そして辿り着く驚愕のエピローグ。もはやぶっ飛びすぎてて終始唖然(笑)。何ですか、あのルネッサンスの油絵みたいな変な世界観は。文字通り地獄に堕ちた彼へと、エンドロールで「もう帰って来るな!ジャック!」とノリノリの曲調で歌われた日にゃもはや笑うしかなかったです。鬱病を患っていたころの陰鬱で重苦しい作風から抜け出し、前作辺りからトリアーはこんなヘンテコな世界へと辿り着いたのですね。うん、何処までも付いていきます!9点!![DVD(字幕)] 9点(2020-02-02 23:44:03)(良:1票)

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS