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1. Pearl パール
パールが母親の古い服(ウエストの絞られたエドワーディアン風ドレス)を一張羅にしていて、義理の妹が最先端のフラッパーファッションに身を包んでいるというのは、明らかにパールの境遇(抑圧)と欲求(解放)の対比だろう。抑圧された女主人公が限界を迎えて大爆発するプロットといったら、やはり頭に浮かぶのは『キャリー』だ。しかしキャリーが「プロムに行くことを夢見るイジメられっ子の少女(見た目は冴えないけど超能力持ち)」という同情を誘うキャラクターであるのに対して、パールは自己中心的なシリアルキラーとして描かれるので、だんだん見る側の調子も狂ってくる。「銀幕スターという分不相応な夢を望む主婦(精神異常者なだけで凡人)」に、感情移入は難しい。パールの大暴れは見ていてハラハラする一方、「なんだこいつ…」と心が離れていく。この人物描写の雑さはA24スタジオ製作の他の作品にも共通するところだと感じる。そういう意味では、なんでもかんでも「親ガチャ」などと言って責任転嫁する現代の視聴層には合っているのかもしれない。[インターネット(字幕)] 5点(2024-11-20 21:52:40)
2. パラノーマン ブライス・ホローの謎
《ネタバレ》 キャラクターはブキミカワイイし、ノーマンの切ない境遇もたしかに胸に刺さるのに、作劇がトンチンカンすぎて不完全燃焼してしまった。「何かが起こり始めている」という序章が長すぎて、やっとストーリーが転がり始めたかと思ったら、行き当たりばったりのパニックシーンばかりで物語の目的がいまいち見えず……(一応、目的は「墓の前で本を読む」ということなのだが、押し付けがましくてまったく腑に落ちない)
せっかくノーマンが「幽霊が見える」という設定なのだから、あの少女を冒頭から「正体はわからないけど、いつも見えている幽霊の一人」として絡ませればよかったのになと思った。そこから少女が他の幽霊とは違うことに気づいて……という展開にすれば、ノーマンとの絆も描けてクライマックスに感動できたと思う。
少女の声は『サイレントヒル』でアレッサ役をやったジョデル・フェルランドが当てていて、日本びいきのLAIKAスタジオらしさを感じた。魔女狩りに遭った少女を永遠に煉獄で生殺しにするのが日本なら、しっかりと救済を与えるのがアメリカ。両国の感性の違いが見えて面白い。[インターネット(字幕)] 6点(2022-10-14 09:55:41)(良:1票) 《改行有》
3. ハッピー・デス・デイ
《ネタバレ》 まさに「小気味良い」と言いたくなる面白さだった。
ループものの定石である「パニック→受容→謎解き」の展開を終えたあと、主人公が「どうせ誰の記憶にも残らない」と自暴自棄になって、人前でオナラをブーブーしだす展開が新鮮で楽しい。終始、お笑い用語で言うところの「天丼」がスマートに用いられていて、セリフも今っぽくしゃれている。
結果ありきの不自然な展開(犯人を知りたいのなら、殺される直前にお面を取りさえすればいいのにそれをしない→お面を取ってしまうと「真犯人がいる」という大オチが成立しなくなるから…という都合)は少し気になったが、そもそもシリアスぶっていないので問題点というほどでもないように感じた。
不気味なマスクのデザインは『スクリーム』のゴーストフェイスをデザインしたトニー・ガードナーによるもので、90年代のメタホラーブームの香りを残すシニカルな作風に華を添えている。[インターネット(字幕)] 8点(2021-09-20 14:21:36)《改行有》
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