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プロフィール |
コメント数 |
615 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが…… 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。 |
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1. バトルクリーク・ブロー
《ネタバレ》 ジャッキーが自伝にて「ジャッキー・チェンが歩き回っているだけの映画を、金払って観ようという人はいない」と語っている通り、商業的には失敗した映画。
その原因は「燃えよドラゴン」(1973年)を手掛けたロバート・クローズ監督が、ジャッキーに「ブルース・リーのような魅力」を求めてしまったからに他ならない……なんてイメージがあったのですが、久し振りに再見し、それは間違いだったと気付かされましたね。
それというのも、本作は意外にもコメディ色が強くて「ジャッキーらしい魅力」を、ちゃんと描こうとしてた痕跡があるんです。
(これはブルース・リーっぽいな)と感じた場面なんて「敵の屋敷に侵入する場面」「友人を殺された仇討ちしようと、怒りの声を放つ場面」くらいでしたし。
少なくとも「ジャッキーにブルース・リーの真似事やらせたから失敗したんだ」って認識は間違ってたみたいで、大いに反省させられました。
ただ、映画として面白かったかどうかっていうと……やっぱり「微妙」「退屈」って印象の方が強いです。
ジャッキー当人はキレのある動きを見せているんだけど、肝心の相手側が「戦ってる」というより「事前の打ち合わせ通りに動いてる」って感じが見え見えで、迫力が伝わってこないんですよね。
ローラーレースの場面でもスローモーションを多用していてテンポが悪いし、演出も良くなかったと思います。
そして致命的なのが、脚本の拙さ。
何せ本作と来たら「ジャッキーが人質を取られてギャングの言いなりとなり、要求通りにストリートファイトの大会で優勝しました」ってだけの話なんです。
一応、途中で仇敵の一人は倒して溜飲を下げてるんだけど、肝心のギャングの親玉は無傷どころか、ジャッキーが言いなりになってくれたお陰で万々歳。
そんな親玉に「約束通り人質を解放する」って言われ、ジャッキーは笑顔になって終わるんだけど……
(それでハッピーエンドにして良いのか?)ってツッコむしか無かったです。
主人公の父親が料理店を経営してるとか、現実のジャッキーの生い立ちにリンクさせるような設定は悪くなかっただけに、どうにも着地の仕方に納得出来ない。
どんなにベタでも良いから「人質を取った卑劣なギャングに復讐するカタルシス」は描いて欲しかったですね。
「口笛を交えたBGMは良い感じ」とか「特訓の描写は頑張ってる」とか、一応褒めるべき点はあるし、何より自分は「ジャッキー・チェンが歩き回っているだけの映画」でも結構楽しめちゃう口なので、駄作と断ずる事は出来ないんですが……
失敗作扱いされても、特に反論しようって気にはなれないです。
それと、後世の人間としては「紆余曲折を経て、ジャッキーはハリウッドで大成功を収めた」のを知ってるからこそ、余裕を持って鑑賞出来たけど……
もし自分が「公開当時のジャッキーファン」だったとしたら、相当キツかったと思いますね。
(違うんだ、ジャッキーは本当は凄い奴なんだ)(ハリウッドで通用しなかったのは偶々なんだ)って想いで一杯になってた気がします。
成功してくれて良かったです、本当に。[DVD(吹替)] 5点(2022-05-18 03:49:19)(良:2票) 《改行有》
2. パーマネント・レコード
《ネタバレ》 主人公かと思われた登場人物が、映画が始まって三十分程で、自ら命を絶ってしまう。
それでも、そこに驚きは無く(あぁ、やっぱり……)という思いに繋がるのだから、如何に丁寧に「死に至る心境」を描いていたのかが分かりますね。
学園の優等生で、人気者であり、恋人も、親友もいるはずなのに、何故か孤独を漂わせているデビット。
幼い弟に対し、自分と入れ替わらないかと提案するシーンなんて、特に印象深い。
「楽しいぜ、みんなのアイドルさ」「僕の方は一日中、眠れる」
という台詞からは、彼が感じている重圧と、そこから解放される事を願う気持ちが、痛い程に伝わってきました。
そんな彼の親友であり、映画後半の主人公となるのは、若き日のキアヌ・リーヴス演じるクリス。
親友のデビットが残した遺書代わりの手紙を目にし、衝撃を受ける姿が、何とも痛ましい。
「すべてを完璧にしたかった」「だめだった」
という短い文面を読み上げ、その深い絶望を感じ取って、思わず嘔吐する。
そんな場面を目にすると、映画前半での「デビットに同情する気持ち」も、瞬く間に吹き飛んでしまいますね。
自殺という行いが、如何に残された者達を傷付けるかについて、改めて考えさせられました。
そんな具合に、色々と心に響いてくる内容だったのですが、映画としては、クライマックスの演奏シーンで盛り上がれず、淡々とした流れで終わってしまったように思えて、少々残念。
デビットの遺作である曲を、クリス達がバンド演奏する事を期待していたのに、ヒロインの独唱という形になったのが、どうにも肩透かしだったのですよね。
そこはやっぱり、手紙と楽譜を受け取ったクリス自身に演奏して欲しかったなぁ……と思ってしまいました。
一夜明けての、ラストシーン。
デビットの転落死を経て、崖に設置された金網は、さながら彼の墓標のようでしたね。
そんな金網に手を添えて、寂し気な姿を見せていたクリスが、呼び掛ける声に振り向き、名残惜し気に金網を見つめながらも、仲間の許へ歩いていくエンディングは、とても好み。
悲しみを抱えながらも、それに囚われる事は良しとせず、生きる事を選んでみせるという、前向きなメッセージが伝わってきました。
自殺というデリケートな問題を扱いながらも、決してそれを肯定せず、勇気を持って否定してみせた一作だと思います。[ビデオ(字幕)] 6点(2016-08-24 09:26:05)(良:1票) 《改行有》
3. ハンター(1980)
《ネタバレ》 始まって十数分、粉塗れになる乱闘シーンで「あれ?」と思い、そこから更に三十分後の爆発シーンで、ようやくコメディ映画なのだと気が付きました。
かと思えば、クライマックスにおける電車上のアクションは中々の迫力であったりして「一粒で二度おいしい」タイプの作りとなっていますね。
これが遺作であるというスティーヴ・マックィーンが、色んな面を見せてくれたという意味においては、非常に嬉しい内容。
ただ、自分としては正直コメディ部分は退屈だったりもして、残念でした。
その分、終盤のアクションパートでは画面に釘付けになる事が出来たのですが(どうせなら両方を楽しんでみたかったな……)と、切なく感じてしまったのですよね。
好きな俳優さんの作品であるだけに、全面的に肯定出来ない事が、もどかしかったです。
ラストに関しては、ほのぼのとしたハッピーエンドで締められており、驚くと同時に癒されるものがありましたね。
西部劇、刑事ドラマ、脱獄物と、シリアスな作風の品に出演している印象が強いマックィーン。
そんな彼が、何とも優しい手付きで赤ちゃんを抱き上げて、父親として笑ってみせている。
その姿が、最高に似合っていて、最高に決まっているのだから、本当に凄い事だと思います。
映画の内容そのものよりも、最後の出演作までマックィーンは格好良くて、魅力的だったという、そちらの方に感動させられた一品でした。[DVD(吹替)] 6点(2016-06-21 12:56:14)(良:1票) 《改行有》
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