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プロフィール |
コメント数 |
615 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが…… 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。 |
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1. ペントハウス
《ネタバレ》 「オーシャンズ11」の監督を降板したブレット・ラトナーが、そのリベンジのように撮った映画って印象ですね。
オールスター感は薄めだけど、その分だけ主演のベン・スティラーの魅力が光る仕上がりになっており、個人的には大いに満足。
ビジュアル的に最高に恰好良い彼を収めたフィルムってだけでも、凄く価値があると思うんですよね。
微かに白髪交じりな「老け具合」さえも魅力的に思えちゃうし(この人、恰好良い歳の取り方してるよなぁ……)って、惚れ惚れしちゃいました。
ストーリーとしては「善人が泥棒になる話」であり、中々感情移入し難いはずなのですが、その点を上手く仕上げている辺りも、お見事。
「大金を盗んで楽に暮らしたい」なんていう身勝手な動機ではなく「皆の年金を取り戻す」という目的がある為、主人公のジョシュを自然と応援したくなるんですよね。
そもそも皆の年金が失われたのは「ジョシュが悪人のアーサー・ショウを信頼して、金を預けてしまったから」なので、一種の贖罪行為になってるという点も上手い。
この辺り、ジョシュに全く咎が無いとなると「無償で皆を救おうとする聖人」タイプの主人公になってしまい、ちょっと鼻白んじゃいますからね。
自殺未遂したレスターに同情している、と言い張るアーサーに対し
「……じゃあ、何故レスターが無事か訊かない?」
と静かに問い返す場面も印象的であり、彼の犯行動機が「自分の為」ではなく「他人の為」である事が伝わってくる、良い場面だったと思います。
上述の台詞もそうなんですが、この映画って「如何にも名台詞って感じではない、さりげない台詞が凄く良い」って特長があるんですよね。
特に終盤にて、何とか助かろうと取り引きを持ち掛けるアーサーに対し、主人公達が「チップは頂かない決まり」と答えるのも恰好良くて、痺れちゃいました。
そういった会話劇としての魅力だけでなく「宙吊りの車に掴まって、高層ビルから落ちそうになる」っていうスタント場面もあったりして、視覚的に分かり易い魅力も備わってるし、本当にバランスの良い映画だったと思います。
序盤にて、こっそり司法試験の勉強してたジョシュの部下が、いずれジョシュを助けてくれる展開なんだろうなと思っていたら、やっぱりそうなったって辺りも、実に気持ち良い。
一応、難点も挙げておくなら……
副主人公かと思われた泥棒のスライドが、全然活躍しなかった事が該当するでしょうか。
活躍しないだけなら、まだ良いんだけど「ジョシュとの間に絆が生まれてるように思えなかった」っていうのが、何とも寂しかったですね。
例えば、金を独り占めしようと銃を向ける場面にて、幼馴染であるジョシュとの子供時代を思い出し、結局撃てなくて悪態をつきながら銃を下ろすとか、そういう場面があれば、もっと印象も違ってた気がします。
後は、そもそもの犯行計画が杜撰過ぎるって点も該当しそうだけど……まぁ、この点に関しては「アーサーを終身刑にした代わりに、主人公も窃盗罪で二年ほど服役する」という相討ちに近い結末だった為、さほど違和感は抱かずに済みましたね。
特に悩んだりもせず、淡々と「クィーンを犠牲にする」事を決意した辺り、いざとなったら自分が全ての罪を背負って逮捕されるって、最初から覚悟の上だったんだと思われます。
ラストにて、屋上のプールに隠してた車を取り出す爽快感も素晴らしいし……
色々欠点があるのを承知の上で、それでもなお「傑作」と呼びたくなる。
ベン・スティラーの代表作の一つとして、彼を好きな方には、是非オススメしたいです。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2022-01-12 17:54:23)(良:2票) 《改行有》
2. ベイウォッチ
《ネタバレ》 ライフガード物……というよりは、刑事物って感じの映画ですね。
作中でも散々「それは刑事の仕事」とツッコまれていますし、海での人命救助がメインの話と思って観ると、ガッカリしちゃうかも。
海ではなく、スタジオで撮影しているなって丸分かりな場面もあったりするし、色々とハードルを低くして観る必要があると思います。
それと「よぉ、ハイスクールミュージカル」「有り得ないTVドラマのパクリみたい」などのメタな台詞を挟んでいるのは、ちょっとオタク映画っぽくて、この題材とは不釣り合いにも思えましたね。
内気なロニー青年を「第三の主人公」枠にしたりして、マッチョ賛美な体育会系の映画ではない、幅広い客層が楽しめる映画にする意図があったのかも知れませんが、それが成功していたとは言い難いかと。
でもまぁ、自分としては「ザック・エフロンとドウェイン・ジョンソン主演のアクション映画」が拝めただけでも満足というか……
至らないところも多々あるけど、充分に合格点に達してる映画だと思うんですよね、これ。
怖いもの知らずな若者と、経験豊富なベテラン主人公のコンビって時点で、バディ物としては王道な魅力があるし、二人が衝突しつつも互いを認め合い「仲間」「相棒」になっていく流れも、微笑ましくて良かったです。
観ていて安心させられるというか、新鮮な驚きは無い代わりに、落胆させられる事も少ないって感じ。
音楽もノリの良いのを揃えてあるし、水着美女のサービスシーンも豊富。
海が舞台なんだから、これは外せないとばかりに、ジェットスキーでのアクションがある辺りも嬉しいですね。
先程は「スタジオ撮影なのが丸分かりな場面がある」と減点個所を述べてしまいましたが、それ以外では「海の美しさ、解放感」を感じさせる場面も多かったし……
結果的にはプラマイゼロどころか、プラスの方が大きいくらいなんじゃないかと。
元ネタのTVドラマ版で主人公ミッチを演じたデビッド・ハッセルホフが「ミッチの師匠」というポジションで登場したりと、ファンサービスをしっかり行っている点も良かったですね。
エンドロールのNG集も和気藹々としてるし、撮影現場の楽しい雰囲気が伝わってきました。
それでも、最後に「これだけは、どうにかして欲しかった」という希望を述べさせてもらうなら……
クライマックスは「敵のボスを撃つ」ではなく「人命救助」って形にして欲しかったですね。
一応、ボスを倒す直前に「ミッチがブロディを助ける場面」もある為、ライフガード要素が必要無かったって訳じゃないんですが、最後の最後で(……これ、やっぱり刑事物でも成立したよなぁ)って気持ちにさせられて、興醒めしちゃいましたし。
そこのところを上手くやってくれていたら、もっと自信を持ってオススメ出来る品になってたと思います。[DVD(吹替)] 6点(2020-06-25 13:02:29)《改行有》
3. ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金
《ネタバレ》 「これでもまだ実話」のテロップには参りました。
笑ったら不謹慎なのでしょうが、ついつい頬が緩んでしまいましたね。
マイケル・ベイ監督作としては、非常に異質な内容である本作。
豪華な出演陣と、シニカルなストーリーのギャップにも、ちょっと戸惑うものがありましたが、何処か作り手が楽しんでいるというか
「こんな馬鹿げた事件があったんだよ。どう? 笑えない?」
と問い掛けているような雰囲気が漂っており、あまり深刻にならず、リラックスした状態で観賞する事が出来ました。
「悪人だけど、どこか憎めない」というタイプの主人公達だったのですが、やっている事は凶悪極まりない為、最後まで感情移入は出来ず。
書類にサインさせる為に、被害者を拷問している場面もキツかったのですが、個人的に一番落胆させられたのは、終盤の貸金庫の件。
その中身が、思い出の写真、そして子供時代の靴の型である事に怒って「金は無いのか」と怒り出す主人公の姿は、本当に見苦しいの一言でしたね。
ここで決定的に愛想が尽きたところで、映画が終局を迎える構成となっているのは上手かったです。
また、被害者の豊胸パックを取り出さなかったばかりに、それが決定的な証拠となってしまう辺りにも「そこかよ!」と思わずツッコミ。
指紋については気を遣っていただけに、その間抜けな見落としには、乾いた笑いを感じられましたね。
主人公達が筋トレに病的に固執している点や、理想的なボディと現実の経済事情とのギャップに耐え切れず犯行に至ったと思しき点など、色々と分析してみるのも楽しそう。
けれど、それよりは、もっと肩の力を抜いて、実話である事も意図的に忘れてみせて、のんびりと観賞するのが最適な映画であるように思えました。[DVD(吹替)] 6点(2016-07-11 18:05:00)《改行有》
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