みんなのシネマレビュー |
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2. 黙秘 《ネタバレ》 回想シーンに移行する時の、まるで過去と現在が溶けあうような自然なカメラワークや、彼女の罪をまるで太陽の目から隠してやるように訪れる日蝕の演出など、随所にセンスの良さが見られる。 結局、自分の人生を良くするも悪くするも、それは自分自身の選択と決定の帰結でしかない。夫婦間の問題も、子供との関係も、友人との関係も、相互理解と相互依存の関係を自覚し、一歩先を予想する想像力さえあれば、それほど状況が悪くなることはないはず。 キャシー・ベイツ演じる彼女の人生も、殺人(見殺し?)を抜きにすれば、どこにでもあり得る平凡なもの。ただ、自分を律することが出来ない男と結婚したのも、その本質を見抜けないまま子供を惰性的に作ってしまうのも、またその夫を精神的に支え切れなかったのも、結局は本人(無論、夫も)の選択と責任の結果でしかない。そして、その「自覚」と「想像力」が無い者ほど、人生においてトラブルを起こしやすく、また自分で問題を複雑化してしまうように思う。自分の人生の顛末は自己責任が当たり前。そんなリアルな教訓に満ちている佳作。 ただ、あえて難を言えば、皆さんの指摘にもあるように、基本的に脚本自体が単純すぎる点かな。人間ドラマは秀逸なだけに、ストーリー展開の弱さが目立つのが残念。[ビデオ(字幕)] 7点(2004-07-26 14:22:35)(良:2票) 《改行有》 3. 木曜組曲 《ネタバレ》 「ミステリー」として見ると、謎解きや動機に物足りない部分もあるが、女流作家の不審死を巡る「サスペンスドラマ」としてなら、まあそこそこ楽しめる。ただ、全体の雰囲気や女優陣のイマイチ不自然で硬い演技が舞台劇を思わせる点と、「女流作家たちの腹の探り合い」というドラマ設定が観客を置いてけぼりにしていて、ちょっと感情移入はしにくい。導入も唐突で、見知らぬ同窓会に紛れ込んでしまったような疎外感を終始感じる。「自分の人生に意味を持たせるための自作自演オチ」も結構よくあるパターン。中盤までのダラダラ感もマイナス。あと30分は短縮できる内容。6点(2004-06-28 13:24:16)(良:1票) 4. モンスターズ・インク 《ネタバレ》 モンスターという架空の存在を、技術の力押しでCG化。その表現の方向性は正しい。 内容的には、良くも悪くも安心して見ていられる家族向きで健全なストーリー。 ただ、これと言って「心通わすイベント」も無いままに、なんとなく命がけになっていく展開には少し興醒め。感動させる事が前提になり過ぎていて、描くべき過程がおざなりになっている。この辺の大雑把さがマイナス。 しかし、見ている者を飽きさせない緩急の効いた展開は、まさに一級のエンターティメント作品。個人的には、モンスター達がシミュレーションルームで驚かせる練習しているというのが面白かった。二度は見ようとは思わないけど、親子や恋人同士が暇つぶしに見るには適度な作品。 PS.吹き替え版で見たけど、石塚さんも田中さんも、なかなか良い味を出していて感心。[DVD(吹替)] 6点(2003-12-26 21:36:13)(良:1票) 《改行有》 5. もののけ姫 「環境問題」や「自然との共存」という根底にあるテーマからして、既に監督のライフワークであるナウシカで完成されているのに、また似たようなキャラやシチュエーションで同じ事を繰り返されてもなあ、という感じ。 しかも、ナウシカに比べ説教臭さが強くなり、せっかくの問題提起も、より露骨で押しつけがましいものになっている。 デジタルに頼らない手間の掛かったアニメーションの良さは出ているが、色味に乏しい地味で陰気な世界観を始め、キャラの魅力の無さ、エンターティメント性の薄さなど、すべてにおいてナウシカにあった「良さ」を削ぎ落としてしまった劣化版のような内容。これを作るくらいならナウシカの続編をアニメ化して欲しかった。 支持者の方の意見もよく分かるものの、やはり娯楽映画として見ればイマイチというのは否めない。とは言え、アニメーションの表現センスの高さや伝えようとするテーマは明確なので、いくらなんでも3点以下を付けるほどの駄作ではない。やはりここの平均点(6~7点)辺りが一番妥当な評価だと思う。 しかし残念ながらこの作品から、メインキャラの声優にまでイメージの固まった有名芸能人を多数起用したり、脚本作りが杜撰になったりと、宮崎アニメは凋落し始める。[映画館(邦画)] 6点(2003-10-16 19:48:22)《改行有》 6. 模倣犯 <原作は未読。映画のみの評価です> 恐らく監督の自己満足のために犠牲になった作品。いったい、どれだけ映画と違うのか、確認のため原作を読んでみたくなった。基本的に大真面目にやっているように思えるが、あの自爆シーン(?)を見るにつけ、全編がオチのための壮大なフリだったのかも知れない。もし真面目にやっているとしたら、あのような「黒ひげ危機一髪」みたいな爆発シーンにする必然性が分からなくなる。単に監督の「ちょっと違うことをやりたい」という自己満足のためだけの確信犯的演出。「どんな事件もTVを見ている側からすれば、ただのエンターティメントでしかないことの象徴」とか言ったメッセージ性を受け取る必要はない。 1点(2003-10-16 19:16:43)(笑:1票) (良:1票)
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